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JP5928055B2 - 被圧延材幅制御装置および被圧延材幅制御方法 - Google Patents
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被圧延材幅制御装置および被圧延材幅制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、鉄鋼材等の圧延加工される金属材(以下、被圧延材という)の幅を制御する被圧延材幅制御装置および被圧延材幅制御方法に関するものである。
従来から、熱間圧延ラインにおいて、被圧延材の幅が制御されている。一般に、熱間圧延ラインには、被圧延材を加熱する加熱炉、被圧延材をその幅方向に縮幅する幅プレス装置(以下、サイジングプレス装置という)、粗圧延装置、および仕上圧延装置等の各種装置が設置されている。被圧延材の幅は、サイジングプレス装置によって製品要求の幅毎に集約され、その後、粗圧延装置による被圧延材の粗圧延加工によって、主に制御される。
具体的には、被圧延材は、加熱炉によって加熱された後、加熱炉から抽出されてサイジングプレス装置へ搬送される。サイジングプレス装置は、製品要求に対応して被圧延材を幅プレスし、これによって、この被圧延材の幅を縮小する。このようにサイジングプレス装置によって縮幅(すなわち幅殺し)された被圧延材は、粗圧延装置に搬送され、粗圧延装置によって粗圧延加工される。ここで、粗圧延装置は、被圧延材の厚み方向の圧延加工(以下、水平圧延加工という)を行うための複数の圧延ロールと、被圧延材の幅方向の圧延加工を行うための複数の縦ロール(以下、エッジャーロールという)とを備える。被圧延材は、複数のエッジャーロールによって縮幅加工されつつ、複数の圧延ロールによって水平圧延加工される。このような被圧延材の幅方向および厚み方向の粗圧延加工によって、被圧延材の幅は、仕上圧延加工時に延伸する幅量を加味して縮幅したものに制御される。その後、仕上圧延装置は、製品要求に対応して、粗圧延加工後の被圧延材を仕上圧延加工する。
しかし、被圧延材の先端部は、水平圧延加工において、被圧延材の幅方向に延伸するとともに、この幅方向の延伸量に比して多く、被圧延材の長手方向に延伸する。これに起因して、被圧延材の先端部の幅は、圧延加工後(特に、粗圧延加工後)、被圧延材の中央部に比して狭くなり易い。この現象は、製品要求される圧延板の幅に比して狭い幅部分が被圧延材または仕上圧延加工後の圧延板に生じる事態(以下、幅マイナスという)を招来する可能性がある。
上述した幅マイナスの対策として、一般に、熱間圧延ラインでは、サイジングプレス装置による被圧延材の先端部のショートストローク加工が行われている(特許文献1,2参照)。あるいは、仕上圧延加工時の被圧延材の張力を下げる手法(特許文献3参照)、エッジャーロールを用いて被圧延材の幅を自動的に制御する手法(特許文献4,5参照)が採用されている。なお、ショートストローク加工とは、サイジングプレス装置の幅プレス金型の開度を変更して被圧延材の先端部を幅プレスし、これによって、被圧延材の先端部を被圧延材の中央部に比して幅広に成形する加工である。
特開2010−75977号公報 特開2010−64123号公報 特開2006−51512号公報 特開2005−34875号公報 特開2004−237346号公報
しかしながら、上述した従来技術では、被圧延材に一旦生じた急峻且つ過剰な幅マイナスを完全に補正することは困難であり、これに起因して、仕上圧延加工後の圧延板内に、要求された圧延製品幅に比して狭い幅部分(以下、幅マイナス部分という)が残留してしまう。なお、急峻且つ過剰な幅マイナスとは、被圧延材の幅方向に垂直な方向(被圧延材の長手方向)の変位量に対する被圧延材の幅減少量の勾配が急峻であり、且つ、圧延製品に要求される幅に比して被圧延材の幅が過剰に低い状態をいう。
上述したような幅マイナス部分を含む圧延板は、圧延製品として要求された板幅を満足していない不良品であるため、製品として出荷できず、廃棄処分される。このため、被圧延材の無駄な損失が増大するのみならず、圧延製品の歩留まりが低下するという問題がある。さらには、幅マイナス部分を含む被圧延材または圧延板を製造ライン外に除去するまでに、無駄な時間および労力を要することから、圧延製品の製造能率が低下するという問題もある。
なお、上述した問題は、サイジングプレス装置による被圧延材の縮幅量(すなわち幅殺し量)の増大に伴って顕在化する。例えば、被圧延材の幅殺し量が100[mm]以上である場合、たとえ被圧延材に対してエッジャーロールを用いた自動幅制御を行ったとしても、上述した問題を解消できないのみならず、被圧延材に幅引けが生じる。このことは、被圧延材の仕上圧延加工時の張力を下げたとしても同様である。なお、幅引けとは、圧延加工時の張力に起因して被圧延材の幅が狭くなる現象である。
また、上述した問題は、製造する圧延製品の幅の増大に伴って顕在化する。例えば、仕上圧延加工後の圧延板をコイル状に巻き取った圧延製品(以下、コイルという)のコイル幅が1700[mm]以上であり、且つ、このコイル製造時の幅殺し量が150[mm]以上である場合、このコイル内に幅マイナス部分が残留する。
近年、圧延製品として要求される圧延板またはコイルの幅は、1700[mm]以上、1200〜1700[mm]、1200[mm]未満等、多様化している。このため、圧延製品の製造において、被圧延材の幅殺し量の増減または圧延製品の要求幅の増減によらず、被圧延材および仕上圧延加工後の圧延板に幅マイナスが生じることを防止して、多様な圧延製品の幅をその全長に亘って均一化することは、極めて重要である。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、被圧延材および仕上圧延加工後の圧延板に幅マイナスが生じることを防止でき、これによって、圧延製品に要求される幅に対する製造後の圧延製品の幅精度を向上させるとともに、圧延製品の幅をその全長に亘って均一化できる被圧延材幅制御装置および被圧延材幅制御方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる被圧延材幅制御装置は、被圧延材の幅方向の両側から前記被圧延材へ金型を押圧して前記被圧延材の幅プレスを行う幅プレス装置を用いて、前記被圧延材の幅を制御する被圧延材幅制御装置において、前記幅プレス毎の前記被圧延材の搬送量をもとに、前記被圧延材の先端が前記幅プレス装置の出側から突出したか否かを判断し、前記被圧延材の先端が前記幅プレス装置内に位置する期間、前記被圧延材の幅に対応して前記金型の開度を調整しつつ前記被圧延材の幅プレスを行うように前記幅プレス装置を制御し、前記被圧延材の先端が前記幅プレス装置の出側に突出した期間、前記金型の開度を変更して前記被圧延材の幅プレスを行い、前記被圧延材の先端側から尾端側に向かって前記被圧延材の幅が前記被圧延材の目標幅まで減少する複数の段差部を形成するように、前記幅プレス装置を制御する制御部を備えたことを特徴とする。
また、本発明にかかる被圧延材幅制御装置は、上記の発明において、前記制御部は、2つの前記段差部を形成するように前記幅プレス装置を制御することを特徴とする。
また、本発明にかかる被圧延材幅制御装置は、上記の発明において、前記制御部は、複数の前記段差部の各段差が同一になるように前記幅プレス装置を制御することを特徴とする。
また、本発明にかかる被圧延材幅制御方法は、被圧延材の幅方向の両側から前記被圧延材へ金型を押圧して前記被圧延材の幅プレスを行う幅プレス装置を用いて、前記被圧延材の幅を制御する被圧延材幅制御方法において、前記被圧延材の先端が前記幅プレス装置内に位置する期間、前記被圧延材の幅に対応して前記金型の開度を調整しつつ前記被圧延材の幅プレスを行い、前記被圧延材の先端が前記幅プレス装置の出側に突出した期間、前記金型の開度を変更して前記被圧延材の幅プレスを行い、前記被圧延材の先端側から尾端側に向かって前記被圧延材の幅が前記被圧延材の目標幅まで減少する複数の段差部を前記被圧延材に形成することを特徴とする。
また、本発明にかかる被圧延材幅制御方法は、上記の発明において、前記被圧延材に2つの前記段差部を形成することを特徴とする。
また、本発明にかかる被圧延材幅制御方法は、上記の発明において、複数の前記段差部の各段差を同一にすることを特徴とする。
本発明によれば、被圧延材および仕上圧延加工後の圧延板に幅マイナスが生じることを防止でき、これによって、圧延製品に要求される幅に対する製造後の圧延製品の幅精度を向上させるとともに、圧延製品の幅をその全長に亘って均一化できるという効果を奏する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる被圧延材幅制御装置の一構成例を示すブロック図である。 図2は、本実施の形態におけるサイジングプレス装置の一構成例を示す模式図である。 図3は、サイジングプレス装置によって幅殺しされた被圧延材の一例を示す模式図である。 図4は、被圧延材幅制御方法における1パス目の幅圧下工程を説明する模式図である。 図5は、被圧延材幅制御方法における2パス目の幅圧下工程を説明する模式図である。 図6は、被圧延材幅制御方法における3パス目の幅圧下工程を説明する模式図である。 図7は、被圧延材幅制御方法における4パス目の幅圧下工程を説明する模式図である。 図8は、被圧延材幅制御方法における5パス目の幅圧下工程を説明する模式図である。 図9は、被圧延材幅制御方法における6パス目の幅圧下工程を説明する模式図である。 図10は、被圧延材幅制御方法における7パス目の幅圧下工程を説明する模式図である。 図11は、本発明の実施例にかかる圧延板の幅測定結果の一例を示す図である。 図12は、本発明の実施例に対する比較例1の圧延板の幅測定結果の一例を示す図である。 図13は、本発明の実施例に対する比較例2の圧延板の幅測定結果の一例を示す図である。 図14は、本発明の実施例に対する比較例3の圧延板の幅測定結果の一例を示す図である。
以下に、添付図面を参照して、本発明にかかる被圧延材幅制御装置および被圧延材幅制御方法の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本実施の形態により、本発明が限定されるものではない。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態にかかる被圧延材幅制御装置の一構成例を示すブロック図である。本実施の形態にかかる被圧延材幅制御装置1は、図1に例示する熱間圧延ライン10のサイジングプレス装置13を用いて、被圧延材20の幅を制御する装置である。なお、この熱間圧延ライン10には、被圧延材20を加熱する加熱炉11と、被圧延材20を搬送する搬送装置12と、被圧延材20をその幅方向に縮幅する幅プレスを行うサイジングプレス装置13と、被圧延材20を粗圧延加工する粗圧延装置14と、粗圧延加工後の被圧延材20を仕上圧延加工する仕上圧延装置15と、仕上圧延加工によって製造された圧延板25をコイル状に巻き取るコイラー16とが設置される。また、熱間圧延ライン10において、被圧延材20の先端は、被圧延材20の搬送方向(図1の太線矢印参照)に向かって搬送される被圧延材20の先頭側の端部である。被圧延材20の尾端は、この先端の反対側の端部である。
図1に示すように、被圧延材幅制御装置1は、各種情報を入力する入力部2と、被圧延材幅の制御に関する情報等を表示する表示部3と、被圧延材幅の制御を実現するための各種演算処理を行う演算処理部4と、被圧延材幅の制御を実行する制御部5とを備える。
入力部2は、キーボードおよびマウス等の入力デバイスを用いて実現され、操作者の入力操作に対応して各種情報を制御部5に入力する。なお、入力部2による入力情報として、例えば、制御部5に対して被圧延材幅制御の開始または停止を指示する指示情報、サイジングプレス装置13の設備仕様に関する情報等が挙げられる。
表示部3は、制御部5によって表示指示された各種情報を表示する。具体的には、表示部3は、入力部2による入力情報、被圧延材幅の制御に関する演算処理結果等の被圧延材幅の制御に有用な各種情報を表示する。
演算処理部4は、サイジングプレス装置13を用いた被圧延材幅の制御に必要な各種演算処理を行う。具体的には、演算処理部4は、熱間圧延ライン10の入側端にスラブ状の被圧延材20が投入される都度、この投入された被圧延材20の製品要求に関するオーダー情報9aを管理データベース9から取得する。演算処理部4は、被圧延材20とオーダー情報9aとを対応付けつつ、このオーダー情報9aに基づいて、被圧延材20に好適な幅圧下量を算出する。なお、この幅圧下量は、サイジングプレス装置13によって被圧延材20をその幅方向に縮幅するプレス加工(すなわち幅プレス)の押圧量である。演算処理部4は、幅圧下量を算出する都度、得られた幅圧下量を示す電気信号を制御部5に送信する。
ここで、管理データベース9は、各種製品要求に対応して熱間圧延ライン10の被圧延材20を管理するためのデータベースであり、被圧延材20のオーダー情報9aを格納する。オーダー情報9aは、要求された鉄鋼製品を製造するために必要な被圧延材の諸元等である。例えば、オーダー情報9a内の被圧延材20の諸元として、被圧延材20の組成、鋼種等の金属種類、強度、スラブ寸法(厚さおよび幅等)、重量、圧延処理後の被圧延材寸法(長さ、厚さ、幅)等が挙げられる。管理データベース9は、熱間圧延ライン10の入側端に被圧延材20が投入される都度、この投入された被圧延材20に対応するオーダー情報9aを演算処理部4に提供する。
制御部5は、被圧延材幅制御装置1の機能を実現するためのプログラム等を記憶するメモリおよびこのメモリ内のプログラムを実行するCPU等を用いて実現される。制御部5は、被圧延材幅制御装置1の各構成部、すなわち、入力部2、表示部3、および演算処理部4の各動作を制御し、且つ、これらの各構成部との電気信号の入出力を制御する。
また、制御部5は、被圧延材20の幅を制御するためにサイジングプレス装置13を制御する。具体的には、制御部5は、入力部2によって入力されたサイジングプレス装置13の設備仕様を取得し、この設備仕様をもとに、被圧延材20の先端がサイジングプレス装置13の入側から出側まで変位するために要する被圧延材20の搬送量を把握する。また、制御部5は、搬送装置12から、サイジングプレス装置13による被圧延材20の幅プレス毎の被圧延材20の搬送量を取得する。制御部5は、取得した被圧延材20の搬送量をもとに、サイジングプレス装置13内における被圧延材20の位置を把握するとともに、被圧延材20の先端がサイジングプレス装置13の出側から突出したか否かを判断する。この判断処理の結果、被圧延材20の先端がサイジングプレス装置13内に位置する場合、制御部5は、被圧延材20の幅に対応してサイジングプレス装置13の金型開度を調整しつつ被圧延材20の幅プレスを行うように、サイジングプレス装置13を制御する。一方、被圧延材20の先端がサイジングプレス装置13の出側に突出した場合、制御部5は、上述した金型開度を変更して被圧延材20の幅プレスを行うようにサイジングプレス装置13を制御する。これによって、制御部5は、被圧延材20の先端側に幅広な段差部を複数形成するようにサイジングプレス装置13を制御する。なお、制御部5は、上述したサイジングプレス装置13の制御に用いる幅圧下量を演算処理部4から取得する。
つぎに、図1を参照しつつ、上述した被圧延材幅制御装置1によって制御されるサイジングプレス装置13を有する熱間圧延ライン10の概略構成について説明する。熱間圧延ライン10には、上述したように、加熱炉11と、搬送装置12と、粗圧延装置14と、仕上圧延装置15と、コイラー16とが設置される。
加熱炉11は、被圧延材20を加熱処理し、加熱処理後の被圧延材20を搬送装置12へ投入する。搬送装置12は、複数の搬送ロール12a等を用いて実現され、図1に示す搬送方向(例えば、被圧延材20の長手方向)に沿って、被圧延材20を搬送する。具体的には、搬送装置12は、加熱炉11から抽出された被圧延材20をサイジングプレス装置13へ搬送する。ついで、搬送装置12は、サイジングプレス装置13による1回の幅プレス毎に所定の搬送量ずつ、サイジングプレス装置13の入側から出側へ被圧延材20を搬送する。その後、搬送装置12は、サイジングプレス装置13から粗圧延装置14へ、幅プレス後の被圧延材20を搬送する。
サイジングプレス装置13は、被圧延材20をその幅方向に縮幅する幅プレスを行う幅プレス装置として機能する。具体的には、搬送装置12がサイジングプレス装置13の入側に被圧延材20を搬送した後、サイジングプレス装置13は、搬送装置12が所定の搬送量ずつ被圧延材20を搬送する都度、制御部5によって指示された幅圧下量の幅プレスを被圧延材20に対して実施する。すなわち、サイジングプレス装置13は、被圧延材20をその先端から尾端に亘って複数回、間欠的に幅プレスする。
粗圧延装置14は、複数スタンドの粗圧延機14aと複数のエッジャーロール14bとを備える。粗圧延機14aは、被圧延材20の厚み方向に対をなす圧延ロールを用いて、被圧延材20をその厚み方向に粗圧延加工する。エッジャーロール14bは、被圧延材20の幅方向に対をなすように配置され、被圧延材20をその幅方向に圧延加工する。粗圧延装置14は、搬送装置12によってサイジングプレス装置13から搬送された被圧延材20に対し、一対のエッジャーロール14bによって幅方向の圧延加工を行い、ついで、粗圧延機14aによって厚み方向の粗圧延加工を行う。粗圧延装置14は、複数スタンドの粗圧延機14aと複数のエッジャーロール14bとを用い、被圧延材20の先端から尾端に亘って連続的に、上述したような被圧延材20の幅方向の圧延加工と厚み方向の粗圧延加工とを順次繰り返す。
仕上圧延装置15は、複数スタンドの仕上圧延機15aを用いて実現される。仕上圧延装置15は、粗圧延装置14から送出された被圧延材20を受け入れ、この受け入れた被圧延材20を仕上圧延加工する。この場合、仕上圧延装置15は、複数スタンドの仕上圧延機15aを用い、被圧延材20の先端から尾端に亘って連続的に、被圧延材20をその厚み方向に仕上圧延加工する。これによって、仕上圧延装置15は、圧延製品として要求される板厚の圧延板25を製造する。この仕上圧延装置15から送出された圧延板25は、コイラー16によってコイル状に巻き取られる。
つぎに、図1に示したサイジングプレス装置13の構成およびサイジングプレス装置13による幅殺し後の被圧延材20について説明する。図2は、本実施の形態におけるサイジングプレス装置の一構成例を示す模式図である。図3は、サイジングプレス装置によって幅殺しされた被圧延材の一例を示す模式図である。
図2に示すように、サイジングプレス装置13は、一対の金型100a,100bと、被圧延材20の幅方向に金型100a,100bを各々圧下(以下、幅圧下という)する幅圧下装置103a,103bとを備える。
一対の金型100a,100bは、被圧延材20をその幅方向に幅プレスするためのプレス金型である。金型100aは、被圧延材20の幅プレス面に、被圧延材20の搬送方向(図2の太線矢印参照)に対して平行な面である平行部101aと、この平行部101aに対して傾斜する面である傾斜部102aとを有する。これと同様に、金型100bは、被圧延材20の幅プレス面に、被圧延材20の搬送方向に対して平行な面である平行部101bと、この平行部101bに対して傾斜する面である傾斜部102bとを有する。このような一対の金型100a,100bは、図2に示すように、平行部101aと平行部101bとを対向させ且つ傾斜部102aと傾斜部102bとを対向させるように、配置される。
ここで、金型100a,100bの傾斜部102a,102b側の端部は、サイジングプレス装置13の入側に位置し、金型100a,100bの平行部101a,101b側の端部は、サイジングプレス装置13の出側に位置する。被圧延材20は、図2示すように搬送方向に沿って配置された複数の搬送ロール12aの回転作用によって、サイジングプレス装置13の入側から金型100a,100bの間隙内に搬送され、その搬送方向に沿って、この間隙内を通過する。その後、被圧延材20は、複数の搬送ロール12aの回転作用によって、金型100a,100bの間隙からサイジングプレス装置13の出側へ搬送される。
このような金型100a,100bの配置状態において、平行部101a,101bは、互いに平行である。また、傾斜部102a,102bは、サイジングプレス装置13の入側から平行部101a,101b側に向かって連続的に、金型100a,100bの間隙を狭めるように傾斜する。
幅圧下装置103a,103bは、図2に示すように、被圧延材20の幅方向に沿って金型100a,100bを互いに離間または近接させ、これによって、金型100a,100bの間隙距離、すなわち開度を調整する。また、幅圧下装置103a,103bは、搬送ロール12aの回転作用によって被圧延材20が所定の搬送量ずつ搬送される都度、被圧延材20の幅方向に沿って金型100a,100bを互いに近接させる。これによって、幅圧下装置103a,103bは、被圧延材20に対して間欠的に、金型100a,100bを幅圧下する。なお、このような幅圧下装置103a,103bの各動作は、互いに同期して行われる。また、幅圧下装置103a,103bによる金型100a,100bの幅圧下量は、図1に示した被圧延材幅制御装置1の制御部5によって制御される。
上述したような構成を有するサイジングプレス装置13は、被圧延材幅制御装置1の制御部5の制御に基づいて、被圧延材20を幅プレス(幅殺し)する。これによって、サイジングプレス装置13は、図2に示すような幅W1の被圧延材20を、その先端側から尾端側に向かって段階的に縮幅する形状のものに成形する。
具体的には、図3に示すように、サイジングプレス装置13によって幅プレスされた被圧延材20は、被圧延材20の長手方向に沿って段階的に幅が変化する幅広部21と、一定の幅W3を有する定常部22とからなる。
幅広部21は、幅プレス前の被圧延材20の幅W1に比して小さく且つ定常部22の幅W3に比して大きい幅W2を有する幅広な部分であり、被圧延材20のうちの先端20aから定常部22までの領域に形成される。また、幅広部21の幅方向の両側には、図3に示すように、同一の段差△aを有する2つの段差部21a,21bが形成される。幅広部21の幅W2は、これら2つの段差部21a,21bによって、先端20aから定常部22に向かって段階的に減少する。具体的には、幅広部21は、被圧延材20のうちの先端20aから段差部21aまでの領域において幅W2を有し、段差部21aから段差部21bまでの領域において幅(W2−2×△a)を有する。なお、幅広部21は、段差部21bを介して定常部22と連続している。すなわち、幅広部21と定常部22との境界部分の幅(W2−4×△a)は、定常部22の幅W3と同一である。
定常部22は、一定の幅W3を有する部分であり、被圧延材20のうち、幅広部21における段差部21b側の端部から尾端20bまでの領域に形成される。この定常部22の幅W3は、サイジングプレス装置13による幅プレス後の被圧延材20の目標幅であり、上述した仕上圧延加工等による被圧延材20の幅方向の延伸量t(幅方向の伸び代)を加味したものである。すなわち、幅W3は、圧延製品として要求される圧延板25(図1参照)の幅から延伸量tを減じたものである。なお、このような定常部22の幅W3は、被圧延材20に対応するオーダー情報9a(例えば圧延条件等)によって決定されている。
図3に示すような形状の被圧延材20をサイジングプレス装置13に形成させるために、被圧延材幅制御装置1の制御部5(図1参照)は、サイジングプレス装置13における被圧延材20の搬送位置に対応して金型100a,100bの幅圧下量を制御する。すなわち、制御部5は、被圧延材20の先端20aがサイジングプレス装置13内に位置する期間、被圧延材20の幅に対応して金型100a,100b(図2参照)の開度を調整しつつ所定の幅圧下量の幅プレスを行うように、サイジングプレス装置13を制御する。その後、制御部5は、被圧延材20の先端20aがサイジングプレス装置13の出側に突出した期間、金型100a,100bの開度を変更して被圧延材20の幅プレスを行うように、サイジングプレス装置13を制御する。すなわち、制御部5は、被圧延材20に対する金型100a,100bの幅圧下量を段階的に増やす制御(以下、ショートストローク制御という)をサイジングプレス装置13に対して行う。これによって、制御部5は、被圧延材20の先端20a側から尾端20b側に向かって被圧延材20の幅が被圧延材20の目標幅まで減少する複数の段差部分を被圧延材20に形成するように、サイジングプレス装置13を制御する。例えば、制御部5は、これら複数の段差部分として、図3に示した2つの段差部21a,21bを被圧延材20に形成するようにサイジングプレス装置13を制御する。これと同時に、制御部5は、これら2つの段差部21a,21bの各段差が同一になるように、金型100a,100bの幅圧下量を制御する。
つぎに、本発明の実施の形態にかかる被圧延材幅制御方法について説明する。図4〜10は、本発明の実施の形態にかかる被圧延材幅制御方法を説明するための模式図である。図4は、被圧延材幅制御方法における1パス目の幅圧下工程を説明する模式図である。図5は、被圧延材幅制御方法における2パス目の幅圧下工程を説明する模式図である。図6は、被圧延材幅制御方法における3パス目の幅圧下工程を説明する模式図である。図7は、被圧延材幅制御方法における4パス目の幅圧下工程を説明する模式図である。図8は、被圧延材幅制御方法における5パス目の幅圧下工程を説明する模式図である。図9は、被圧延材幅制御方法における6パス目の幅圧下工程を説明する模式図である。図10は、被圧延材幅制御方法における7パス目の幅圧下工程を説明する模式図である。
なお、幅圧下工程は、図2に示したサイジングプレス装置13の金型100a,100bを幅圧下して被圧延材20を幅プレスする工程である。また、パス数は、幅圧下工程の回数、すなわち、金型100a,100bの幅圧下の回数である。
本実施の形態にかかる被圧延材幅制御方法では、被圧延材20の幅方向の両側から被圧延材20へ金型100a,100bを幅圧下して被圧延材20の幅プレスを行うサイジングプレス装置13(図2参照)を用いて、被圧延材20の幅を制御する。すなわち、被圧延材20の先端20aがサイジングプレス装置13内に位置する期間、被圧延材20の幅に対応して金型100a,100bの開度を調整しつつ被圧延材20の幅プレスを行う。その後、被圧延材20の先端20aがサイジングプレス装置13の出側に突出した期間、金型100a,100bの開度を変更して被圧延材20の幅プレスを行う。これによって、被圧延材20の先端20a側から尾端20b側に向かって被圧延材20の幅が被圧延材20の目標幅まで減少する複数の段差部分を、被圧延材20に形成する。
具体的には、サイジングプレス装置13は、まず、被圧延材幅制御装置1の制御部5(図1参照)の制御に基づき、被圧延材20の幅W1に対応して金型100a,100bの開度を調整する。ついで、図4に示すように、金型100a,100bの傾斜部102a,102b側(すなわちサイジングプレス装置13の入側)から搬送方向に沿って、金型100a,100bの間隙内に被圧延材20を進入させる。この時点において、被圧延材20の先端20aは、金型100a,100bの傾斜部102a,102bの間隙内(サイジングプレス装置13内)に位置している。サイジングプレス装置13は、制御部5によって指示された幅圧下量の金型100a,100bの幅圧下を1パス分、間欠的に実施する(1パス目の幅圧下工程)。この結果、被圧延材20は、図4に示すように、金型100a,100bの傾斜部102a,102bによって間欠的に幅プレスされる。
つぎに、サイジングプレス装置13は、制御部5の制御に基づき、被圧延材20の幅W1に対応して金型100a,100bの開度を調整しつつ、金型100a,100bの間隙内に被圧延材20を順次進入させる。この時点において、被圧延材20の先端20aは、図5に示すように、金型100a,100bの平行部101a,101bの間隙内(サイジングプレス装置13内)に位置している。この場合、サイジングプレス装置13は、上述した1パス目の幅圧下工程と同様に、制御部5によって指示された幅圧下量の金型100a,100bの幅圧下を1パス分、間欠的に実施する(2パス目の幅圧下工程)。この結果、被圧延材20は、図5に示すように、金型100a,100bの傾斜部102a,102bおよび平行部101a,101bによって間欠的に幅プレスされる。
さらに、サイジングプレス装置13は、制御部5の制御に基づき、被圧延材20の幅W1に対応して金型100a,100bの開度を調整しつつ、金型100a,100bの間隙内に被圧延材20を順次進入させる。この時点において、被圧延材20の先端20aは、図6に示すように、金型100a,100bの平行部101a,101bの端部近傍(サイジングプレス装置13内)に位置している。この場合、サイジングプレス装置13は、上述した2パス目の幅圧下工程と同様に、制御部5によって指示された幅圧下量の金型100a,100bの幅圧下を1パス分、間欠的に実施する(3パス目の幅圧下工程)。この結果、被圧延材20は、図6に示すように、金型100a,100bの傾斜部102a,102bおよび平行部101a,101bによって間欠的に幅プレスされる。
その後、サイジングプレス装置13は、上述した3パス目の幅圧下工程と同様に金型100a,100bの開度調整および幅圧下を実施し、この結果、図7に示すように、被圧延材20の先端20aの幅W2を形成する(4パス目の幅圧下工程)。この4パス目の幅圧下工程において、被圧延材20の先端20a側の部分は、平行部101a,101bの全面によって幅プレスされる。4パス目の幅圧下工程における金型100a,100bの幅圧下が終了後、被圧延材20の先端20aは、図7に示すように、金型100a,100bの平行部101a,101bの端部の外側に位置している。すなわち、この時点において、先端20aは、サイジングプレス装置13の出側に突出している。このサイジングプレス装置13の出側への先端20aの突出をトリガーとして、制御部5は、サイジングプレス装置13のショートストローク制御を開始する。
上述した4パス目の幅圧下工程以後、被圧延材20の先端20aは、サイジングプレス装置13の出側に突出している。この状態において、制御部5は、サイジングプレス装置13に対してショートストローク制御を行う。すなわち、サイジングプレス装置13は、制御部5の制御に基づいて金型100a,100bの開度を変更する。続いて、サイジングプレス装置13は、制御部5によって指示されたショートストローク制御時の幅圧下量(以下、ショートストローク量△sという)だけ、金型100a,100bの幅圧下を間欠的に1パス実施する(5パス目の幅圧下工程)。この5パス目の幅圧下工程によって、被圧延材20のうちの先端20aから被圧延材20の搬送量だけ離れた部分は、図8に示すように、被圧延材20の幅方向の両側からショートストローク量△sだけ、幅プレスされる。この結果、被圧延材20には、その幅方向の両側に1つ目の段差△aが形成される。被圧延材20の幅W2は、この1つ目の段差△aを境に、先端20aから今回の幅プレス部分に向かって段階的に減少する。
つぎに、サイジングプレス装置13は、制御部5の制御に基づき、5パス目の幅圧下工程における被圧延材20の幅プレス部分の幅に対応して金型100a,100bの開度を変更する。続いて、サイジングプレス装置13は、図9に示すように、制御部5によって指示されたショートストローク量△sの金型100a,100bの幅圧下を1パス分、間欠的に実施する(6パス目の幅圧下工程)。この6パス目の幅圧下工程によって、被圧延材20のうち、5パス目の幅圧下工程における幅プレス部分から被圧延材20の搬送量だけ離れた部分は、図9に示すように、被圧延材20の幅方向の両側からショートストローク量△sだけ、幅プレスされる。これによって、被圧延材20には、その幅方向の両側に2つ目の段差△aが形成され、この結果、図3に示した2つの段差部21a,21bを有する幅広部21が形成される。なお、この2つ目の段差△aは、上述した5パス目の幅圧下工程による1つ目の段差△aと同一である。被圧延材20の幅W2は、これら1つ目の段差△aと2つ目の段差△aとによって、被圧延材20の目標幅、すなわち、図3に示した定常部22の幅W3まで段階的に減少する。
ここで、被圧延材20の幅W2は、上述した2回のショートストローク制御によって、目標の幅W3まで減少した。このことをトリガーとして、制御部5は、サイジングプレス装置13に対するショートストローク制御を終了する。すなわち、本実施の形態にかかる被圧延材幅制御方法では、被圧延材20に段差△aを形成するショートストローク制御を2回に分けて実施した。
その後、サイジングプレス装置13は、制御部5の制御に基づき、上述した1〜3パス目の幅圧下工程における金型開度に金型100a,100bの開度を調整する。続いて、サイジングプレス装置13は、図10に示すように、制御部5によって指示された幅圧下量の金型100a,100bの幅圧下を1パス分、間欠的に実施する(7パス目の幅圧下工程)。この7パス目の幅圧下工程において、被圧延材20は、図10に示すように、金型100a,100bの傾斜部102a,102bおよび平行部101a,101bによって間欠的に幅プレスされ、これによって、幅W3(<幅W2)まで幅殺しされる。この結果、被圧延材20のうちの幅広部21の後端側に、幅W3の定常部22の一部分が形成される。
上述した7パス目の幅圧下工程以後、被圧延材20の尾端20b(図3参照)の幅プレスが終了するまで、サイジングプレス装置13は、制御部5の制御に基づき、7パス目の幅圧下工程と同様に金型100a,100bの開度調整および幅圧下を実施する。具体的には、サイジングプレス装置13は、単一の被圧延材20に対して、上述した1〜7パス目の幅圧下工程を含む合計30〜40パスの幅圧下工程を実施する。この結果、被圧延材20は、スラブ形状から、図3に示したような幅広部21と定常部22とからなる形状に成形される。
なお、上述した1パス目から最終パス目までの各幅圧下工程において、被圧延材20は、1パス分の幅プレス毎に所定の搬送量(例えば450[mm])ずつ、サイジングプレス装置13の入側から出側に向かう方向(図4〜10に示す搬送方向参照)へ、連続的または断続的に搬送されている。
本実施の形態にかかる被圧延材幅制御方法によって成形された被圧延材20は、図1に示したように、粗圧延装置14によって粗圧延加工された後、仕上圧延装置15によって仕上圧延加工され、この結果、圧延板25に成形される。圧延板25は、圧延製品として要求される形状および寸法を有する。特に、圧延板25は、圧延製品として要求される幅を有する。この圧延板25の幅は、圧延板25の先端から尾端に亘って均一である。なお、本実施の形態において均一な幅とは、圧延製品の先端から尾端に亘って幅に誤差が無い場合は勿論、圧延製品として許容される誤差が生じている幅を含む。
ここで、上述した被圧延材幅制御方法によって被圧延材20の先端20a側に形成された幅広部21は、図3に示したように、同一の段差△aを有する2つの段差部21a,21bを有する。これら2つの段差部21a,21bによって、被圧延材20の幅は、先端20aから尾端20bに向かって、幅W2から幅W3まで段階的に減少している。
このような形状の幅広部21は、被圧延材20が先端20aから尾端20bに向けて水平圧延加工された被圧延材20の幅の均一化に寄与する。すなわち、幅広部21は、水平圧延加工によって被圧延材20の長手方向(搬送方向)へ材逃げし易い部分、具体的には、先端20aから1つ目の段差部21aに亘る部分において最大材幅(=幅W2)を有する。また、先端20aから定常部22に向かって、水平圧延加工による被圧延材20の長手方向への材逃げが発生し難くなるに伴い、幅広部21の幅W2は、2つの段差部21a,21bによって段階的に定常部22の幅W3まで減少している。このような形状によって、幅広部21は、水平圧延加工による被圧延材20の長手方向への材逃げに起因して減少する幅と、水平圧延加工による被圧延材20の幅方向への材逃げに起因して増加(延伸)する幅との差を低減している。この結果、水平圧延加工後の被圧延材20(例えば圧延板25)に幅マイナスが発生することなく、水平圧延加工後の被圧延材20の幅が、先端20aから尾端20bに亘って均一化される。
なお、上述した定常部22は、図3に示したように、幅広部21の後端に連続している。このため、水平圧延加工による定常部22の長手方向の材逃げは、幅広部21等によって阻害されるため、発生し難い。この結果、定常部22は、幅マイナスを起こすことなく水平圧延加工され、この水平圧延加工によって、定常部22の幅W3は、概ね、圧延製品に要求される幅まで増加する。
つぎに、本発明の実施例について説明する。本実施例では、サイジングプレス装置13による幅プレス(幅殺し)前の被圧延材20として、1850[mm]幅の鋼スラブを用いた。また、被圧延材20に対する幅プレス毎の被圧延材20の搬送量は450[mm]とし、上述した被圧延材幅制御方法(図4〜10参照)に従い、被圧延材20に対して合計30パスの幅圧下工程を実施した。この被圧延材20に対する30パスの幅圧下工程のうち、5パス目から6パス目までの各幅圧下工程(図8,9参照)では、1回のショートストローク量△sを10[mm]として、ショートストローク制御に基づく金型100a,100bの幅圧下を2回に分けて実施した。このような条件の各幅圧下工程によって、被圧延材20を187[mm]程度、幅殺しし、且つ、被圧延材20の先端20a側に、段差△aが10[mm]である2つの段差部21a,21bを形成した(図3参照)。
その後、図1に示したように、サイジングプレス装置13から送出された被圧延材20を粗圧延装置14によって粗圧延加工し、ついで、この粗圧延加工後の被圧延材20を仕上圧延装置15によって仕上圧延加工し、これによって、圧延板25を製造した。このように製造した圧延板25の先端から尾端に亘って、圧延板25の幅を測定した。
図11は、本発明の実施例にかかる圧延板の幅測定結果の一例を示す図である。図11において、縦軸は圧延板25の幅W[mm]であり、横軸は圧延板25の長さL[mm]である。なお、長さLは、圧延板25の尾端からの長さである。すなわち、圧延板25が全長L1のものである場合、長さL=0の位置は、圧延板25の尾端であり、長さL=L1の位置は、圧延板25の先端である。
図11に示すように、本実施例の圧延板25の幅Wは、圧延板25の先端から尾端に亘る全領域において、圧延製品の目標幅Wmを下回ることなく、且つ、この目標幅Wmに対して必要十分な余裕を確保していた。さらに、圧延板25の先端から尾端に亘る圧延板25の幅の誤差(以下、誤差幅△Wという)は、圧延製品として許容される誤差範囲内におさまる程度に十分小さい。すなわち、本実施例の圧延板25は、その先端から尾端に亘って均一な幅Wを有し、且つ、幅マイナスを起こしていない良好なものである。このような圧延材25は、コイル等の圧延製品として出荷可能である。
(比較例1)
つぎに、上述した実施例に対する比較例1について説明する。本比較例1では、ショートストローク制御に基づく金型100a,100bの幅圧下を1回とし、この時のショートストローク量△sを15[mm]とした。このショートストローク制御の条件以外は、上述した実施例と同じ条件として、被圧延材20に対する合計30パスの幅圧下工程を実施した。この結果、被圧延材20を187[mm]程度、幅殺しし、且つ、被圧延材20の先端20a側に、段差△aが15[mm]である1つの段差部を形成した。
その後、上述した実施例と同様に、本比較例1の被圧延材20を粗圧延加工および仕上圧延加工し、これによって、本比較例1の圧延板25を製造した。このように製造した比較例1の圧延板25の幅を、上述した実施例と同様の手法によって測定した。
図12は、本発明の実施例に対する比較例1の圧延板の幅測定結果の一例を示す図である。なお、図12に示す縦軸および横軸は、上述した実施例の場合(図11参照)と同様である。図12に示すように、本比較例1の圧延板25には、圧延板25の長手方向に対して急峻且つ過剰に幅Wが減少する狭幅部分が生じた。この狭幅部分の幅Wは、図12の破線領域に示されるように、圧延製品の目標幅Wmを大きく(具体的には10[mm]以上)下回っていた。すなわち、本比較例1の圧延板25は、圧延製品として許容される幅Wの誤差範囲を逸脱したものであり、且つ、急峻且つ過剰な幅マイナスを発生させていた。このような幅マイナスが発生した圧延材25は、圧延製品としての要求を満足しておらず、廃棄処分される。
(比較例2)
つぎに、上述した実施例に対する比較例2について説明する。本比較例2では、ショートストローク量△sを7.5[mm]とした。このショートストローク量△sの条件以外は、上述した実施例と同じ条件として、被圧延材20に対する合計30パスの幅圧下工程を実施した。この結果、被圧延材20を187[mm]程度、幅殺しし、且つ、被圧延材20の先端20a側に、段差△aが7.5[mm]である2つの段差部21a,21bを形成した。
その後、上述した実施例と同様に、本比較例2の被圧延材20を粗圧延加工および仕上圧延加工し、これによって、本比較例2の圧延板25を製造した。このように製造した比較例2の圧延板25の幅を、上述した実施例と同様の手法によって測定した。
図13は、本発明の実施例に対する比較例2の圧延板の幅測定結果の一例を示す図である。なお、図13に示す縦軸および横軸は、上述した実施例の場合(図11参照)と同様である。図13に示すように、本比較例2の圧延板25の幅Wは、圧延板25の先端から尾端に亘る全領域において、圧延製品の目標幅Wmを下回ることなく、且つ、この目標幅Wmに対して必要十分な余裕を確保していた。また、本比較例2の圧延板25の誤差幅△Wは、上述した実施例に比して大きいが、圧延製品として許容される誤差範囲内におさまる程度であった。すなわち、本比較例2の圧延板25は、その先端から尾端に亘って均一な幅Wを有し、且つ、幅マイナスを起こしていない。このような比較例2の圧延材25は、上述した実施例の場合と同様に、コイル等の圧延製品として出荷可能である。
(比較例3)
つぎに、上述した実施例に対する比較例3について説明する。本比較例3では、ショートストローク量△sを15[mm]とした。このショートストローク量△sの条件以外は、上述した実施例と同じ条件として、被圧延材20に対する合計30パスの幅圧下工程を実施した。この結果、被圧延材20を187[mm]程度、幅殺しし、且つ、被圧延材20の先端20a側に、段差△aが15[mm]である2つの段差部21a,21bを形成した。
その後、上述した実施例と同様に、本比較例3の被圧延材20を粗圧延加工および仕上圧延加工し、これによって、本比較例3の圧延板25を製造した。このように製造した比較例3の圧延板25の幅を、上述した実施例と同様の手法によって測定した。
図14は、本発明の実施例に対する比較例3の圧延板の幅測定結果の一例を示す図である。なお、図14に示す縦軸および横軸は、上述した実施例の場合(図11参照)と同様である。図14に示すように、本比較例3の圧延板25の幅Wは、圧延板25の先端から尾端に亘る全領域において、圧延製品の目標幅Wmを下回ることなく、且つ、この目標幅Wmに対して必要十分な余裕を確保していた。また、本比較例3の圧延板25の誤差幅△Wは、上述した実施例に比して大きいが、圧延製品として許容される誤差範囲内におさまる程度であった。なお、本比較例3の圧延板25には、図14の破線領域に示されるように、ショートストローク制御による幅圧下に起因する幅凹みが発生していた。しかし、この幅凹みは、圧延製品の目標幅Wmを下回るものではないため、幅マイナスを発生させない。すなわち、本比較例3の圧延板25は、その先端から尾端に亘って均一な幅Wを有し、且つ、幅マイナスを起こしていない。このような比較例3の圧延材25は、上述した実施例の場合と同様に、コイル等の圧延製品として出荷可能である。
ここで、上述した実施例と比較例2,3とを比較した結果、幅マイナスが発生することなく、圧延板25の誤差幅△Wが最小であり、さらには、幅凹み等の意図しない狭幅部分が発生していない実施例が最良であることが判った。すなわち、被圧延材20の先端20aがサイジングプレス装置13の出側に突出したことをトリガーとして、ショートストローク制御を開始し、ショートストローク量△sを10[mm]にしたショートストローク制御を2回、実施する。これによって、被圧延材20先端20a側に、被圧延材20の先端20aから尾端20bに向かって被圧延材20の幅W2が定常部22の幅W3まで段階的に減少する2つの段差部21a,21bを形成し、且つ、これら2つの段差部21a,21bを同じ段差△a=10[mm]とする。これが、圧延板25の誤差幅の低減と、これによる圧延板25の幅の均一化と、圧延板25における幅マイナスの防止とを実現する上で最も効果的である。
なお、本発明による作用効果は、上述した実施例または比較例2,3のみならず、被圧延材20の幅方向の縮小量(幅殺し量)が100[mm]以上である場合、または、圧延製品(圧延板、コイル等)の幅が1200[mm]以上である場合、同様に得られた。勿論、本発明による作用効果は、被圧延材20の幅殺し量が100[mm]未満であっても、または、圧延製品の幅が1200[mm]未満であっても、同様に得られる。
以上、説明したように、本発明の実施の形態では、被圧延材の先端がサイジングプレス装置内に位置する期間、この被圧延材の幅に対応してサイジングプレス装置の金型開度を調整しつつ、この被圧延材の幅プレスを行い、被圧延材の先端がサイジングプレス装置の出側に突出した期間、サイジングプレス装置の金型開度を変更して被圧延材の幅プレスを行って、被圧延材の先端側から尾端側に向かって被圧延材の幅が被圧延材の目標幅まで減少する複数の段差部を被圧延材に形成している。
このため、水平圧延加工による被圧延材の長手方向への材逃げが発生し易くなるに伴い、被圧延材の幅が段階的に増大している。これによって、水平圧延加工による被圧延材の長手方向への材逃げに起因して減少する幅と、水平圧延加工による被圧延材の幅方向への材逃げに起因して増加する幅との差を低減できる。この結果、被圧延材および仕上圧延加工後の圧延板に幅マイナスが生じることを防止でき、これによって、圧延製品の幅をその全長に亘って均一化できることから、圧延製品に要求される幅に対する製造後の圧延製品の幅精度を向上させることができる。
上述したような幅の均一化および圧延製品の幅精度の向上によって、幅マイナスに起因する不良品の発生率を低減でき、この結果、被圧延材の無駄な損失を抑制できるとともに、圧延製品の歩留まりを向上できる。例えば、従来技術に比して0.02[%]以上の圧延製品の歩留まり向上を見込める。
なお、上述した実施の形態では、被圧延材20の先端20a側に、2つの段差部21a,21bを有する幅広部21を形成していたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、被圧延材20の先端20a側から尾端20b側に向かって被圧延材20の幅W2が目標の幅W3に減少するまでの範囲内であれば、幅広部21内の段差数を3つ以上にしてもよい。
また、上述した実施の形態では、2つの段差部21a,21bを同一の段差△aにしていたが、これに限らず、被圧延材20に形成する複数の段差部の各段差は、同一でなくてもよく、例えば、各段差間において所定範囲内の差があってもよい。具体的には、段差部21aの段差△aに対し、その後段の段差部21bの段差を△a±5[mm]にしてもよい。
さらに、上述した実施の形態では、サイジングプレス装置13によるショートストローク量△sは演算処理部4によって算出されていたが、これに限らず、ショートストローク量△sは、一定の値(例えば、10[mm]等の好適な値)に固定してもよい。
また、上述した実施の形態では、5パス目および6パス目の各幅圧下工程においてショートストローク制御を行っていたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、ショートストローク制御は、サイジングプレス装置13の出側に被圧延材20の先端20aが突出したタイミングに開始し、幅プレス後の被圧延材20の幅が目標の幅W3に達するまで継続すればよい。
また、上述した実施の形態により本発明が限定されるものではなく、上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。例えば、被圧延材20は、鉄鋼材であってもよいし、銅またはアルミニウム等の鉄鋼材以外の金属材であってもよい。その他、上述した実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例および運用技術等は全て本発明に含まれる。
1 被圧延材幅制御装置
2 入力部
3 表示部
4 演算処理部
5 制御部
9 管理データベース
9a オーダー情報
10 熱間圧延ライン
11 加熱炉
12 搬送装置
12a 搬送ロール
13 サイジングプレス装置
14 粗圧延装置
14a 粗圧延機
14b エッジャーロール
15 仕上圧延装置
15a 仕上圧延機
16 コイラー
20 被圧延材
20a 先端
20b 尾端
21 幅広部
21a,21b 段差部
22 定常部
25 圧延板
100a,100b 金型
101a,101b 平行部
102a,102b 傾斜部
103a,103b 幅圧下装置

Claims (6)

  1. 被圧延材の幅方向の両側から前記被圧延材へ金型を押圧して前記被圧延材の幅プレスを行う幅プレス装置を用いて、前記被圧延材の幅を制御する被圧延材幅制御装置において、
    前記幅プレス毎の前記被圧延材の搬送量をもとに、前記被圧延材の先端が前記幅プレス装置の出側から突出したか否かを判断し、前記被圧延材の先端が前記幅プレス装置内に位置する期間、前記被圧延材の幅に対応して前記金型の開度を調整しつつ前記被圧延材の幅プレスを行い、幅プレス前の前記被圧延材の幅に比して小さく且つ幅プレス後の前記被圧延材の目標幅に比して大きい幅を有する幅広な先端を前記被圧延材に形成するように前記幅プレス装置を制御し、前記被圧延材の先端が前記幅プレス装置の出側に突出した期間、前記金型の開度を変更して前記被圧延材の幅プレスを行い、前記被圧延材の先端側から尾端側に向かって前記被圧延材の幅が前記幅広な先端の幅から前記目標幅まで減少する複数の段差部と、前記複数の段差部のうち前記目標幅を有する端部から前記被圧延材の尾端まで一定の幅として前記目標幅を有する定常部と前記被圧延材に形成するように、前記幅プレス装置を制御する制御部を備えたことを特徴とする被圧延材幅制御装置。
  2. 前記制御部は、2つの前記段差部を形成するように前記幅プレス装置を制御することを特徴とする請求項1に記載の被圧延材幅制御装置。
  3. 前記制御部は、複数の前記段差部の各段差が同一になるように前記幅プレス装置を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の被圧延材幅制御装置。
  4. 被圧延材の幅方向の両側から前記被圧延材へ金型を押圧して前記被圧延材の幅プレスを行う幅プレス装置を用いて、前記被圧延材の幅を制御する被圧延材幅制御方法において、
    前記被圧延材の先端が前記幅プレス装置内に位置する期間、前記被圧延材の幅に対応して前記金型の開度を調整しつつ前記被圧延材の幅プレスを行い、幅プレス前の前記被圧延材の幅に比して小さく且つ幅プレス後の前記被圧延材の目標幅に比して大きい幅を有する幅広な先端を前記被圧延材に形成し、
    前記被圧延材の先端が前記幅プレス装置の出側に突出した期間、前記金型の開度を変更して前記被圧延材の幅プレスを行い、前記被圧延材の先端側から尾端側に向かって前記被圧延材の幅が前記幅広な先端の幅から前記目標幅まで減少する複数の段差部と、前記複数の段差部のうち前記目標幅を有する端部から前記被圧延材の尾端まで一定の幅として前記目標幅を有する定常部とを前記被圧延材に形成することを特徴とする被圧延材幅制御方法。
  5. 前記被圧延材に2つの前記段差部を形成することを特徴とする請求項4に記載の被圧延材幅制御方法。
  6. 複数の前記段差部の各段差を同一にすることを特徴とする請求項4または5に記載の被圧延材幅制御方法。
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