JP5943587B2 - ジンゲロール配糖体、その製造方法およびその用途 - Google Patents
ジンゲロール配糖体、その製造方法およびその用途 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5943587B2 JP5943587B2 JP2011258152A JP2011258152A JP5943587B2 JP 5943587 B2 JP5943587 B2 JP 5943587B2 JP 2011258152 A JP2011258152 A JP 2011258152A JP 2011258152 A JP2011258152 A JP 2011258152A JP 5943587 B2 JP5943587 B2 JP 5943587B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- gingerol
- glycoside
- reaction
- enzyme
- solution
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Non-Alcoholic Beverages (AREA)
- Saccharide Compounds (AREA)
- Cosmetics (AREA)
- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
Description
<2> 下記一般式(I)で示されるジンゲロール配糖体である、<1>に記載のジンゲロール配糖体。
Rはグルコシル基、マルトシル基またはマルトオリゴ糖のグルコシル基を示し、
nは2,4,6または8のいずれかの整数を示す。)
<3> ジンゲロール配糖体が、下記式(II)で示される、6−ジンゲロールの側鎖のOH基にグルコースがα−1位で結合したジンゲロール配糖体である、<1>または<2>に記載のジンゲロール配糖体。
<6> 飲食品である、<5>に記載の組成物。
<7> 化粧品である、<5>に記載の組成物。
<8> 医薬部外品または医薬品である、<5>に記載の組成物。
<10> 糖転移酵素が、Halomonas属細菌由来である、<9>に記載のジンゲロール配糖体の製造方法。
<11> 植物が、ショウガである<9>または<10>に記載のジンゲロール配糖体の製造方法。
本発明のジンゲロール配糖体は、ジンゲロールのOH基にグルコース、マルトースまたはマルトオリゴ糖が結合したものである。
Rはグルコシル基、マルトシル基またはマルトオリゴ糖のグルコシル基を示し、
nは2,4,6または8のいずれかの整数を示す。)
ロール配糖体である。
本発明のジンゲロール配糖体の製造方法は、ジンゲロールまたはジンゲロールを含む植物抽出物に糖転移酵素を糖供与体の存在下で作用させる工程を含むことを特徴とする、ジンゲロール配糖体の製造方法である。
本発明の製造方法の原料、すなわち、糖転移反応に用いるジンゲロール原料としては、通常、6−ジンゲロール、4−ジンゲロール、8−ジンゲロール、10−ジンゲロール、3S,5S−6−ジンゲジオール、3R,5S−6−ジンゲジオール等のジンゲロール類だけでなく、ショウガ抽出物等の6−ジンゲロール、4−ジンゲロール、8−ジンゲロール、10−ジンゲロール、3S,5S−6−ジンゲジオール、3R,5S−6−ジンゲジオール等のジンゲロール類を含む植物抽出物等の混合物、または、その他のジンゲロール類を含む混合物を適宜用いることができる。
本発明におけるショウガ抽出物等の植物抽出物とは、その成分としてジンゲロールを含有している限りその原料および製法(抽出法)に特段制限は無く、公知の製法により得ることができる。例えば、ショウガ(Zingiber officinale)などZingiberaceae属植物等の植物全体、あるいは葉部、茎部、花部、果肉部、根部等を破砕、搾汁、粉末化、ペースト化等の加工を行うこと、更には必要に応じて熱水抽出、エタノール抽出、超臨界抽出等の抽出処理を行うことで得られる。市販のショウガ抽出物としてショウガオイル等を利用することも可能である。
生化学的手法により本発明のジンゲロール配糖体を製造する場合、糖転移酵素の作用によりジンゲロール配糖体が生成するものであれば、糖供与体に特に制限は無く、使用する糖転移酵素の特性に応じて糖供与体を適宜選択することができる。糖転移酵素としてα−グルコシダーゼまたは/およびシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼを用いる場合であれば、グルコース、マルトース、マルトオリゴ糖残基を含有するもの、例えば、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、マルトヘプタオース、マルトオクタオースなどのマルトオリゴ糖、デキストリン、シクロデキストリン、アミロース等のα−グルカンと称される澱粉加水分解物、または澱粉およびそれらの混合物等を用いることができる。
糖転移酵素を用いてジンゲロール配糖体を製造する際は、澱粉や澱粉分解物にα−アミラーゼ、β−アミラーゼ、イソアミラーゼ等の加水分解酵素を作用させて糖供与体を生成
させた後、糖転移酵素を作用させても、上記澱粉や澱粉分解物を糖供与前駆体として酵素反応溶液に添加し、加水分解酵素と糖転移酵素を共に作用させてもよい。
本発明の糖転移酵素は、ジンゲロールと糖供与体とを含む溶液から、ジンゲロール配糖体を生成可能な酵素であれば種類を問わないが、α−グルコシダーゼ(酵素番号:EC.3.2.1.20)、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ(酵素番号:EC.2.4.1.19)、スクロースホスホリラーゼ(酵素番号:EC.2.4.1.7)などが挙げられる。
本発明でいうα−グルコシダーゼとはα−グルカンの非還元末端のα−グルコシド結合の加水分解反応を触媒し、α−グルコースを生じさせる酵素全般を意味する。また、α−グルコシダーゼには、加水分解反応とともに糖転移反応を触媒するものが存在し、本発明においては、加水分解反応とともに糖転移反応を触媒するα−グルコシダーゼが用いられる。
上記糖転移酵素のうち、好ましくはα−グルコシダーゼが挙げられ、より好ましくはHalomonas属微生物由来のα−グルコシダーゼが挙げられる。
上記糖転移酵素、特にα−グルコシダーゼの由来には、ジンゲロール配糖体を生成可能な酵素であれば特に制限は無く、動物、植物由来およびMucor属、Penicillium属、Aspergillus属、Saccharomyces属およびHalomonas属等の微生物由来酵素を適宜選択すればよい。これらの内、好ましくはジンゲロールの複数あるOH基のうち、側鎖のOH基を選択的に配糖化する酵素、例えばHalomonas属微生物由来のα−グルコシダーゼが挙げられ、例えば、Halomonas sp. A8株(平成23年5月2日付、受託番号NITE P−1096、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センターに寄託)、Halomonas sp. A10株(平成23年5月2日付、受託番号NITE P−1097、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センターに寄託)、Halomonas sp. H11株(平成23年5月2日付、受託番号NITE P−1098、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センターに寄託)由来のα−グルコシダーゼが挙げられる。
使用してもよい。また、糖転移酵素源として、糖転移酵素を産生する微生物を用いてもよい。
反応時間を選択すれば良いが、通常は、経済性の点から、約1〜100時間で反応が終了できるような酵素添加量を選択する。このような濃度としては、通常、糖供与体1gあたり0.1〜100U、好ましくは、糖供与体1gあたり0.2〜50Uであればよい。
本発明の製造方法における、酵素反応溶液におけるジンゲロールの濃度は、通常、1w/v%以上、好ましくは、2〜30w/v%であればよく、糖供与体濃度(w/v)は、ジンゲロールに対して、0.5〜30倍の範囲が好ましい。
本発明の製造方法における反応様式は、酵素反応が進む条件であれば、反応様式は特に限定されず、固定化された糖転移酵素をバッチ式で繰り返し、または連続式で反応に使用することも可能である。糖転移酵素を産生する微生物の増殖中の培地にジンゲロールと糖供与体を共存させ、目的物質を生成させることも有利に実施できる。
る。
(1)下記に示す化合物
上記のとおり、本発明のジンゲロール配糖体は、本発明の効果を妨げない限り、ジンゲロール配糖体以外に、植物抽出物成分、未反応物、酵素、反応副生成物等を含む組成物の形態でも使用することができる。
本発明のジンゲロール配糖体を含む組成物は、本発明のジンゲロール配糖体、及び通常飲食品、化粧品、医薬部外品または医薬品用成分として使用される成分を含むことができ、飲食品、化粧品、医薬部外品または医薬品等として使用することができる。
ジンゲロール配糖体の含有量は、各製品におけるジンゲロールの含有量を参考にして規定することができ、限定されないが、飲食品であれば0.01〜10質量%程度、化粧品であれば0.01〜5質量%程度、医薬部外品または医薬品であれば0.01〜10質量%程度である。
本発明の組成物は、本発明のジンゲロール配糖体を含有する以外は、上記の様な通常の成分を用いて、通常の方法により、製造できる。
本発明のジンゲロール配糖体を添加することで、ジンゲロールの作用を利用した、アディポネクチン産生増強効果や脂肪蓄積抑制効果といった有用な生理作用を有した飲食品、化粧品、医薬部外品または医薬品を製造することができる。さらに、後述の実施例5および図13に示した通り、本発明のジンゲロール配糖体は室温にて赤オレンジ色の粉末状であるため、着色料として飲食品、化粧品、医薬部外品または医薬品に添加することもできる。
(酵素力価の測定)
本発明において、α−グルコシダーゼの酵素力価の測定は、例えば、0.2w/v%マルトースを基質として、pH7、30℃、100μLの系で、特定量の酵素量から生じたグルコース量を測定することにより行うことができる。具体的には、例えば、上記系にて10分間の酵素反応後、2mol/LのTris−HCl(pH7)を200μl添加することにより酵素反応を終了させ、そこに、グルコーステストワコーC II(和光純薬製)を100μL添加し37℃で30分間インキュベートする。波長490nmの吸光度を測定することにより、生じたグルコース量を算出する。上記条件にて1分間に1μmolのマルトースを加水分解する酵素量を1Uと定義する。
<実施例1>各種酵素による配糖体の調製検討
各種糖転移酵素により、ジンゲロールへの配糖化能を検討した。
酵素反応条件は以下の通りである。
すなわち、10w/v%パインデックス#100(松谷化学工業製)、2.5 w/v%6−ジンゲロール、50mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH6)、12mM Ca2+ 、パインデックス1gあたりシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ5Uとなるよう反応溶液を調製し、10μLの系にて反応させた。酵素の代わりに水を添加した溶液をコントロールとした。40℃にて24時間反応させ、反応溶液をメタノールにより10倍希釈し、そのうち1μLを薄層クロマトグラフィー(TLC)による分析に供した。
可溶性澱粉(関東化学製)10g/L、ポリペプトン(和光純薬製)5g/L、酵母抽出物(商品名『イーストエキストラクト』、ベクトン・ディッキンソン製)5g/L、塩化ナトリウム(和光純薬製)35g/L、リン酸二水素カリウム(関東化学製)1g/L、硫酸マグネシウム七水和物(関東化学製)0.2g/L、および水からなるpH7の液体培地10mLを200mLのバッフル付きフラスコに調製し、オートクレーブで121℃、20分間滅菌し冷却した。
GCAAGACAACATGATGTGGTG−3´)(配列番号1)およびHAG−R−XhoI(5´−AAACTCGAGTTAGGCAACCTGCATAAAGG−3´)(配列番号2)を用いてHalomonas sp. H11株のα−グルコシダーゼをクローニングした。すなわち、ゲノム100ng、10×KOD ver.2 buffer、 5μL、2mmol/L dNTPs 5μL、25mmol/L MgSO4 3μL、20mmol/Lのプライマー溶液各1μL、KOD plus polymerase 1μLを混合し、水で50μLにメスアップした。なお、上記PCR用の試薬は全て東洋紡製である。PCR条件は以下の通りである。94℃に2分間保持した後、94℃に30秒間、55℃に30秒間、72℃に2分間からなるサイクルを30回繰り返し、最後に72℃に3分間保持した。このうち4μLを電気泳動に供し、約1.5kbの増幅断片を確認した。当該断片を市販のキット(GEヘルスケア製、商品名『illustra GFXTM PCR DNA and Gel Band Purification Kit』、以後、「GFX」と表記する)にて精製した。これを、NdeIおよびXhoI(いずれもタカラバイオ製)で酵素処理し、GFXにて精製した。本DNA断片を、上記と同様にNdeIおよびXhoIで制限酵素処理したpET22b(ノバジェン製)に、通常のライゲーション反応にて連結させ発現用プラスミドを作製した。本プラスミドを『pET22b−HAG−H11』と命名した。
すなわち、50μg/mlアンピシリンを含むLB培地3mLに、上記形質転換体を接種し、37℃で一晩前培養した。このうち1mLを600mLの同培地に接種し、37℃で3時間培養した。それを氷冷し、0.1mol/Lのイソプロピル−β−チオガラクトピラノシド(和光純薬製)を600μL添加した。これを16℃で24時間回転振盪培養した。得られた培養物を、定法に従い、遠心分離して菌体を回収した。菌体を20mmol/L HEPES−NaOH緩衝液(pH7)約40mLに懸濁して、超音波破砕機(microsom(商標) ultrasonic cell disruptor)にて細胞を破砕した(出力:4ワット、全出力時間: 20分間)。これを遠心分離した上清を粗酵素液とした。
カラム : TOYOPEARL(登録商標) DEAE−650M(東ソー株式会社製)
カラムサイズ: φ26mm×200mm
ゲル量 : 106mL
溶出液 : 20mmol/L HEPES−NaOH緩衝液(pH 7)
塩化ナトリウム濃度0mol/L〜0.5mol/Lのリニアグラジエント
流速 : 2mL/分
溶出液量 : 120mL
カラム : TOYOPEARL(登録商標) BUTHYL−650M(東ソー株式会社製)
カラムサイズ : φ16mm×150mm
ゲル量 : 30mL
溶出液 : 20mmol/L HEPES緩衝液(pH7)
硫酸アンモニウム濃度1.5mol/L〜0mol/Lのリニアグラジエント
流速 : 1mL/分
溶出液量 : 120mL
ジンゲロール配糖体の単離精製法は以下の通りである。まず、30w/v%マルトース、5w/v%6−ジンゲロール、5mM硫酸アンモニウム、30mM HEPES−NaOH緩衝液(pH7)およびマルトース1gあたり3UのHAGとなるよう、計3mLの溶液を調製しよく攪拌した後、40℃で48時間インキュベートした。反応溶液をPLCガラスプレート(シリカゲル60F254、2mm、Merck製)に500μL/枚となるようにスポッティングし、クロロホルム:メタノール:水=6:4:1(v/v)またはクロロホルム:メタノール:酢酸=80:20:5で展開した。展開プレートの方端を前述の方法と同様に呈色させ、各反応生成物のスポットと同Rf値の展開をスパーテルで掻き取り、50v/v%メタノール水溶液で抽出した。抽出液をろ紙(No.5、アドバンテック製)でろ過し、減圧濃縮した。これを水に溶解し、0.45μmフィルター(ミリポア製)にてろ過し凍結乾燥させた。これを以後の実験に用いた。
(トリフルオロ酢酸による分解)
精製した生成物Xおよび6−ジンゲロール標品をそれぞれ0.5 mgずつ量り取り、それに純水50μLを添加した。これに4Mトリフルオロ酢酸(関東化学製、以下TFAと表記することがある)を400μL添加し、100℃に1時間保持した。減圧下にて濃縮・乾固させたものを50v/v%メタノール水溶液40μLに溶解し、実施例1で上述したTLC条件2で分析した。なお、TFA添加前のサンプルも同様に分析した。その結果、生成物Xは、図2に示すように、TFA処理により6−ジンゲロール(もしくはその分解物)とグルコースの位置にスポットを生じた。このことから、反応生成物Xは6−ジンゲロールとグルコースから構成される化合物である可能性が示唆された。
反応生成物Xを0.1mg/mLとなるようメタノールに溶解し、質量分析に供した。分析には、LCQ(Thermo electron製)を用い、エレクトロスプレーイオン化法(ESI)により実施した。測定はポジティブモードで行った。その結果、図3に示したようなMSスペクトルが得られ、そのピークおよび対応する分子量(M)は、表1の通りであった。
BRUKER社製 AV400MdigitalNMR(400MHz)を使用しH−H COSY、HMQCおよびHMBCの二次元分析を行った。詳細には、精製し凍結乾燥した反応生成物X10mgを0.5mLのD2O(ナカライテスク、99.90%D)に溶解し、標準物質として0.1mg/mLの3−(トリメチルシリル)プロピオン酸ナトリウム−2,2,3,3−d4(TSP、和光純薬)を2μL滴下したものを分析に供した。分析時の温度を303ケルビンに設定した。
NMR解析の結果から、各シグナルを以下のように帰属した。なお、1H NMRおよび13C NMRの解析結果は図4〜9に示した。
δ6.93(s,1H,16),6.88(d,1H,13), 6.75(d,1H,12),5.00(d,1H,1´),4.05(m,1H,6),3.90(dd,1H,6´a),3.85(s,3H,17),3.70(dd,1H,6´b), 3.60(t,1H,3´),3.50(t,1H,2´),3.49(t,1H,5´),3.42(t,1H,4´),2.95(d,2H,9),2.88(dd,1H,7a),2.85(d,2H,10),2.52(dd,1H,7b),1.53(m,1H,5a), 1.38(m,1H,5b),1.25(m,2H,2),1.22(t,2H,3), 1.22(t,2H,4),0.85(t,3H,1)
δ147.36(15),143.10(14),133.56(11),121.08(12),115.56(13),112.88(16),96.57(1´),75.97(5´),74.16(6),73.84(3´),72.95(8),71.28(2´),69.29(4´),60.19(6´),56.01(17),47.43(7),44.66(9),32.41(5),30.97(4),28.92(10),23.55(3),21.83(2),13.26(1)
以上、TFA処理、MS解析およびNMR解析の結果より、HAGによる6−ジンゲロールの配糖化反応により生じた主生成物Xは、下記式(IV)で示される、6−ジンゲロールの側鎖のOH基にグルコースがα−1位で結合したジンゲロール配糖体であることが明らかとなった。以降、反応生成物Xを簡易的に、ジンゲロール6−グルコシドと呼ぶことがある。
(反応生成物YおよびZのMS解析)
各精製物を実験3と同様の方法にてMS解析した。その結果、図10および11に示したようなMSスペクトルが得られ、その主要ピークおよび対応する分子量(M)は表2の通りであった。
反応生成物Y:脱メトキシされた6−ジンゲロールのいずれかのOH基にグルコースが脱水結合した化合物。
反応生成物Zの、641m/zは、6−ジンゲロールにグルコース (分子量180)が2分子縮合し、ナトリウムイオンが付加した分子量 (294+180+180−18−18+23=641)と一致した。
反応生成物Zは、Yと同様に生成量がごく微量であったことから、NMR解析に不十分であった。そこで、反応生成物Zにグルコアミラーゼを作用させ、その反応生成物をTLCにて分析することにより、反応生成物Zの構造を推定した。すなわち、0.1g/mL反応生成物Z、4U/mLグルコアミラーゼ(生化学工業製)、4mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5)となるよう混合し、40℃にて24時間インキュベートした。コントロールとして、グルコアミラーゼ無添加のものを同様にインキュベートした。2μLをTLCに供し、実施例1で上述のTLC条件2により分析した。なお、6−ジンゲロール、反応生成物XおよびY、およびグルコースを混合し50%メタノール水溶液に溶解させた溶液を標準物質としてスポッティングした。その結果、図12に示すように、Zをグルコアミラーゼ処理すると反応生成物X(ジンゲロール6−グルコシド)を生成することが分かった。これは、反応生成物Zは、反応生成物Xのグルコース残基にさらにもう一分子のグルコースがα−1,4グルコシド結合した構造を取っていることを意味していた。さらに、本実施例の酵素反応において使用したHalomonas属由来α−グルコシダーゼは、α1,4型の転移酵素であることから、その結合様式はα−1,4であると考えられた。以上、MSおよび本結果より、反応生成物Zは、以下の構造であると推定した。
反応生成物Z:6−ジンゲロールの側鎖OH基にマルトースがα−1位で結合した化合物であることが明らかとなった。
精製したジンゲロール6−グルコシドの凍結乾燥品は、図13に示すように、室温にて赤オレンジ色の粉末状であり、水に可溶であった。また、0.2w/v%の水溶液を調製し、幅10mmの石英セルにて、波長600〜200nmにおける吸収スペクトルを測定したところ、ジンゲロール6−グルコシドは、図14に示すように、波長278nmに吸収極大を有していることがわかった。
ジンゲロール6−グルコシドの、ラット小腸アセトンパウダー、ヒト人工胃液およびヒト人工腸液による、消化性試験を行った。
(ラット小腸アセトンパウダーによる消化性)
ラット小腸アセトンパウダー(Sigma製)50mgを純水1mLに溶解し、ボルテックスにてよく混合した後氷冷した。これを遠心分離(15,000rpm、10分、4℃)し、上清を酵素液として用いた。ジンゲロール6−グルコシド1mgに0.5Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7)10μL、および酵素液90μLを添加しよく混合し37℃でインキュベートした。これを経時的にサンプリングし、1μLをTLCプレートにスポッティングしドライヤーで即座に乾燥させることにより反応を停止した。実施例1で上述したTLC条件2にて分析し、スポットの消失を観察した。
Pepsin 1:100 (和光純薬製)3.2mg、NaCl2.0mgおよびH
Cl 7μLを混合し、純水にて0.8mLにメスアップしたものを人工胃液とした。ジンゲロール6−グルコシドを0.5mg量り取り、純水10μLに溶解した。これに人工胃液を40μL添加し、37℃にてインキュベートした。これを経時的にサンプリングした。上記と同様の方法にて反応を停止し、TLC分析した。
Pancreatin(和光純薬製)10 mg、0.2M KH2PO4 250μLおよび0.2M NaOH 118μLを混合し、純水にて0.8mLにメスアップしたものを人工腸液とした。ジンゲロール6−グルコシドを0.5mg量り取り、純水10μLに溶解した。これに人工腸液を40μL添加し、37℃にてインキュベートした。以後の操作は上記と同様である。
ジンゲロール6−グルコシドを1mg量り取り、50%エタノール、0.1M HClの水溶液1mLに溶解した。これを、密栓可能な容器で、60℃にて18時間インキュベートしたときの残存率を測定することにより、ジンゲロール6−グルコシドの安定性を評価した。すなわち、サンプルを20μLずつ採取し、これをアセトニトリル:水=80:20(v/v)の溶液180μLと混合した。これをHPLC分析に供した。インキュベート0時間におけるジンゲロール6−グルコシドのUV吸収ピーク面積を100(%)としたときの、18時間後における相対ピーク面積を残存率(%)とした。なお、比較対象として、6−ジンゲロールの安定性を同様に評価した。
カラム : YMC Pack Pro C18(AS−303、φ4.6mm×250mm)
溶媒 : アセトニトリル:水=7:3(v/v)
流速 : 1mL/分
温度 : 30℃
検出 : UV280nm
注入量 : 20μL
ジンゲロール6−グルコシド : 3.0分
6−ジンゲロール : 4.7分
6−ショウガオール : 7.8分
本試験の結果、処理18時間後において、6−ジンゲロールは、約半量が6−ショウガオールへ変換しており、残存率は49%であった。一方で、ジンゲロール6−グルコシドの残存率は94%であった。このことから、6−ジンゲロールの構造が変化しやすい0.1MのHCl溶液においても、ジンゲロール6−グルコシドは安定であることがわかった。
10%v/vジンジャーオイル(稲葉香料製)、20%w/vマルトース、5mM硫酸アンモニウム、50mM HEPES−NaOH緩衝液(pH7)および0.3U/mL
のHAGを含む1mLの水溶液を調製し、40℃にて93時間酵素反応させた。なお、酵素無添加のものをコントロールとした。反応溶液を熱失活し、1μLを、実施例1で上記に示したTLC条件2にて分析した。なお、標品として、6−ジンゲロールおよび単離精製したジンゲロール6−グルコシドを分析に供した。
その結果、図16に示すように、反応後の主生成物としてジンゲロール6−グルコシドと同Rf値にスポットが現れた。このことから、6−ジンゲロール以外の成分を含むジンジャーオイルを基質とした場合においても、HAGによりジンゲロール6−グルコシドを生成可能であることがわかった。
参考例1に示したHalomonas sp.H11株の培養と同条件において、Halomonas sp.A8株およびA10株を100mLの培地にて好気的に培養し、遠心分離により集菌した。菌体を20mM HEPES−NaOH緩衝液(pH7)30mLに懸濁し、それぞれ超音波破砕機(microsom(商標) ultrasonic cell disruptor)にて細胞を破砕した(出力:4ワット、全出力時間:20分間)。これを遠心分離した上清を粗酵素液とした。Halomonas sp.A8株およびA10株の粗酵素液のα−グルコシダーゼ活性は、それぞれ0.032U/mLおよび0.023U/mLであった。
Claims (9)
- 下記一般式(I)で示されるジンゲロール配糖体。
(式中、
Rはグルコシル基、マルトシル基またはマルトオリゴ糖のグルコシル基を示し、
nは2,4,6または8のいずれかの整数を示す。) - ジンゲロール配糖体が、下記式(II)で示される、6−ジンゲロールの側鎖のOH基にグルコースがα−1位で結合したジンゲロール配糖体である、請求項1に記載のジンゲロール配糖体。
- ジンゲロール配糖体が、下記式(III)で示される、6−ジンゲロールの側鎖のOH基に
マルトースがα−1位で結合したジンゲロール配糖体である、請求項1に記載のジンゲロール配糖体。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のジンゲロール配糖体を含有する組成物。
- 飲食品である、請求項4に記載の組成物。
- 化粧品である、請求項4に記載の組成物。
- 医薬部外品または医薬品である、請求項4に記載の組成物。
- ジンゲロールまたはジンゲロールを含む植物抽出物にHalomonas属細菌由来の糖転移酵素を糖供与体の存在下で作用させる工程を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のジンゲロール配糖体の製造方法。
- 植物が、ショウガである請求項8に記載のジンゲロール配糖体の製造方法。
Priority Applications (2)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2011258152A JP5943587B2 (ja) | 2011-11-25 | 2011-11-25 | ジンゲロール配糖体、その製造方法およびその用途 |
| PCT/JP2012/063301 WO2012161250A1 (ja) | 2011-05-24 | 2012-05-24 | α-グルコシダーゼ、その製造方法およびその用途、並びにジンゲロール配糖体、その製造方法およびその用途 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2011258152A JP5943587B2 (ja) | 2011-11-25 | 2011-11-25 | ジンゲロール配糖体、その製造方法およびその用途 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2013112623A JP2013112623A (ja) | 2013-06-10 |
| JP5943587B2 true JP5943587B2 (ja) | 2016-07-05 |
Family
ID=48708493
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2011258152A Expired - Fee Related JP5943587B2 (ja) | 2011-05-24 | 2011-11-25 | ジンゲロール配糖体、その製造方法およびその用途 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP5943587B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP6156947B2 (ja) * | 2014-07-16 | 2017-07-05 | 独立行政法人国立高等専門学校機構 | 配糖体の製造方法 |
Family Cites Families (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS63258591A (ja) * | 1987-04-17 | 1988-10-26 | Oji Paper Co Ltd | 配糖体の製造方法 |
| JP3550412B2 (ja) * | 1993-02-10 | 2004-08-04 | シーシーアイ株式会社 | 新規なクロマノール配糖体およびその製造方法 |
| JP3143269B2 (ja) * | 1993-07-05 | 2001-03-07 | 有限会社ビセイケン | ヒノキチオール配糖体およびその製造方法 |
| JP4546041B2 (ja) * | 2003-05-16 | 2010-09-15 | キヤノン株式会社 | 新規アズレン化合物 |
-
2011
- 2011-11-25 JP JP2011258152A patent/JP5943587B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP2013112623A (ja) | 2013-06-10 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| KR100647405B1 (ko) | 코지비오스 포스포릴라아제, 그 제조방법 및 용도 | |
| EP1284286B1 (en) | Alpha-isomaltosyltransferase, process for producing the same and use thereof | |
| EP1229112B1 (en) | Alpha-isomaltosylglucosaccharide synthase, process for producing the same and use thereof | |
| JP4983258B2 (ja) | イソサイクロマルトオリゴ糖及びイソサイクロマルトオリゴ糖生成酵素とそれらの製造方法並びに用途 | |
| JP2009124994A (ja) | 分岐糖類の製造方法および飲食品 | |
| JP4568035B2 (ja) | 環状マルトシルマルトース及び環状マルトシルマルトース生成酵素とそれらの製造方法並びに用途 | |
| JP4164367B2 (ja) | 分岐環状四糖とその製造方法ならびに用途 | |
| JPH0673468B2 (ja) | レバウデイオサイドaの製造法 | |
| JP5255603B2 (ja) | 環状マルトシルマルトース及び環状マルトシルマルトース生成酵素とそれらの製造方法並びに用途 | |
| WO2002055708A1 (fr) | Polypeptide presentant une activite de synthase d'$g(a)-isomaltosylglucosaccharide | |
| JP5943587B2 (ja) | ジンゲロール配糖体、その製造方法およびその用途 | |
| JP3967438B2 (ja) | コージビオースホスホリラーゼとその製造方法並びに用途 | |
| JP4224401B2 (ja) | イソマルトース及びイソマルチトールの製造方法とそれらの用途 | |
| WO2012161250A1 (ja) | α-グルコシダーゼ、その製造方法およびその用途、並びにジンゲロール配糖体、その製造方法およびその用途 | |
| KR100647404B1 (ko) | 트레할로오스 포스포릴라아제, 그 제조방법 및 용도 | |
| JP7441178B2 (ja) | シクロイソマルトテトラオース、シクロイソマルトテトラオース生成酵素とそれらの製造方法並びに用途 | |
| KR100458486B1 (ko) | 말토올리고실투라노오스와말토올리고실파라티노오스를함유한당조성물,그제조방법및용도 | |
| JP4171761B2 (ja) | コージビオースホスホリラーゼとその製造方法並びに用途 | |
| JP2699470B2 (ja) | 食品保存剤及びその製造方法 | |
| KR102122482B1 (ko) | 신규한 α-글루코실 레바우디오사이드 A 및 이의 제조방법 | |
| JP5027395B2 (ja) | 環状マルトシルマルトースの糖質誘導体とその製造方法並びに用途 | |
| WO2005007664A1 (ja) | 3−α−グリコシルα,α−トレハロース類とその製造方法並びに用途 | |
| HK40009689A (en) | Biosynthetic production of steviol glycosides and processes therefore |
Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20141014 |
|
| A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20151013 |
|
| A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20151210 |
|
| TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
| A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20160510 |
|
| A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20160524 |
|
| R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5943587 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
| R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
| R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
| R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
| R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
| R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
| R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
| LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |