以下、第一の実施形態について、実施例を用い図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、配水運用制御装置101の構成例を示す図である。
配水運用制御装置101は、水理解析計算部141と、解析条件記憶部142と、圧力制御則記憶部143と、配水計画記憶部144と、操作量計算部151と、急変補正データ計算部152と、急変判定部154と、急変時操作量計算部155と、配水計画立案部161と、水理解析サンプル部162と、水理解析サンプル記憶部163と、水理解析近似部164と、需要予測部165と、運用条件記憶部166と、データ収集部171と、伝送部172と、を有する。
配水運用制御装置101が制御する対象は、配水所Aおよび配水所Bである。本実施例では配水所のみを制御対象としているが、例えばバルブやブースターポンプ、高架タンク等を有する施設を配水運用制御装置の制御対象に含む配水管網においては、前記施設を含めて配水施設と呼ぶ。その場合、必要に応じて配水施設も配水所とみなして後述の計画立案および制御の対象として扱うことができる。
配水管網111へと配水所A、配水所Bの2つの配水所から配水が行われており、配水管網111内の状態を監視するためにリモートセンサ112、リモートセンサ113が設置されている。
配水所Aは配水池121、制御装置122、配水ポンプ設備123、センサ124とから構成されている。配水所Bは配水池131、制御装置132、配水ポンプ設備133、センサ134とから構成されている。簡単化のため各配水所の配水池へ浄水を供給する浄水場等は記載していない。実際には各配水所は浄水場に併設されている、あるいは浄水場から送水管を経由して浄水を受水する等により、浄水の供給を受けている。
各配水所の制御装置や各リモートセンサは、通信ネットワークを介して配水運用制御装置101に接続されている。各配水所のセンサや各リモートセンサは、計測したセンサデータを配水運用制御装置101のデータ収集部171へと送信する。また、配水運用制御装置101の伝送部172から各配水所へとポンプやバルブを制御する指示値が送信される。
水理解析計算部141は、操作量計算部151、操作量計算部151、急変補正データ計算部152のいずれかから解析条件データを受信し入力として、解析条件記憶部142に記録された配水管網111のモデル等の情報と、配水管網111の需要量の情報として水理解析サンプル部162の出力する設定需要量あるいは操作量計算部151が構成する制御時点推定需要量と、操作量計算部151、操作量計算部151、急変補正データ計算部152のいずれかから受信した計算条件を用いて、水道の配水管網の水理計算を行う処理により、出力として配水管網の節点における圧力と、配水管網の管路の流量と、配水池の水位変化の推定値を算出してデータ送信元の操作量計算部151、操作量計算部151あるいは急変補正データ計算部152に送信する。
以下、配水管網の節点における圧力と、配水管網の管路の流量と、配水池の水位変化とを、配水管網の状態と呼ぶこととする。水理計算は公知の技術であるため詳細は省略する。
解析条件記憶部142は、水理解析計算部141の入力となる配水管網111のモデルとして、配水管網を構成する管路の接続関係と、各管路の口径、長さ、流速係数と、需要量の空間的な分布等からなる配水管網モデルを構築し、水理解析の条件として記憶しておく。また、設置されたポンプ能力に起因する配水所の制御可能範囲に関する情報を記憶しておく。制御可能範囲については図6の説明にて後述する。
圧力制御則記憶部143は、配水運用制御装置101による配水管網の圧力の制御に関する制御則に関する情報を記録している。例えば、配水所の制御モードの設定方法、配水管網中での制御ポイントの選択方法等を記録している。
配水所の制御モードとは、配水計画値を目標として配水量を制御する流量制御モードと、配水管網111内の圧力分布を適正化するように吐出圧力を制御する圧力制御モードからなる。
図1の配水管網111のように複数の配水所から押合いで配水を行う配水系の場合、一つの配水所を圧力制御モードとし、残りの配水所を流量制御モードとする。圧力制御モードで制御されている配水所を圧力制御配水所、流量制御モードで制御されている配水所を流量制御配水所と呼ぶ。配水管網中にバルブやブースターポンプを有する施設が設置されており、そうした施設も配水運用制御装置101の制御対象の配水施設として扱う場合には、圧力制御モードとする配水所を一つではなく複数設定することが適当なケースもある。
制御ポイントの選択方法については、図7の説明にて後述する。
操作量計算部151及び水理解析サンプル部162は、圧力制御則記憶部143に記録された同一の圧力制御則の情報に基づいて、各配水所の制御装置に送信する操作量の決定や、配水計画立案部161が利用する水理解析結果の近似の計算に利用する。
需要予測部165と、配水計画立案部161とは、配水計画を立案する機能を担う。
配水計画とは、その立案時点より所定(例えば1日後まで)の期間(以下、計画立案期間と呼ぶ)にわたって、需要量の予測に基づき、各配水所が分担する配水量(以下、分担配水量)とを定めた計画である。配水計画については図4の説明とともに後述する。
高架タンクを含む配水管網においては、分担配水量の計画だけでなく、高架タンクの水位も合わせて計画で定める必要がある。
配水計画の立案は、例えば30分毎に周期的に行い、需要予測量や、配水池水位の変化、配水所の分担配水量などを当該時点で得られる最新の情報を反映して更新する。
定期的な更新によって、需要量の当初の予測からのずれにより乗じる計画とシステム状態の偏差、例えば配水池水位の偏差や、各配水所の分担配水量の1日累積値の偏差等を是正するよう運用制御していくことができる。
分担配水量とは、配水管網111の需要量を分担して供給するように、配水所A、配水所Bのそれぞれが配水する流量とする。配水計画の立案に際して、配水管網の状態を定めるのに必要な量を合わせて配水状態と呼ぶことにする。具体的には、各配水所の分担配水量ないしは流量制御バルブの流量と、高架タンクを含む配水管網においては高架タンクの水位が配水状態を構成する量となる。もしオン・オフ制御を行うブースターポンプが配水管網中にあれば、その当該ブースターポンプのオン・オフ状態も配水状態に含めることが望ましい。本実施例では、配水状態は、配水所Aの配水量と、配水所Bの配水量から構成される。
需要予測部165は、過去及び現時点の実績配水量のデータを入力とし、例えば過去の実績配水量データを用いて、過去及び現時点の配水量から将来の需要量を予測する回帰式を構成して、前記回帰式に必要な実績配水量のデータを代入する処理を行い、計画立案期間の配水管網における需要量の予測、即ち30分から1時間平均の需要予測量を出力して、配水計画立案部161へと送信する。なお、全配水所からの配水量の総和は配水管網における総需要量に一致するため、需要予測部165では実績配水量データを実績需要量データと考えて取り扱う。需要予測を行う処理は公知の技術を利用できるため詳細は省略する。
需要予測は配水管網全体での需要量を予測するだけでなく、配水管網を需要特性等に応じて適切な区域へと分割し、各区域の需要量を予測することが望ましい。例えば住宅の多い地域や商業需要家の多い地域では水需要の利用パターンが異なるため、区域毎に需要量を予測することで、後述する水理解析計算の精度を向上できる。
配水計画立案部161は、需要予測部165で計算した需要予測量と、運用条件記憶部166に記憶された配水計画の満たすべき条件と配水計画の評価関数とを入力とし、計画立案期間における配水所の運用計画である配水計画を出力する。出力である分担配水量の計画については、図4の説明にて配水計画記憶部144の記録内容とともに後述する。
配水運用制御装置101の制御対象とする配水系に高架タンクがある場合、高架タンクの水位及びその流入出量も計画の対象に含められる。
配水計画立案部161の処理では、計画立案期間の各時刻の分担配水量を決定変数とし、運用条件記憶部166に記録された評価関数を最小化する最適化問題として記述し、例えば遺伝的アルゴリズム等の最適化技術を用いて、運用条件記憶部166に記録された配水計画の満たすべき条件の範囲内で決定変数を変化させて探索し、前記最適化問題を求解することで、出力の配水計画を最適解として得る。
運用条件記憶部166に記憶しておく評価関数としては、例えば、全配水所のポンプ消費電力量の総和など、配水管網の状態から計算できる指標値を加算した関数を用いることができる。
最適化問題としての記述やその解法については、様々な公知の技術を採用できるため詳細は省略する。
配水計画立案部161は、評価関数の値の計算に際して、配水計画の候補を取り上げ、後述する水理解析近似部164に対して当該配水計画を入力として与えて水理解析の近似計算を行い、水理解析近似部164の出力より配水計画の立案に必要な配水管網の状態の推定値を取得し、当該状態の推定値を利用して評価関数の値を計算する。
配水計画立案部161は配水状態の時系列を定めるものであるが、評価関数の値は、各時刻における配水管網の状態から計算される。例えばポンプ消費電力量は、計画期間中の各時刻における配水所の消費電力を積分(総和をとる)することで評価できる。各時刻における配水管網の状態は、適切な情報を与えれば必ずしも時系列で水理解析計算部141によりシミュレーションを行う必要はなく、時刻毎に独立に計算することができる。配水管網111の例では、需要量と配水所Aの配水量および配水所Bの配水量を定めれば、圧力制御則記憶部143に記憶された条件で制御を行う場合の各配水所の吐出圧力、配水管網内の各ポイントの圧力等は定まる。
このように時刻毎に独立に配水管網の状態を推定できることを前提として、後述する水理解析サンプル部162、水理解析サンプル記憶部163、水理解析近似部164は、各時刻における配水管網の状態を毎回水理解析計算部141による計算を行うことなく近似する役割を担う。また時刻毎に独立して評価を行うことに加えて、計算時間の長い水理解析計算部141の処理を配水計画立案部161の処理と独立して水理解析サンプル部162で実行することによって、配水計画立案部161の計算時間を短縮することができる。
なお、配水計画立案部161による評価関数値の計算は、必ずしも水理解析近似部164を通してのみ行う必要はなく、少数回数のみの評価であれば水理解析計算部141が、より精緻な評価関数値の計算を行うこととしてもよい。少数の回数であれば配水計画立案の計算時間に大きく影響を与えることなく、評価関数値の計算を精緻化することができる。例えば、最適化計算がほぼ最適解に収束したと判定されたときに、配水計画立案部161は以降の評価関数値の計算に際して、水理解析近似部164ではなく水理解析計算部141に解析条件データを送信し、水理解析計算部141から水理解析結果を受信し、その水理解析結果に基づいて評価関数値を計算するよう変更することで、より精緻な評価指標に基づく最適解を得ることとしてもよい。
配水計画記憶部144は、配水計画立案部161で計算された配水計画を記憶し、各配水所への制御指令の目標値として操作量計算部151に提供する。
運用条件記憶部166には、先述の通り、配水計画の満たすべき条件と配水計画の評価関数とを記録しておく。配水計画の満たすべき条件については、図5の説明にて補足する。
水理解析サンプル部162は、圧力制御則記憶部143に定められた圧力制御則の情報を入力として、配水計画立案部161で評価が求められる配水状態について水理解析近似部164が水理解析の結果を近似できるよう、図13および図14の説明で後述するように水理解析結果のサンプリング処理を行い、そのサンプリング結果を出力として水理解析サンプル記憶部163に記録する。
水理解析サンプル部162は、配水計画立案部161による配水計画の立案プロセスと独立して実行することができる。解析条件記憶部142および圧力制御則記憶部143の情報に更新があれば、随時処理を行って水理解析サンプル記憶部163のデータを更新する。
水理解析サンプル記憶部163は、水理解析サンプル部162の出力である水理解析計算のサンプリング結果を記録し、水理解析近似部164に情報を提供する。記録内容については、図13、図14および図15の説明で後述する。
水理解析近似部164は、配水計画立案部161からの配水状態の情報と、水理解析サンプル記憶部163に記録された水理解析の計算結果を入力とし、与えられた配水状態の近傍の水理解析サンプル結果を抽出し、前記サンプル結果を数値的に補間する処理を行なうことで、与えられた配水状態における水理解析の計算結果の近似値を出力して配水計画立案部161へと送信する。
水理解析近似部164の処理の詳細は、図16の説明で後述する。
操作量計算部151、急変補正データ計算部152、急変時操作量計算部155および急変判定部154は、配水計画と収集されたデータに基づいて各配水所への制御指令を計算する機能を担う。
制御指令(操作量)の計算と配水所への伝送は、データ収集部171が新たなデータを収集する周期に基づいて、その収集周期と同等から数倍の周期で行う。例えば各配水所やリモートセンサからのデータが1分周期で収集できる場合、制御指令の計算は1分から5分程度の範囲内の周期で行う。
制御周期は、図10および図12で説明するように需要量の変化が通常範囲内か急激かを急変判定部154が判定し、判定に基づいて前記の範囲内で変更する。
操作量計算部151は、配水計画記憶部144に記録された配水計画と、データ収集部171から受信した制御時点のセンサ計測値とを入力とし、補正済み配水計画に追従しつつ配水管網111内の配水圧力を適正範囲内に保つような制御対象の各配水施設の制御モードおよび制御目標値からなる制御指令(操作量)を出力し、伝送部172を経由して各配水施設の制御装置へと送信する。
配水所の制御装置、例えば制御装置132は、制御指令を伝送部172より受信し、制御指令に指定された制御モードと制御目標値に追従するようポンプ設備を制御する。制御装置132によるポンプ設備の制御については図3の説明にて後述する。
この実施例における操作量とは、圧力制御配水所の吐出圧力、流量制御配水所の吐出流量である。配水所だけでなく、二次圧制御バルブを有する配水管網では、二次圧制御バルブの二次圧を圧力制御配水所の吐出圧力に相当するとし操作量として扱うことができる。また、流量制御バルブを有する配水管網では、流量制御バルブの流量を流量制御配水所の吐出流量に相当するとし、操作量として扱うことができる。
制御モードの決定方法は、圧力制御則記憶部143に記録された任意の手法を用いることができる。例えば、ある配水所を圧力制御モード、その他の配水所を流量制御モードで固定することができる。また、制御時点の制御ポイントの位置に応じて、定められた配水所を圧力制御モードとして選択することなどが考えられる。
制御指令の計算処理には、例えば以下の技術を利用できる。例えば、流量制御モードの配水所は配水計画値通りに配水するよう固定し、求めたい操作量である圧力制御モードの配水所の吐出圧力を決定変数として探索の対象とする。両制御モードの配水所の運転方法を入力として、水理解析計算部141が出力した水理解析計算結果から求められる後述の目的関数値を最小化するように決定変数を定める。
目的関数には、後述する制御ポイントにおける水理解析計算部141で計算された圧力値の、予め設定した適正範囲からの逸脱量などを選ぶことができる。最適な決定変数を探索する手法には、例えば山登りシンプレックス法などの公知の最適化手法を適用できる。
なお管網内圧力の良好な制御性能を得るために、収集したセンサデータを用いて当該時刻での需要量を計算して水理解析計算部141への入力とし、需要予測部165からの予測値に代える。
需要急変と判定されていない場合、操作量計算部151は5分の周期(以下、通常時制御周期と呼ぶ)で実行し、配水管網の状態に応じた適切な操作量を定めるように用いる。5分の周期で日常的な需要量の変化には対応できる。周期を長く取ることで操作量の変更回数が少なくなり、配水所の制御装置の制御処理が簡単化される。
急変補正データ計算部152は、操作量計算部151で定められた操作量を入力とし、水理解析計算部141が出力した結果を用いた処理により、補正データ153として需要量の急変を判定する配水量の閾値と、急変時に操作量を計算する補正式を出力する。
前記補正式は、当該操作量で配水施設を制御している際に、前記閾値に基づいて急変判定部154が需要量の急激な変化(以下、急変と呼ぶ)を判定した場合に、急変時操作量計算部155が操作量を計算する際に利用する補正式である。
急変補正データ計算部152の処理の詳細は、図9の説明で後述する。
補正データ153は、急変補正データ計算部152で計算されるデータであり、急変を判定する圧力制御配水所の配水量の閾値と、需要急変時に急変時操作量計算部155で操作量すなわち圧力制御配水所の吐出圧力を補正するときに利用される補正式とからなる。
補正データ153の詳細は、図9および図11の説明と合わせて後述する。
急変時操作量計算部155は、補正データ153と、急変判定部154を介してデータ収集部171に集められた情報とを入力とし、配水管網内の圧力を適切に維持する操作量を出力する。急変時操作量計算部155の出力する操作量は、操作量計算部151の出力する操作量を上書きして伝送部172を介して各配水所の制御装置へと送信される。
急変時操作量計算部155の処理の詳細は、図11の説明で後述する。
この実施例における急変時操作量計算部155が計算する操作量とは、圧力制御配水所の吐出圧力である。前述したとおり、二次圧制御バルブの二次圧も同様に操作量として扱うことができる。
需要急変と判定されて急変時操作量計算部155で操作量を計算する場合、データ収集部171からのデータ収集周期に合わせて、制御周期は例えば1分に短縮する(以下、急変時制御周期と呼ぶ)。急変時操作量計算部155は、補正式に基づいて操作量を計算するため計算速度は十分に早く、需要急変と判定されればただちに操作量を計算し、配水所の制御に適用することができる。
急変判定部154は、補正データ153と、データ収集部171からのセンサ情報を受信し、需要量の急変を判定する処理を行い、判定結果に従って操作量計算部151および急変時操作量計算部155へとセンサ情報データを操作量計算条件として送信する。また、急変時には、補正データ153を更新するようセンサ情報データを補正データ更新条件として操作量計算部151に送信する。
急変判定部154は、データ収集部171より判定に必要な情報、即ち圧力制御配水所の配水量のデータが収集される度、例えば1分毎に需要急変の判定を行う。
急変判定部154の処理の詳細は、図12の説明で後述する。
データ収集部171は、各配水所、各リモートセンサからセンサ情報およびその他の伝送情報として配水管網111の状態を収集する。
図2を参照して、配水運用制御装置のハードウェア構成を説明する。図2において、配水運用制御装置101は、CPU201と、メモリ202と、メディア入出力部203と、入力部205と、通信制御部204と、表示部206と、周辺機器IF部207と、バス210とから構成されている。
CPU201は、メモリ202上のプログラムを実行する。メモリ202は、プログラム、テーブル等を一時記憶する。メディア入出力部203は、プログラム、テーブル等を保持する。入力部205は、キーボード、マウス等である。通信制御部204は、ネットワーク220と接続されている。表示部206は、図1の説明のディスプレイである。周辺機器IF部207は、プリンタ等のインタフェースである。バス210は、CPU201、メモリ202、メディア入出力部203、入力部205、通信制御部204、表示部206、周辺機器IF部207を相互接続する。
図1と図2との対比から明らかなように、図1の配水運用制御装置101は、CPU201がプログラムを実行することで実現している。
各配水所の制御装置、例えば制御装置132も配水運用制御装置101と同様のハードウェア構成を有する。
図3は、第一の実施形態における配水所Bの機器及び制御装置の構成図である。配水ポンプ設備133は、ポンプ1801、ポンプ1802、及び各ポンプの吐出口に設置された吐出弁1811、吐出弁1812の各設備から構成されている。
ポンプ1801およびポンプ1802はインバータが設置されており、制御装置132から受信する制御信号に従ってポンプ回転数を変化させることができる可変速ポンプである。また各吐出弁は制御装置132から受信する制御信号に従って開度を変更することができる。
伝送信号340は配水運用制御装置101の伝送部172から送信された信号で、当該配水所の制御モード(圧力制御または流量制御のいずれか)および当該制御モードでの目標値(圧力目標値または流量目標値)からなる。
制御装置132は、伝送信号340及びセンサ134の計測値を入力とし、伝送信号340の指定する制御モードの制御部を用いて、伝送信号340の指定する制御目標値に追従するよう配水ポンプ設備133の各設備の制御信号を出力する。
制御モード切替部330は、伝送信号340を入力とし、伝送信号340の制御モード情報を読込み、制御モード情報が圧力制御モードあるいは流量制御モードのいずれかにあるかに対応して、それぞれ圧力制御部331あるいは流量制御部332を有効化する制御部として選択し、有効化する制御部へと伝送信号340の制御目標値を送信する。
センサ134は、配水所Bの吐出圧力及び吐出流量(配水流量)を計測して制御装置132に送信する。
台数増減条件記憶部365は、ポンプ運転台数を変化させて制御を行っている配水所において、ポンプ運転台数を切り替える条件を記憶している。具体的には、配水所に設置されたポンプの台数と各ポンプの能力特性と、ポンプ運転台数ごとの運転状態範囲と、ポンプ運転台数を増減する条件の情報を記憶している。ポンプ運転台数の増減条件については図8の説明で後述する。
圧力制御部331は、伝送信号340の吐出圧力制御目標値と、センサ134の計測値を入力とし、前記吐出圧力制御目標値および前記計測値が台数増減条件記憶部1865に記録されたポンプ台数増減条件に該当するか判定する処理を行い、また前記計測値の吐出圧力を前記制御目標値に追従させるよう構成されたPI制御ロジックによって可変速ポンプの回転数および吐出弁の開度を計算処理し、前記台数増減条件に該当する場合は起動あるいは停止させるポンプの起動あるいは停止指令を出力し、また前記可変速ポンプの回転数および吐出弁の開度を出力して、伝送部1850を経由して配水ポンプ設備133へ送信し各設備の運転状態を変更する。
流量制御部332は、伝送信号340の吐出流量制御目標値と、センサ134の計測値を入力とし、前記吐出流量制御目標値および前記計測値が台数増減条件記憶部1865に記録されたポンプ台数増減条件に該当するか判定する処理を行い、また前記計測値の吐出流量を前記制御目標値に追従させるよう構成されたPI制御ロジックによって可変速ポンプの回転数および吐出弁の開度を計算処理し、前記台数増減条件に該当する場合は起動あるいは停止させるポンプの起動あるいは停止指令を出力し、また前記可変速ポンプの回転数および吐出弁の開度を出力して、伝送部1850を経由して配水ポンプ設備133へ送信し各設備の運転状態を変更する。
図4は、配水計画記憶部144に記録される配水計画を示すテーブルである。例として、3月13日の0:00から3月14日0:00までの24時間を30分間隔の区分にわけ、各時刻について各配水所の分担配水量と、制御ポイントを定めている。
日付情報401および時刻情報402の定める日時に対して、予測された需要量を示す需要量情報403に、各配水所の分担配水量を配水所A配水量情報404、配水所B配水量情報405にて与えている。また、図7で後述する制御ポイントを制御ポイント情報406に示している。
図5は、運用条件記憶部166に保持されている運用条件記憶部に記録される配水所の累積配水量の上下限値を示すテーブルである。各配水所に関して1日の累積配水量の共用できる上下限値(最小値と最大値)の情報からなる。
各時刻の配水量は後述の図6で示す施設能力が満たすべき条件となるが、図5のテーブルは1日の分担配水量の累積量に対する制約条件を与える。例えば他の水道事業者からの給水を受けている配水所は、各時刻においては施設能力の範囲内で配水量を変化させることができるが、他事業者との契約のために1日の累積量での配水量を大きく変化させることが難しい。
配水計画立案部161ではこのテーブルの条件を満たす範囲内で配水計画の候補探索することで、前記契約の順守に寄与できる。
図6は、解析条件記憶部142に記録されるポンプ能力に起因した配水所における流量と全揚程の制御可能範囲を示す図である。図3に示した配水所Bを例にとって説明する。グラフの制御可能領域601に網掛けで示した領域は、ポンプ運転台数と可変速ポンプの回転数変更により制御が可能な配水量と全揚程(吐出圧力)の領域を示す。
領域左下の曲線は可変速ポンプ1台を最小回転数で運転したときのポンプ能力(性能)特性、領域右上の曲線は全ポンプ(可変速ポンプ2台)を最大回転数で運転したときの並列ポンプ能力特性となっている。
解析条件記憶部142は各配水所について制御可能範囲の情報を保持している。水理解析計算部141では、配水所の運転状態の制御可能範囲からの逸脱を評価し、逸脱の有無を解析条件データの送信元へ送信する。
図7は、圧力制御則記憶部143に選択方法が記録される、配水管網での制御ポイントの選択を説明する図である。配水の制御では管網全体で圧力を適正範囲内に納めることが求められるが、特に圧力の低下するポイントを最低限度必要な圧力以上に保つことが求められる。そこで、計画期間中の各時刻において、配水管網中で圧力を重点的に管理する地点を制御ポイントとして抽出する。例えば水理解析計算部141の計算結果から、最も圧力が低い一つの節点を制御ポイントとして選択する。
需要量の多い時間帯は、管摩擦による圧力損失の影響を受け、配水所から地理的に遠い地点で圧力が低下する。一方、需要量の少ない時間帯は、配水所の吐出圧力を下げるため、配水所からの地理的距離に依らず標高の高い地点で圧力が低下する。
各時刻で圧力低下ポイントを抽出することで、前記圧力低下ポイントの時間による変化を捉えられる。
制御ポイントは、水理解析の全節点から抽出してもよく、あるいは制御ポイント候補701、制御ポイント候補702、制御ポイント候補703のように候補を限定しておき、候補の中で圧力低下ポイントを選ぶこととしてもよい。
制御ポイントの候補は必ずしもリモートセンサの設置位置でなくとも構わない。水理解析計算を用いることで、リモートセンサの設置されていない位置を制御ポイントとすることができる。ただしリモートセンサが一切不要というわけではなく、水理解析計算の精度向上や制御性能の向上のためにリモートセンサの値を利用することが重要である。
図8は、配水所のポンプ運転台数の増減条件を示す図である。これらの条件は制御装置132の台数増減条件記憶部1865等に記憶されている。
図8(a)は、吐出圧力に依らず、吐出流量(配水量)が閾値をまたいで変化することを判定条件とした台数増減条件である。図中、例えば「1台→2台」と記載した流量閾値をまたいで吐出流量が増加するとき、配水所の制御装置はポンプ台数を1台から2台へ増加させるよう、停止中のポンプ1台を起動させる。また例えば「2台→1台」と記載した流量閾値をまたいで吐出流量が減少するとき、配水所の制御装置はポンプ台数を2台から1台へ減少させるよう、稼働中のポンプ1台を停止させる。
運転台数を増加させる条件と、減少させる条件が一致せず、余裕が設けてあるのは、運転状態が増減条件付近で細かく変動をする際に頻繁なポンプの起動・停止を防止するためである。例えば条件(a)において「1台→2台」の流量閾値は、「2台→1台」の流量閾値よりも大きく設定されている。
なお図8は全て同型のポンプを有する配水所の増減条件の例である。異なる能力を持つポンプを組合せて有する配水所の増減条件はより複雑なものとなるものの、増減条件が吐出流量(配水量)や吐出圧力により定められる点は変わらない。
制御装置132は台数増減条件を参照し、吐出流量や吐出圧力などの運転状態の変化が条件を満たすかを判定することで配水所内のポンプの起動・停止操作を行う。また配水運用制御装置101の水理解析サンプル部162は、同様の台数増減条件を参照して配水所ポンプの運転台数を計算し、各配水所のポンプ消費電力の推定に利用する。
図9は、急変補正データ計算部152の処理で計算される、配水量が変化する際の、制御ポイントの圧力の変化と、制御ポイントの圧力を一定に保つために必要な圧力制御配水所の吐出圧の変化を表すテーブルである。圧力制御配水所の候補と、制御ポイントの候補はそれぞれ複数存在するが、急変補正データ計算部152では、操作量計算部151が選択した一つの圧力制御配水所と一つの制御ポイントを対象としてテーブルを構築する。
急変補正データ計算部152の処理では、操作量計算部151の出力する操作量の状態を基準として、需要量を基準の状態から変化させた状態を水理解析計算部141に送信し、水理解析計算部141から受信した水理解析計算結果での制御ポイントの圧力の基準からの変化量を計算する。
また、同じく需要量を基準から変化させた上で、それぞれの需要量変化に対して吐出圧力を様々に変化させた状態を水理解析計算部141に送信し、需要量変化の条件ごとに、水理解析計算部141から受信した水理解析結果において制御ポイントの圧力を基準と同等に保つことができている吐出圧力の設定を選択し、圧力制御配水所の吐出圧の基準からの変化量を計算する。
図9は、種別情報901は、基準から需要量を増加あるいは減少させたかの種別であり、圧力制御配水所の配水量を配水量情報902に、制御ポイントの圧力の変化量を制御ポイント圧力変化量情報903に、制御ポイント圧力を保つために必要な吐出圧変化量を必要吐出圧変化量情報904に示すテーブルである。
これらの結果から、急変補正データ計算部152は例えば以下のように補正データ153を計算する。テーブルの情報に、以下の2つの式が最もよくフィットするように最小二乗法などを用いて係数k、n、kc、ncを定める。
Hd−H0=k×(Qd^n−Q0^n)
Hc−Hc0=―kc×(Qd^nc−Q0^nc)
ただし、
Qd:配水量情報902の値、
Hd―H0:必要吐出圧変化量情報904の値、
Hc―Hc0:制御ポイント圧力変化量情報903の値、
Q0:基準の配水量、
H0:基準の吐出圧力
Hc0:基準の制御ポイントの圧力
である。また、x^yはxのy乗を表す。
その上で、制御ポイントの圧力変化の許容範囲が±3mであったとすると、需要急変を判定する配水量の閾値を以下の式で定める。
―3=―kc×(QdH^nc―Q0^nc)
+3=―kc×(QdL^nc―Q0^nc)
ただし、
QdL:需要急変の判定閾値(下限)、
QdH:需要急変の判定閾値(上限)
である。
補正データ153は、必要吐出圧の変化を表す補正計算式、
Hd=(H0―k×Q0^n)+k×Qd^n (式1)
と、需要急変の判定閾値QdL、QdHで構成する。補正式を定める係数のうち、配水量の乗数であるnも可変として補正データ計算時の水理解析計算から定めている。
式1のように配水量の累乗に比例する項と定数項の和で吐出圧を計算する手法は、推定末端圧一定制御方式と呼ばれる。ここで述べた補正式は、推定末端圧一定制御に基づく補正式となっており、そのパラメータを水理解析計算の結果から導出する手法である。
補正データ153の構成方法は、この例に限定されるものではない。例えば、需要急変の判定閾値は、基準から±2%というように固定的に定めてもよい。また吐出圧の補正計算式や、その係数導出方法は、別の手法を用いても良い。
図10は、需要量が急変する際の配水運用制御装置による操作量の計算タイミングを示す図である。
圧力制御配水所の配水量の変化が、補正データ153の需要急変の判定閾値の間(図中網掛け部分)に収まる場合、急変判定部154は需要変化を通常と判定し、5分の通常時制御周期で操作量計算部151による操作量の送信を行う。
配水量の変化が判定閾値の間から外れた場合、制御ポイントの圧力が許容範囲を超えて変化すると予想されるため、急変判定部154は需要が急変していると判定する。需要急変と判定された場合、急変時操作量計算部155が補正データ153の補正計算式を用いて操作量を計算し、その操作量が各配水所に伝送される。急変時操作量計算部155による操作量の計算は、1分の急変時制御周期毎に行い、配水所へ伝送される。さらに、操作量計算部151および急変補正データ計算部も通常時制御周期(5分)より短い周期(例えば3分、以下更新周期と呼ぶ)で急変判定部154より補正データ計算条件を受信し、補正データ153を更新する。
需要の変化が補正データ153の判定閾値の間で推移を続けると、需要の急激な変化が収まり、急変判定部154が需要急変は終了と判定し、通常の操作量計算部151による制御へと復帰する。
急変判定部154による判定と操作量の計算については、図12の説明でも後述する。
図11は、急変時操作量計算部155による吐出圧力の算出方法を示す図である。補正データ153の補正計算式は、基準の操作量を通る曲線として、推定末端圧一定制御方式により式1であらわされている。急変時操作量計算部155は、配水流量の計測値を代入して補正計算式から急変時の操作量(吐出圧)を計算する。
この式は配水量の計測値から瞬時に計算することができるため、迅速にポンプ施設の制御目標値を修正できる。ただし、配水流量の変化が大きくなると、より精緻な制御を実現する操作量計算部151による計算値とはずれが生じる。そのため、操作量計算部151および急変補正データ計算部152を定期的に実行して補正データ153の更新を行う。この補正データ153の更新処理については、図12の説明にて後述する。
図12は、急変判定部154による操作量決定のフローチャートを示す図である。データ収集部171で1分毎にセンサデータが収集される度に、急変判定部154は図12のフローチャートに従って操作量の計算を統括する。
ステップ1202では、前時刻の需要急変の判定を参照して処理を切り替える。通常モードであった場合、ステップ1203に、急変モードであった場合、ステップ1205に進む。
ステップ1203では、データ収集部171からの配水量計測値が補正データ153の判定閾値の間にあるかどうかを判定する。閾値の間にあれば通常と判定し、ステップ1211へ、閾値の間を逸脱していれば急変と判定し、ステップ1204へと進む。
ステップ1204では、現時刻は需要の急変に入ったとし、モードを移行してステップ1205に進む。
ステップ1205では、急変時操作量計算部155が、補正データ153の補正計算式および配水量計測値を用いて操作量を計算する。
ステップ1206では、急変時操作量計算部155で計算された操作量を伝送部172経由で各配水所の制御装置へ送信する。送信は、毎センサデータ収集周期の毎、即ち急変時制御周期毎に行われる。
ステップ1207では、配水量計測値が補正データ153の判定閾値の間に、操作量計算部151の通常制御周期(5分)以上、継続してあるかどうかを判定する。継続的に閾値内であった場合は通常へ復帰と判定し、ステップ1210へ進む。そうでない場合は急変継続と判定し、ステップ1208へ進む。
ステップ1208では、操作量計算部151および急変補正データ計算部152による補正データ153の最後の更新から、更新周期(3分)が経過したかどうかを判定する。経過した場合は該当と判定し、ステップ1209へと進む。経過していない場合は非該当と判定し、ステップ1214へ進んで処理を終了する。
ステップ1209では、操作量計算部151および急変補正データ計算部152が、補正データ153の更新を行い、ステップ1214へ進んで処理を終了する。
ステップ1211では、操作量計算部151による操作量の最後の計算から、通常時制御周期(5分)が経過したかどうかを判定する。経過した場合は該当と判定し、ステップ1212へと進む。経過していない場合は非該当と判定し、ステップ1213へ進む。
ステップ1212では、操作量計算部151および急変補正データ計算部152が操作量の計算と、補正データ153の更新を行い、ステップ1213へ進む。
ステップ1213では、操作量計算部151で計算された操作量を伝送部172経由で各配水所の制御装置へ送信し、ステップ1214へ進んで処理を終了する。
急変補正データ計算部152、急変時操作量計算部155および急変判定部154の処理により、需要の急激な変化を判定し、高速な演算が可能な補正手法で迅速に操作量を変更することで、配水管網中の圧力の変動を抑制できる。また、操作量計算部151による水理解析計算を用いた精緻な操作量の計算も、通常の5分からより短い3分の計算周期(更新周期)へと短縮し補正手法の計算式を更新することで、需要量の大規模な変化にも精緻に追従して配水管網内の圧力を制御できる。
図13は、水理解析サンプル記憶部163に記録される水理解析サンプルの流量配分の配置を示す図である。
水理解析サンプル部162は、配水計画立案部161で決定変数として設定しうる配水状態の範囲を、後述する水理解析近似部164での近似が十分な精度、例えば2%以内、を持つように、当該配水状態の範囲を一定間隔の点で覆うよう、サンプリングを行う配水状態を決定する。具体的には、装置調整者が配水運用制御装置101の試運転時に精度の評価を行って適切に間隔を定めればよい。
図13は、配水所Aおよび配水所Bから配水を行う配水管網111でのサンプルの配置を表す。需要量は両配水所の配水量の和であるため、Qa+Qb=(一定)となる直線は同量の需要に対する配分を表す。
解析条件記憶部142あるいは圧力制御則記憶部143に記録された制約条件を満たさない配水状態は斜め十字印にて、制約条件を満たす配水状態を丸印にて表示している。制約条件を満足するかどうかの情報の記録については図14で後述する。
また、水理解析近似部164が水理解析結果を求める流量配分を三角印で例示し、水理解析近似部164が補間のために利用する近傍のサンプリング点を破線四角で囲っている。水理解析近似部164の処理については図16の説明で後述する。
この例ではサンプリングは2次元平面であるが、より多くの配水所がある配水管網を対象とした配水運用制御装置101では、より高次元の空間からサンプリングを行う必要がある。また、配水状態の構成量に、配水所配水量やタンク水位のような連続量ではなく、ポンプのオン・オフのような離散量を含めることが適切である場合、離散量については全組合せについて必ずサンプリングを行うことが望ましい。
本実施例のように配水状態を構成する量の数が多くない場合には、サンプリング結果を線形補間するだけで十分な近似精度が得られる。
図14は、水理解析サンプル記憶部163に記録される水理解析サンプルのデータ内容を示すテーブルの例である。水理解析サンプル記憶部163は、図13に示した各サンプリング点について、このようなテーブルの情報を記録している。
テーブルに記録する項目は、配水計画立案部161が必要とする最小限のものとしてよい。例えば、配水所A流量、配水所B流量、制約条件の満足、総電力、制御ポイントのみを記録することとできる。
水理解析サンプル部162は、図13の説明で述べたサンプリング点について、圧力制御則記憶部143に記録された圧力制御則の情報に従って水理解析計算を行い、その結果をこのテーブルに記録する。サンプリングを行う配水状態について、圧力制御則に従って制御ポイントを抽出し、当該制御ポイントの圧力を目標値とする各配水所の吐出圧を水理解析計算から定める。また、吐出圧から各配水所の消費電力を計算する。消費電力の計算については図15の説明で補足する。配水所の配水量と吐出圧が図6の制御可能範囲に収まり、その他満たすべき制約条件を満足する場合に制約条件を満たすと判定する。前記水理解析計算の結果と前記判定の結果を合わせて水理解析サンプル記憶部163に記録する。
図15は、水理解析サンプル部162の処理における配水ポンプ施設消費電力データの近似を示す図である。図8で説明したとおり、配水ポンプ施設のポンプ運転台数は、当該時点の配水流量だけでは一意に定まらず、配水流量の推移に依存するヒステリシスを有する。そのため、水理解析サンプル部162が計算する消費電力は、図15(a)のように、流量分担だけでは一意に定まらず、ポンプ運転台数まで定めてようやく一意に定まる。
そこで、水理解析サンプル部162では図15(b)のように流量から一意に消費電力が定まるように近似する。例えば、2通りのポンプ運転台数をとり得る領域については、その領域をなめらかにS字曲線で結ぶように近似する。
配水計画は、需要予測部165の予測結果に基づいて立案するため、立案時点の需要予測と制御時点の需要には誤差が生じる。そのため、ポンプ運転台数のヒステリシスに起因する誤差は避けることが出来ないため、前記近似を行うことによる誤差は大きな影響はない。
なお、ヒステリシスの近似に関して、需要予測部165の需要予測がより確からしい期間においては前記近似を行わず、厳密なポンプ消費電力を評価することとしてもよい。水理解析計算部141が、精緻に評価関数値を計算する手法と組合せることが考えられる。
例えば、配水計画立案部161で最適化計算がほぼ最適解に収束したと判定されたときに、配水計画立案部161は以降の評価関数値の計算に際して、水理解析近似部164ではなく水理解析計算部141に解析条件データを送信し、水理解析計算部141から水理解析結果を受信し、その水理解析結果に基づいて評価関数値を計算するよう変更し、また需要予測がより確からしい立案時点から直近3時間の期間においては前記ヒステリシスの影響を考慮して消費電力量を精緻に計算し、精緻に消費電力量を最小化する配水計画を得ることとしてもよい。
図16は、水理解析近似部164の処理を示すフローチャートである。
ステップ1602では、配水計画立案部より与えられた配水状態に対して、その近傍のサンプリング点を水理解析サンプル記憶部163から抽出する。
ステップ1603では、ステップ1602で抽出した全てのサンプリング点の水理解析結果が、制約条件を満足しているかどうかを判定する。全ての点が満足している場合、ステップ1604へ進む。そうでない場合、ステップ1605へ進む。
ステップ1604では、抽出したサンプリング点の結果を補間することで前記配水状態の結果の近似値を計算する。図13で示した例の場合、前記配水状態を囲む4つのサンプリング点の結果を、バイリニア補間することで近似値を得る。より高次元の場合でもバイリニア補間の拡張である補間手法、すなわち、線形補間を各量に関して繰り返す補間処理を行うことで近傍のサンプリング点の結果から補間を行うことができる。バイリニア補間は公知の技術であるため詳細な説明は省略する。当該流量配分は制約条件を満足すると判定し、補間で得られた結果を出力して処理を終了する。
ステップ1605では、当該流量配分は制約条件を満足できないと判定して、その結果を出力して処理を終了する。