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JP5948657B2 - 水素製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、石油精製プロセスにおける流動接触分解(Fluid Catalytic Cracking)工程で副生するオフガスの水素化還元方法に関する。
石油精製プロセスにおいて、常圧蒸留装置、脱硫装置、接触改質装置などからは、メタンやエタンなどの軽質な飽和炭化水素や水素などを含むガス成分が、オフガスとして副生される。これらのオフガスの特徴としては、低圧であることが挙げられる。製油所内の各装置で生成されたオフガスは集められ、製油所内に張り巡らされたオフガスラインによって共有化される。通常、製油所内においてオフガスラインによって相互融通されるオフガスは、石油精製プロセスにおける脱硫工程や水素化分解工程で必要な水素を製造するための原料として利用されたり、ボイラーや加熱炉の燃料として利用されている。一般的には、前者としての利用のほうがより付加価値が高いとされている。
水素製造技術としては、スチームリフォーミングプロセスや部分酸化プロセスが挙げられる。なお、水素製造工程の後段にある水素精製・分離システムにより高純度水素を製造する。
スチームリフォーミングプロセスでは、ナフサ、LNG、LPGの他、製油所内で相互融通しているオフガスラインから供給されるオフガスを原料として適用することができる。ただし、スチームリフォーミングプロセスで使用する原料には、触媒被毒を回避するために硫黄量の制限があり、触媒上への炭素析出を抑制するために原料の炭化水素中の水素と炭素の比に制限がある。このため、原料の硫黄量や不飽和炭化水素含有量は、管理値の一つとされている(例えば、特許文献1参照。)。
一方、部分酸化プロセスでは、触媒を使用しないものの、スチームリフォーミングプロセスと同様、原料に含まれるオレフィンや芳香族炭化水素に起因して炭素析出が生じやすいことが知られている。
石油精製プロセスにおいて、流動接触分解装置(以下、「FCC装置」という。)とは、重質油を原料として、触媒を用いた分解反応により、ガソリン基材などのより付加価値の高い石油留分を生産する装置である。FCC装置中の反応塔では、原料油を噴霧させて流動状態の触媒と接触させることにより、プロパンやブタンの飽和炭化水素やガソリン留分などに分解する。この時、流動接触分解オフガス(以下、「FCCオフガス」という。)として、水素や、メタン、エタン、エチレンなどの軽質な炭化水素から成るガス成分が得られる。FCCオフガスは、エチレンなどのオレフィンを含有しているため、水素製造装置の原料ガスとして利用することは好ましくなく、実際には自家燃料としてしか利用されていない。そのため、FCCオフガスは、オフガスラインとは別のラインで通流している。
特開平10−120401号公報
本発明は、FCC装置から発生するメタンやエタンなどの飽和炭化水素とエチレンなどの不飽和炭化水素から成るFCCオフガスを、水素製造用の原料として使用可能にするための方法を提供することを目的とする。
このような状況下、本発明者は鋭意研究した結果、従来オフガスラインで共有化されていないFCCオフガスであっても、水素還元により不飽和炭化水素を飽和炭化水素に変換することによって不飽和炭化水素含量を低減させることにより、水素製造用の燃料として使用可能な組成に変更し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記水素製造方法に関するものである。
(1) 流動接触分解処理装置からのオフガスを、水素化処理触媒存在下、反応圧力が反応器入口圧力として10〜900kPaである条件で水素化還元処理した後、得られた水素化処理したFCCオフガスを原料として、スチームリフォーミングプロセス又は部分酸化プロセスにより水素を製造することを特徴とする、水素製造方法。
(2) 前記水素化処理触媒が、ニッケル(Ni)及びモリブデン(Mo)を含むもので
ある、前記(1)の水素製造方法。
(3) 前記水素化触媒が、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、及びルテニウム(Ru)を含むものである前記(1)又は(2)の水素製造方法。
本発明に係る水素化処理方法により、製油所のFCCオフガスを原料として、不飽和炭化水素含有量が非常に低いオフガスを得ることができる。また、当該水素化処理方法により処理されたオフガスを原料とすることによって水素を製造することができる。つまり、本発明に係る水素化処理方法及び水素製造方法を用いることにより、FCCオフガスを、従来の燃料としての利用よりも付加価値の高い水素原料として利用することができる。
<原料ガス>
本発明に係る水素化処理方法においては、原料ガス(原料として用いられるガス)として、FCC装置で副生されるオフガス(FCCオフガス)を用いる。FCCオフガスは、水素やメタン等の飽和炭化水素に加えて、軽質な不飽和炭化水素を含む。また、必要に応じて、FCCオフガスに水素を含むガス成分を加えて再調製したものを、原料ガスとすることもできる。
上記の原料ガスの反応における圧力は、10〜900kPaが好ましい。より詳細には、原料ガスの反応圧力は、好ましくは50kPa以上、より好ましくは100kPa以上、さらに好ましくは150kPa以上である。また、原料ガスの反応圧力は、好ましくは500kPa以下、より好ましくは400kPa以下である。原料ガスの圧力が10kPa以上であれば、水素化還元反応に必要な圧力を有しているといえ、当該反応にそのまま利用することができる。また、原料ガスは、水素化還元反応に供する前に、必要に応じて適宜昇圧してもよい。
原料ガスにおける水素含量は、水素化還元反応に供された際に不飽和炭化水素含量を相当量低減させることができる含量であればよい。本発明において用いられる原料ガスにおいては、ガス組成物に対する水素含量として5〜40容量%、好ましくは10〜40容量%、より好ましくは15〜40容量%である。原料ガスに対する水素含量が5容量%以上であれば、水素化還元反応において不飽和炭化水素含量を相当量低減することができる。また、一般的に、水素分圧が高いほど水素化反応には有利であるが、昇圧を必要とするためエネルギー効率が低下する。そこで、この原料ガスを構成する水素の分圧は、0.1kPa以上、好ましくは0.5kPa以上、より好ましくは1kPa以上、さらに好ましくは5kPa以上、よりさらに好ましくは10kPa以上である。また、この原料ガスを構成する水素の分圧は、好ましくは360kPa以下、より好ましくは200kPa以下、さらに好ましくは150kPa以下である。
また、原料ガスにおける不飽和炭化水素含量は、ガス組成物に対する不飽和炭化水素含量として2〜40容量%、好ましくは5〜40容量%、より好ましくは5〜30容量%である。ガス組成物に対する不飽和炭化水素含量が2容量%以上であれば、水素化還元反応の原料ガスとして用いることができる。
原料ガスにおける水素/不飽和炭化水素比(モル/モル)は0.1〜10、好ましくは0.5〜10、より好ましくは1.0〜5.0、更に好ましくは1.0〜2.0である。一般的に、原料ガスに対する水素の量が多いほど水素化反応には有利であるが、反応系内の不飽和炭化水素含量が水素製造において実質的に許容できる場合には、水素/不飽和炭化水素比が0.1以上であればよい。また、水素/不飽和炭化水素比(モル/モル)が10を超える場合には、水素化還元反応における水素の利用の点で不効率となる。
<水素化触媒の組成>
本発明に係る水素化処理方法においては、水素化処理触媒存在下で水素化還元処理を行う。FCCオフガスに含まれる不飽和炭化水素のうち主たる成分はエチレンである。このため、FCCオフガスの水素化還元処理は、一般的な石油・石油化学プラント等で行われる他の炭化水素の水素化処理よりも容易に進行する。
本発明において用いられる水素化処理触媒は、エチレン等の軽質な不飽和炭化水素を水素化還元処理可能な触媒であれば特に限定されないが、ニッケル(Ni)及びモリブデン(Mo)を含む触媒を好適に使用することができる。
中でも、本発明において用いられるニッケル及びモリブデンを含む水素化触媒(以下、「NiMo含有触媒」という。)としては、ニッケル、モリブデン、及び無機酸化物を含有し、NiOの結晶子径が3nm以下であり、かつ比表面積が150〜600m/gであるものが好ましい。当該NiMo含有触媒は、さらに、ルテニウムを含有するものであってもよい。
本発明において用いられるNiMo含有触媒におけるニッケルの含有量は、酸化物(NiO)換算で好ましくは50〜95質量%、より好ましくは60〜90質量%、更に好ましくは70〜90質量%である。ニッケル酸化物量が50質量%以上であれば所望の水素化活性が発現されるため好ましく、95質量%以下であれば、水素化活性が飽和せず、またNi同士の凝集による水素化活性の低下が生じにくいため好ましい。
本発明において用いられるNiMo含有触媒におけるモリブデンの含有量は、酸化物(MoO)換算で好ましくは0.5〜25質量%、より好ましくは0.5〜20質量%、更に好ましくは1〜10質量%である。モリブデン酸化物量が0.5質量%以上であれば所望の水素化活性が発現されるため好ましく、25質量%以下であれば、水素化活性が飽和せず、また水素化活性の低下が生じにくいため好ましい。
本発明において用いられるNiMo含有触媒がさらに、ルテニウムを含有するものである場合、ルテニウムの含有量は、酸化物(RuO)換算で好ましくは0.1〜12質量%、より好ましくは0.1〜10質量%である。ルテニウム酸化物量が0.1質量%以上であれば所望の水素化活性が発現されるため好ましく、12質量%以下であれば、水素化活性が飽和せず、また経済的にも望ましい。
本発明において用いられるNiMo含有触媒は、さらに、無機酸化物を含有することができる。無機酸化物を用いると、それに水素化活性金属が分散付着しその分散性がよくなり、水素化活性が向上し、触媒寿命の延長が期待される。また、触媒の成型性や強度も向上するため、無機酸化物を用いることは高活性かつ高耐久性の触媒を得る上で望ましい。
無機酸化物の種類は特に限定されないが、Si、Al、B、Mg、Ce、Zr、P、Ti、W、Mnからなる群から選ばれるいずれか1種の元素の酸化物もしくはこれらの混合物、又は2種以上の元素の複合酸化物が好ましい。これらの無機酸化物は結晶構造が無定形であっても結晶性であっても構わない。例えば、SiO、Al、TiO、B、MgO、SiO−Al、Al−B、SiO−MgO、ゼオライトなどが挙げられる。各種無機酸化物の中でも、比較的高い比表面積を有し、成形性、圧壊強度、磨耗性に優れる、SiO、Al、及びSiO−Alが特に好ましい。このSiO−Alは、通常、後述する触媒の焼成工程において珪素(Si)原料及びアルミニウム(Al)原料の両者を含む混合物を焼成する過程で生成することができる。
無機酸化物成分含有量については、特に制限はなく、各種条件において適宜選定すればよいが、通常は触媒全体に対して好ましくは0.5〜49.4質量%、より好ましくは0.5〜40質量%、さらに好ましくは0.5〜30質量%の範囲であればよい。含有量が0.5質量%以上であれば、無機酸化物成分としての効果が十分に発揮され、また49.4質量%以下であれば、水素化活性成分の低下による脱硫性能の低下が防ぐことができ、好ましい。
本発明において用いられるNiMo含有触媒の含有成分の一つであるニッケルの酸化物(NiO)状態における結晶子径は、好ましくは3nm以下、より好ましくは2.6nm以下、さらに好ましくは2.4nm以下である。一般に活性点の結晶子サイズが小さいほど表面積が増加し、活性が高くなる。NiOの結晶子径が3nm以下であれば、十分な水素化活性が発揮され好ましい。
NiMo含有触媒の比表面積は、還元処理前の状態で、好ましくは150〜600m/gであり、180〜500m/gであることがより好ましい。比表面積が150m/g以上であれば、水素化のための活性点の数が多くなり、十分な水素化活性が得られて好ましい。また、比表面積が600m/g以下であれば、相対的に平均細孔径が大きくなり、十分な水素化活性が得られて好ましい。
本発明において用いられる水素化触媒の形状については特に規定されず、成型体(押出し円柱、タブレット円柱、球など)、メッシュで篩い分けられた粒状体、粉末などいずれの状態でもかまわないが、取り扱いの簡便さを考えると、成型体又はメッシュで篩い分けられた粒状体が好ましい。触媒の形状を成型体あるいはメッシュで篩い分けられた粒状体にするためには、無機酸化物を用いることが望ましい。また、触媒の大きさは、成型体、メッシュで篩い分けられた粒状体に関らず特に限定されないが、通常直径、あるいは長さが0.1〜10mm、より好ましくは0.1〜5mmであることが好ましい。
上記のような、ニッケル及びモリブデン(必要に応じて、さらにルテニウム)を特定の組成比で含有し、かつ特定の結晶子径や比表面積であるNiMo含有触媒を用いることにより、原料ガスとするFCCオフガス中に硫化水素等の不純物が含まれている場合であっても、温和な温度条件かつ圧力条件で効率よく、不飽和炭化水素を水素化することができる。
<水素化触媒の調製方法>
本発明において用いられる水素化触媒は、いずれの調製方法により調製されたものであってもよく、適宜、任意の方法で調製することができる。例えば、無機酸化物を用いて、含浸法、混練法、共沈法、ゾルゲル法、平衡吸着法などにより製造することができる。ニッケル及びモリブデン(必要に応じて、さらにルテニウム)を有効的に機能させるためには、水素化触媒は含浸法及び共沈法により調製されることが好ましい。ニッケル成分の添加には、1回の操作による担持量をより多くし得るため、含浸法よりも共沈法がより好ましい。ルテニウム成分を添加する場合には、活性がより長く維持されることから、含浸法がより好ましい。
以下に、本発明において用いられるNiMo含有触媒の好適な調製方法について具体的に説明するが、本発明において使用できる水素化触媒の調製方法はこれに限定されるものではない。
〔NiMo含有触媒の調製方法(A)〕
この方法では、まず、ニッケル原料を含む酸性水溶液と、モリブデン原料を含む塩基性水溶液を別個に調製する。無機酸化物原料は、酸性水溶液又は塩基性水溶液のいずれにも添加することができる。2種以上の無機酸化物原料を使用する場合は、無機酸化物原料を両方の水溶液に添加してもよい。
例えば、無機酸化物としてSiO及びAlを含む触媒を製造する場合、ニッケル原料及びアルミニウム原料を含む酸性水溶液と、モリブデン原料、珪素原料及び無機塩基を含む塩基性水溶液をそれぞれ調製する。また、無機酸化物としてSiOのみを含む触媒を製造する場合は、例えば、ニッケル原料を含む酸性水溶液と、モリブデン原料、珪素原料及び無機塩基を含む塩基性水溶液をそれぞれ調製する。
ニッケル原料としては特に限定されないが、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、酢酸ニッケルなどの水溶性ニッケル金属塩及びその水和物が好適に使用できる。モリブデン原料としては特に限定されないが、モリブデン酸アンモニウム、モリブドリン酸などの水溶性モリブデン金属塩及びその水和物が好適に使用できる。これらのニッケル原料やモリブデン原料は、それぞれ単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、アルミニウム原料としては、特に限定されないが、ベーマイト、擬ベーマイト、γアルミナ、βアルミナなどが好ましい。これらは粉体状、あるいはゾルの形態で用いることができ、1種用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ニッケル原料及びアルミニウム原料を含む酸性水溶液は、塩酸、硫酸、硝酸などの酸によって調製することが好ましい。
珪素原料としては、特に限定されないが、シリカや水ガラス、メタケイ酸ソーダ、珪藻土、メソポーラスシリカ(MCM41)などが好ましい。
また、無機塩基としては、アルカリ金属の炭酸塩や水酸化物などが好ましく、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられ、特に炭酸ナトリウムが好適である。この無機塩基の使用量は、次の工程において、酸性水溶液と塩基性水溶液との混合液が実質上中性から塩基性になるように選ぶのが有利である。
珪素原料及び無機塩基は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてよい。
なお、アルミニウム原料や珪素原料は、触媒に無機酸化物成分を加えるために用いるものである。これは、後記する方法Bや方法Cでも同様である。
次に、調製した各水溶液を、それぞれ25〜90℃に加温し、各者を混合する。そして、液温を25〜90℃に保持しながら0.5〜3時間程度撹拌し、反応を完結させる。酸性水溶液と塩基性水溶液の混合後のpHは6以上であることが好ましく、6〜11の範囲であることがより好ましく、6.5〜10の範囲であることがさらに好ましい。pHが6以上であれば、ニッケル、モリブデンが効率よく沈殿するため好ましい。また、pHが11以下であることが、無機塩基の使用量を節減することができて、製造コスト面から好ましい。
反応させた水溶液の沈殿物をろ過、水洗後、固形物を公知の方法により50〜150℃程度の温度で乾燥処理する。このようにして得られた乾燥処理物を、好ましくは200〜450℃の範囲の温度において1〜5時間焼成する。これにより得られた焼成体が、NiMo含有触媒として機能する。
NiMo含有触媒にさらにルテニウムを配合する場合には、上記のようにして得られた焼成体に、ルテニウム原料をイオン交換水に溶解した水溶液を含浸担持し、乾燥後、アルカリ性水溶液でルテニウム成分を不溶・固定化し、ろ過・水洗・乾燥する。
ルテニウム原料としては、特に限定されないが、塩化ルテニウム、硝酸ルテニウムなどの水溶性ルテニウム金属塩及びその水和物が好適に使用できる。また、ルテニウム成分を固定化するのに用いるアルカリ性水溶液としては、特に限定されないが、アンモニア水、炭酸アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の水溶液を使用できる。
ルテニウム成分の含浸、固定化物を乾燥させる際の温度としては120℃以下であることが好ましい。120℃以下であれば、酸化ルテニウムの生成を抑制でき、後の還元工程を効率化することができる。また、乾燥方法は特に限定されず、常圧での乾燥、減圧での乾燥、空気中での乾燥、不活性ガス雰囲気下での乾燥を任意に選ぶことができる。
〔NiMo含有触媒の調製方法(方法B)〕
この方法では、まず、ニッケル原料及びモリブデン原料を含む酸性水溶液と、無機酸化物原料を含む塩基性水溶液を別個に調製する。2種以上の無機酸化物原料を使用する場合は、無機酸化物原料を酸性水溶液にも添加することができる。
例えば、無機酸化物としてSiO及びAlを含む触媒を製造する場合は、ニッケル原料、モリブデン原料及びアルミニウム原料を含む酸性水溶液と、珪素原料及び無機塩基を含む塩基性水溶液をそれぞれ調製する。
ニッケル原料、モリブデン原料、アルミニウム原料、珪素原料、無機塩基としては、方法Aと同様のものを用いることができる。また、ニッケル原料、モリブデン原料、及びアルミニウム原料を含む酸性水溶液は、塩酸、硫酸、硝酸などの酸によって調製することが好ましい。酸性水溶液と塩基性水溶液の混合後のpHは、方法Aで述べたpHと同様の範囲とすることが好ましい。
調製した酸性水溶液と塩基性水溶液は、方法Aと同様の条件で、混合して反応を完結させ、生成した沈殿物は、ろ過、水洗後、乾燥処理し、乾燥処理物を焼成する。これにより得られた焼成体が、NiMo含有触媒として機能する。
NiMo含有触媒にさらにルテニウムを配合する場合には、こうして得られた焼成体に、方法Aと同様に、ルテニウム原料を溶解した水溶液を含浸担持し、乾燥後、アルカリ性水溶液でルテニウム成分を不溶・固定化し、ろ過・水洗・乾燥する。この際、ルテニウム原料、アルカリ性水溶液としては、方法Aと同様のものを用いることができる。次いで、得られたルテニウム成分の含浸、固定化物を、方法Aと同様に、乾燥させる。
〔NiMo含有触媒の調製方法(方法C)〕
この方法では、まず、ニッケル原料を含む酸性水溶液と、無機酸化物原料を含む塩基性水溶液を別個に調製する。2種以上の無機酸化物原料を使用する場合は、無機酸化物原料を酸性水溶液にも添加することができる。
例えば、無機酸化物としてSiO及びAlを含む触媒を製造する場合は、ニッケル原料及びアルミニウム原料を含む酸性水溶液と、珪素原料及び無機塩基を含む塩基性水溶液をそれぞれ調製する。
ニッケル原料、アルミニウム原料、珪素原料、無機塩基としては、方法Aと同様のものを用いることができる。また、ニッケル原料及びアルミニウム原料を含む酸性水溶液は、塩酸、硫酸、硝酸などの酸によって調製することが好ましい。また、酸性水溶液と塩基性水溶液の混合後のpHは、方法Aで述べたpHと同様の範囲とすることが好ましい。
調製した酸性水溶液と塩基性水溶液は、方法Aと同様の条件で、混合して反応を完結させ、生成した沈殿物は、ろ過、水洗後、乾燥処理し、乾燥処理物を焼成する。
得られた焼成物に、モリブデン原料をイオン交換水に溶解した水溶液を含浸担持させる。モリブデン原料がイオン交換水で溶解しない場合は少量のアンモニア水を加えても良い。この際、モリブデン原料としては、方法Aと同様のものを用いることができる。
得られたモリブデン原料水溶液の含浸物を、公知の方法により50〜150℃程度の温度で乾燥処理し、その乾燥処理物を、好ましくは200〜450℃の範囲の温度において1〜5時間焼成する。これにより得られた焼成体が、NiMo含有触媒として機能する。
NiMo含有触媒にさらにルテニウムを配合する場合には、こうして得られた焼成体に、方法Aと同様に、ルテニウム原料を溶解した水溶液を含浸担持し、乾燥後、アルカリ性水溶液でルテニウム成分を不溶・固定化し、ろ過・水洗・乾燥する。この際、ルテニウム原料、アルカリ性水溶液としては、方法Aと同様のものを用いることができる。次いで、得られたルテニウム成分の含浸、固定化物を、方法Aと同様に、乾燥させる。
<水素化触媒の前処理>
上記のようにして製造した水素化触媒は、不飽和炭化水素の水素化還元処理に供される前に、還元処理しておくことが好ましい。これにより、触媒の含有金属が活性化され、不飽和炭化水素を水素化しやすい状態となる。この還元処理方法としては、水素や一酸化炭素等による気相還元、ホルムアルデヒドやエタノール等を用いた液相還元等、公知の方法を用いることが可能であるが、気相による水素化還元による前処理が好ましい。この場合、水素雰囲気で200〜500℃で行うことが好ましく、200〜450℃の温度条件で行うことがより好ましい。
なお、水素化還元処理による前処理は、不飽和炭化水素の水素化反応の反応器内(オンサイト)で行ってもよく、事前の水素化還元処理装置(オフサイト)で行ってもかまわない。水素化反応の温度よりも還元処理温度の方が高いため、使用する反応器の設計温度が高くなることなどを考慮すると、オフサイト還元が好ましい。さらに、水素化触媒のオフサイト還元処理においては、還元処理後に触媒を空気中に取り出すと還元されたニッケル金属やルテニウム金属の急激な酸化による発熱が起き、ニッケルやルテニウム、その他の含有成分が凝集し、表面積低下の恐れがある。よって、還元処理後、空気中に抜き出す前に、微量の酸素や二酸化炭素などを用いる金属表面の不動態化処理を施すことがさらに好ましい。上記不動態化処理では、金属ニッケルの表層の一部をニッケル酸化物(NiO)に酸化することで、空気中に抜き出した場合でもそれ以上のニッケルの酸化が進まず、安定に取り扱うことが可能となる。なお、このとき生成するNiOの粒子径は不動態化処理の条件によっては粒子径が多少変動する場合があるが、本発明において用いられるNiRu含有触媒としては、還元、不動態化処理前のNiOの粒子径が3nm以下である者が好ましい。
<FCCオフガスの水素化還元処理>
本発明に係る水素化処理方法における水素化還元処理においては、通常、反応器に水素化触媒を充填し、水素を含む原料ガス(FCCオフガスそのもの、又は必要に応じてFCCオフガスに水素をさらに添加したガス)を当該水素化触媒と接触させることにより水素化が行われる。この原料ガスと水素化触媒とを接触させる方法は、特に制限されないが、一般的な固定床式反応器内に触媒層を形成して原料ガスを供給する方法が挙げられる。
本発明における水素化還元処理において、反応温度は、反応器の入り口温度として、5〜300℃、好ましくは10〜250℃、より好ましくは20〜250℃、更に好ましくは50〜230℃、より更に好ましくは80〜200℃である。本発明に係る水素化処理方法における水素化還元処理は、FCCオフガス、特には当該ガスに含まれるエチレンの水素化反応であり、低温でも十分水素化が進行するものであるが、反応温度を5℃以上であれば、水素化反応を充分な速度で行うことができ、300℃以下とすることにより、水素化触媒中のニッケル成分が凝集して活性サイト数が減少することが抑制され、水素化活性を低下させる恐れが小さく、効率よく反応を行うことができる。
本発明における水素化還元処理において、ガス空間速度(GHSV)は、反応器の入り口速度として、100〜100,000h−1、好ましくは1,000〜50,000h−1、より好ましくは3,000〜30,000h−1である。GHSVが大き過ぎる場合は、反応産物のガス中に未反応物の不飽和炭化水素が残存し、一方でGHSVが低すぎる場合は、反応処理量が低下する。GHSVを100〜100,000h−1の範囲内とすることにより、反応産物のガス中に残存する不飽和炭化水素量を抑制しつつ、反応処理量を高めることができる。
本発明における水素化還元処理において、反応圧力は、反応器の入り口圧力として、10〜900kPaである。より詳細には、反応器の入り口圧力は、好ましくは50kPa以上、より好ましくは100kPa以上、さらに好ましくは150kPa以上である。また、反応器の入り口圧力は、好ましくは500kPa以下、より好ましくは400kPa以下である。反応圧力を10〜900kPaの範囲内とすることにより、効率よく水素化反応を行うことができる。
本発明における水素化還元処理において、線速度は、反応器の入り口速度として、1〜5,000cm/sec、好ましくは2〜500cm/sec、より好ましくは4〜50cm/secである。線速度が大き過ぎる場合は、反応産物のガス中に未反応物の不飽和炭化水素が残存し、一方で線速度が低すぎる場合は、反応処理量が低下する。線速度を1〜5,000cm/secの範囲内とすることにより、反応産物のガス中に残存する不飽和炭化水素量を抑制しつつ、反応処理量を高めることができる。
本発明における水素化還元処理において、原料ガス流量は、原料ガス組成、反応器容量、水素化反応に関わる温度や圧力の条件などから決定される不飽和炭化水素の水素化反応速度に応じて、飽和炭化水素の生産性及び経済性を満たす条件として決定されることが好ましい。
本発明に係る水素化処理方法によって処理されたFCCオフガスは、不飽和炭化水素が低減し、飽和炭化水素に富むガスである。そのため、製油所内に張り巡らされたオフガスラインを通じて相互融通できる。また、この水素化還元処理されたFCCオフガスは、石油精製プロセスの運転に不可欠な水素を製造するための水素製造装置の原料ガスとしても適用できる。すなわち、本発明に係る水素化処理方法により、エチレン等の不飽和炭化水素を含むFCCオフガスを、不飽和炭化水素含量が充分に低く、スチームリフォーミングプロセスや部分酸化プロセスによる水素製造用の原料として使用可能な組成に変換することができる。このように、従来は利用できていなかったFCCオフガスを水素製造装置に供される原料として利用できることから、本発明によって、水素製造装置での原料の多様化を図ることができる。
<水素化還元処理されたFCCオフガスからの水素製造>
本発明に係る水素化処理方法により水素化還元処理されたFCCオフガスは、不飽和炭化水素含量が相当量低減しており、ガス組成物に対する不飽和炭化水素含量として0〜5容量%、好ましくは0〜3容量%、より好ましくは0〜2容量%である。原料ガスに対する不飽和炭化水素含量が5容量%以下であれば、炭素析出が起きにくく、これに起因する改質触媒の被毒を抑制しやすい。
水素化還元処理されたFCCオフガスからの水素の製造は、スチームリフォーミングプロセス又は部分酸化プロセスなどの常法に従って行うことができる。また、水素製造における製造条件は、原料とするFCCオフガスの組成等を考慮して、適宜選択すればよい。
水素化還元処理されたFCCオフガスを改質して製造された水素は、ナフサ、軽油、重質油、常圧残油、減圧残油など、様々な油種についての脱硫工程における還元剤として利用することができる。また、この水素は、様々な油種の炭化水素の水素化分解反応における原料ガスとしても利用することができる。
次に、本発明の実施態様及びその効果を実施例等によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
<ガス試料の成分分析>
以下の実施例等で用いた原料ガス及び反応産物ガスの成分は、ガスクロマトグラフィー法(GC法)を用いて定量した。
水素とメタン、窒素については、TCD(熱伝導度検出器)を備えたGC分析装置(GC−2010(島津製作所製)により、分析カラムとしてUniBeads C(ジーエルサイエンス製)を充填したものを用い、キャリアガスとしてヘリウムを用い、カラム温度をガス注入後100℃として、10分間分析した。
エタンとエチレンについては、FID(水素炎イオン検出器)を備えたGC分析装置(GC−2010(島津製作所製)により、分析カラムとしてChromatopack Capillary Column CP−Al/KCl(バリアン製)を用い、キャリアガスとしてヘリウムを用い、カラム温度をガス注入後50℃として、20分間分析した。
[実施例1]
<水素化触媒1(NiMo含有触媒)の調製>
ベーマイトAP−3(触媒化成工業製)1.24gと1N−HNO水溶液40mLをイオン交換水1Lに加え、80℃に加温後、Ni(NO・6HOを149g加えて調製液Aを得た。別途用意したイオン交換水1Lに、コロイダルシリカスノーテックスXS(日産化学製)33.9g、炭酸ナトリウム99.4g、及び(NHMo24・5HO3.0gを加え、80℃に加温し、調製液Bを得た。調製液Aと調製液Bを80℃に保持しながら、調製液Bを調製液Aに瞬時に加えて、得られた混合液を1時間攪拌した。その後、当該混合液中の固形分を、イオン交換水5Lを用いて洗浄し、ろ過後に空気中120℃で12時間乾燥させた後、400℃で1時間焼成した。得られた焼成物を破砕し、1.0mmと1.4mmの網目を有する篩で篩い分け、1.4mmの網目を有する篩を通過して1.0mmの網目を有する篩を通過しなかったものを水素化触媒1として得た。
この水素化触媒1の6mL(7.26g)を、内径1.27cm(断面積1.115cm)の反応器に充填し、水素/窒素=20/80(容量比)、ガス流速=100mL/min、GHSV=1,000h−1の条件にて水素化前処理を行った。この水素化触媒の前処理における反応温度と反応時間は、ステップワイズの昇温プログラムとし、50℃/1時間→80℃/1時間→110℃/1時間→140℃/1時間→160℃/1時間→185℃/2時間とした。
<不飽和炭化水素の水素化反応>
前記の水素化前処理済みの水素化触媒1を用いて、不飽和炭化水素を含む原料ガスの水素化反応を行った。水素化触媒1は、水素化前処理反応を行った反応器に充填された状態のまま用いた。具体的には、予め所定の反応温度まで昇温させた原料ガスを、前記反応器に投入して行った。この時の原料ガスの組成を表1に、水素化反応の詳細条件を表2に示した。この水素化反応にかかる温度や圧力が安定したことを確認した後、反応前後のガス試料をサンプリングした。これらガス試料の成分は、前記<ガス試料の成分分析>の方法を用いて分析し、測定されたガス組成を表1及び表3に収載した。
なお、表1〜3中の「不飽和炭化水素」は、Cの含有量とCの含有量との和を示す。また、表3記載の不飽和炭化水素転化率は、水素化反応に供した原料ガス中の不飽和炭化水素量(モル)に対する生成した飽和炭化水素量(モル)の割合として算出した。
[実施例2〜7]
<水素化触媒2(NiMoRu含有触媒)の調製>
ベーマイトAP−3(触媒化成工業製)1.24gと1N−HNO水溶液40mLをイオン交換水1Lに加え、80℃に加温後、Ni(NO・6HOを149g加えて調製液Aを得た。別途用意したイオン交換水1Lに、コロイダルシリカスノーテックスXS(日産化学製)33.9g、炭酸ナトリウム99.4g、(NHMo24・5HO3.0gを加え、80℃に加温し、調製液Bを得た。調製液Aと調製液Bを80℃に保持しながら、調製液Bを調製液Aに瞬時に加えて、得られた混合液を1時間攪拌した。その後、当該混合液中の固形分を、イオン交換水5Lを用いて洗浄し、ろ過後に空気中120℃で12時間乾燥させた後、400℃で1時間焼成した。得られた焼成物を破砕し、1.0mmと1.4mmの網目を有する篩で篩い分け、1.4mmの網目を有する篩を通過して1.0mmの網目を有する篩を通過しなかったものを回収した。次いで、RuCl・nHO(小島化学薬品製、Ru含有量:41重量%、n=1〜3)2.3gをイオン交換水11.4gに溶解させた水溶液に、上記メッシュ破砕して回収した破砕物30gを1時間浸漬し、当該メッシュ破砕物に当該水溶液を含浸担持させ、乾燥後、7N−NH水150gに1時間漬け、イオン交換水2Lで洗浄、ろ過し、120℃で乾燥し、水素化触媒2を得た。
この水素化触媒2は、前記<水素化触媒1(NiMo触媒)の調製>と同様の方法によって前処理を行った。
<不飽和炭化水素の水素化反応>
前記の水素化前処理済みの水素化触媒2を用いて、実施例1と同様にして、表1に示す組成の原料ガスの水素化反応を表2に示す詳細条件により行い、サンプリングした反応前後のガス試料の成分を分析した。測定されたガス組成を表1及び表3に収載した。
[比較例1]
<不飽和炭化水素の水素化反応>
前記[実施例2〜7]で調製した水素化前処理済みの水素化触媒2を用いて、実施例1と同様にして、表1に示す組成の原料ガスの水素化反応を表2に示す詳細条件により行い、サンプリングした反応前後のガス試料の成分を分析した。測定されたガス組成を表1及び表3に収載した。
Figure 0005948657
Figure 0005948657
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実施例1〜7及び比較例1において用いた原料ガスは、エチレンやプロピレンといった不飽和炭化水素を含む、FCCオフガス相当の組成のものである。
表1〜3から明らかなように、FCCオフガス相当の原料ガスを、NiMo含有触媒又はNiMoRu含有触媒を用いて水素化還元処理することにより、残存不飽和炭化水素量が5.0容量%以下にできることが明らかである。
一方で、実施例2〜7と同じNiMoRu含有触媒を用いたものの、反応圧力が9kPaであった比較例1では、原料ガス中に不飽和炭化水素分圧と水素分圧がほぼ同程度になるほど充分な量の水素が含まれていたにもかかわらず、不飽和炭化水素転化率は50%程度であった。つまり、反応器入口圧力が低すぎる場合には、原料ガス中に多量の水素を含んでいたとしても、水素化反応が充分に進行せず、不飽和炭化水素含量を充分に低減させられないことがわかった。

Claims (3)

  1. 流動接触分解処理装置からのオフガスを、水素化処理触媒存在下、反応圧力が反応器入口圧力として10〜900kPaである条件で水素化還元処理した後、得られた水素化処理したFCCオフガスを原料として、スチームリフォーミングプロセス又は部分酸化プロセスにより水素を製造することを特徴とする、水素製造方法。
  2. 前記水素化処理触媒が、ニッケル(Ni)及びモリブデン(Mo)を含むものである、請求項1に記載の水素製造方法
  3. 前記水素化触媒が、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、及びルテニウム(Ru)を含むものである請求項1又は2に記載の水素製造方法。
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