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JP5934896B2 - 担子菌類培養方法 - Google Patents
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Description

この発明は、木質培養基などで担子菌類のキノコを培養する担子菌類培養方法に関する。
従来、食用キノコの菌床栽培は、培地調整・殺菌・放冷・接種・培養・発生の工程により行われている。何れの工程も不可欠な工程であるが、その中で最も高額な設備を要し、専門知識と技術を要する工程は、殺菌・接種である。食用キノコ栽培において、培地への雑菌の混入と殺菌不良は、後述する重大な結果をもたらすものであり、絶対に避けなければならない。例えば、殺菌釜の不調、誤操作により、培地は殺菌不良となり、カビ、細菌が発生すると、一緒に殺菌処理した培地全体に汚染が広がり、さらに汚染が生産設備全体に拡大する。接種工程で培地に雑菌が混入すると、隣接する培地に空気感染する。さらに、殺菌・接種工程が不調であると、生産中止に追い込まれる事態となる場合もある。このため、確実に殺菌処理が行われる殺菌釜を配置し、培地を殺菌釜から取り出した後の工程では、放冷、接種、培養初期の工程までは無殺菌室で対応し、殺菌から接種までの工程においては、作業服から操作まで細心の注意をはらわなければならない。また、殺菌釜、無菌室は高価な設備であり、また接種を確実に遂行するには無菌操作に関する専門知識と技術を必要とする。
シイタケ、ナメコ等の原木栽培では、殺菌・無菌室の設備を必要とせず、接種作業はドリルで原木を穿孔し、そこに種駒を接種することで完結する。原木栽培は一般農家で容易に行うことができるが、菌床栽培は前述の理由によりきわめて困難である。
農家が菌床栽培に取り込むには、多額の設備投資と無菌操作に関する専門知識と技術(火炎滅菌、アルコ‐ル消毒、クリ‐ンベンチでの操作)が必要となり、これらが大きな障害になっている。従来の殺菌操作、無菌条件下での接種作業、無菌室での初期培養を省くことができれば、キノコ菌床栽培は農家にとって取り組みやすいものとなる。
一方、担子菌類で食用キノコであるエノキタケ、ヒラタケ、ヒメマツタケは、基質分解酵素とアルコール脱水素酵素の両酵素を有している。これらはリグノセルロース系バイオマスを基質分解して糖化し、単糖類をエタノール発酵することができる。近年、穀物の価格高騰を回避するため非穀物のバイオマス、すなわち稲わらや木材等のリグノセルロース系バイオマスよりバイオエタノールを安価に生産することが求められている。安価なエタノール生産方法として、酵素生産、基質分解(糖化)、発酵の全ての工程を一括して行う連結バイオプロセス(CBP)が注目されている。これらのことを背景にリグノセルロース系バイオマスで連結バイオプロセスを行うためにエノキタケ廃菌床を用いることを想定して農林水産省農林水産技術会議事務局委託プロジェクト研究「稲わら等の作物の未利用部分や資源作物、木質バイオマスを効率的にエタノール等に変化する技術の開発」を行った。廃菌床は多量に排出される木質バイオマスの一つであるが、新鮮な廃菌床が得られる地域は、食用キノコ生産施設の近隣に限定される。より広範囲に新鮮な廃菌床を得るためには、エノキタケ等の菌床栽培を一般農家で簡易に行うことが考えられるが、これには殺菌施設・無菌室等の高額な設備投資と無菌操作技術が大きな障害になっている。一般農家で簡易に菌床栽培を行うことは、バイオエタノールを生産する分野並びに栽培した子実体を収穫する分野の両方に求められている。
ここで、キノコ栽培で猛威をふるう雑菌は、トリコデマ、ペニシリウム等のカビである。放線菌Streptomyces属菌は、培養段階でカビに対する抗生物質を分泌することが知られており、このことを利用して雑菌の繁殖を防ぐ方法がいくつか考えられている。
例えば、特許文献1に開示された混合微生物によるマツタケまたはホンシメジの増産方法は、ストレプトマイセス属に属する放線菌およびコリネバクテリウム属に属する細菌と、マツタケ菌またはホンシメジ菌からなる混合微生物を、マツタケまたはホンシメジのシロに適用して子実体の発生量を増加させるものである。
また、特許文献2に開示されたアガリクス・ブラゼイの菌糸体および/または子実体の抽出エキスの製造方法は、培地原料を温度55℃〜65℃、水分量60質量%〜75質量%の条件で7日〜20日発酵させて培地を作成する工程(1)、次に、得られた培地を用いて形成された菌床に菌を繁殖させ、アガリクス・ブラゼイの菌糸体および/または子実体を培養する工程(2)、次に、得られたアガリクス・ブラゼイの菌糸体および/または子実体から、水、エタノ‐ル、水とエタノ‐ルの混合溶液から選ばれるいずれかの抽出溶媒を用いてエキスを抽出する工程(3)、を含むものである。工程(2)を行うまでのいずれかの段階で好熱放線菌および・または好熱細菌を添加する。これによると、アガリクス・ブラゼイの培養に悪影響を及ぼすカビ等を排除することができ、アガリクス・ブラゼイの菌糸体および/または子実体の抽出エキスを低コストで安定供給することができる。
また、特許文献3に開示されているキノコ類の栽培用補助材およびキノコ類の栽培方法は、キノコ類栽培用の容器に、キノコ栽培用基材と栽培用補助材を混合して作られた培地を収容し、この培地の下部にCNキチンとを混合して、容器の中でキノコの繁殖に有害な糸状菌が繁殖することを防止するものである。CNキチンは、糸状菌の細胞膜を構成するものであるが、その糸状菌は、放線菌が好んで捕食するという性質があり、CNキチンを混合することにより放線菌の増殖を行わせ、糸状菌の繁殖を防止する。CNキチンを混合する際に特に有効な放線菌を少量混入し、この放線菌の増殖を図ると特に効果が高い。これにより、キノコ栽培用基材や容器の殺菌等の予備作業を省いても、キノコ類の生育環境を良好に保持することができる。
特開平5‐153854号公報 特開2001‐178404号公報 特開平2‐177820号公報
上記背景技術の特許文献1の増産方法は、マツタケ、ホンシメジのシロに適用したものであり、シロとはマツタケ、ホンシメジなど樹木と共生関係のある担子菌類が菌根を形成する菌根菌が、子実体を発生している領域を指す。菌根菌に対して、しかも屋外のシロで操作することによって子実体収量の増産を目指したもので、木材腐朽性の担子菌類の培養方法には利用されていなかった。また、対象とする担子菌類がマツタケ、ホンシメジに限定され、栽培を行う場所も屋外に限定されているため、エノキタケ等の屋内の栽培には利用されないものである。
特許文献2の製造方法は、アガリクス・ブラゼイに限定され、エノキタケ等の栽培には利用されないものである。また、温度55〜65℃の高温化において殺菌するものであり、設備や技術が必要であり、一般農家で簡易に行うことは困難である。
特許文献3の栽培方法は、放線菌を添加するとともにCNキチンを混合しなければならず、手間がかかるものである。また、放線菌の種が特定されておらず、多種の放線菌から適したものを選定して効率よく行うものではなかった。
この発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、キノコ栽培における殺菌工程と、無菌室での接種・初期培養工程を省くことができ、簡単な工程で確実に雑菌の繁殖を抑えて担子菌類を培養可能な担子菌類培養方法を提供することを目的とする。
この発明は、培地基材と栄養剤を混合して水分調整して得られる混合物に、通常の室内で、抗生物質を分泌する放線菌Streptomyces属菌と担子菌を接種し、3〜12℃で培養し、子実体を得るための担子菌類を培養する担子菌類培養方法である。
前記放線菌Streptomyces属菌は、Streptomyces rimosusである。
前記Streptomyces rimosusと前記担子菌とを、米ぬかを含む前記培地基材とともに混合して培養するものである。
この発明の担子菌類培養方法は、菌床栽培における殺菌工程と、無菌室での接種・初期培養工程を省き、簡単な工程で確実に雑菌の繁殖を抑えることができる培養方法である。殺菌工程と、無菌室での接種・初期培養工程を省くことで、殺菌施設・無菌室等の高額な設備投資が不要であり、専門的な無菌操作技術がなくても雑菌の繁殖を抑え、簡易で安全にキノコの菌床栽培を行うことができる。
この発明の培養方法において、菌の接種方法の違いによるによるエノキタケ菌糸体の蔓延度の指標として、2種類の基質分解性酵素活性を測定したグラフである。 この発明の培養方法において、菌の接種方法の違いによるによるエノキタケ菌糸体の蔓延度の指標として、他の3種類の基質分解性酵素活性を測定したグラフである。 この発明の培養方法において、培養工程で子実体を収穫する適切な期間の有無を検討するために、2種類の基質分解性酵素活性を測定したグラフである。 この発明の培養方法において、培養工程で子実体を収穫する適切な期間の有無を検討するために、他の3種類の基質分解性酵素活性を測定したグラフである。
以下、この発明の一実施形態について説明する。この実施形態では、通常の調整で用意したオガコ等の培地基材と栄養材を混合して水分調整した基本培地に、無菌室やクリーンルームではない通常の室内で、放線菌Streptomyces属のオガ種菌と、担子菌の種菌を混合して接種し、3〜12℃、好ましくは5〜10℃で培養する。一定期間担子菌を培養して、キノコの子実体を形成させ、収穫する。放線菌Streptomyces属の種は、Streptomyces rimosusが好適であり、培養する過程で雑菌に対する抗生物質を分泌する。担子菌は、エノキタケである。
担子菌の菌糸体生長の至適温度は22〜27℃であるが、10℃以下でも生長する。この実施形態の培養温度である3〜12℃では、担子菌の生長速度は空気中のカビ、細菌類と同程度以上となり、さらに放線菌が生産した抗生物質に対する耐性は、担子菌の方がカビ、細菌類より優る。さらに担子菌からも抗生物質を分泌することにより、結果的に細菌類・カビに対して担子菌が培地の中で優勢になり占有することになる。そのため、殺菌工程を省き、殺菌施設・無菌室を必要としない培養方法となる。なお、3℃未満では、担子菌の菌糸体は伸長せず休眠状態となり、ほぼ停滞する。12℃を超えると、担子菌の菌糸体は生長するが、それ以上にカビ、細菌類の生長が早く結果として培地を占有し担子菌の良好な成長を妨げる。従って、3〜12℃で十分に成長する放線菌の選定がポイントである。
この実施形態の担子菌類培養方法によれば、菌床栽培における殺菌工程と、無菌室での接種・初期培養工程を省き、簡単な工程で確実に雑菌の繁殖を抑えることができる。殺菌工程と、無菌室での接種・初期培養工程を省くことで、殺菌施設・無菌室等の高額な設備投資が不要であり、コストを要せず、専門的な知識や無菌操作技術がなくても、雑菌の繁殖を抑えた簡易で安全な菌床栽培を行うことができる。担子菌が簡易に培養可能となり、子実体以外に担子菌の菌糸体成分、代謝物等を安価に得ることができる。
これにより、キノコの菌床栽培が一般の農家等にとって実用的で取り組みやすいものとなり、普及することが期待できる。また、キノコの菌床栽培が簡便となり、森林整備を行う現地で簡易な食用キノコ栽培が可能であり、殺菌設備の無い中山間地域の振興並びに森林整備の推進に寄与することができる。菌床栽培に使用された廃菌床の廃棄量が増え、リグノセルロース系バイオマスによるバイオエタノール生産の材料を入手することが容易となる。
なお、この発明の担子菌類培養方法は、培地基材や栄養材の材料や配合比、培地を入れる容器の大きさ等は自由に設定することができる。培地と担子菌、放線菌の混合比は、適宜設定可能である。培養は、温度や湿度の設定、培養期間等の条件は適宜設定することができる。混合する放線菌は、オガ種菌でなくてもよい。担子菌の種類は、いろいろなものに利用することができる。
この発明の担子菌類培養方法の第1実施例について、具体的な数値をあげて説明する。第1実施例は、放線菌の種が、Streptomyces rimosusに選定される工程を示すものである。キノコの担子菌培養段階で猛威をふるう雑菌は、トリコデルマ、ペニシリウム等のカビである。そこで、雑菌の1種であるTrichoderma reeseiの分生胞子100μl(10〜10cfu/ml、0.3%(w/v)peptone、0.3%(w/v)yeast extract、0.1%(w/v)NaHPO、0.01%(w/v)MgSO・7HO)に、Streptomyces培養濾液10μlを加え、25℃にて60〜84時間培養して595nmの吸光度を測定した。Trichoderma reeseiの分生胞子が発芽して菌糸体生長が生じると、培養液は濃い緑色になり、濃い緑色の程度で発芽の状態、菌糸体生長が判断される。抗菌活性を有するものは吸光度が上がらない。
放線菌Streptomyces属菌としては、S.fradiae NBRC13147(S‐1)、S.griseosporeus NBRC13458(S‐2)、S.griseus subsp.griseus NBRC12875(S‐3)、S.cattleya NBRC14057(S‐4)、S.rimosus subsp.rimosus NBRC12907(S‐5)、S.venezuelae NBRC13096(S‐6)、S.tendae NBRC12822(S‐7)、S.griseochromogenes subsp.suitaensis NBRC13776(S‐8)、S.spectabilis NBRC1544(S‐9)の9種を用いて培養と測定を行った。
この結果、S.griseochromogenes subsp.suitaensis NBRC13776(S‐8)と、S.rimosus subsp.rimosus NBRC12907(S‐5)が抗菌活性を有していた。なお、S.griseochromogenes subsp.suitaensis NBRC13776(S‐8)の方がS.rimosus subsp.rimosus NBRC12907(S‐5)よりも強い抗菌活性を示した。
そこで、Trichoderma reeseiに対して抗菌活性を有するS.griseochromogenes subsp.suitaensis NBRC13776(S‐8)と、S.rimosus subsp.rimosus NBRC12907(S‐5)をスクリーニングし、抗菌活性を有するこの2種と、比較のために抗菌活性を有さないS.fradiae NBRC13147(S‐1)の、計3種で無殺菌培養試験を行った。コーンコブ・米ぬか培地(乾重3:2、含水率65%)をバイオポット(PP製、径80×高さ100mm)に100g詰め、予めブナ・米ぬか培地で培養した上記の放線菌3種を接種源として10g接種し、さらにエノキタケFv‐1種菌を10g接種して、5,10,15,20,25℃(それぞれ±2℃温度幅がある)にて60日間培養した。放線菌3種とエノキタケを60日間培養した状況を表1に示す。
Figure 0005934896
この結果、S.rimosus subsp.rimosus NBRC12907(S‐5)において、10℃以下ではTrichoderma reesei等雑菌が繁殖することなくエノキタケが占有して培養された。15℃では雑菌の混入が認められたが、エノキタケが占有して培養された。15℃では雑菌の混入が認められたが、エノキタケが優勢であった。20℃、25℃では雑菌が占有した。S.fradiae NBRC13147(S‐1)では10℃以下で、S.griseochromogenes subsp.suitaensis NBRC13776(S‐8)では5℃で雑菌の混入が認められ、エノキタケが優勢であった。それら以外の温度条件では雑菌が占有した。このことから、S.rimosus subsp.rimosus NBRC12907(S‐5)とエノキタケを接種し、3〜12℃で培養すれば、無殺菌でエノキタケを占有して培養できることが明らかになった。表1で△も含めると15℃以下となる。培養器が±2℃の制度なので、5℃−2℃=3℃、10℃+2℃=12℃となる。表を遵守すると、5〜10℃あるいは5〜15となる。また、試供した3種の放線菌のいずれを用いても3〜7℃で培養すれば、エノキタケを優先的に培養できることが明らかになった。なお、3℃以下では、エノキタケ菌糸体は伸長せず、休眠状態となり、ほぼ停滞する。12℃以上では、エノキタケ菌子体は生長するが、それ以上にTrichoderma reeseiの生長がはやく、結果としてTrichoderma reeseiが占有する。
なお、Trichoderma reeseiに対して最も抗菌活性のあるS.griseochromogenes subsp.suitaensis NBRC13776(S‐8)は、抗菌活性の無いS.fradiae NBRC13147(S‐1)より劣る結果となり、S.rimosus subsp.rimosus NBRC12907(S‐5)が最も良好な結果となった。これは、S.griseochromogenes subsp.suitaensis NBRC13776(S‐8)では分泌する抗菌物質がエノキタケにもダメ‐ジを与え、S.rimosus subsp.rimosus NBRC12907(S‐5)ではカビに対してのみ抗菌作用を示すために、このような結果になったと推察される。
次に、この発明の担子菌類培養方法の第2実施例について具体的な数値をあげて説明する。第2実施例は、接種方法を検討した工程を示すものであり、コーンコブ・米ぬか培地(乾重3:2、含水率65%)をバイオポット(PP製、径80×高さ100mm)に100g詰め、放線菌S.rimosus subsp.rimosus NBRC12907(S‐5)とエノキタケFv‐1種菌を、A,B,C3種類の方法で接種した。接種方法Aは、供試培地に対して、最初に放線菌を10g接種し、放線菌の上にエノキタケ10gを重ねる方法である。接種方法Bは、供試培地に対して、最初にエノキタケ10g接種し、エノキタケの上に放線菌10gを重ねる方法である。接種方法Cは、供試培地と、供試培地の10質量%の放線菌と、エノキタケ種菌10質量%を混合し、バイオポットに120g詰め込む方法である。
接種方法A,B,Cで調整した培養基を10℃で12週間培養し、基質分解性酵素活性を測定した。基質分解性酵素活性を測定することにより、エノキタケ菌糸体の蔓延度を間接的に知ることができる。固体培地ではエノキタケ菌糸のみを測定することは困難であり、培養器でエノキタケ菌糸体が蔓延していることは、肉眼でエノキタケの菌糸が白く覆っていることで確認できるが、それ以上は分からない。そのため、エノキタケ菌糸体から分泌されている多糖分解酵素活性を測定し、多糖類の分解に関わる多様な酵素の産出はエノキタケ以外には考えられないことから、酵素活性をエノキタケ菌糸体蔓延の指標とした。基質分解性酵素は、β‐D‐Xylopyranosidase、β‐D‐Glucosidase、β‐D‐Cellobiosidase、CMCase、Xylanaseについて測定した。酵素活性の測定結果を、図1、図2に示す。
この結果、接種方法A,B,Cいずれの方法によってもエノキタケが占有して培養された。いずれの酵素も接種方法Cで最も高い酵素活性が得られた。接種方法Aと接種方法Bでは、図1に示すβ‐D‐Xylopyranosidase並びにβ‐D‐Cellobiosidaseでは接種方法Aで高くなり、図2に示すβ‐D‐Glucosidase並びにXylanaseでは接種方法Bで高くなり、図2に示すCMCaseでは両者は同程度となった。つまり、接種方法AとB接種方法では大きな相違は認められなかった。放線菌と担子菌類の無殺菌培養を行う場合、それぞれの種菌と培地の基質を混合する接種方法Cが最も有効である。
次に、この発明の担子菌類培養方法の第3実施例について具体的な数値をあげて説明する。第3実施例は、培養工程で子実体を収穫する適切な期間の有無を検討した工程を示すものであり、コーンコブ・米ぬか培地(乾重3:2、含水率65%)と供試培地の10質量%の放線菌S.rimosus subsp.rimosus NBRC12907(S‐5)と、エノキタケ種菌を混合し、バイオポット(PP製、径80×高さ100mm)に100g詰め込んだ。その後、10℃にて4,8,12週間培養した。培養状況は、基質分解性酵素活性(β‐D‐Xylopyranosidase、β‐D‐Glucosidase、β‐D‐Cellobiosidase、CMCase、Xylanase)を指標とした。酵素活性の測定結果を、図3、図4に示す。また、肉眼により培養4週間でエノキタケ菌糸体がバイオポットを蔓延し、培養8週間で子実体が形成され、培養12週間で子実体が自己溶解したことが確認された。
この結果、何れの酵素活性も培養8週間で最も高くなり、12週間では8週間に比べてやや低くなった。いずれの酵素もエノキタケ菌糸体が蔓延し、子実体を形成するにつれて活性が高くなり、培養工程で適切な期間があることを示している。つまり、適切な培養期間で、この培地で子実体形成を期待することができる。培養ピーク時に、子実体形成を促すように操作することにより、子実体が発生することが予想される。この実施例で使用したバイオポット(PP製、径80×高さ100mm)に100g培地を詰めたものでは8週間前後が適切な培養期間であるが、培地の大きさにより最適培養期間は変化する。
上記実施例1〜3に示すように、この発明の担子菌類培養方法は、放線菌と担子菌類の無殺菌培養において、担子菌がしっかりと培養され菌糸体で覆われた培地であれば、雑菌の繁殖が抑えられる低温度で培養しても、担子菌子実体形成に至り、収穫が期待されるものである。

Claims (2)

  1. 培地基材と栄養剤を混合し水分調整して得られる混合物に、通常の室内で、放線菌Streptomyces属菌であって抗生物質を分泌するStreptomyces rimosusと、担子菌を接種し、3〜12℃で培養する担子菌類培養方法。
  2. 前記Streptomyces rimosusと前記担子菌とを、米ぬかを含む前記培地基材とともに混合して培養する請求項1記載の担子菌類培養方法。
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