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JP5934621B2 - 光偏向器の製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、光スキャナ等に装備されるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)光偏向器の製造方法に関する。
近年、画像表示装置の一形態として、光偏向器を用いて光源からの光を偏向してスクリーンに投影し、スクリーン上に画像を映し出すようにしたプロジェクションディスプレイが提案されている。光偏向器としては、例えば、半導体プロセスやマイクロマシン技術を用いたMEMSデバイスとして、半導体基板上にミラーや圧電アクチュエータ等の機構部品を一体的に形成したMEMS光偏向器が挙げられる(例:特許文献1)。
この光偏向器では、圧電アクチュエータの一端が枠部(支持部)に連結されて支持され、この圧電アクチュエータが発生したトルクを他端に連結されたトーションバー(弾性梁)に伝え、トーションバーの先に備え付けられたミラーを揺動(往復回動)させる。このような光偏向器は、小型で簡単な構造で大きな駆動力が得られるという利点がある。1つ1つの光偏向器素子はシリコンウェハを一括でパターン加工した後に、ダイシング工程により個片として切り出されてから、セラミック等のパッケージに実装されて製品となる。
光偏向器の素子構造は直径1mm程度のミラーを細いトーションバーで支持してアクチュエータに連結している。アクチュエータの動きによってトーションバーが捩れることによりミラーが揺動する。この揺動ミラーにレーザ光線を照射することにより1次元または2次元の走査光線が得られる。ミラーの揺動を妨げないようにミラーの周辺には比較的広い空間が設けられている。特に、1つのミラーを直交する2つの回転軸線の回りに同時に揺動させる2次元光偏向器においては、可動部の領域が素子全体に占める割合が大きい。
このような素子構造に対して最も一般的なブレードダイシングで加工ウェハを各チップに個片化する工程において、高圧の純水が加工ウェハに当たる際に、MEMS光偏向器の素子構造が壊れてしまうという不具合が発生する。
この問題を避けるために、加工ウェハ表面に保護テープを貼り付けるやり方もあるが、後で同テープを剥離する際にMEMS光偏向器の素子構造が壊れてしまうという不具合が起こる。紫外線照射や加熱処理によってテープの粘着力が弱まるものを使用しても、加工ウェハ表面の複雑な構造に対しては100%素子破損を防止することができない。テープを使わずにレジストを塗布して保護層とした場合でも、後でレジストを除去する際の工程で、同素子構造が破損する不具合が発生する。
このような不具合を解決するための手段として、ウェハレベルでガラスウェハ等と接合しておいてミラーの揺動空間を確保してからダイシングするウェハレベルパッケージが近年開発されてきている。
図11にウェハレベルパッケージの模式図を示す。図11において、(a)はMEMS光偏向器のパッケージ化ウェハ400の斜視図、(b)はパッケージ化ウェハ400の1区画としての1つのチップとしての光偏向器405の断面図である。
図11(a)において、パッケージ化ウェハ400は、本体ウェハ401を、その表及び裏の両側から透明封止材ウェハとしての表側ガラスウェハ402及び裏側ガラスウェハ403により挟むサンドイッチ構造になっている。図11(a)のパッケージ化ウェハ400は、ダイシングライン404に沿って縦及び横にダイシングされることにより、複数の光偏向器405が切り出される。
図11(b)において、本体ウェハ401は、BOX(Buried Oxide)層414と、BOX層414の表側及び裏側に積層されるSOI(Silicon on Insulator)層415及びハンドル層416とを備えている。内部空間410は、光偏向器405の内部に形成され、ミラー部411及びアクチュエータ素子412は、SOI層415に対するエッチングにより形成されたものであり、内部空間410は、表側ガラスウェハ402の下面、裏側ガラスウェハ403の上面及び本体ウェハ401の内周面により画成され、ミラー部411等を収容するとともに、ミラー部411の変位を許容する容積を有している。
図11の構造の光偏向器405の場合には、ダイシング工程におけるミラー部411及びアクチュエータ素子412の構造破損の不具合はなくなる。しかしながら、光偏向器405では、シリコン貫通電極(TSV)409を形成するか、ガラスウェハ402,403に貫通電極413を形成する必要があり、工程が複雑になるとともに、製造コストも増大するという問題がある。
特開2010−128116号公報
この問題を解消するために、図11に示したようにパッケージ化ウェハ400ではなく、光偏向器の裏側(光の入射側及び反射側とは反対側)のDeep−RIE加工を先に実施して、裏側を支持基板に接合し、表側のレジストパターン形成後にブレードダイシングを先に実施してから、表側のDeep−RIE加工を実施することにより、ダイシング時の素子破損を防止しながらも、通常のパッケージを利用できるようになる提案もある。
一方、MEMS光偏向器に対する要求仕様として、ミラー走査時のミラー変形の防止が近年議論されている。ミラーの変形は走査するレーザ光のスポット径を拡げたり歪めたりするので、スクリーン上の投射画像の品質の低下を招くからである。一般的な対応策として、ミラーの裏側に特許文献1/図2のような補強リブ構造を形成することが広く知られている。リブの厚みをミラーの厚みの3〜4倍に設計することにより、リブ構造によってミラーの曲げ応力に対する剛性が増大し、走査時のミラー変形を抑制することができる。
しかしながら、リブ構造の導入によりMEMS光偏向器の製造工程において新たな不具合が生じる場合がある。リブ構造という重量物をミラーの裏側に形成することにより、MEMS光偏向器の表側のDeep−RIE加工に続いて、裏側をDeep−RIE加工する際に、50μm以下の薄いSOI層で構成された素子構造がリブ構造の重量に起因する応力のために、Deep−RIE装置内にて破損してしまうものである。この不具合はダイシング工程の前のウェハプロセス工程で発生するために、前述のダイシング工程での素子破損防止策はいずれも役に立たない。リブ構造を有するMEMS光偏向器の製造工程の確立が課題となっている。
本発明の目的は、ウェハの裏側エッチング時及びダイシング時のミラー部の破損を適切に防止することができる光偏向器の製造方法を提供することである。
第1発明の光偏向器の製造方法は、表側にミラー面を有するミラー部と、該ミラー部を収容する表側空間部分と該ミラー部の変位を許容する裏側空間部分と画成する支持体とを備える光偏向器の製造方法であって、表側から裏側へ順番にSOI層、BOX層及びハンドル層を有するウェハに対し、その表側からのSOI層のエッチングにより、ウェハの各区画の表側に、前記表側空間部分と、前記ミラー部の表側部分とを形成する第1工程と、第1工程後のウェハに対し、その表側に、所定の溶液に対して可溶性である液状被覆剤を塗布して、表側を被覆した被覆剤層を形成し、さらに、該被覆剤層の表側を覆う支持基板を当てる第2工程と、第2工程後のウェハに対し、前記被覆剤層を介して前記支持基板を固着するとともに前記被覆剤層を固化する第3工程と、第3工程後のウェハに対し、その裏側からのハンドル層及びBOX層のエッチングにより、ウェハの各区画の裏側に、前記裏側空間部分と、前記ミラー部の裏側部分とを形成する第4工程と、第4工程後のウェハに対し、その支持基板の表側に第1テープを貼着してから、該ウェハの裏側からウェハの各区画線に沿ってダイシングを行う第5工程と、第5工程後のウェハに対し、その裏側に第2テープを貼着する第6工程と、第6工程後のウェハに対し、該ウェハを前記所定の溶液に浸漬して、前記被覆剤層及び前記支持基板を除去する第7工程とを備えることを特徴とする。
第1発明によれば、ウェハに対し、表側からのミラー部の表側部分の形成後、表側に液状被覆剤を塗布して支持基板を固定した状態で、裏側からのエッチングや裏側からのダイシングを行い、その後、溶液に浸漬して、被覆剤層及び支持基板を分離するので、裏側エッチング時及びダイシング時のミラー部の破損を防止することができる。
第2発明の光偏向器の製造方法では、第1発明の第4工程で形成するミラー部の裏側部分はリブである。
第2発明によれば、ミラー部の補強のためにミラー部にリブを付加する場合、リブはミラー部の裏側に形成される。このリブの付加によってミラー部の重量が増大し、ダイシング時にミラー部の破損の可能性が増えるが、第3工程でウェハの表側を支持基板で支持してから、第4工程でウェハの裏側からのエッチングによるリブの形成を行い、第5工程でダイシングを行うことにより、第4及び第5工程でのミラー部の破損を確実に防止することができる。
第3発明の光偏向器の製造方法は、第1又は第2発明において、前記支持基板が、シリコンウェハ又はガラスであることを特徴とする。
第3発明によれば、安価で信頼性の高い支持基板を使用することができる。
第4発明の光偏向器の製造方法は、第1〜第3発明において、前記液状被覆剤が、液状ワックスであり、前記所定の溶液は、イソプロピルアルコール又はアルカリ性溶液であることを特徴とする。
第4発明によれば、液状被覆剤及び溶液の信頼性を高めて、液状被覆剤及び支持基板の固定及び分離を円滑化することができる。
第5発明の光偏向器の製造方法は、第1〜第4発明において、前記第1及び第2テープが、紫外線により粘着力が低下する性質をもつものであることを特徴とする。
第5発明よれば、チップの捕捉及び分離についてテープの信頼性を高めることができる。
光偏向器の構成図。 ミラー部の詳細な構造図。 MEMS光偏向器のチップ構造図。 MEMS光偏向器の製造方法の主要工程全体の前側部分の工程図。 MEMS光偏向器の製造方法の主要工程全体の後ろ側部分の工程図。 2軸MEMS光偏向器の作製方法の第1部分の工程図。 図6の工程に続く第2部分の工程図。 図7の工程に続く第3部分の工程図。 図8の工程に続く第4部分の工程図。 図9の工程に続く第5部分の工程図。 従来技術としてのウェハレベルパッケージの模式図を示す。
図1を参照して、光偏向器1の構成について説明する。光偏向器1は、中心に配置されるミラー部2、ミラー部2を外側から包囲する内側矩形枠部3、及び内側矩形枠部3を外側から包囲する表外側矩形枠部分4を備えている。なお、光偏向器1の外側矩形枠部24(本発明の支持体に相当)は、表外側矩形枠部分4と、後述の図3の裏外側矩形枠部分23とから構成される。
説明の便宜上、光偏向器1の縦方向及び横方向を、それぞれ表外側矩形枠部分4の短辺に平行な方向及び長辺に平行な方向と定義する。図1では、左斜め下−右斜め上が光偏向器1の縦方向であり、左斜め上−右斜め下が光偏向器1の横方向となる。また、光偏向器1が、光を入射及び反射する側を光偏向器1の表側と定義し、表側とは反対側を光偏向器1の裏側と定義する。さらに、光偏向器1の表側及び裏側を適宜、光偏向器1の正面側及び背面側という。
1対のトーションバー5は、その軸線を縦方向に揃えて、ミラー部2に対して縦方向両側に配設され、ミラー部2に先端側を結合している。トーションバー5の基端側は内側矩形枠部3の横辺の内周側の中心部に結合している。なお、トーションバー5の基端側は内側矩形枠部3から離れていてもよい。その場合、トーションバー5の基端部は内側アクチュエータ6のみにより内側矩形枠部3に支持される。
1対の内側アクチュエータ6は、カンチレバー式の圧電アクチュエータであり、各トーションバー5の横方向両側に配設され、先端側をトーションバー5の基端部に結合し、基端側を内側矩形枠部3の縦辺部に結合している。内側アクチュエータ6は、トーションバー5の基端部をトーションバー5の軸線回りに所定の振動数で往復回動させて、ミラー部2を第1回転軸線の回りに往復回動させる。
ここで、第1回転軸線とは、ミラー部2の中心を通りかつトーションバー5の軸線に対して平行な直線と定義する。後述の第2回転軸線とは、ミラー部2の中心において第1回転軸線とほぼ直交する直線と定義する。第1及び第2回転軸線は後述のミラー面10上に定義される直線となっている。
圧電式の1対の外側アクチュエータ7は、内側矩形枠部3に対して横方向両側に配設され、4つのカンチレバーが直列に結合した構造となっており、基端側において表外側矩形枠部分4の縦辺部に結合し、先端側において内側矩形枠部3の縦辺部に結合している。各外側アクチュエータ7は、それを構成する全カンチレバーの先端側を基端側に対して表側及び裏側のいずれかに一斉にかつ所定の周期で交互に撓ませて、ミラー部2を第2回転軸線の回りに往復回動させる。
電極パッド8,9は、表外側矩形枠部分4の一方及び他方の縦辺部の表側の面にそれぞれ配備され、光偏向器1内の配線を介して内側アクチュエータ6及び外側アクチュエータ7の電極端子に接続されている。
図2を参照して、ミラー部2の構造を詳細に説明する。図2において、(a)はミラー部2の背面図、(b)はミラー部2の側面図である。ミラー面10は、ミラー部2の表側の面として形成され、表側の一定方向からの入射光を、法線の向きに応じた反射角度で表側に反射する。環状リブ11は、ミラー部2の裏側に立設され、ミラー部2の本体の円形周縁に沿って円周壁状に形成される。環状リブ11は、ミラー部2を補強して、ミラー部2の往復回動中のミラー面10の歪みを抑制する。
光偏向器1の作用について簡単に説明する。ミラー部2は、内側アクチュエータ6及び外側アクチュエータ7の作動により第1及び第2回転軸線の回りにそれぞれの所定の周期で往復回動しつつ、図示していない光源(例:レーザ光源)からの一定方向の光を表側からミラー面10に入射され、該光を第1及び第2回転軸線の回りの回転角に応じた角度で反射して、表側に出射する。光偏向器1からの出射光は、横方向及び縦方向へ所定の走査角範囲かつ所定の振動数で往復する走査光となる。
光偏向器1とその光源とは光スキャナに実装され、該光スキャナは、例えば、プロジェクタ、バーコードリーダ、レーザプリンタ、レーザヘッドアンプ、又はヘッドアップディスプレイ等に装備される。
図3を参照して、MEMS光偏向器1のチップ構造について説明する。光偏向器1は、表側から裏側へ順番に積層体15、SOI層16、BOX層17、ハンドル層18、接合層19及び支持基板20から成る。
積層体15は、裏側(図3の下側)から表側へ順番に、Ti(チタン。TiOxでも可)から成る下部電極密着層31、Pt(プラチナ)から成る下部電極層32、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)から成る圧電素子層33、Pt(プラチナ)から成る上部電極層34を有している。被覆層37は、SiO(二酸化ケイ素)から成り、下部電極密着層31、下部電極層32、圧電素子層33及び上部電極層34の表面を被覆している。
SOI層16はSi(ケイ素)から成る。BOX層17は酸化膜としてのSiO(二酸化ケイ素)から成る。ハンドル層18はSi(ケイ素)から成る。接合層19はSiO(二酸化ケイ素)から成る。支持基板20はSi(ケイ素)の層から成る。
積層体15及びSOI層16からは、MEMS構造物として、ミラー部2、表外側矩形枠部分4、内側アクチュエータ6、外側アクチュエータ7及び電極パッド8,9が作製される。ハンドル層18からは、MEMS構造物として、環状リブ11及び裏外側矩形枠部分23が形成される。裏外側矩形枠部分23は、内外周の輪郭が表外側矩形枠部分4と同一になっている。表外側矩形枠部分4及び裏外側矩形枠部分23は、相互に接合し、外側矩形枠部24を構成する。
内周側空間27は、外側矩形枠部24の内周側に画成され、表側からのSOI層16により表側空間部分を形成され、また、裏側からのBOX層17及びハンドル層18のエッチングにより裏側空間部分を形成される。内周側空間27は、ミラー部2、内側アクチュエータ6及び外側アクチュエータ7の可動部を収容しつつ、それら可動部の変位を許容する空間となっている。
図4及び図5を参照して、MEMS光偏向器の製造方法の主要な工程S1〜S10について説明する。なお、理解しやすくするためにMEMS光偏向器の電極、配線、層間絶縁膜、アクチュエータ及びミラーの作製工程は省略し、MEMS加工ウェハのシリコン加工(Deep−RIE工程)の部分のみを図示している。
以下では、工程S1〜S10の各工程の終了段階のMEMS加工ウェハを、符号「101」〜「110」により指示する。
工程S1開始前のMEMS加工ウェハは裏側から順番に酸化膜層125、ハンドル層126、BOX層127、SOI層128及び積層体129を備える。これら酸化膜層125、ハンドル層126、BOX層127、SOI層128及び積層体129は、図3の接合層19、ハンドル層18、BOX層17、SOI層16及び積層体15に対応している。
図4の工程S1では、表側より表側部分としてのSOI層128及び積層体129をDeep−RIEでエッチングして、素子形成部132、及び素子形成部132を囲う表側枠形成部133を形成する。素子形成部132は、図3のミラー部2、内側アクチュエータ6及び外側アクチュエータ7の可動部の総体に対応し、表側枠形成部133は図3の表外側矩形枠部分4に対応する。工程S1は本発明の第1工程に相当する。
工程S2では、加工したSOI層128及び積層体129の上に本発明の液状被覆剤としての液状ワックスを塗布して、工程S1のエッチング加工で表側にできた段差を埋め、平坦なワックス層135(本発明の被覆剤層に相当)を形成する。液状ワックスの一例として、日化精工株式会社のスカイコート(商品名。テンペン樹脂系)や同社のスペースリキッド(登録商標。テンペンフェノール樹脂系)がある。工程S2は本発明の第2工程に相当する。
工程S3では、工程S2のMEMS加工ウェハ102の上に支持基板137を載せて加重加熱することにより、ワックス層135を固化して、支持基板137にMEMS加工ウェハ102を仮接合する。工程S3は本発明の第3工程に相当する。支持基板137の材料は、例えばシリコンウェハ又はガラスである。
工程S4では、酸化膜層125及びハンドル層126をDeep−RIEで中間の深さまでエッチング加工し、工程S5では、さらなるDeep−RIEで、BOX層127まで掘り下げて、酸化膜層125と、ハンドル層126及びBOX層127の該当部位を除去し、リブ形成部145及び裏側枠形成部146を形成する。
リブ形成部145は図3の環状リブ11に相当し、裏側枠形成部146は図3の裏外側矩形枠部分23に相当する。裏側枠形成部146が画成する内部空間147は図3の内周側空間27の裏側部分に相当する。工程S4,S5は本発明の第4工程に相当する。
図5の工程S6では、工程S5のMEMS加工ウェハ105の支持基板側に、リムに張ったUVタイプ(紫外線の照射によってテープの粘着力が弱まる性質をもつもの)のダイシングテープ151を貼り付ける。UVタイプのダイシングテープ151(本発明の第1テープに相当)及び後述のダイシングテープ157(本発明の第2テープに相当)の一例として、例えばリンテック株式会社のD−176/181/185(商品名)がある。工程S6は本発明の第5工程に相当する。
工程S7では、ハンドル層126の裏側を上側にしてブレードダイシング装置にて、仮接合した支持基板137ごと各区画線に沿って個々のチップ(本発明の)にフルダイス154する。工程S7は本発明の第5工程に相当する。
工程S8では、リムに張った別のUVタイプのダイシングテープ157にハンドル層126の裏側を貼付けてから、支持基板137側に貼り付けたダイシングテープ151に対してUV光を照射し、ダイシングテープ151を剥離・除去する。このことは、MEMS加工ウェハをダイシングテープ151からダイシングテープ157へ載せ替えたことになる。工程S8は本発明の第6工程に相当する。
工程S9では、工程S8の載せ替え後のMEMS加工ウェハ108をダイシングテープ157ごと、IPA(イソプロピルアルコール)溶液中に浸漬する。数10分から数時間の浸漬によりワックス層135(工程S8参照)の液状ワックスがIPA溶液に溶解し、MEMS加工ウェハ108に仮接合された支持基板137がワックスごと剥離・除去される。工程S9は本発明の第7工程に相当する。
工程S10では、工程S9のMEMS加工ウェハ109をダイシングテープ157ごとIPA等の有機溶液で洗浄、乾燥することにより、ダイシングテープ157上にMEMS光偏向器のチップ160が整列した状態のワーク110が得られる。
この後、ダイシングテープ157をエキスパンドして、MEMS光偏向器のチップ160間の距離を拡げてから、ダイシングテープ157にUV光を照射して粘着力を低下させれば、各チップを個片としてピックアップできる状態になる。
この後、ダイボンド工程の前に電気的検査を実施し、良品チップと不良チップとの選別マーキングを行い、良品チップのみをピックアップしてパッケージ品として仕上げる。なお、液状ワックスは、IPAに可溶性なものに限定されることはなく、MEMS加工ウェハとダイシングテープに悪影響を及ぼさないものであれば、何でもよい。例えば、ある種のアルカリ水溶液(本発明のアルカリ性溶液に相当)に可溶な液状ワックスも十分に使用可能である。
図4及び図5の製作方法によれば、簡単な工程の組合せにより裏側のDeep−RIE加工時の素子破損を防止でき、かつ、生産コストの安い通常のブレードダイシングを用いながらも、ミラー、トーションバー、アクチュエータの各可動部を破損することなく、ダイシングによるチップへの個片化を実施できる。
また、支持基板に仮接合するものの、最終的には除去するので、一般的なパッケージに実装することができる。ウェハレベルパッケージが前提ではないので、MEMS光偏向器の素子構造はシリコン貫通電極(図11)を形成する必要はなく、一般的な電極構造とすることができる。この結果、歩留りが高く、かつ、低コストとなる。さらに、ウェハレベルパッケージ(図11参照)と異なり、パッケージングの前にテスティングが実施可能であるので、不良チップまでもパッケージの形にしてしまうことがなく、効率の良い生産が可能となる。
次に、図6〜図10を参照して、圧電材料であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の薄膜をアクチュエータに用いる圧電駆動型の2軸MEMS光偏向器を作製するときの工程を、より具体的に以下に説明する。なお、図6〜図10で説明する圧電駆動MEMS光偏向器の構造は図3に示した素子構造から支持基板20を除いたものになる。また、工程S21〜S35の各工程の終了段階のMEMS加工ウェハを符号「221」〜「235」により指示する。各工程の説明図は全て1つのMEMS光偏向器チップの断面に対応したものである。
工程S1前のSOIウェハ240は、裏側から順番に酸化膜層241、ハンドル層242、BOX酸化膜層243及びSOI層244から成る。酸化膜層241、ハンドル層242、BOX酸化膜層243及びSOI層244は、図3の接合層19、ハンドル層18、BOX層17及びSOI層16に対応している。寸法を例示すると、SOI層244の厚みは50μm、BOX酸化膜層243の厚みは2μm、ハンドル層242の厚みは400μmである。
図6の工程S21では、この初期のSOIウェハ240の表面に拡散炉によって厚さ500nmの熱酸化シリコン膜245を形成した。
工程S22では、Siウェハ221の表側にスパッタ法によってTi層及びPt層をそれぞれの厚みが50nm及び150nmになるように順次成膜し、下部電極251を形成した。下部電極251のTi層及びPt層は、図3の下部電極密着層31及び下部電極層32に相当する。
次に、反応性アーク放電イオンプレーティング法によって圧電材料であるチタン酸ジルコン酸鉛(以下PZT)の膜を厚み3μmで下部電極251上に成膜し、圧電PZT膜255を形成した。その後、スパッタ法によってPt層257を厚み150nmで圧電PZT膜255上に成膜して、上部電極を形成した。圧電PZT膜255及びPt層257は、図3の圧電素子層33及び上部電極層34に相当する。
工程S23では、基板表面にフォトリソ技術及びドライエッチング技術により、非共振駆動で内側矩形枠部3を駆動する外側アクチュエータ7と、ミラー部2の共振駆動用の内側アクチュエータ6とに対応するパターンを形成する。工程S23は本発明の第1工程に相当する。
まず、Pt層257とPZT膜255のパターニングを行い、外側アクチュエータ7に対応する上部電極及び圧電PZT膜と、内側アクチュエータ6に対応する上部電極及び圧電PZT膜のパターンを形成した。同様に、下部電極251とその下の酸化シリコン膜もパターニングを行い、外側アクチュエータ7について下部電極及び酸化シリコン膜、内側アクチュエータ6について下部電極及び酸化シリコン膜のパターンを作製した。
工程S24では、工程S23のウェハ223の表面全体にプラズマCVDで厚み500nmの酸化シリコン膜273を形成する。
図7の工程S25では、基板表面にフォトリソでレジストパターンを形成して、ドライエッチングで一部の酸化シリコン膜を除去し、下部電極及び上部電極に対応するコンタクトホール276と、単結晶シリコンを加工する箇所277の酸化シリコンをドライエッチングで除去する。
工程S26では、フォトリソでレジストパターンを形成してからAlCu(1%Cu)膜をスパッタ成膜し、リフトオフにより配線パターンを形成する。すなわち、PZTアクチュエータの下部電極と上部電極を光偏向器外周部の電極パッドへAlCu膜の配線280を介して電気的に接続する。
工程S27では、フォトリソでレジストパターンを形成してからTi、Agを順次スパッタ成膜し、リフトオフによってミラー部2のミラー面10の層287を形成する。
ここまでの工程で、Deep−RIEによるシリコン加工の前工程が完了する。その後のシリコン加工の工程について以下に説明する。
工程S28では、表側のSOI層をDeep−RIEでエッチングしてミラー部2、表外側矩形枠部分4、トーションバー5、内側アクチュエータ6及び外側アクチュエータ7の素子構造を形成する。
図8の工程S29では、加工したSOI層の上にスピンナー装置等を用いて液状ワックスを塗布してエッチング加工でできた構造の段差を埋め、平坦なワックス層290を形成する。工程S29は本発明の第2工程に相当する。
工程S30では、100℃〜150℃に加熱したMEMS加工ウェハ229のワックス層290の上に支持基板292を置き、適切な加重(例:1kN)をかけながら冷却することによりMEMS加工ウェハ229に支持基板292を仮接合する。この時、真空中で貼り合わせると空気ボイドを含まない良好な接合状態を形成できる。工程S30は本発明の第3工程に相当する。
工程S31では、酸化膜層241及びハンドル層242をDeep−RIEでエッチング加工し、ミラー裏側のリブ構造部分297とミラーの揺動空間部分298を形成する。工程S31は本発明の第4工程の一部に相当する。
工程S32では、BOE(Buffered Oxide Etch)処理によって埋め込み酸化膜(BOX)242も除去する。これにより、ミラー裏側のリブ構造部分300とミラーの揺動空間部分302が完成する。リブ構造部分300は環状リブ11(図3)に対応し、揺動空間部分302は内周側空間27(図3)の裏側部分に対応する。工程S32は本発明の第4工程の一部に相当する。
図9の工程S33では、支持基板292側にリムに張ったUVタイプのダイシングテープ304を貼り付ける。工程S33は本発明の第5工程の一部に相当する。
工程S34では、ハンドル層の裏側を上側にしてブレードダイシング装置にて、仮接合した支持基板ごと個々のチップ(本発明のウェハの各区画に相当)にフルダイス308する。工程S34は本発明の第5工程の一部に相当する。
工程S35では、リムに張った別のUVタイプのダイシングテープ310にハンドル層242の裏側を貼着して、支持基板292側に貼り付けたダイシングテープ304に対してUV光を照射し、ダイシングテープ304を剥離・除去する。このことは、MEMS加工ウェハをダイシングテープ304からダイシングテープ310に載せ替えたことになる。工程S35は本発明の第6工程に相当する。
図10の工程S36では、工程S35のMEMS加工ウェハ235を、ダイシングテープ310ごと、IPA溶液中に浸漬する。数10分から数時間の浸漬により液状ワックスがIPA溶液に溶解し、MEMS加工ウェハ235に仮接合された支持基板292が剥離・除去される。工程S36は本発明の第7工程に相当する。
工程S37では、MEMS加工ウェハ236をダイシングテープ310ごと、IPA等の有機溶液で洗浄、乾燥することにより、ダイシングテープ310上にMEMS光偏向器のチップ315が整列した状態のワーク237が得られる。
この後、ダイシングテープ310をエキスパンドしてMEMSチップ間の距離を拡げてから同テープにUV光を照射して粘着力を低下させれば、各チップ315を個片としてピックアップできる状態になる。
その後、電気的な検査によってPZT膜及び配線の電気特性を評価して不良チップにマーキングした後、良品のチップ315のみをセラミックパッケージに実装して、MEMS光偏向器パッケージが完成する。
本実施形態では最も単純な大気開放型のパッケージ形態とした。光源からのレーザ光は直接、MEMS光偏向器の可動ミラーで反射走査され、画像投影に利用される。
ミラー部本体の厚さをλとすると、ミラー裏側に補強リブ構造を導入した結果、ミラー部本体の静的な面変形が、導入前の(1/4)λ以下から(1/8)λ以下に向上し、走査レーザ光の拡がり及び歪みが低減した。また、ワックスでSOI層の加工構造を保護したため、ダイシング時の高圧純水の影響を受けることなく、ミラー面の反射率も85%以上を示した。
このMEMS光偏向器パッケージに対して、水平軸走査用の共振アクチュエータにVpp=20V、駆動周波数(共振周波数)27kHzの交流電圧を印加し、垂直軸走査用の非共振アクチュエータにはVpp=20V、駆動周波数60Hzの交流電圧を印加したところ、水平軸で±12°、垂直軸で±8°の機械的振れ角が観測された。ダイシング工程でのミラー周辺部のダメージがないため、ウェハ内の良品率は90%を超え、振れ角と共振周波数のばらつきも±3%以内と非常に良好な歩留りを示した。
本発明を実施形態について説明したが、本発明は、該実施形態に限定されることなく、要旨の範囲内で種々に限定して実施することができる。
実施形態では、ミラー部について裏側から加工する部分はリブとなっているが、本発明の第4工程で裏側からエッチングによる形成するミラー部の裏側部分は、ミラー部のリブに限定することなく、リブ以外の裏側部分、例えば裏面そのものとすることもできる。
液状被覆剤としては、表側からのエッチングにより生じた段差を平滑にならして支持基板をウェハ本体に固着し、かつ所定の溶液内への浸漬により溶解可能であるという条件を充足すれば、実施形態の液状ワックス以外の被覆剤を採用することができる。
1・・・光偏向器、2・・・ミラー部、10・・・ミラー面、16・・・SOI層、17・・・BOX層、18・・・ハンドル層、24・・・外側矩形枠部(支持体)、27・・・内周側空間(表側空間部分及び裏側空間部分)、137・・・支持基板、151・・・ダイシングテープ(第1テープ)、157・・・ダイシングテープ(第2テープ)。

Claims (5)

  1. 表側にミラー面を有するミラー部と、該ミラー部を収容する表側空間部分と該ミラー部の変位を許容する裏側空間部分と画成する支持体とを備える光偏向器の製造方法であって、
    表側から裏側へ順番にSOI層、BOX層及びハンドル層を有するウェハに対し、その表側からのSOI層のエッチングにより、ウェハの各区画の表側に、前記表側空間部分と、前記ミラー部の表側部分とを形成する第1工程と、
    第1工程後のウェハに対し、その表側に、所定の溶液に対して可溶性である液状被覆剤を塗布して、表側を被覆した被覆剤層を形成し、さらに、該被覆剤層の表側を覆う支持基板を当てる第2工程と、
    第2工程後のウェハに対し、前記被覆剤層を介して前記支持基板を固着するとともに前記被覆剤層を固化する第3工程と、
    第3工程後のウェハに対し、その裏側からのハンドル層及びBOX層のエッチングにより、ウェハの各区画の裏側に、前記裏側空間部分と、前記ミラー部の裏側部分とを形成する第4工程と、
    第4工程後のウェハに対し、その支持基板の表側に第1テープを貼着してから、該ウェハの裏側からウェハの各区画線に沿ってダイシングを行う第5工程と、
    第5工程後のウェハに対し、その裏側に第2テープを貼着する第6工程と、
    第6工程後のウェハに対し、該ウェハを前記所定の溶液に浸漬して、前記被覆剤層及び前記支持基板を除去する第7工程とを備えることを特徴とする光偏向器の製造方法。
  2. 請求項1記載の光偏向器において、
    前記第4工程で形成する前記ミラー部の裏側部分はリブであることを特徴とする光偏向器の製造方法。
  3. 請求項1又は2記載の光偏向器の製造方法において、
    前記支持基板は、シリコンウェハ又はガラスであることを特徴とする光偏向器の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の光偏向器の製造方法において、
    前記液状被覆剤は、液状ワックスであり、
    前記所定の溶液は、イソプロピルアルコール又はアルカリ性溶液であることを特徴とする光偏向器の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光偏向器の製造方法において、
    前記第1及び第2テープは、紫外線により粘着力が低下する性質をもつものであることを特徴とする光偏向器の製造方法。
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