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JP5932551B2 - 建物の設計方法 - Google Patents
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本発明は、床下空間の温度変化を小さくすることができる建物の設計方法に関する。
従来、床下空間を囲む基礎に、基礎断熱材が添設された建物の構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような基礎断熱材は、建物外部から床下空間に伝達される熱を遮断することができるため、床下空間の温度変化を小さくすることができる。
また、床下空間に蓄えられた空気は、例えば、居室へと供給され、換気や初期冷暖房として使用される。このように、床下空間の空気を居室に利用するには、床下空間の温度変化をより小さくすることが望まれている。
特開2005−42958号公報
ところで、建物が施工される地盤の地中温度は、地域や外気条件、さらには施工される環境条件によって異なる傾向がある。この地中温度は、床下空間の温度にも大きな影響を及ぼす。従って、床下空間の温度変化を小さくするために、床下空間に関する仕様は、地盤の地中温度に応じた設計がなされる必要がある。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、地盤モデルの各位置での地中温度を計算した結果に基づいて、床下空間に関する仕様を設計することを基本として、床下空間の温度変化を小さくすることができる建物を効率良く設計しうる設計方法を提供することを主たる目的としている。
本発明のうち請求項1記載の発明は、基礎と床とで囲まれる床下空間、及び、前記基礎に配されかつ前記床下空間を建物外部の空気の熱から遮断する基礎断熱材を具えた基礎断熱構造の建物を、コンピュータを用いて設計する方法であって、前記コンピュータに、前記床下空間を含む前記建物をモデル化した建物モデルを入力する工程、前記コンピュータに、前記建物が施工される地盤をモデル化した地盤モデルを入力する工程、前記コンピュータに、前記建物内部の温度条件、外気温度条件、及び、境界条件を含む計算条件を入力する工程、前記コンピュータが、前記計算条件に基づいて、前記地盤モデルの各位置での地中温度を計算するシミュレーション工程、並びに、前記シミュレーション工程の結果に基づいて、前記床下空間に関する仕様を設計する床下空間設計工程を含むことを特徴とする。
また、請求項2記載の発明は、前記建物は、上端側が前記床下空間の空気と熱交換可能に配置され、かつ、下端側が前記床下空間の下方の地中の熱と熱交換可能に地中に埋設された地中熱伝導部を具え、前記シミュレーション工程は、前記地盤モデルにおいて、一年を通して温度変化の小さい不易層を特定する工程を含み、前記床下空間設計工程は、前記不易層の深さに基づいて、前記地中熱伝導部の前記下端の位置を決定する下端位置決定工程を含む請求項1に記載の建物の設計方法である。
また、請求項3記載の発明は、前記地中熱伝導部は、前記床下空間の前記基礎側に配置される外側地中熱伝導部と、前記外側地中熱伝導部よりも前記床下空間の中心側に配置される内側地中熱伝導部とを含み、前記下端位置決定工程は、前記外側地中熱伝導部の前記下端を、前記内側地中熱伝導部の前記下端よりも地中深くに位置させる請求項2記載の建物の設計方法である。
また、請求項4記載の発明は、前記床下空間設計工程は、前記基礎断熱材の厚さを変更する工程を含む請求項1乃至3のいずれかに記載の建物の設計方法である。
また、請求項5記載の発明は、前記床下空間設計工程は、前記基礎断熱材の形状を変更する工程を含む請求項1乃至4のいずれかに記載の建物の設計方法である。
本発明の建物の設計方法は、コンピュータに、床下空間を含む建物をモデル化した建物モデルを入力する建物モデル設定工程、建物が施工される地盤をモデル化した地盤モデルを入力する工程、並びに、建物内部の温度条件、外気温度条件、及び、境界条件を含む計算条件を入力する工程を含んでいる。
また、本発明の設計方法は、コンピュータが、計算条件に基づいて、地盤モデルの各位置での地中温度を計算するシミュレーション工程を含んでいる。このようなシミュレーション工程では、地域や外気条件、さらには、建物が施工される環境条件によって異なる地中温度の分布を、正確に計算することができる。
さらに、建物の設計方法は、シミュレーション工程の結果に基づいて、床下空間に関する仕様を設計する床下空間設計工程を含んでいる。このような床下空間設計工程では、床下空間に関する仕様を、施工される地盤毎に設計することができる。従って、本発明の建物の設計方法では、床下空間の温度変化を小さくすることができる建物を効率良く設計することができる。
本実施形態の設計方法を実行するコンピュータ装置の斜視図である。 本実施形態の建物の構造を示す断面図である。 図2の床下空間の部分拡大図である。 床下空間の平面図である。 本実施形態の設計方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 建物モデル及び地中モデルを視覚化して示す断面図である。 図6の床下空間の部分拡大図である。 建物モデル設定工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 計算条件を入力する工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 シミュレーション工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 地中温度の年間平均分布図である。 床下空間設計工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 図11の床下空間の部分拡大図である。 下端位置決定工程を説明する地中温度の分布図である。 冬季(1月1日)の地中温度の分布図である。 夏季(8月1日)の地中温度の分布図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本実施形態の建物の設計方法(以下、単に「設計方法」ということがある)は、例えば、一般的な住宅やビル等の建物Bを、コンピュータを用いて設計するための方法である。
図1に示されるように、コンピュータ1は、本体1a、キーボード1b、マウス1c及びディスプレイ装置1dを含んでいる。この本体1aには、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリー、磁気ディスクなどの記憶装置及びディスクドライブ装置1a1、1a2などが設けられている。なお、記憶装置には、本実施形態の設計方法を実行するための処理手順(プログラム)が予め記憶されている。
図2に示されるように、本実施形態で設計される建物Bは、土台や外壁等を支持する基礎2、該基礎2で支持される1階の床3、及び、基礎2と床3とで囲まれる床下空間5が設けられている。さらに、基礎2には、床下空間5を建物外部の空気の熱から遮断する基礎断熱材6が設けられている。このように、本実施形態の建物Bは、基礎断熱構造を有している。
本実施形態の基礎2は、鉄筋コンクリート製である。図3に示されるように、基礎2は、地盤G内で水平にのびるベース部2Aと、該ベース部2Aの幅方向の略中央から上方へのびる立上がり部2Bとを含んでいる。即ち、本実施形態の基礎2は、断面T字状に形成された布基礎である。
また、図3及び図4に示されるように、立上がり部2Bは、建物Bの垂直高さの基準となるグランドラインである地盤面GLから小高さで突出し、かつ、床下空間5を囲むように配置されている。この立上がり部2Bの上面側には、土台7が固定されている。さらに、土台7には、外壁8が固定されている。
床下空間5の下方は、例えば、下地用の砕石9、防蟻防湿シート10及び土間コンクリート11が敷設されている。この土間コンクリート11の上面が、床下空間5の底面5bを構成している。
本実施形態の床下空間5の底面5bは、実質的に全域が断熱材で覆われていない。これにより、床下空間5の空気は、土間コンクリート11を介して、一年を通じて温度変化の少ない地中の熱と熱交換される。即ち、土間コンクリート11は、床下空間5の熱交換部12を構成している。このような床下空間5は、温度変化を効果的に小さくすることができる。なお、上記熱交換を妨げない範囲において、底面5bの一部が、断熱材で覆われることは差し支えない。
また、本実施形態の床下空間5は、その底面5bが、地盤面GLよりも下方に位置した地下構造とされている。図2に示されるように、地盤Gには、一年を通して温度が略一定(±1.0℃程度)となる不易層13が存在している。従って、床下空間5が地下構造とされることにより、熱交換部12は、不易層13に接近することができ、地中の熱を効率的に得ることができる。
このような床下空間5の空気は、例えば、送風手段(図示省略)等によって居室へと供給される。これにより、居室のエアコン等の空調機器の負荷が効果的に低減される。なお、基礎2の立ち上がり部2B等には、床下空間5の温度変化を最小限に抑える程度に設定された開口面積の換気口が設けられている(図示省略)。
図3に示されるように、基礎断熱材6は、基礎2の立上がり部2Bに設けられている。本実施形態の基礎断熱材6は、地盤面GLよりも下方に配される第1断熱部6Aと、該第1断熱部6Aの上側に配される第2断熱部6Bとを含んでいる。このような基礎断熱材6は、床下空間5の温度変化を小さくすることができる。
本実施形態の建物Bは、床下空間5の空気と、地中の熱と熱交換できる地中熱伝導部15が設けられている。地中熱伝導部15は、棒状体からなり、上端15aと下端15bとの間を直線状にのびている。さらに、地中熱伝導部15は、良熱伝導性を有する材料からなる。
地中熱伝導部15の上端15aは、床下空間5に位置している。一方、地中熱伝導部15の下端15b側は、底面5bよりも下方の地中に埋設されている。これにより、床下空間5は、地中熱伝導部15を介して、床下空間5の下方の地中の熱と熱交換することができる。従って、地中熱伝導部15は、床下空間5の温度変化を小さくするのに役立つ。
図4に示されるように、本実施形態では、平面視において、複数個の地中熱伝導部15が、例えば、床下空間5の底面5bに、碁盤目状に配置されている。これにより、地中熱伝導部15は、床下空間5の空気と、地中の熱との熱交換をバランス良く行うことができる。
図3に示されるように、地中熱伝導部15は、床下空間5の基礎2側に配置される外側地中熱伝導部15Aと、外側地中熱伝導部15Aよりも床下空間5の中心側に配置される内側地中熱伝導部15Bとが含まれている。図4に示される平面視において、外側地中熱伝導部15Aは、内側地中熱伝導部15Bの基礎2側を囲むように配置されている。
ところで、図2に示されるように、床下空間5の温度変化を効果的に小さくするには、地中熱伝導部15の下端15bが、不易層13の近傍に位置させるのが望ましい。地盤Gの地中温度は、地域や外気条件、さらには施工される環境条件によって異なる傾向がある。従って、不易層13の位置も、環境条件等によって異なる。このため、建物Bが施工される地盤Gの地中温度に応じて、地中熱伝導部15の下端15bの位置を決定する必要がある。
また、不易層13の境界は、基礎断熱材6の断熱性能を高める(例えば、厚さT(図3に示す)を太くする)ことにより、従来の不易層13(等温線13fで囲まれる領域)に比べて、上昇させることができる(等温線13eで囲まれる領域)。従って、床下空間5の温度変化を小さくするには、床下空間5からの不易層13の深さDに応じて、基礎断熱材6の厚さTを調節する必要がある。
本実施形態の設計方法では、コンピュータ1を用いて計算された地中温度の分布に基づいて、床下空間5に関する仕様、即ち、地中熱伝導部15の下端15bの位置、及び、基礎断熱材6の厚さT等を設計する。図5には、本実施形態の設計方法の具体的な処理手順が示されている。
本実施形態では、先ず、コンピュータ1に、図2に示した建物Bをモデル化した建物モデル21が入力される(建物モデル設定工程S1)。図6に示されるように、本実施形態の建物モデル21は、図2に示した地中熱伝導部15及び床3よりも上方の構造を除いた各構造がモデル化されている。
また、建物モデル21は、後述するシミュレーション工程S5で行われる2次元非定常計算において、取り扱い可能な熱・湿気同時移動モデルである。図7に拡大して示されるように、この建物モデル21は、矩形に形成された二次元の要素Faでモデル化されている。また、各要素Faには、2次元非定常計算で使用される数値データ(例えば、絶乾密度、比熱、又は熱伝導率等が含まれる)が入力される。これらの数値データは、コンピュータ1に記憶される。図8には、建物モデル設定工程S1の具体的な処理手順が示されている。
図6及び図7に示されるように、建物モデル設定工程S1では、先ず、基礎2(図3に示す)を複数の要素Faでモデル化した基礎モデル22が入力される(工程S11)。本実施形態の基礎モデル22は、図3に示した基礎2のベース部2Aと立上がり部2Bとが一体にモデル化されている。また、基礎モデル22の各要素Faには、基礎2に用いられるコンクリートに基づいて、例えば、絶乾密度:2200kg/m3、比熱:879J/kg・k、及び、熱伝導率:1.6W/m・kが入力されている。
次に、床3(図3に示す)を複数の要素Faでモデル化した床モデル23が入力される(工程S12)。この床モデル23は、後述する基礎断熱材モデル25の上面側で、水平にのびている。床モデル23の各要素Faには、床3に用いられる合板等に基づいて、例えば、絶乾密度:500kg/m3、比熱:1884J/kg・k、及び、熱伝導率:0.16W/m・kが入力されている。
次に、土台7(図3に示す)を複数の要素Faでモデル化した土台モデル24が入力される(工程S13)。この土台モデル24は、基礎モデル22の上面側に配置されている。また、本実施形態の土台モデル24は、土台7よりも大に形成されている。これは、土台モデル24が、土台7と外壁8の一部とを一体にモデル化して、その構造を簡略化しているためである。また、土台7は、基礎断熱材6に比べて、床下空間5の断熱にはほとんど寄与しない。このため、後述するシミュレーション工程S5において、土台モデル24を外気とみなして計算することができる。本実施形態では、土台モデル24と当接する床モデル23の外側面23s、土台モデル24と当接する後述する基礎断熱材モデル25の外側面25s、及び、土台モデル24と当接する基礎モデル22の上面22uに、表面熱伝達率9.3W/m2・kが設定される。これにより、建物モデル21の計算領域を限定することができるため、計算時間を短縮することができる。
次に、基礎断熱材6(図3に示す)を複数の要素Faでモデル化した基礎断熱材モデル25が入力される(工程S14)。この基礎断熱材モデル25は、第1断熱部6Aをモデル化した第1断熱モデル25aと、第2断熱部6Bをモデル化した第2断熱モデル25bとを含んでいる。また、基礎断熱材モデル25の各要素Faには、基礎断熱材6を構成する断熱材に基づいて、例えば、絶乾密度:30kg/m3、比熱:1381J/kg・k、及び、熱伝導率:0.028W/m・kが入力されている。
次に、防蟻防湿シート10(図3に示す)を複数の要素Faでモデル化した防蟻防湿シートモデル26が入力される(工程S15)。この防蟻防湿シートモデル26は、後述する地盤モデル30の上を水平にのびている。また、防蟻防湿シート10は、他の部材に比べて、熱的に無視することができる。このため、本実施形態では、後述するシミュレーション工程S5において、防蟻防湿シートモデル26を計算対象から除外している。従って、計算時間を短縮することができる。
次に、土間コンクリート11(図3に示す)を複数の要素Faでモデル化した土間コンクリートモデル27が入力される(工程S16)。この土間コンクリートモデル27は、防蟻防湿シートモデル26の上面に沿って水平にのびている。また、土間コンクリートモデル27の各要素Faには、土間コンクリート11に用いられるコンクリートに基づいて、前記基礎モデル22の各要素Faと同一の絶乾密度、比熱、及び、熱伝導率が入力されている。
次に、コンピュータ1に、地盤G(図2に示す)を、複数の要素Fbでモデル化した地盤モデル30が入力される(工程S2)。図6に示されるように、本実施形態の地盤モデル30は、地盤面30uから深さ10mまでの地盤Gがモデル化されている。
地盤モデル30は、建物モデル21と同様に、2次元非定常計算において、取り扱い可能な熱・湿気同時移動モデルである。また、図7に示されるように、地盤モデル30の各要素Fbには、図2に示した建物Bが施工される地盤Gに基づいて、例えば、絶乾密度:1890kg/m3、比熱:879J/kg・k、及び、熱伝導率:1.0W/m・kが入力されている。これらの数値は、コンピュータ1に記憶される。
次に、コンピュータ1に、床下空間5の空気を、複数の要素Fcでモデル化した床下空間モデル31が入力される(工程S3)。床下空間モデル31は、建物モデル21や、地盤モデル30と同様に、2次元非定常計算において、取り扱い可能な熱・湿気同時移動モデルである。床下空間モデル31の各要素Fcには、図2に示した建物Bに形成される床下空間5の構造等に基づいて、例えば、表面熱伝達率:9.30W/m2・k(対流熱伝達率:4.65W/m2・k、輻射熱伝達率:4.65W/m2・k)、換気回数:3.8回/hが定義されている。これらの数値は、コンピュータ1に記憶される。
次に、後述するシミュレーション工程S5に先立ち、コンピュータ1に、計算条件が入力される(工程S4)。図9には、本工程S4の具体的な処理手順が示されている。
本工程S4では、先ず、建物内部の温度条件Rtが入力される(工程S41)。本実施形態では、図6に示されるように、床モデル23の上面23uに、下記式(1)で定義される建物内部の温度条件Rtが入力されている。
Rt=22.5×4.5×cos(48×π×(D−212)/8760)…(1)
ここで、符号は次の通りである。
D:1月1日を1として起算した延べ日数(1〜365)
上記式(1)で示される温度条件Rtは、次世代省エネ基準の防露判定の際に用いられる室内条件(年間の温度変動)である。従って、温度条件Rtは、一般的な建物Bの室温を日毎に定義することができる。このように、温度条件Rtが定義されることにより、床モデル23よりも上部の構造のモデル化を不要にすることができる。しかも、後述するシミュレーション工程S5において、建物モデル21の計算領域を限定することができる。従って、温度条件Rtの定義は、計算時間を短縮するのに役立つ。
次に、外気温度条件Atが入力される(工程S42)。本実施形態では、地盤モデル30の地盤面30u、基礎モデル22の屋外側の側面及び上面22u(図7に示す)、床モデル23の外側面23s(図7に示す)、並びに、基礎断熱材モデル25の外側面25s(図7に示す)に、外気温度条件Atが定義される。この外気温度条件Atは、建物Bが施工される地域での一年間の気象データが入力される。この気象データには、1時間毎の気温、湿度、及び、日射量が含まれる。
次に、不易層13の初期条件(地中温度)Gtが入力される(工程S43)。一般に、不易層13(図2に示す)は、地盤Gの地表の温度変動に関係なく、地表から深さ10m付近に存在している。従って、本実施形態では、地盤モデル30のうち、地表から深さ10mをなす下面30dに、不易層13の地中温度が入力される。この不易層13の地中温度は、建物Bが施工される地盤Gにおいて、地表から深さ10mで測定された温度が設定される。本実施形態の不易層13の地中温度Gtは、例えば、16.2°である。
次に、建物モデル21及び地盤モデル30に、境界条件Bcが入力される(工程S44)。本実施形態では、地盤モデル30の側面30sにおいて、熱及び湿気の移動を不能にする境界条件Bcが定義される。これにより、後述するシミュレーション工程S5において、計算領域を限定することができ、計算時間を短縮することができる。
次に、コンピュータ1が、計算条件に基づいて、地盤モデル30の各位置での地中温度を計算する(シミュレーション工程S5)。図10には、シミュレーション工程S5の具体的な処理手順が示されている。
シミュレーション工程S5では、先ず、コンピュータ1が、建物モデル21、地盤モデル30、及び、床下空間モデル31からなる熱・湿気同時移動モデルに基づいて、2次元非定常計算を行う(S51)。ここで、2次元非定常計算とは、2次元のモデルに対して、時々刻々と変化する建物内部の温度条件、外気温度条件、及び、境界条件に対応して、熱流及び湿流の変化を計算することである。本実施形態では、建物モデル21、地盤モデル30、及び、床下空間モデル31の各要素Fa、Fb、Fcにおいて、単位時間毎の温度が計算される。このような2次元非定常計算は、例えば、株式会社建築環境ソリューションズ製の「非定常 熱・湿気計算システム H&M Ver.2.3.1」等の市販のアプリケーションソフトを用いて計算することができる。
このように、本実施形態のシミュレーション工程では、建物Bの構造、及び、建物Bが施工される環境に基づいて、地中温度の分布が計算される。従って、シミュレーション工程では、建物Bが施工される地盤G毎に、地中温度の分布を正確に計算することができる。
次に、2次元非定常計算の結果に基づいて、地盤モデル30の各位置での地中温度の分布図(コンター図)を出力する(工程S52)。図11に示されるように、分布図は、複数の等温線によって一定の温度間隔で区切られている。従って、このような分布図は、地盤モデル30の各位置での地中温度を、容易に把握するのに役立つ。また、分布図は、図11で示したように、年間の地中温度の平均値から求められた年間平均分布図の他、所定の日時毎に出力される分布図(図15、16に示す)が出力される。
次に、地盤モデル30において、不易層13が特定される(工程S53)。この工程S53では、図11に示した年間平均分布図を用いて、不易層13が特定される。本実施形態の不易層13は、等温線13eで囲まれる領域である。このように、地中温度の分布図を用いることにより、不易層13を容易に特定することができる。
次に、シミュレーション工程S5の結果に基づいて、床下空間5に関する仕様を設計する(床下空間設計工程S6)。図12には、床下空間設計工程S6の具体的な処理手順が示されている。
床下空間設計工程S6では、先ず、図11に示した地盤モデル30の地中温度の分布に基づいて、基礎断熱材モデル25の形状が変更される(工程S61)。図13に拡大して示されるように、基礎モデル22は、地盤Gに埋設される下部分22aは、地盤Gから露出する上部分22bに比べて温度変化が小さい。従って、下部分22aに配される第1断熱モデル25a(図7に示す)の断熱性能を、上部分22bに配される第2断熱モデル25b(図7に示す)の断熱性能に比べて小さくすることができる。
本実施形態では、第1断熱モデル25aの平均厚さa1を、第2断熱モデル25bの平均厚さa2よりも小さくしている。これにより、基礎断熱材6の断熱性能を維持しつつ、断熱材の使用量を少なくすることができる。
ここで、第1断熱モデル25aの平均厚さa1は、第1断熱モデル25aの上端から下端までの範囲の厚さt1の平均値である。また、第2断熱モデル25bの平均厚さa2は、第2断熱モデル25bの上端から下端までの範囲の厚さt2の平均値である。
さらに、基礎モデル22の下部分22aの温度変化は、下方に向かって小さくなっている。これに従って、本実施形態では、第1断熱モデル25aの厚さt1を、下部分22aの温度変化に応じて漸減させている。これにより、第1断熱モデル25aは、断熱性能を確実に維持しつつ、断熱材の使用量を少なくすることができる。
次に、不易層13の深さに基づいて、基礎断熱材6(図3に示す)の断熱性能が、十分か否かが判断される(工程S62)。この工程S62では、図11に示されるように、床下空間モデル31からの不易層13までの最小深さd1が、1.5m以下の場合に、基礎断熱材6の断熱性能が十分であると判断している。
最小深さd1が1.5m以下の場合、不易層13は、初期条件よりも床下空間モデル31側に大きく上昇している。これは、基礎断熱材6の高い断熱性能によるものである。従って、本実施形態では、地表からの不易層13の最小深さd1が、1.5m以下の場合に、基礎断熱材6の断熱性能が十分であると判断している。
なお、本工程S62において、基礎断熱材6の断熱性能が十分であると判断された場合、次の下端位置決定工程S64が行われる。一方、基礎断熱材6の断熱性能が十分でないと判断された場合は、基礎断熱材モデル25の各厚さt1、t2(図7に示す)を変更する(太くする)工程S63が行われ、再度シミュレーションが行われる(工程S1〜S5)。
このように、本実施形態の床下空間設計工程S6では、不易層13の最小深さd1に基づいて、基礎断熱材6の厚さT(図3に示す)を、施工される地盤G毎に決定することができるため、不易層13を確実に上昇させることができる。従って、床下空間5は、地中の熱を効率的に得ることができ、床下空間5の温度変化を小さくすることができる。
次に、不易層13の深さdに基づいて、地中熱伝導部15の下端15bの位置が決定される(下端位置決定工程S64)。本実施形態では、図14に示されるように、地中温度の分布図に基づいて、不易層13(等温線13eで囲まれる領域)内に、地中熱伝導部15の下端15bを配置する位置を特定している。
このように、床下空間設計工程では、地中熱伝導部15の下端15bの位置が、施工される地盤G毎の不易層13の分布に基づいて決定されるため、該下端15bを不易層13に確実に接近させることができる。これにより、地中熱伝導部15は、床下空間5の空気と、不易層13とを熱交換させることができ、床下空間5の温度変化を小さくすることができる。
また、不易層13は、床下空間モデル31の中心側に比べて、基礎モデル22側が地中深くに位置する傾向がある。従って、本実施形態では、外側地中熱伝導部15Aの下端15bを、内側地中熱伝導部15Bの下端15bよりも地中深くに位置させている。
これにより、外側地中熱伝導部15A及び内側地中熱伝導部15Bは、床下空間5の空気と、不易層13とを熱交換させることができる。しかも、本実施形態では、内側地中熱伝導部15Bを、外側地中熱伝導部15Aよりも短くすることができるため、その材料の使用量を確実に少なくすることができる。
次に、季節毎のシミュレーションの結果に基づいて、外側地中熱伝導部15A及び内側地中熱伝導部15Bの使い分けを決定する(工程S65)。図15に示されるように、冬季(例えば、1月1日)においては、暖房等が使用されるため、床下空間モデル31側の地中の温度(等温線32で囲まれる領域)が相対的に高くなっている。この等温線32で囲まれる領域には、内側地中熱伝導部15Bの下端15bが隣接している。従って、冬季においては、内側地中熱伝導部15Bのみで、熱交換させるのが有効である。
一方、図16に示されるように、夏季(例えば、8月1日)においては、高温の外気や、日射の影響により、床下空間モデル31側の地中の温度が相対的に高くなっている。外側地中熱伝導部15Aの下端15bは、内側地中熱伝導部15Bの下端15bよりも、地中深くに位置している。従って、夏季においては、外側地中熱伝導部15Aのみで熱交換させるのが有効である。
このように、本工程S65では、季節毎に変化する地中温度に基づいて、外側地中熱伝導部15A及び内側地中熱伝導部15Bの使い分けを決定することができる。これにより、床下空間5の温度変化を、より確実に小さくすることができる。
なお、外側地中熱伝導部15A及び内側地中熱伝導部15Bの使い分けは、例えば、各地中熱伝導部15A、15Bと床下空間5の空気との熱交換を防ぐ遮熱手段(図示省略)を着脱することにより、容易に行うことができる。この遮熱手段としては、特に限定されないが、例えば、各地中熱伝導部15A、15Bの上端15a側を覆う断熱材等が望ましい。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
B 建物
G 地盤
5 床下空間
6 基礎断熱材
21 建物モデル
30 地盤モデル

Claims (5)

  1. 基礎と床とで囲まれる床下空間、及び、前記基礎に配されかつ前記床下空間を建物外部の空気の熱から遮断する基礎断熱材を具えた基礎断熱構造の建物を、コンピュータを用いて設計する方法であって、
    前記コンピュータに、前記床下空間を含む前記建物をモデル化した建物モデルを入力する工程、
    前記コンピュータに、前記建物が施工される地盤をモデル化した地盤モデルを入力する工程、
    前記コンピュータに、前記建物内部の温度条件、外気温度条件、及び、境界条件を含む計算条件を入力する工程、
    前記コンピュータが、前記計算条件に基づいて、前記地盤モデルの各位置での地中温度を計算するシミュレーション工程、並びに、
    前記シミュレーション工程の結果に基づいて、前記床下空間に関する仕様を設計する床下空間設計工程を含むことを特徴とする建物の設計方法。
  2. 前記建物は、上端側が前記床下空間の空気と熱交換可能に配置され、かつ、下端側が前記床下空間の下方の地中の熱と熱交換可能に地中に埋設された地中熱伝導部を具え、
    前記シミュレーション工程は、前記地盤モデルにおいて、一年を通して温度変化の小さい不易層を特定する工程を含み、
    前記床下空間設計工程は、前記不易層の深さに基づいて、前記地中熱伝導部の前記下端の位置を決定する下端位置決定工程を含む請求項1に記載の建物の設計方法。
  3. 前記地中熱伝導部は、前記床下空間の前記基礎側に配置される外側地中熱伝導部と、
    前記外側地中熱伝導部よりも前記床下空間の中心側に配置される内側地中熱伝導部とを含み、
    前記下端位置決定工程は、前記外側地中熱伝導部の前記下端を、前記内側地中熱伝導部の前記下端よりも地中深くに位置させる請求項2記載の建物の設計方法。
  4. 前記床下空間設計工程は、前記基礎断熱材の厚さを変更する工程を含む請求項1乃至3のいずれかに記載の建物の設計方法。
  5. 前記床下空間設計工程は、前記基礎断熱材の形状を変更する工程を含む請求項1乃至4のいずれかに記載の建物の設計方法。
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