(各実施形態の内容に至る経緯)
先ず、本開示の無線通信装置の各実施形態を説明する前に、各実施形態の内容に至る経緯について図14〜図17を参照して説明する。図14は、従来の無線通信装置の回路構成の一例を示す図である(特許文献1参照)。図15は、従来の無線通信装置の回路構成の他の一例を示す図である(特許文献2参照)。
図14では、ベースバンド波形生成部10において生成された位相が互いに直交する各ベースバンド信号DTSa,DTSbは、DAC20a,20bにおいてアナログ信号波形に変換され、更に、低域通過フィルタ3a,3bにおいて不要周波数成分が除去された後、ミキサ4a,4bに入力される。
ミキサ4a,4bでは、アナログベースバンド信号ATSa,ATSbが、局部発振器5及びπ/2移相器6により発生された局部発振信号とミキシングされ、アナログベースバンド信号ATSa,ATSbによって直交変調された搬送波が得られる。被変調波は加算器7において加算され、更に、帯域通過フィルタ8により帯域外の不要周波数成分が除去された後に送信電力増幅器9に入力されて電力増幅され、不図示のアンテナから送信される。
ここで、送信動作中に何らかの原因により被変調波の送信電力が変動したとすると、送信電力の変動レベルは、APC回路11のCPU15において所定の閾値と比較されることで検出される。APC回路11は、粗結合コンデンサ18に直列接続され、整流回路12と低域通過フィルタ13とADC14とCPU15とを有する。
CPU15は、検出された変動レベルをキャンセルするためのデジタル利得制御情報GSを生成してDAC30に出力する。CPU15からデジタル利得制御情報GSが出力されると、DAC30は、デジタル利得制御情報GSに対応するアナログ電圧を発生させ、基準電圧GVrefとして、DAC20a,20bに供給する。DAC20a、20bは、基準電圧GVrefの変化に応じて直流利得を変更する。
これにより、アナログベースバンド信号ATSa,ATSbが局部発振信号とミキシングされることにより得られた被変調波の直流利得は変化し、送信電力増幅器9から出力される被変調波の送信電力レベルも変化する。被変調波の送信電力は、CPU15に予め設定された所定の閾値に対応する一定のレベルとなるように制御される。
また、図15では、RF電力増幅器100のゲインを制御する誤差増幅器106の非反転入力端子に、抵抗R3,R4を有するアッテネータ107を介して、送信出力レベル指示電圧Vrampが印加される。誤差増幅器106は、自動パワー制御電圧Vapcにより、RF電力増幅器100のゲインを制御する。誤差増幅器106の出力端子と反転入力端子との間の負帰還回路105は、第1抵抗R1と第2抵抗R2と第3抵抗R5とを有する。
パワー検出器102により検波された送信電力が低い場合には、アッテネータ107は、送信出力レベル指示電圧Vrampの上昇に対する送信電力Poutの増加を緩和する。一方、パワー検出器102により検波された送信電力が中程度又は高い場合には、第3抵抗R5は、送信出力レベル指示電圧Vrampの変化による自動パワー制御電圧Vapcの変化の制御感度を向上する。これにより、パワー検出器102により検波された送信電力に応じて、RF電力増幅器100に入力される自動パワー制御電圧Vapcによって高周波信号の電力を制御することで、精度の高いパワー制御ができる。
このように、従来の無線通信装置は、ベースバンド帯のDAC若しくは増幅器の利得、又は電力増幅器の利得を制御することで、安定したパワー制御を行うことができる。
しかし、図14及び図15に示す従来の無線通信装置では、ベースバンド信号と高周波信号との各電力レベルを制御することは記載されているが、高周波信号を生成するミキサ回路に入力されるローカル信号の電力レベルを制御することは考慮されていない。
また、上述した無線通信装置の回路構成が搭載されるIC(Integrated Circuit)チップの特性が製造時のプロセスばらつきによってばらつくと、無線通信装置は、高周波送信信号において所望電力Poを得ることが困難となる場合がある(図16参照)。図16は、トランジスタの製造ばらつきに応じた入出力信号の電力特性を示すグラフである。図17(A)は、トランジスタの等価回路図である。図17(B)は、トランジスタのゲート電圧に対するドレイン電流特性を示すグラフである。
図17(B)では、図17(A)に示すトランジスタのゲート電圧Vg−ドレイン電流Idの特性が示されている。ゲート電圧Vgが閾値電圧Vthを超えるとドレイン電流Idが流れる。トランジスタでは、プロセスばらつきによって閾値電圧Vthが変動するので、閾値電圧Vthが低いとドレイン電流Idは増加し、閾値電圧Vthが高いとドレイン電流Idは減少する。
また、トランジスタの最大動作周波数fmaxは、閾値電圧Vthが低いと増加し、閾値電圧Vthが高いと減少するので、最大動作周波数fmaxが高いと、トランジスタの高周波特性は良好となる。図16では、閾値電圧Vthが低い状態をF(Fast)状態、閾値電圧Vthが高い状態をS(Slow)状態、閾値電圧Vthが中心値(典型値又は平均値)の状態をT(Typical)状態として示されている。
無線通信装置が高周波送信信号において所望電力Poを得るためには、入力電力は、F状態ではPf、T状態ではPtであれば良いが、S状態では最大動作周波数fmaxが低くなるため、入力電力をどれだけ高くしても所望電力Poを得ることは困難である。
ここで、ミリ波を用いる無線通信装置の回路における動作周波数がS状態の最大動作周波数fmaxと比べて充分低くない(例えば1/10以下でない)回路では、増幅回路の利得が低下する傾向がある。このように、無線通信装置が例えば高周波信号(例えばミリ波)を用いる場合には、特許文献1又は特許文献2のように高周波の送信信号の電力制御を行っても、S状態において所望電力Poを得ることが困難であるという課題がある。
そこで、以下の各実施形態では、ICチップに用いられるトランジスタの閾値電圧が所望値(例えば典型値又は中心値)から変動して、例えば閾値電圧が高いS状態においても、所望電力の高周波送信信号を得る無線通信装置の例を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の無線通信装置1000の回路構成を示す図である。図1に示す無線通信装置1000は、主に送信機としての回路構成が図示されている。
図1に示す無線通信装置1000は、ベースバンド可変利得アンプ507a,507bと、ミキサ504a,504bと、電圧制御発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)511と、VCO可変利得アンプ510と、ローカルスイッチ509と、ローカル可変利得アンプ508と、90度ハイブリッド移相器506と、ハイブリッド可変利得アンプ505a,505bと、電力増幅器(PA:Power Amplifier)503と、結合器502と、パワー検波器(DET:Detector)513と、レベル検出制御部514とを含む。
送信ベースバンド可変利得増幅器としてのベースバンド可変利得アンプ507a,507bは、入力端子512a,512bを介して、位相が互いに直交する、即ち90度の位相差を有する同相アナログベースバンド信号,直交アナログベースバンド信号を入力して増幅する。ベースバンド可変利得アンプ507a,507bは、後述するレベル検出制御部514が生成した制御信号の制御信号値に応じて、各利得を変更する。増幅された同相アナログベースバンド信号,直交アナログベースバンド信号は、それぞれミキサ504a,504bに入力される。
電圧制御発振器511は、印加された制御電圧に応じて、無線通信装置1000における所定周波数の局所発振信号(ローカル信号)を生成してVCO可変利得アンプ510に出力する。所定周波数は、例えば60GHz(ミリ波)である。
VCO可変利得増幅器としてのVCO可変利得アンプ510は、電圧制御発振器511が生成したローカル信号を増幅してローカルスイッチ509に出力する。VCO可変利得アンプ510は、後述するレベル検出制御部514が生成した制御信号の制御信号値に応じて、利得を変更する。
ローカルスイッチ509は、不図示の制御回路が出力した制御信号に応じて、VCO可変利得アンプ510が増幅したローカル信号を、ローカル可変利得アンプ508又は他の回路に出力する。
ローカル可変利得アンプ508は、ローカルスイッチ509を介して、VCO可変利得アンプ510が増幅したローカル信号を増幅して90度ハイブリッド移相器506に出力する。ローカル可変利得アンプ508は、後述するレベル検出制御部514が生成した制御信号の制御信号値に応じて、利得を変更する。
移相器としての90度ハイブリッド移相器506は、ローカル可変利得アンプ508が増幅したローカル信号を基に、位相が互いに直交する同相ローカル信号,直交ローカル信号を生成し、同相ローカル信号をハイブリッド可変利得アンプ505aに出力し、直交ローカル信号をハイブリッド可変利得アンプ505bに出力する。
ハイブリッド可変利得増幅器としてのハイブリッド可変利得アンプ505aは、90度ハイブリッド移相器506が生成した同相ローカル信号を増幅してミキサ504aに出力する。ハイブリッド可変利得アンプ505aは、後述するレベル検出制御部514が生成した制御信号の制御信号値に応じて、利得を変更する。
ハイブリッド可変利得増幅器としてのハイブリッド可変利得アンプ505bは、90度ハイブリッド移相器506が生成した直交ローカル信号を増幅してミキサ504bに出力する。ハイブリッド可変利得アンプ505bは、後述するレベル検出制御部514が生成した制御信号の制御信号値に応じて、利得を変更する。
なお、VCO可変利得アンプ510、ローカル可変利得アンプ508、ハイブリッド可変利得アンプ505a,505bは、ローカル信号(同相ローカル信号、直交ローカル信号を含む)の電力を増幅し、送信ローカル可変利得増幅器を構成する。
送信ミキサとしてのミキサ504aは、ベースバンド可変利得アンプ507aが増幅した同相アナログベースバンド信号とハイブリッド可変利得アンプ505aが増幅した同相ローカル信号とを用いて直交変調することで、高周波の同相送信信号(搬送波)を生成して電力増幅器503に出力する。
送信ミキサとしてのミキサ504bは、ベースバンド可変利得アンプ507bが増幅した直交アナログベースバンド信号とハイブリッド可変利得アンプ505bが増幅した直交ローカル信号とを用いて直交変調することで、高周波の直交送信信号(搬送波)を生成して電力増幅器503に出力する。なお、高周波の同相送信信号と高周波の直交送信信号とは加算されて電力増幅器503に入力される。
電力増幅器503は、ミキサ504a,504bが生成した高周波の同相送信信号と高周波の直交送信信号とが加算された高周波送信信号を増幅し、結合器502を介して出力端子501に出力する。出力端子501は不図示の送信アンテナに接続される。電力増幅器503が増幅した高周波送信信号は、送信アンテナにおいて給電されて電波として空中に放射される。
結合器502は、例えば方向性結合器を用いて構成され、電力増幅器503が増幅した高周波送信信号の一部を抜き出してパワー検波器513に出力する。
パワー検波器513は、結合器502により抜き出された高周波送信信号を検波し、検波出力としての高周波送信信号の電力(レベル)をレベル検出制御部514に出力する。
制御部としてのレベル検出制御部514は、パワー検波器513の検波出力としての高周波送信信号の電力(レベル)に応じて、ベースバンド可変利得アンプ507a,507bと、VCO可変利得アンプ510、ローカル可変利得アンプ508及びハイブリッド可変利得アンプ505a,505bのうち少なくとも1つとの各利得を変更するための制御信号を生成する。制御信号には、変更後の利得を設定するための制御信号値が含まれる。
レベル検出制御部514は、ベースバンド可変利得アンプ507a,507bと、VCO可変利得アンプ510、ローカル可変利得アンプ508及びハイブリッド可変利得アンプ505a,505bのうち、利得を変更させる変更対象の各可変利得アンプに対し、変更後の各利得を設定するための制御信号値を含む制御信号を生成して出力する。なお、レベル検出制御部514の回路構成については図6を参照して後述する。更に、レベル検出制御部514は、利得の変更対象ではない各可変利得アンプに対し、現在設定されている各利得を設定する制御信号値を含む制御信号を生成して出力しても良いし、出力しなくても良い。
これにより、レベル検出制御部514は、ベースバンド可変利得アンプ507a,507bの利得を変更させることで、ミキサ504a,504bに入力される同相アナログベースバンド信号,直交アナログベースバンド信号の電力(レベル)を、適切な目標値に調整できる。
更に、レベル検出制御部514は、VCO可変利得アンプ510、ローカル可変利得アンプ508及びハイブリッド可変利得アンプ505a,505bのうち少なくとも1つの利得を変更させることで、ミキサ504a,504bに入力される同相ローカル信号,直交ローカル信号の電力(レベル)を適切な目標値に調整できる。
図2は、ミキサ504a,504bに入力されるローカル信号とミキサ504a,504bから出力される高周波信号との電力特性を示すグラフである。図2に示す実線は、ミキサ504a,504bに用いられるトランジスタの閾値電圧Vthが典型値(中心値)となるT状態における電力特性を示す。図2に示す一点鎖線は、ミキサ504a,504bに用いられるトランジスタの閾値電圧Vthが低い値となるF状態における電力特性を示す。図2に示す点線は、ミキサ504a,504bに用いられるトランジスタの閾値電圧Vthが高い値となるS状態における電力特性を示す。
図2では、プロセスばらつきによって、ミキサ504a,504bに入力されるローカル信号の電力(入力信号)に対する高周波送信信号の電力(出力電力)の特性が異なる。
具体的には、ローカル信号の入力電力をPLtとすると、出力電力はT状態では目標電力Pmとなるが、F状態では目標電力Pmより高く、S状態では目標電力Pmより低くなる。即ち、ローカル信号の入力電力が一定であると、S状態ではミキサ504a,504bの出力電力が低下するので、電力増幅器503の出力電力が所望電力Poに満たない場合がある。
本実施形態では、無線通信装置1000は、ミキサ504a,504bに入力されるローカル信号の入力電力を変更するために、VCO可変利得アンプ510、ローカル可変利得アンプ508及びハイブリッド可変利得アンプ505a,505bのうち、少なくとも1つの利得を変更する。
これにより、無線通信装置1000は、ローカル信号の電力を、F状態ではT状態よりも低い入力電力PLfに変更し、S状態ではT状態より高い入力電力PLsに変更することで、高周波送信信号の所望出力電力Pmを得ることができる。
図3は、VCO可変利得アンプ510、ローカル可変利得アンプ508及びハイブリッド可変利得アンプ505a,505bの等価回路図の一例である。VCO可変利得アンプ510、ローカル可変利得アンプ508及びハイブリッド可変利得アンプ505a,505bは、例えば図3に示す可変利得アンプ600の回路構成を共通に有する。
図3に示す可変利得アンプ600は、入力端子601と、入力整合回路602と、増幅用トランジスタ603と、出力整合回路604と、出力端子605と、出力用バイアス端子606と、カレントミラー用トランジスタ607と、基準電流源回路608と、電流源端子609とを含む。増幅用トランジスタ603とカレントミラー用トランジスタ607とはカレントミラーを構成し、共にソース接地である。
図3では、入力信号は、入力端子601に入力され、入力整合回路602を介して増幅用トランジスタ603において増幅され、出力整合回路604を介して出力端子605から出力される。
図4(A)及び図4(B)は、図3に示す可変利得アンプ600の入力整合回路602の等価回路図である。図4(A)に示す入力整合回路602は、キャパシタ612が直列に接続され、キャパシタ612と増幅用トランジスタ603との接続点にインダクタ613が並列に接続された構成である。図4(B)に示す入力整合回路602は、キャパシタ612と伝送線路611とが直列接続され、更にキャパシタ612と伝送線路611の接続点にインダクタ613が並列接続された構成である。入力整合回路602は、可変利得アンプ600の用途に応じて、例えば図4(A)又は図4(B)に示す回路構成が用いられる。
図4(C)及び図4(D)は、図3に示す可変利得アンプ600の出力整合回路604の等価回路図である。図4(C)に示す出力整合回路604は、キャパシタ622が直列に接続され、キャパシタ622と増幅用トランジスタ603との接続点にインダクタ623が並列に接続された構成である。図4(D)に示す出力整合回路604は、伝送線路621とキャパシタ622とが直列接続され、更に伝送線路621とキャパシタ622の接続点にインダクタ623が並列接続された構成である。出力整合回路604は、可変利得アンプ600の用途に応じて、例えば図4(C)又は図4(D)に示す回路構成が用いられる。
増幅用トランジスタ603のゲート端子は、入力整合回路602を介して、カレントミラー用トランジスタ607のゲート端子と基準電流源回路608とに接続される。増幅用トランジスタ603のゲート端子とカレントミラー用トランジスタ607のゲート端子とには、電流源端子609に印加された信号を基に基準電流源回路608が出力した基準電流に応じて、DCのゲートバイアス電圧が印加される。
増幅用トランジスタ603のドレイン端子には、出力整合回路604を介して、出力用バイアス端子606からドレイン電圧が印加される。上述したように、増幅用トランジスタ603とカレントミラー用トランジスタ607とはカレントミラーを構成し、増幅用トランジスタ603及びカレントミラー用トランジスタ607のサイズの比と基準電流源回路608の出力電流とによって、可変利得アンプ600の電流値、即ち出力用バイアス端子606に流れる電流値が決まる。可変利得アンプ600の利得は、出力用バイアス端子606に流れる電流値によって決まるので、増幅用トランジスタ603及びカレントミラー用トランジスタ607のサイズの比と基準電流源回路608の出力電流とを変えることによって、利得を変更することができる。
図5は、図3に示す可変利得アンプ600の電流値に対する利得特性を示すグラフである。図5に示す実線は、増幅用トランジスタ603,カレントミラー用トランジスタ607の閾値電圧Vthが典型値(中心値)となるT状態における利得特性を示す。図5に示す一点鎖線は、増幅用トランジスタ603,カレントミラー用トランジスタ607の閾値電圧Vthが低い値となるF状態における利得特性を示す。図5に示す点線は、増幅用トランジスタ603,カレントミラー用トランジスタ607の閾値電圧Vthが高い値となるS状態における利得特性を示す。
図5の横軸は、可変利得アンプ600の電流値を表す。図5の縦軸は、可変利得アンプ600の利得を表す。図5では、可変利得アンプ600の電流値が増加すると、可変利得アンプ600の利得は増加する。また、プロセスばらつきによって、可変利得アンプ600の利得特性は変化する。
具体的には、可変利得アンプ600の電流値をIatとすると、可変利得アンプ600の利得はT状態では目標値Gaとなるが、F状態では目標値Gaより高く、S状態では目標値Gaより低くなる。
本実施形態では、可変利得アンプ600は、可変利得アンプ600の電流値を、F状態ではT状態よりも低い電流値Iafに変更し、S状態ではT状態より高い電流値Iasに変更することで、可変利得アンプ600の目標値Gaの利得を得ることができる。即ち、可変利得アンプ600は、可変利得アンプ600の電流値を変更することで利得を変更でき、プロセスばらつきによらず、ミキサ504a,504bの出力電力を一定に調整できる。
図6は、レベル検出制御部514の内部構成の一例を示すブロック図である。図6に示すレベル検出制御部514は、アナログデジタル変換器(ADC:Analog Digital Converter)521と、レベル比較部522と、レベル制御部523とを含む。
アナログデジタル変換器521は、パワー検波器513の検波出力としてのアナログの高周波送信信号のパワー(電力又はレベル)を、パワー(電力又はレベル)に応じたデジタル値に変換してレベル比較部522に出力する。
レベル比較部522は、アナログデジタル変換器521の出力値(デジタルコード、デジタル値)から電力増幅器503の出力電力POUTを算出(検出)し、電力増幅器503の出力電力POUTと予め定められた基準出力電力Pdefとを比較して比較結果をレベル制御部523に出力する。
レベル制御部523は、電力増幅器503の出力電力POUTと基準出力電力Pdefとの比較結果に応じて、ベースバンド可変利得アンプ507a,507bと、VCO可変利得アンプ510、ローカル可変利得アンプ508及びハイブリッド可変利得アンプ505a,505bのうち、利得を変更させる変更対象の各可変利得アンプに対し、変更後の各利得を設定するための制御信号値を含む制御信号を生成する。
レベル制御部523は、ベースバンド可変利得アンプ507a,507bと、VCO可変利得アンプ510、ローカル可変利得アンプ508及びハイブリッド可変利得アンプ505a,505bのうち、変更対象の各可変利得アンプに、生成した制御信号を出力する。なお、基準出力電力Pdefはレベル比較部522に外部から入力されても良いし、予めレベル比較部522に記憶されても良い。
図7は、第1の実施形態の無線通信装置1000における送信信号の電力制御動作の詳細な内容を説明するフローチャートである。図7では、「VGA LOOP」、即ちベースバンド可変利得アンプ507a,507bの各利得が変更される動作が先に開始され、「VGA LOOP」の後に、「LO LOOP」、即ちVCO可変利得アンプ510、ローカル可変利得アンプ508及びハイブリッド可変利得アンプ505a,505bのうち少なくとも1つの各利得が変更される動作が開始される。
図7において、例えばベースバンド可変利得アンプ507a,507bと、VCO可変利得アンプ510と、ローカル可変利得アンプ508と、ハイブリッド可変利得アンプ505a,505bとの各利得は最小値(初期値)に設定される(S1000)。また、入力端子512a,512bにテスト用のベースバンド送信信号が入力される(S1000)。
ここで、テスト用のベースバンド送信信号は、実際に無線通信装置1000が用いる変調信号でも良いし、CW(Continuous Wave:無変調連続波)信号でも良い。
ミキサ504aは、ベースバンド可変利得アンプ507aが増幅した同相アナログベースバンド信号とハイブリッド可変利得アンプ505aが増幅した同相ローカル信号とを用いて直交変調することで、高周波の同相送信信号を生成して電力増幅器503に出力する。
また、ミキサ504bは、ベースバンド可変利得アンプ507bが増幅した直交アナログベースバンド信号とハイブリッド可変利得アンプ505bが増幅した直交ローカル信号とを用いて直交変調することで、高周波の直交送信信号を生成して電力増幅器503に出力する。
電力増幅器503は、ミキサ504a,504bが生成した高周波の同相送信信号と高周波の直交送信信号とが加算された高周波送信信号を増幅し、結合器502を介して出力端子501に出力する。
パワー検波器513は、結合器502により抜き出された高周波送信信号を検波し(S1001)、検波出力としての高周波送信信号の電力(レベル)をレベル検出制御部514に出力する。
レベル検出制御部514は、パワー検波器513の検波出力としてのアナログの高周波送信信号の電力(レベル)を、パワー(電力又はレベル)に応じたデジタル値に変換して電力増幅器503の出力電力POUTを検出する(S1002)。
レベル検出制御部514は、電力増幅器503の出力電力POUTと予め定められた基準出力電力Pdefとを比較する(S1003)。電力増幅器503の出力電力POUTが基準出力電力Pdefより大きい場合には(S1003、NO)、電力増幅器503の出力電力POUTが所望電力を超えているので、図7に示す無線通信装置1000における送信信号の電力制御動作は終了する。
一方、レベル検出制御部514は、電力増幅器503の出力電力POUTが基準出力電力Pdefより小さいと判定した場合には(S1003、YES)、VGA利得、即ちベースバンド可変利得アンプ507a,507bの利得が上限値であるか否かを判定する(S1004)。
レベル検出制御部514は、ベースバンド可変利得アンプ507a,507bの利得が上限値ではないと判定した場合には(S1004、NO)、ベースバンド可変利得アンプ507a,507bの各利得を1ステップ増加するための制御信号値を含む制御信号を生成してベースバンド可変利得アンプ507a,507bに出力する。ベースバンド可変利得アンプ507a,507bは、レベル検出制御部514が生成した制御信号に応じて、現在の各利得を1ステップ増加する(S1005)。ステップS1005の後、無線通信装置1000の動作はステップS1001に進む。
レベル検出制御部514は、ベースバンド可変利得アンプ507a,507bの利得が上限値であると判定した場合には(S1004、YES)、「VGA LOOP」を終了して「LO LOOP」を開始する。
即ち、レベル検出制御部514は、VCO可変利得アンプ510、ローカル可変利得アンプ508及びハイブリッド可変利得アンプ505a,505bのうち少なくとも1つの各利得を現在の各利得から1ステップ増加するための制御信号値を含む制御信号を生成してVCO可変利得アンプ510、ローカル可変利得アンプ508及びハイブリッド可変利得アンプ505a,505bのうち少なくとも1つに出力する。
VCO可変利得アンプ510、ローカル可変利得アンプ508及びハイブリッド可変利得アンプ505a,505bのうち少なくとも1つは、レベル検出制御部514が生成した制御信号に応じて、現在の各利得を1ステップ増加する(S2000)。
ミキサ504aは、ベースバンド可変利得アンプ507aが増幅した同相アナログベースバンド信号とハイブリッド可変利得アンプ505aが増幅した同相ローカル信号とを用いて直交変調することで、高周波の同相送信信号を生成して電力増幅器503に出力する。
また、ミキサ504bは、ベースバンド可変利得アンプ507bが増幅した直交アナログベースバンド信号とハイブリッド可変利得アンプ505bが増幅した直交ローカル信号とを用いて直交変調することで、高周波の直交送信信号を生成して電力増幅器503に出力する。
電力増幅器503は、ミキサ504a,504bが生成した高周波の同相送信信号と高周波の直交送信信号とが加算された高周波送信信号を増幅し、結合器502を介して出力端子501に出力する。
パワー検波器513は、結合器502により抜き出された高周波送信信号を検波し(S2001)、検波出力としての高周波送信信号の電力(レベル)をレベル検出制御部514に出力する。
レベル検出制御部514は、パワー検波器513の検波出力としてのアナログの高周波送信信号の電力(レベル)を、パワー(電力又はレベル)に応じたデジタル値に変換して電力増幅器503の出力電力POUTを検出する(S2002)。
レベル検出制御部514は、電力増幅器503の出力電力POUTと予め定められた基準出力電力Pdefとを比較する(S2003)。電力増幅器503の出力電力POUTが基準出力電力Pdefより大きい場合には(S2003、NO)、電力増幅器503の出力電力POUTが所望電力を超えているので、図7に示す無線通信装置1000における送信信号の電力制御動作は終了する。
一方、レベル検出制御部514は、電力増幅器503の出力電力POUTが基準出力電力Pdefより小さいと判定した場合には(S2003、YES)、LO利得、即ちVCO可変利得アンプ510、ローカル可変利得アンプ508及びハイブリッド可変利得アンプ505a,505bのうち少なくとも1つの各利得が上限値であるか否かを判定する(S2004)。
レベル検出制御部514がVCO可変利得アンプ510、ローカル可変利得アンプ508及びハイブリッド可変利得アンプ505a,505bのうち少なくとも1つの各利得が上限値ではないと判定した場合には(S2004、NO)、無線通信装置1000の動作はステップS2000に戻る。
一方、レベル検出制御部514は、VCO可変利得アンプ510、ローカル可変利得アンプ508及びハイブリッド可変利得アンプ505a,505bのうち少なくとも1つの各利得が上限値であると判定した場合には(S2004、YES)、無線通信装置1000の動作は終了する。
以上により、本実施形態の無線通信装置1000は、例えば「VGA LOOP」の次に「LO LOOP」を実行することで、プロセスばらつきによってミキサ504a,504bの利得が低下した場合でも、ミキサ504a,504bに入力されるローカル信号(同相ローカル信号,直交ローカル信号)の電力を増加させ、電力増幅器503の所望の出力電力を得ることができる。
即ち、無線通信装置1000は、トランジスタの閾値電圧がプロセスばらつきによって所望値から変動しても、高周波送信信号の所望電力を得ることができる。
なお、本実施形態では図8(A)に示す「VGA LOOP」の後に「LO LOOP」が実行されるが、例えば図8(E)に示す「LO LOOP」の後に「VGA LOOP」が実行されても良い。
また、ベースバンド可変利得アンプ507a,507bと、VCO可変利得アンプ510、ローカル可変利得アンプ508及びハイブリッド可変利得アンプ505a,505bのうち少なくとも1つとの各利得が変更されれば、各利得の変更順序は限定されない。例えば図8(B)〜(D)に示す順序に従って利得が変更されても良い。
ここで、図8(A)〜(E)は、第1の実施形態の無線通信装置1000における送信信号の電力制御動作の他の一例を簡易に説明するフローチャートである。図8(A)〜(E)に示す「VGA LOOP」,「VGA LOOP1」,「VGA LOOP2」は、ベースバンド可変利得アンプ507a,507bの各利得が図7に示す「VGA LOOP」に従って変更される動作を表す。図8(B),(D)に示す「VCO LOOP」は、VCO可変利得アンプ510の利得が図7に示す「LO LOOP」に従って変更される動作を表す。
図8(B),(D)に示す「LOSW LOOP」は、ローカル可変利得アンプ508の利得が図7に示す「LO LOOP」に従って変更される動作を表す。更に、図8(B),(D)に示す「HYB LOOP」は、ハイブリッド可変利得アンプ505a,505bの利得が図7に示す「LO LOOP」に従って変更される動作を表す。
図8(B)に示す「VCO LOOP」,「LOSW LOOP」,「HYB LOOP」は、ローカル信号、又は、同相ローカル信号及び直交ローカル信号の出力電力が増加するように、VCO可変利得アンプ510、ローカル可変利得アンプ508及びハイブリッド可変利得アンプ505a,505bのうち少なくとも1つの各利得が変更される動作を表す。
これにより、無線通信装置1000は、ミキサ504a,504bに入力される同相ローカル信号及び直交ローカル信号の入力電力の可変幅を大きくすることができる。
また、図7に示すステップS1004及びステップS2004では、各利得が上限値まで増加される場合を想定して説明したが、特に上限値まで増加される必要はなく、所定の設定値(例えば中間値)まで増加される場合でも良い(図8(C)又は図8(D)参照)。
図9は、ミキサ504a,504bに入力されるベースバンド信号とミキサ504a,504bから出力される高周波送信信号との電力特性を示すグラフである。図9に示す実線は、ローカル信号の入力電力がPL1における電力特性を示す。図9に示す二点鎖線は、ローカル信号の入力電力がPL2における電力特性を示す。入力電力PL1<入力電力PL2とする。
ローカル信号の入力電力がPL1の場合、ベースバンド可変利得アンプ507a,507bの利得をGv0からGv1に増加することで、ミキサ504a,504bに入力されるベースバンド信号の入力電力はPv0からPv1に増加するが、Pv1付近ではミキサ504a,504bの飽和が始まり、利得Gv2に対応する入力電力Pv2ではかなり飽和し、ミキサ504a,504bの特性は歪む。
このため、電力増幅器503の出力電力が所望電力Poに至らない場合、ミキサ504a,504bの歪み特性によって無線通信装置1000として信号精度(例えばEVM(Error Vector Magnitude))が劣化する場合がある。
無線通信装置1000は、ローカル信号の入力電力をPL1からPL2に増加することで、ベースバンド信号の入力電力Pv1ではミキサ504a,504の飽和を抑制してミキサ504a,504bを線形動作させ、ベースバンド信号の入力電力Pv2付近から飽和するようにミキサ504a,504bの線形性を向上させる。これにより、無線通信装置1000は、送信信号の精度を保ったまま、所望電力Poを得ることができる。
従って、図10に示すように、無線通信装置1000は、「VGA LOOP1」において、ベースバンド可変利得アンプ507a,507bの利得を所定の設定値Gv1まで増加し(S1004’)、ベースバンド可変利得アンプ507a,507bの利得が設定値GV1となった時点において、「LO LOOP」の動作を実行する。
図10は、図8(C)に示す送信信号の電力制御動作の詳細な内容を説明するフローチャートである。なお、図10に示すフローチャートでは、図7に示す動作と同一の動作については同一の符号を付して説明を省略又は簡略化し、異なる内容について説明する。
更に、無線通信装置1000は、「LO LOOP」においてVCO可変利得アンプ510、ローカル可変利得アンプ508及びハイブリッド可変利得アンプ505a,505bのうち少なくとも1つの利得が上限値でも、電力増幅器503の出力電力が所望電力Poに満たない場合には、「VGA LOOP2」の動作を実行する。
具体的には、レベル検出制御部514は、ベースバンド可変利得アンプ507a,507bの各利得を設定値Gv1から1ステップ増加するための制御信号値を含む制御信号を生成してベースバンド可変利得アンプ507a,507bに出力する。ベースバンド可変利得アンプ507a,507bは、レベル検出制御部514が生成した制御信号に応じて、現在の各利得(=設定値Gv1)を1ステップ増加する(S3000)。
ミキサ504aは、ベースバンド可変利得アンプ507aが増幅した同相アナログベースバンド信号とハイブリッド可変利得アンプ505aが増幅した同相ローカル信号とを用いて直交変調することで、高周波の同相送信信号を生成して電力増幅器503に出力する。
また、ミキサ504bは、ベースバンド可変利得アンプ507bが増幅した直交アナログベースバンド信号とハイブリッド可変利得アンプ505bが増幅した直交ローカル信号とを用いて直交変調することで、高周波の直交送信信号を生成して電力増幅器503に出力する。
電力増幅器503は、ミキサ504a,504bが生成した高周波の同相送信信号と高周波の直交送信信号とが加算された高周波送信信号を増幅し、結合器502を介して出力端子501に出力する。
パワー検波器513は、結合器502により抜き出された高周波送信信号を検波し(S3001)、検波出力としての高周波送信信号の電力(レベル)をレベル検出制御部514に出力する。
レベル検出制御部514は、パワー検波器513の検波出力としてのアナログの高周波送信信号の電力(レベル)を、パワー(電力又はレベル)に応じたデジタル値に変換して電力増幅器503の出力電力POUTを検出する(S3002)。
レベル検出制御部514は、電力増幅器503の出力電力POUTと予め定められた基準出力電力Pdefとを比較する(S3003)。電力増幅器503の出力電力POUTが基準出力電力Pdefより大きい場合には(S3003、NO)、電力増幅器503の出力電力POUTが所望電力を超えているので、図10に示す無線通信装置1000における送信信号の電力制御動作は終了する。
一方、レベル検出制御部514は、電力増幅器503の出力電力POUTが基準出力電力Pdefより小さいと判定した場合には(S3003、YES)、VGA利得、即ちベースバンド可変利得アンプ507a,507bの各利得が上限値であるか否かを判定する(S3004)。ステップS3004においてベースバンド可変利得アンプ507a,507bの各利得が上限値である場合には(S3004、YES)、無線通信装置1000の送信信号の電力制御動作は終了する。
ステップS3004においてベースバンド可変利得アンプ507a,507bの各利得が上限値でない場合には(S3004、NO)、無線通信装置1000の動作はステップS3000に戻る。
なお、本実施形態の無線通信装置1000は、ベースバンド可変利得アンプ507a,507b、VCO可変利得アンプ510、ローカル可変利得アンプ508、ハイブリッド可変利得アンプ505a,505bの各利得を変更すると説明したが、他に、ミキサ504a,504b、又は電力増幅器503の利得を変更しても良い。
なお、本実施形態の無線通信装置1000は、ダイレクトコンバージョン方式を用いているが、特にこの方式に限定する必要は無く、ベースバンド可変利得アンプとローカル可変利得増幅器とを有する方式であれば良く、例えばヘテロダイン方式でも同様の効果が得られる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、送信機としての回路構成を有する無線通信装置1000が、プロセスばらつきが生じることで、トランジスタの閾値電圧が所望値から変動しても、電力増幅器503の出力電力として所望電力Poを得る動作を説明した。
第2の実施形態では、送受信機としての回路構成を有する無線通信装置2000が、プロセスばらつきが生じることでトランジスタの閾値電圧が所望値から変動しても、送信回路において電力増幅器503の出力電力として所望電力Poを得て、更に、受信回路における一定の利得を得る動作を説明する。
図11は、第2の実施形態の無線通信装置2000の回路構成を示す図である。図11に示す無線通信装置2000は、送信回路TXと、受信回路RXと、電圧制御発振器511と、VCO可変利得アンプ510と、ローカルスイッチ509とを含む。図11に示す回路構成において、図1に示す回路構成と同一の回路構成については同一の符号を付して説明を省略、簡略化又は補足し、異なる内容について説明する。
図11に示す送信回路TXは、ベースバンド可変利得アンプ507a,507bと、ミキサ504a,504bと、電圧制御発振器511と、VCO可変利得アンプ510と、ローカルスイッチ509と、ローカル可変利得アンプ508と、90度ハイブリッド移相器506と、ハイブリッド可変利得アンプ505a,505bと、電力増幅器503と、結合器502と、パワー検波器513と、レベル検出制御部514とを含む。
図11に示す受信回路RXは、LNA(低雑音増幅器:Low Noise Amplifier)552と、ミキサ554a,554bと、ローカル可変利得アンプ558と、90度ハイブリッド移相器556と、ハイブリッド可変利得アンプ555a,555bと、ベースバンド可変利得アンプ557a,557bとを含む。
LNA552は、入力端子551を介して、高周波受信信号を入力して増幅する。増幅された高周波受信信号は、2つに分岐されてミキサ554a,554bに入力される。
ローカルスイッチ509は、不図示の制御回路が出力した制御信号に応じて、VCO可変利得アンプ510が増幅したローカル信号を、ローカル可変利得アンプ508又はローカル可変利得アンプ558に出力する。
なお、ローカルスイッチ509は、VCO可変利得アンプ510が増幅したローカル信号を送信回路又は受信回路に切り換えて出力しているが、ローカルスイッチ509を設けずに、電圧制御発振器511及びVCO可変利得アンプ510が送信回路TX及び受信回路RXに対して1つずつそれぞれ設けられても良い。
ローカル可変利得アンプ558は、ローカルスイッチ509を介して、VCO可変利得アンプ510が増幅したローカル信号を増幅して90度ハイブリッド移相器556に出力する。ローカル可変利得アンプ558は、レベル検出制御部514が生成した制御信号の制御信号値に応じて、利得を変更する。
90度ハイブリッド移相器556は、ローカル可変利得アンプ558が増幅したローカル信号を基に、位相が互いに直交する同相ローカル信号,直交ローカル信号を生成し、同相ローカル信号をハイブリッド可変利得アンプ555aに出力し、直交ローカル信号をハイブリッド可変利得アンプ555bに出力する。
ハイブリッド可変利得増幅器としてのハイブリッド可変利得アンプ555aは、90度ハイブリッド移相器556が生成した同相ローカル信号を増幅してミキサ554aに出力する。ハイブリッド可変利得アンプ555aは、レベル検出制御部514が生成した制御信号の制御信号値に応じて、利得を変更する。
ハイブリッド可変利得増幅器としてのハイブリッド可変利得アンプ555bは、90度ハイブリッド移相器556が生成した直交ローカル信号を増幅してミキサ554bに出力する。ハイブリッド可変利得アンプ555bは、レベル検出制御部514が生成した制御信号の制御信号値に応じて、利得を変更する。
受信ミキサとしてのミキサ554aは、LNA552が増幅したアナログの高周波受信信号とハイブリッド可変利得アンプ555aが増幅した同相ローカル信号とを用いて直交復調することで、同相アナログベースバンド受信信号を生成してベースバンド可変利得アンプ557aに出力する。
受信ミキサとしてのミキサ554bは、LNA552が増幅したアナログの高周波受信信号とハイブリッド可変利得アンプ555bが増幅した直交ローカル信号とを用いて直交復調することで、直交アナログベースバンド受信信号を生成してベースバンド可変利得アンプ557bに出力する。
受信ベースバンド可変利得増幅器としてのベースバンド可変利得アンプ557a,557bは、同相アナログベースバンド受信信号,直交アナログベースバンド受信信号を入力して増幅する。増幅された同相アナログベースバンド信号,直交アナログベースバンド信号は、それぞれ出力端子562a,562bに出力され、不図示の各ADC(Analog Digital Converter)に入力される。
制御部としてのレベル検出制御部514は、送信回路TXにおけるローカル可変利得アンプ508及びハイブリッド可変利得アンプ505a,505bのうち少なくとも1つのうち、利得を変更させる変更対象の各可変利得アンプに対し、変更後の各利得を設定するための制御信号値を含む制御信号を、受信回路RXにおけるローカル可変利得アンプ558及びハイブリッド可変利得アンプ555a,555bのうち少なくとも1つに同様に出力する。
即ち、レベル検出制御部514は、送信回路TXにおけるローカル可変利得アンプ508及びハイブリッド可変利得アンプ505a,505bのうち、利得を変更させる変更対象の各可変利得アンプに対し、変更後の各利得を設定する制御信号値を、受信回路RXにおけるローカル可変利得アンプ558及びハイブリッド可変利得アンプ555a,555bのうち、利得を変更させる変更対象の各可変利得アンプに対し、変更後の利得を設定するための制御信号値として用いる。
これにより、レベル検出制御部514は、無線通信装置2000の送信回路TXと同様に、ローカル可変利得アンプ558及びハイブリッド可変利得アンプ555a,555bのうち少なくとも1つにおいて利得を変更することで、無線通信装置2000の受信回路RXにおいてもミキサ554a,554bに入力されるローカル信号の入力電力を適切な目標値に調整できる。
図12は、受信回路RXのミキサ554a,554bに入力されるローカル信号とミキサ554a,554bから出力されるベースバンド信号との電力特性を示すグラフである。図12に示す実線は、ミキサ554a,554bに用いられるトランジスタの閾値電圧Vthが典型値(中心値)となるT状態における電力特性を示す。図12に示す一点鎖線は、ミキサ554a,554bに用いられるトランジスタの閾値電圧Vthが低い値となるF状態における電力特性を示す。図12に示す点線は、ミキサ554a,554bに用いられるトランジスタの閾値電圧Vthが高い値となるS状態における電力特性を示す。
図12では、プロセスばらつきによって、送信回路TXのミキサ504a,504bと同様に、受信回路RXのミキサ554a,554bに入力されるローカル信号の入力電力に対するベースバンド信号の出力電力の特性が異なる。
具体的には、ローカル信号の入力電力をPrtとすると、出力電力はT状態では目標電力Prmとなるが、F状態では目標電力Prmより高く、S状態では目標電力Prmより低くなる。即ち、ローカル信号の入力電力が一定であると、S状態ではトランジスタの閾値電圧Vthが高く、最大動作周波数fmaxが減少してしまい、ミリ波帯を用いる無線通信回路では動作周波数がfmaxと比べて充分低くない(例えば1/10以下でない)と、S状態では、ミキサ554a,554bの各利得は低下する。
言い換えると、本実施形態の無線通信装置2000が単一のチップ(1チップ)のCMOSにより構成される場合、プロセスばらつきによって、送信回路TXと、受信回路RXとの両方に同様の影響を受ける場合がある。例えば、チップがF状態となると、チップ上に構成される送信回路TX及び受信回路RXも同様にF状態となり、送信回路TX及び受信回路RXに用いられるトランジスタの特性がF状態となる。
そこで、本実施形態では、無線通信装置2000は、送信回路TXのミキサ504a,504bに入力されるローカル信号の入力電力の設定値を、受信回路RXのミキサ554a,554bに入力されるローカル信号の入力電力の設定値に用いる。
言い換えると、無線通信装置2000は、ローカル可変利得アンプ508及びハイブリッド可変利得アンプ505a,505bのうち、利得を変更させる変更対象の各可変利得アンプに対し、変更後の各利得を設定するための制御信号値を、ローカル可変利得アンプ558及びハイブリッド可変利得アンプ555a,555bのうち、利得を変更させる変更対象の各可変利得アンプに対し、変更後の各利得を設定するための制御信号値に用いる。
これにより、無線通信装置2000は、送信回路TXのミキサ504a,504bと受信回路RXのミキサ554a,554bとに対してプロセスばらつきの影響が同様に生じても、送信回路TXのミキサ504a,504bだけでなく、受信回路RXのミキサ554a,554bにおいても一定の利得を得ることができる。
なお、無線通信装置2000は、ローカル可変利得アンプ508及びハイブリッド可変利得アンプ505a,505bのうち、利得を変更させる変更対象の各可変利得アンプに対し、変更後の各利得を設定するための制御信号値と同一の値を、ローカル可変利得アンプ558及びハイブリッド可変利得アンプ555a,555bのうち、利得を変更させる変更対象の各可変利得アンプに対し、変更後の各利得を設定するための制御信号値に用いなくても良い。
例えば、無線通信装置2000は、ローカル可変利得アンプ508及びハイブリッド可変利得アンプ505a,505bのうち、利得を変更させる変更対象の各可変利得アンプに対し、変更後の各利得を設定するための制御信号値より所定値低い値又は高い値を、ローカル可変利得アンプ558及びハイブリッド可変利得アンプ555a,555bのうち、利得を変更させる変更対象の各可変利得アンプに対し、変更後の各利得を設定するための制御信号値として用いても良い。これは、送信回路TXのミキサ504a,504bと受信回路RXのミキサ554a,554bの各ローカル信号の入力電力に対する出力電力特性が一致するとは限らないためである。
図13は、第2の実施形態の無線通信装置2000における送信信号の電力制御動作の詳細な内容を説明するフローチャートである。なお、図13に示すフローチャートでは、図7に示す動作と同一の動作については同一の符号を付して説明を省略又は簡略化し、異なる内容について説明する。
図13において、送信回路TXのミキサ504a,504bに入力されるベースバンド信号及びローカル信号を増幅するための各利得を変更するための動作(「TX LOOP」)は、ステップS1000〜ステップS2004までの「VGA LOOP」及び「LO LOOP」であり、図7に示すステップS1000〜ステップS2004までの動作と同一であるため説明を省略する。
本実施形態では、無線通信装置2000は、ステップS2004の後、送信ローカルの利得設定値、即ちローカル可変利得アンプ508及びハイブリッド可変利得アンプ505a,505bのうち、利得を変更させる変更対象の各可変利得アンプに対し、変更後の各利得を設定する制御信号値と同一の値を、ローカル可変利得アンプ558及びハイブリッド可変利得アンプ555a,555bのうち利得を変更させる変更対象の各可変利得アンプに対し、変更後の各利得を設定するための制御信号値に用いる(S4000、RX UPDATE)。
なお、図13では、「TX LOOP」は、「VGA LOOP」と「LO LOOP」とであるが、例えば図8(B)〜図8(D)に示す各動作であっても良い。
以上により、本実施形態の無線通信装置2000は、送信回路TXのミキサ504a,504bに入力されるローカル信号の入力電力の設定値、言い換えるとローカル可変利得アンプ508及びハイブリッド可変利得アンプ505a,505bのうち、利得を変更させる変更対象の各可変利得アンプに対し、変更後の各利得を設定するための制御信号値を、受信回路RXのミキサ554a,554bに入力されるローカル信号の入力電力の設定値、言い換えるとローカル可変利得アンプ558及びハイブリッド可変利得アンプ555a,555bのうち、利得を変更させる変更対象の各可変利得アンプに対し、変更後の各利得を設定するための制御信号値として用いる。
これにより、無線通信装置2000は、プロセスばらつきが生じることで送信回路TXに用いられるトランジスタの閾値電圧が所望値(典型値、中心値)から変動しても、送信回路TXにおいて電力増幅器503の出力電力として所望電力Poを得ることができる。更に、無線通信装置2000は、プロセスばらつきが生じることで受信回路RXに用いられるトランジスタの閾値電圧が所望値(典型値、中心値)から変動しても、ローカル可変利得アンプ508及びハイブリッド可変利得アンプ505a,505bのうち、利得を変更させる変更対象の各可変利得アンプに対し、変更後の各利得を設定する制御信号値と同一の値又は所定値高い値又は低い値を用いることで、受信回路RXにおいて一定の利得を得ることができる。
以上、図面を参照して各種の実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。