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JP5934015B2 - 積層構造体の製造方法 - Google Patents
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本発明は、積層構造体の製造方法に関するものである。
デジタルカメラ等の電子機器を構成する、データを記憶する媒体の一つとして、強誘電体が有する分極の保持(ヒステリシス)特性を利用した、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)デバイスが注目されている。FeRAMデバイスは、電源を切ってもデータを保持する不揮発性のメモリデバイスであって、低電圧による高速書き込み動作が可能であるという特徴を有する。
FeRAMデバイスは、強誘電体膜を二つの電極で挟むように構成される。強誘電体膜は、下地膜をなす一方の電極膜(下部電極膜)上に、例えばMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いて、エピタキシャル成長させることにより形成することができる。誘電体膜としては、ペロブスカイト構造を有し、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする膜(PZT膜)が用いられる。PZT膜は、チタン鉛とジルコン酸鉛との固溶体であり、優れた分極特性を得るためには、両者がほぼ1:1のモル比で固溶したものであることが、好ましいとされている。
ところで、強誘電体膜の表面は、外部に存在するイオン等の荷電粒子にシールドされることが多く、強誘電体膜の全分極のうち、表面における分極を正しく測定することが難しい。そのため、分極として記録された情報を完全に読み出すことができず、記録密度が低下してしまうことが問題となっている。そこで、強誘電体膜の分極を、圧電方式によって、高分解能にて測定可能な走査型非線形誘電率顕微鏡(Scanning Nonlinear Dielectric Microscopy、SNDM)の技術を適用した、強誘電体プローブメモリの開発が行われている(非特許文献1)。強誘電体プローブメモリを用いる場合、プローブが上部電極としての機能を兼ねるため、誘電体膜には下部電極膜のみ形成された二層構造となっている。強誘電体プローブメモリを用いることにより、外部のイオン等の荷電粒子の存在によらない、強誘電体膜の表面の分極を測定することができる(非特許文献2)。
しかしながら、強誘電体プローブメモリは接触方式であるため、プローブと強誘電体膜との接触面の状態が、測定結果に対して大きく影響する。例えば、プローブを凹凸のある接触面に接触させた場合、プローブが強誘電体膜の表面に加える圧力の大きさは、接触位置に応じてばらついてしまう。したがって、強誘電体膜の表面は平坦であることが望ましいが、強誘電体プローブメモリに用いる程度の大きな領域を、プローブ測定する際のプローブの接触状態に影響を与えないレベルで、平坦に形成することは難しいとされている。
また、従来のFeRAMデバイスの製造方法によれば、誘電体膜を形成する際に行う加熱処理が、下地膜となる電極膜の変質を誘発し、変質した電極膜と、この電極膜上に成長させる誘電体膜の格子整合性が崩れてしまうことが問題となっている。格子整合性の崩れは、誘電体膜の表面の平坦性に影響して分極を妨げる傾向にあり、FeRAMデバイスとして動作させた際の記録密度を増加させて、誘電体膜の記憶媒体としての機能をさらに高める上での支障となっている。
Y.Cho et.al.,Appl.Phys.Lett.,75(1999)2833−2835. K.Fujimoto et.al.,PIONEER R&D Vol.15 No.2.
本発明は、以上のような点を考慮してなされたものであり、基板の一方の主面に、電極膜、誘電体膜の順に積層してなり、誘電体膜の表面が、プローブ測定用のプローブを接触させた状態に影響を与えないレベルの平坦性を有する積層構造体を提供するための製造方法である。
また、本発明は、誘電体膜の表面が、誘電体膜と電極膜との接合面と同等の平坦性を有するように制御することを可能とする、積層構造体の製造方法を提供する。
本発明の請求項1に係る積層構造体の製造方法は、基板の一方の主面に、電極膜と誘電体膜とを順に積層してなる積層構造体の製造方法であって、前記基板の一方の主面に前記電極膜を成膜する工程Aと、前記工程Aにより成膜された後、前記電極膜に熱処理を施す工程Bと、前記工程Bの熱処理を経た前記電極膜の表面に前記誘電体膜を、MOCVD法により成膜する工程Cとを備え、前記工程Aにおいて成膜される前記電極膜はルテニウム酸ストロンチウムであり、前記工程Bの熱処理の温度範囲は652℃以上660℃以下であり、前記工程Cにおいて成膜される前記誘電体膜はチタン酸ジルコン鉛であり、前記工程Cは、前記誘電体膜の表面が、該誘電体膜と前記電極膜との接合面と同等の平坦性を有するように、基板の温度を制御することを特徴とする。
本発明の請求項2に係る積層構造体の製造方法は、請求項1において、前記工程Cは、前記誘電体膜の成膜温度を630[℃]に制御して、前記誘電体膜を成膜することを特徴とする。
本発明の請求項3に係る積層構造体の製造方法は、請求項1又は2において、前記誘電体膜を成膜する前記工程Cの前に、前記基板と該基板の一方の主面に積層された電極膜とを、前記成膜温度となるまで、190[℃/min]以上220[℃/min]以下の範囲の加熱速度にて昇温させることを特徴とする。
本発明の請求項4に係る積層構造体の製造方法は、請求項1乃至3のいずれか一項において、前記誘電体膜を成膜する前記工程Cの後に、前記積層構造体を、300℃となるまで5[℃/min]の冷却速度にて降温させることを特徴とする。
本発明に係る積層構造体の構成によれば、誘電体膜の表面は、PFM測定する際に用いるプローブが接触させた際に、接触状態に影響を与えないレベルの平坦性を有する。したがって、プローブ測定を行う際に、プローブを誘電体の表面に接触させて加える圧力の大きさが、接触位置に応じてばらつく虞がないため、誘電体膜の表面全体において、分極を正確に測定することができる。
また、本発明に係る積層構造体の製造方法によれば、電極膜上に誘電体膜を成膜する際の温度条件を制御することにより、成膜後の誘電体膜と電極膜との接合面において、格子整合性の崩れが生じるのを防ぎ、平坦性を維持することができる。
そして、誘電体の表面も、接合面と同等の平坦性を有するように形成されるため、誘電体膜の平坦性に敏感な分極測定の精度を高く維持することができる。
さらに、接合面における格子整合性の崩れが生じるのを防ぐことができるため、誘電体膜の膜質に敏感な分極状態を正常に維持することができる。したがって、FeRAMデバイスとして動作させた際の記憶密度を増加させて、誘電体膜の記憶媒体としての機能をさらに高めることが可能となる。
第一実施形態に係る、積層構造体の断面図である。 誘電体膜の形成に用いる、成膜装置の断面図である。 誘電体膜を形成する前に行う、熱処理の温度履歴を示すグラフである。 PFM測定系の構成について説明する図である。 熱処理の影響による、分極領域の半径の変化を示すグラフである。 (a)、(b)誘電体膜の表面状態を示すAFM画像である。 (a)分極反転ドットのPFM画像である。(b)誘電体膜の分極反転ドットの配列を模式的に示した図である。
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
<第一実施形態>
[積層構造体の構成]
図1(a)は、第一実施形態に係る積層構造体100の構成について、説明する図である。積層構造体100は、基板101の一方の主面101aに、電極膜102と誘電体膜103とを順に積層してなる。
基板101は、チタン酸ストロンチウム(SrTiO、STO)やシリコン(Si)等によって構成された単結晶基板である。
電極膜102は、例えばルテニウム酸ストロンチウム(SrRuO、SRO)からなる薄膜であり、積層構造体100をFeRAMデバイスとして動作させる際に、片方の電極として機能する。また、電極膜102は、基板101と誘電体膜103とのバッファ層としても機能する。なお、電極膜102の表面の二乗平均粗さRMSは、0.05[nm]以上0.3[nm]以下となっていることが望ましい。
誘電体膜103は、ペロブスカイト構造を有する強誘電体であり、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(ZrTi1−x)O、PZT)等からなる。PZT膜は、チタン亜鉛とジルコン酸亜鉛との固溶体であり、優れた分極特性を得るためには、両者がほぼ1:1のモル比で固溶したものであることが、好ましいとされている。
誘電体膜103は、後述するMOCVD法により、電極膜102上にエピタキシャル成長(層状成長)したものである。そのため、電極膜102を構成する分極電荷は、いずれも誘電体膜103の厚み方向(c軸方向)に配向している。
誘電体膜の表面103aは、電極膜102と誘電体膜103との接合面102a(103b)と同等の平坦性、すなわち二乗平均粗さRMSを有するように形成されている。同等の平坦性(二乗平均粗さRMS)を有する形状は、誘電体膜の表面103aの表面の二乗平均粗さRMSが、電極膜102と誘電体膜103との接合面102a(103b)の二乗平均粗さRMSの2倍以下である形状として、定義されるものとする。また、誘電体膜の表面103aは、誘電体膜103の分極について、誘電体膜の表面103aにプローブを接触させて、PFM(Piezoresponse Force Microscopy)測定を行う際に、プローブの接触状態に影響を与えないレベルの平坦性を有するように形成されている。PFM測定については、後述する実施例2を用いて説明する。
以上説明したように、第一実施形態に係る積層構造体100の構成によれば、誘電体膜の表面103aは、PFM測定する際に用いるプローブを接触させた際に、接触状態に影響を与えないレベルの平坦性を有する。したがって、プローブ測定を行う際に、プローブを誘電体膜の表面103aに接触させて加える圧力の大きさが、接触位置に応じてばらつく虞がないため、誘電体膜の表面103aa全体において、分極を正確に測定することができる。
[積層構造体の製造方法]
図1に示した積層構造体100の製造方法について説明する。まず、減圧下の成膜室内において、基板の一方の主面101aに対して、例えば基板温度を650[℃]、成膜室内の圧力を1.0[Pa]として、スパッタリング処理を行い、電極膜102を形成する(工程A)。
次に、工程Aを経た、基板101および基板の一方の主面101aに形成された電極膜102に対して、図2に示す成膜装置200を用いて、熱処理、MOCVD処理を順に行う。成膜装置200は、成膜処理用のチャンバ201と、チャンバ201内を減圧する排気手段202と、チャンバ201内に反応ガスを供給する手段203と、チャンバ201内に配された被処理体を載置するステージ204と、ステージ204に付設され、ステージ204の温度を制御する手段(温度制御手段)205と、を少なくとも備えている。
工程Aを経た基板101および電極膜102に対して熱処理を行う(工程B)。工程Bは、次に述べる二つのステップからなる。すなわち、一つ目のステップとして、温度制御手段205を用いて、ステージ204とともに基板101および電極膜102を加熱する。より詳細には、次に述べる誘電体膜103の成膜温度600〜700[℃]となるまで、190[℃/min]以上220[℃/min]以下の加熱速度にて、基板101および電極膜102を昇温させる。
続いて二つ目のステップとして、温度制御手段205による加熱を止めた状態にて、約1630秒間保持する。この間、基板101および電極膜102の温度は、ピーク時の温度より若干下降するが、成膜温度の範囲内にあるように制御する。
次に、減圧下のチャンバ内において、工程Bを経た電極膜102の表面102aに、例えば基板温度630[℃]、圧力667[Pa]、成膜時間を4分30秒として、MOCVD処理を行い、誘電体膜103を成膜する(工程C)。
そして、温度制御手段205を用いて、ステージ204とともに、成膜後の基板101、電極膜102、および誘電体膜103を冷却する。より詳細には、300[℃]となるまで、約5[℃/min]の冷却速度にて、基板101および電極膜102を降温させる(工程D)。工程Dを経ることにより、第一実施形態に係る積層構造体100を得ることができる。
なお、被処理基板の搬送中あるいは待機中における温度や圧力の微小変動は、誘電体膜103や電極膜102の膜質に大きく影響する可能性があるため、電極膜102と誘電体膜103とは同じ減圧下で成膜処理することが望ましく、連続成膜処理することがより望ましい。
以上説明したように、第一実施形態に係る積層構造体100の製造方法によれば、電極膜上に誘電体膜を成膜する際の温度条件を制御することにより、成膜後の誘電体膜と電極膜との接合面において、格子整合性の崩れが生じるのを防ぎ、平坦性を維持することができる。
そして、誘電体の表面も、接合面と同等の平坦性を有するように形成されるため、誘電体膜の平坦性に敏感な分極測定の精度を高く維持することができる。
さらに、接合面における格子整合性の崩れが生じるのを防ぐことができるため、誘電体膜の膜質に敏感な分極状態を正常に維持することができる。したがって、FeRAMデバイスとして動作させた際の記憶密度を増加させて、誘電体膜の記憶媒体としての機能をさらに高めることが可能となる。
第一実施形態に係る、積層構造体100の製造方法を用いた実施例1〜4について、以下に説明する。
[実施例1]
図3は、工程Bの熱処理中に、温度制御手段205によって制御された、ステージ204を介して、4通り(a1、a2、b1、b2)の処理を行った際の温度履歴を示す、2本の曲線(a、b)を比較したグラフである。グラフの横軸は基板の熱処理に要する時間を示し、縦軸は熱処理を行った際の基板の温度を示している。
曲線aは、上述した工程Bにおいて、基板101および電極膜102に対して、短時間にて加熱処理(昇温処理)を行った上で、誘電体膜(ここではPZT膜)の成膜処理を行った場合(a1)に対応する。
また、曲線aは、工程Bにおいて、基板101および電極膜102に対して、短時間にて加熱処理(昇温処理)を行った上で、誘電体膜の成膜処理を行わなかった場合(a2)にも対応する。
曲線bは、工程Bにおいて、基板101および電極膜102に対して、加熱処理(昇温処理)を行わず、誘電体膜の成膜処理を行った場合(b1)に対応する。
また、曲線bは、工程Bにおいて、基板101および電極膜102に対して、加熱処理(昇温処理)を行わず、誘電体膜の成膜処理を行わなかった場合(b2)にも対応する。
工程Bの熱処理の温度を、曲線aの温度履歴となるように制御した場合、あるいは曲線bの温度履歴となるように制御した場合、誘電体膜103の表面の二乗平均粗さRMS(以下、粗さと呼ぶ)は、それぞれ0.5[nm]以下、数[nm]となる。すなわち、グラフaに示すように温度を制御して、基板101および電極膜102に対して熱処理を行うことにより、結果として、成膜処理された誘電体膜103の表面の粗さが小さく抑えられることが分かる。
一方、工程Bの熱処理の温度を、曲線aの温度履歴となるように制御した場合、熱処理の前後における電極膜102の表面の粗さに変化は表れない。これに対し、工程Bの熱処理の温度を、曲線bの温度履歴となるように制御した場合には、熱処理を経ることにより、電極膜102の表面の粗さが増大する傾向がある。すなわち、誘電体膜103の表面に粗さが生じる原因の一つに、下地膜をなす電極膜102の表面に生じる粗さが挙げられる。したがって、曲線aに示すように温度を制御して熱処理を行うことにより、電極膜102とともに誘電体膜103の表面の粗さを抑えられることが分かる。
[実施例2]
工程Dを経て形成された積層構造体100について、メモリデバイスとして動作させた際の記憶密度を評価する方法について説明する。記憶密度は、PFM(Piezoresponse Force Microscopy)測定を行うことにより得られる。図4は、PFM測定系200の構成について説明する図である。
PFM測定系300は、電極膜102に対して電気信号を与えるファンクションジェネレーター301と、誘電体膜の表面103aの状態を観察する原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope、AFM)(不図示)と、を備えている。原子間力顕微鏡は、片持ちレバー(カンチレバー)状のプローブ302を備え、さらに、プローブ302の先端に、積層構造体100をメモリデバイスとして動作させる際に、誘電体膜103に接し、一方の電極(電極膜)102と対になる他方の電極として機能する、AFM探針303を備えている。
また、PFM測定系300は、プローブ302に向けて照射するレーザー光の光源303と、プローブ302において、測定情報を含んで反射する光を検出するディテクター304と、ディテクター304に電気的に接続され、検出された光による信号を正常に増幅する増幅回路305および負帰還回路306とを備えている。
また、PFM測定系300は、増幅回路305および負帰還回路306を制御する手段(制御手段)308と、制御手段による制御状態を表示する手段(表示手段)309と、プローブ302によって測定結果を、画像データに変換して出力するスキャナー307と、を備えている。
上述したPFM測定系300において、AFM探新針303を誘電体膜103の所定の部位のみに接触させ、電圧を印加した際に生じる圧電応答を検知することにより、誘電体膜103の分極状態に関する情報を取得することができる。
PFM測定系300を用いて得られた測定結果について、図5のグラフに示す。図5のグラフは、基板101および電極膜102に対して、工程Bの処理を行った場合(図3のグラフの曲線aに対応)のサンプルaと、行わなかった場合(図3のグラフの曲線bに対応)のサンプルbとで、誘電体膜103を分極させ、反転した領域の最小半径について比較したものである。横軸は測定に用いたサンプル名を示し、縦軸は分極反転の半径を示している。
図5によれば、工程Bの処理を行わなかった場合に、分極反転の半径が約100[nm]に広がっており、高密度記憶媒体として利用することは難しい。これに対して、工程Bの処理を行った場合には分極反転の半径は約25[nm]に狭められる。すなわち、工程Bの熱処理を行うことにより、分極反転する領域を、半径にして約25%、面積にして約6%に縮小できており、高密度記録媒体として好適な状態となっていることが分かる。
[実施例3]
工程Cにおいて形成する誘電体膜103の膜厚を変化させた場合、その表面状態もまた変化することについて、サンプルcとサンプルdに関する表1および図6(a)、(b)を用いて説明する。
表1に示すように、成膜時間を275[s]、550[s]とした場合、成膜される誘電体膜103の厚さは、それぞれ17[nm]、33[nm]となる。そして、膜厚を17[nm]とした場合には、粗さが0.286[nm]に抑えられているのに対し、膜厚を33[nm]とした場合には、膜表面の粗さが約2倍の0.589[nm]に増加している。
図6(a)、(b)は、それぞれ膜厚を17[nm]、33[nm]とした場合の誘電体膜103の表面状態を示すAFM画像である。膜厚を17[nm]とした場合の膜表面には、一様な間隔で並ぶステップ構造が見られる。これに対し、膜厚を33[nm]に増加させた場合の膜表面は、結晶性が悪化しており、ステップ構造が見えなくなっている。これは、誘電体膜102を、MOCVD法を用いてエピタキシャル成長(層状成長)させようとしても、膜厚の増加とともに層状を維持して成長させるのが難しくなるためと考えられる。したがって、誘電体膜の厚さは、層状成長が維持できる程度の厚さであることが好ましい。
[実施例4]
誘電体膜103の表面の粗さによって、積層構造体100をメモリデバイスとして動作させた際の記録密度が変化することについて、図7(a)、(b)および表2を用いて説明する。
図7(a)は、誘電体膜103の厚さ方向に対して、印加する電圧について五水準(4V、5V、6V、7V、8V)、電圧を印加する時間について七水準(1ms、5ms、10ms、30ms、50ms、70ms、100ms)設定し、各水準に対応する分極領域を、誘電体103膜上に配列するように形成させた状態を、PFM画像にて示したものである。分極領域は、図7(b)に示すように、横方向Tにおいては、左側から右側へ印加電圧の低い順に、縦方向Lにおいては、上側から下側へ印加時間の短い順に配列されている。
図7(a)において、丸で囲んだ領域に含まれるドットは、印加電圧5[V]、印加時間1[ms]として形成された、最小径の分極領域を示している。図7(a)によれば、印加電圧あるいは印加時間を増加させるにつれて分極領域の径(直径)が大きくなる傾向にある。また、印加電圧を5[V]より小さくした場合、あるいは印加時間を1[ms]より短くした場合には、分極領域と見なせる大きさのドットは生じない。
表2は、サンプルeとサンプルfについて、誘電体膜103の成膜条件および成膜後の特性をまとめたものである。サンプルB1は図2に示した最小径の分極領域に対応するものである。サンプルB2は、誘電体膜103の表面の粗さを、サンプルB1の約2倍に高めたものである。
表2によれば、サンプルeを構成する誘電体膜の表面102aの粗さ、誘電体膜に形成される分極領域の直径ともに、サンプルfの半分以下に抑えられている。このことから、誘電体膜の表面の粗さを低く抑えることにより、分極領域の直径を小さくすることができ、その結果として、記憶密度の増加を実現できることが分かる。
本発明は、強誘電体膜の分極状態を、PFM測定を行って求める場合に対し、広く適用することが出来る。
100・・・積層構造体、101・・・基板、101a・・・主面、102・・・電極膜、102a・・・接合面、103a・・・表面。

Claims (4)

  1. 基板の一方の主面に、電極膜と誘電体膜とを順に積層してなる積層構造体の製造方法であって、
    前記基板の一方の主面に前記電極膜を成膜する工程Aと、
    前記工程Aを経た前記基板および前記電極膜に対して熱処理を行う工程Bと、
    前記工程Bを経た前記電極膜の表面に前記誘電体膜を、MOCVD法により成膜する工程Cとを備え、
    前記工程Aにおいて成膜される前記電極膜はルテニウム酸ストロンチウムであり、
    前記工程Bの熱処理の温度範囲は652℃以上660℃以下であり、
    前記工程Cにおいて成膜される前記誘電体膜はチタン酸ジルコン鉛であり、
    前記工程Cは、前記誘電体膜の表面が、該誘電体膜と前記電極膜との接合面と同等の平坦性を有するように、基板の温度を制御することを特徴とする積層構造体の製造方法。
  2. 前記工程Cは、前記誘電体膜の成膜温度を630[℃]に制御して、前記誘電体膜を成
    膜することを特徴とする請求項1に記載の積層構造体の製造方法。
  3. 前記誘電体膜を成膜する前記工程Cの前に、前記基板と該基板の一方の主面に積層された電極膜とを、前記成膜温度となるまで、190[℃/min]以上220[℃/min]以下の範囲の加熱速度にて昇温させることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層構造体の製造方法。
  4. 前記誘電体膜を成膜する前記工程Cの後に、前記積層構造体を、300℃となるまで5[℃/min]の冷却速度にて降温させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の積層構造体の製造方法。
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