以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
図1及び図2は、第1の実施形態による吸着パッド10を、外力を受けず実質的に変形していない状態で示す。図3及び図4は、吸着パッド10を、対象物12を吸着して変形した状態で示す。図5は、図4の吸着パッド10の一部を拡大して示す。吸着パッド10は、先端(図で下端)に吸盤を有する全体として中空の筒形部品であって、その内部空間を吸着パッド10の周囲環境よりも減圧することにより、吸盤を対象物12の表面12aに吸着させて吸着状態を維持することができる。
図1及び図2に示すように、吸着パッド10は、基端14から末端16まで末広がりに延びる笠部18と、笠部18の内側(図で下側)で折り畳み式に伸縮可能な筒状の蛇腹部20とを備える。笠部18と蛇腹部20とは、後述するように、吸着パッド10が対象物12(図3)を吸着するときに、蛇腹部20の内部空間22の減圧に伴い変形して吸着作用を発揮する。
この実施形態では、吸着パッド10はさらに、笠部18の基端14に接続される基部24を備える。基部24は、吸着パッド10を、例えばロボット等の物品搬送機械が有する物品保持部(例えばロボットハンド)のような、所望の構造体(図示せず)に取り付けるための部分である。基部24は、蛇腹部20の内部空間22に連通する通気孔26を有する。この実施形態では、吸着パッド10は、実質的に変形していない状態で、軸線10aに関して回転対称の形状を有し、笠部18、蛇腹部20及び基部24が互いに同軸に配置される(図2)。なお吸着パッド10は、基部24を備えず、笠部18の基端14が構造体に直接取り付けられる構成を有することもできる。
図1及び図2に示すように、笠部18は、所望の厚みを有する弾性変形可能な笠形の環状壁28を備える。この実施形態では、笠部18の環状壁28は、軸線10aを中心として基端14から末端16に向かって徐々に拡径する円錐台状の外周面28aと、軸線10aを中心として基端14から末端16に向かって徐々に拡径する円錐台状の内周面28bとを有する(図2)。軸線10aに対する外周面28aの傾斜角度は、軸線10aに対する内周面28bの傾斜角度よりも小さくなっており、環状壁28は、基端14で最大の厚みを有する一方、末端16に隣接する部位で最小の厚みを有している(図2)。
図1及び図2に示すように、蛇腹部20は、所望の厚みを有する折り畳み可能な筒状壁30を備える。筒状壁30は、軸線10aに沿った方向の中間部位に形成される環状の谷折り部分32と、笠部18から離れる方向(図で下方)へ谷折り部分32から末広がりに延びる第1吸盤部分34とを有する。第1吸盤部分34は、吸着パッド10の先端(図で下端)に設けられ、吸着パッド10が対象物12(図3)を吸着する際に対象物12に接触する。第1吸盤部分34は、筒状壁30の軸線方向一端(図で下端)に相当する環状の外縁36を有する。第1吸盤部分34は、外縁36に沿った部位で、吸着パッド10が対象物12を吸着する際に対象物12に最初に接触できる。第1吸盤部分34は、少なくとも外縁36及びその近傍領域が、対象物12との接触時に弾性変形可能となっている。この実施形態では、第1吸盤部分34は、軸線10aを中心として谷折り部分32から外縁36に向かって徐々に拡径する円錐台状の外周面34aと、軸線10aを中心として谷折り部分32から外縁36に向かって徐々に拡径する円錐台状の内周面34bとを有する(図2)。内周面34bは、対象物12の表面12a(図3)に接触可能な吸着面(以下、吸着面34bとも称する)を構成する。
この実施形態では、蛇腹部20の筒状壁30は、1つの谷折り部分32を有するとともに、谷折り部分32を挟んで第1吸盤部分34とは反対側で、笠部18に接近する方向(図で上方)へ谷折り部分32から末広がりに延びる上壁部分38を有する。上壁部分38は、筒状壁30の軸線方向他端(図で上端)に相当する基端40を有するとともに、軸線10aを中心として谷折り部分32から基端40に向かって徐々に拡径する円錐台状の外周面38aと、軸線10aを中心として谷折り部分32から基端40に向かって徐々に拡径する円錐台状の内周面38bとを有する(図2)。第1吸盤部分34と上壁部分38とは、谷折り部分32で互いに一体に接続され、谷折り部分32及びその周辺部分の変形を伴いながら、互いの成す角度(つまり谷折り角度)を予め定めた範囲で変更できる。なお、蛇腹部20が笠部18の内側で折り畳み式に伸縮可能、という構成は、軸線10aに視線を合致させて吸着パッド10を見たときに、蛇腹部20が笠部18の末端16よりも外側にはみ出すことなく、筒状壁30が谷折り部分32における谷折り角度を変化させながら軸線10aに沿って伸縮し得ることを意味する。
図1及び図2に示すように、笠部18の末端16は、第1吸盤部分34の外縁36よりも外側に突出して配置される。つまり、軸線10aに視線を合致させて吸着パッド10を見たときに、笠部18の末端16の内側に第1吸盤部分34の外縁36が位置する。この実施形態では、末端16の外径D1が外縁36の外径D2よりも大きくなっている(図2)。また、この実施形態では、笠部18と蛇腹部20とは、互いに一体に形成される。特にこの実施形態では、笠部18の末端16に蛇腹部20の上壁部分38の基端40が一体に接続される。さらにこの実施形態では、笠部18と基部24とは、互いに一体に形成される。
図2に示すように、この実施形態では、蛇腹部20の筒状壁30は、第1吸盤部分34の外縁36の近傍領域を除く実質的全体に渡り、略一様な厚みを有する。第1吸盤部分34の外縁36の近傍領域は、外縁36に向かって徐々に厚みが小さくなる(図5)。筒状壁30の厚みは、笠部18の環状壁28の最小厚みよりも小さい。笠部18の末端16と蛇腹部20の基端40との接続領域42は、局所的に、笠部18の最小厚みよりも大きな厚みを有する。笠部18の環状壁28と蛇腹部20の上壁部分38とは、接続領域42及びその周辺部分で弾性変形可能であって、この弾性変形を伴いながら、環状壁28と上壁部分38との成す角度を予め定めた範囲で変更できる。笠部18を、蛇腹部20に連続する蛇腹構造の一部と見なすこともでき、この場合、接続領域42を、蛇腹構造の1つの山折り部分と見なすこともできる。
吸着パッド10は、蛇腹部20が笠部18の内側で縮んだ状態で、笠部18の末端16と第1吸盤部分34の外縁36との間に設けられる環状の第2吸盤部分44を有する。この構成を、図3〜図5を参照して詳細に説明する。
図3〜図5に示すように、吸着パッド10は、第1吸盤部分34を対象物12の表面12aに接触させて蛇腹部20が笠部18の内側で軸線方向へ縮んだときに、笠部18が末端16で対象物12の表面12aに接触できるように構成される。蛇腹部20は、第1吸盤部分34を外縁36に沿った部位で最初に対象物12の表面12aに接触させた後、笠部18を対象物12に接近させることで、笠部18の内側で軸線10aに沿って折り畳み式に縮む。この間、第1吸盤部分34と上壁部分38とは、谷折り部分32の変形を伴いながら谷折り角度を徐々に小さくして、両者の外周面34a、38aを徐々に接近させる。同時に、笠部18の環状壁28と蛇腹部20の上壁部分38とは、接続領域42の弾性変形を伴いながら環状壁28と上壁部分38との成す角度(つまり山折り角度)を徐々に小さくして、両者の内周面28b、38bを徐々に接近させる。
第1吸盤部分34の外周面34aと上壁部分38の外周面38aとが互いに接触し、環状壁28の内周面28bと上壁部分38の内周面38bとが互いに接触した時点で、蛇腹部20は軸線方向へ最も縮まった状態となる。蛇腹部20が軸線方向へ最も縮まった状態になると、図3及び図4に示すように、蛇腹部20は笠部18の内側で折り畳まれて外部から見えないように笠部18によって覆われ、笠部18の末端16が第1吸盤部分34の外縁36の外側で対象物12の表面12aに接触する。つまり笠部18は、蛇腹部20が笠部18の内側で縮んだときに蛇腹部20を包囲して蛇腹部20に当接する形状を有する。図5に示すように、笠部18の末端16が対象物12の表面12aに接触した状態で、末端16と第1吸盤部分34の外縁36と対象物表面12aとの間に、環状の空間46が形成される。
蛇腹部20を軸線方向へ最も縮まった状態にする一方で、蛇腹部20の内部空間22を減圧することにより、第1吸盤部分34がその内周面(吸着面)34bで対象物12の表面12aに接触して表面12aに吸着する。内部空間22の減圧状態を維持することにより、第1吸盤部分34が対象物12の表面12aに吸着した状態が維持される。例えば真空ポンプ等の真空装置(図示せず)を(この実施形態では基部24の通気孔26を介して)内部空間22に接続し、真空装置を作動することにより内部空間22を所望の真空度に減圧することができる。真空装置の作動を停止して内部空間22を外気に開放すると、蛇腹部20は図1の初期状態に復帰することができ、第1吸盤部分34は対象物12の表面12aから離脱することができる。
第1吸盤部分34が対象物12の表面12aに吸着している間、内部空間22と周囲環境との圧力差により、蛇腹部20及び笠部18は対象物12の表面12aに押し付けられ、少なくとも第1吸盤部分34の外縁36及びその周辺部分並びに笠部18の末端16及びその周辺部分が弾性変形する。この圧力下での弾性変形により、笠部18の末端16と第1吸盤部分34の外縁36との間の空間46から少なくとも一部の空気が外部に押し出され、空間46が負圧になる。その結果、図5に示すように、笠部18の末端16と第1吸盤部分34の外縁36との間に、環状の第2吸盤部分44が形成される。第2吸盤部分44は、第1吸盤部分34を環状に包囲する形態に形成される。この実施形態では、笠部18の末端16及び蛇腹部20の上壁部分38の基端40が、第1吸盤部分34の外縁36と協働して、第2吸盤部分44を形成し、末端16と基端40との接続領域42の、対象物表面12aに対向する外面部分44aが、第2の吸着面(以下、吸着面44aとも称する)を構成する。
上記構成を有する吸着パッド10では、対象物12を吸着するときに、第1吸盤部分34と第2吸盤部分44との双方が対象物12の表面12aに対し吸着作用を発揮するので、全体として吸着力が増加し、吸着作用の信頼性が向上する。対象物12の表面12aが凹凸を有する場合にも、第1吸盤部分34と第2吸盤部分44との二重の吸着作用により、吸着面34b、46aを通して外部から蛇腹部20の内部空間22に空気が侵入すること(空気漏れ、真空漏れ等とも称する)を防止できる。
例えば、対象物12の表面12aの凹凸に起因して、第1吸盤部分34の吸着面34bと対象物表面12aとの間に、蛇腹部20の内部空間22を外部に連通する局部的な隙間が生じた場合、この隙間は内部空間22を、第1吸盤部分34の外縁36と笠部18の末端16との間の空間46に連通するだけであり、結果として内部空間22の減圧状態が空間46に波及して空間46の負圧度が高まるので、第2吸盤部分44が対象物表面12aに一層強固に吸着することになる。他方、対象物12の表面12aの凹凸に起因して、第2吸盤部分44の吸着面44aと対象物表面12aとの間に、空間46を外部に連通する局部的な隙間が生じた場合には、第2吸盤部分44の吸着力が弱まるだけであって、第1吸盤部分34は本来の吸着作用を維持できる。第1吸盤部分34と第2吸盤部分44との双方にこのような局部的隙間が同時に生ずる確率は低い。
また、上記構成を有する吸着パッド10では、第1吸盤部分34と第2吸盤部分44との双方が対象物12に吸着している間、蛇腹部20は笠部18の内側で折り畳まれて笠部18に覆われ、蛇腹部20の上壁部分38は笠部18の環状壁28に当接して環状壁28に支持される。その結果、対象物吸着時の蛇腹部20の揺れが、笠部18によって抑制される。特にこの実施形態では、笠部18の環状壁28が蛇腹部20の筒状壁30よりも大きな肉厚を有するので、笠部18による蛇腹部20の揺れの抑制効果が向上する。
例えば、第1吸盤部分34と第2吸盤部分44との双方に前述したような局部的隙間が同時に生じて内部空間22の真空度が弱まった場合には、真空装置(図示せず)の作動の継続により、蛇腹部20が完全には縮みきらない状態で第1吸盤部分34が対象物12に比較的弱い吸着力で吸着することが想定される。このような不完全吸着状態のまま、例えば吸着パッド10を装備したロボット等の物品搬送機械により対象物12を搬送しようとすると、搬送中に完全には縮みきっていない蛇腹部20が対象物12と共に揺れを生じ、結果として、物品搬送機械が対象物12を目標の姿勢で目標位置に搬送することが困難になる場合がある。吸着パッド10によれば、不完全に縮んでいる蛇腹部20が揺れを生じたときにも、蛇腹部20の上壁部分38が笠部18の環状壁28に間欠的に当接することで、蛇腹部20の揺れが抑制される。
また、上記構成を有する吸着パッド10では、第1吸盤部分34と第2吸盤部分44との双方が対象物12に吸着している間、蛇腹部20は笠部18の内側で折り畳まれて笠部18に覆われるから、吸着中の第1吸盤部分34を笠部18によって保護することができる。したがって、例えば第1吸盤部分34に外部から物体が衝突して第1吸盤部分34の吸着作用を失わせるようなことは、未然に防止される。
吸着パッド10は、笠部18及び蛇腹部20のいずれにも、例えば既述の特許文献1に記載されるような補強用の突起部を備えない一方、笠部18の内側で縮んだ蛇腹部20に笠部18が当接することで蛇腹部20の揺れを抑制するように構成されているから、特許文献1に記載されるような構成に比べて、より簡易な構成を有する。また吸着パッド10は、笠部18の末端16が蛇腹部20の第1吸盤部分34と協働して第2吸盤部分44を形成するように構成されているから、例えば既述の特許文献2に記載されるような大小2つの吸盤を備える構成に比べて、より簡易な構成を有する。したがって吸着パッド10によれば、より簡易な構成により、対象物表面12aの凹凸等に起因する空気漏れを防止できるとともに、対象物吸着時の蛇腹部20の揺れを抑制できる。
上記した吸着パッド10において、基部24の通気孔26は、蛇腹部20の内部空間22の最小横断面積よりも大きな最小横断面積を有するように構成できる。この実施形態では、図2に示すように、通気孔26の内径D3が、蛇腹部22の谷折り部分32の内径D4よりも大きくなっている。前述したように笠部18の末端16が第1吸盤部分34の外縁36よりも外側に突出して配置される構成を採用したことにより、笠部18の基端14に接続される基部24の外形寸法を拡大でき、それに伴い、通気孔26の内径D3を拡大できる。この構成によれば、通気孔26の内径D3に応じて、内部空間22を減圧するための真空装置の排気量を増加でき、内部空間22の減圧能力を向上させて吸着パッド10の吸着力を高めることができる。また、谷折り部分32の内径D4を縮小することにより、第1吸盤部分34の吸着面34bの面積を、第2吸盤部分44の有効寸法を確保可能な範囲で拡大できる。吸着面34bの面積が大きいほど、対象物12の表面12aの凹凸に起因して吸着面34bと表面12aとの間に内部空間22を外部に連通する局部的な隙間が生じる可能性を低減できる。
図6は、吸着パッド10の変形例を示す。この変形例による吸着パッド10′は、蛇腹部20の上壁部分38の基端40が、笠部18の末端16からやや基端14側にずれた位置に一体に接続される構成を有している。つまり、笠部18の末端16からやや基端14側にずれた位置に、笠部18と蛇腹部20の基端40との接続領域42が形成される。その結果、笠部18の末端16は、蛇腹部20の上壁部分38の外側に突出して配置される。その他の構成は、前述した吸着パッド10の構成と同様である。吸着パッド10′においても、第1吸盤部分34を対象物12の表面12a(図3)に接触させて蛇腹部20が笠部18の内側で軸線方向へ縮んだときに、笠部18が末端16で対象物表面12aに接触し、笠部18の末端16と第1吸盤部分34の外縁36との間に、環状の第2吸盤部分44が形成される。
図7及び図8は、吸着パッド10の他の変形例を、外力を受けず実質的に変形していない状態で示す。この変形例による吸着パッド10″は、蛇腹部20が、2つの谷折り部分32と、それら谷折り部分32の間に位置する1つの環状の山折り部分48とを有する。蛇腹部20の筒状壁30は、第1吸盤部分34及び上壁部分38に加えて、一方(図で下側)の谷折り部分32を挟んで第1吸盤部分34とは反対側で山折り部分48に向かって末広がりに延びる第2の上壁部分50と、他方(図で上側)の谷折り部分32を挟んで上壁部分38とは反対側で山折り部分48に向かって末広がりに延びる下壁部分52とを有する。第1吸盤部分34と第2の上壁部分50とは、一方(図で下側)の谷折り部分32で互いに一体に接続され、第2の上壁部分50と下壁部分52とは、山折り部分48で互いに一体に接続され、下壁部分52と上壁部分38とは、他方(図で上側)の谷折り部分32で互いに一体に接続され、上壁部分38は、接続領域42で笠部18の末端16に一体に接続される。笠部18の末端16は、第1吸盤部分34の外縁36及び山折り部分48の双方よりも外側に突出して配置される。その他の構成は、前述した吸着パッド10の構成と同様である。
図9及び図10は、吸着パッド10″を、対象物12を吸着して変形した状態で示す。吸着パッド10″は、第1吸盤部分34を対象物12の表面12aに接触させて蛇腹部20が笠部18の内側で軸線方向へ縮んだときに、笠部18が末端16で対象物表面12aに接触できるように構成される。吸着パッド10″では、第1吸盤部分34と第2の上壁部分50とが互いに接触し、第2の上壁部分50と下壁部分52とが互いに接触し、上壁部分38と下壁部分52とが互いに接触し、環状壁28と上壁部分38とが互いに接触した時点で、蛇腹部20は軸線方向へ最も縮まった状態となる。蛇腹部20が軸線方向へ最も縮まった状態になると、蛇腹部20は笠部18の内側で折り畳まれて外部から見えないように笠部18によって覆われ、笠部18の末端16が第1吸盤部分34の外縁36の外側で対象物12の表面12aに接触する。つまり笠部18は、蛇腹部20が笠部18の内側で縮んだときに蛇腹部20を包囲して蛇腹部20に当接する形状を有する。笠部18の末端16が対象物12の表面12aに接触した状態で、末端16と第1吸盤部分34の外縁36と対象物表面12aとの間に環状の空間46が形成され、笠部18の末端16と第1吸盤部分34の外縁36との間に、環状の第2吸盤部分44が形成される(図10)。なお、蛇腹部20の筒状壁30を、3つ以上の谷折り部分32と2つ以上の山折り部分48とを有するように構成することもできる。
これら変形例による吸着パッド10′、10″は、吸着パッド10の前述した効果と同等の効果を奏する。また吸着パッド10′、10″は、吸着パッド10と同様に、基部24の通気孔26が、蛇腹部20の内部空間22の最小横断面積よりも大きな最小横断面積を有するように構成できる。
上記した吸着パッド10、10′、10″は、少なくとも第1吸盤部分34及び第2吸盤部分44を、吸着パッドとして一般的に使用されるゴム材から形成できる。そのようなゴム材として、例えば、ニトリルゴム(NBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム(FKM)、導電性NBR、導電性シリコーンゴム、天然ゴム等を挙げることができる。吸着パッド10、10′、10″は、全体が同一のゴム材から形成されてもよいし、例えば公知の二色成形法等により、異なるゴム材の組合せや、ゴム材と他の合成樹脂との組合せにより形成されてもよい。
上記した吸着パッド10、10′、10″は、笠部18と蛇腹部20とが互いに一体に形成される構成を有している。これに代えて、笠部18と蛇腹部20とが互いに別体に形成されて互いに連結される構成を採用することができる。この場合、例えば、別々に形成した笠部18と蛇腹部20とを、接続領域42で接着や溶着等により互いに連結することができる。この構成では、笠部18と蛇腹部20とを、それぞれに要求される物性を満足する材料で別々に形成することができる。同様に、笠部18及び基部24も、上記実施形態のように互いに一体に形成される構成に限定されず、互いに別体に形成されて互いに連結される構成とすることができる。
図11〜図13は、別体構造を有する第2の実施形態による吸着パッド60を、外力を受けず実質的に変形していない状態で示す。図14及び図15は、吸着パッド60を、対象物12を吸着して変形した状態で示す。吸着パッド60は、笠部18と蛇腹部20とが互いに別体に形成されて互いに連結される構成を有する点以外は、前述した吸着パッド10と実質的に同一の構成を有する。よって、対応する構成要素には共通の参照符号を付して、その詳細な説明を適宜省略する。
図11及び図12に示すように、吸着パッド60は、笠部18を有する第1部品62と、蛇腹部20を有する第2部品64とを、互いに組み合わせて構成される。第1部品62は、基端14から末端16まで末広がりに延びる笠部18と、笠部18の基端14に接続される第1基部66とを備える。図13に示すように、この実施形態では、笠部18の環状壁28は、軸線62aを中心として基端14から末端16に向かって徐々に拡径する円錐台状の外周面28aと、軸線62aを中心として基端14から末端16に向かって徐々に拡径する円錐台状の内周面28bとを有する。環状壁28は、基端14で最大の厚みを有する一方、末端16で最小の厚みを有する。
第1基部66は、吸着パッド60を、例えばロボット等の物品搬送機械が有する物品保持部(例えばロボットハンド)のような、所望の構造体(図示せず)に取り付けるための部分である。第1基部66は、軸線62aに沿って延びる貫通孔68を有する。図13に示すように、この実施形態では、第1部品62は、実質的に変形していない状態で、軸線62aに関して回転対称の形状を有し、笠部18及び第1基部66が互いに同軸に配置される。またこの実施形態では、笠部18と第1基部66とは、互いに一体に形成される。
第2部品64は、軸線64aに沿って折り畳み式に伸縮可能な筒状の蛇腹部20と、蛇腹部20の基端40に接続される第2基部70とを備える。蛇腹部20の筒状壁30は、環状の谷折り部分32と、第1吸盤部分34と、上壁部分38とを有する。図13に示すように、この実施形態では、第1吸盤部分34は、軸線64aを中心として谷折り部分32から外縁36に向かって徐々に拡径する円錐台状の外周面34aと、軸線64aを中心として谷折り部分32から外縁36に向かって徐々に拡径する円錐台状の内周面(吸着面)34bとを有する。またこの実施形態では、上壁部分38は、軸線64aを中心として谷折り部分32から基端40に向かって徐々に拡径する円錐台状の外周面38aと、軸線64aを中心として谷折り部分32から基端40に向かって徐々に拡径する円錐台状の内周面38bとを有する。蛇腹部20の筒状壁30は、第1吸盤部分34の外縁36の近傍領域を除く実質的全体に渡り、略一様な厚みを有する。第1吸盤部分34の外縁36の近傍領域は、外縁36に向かって徐々に厚みが小さくなる。
第2基部70は、第1基部66の貫通孔68に密に挿入可能な外形を有するとともに、蛇腹部20の内部空間22に連通する通気孔72を有する。また第2基部70は、蛇腹部20の基端40に隣接して軸線64aに直交する方向へ延びる端面70aを有する(図13)。図13に示すように、この実施形態では、第2部品64は、実質的に変形していない状態で、軸線64aに関して回転対称の形状を有し、蛇腹部20及び第2基部70が互いに同軸に配置される。またこの実施形態では、蛇腹部20と第2基部70とは、互いに一体に形成される。
第2基部70を第1基部66の貫通孔68に例えば圧入等により密に挿入すると、第1部品62の軸線62aと第2部品64の軸線64aとが互いに合致して、第1部品62と第2部品64とが互いに固定的に組み合わされる。両者の軸線62a、64aは、吸着パッド60の軸線60aと一致する。この組合せ状態で、蛇腹部20は、笠部18の内側(図で下側)で折り畳み式に伸縮可能な位置に配置される。またこの組合せ状態で、笠部18の末端16は、第1吸盤部分34の外縁36よりも外側に突出して配置される。この実施形態では、吸着パッド60は、笠部18及び蛇腹部20が実質的に変形していない状態で、軸線60aに関して回転対称の形状を有し、笠部18、蛇腹部20並びに第1及び第2基部66、70が互いに同軸に配置される(図13)。なお、第2基部70を第1基部66の貫通孔68に例えば接着剤により固定することもできる。
吸着パッド60は、蛇腹部20が笠部18の内側で縮んだ状態で、笠部18の末端16と第1吸盤部分34の外縁36との間に設けられる環状の第2吸盤部分74を有する。この構成を、図14及び図15を参照して詳細に説明する。
図14及び図15に示すように、吸着パッド60は、第1吸盤部分34を対象物12の表面12aに接触させて蛇腹部20が笠部18の内側で軸線方向へ縮んだときに、笠部18が末端16で対象物12の表面12aに接触できるように構成される。吸着パッド60では、第1吸盤部分34の外周面34aと上壁部分38の外周面38aとが互いに接触し、第2基部70の端面70aと上壁部分38の内周面38bとが互いに接触した時点で、蛇腹部20は軸線方向へ最も縮まった状態となる。蛇腹部20が軸線方向へ最も縮まった状態になると、蛇腹部20は笠部18の内側で折り畳まれて外部から見えないように笠部18によって覆われ、笠部18の末端16が第1吸盤部分34の外縁36の外側で対象物12の表面12aに接触する。笠部18の末端16が対象物12の表面12aに接触した状態で、末端16と第1吸盤部分34の外縁36と対象物表面12aとの間に、図5に示す環状の空間46と同様の空間76が形成される(図15)。
蛇腹部20を軸線方向へ最も縮まった状態にする一方で、蛇腹部20の内部空間22を減圧することにより、第1吸盤部分34がその内周面(吸着面)34bで対象物12の表面12aに接触して表面12aに吸着する。第1吸盤部分34が対象物12の表面12aに吸着している間、内部空間22と周囲環境との圧力差により、蛇腹部20及び笠部18は対象物12の表面12aに押し付けられ、少なくとも第1吸盤部分34の外縁36及びその周辺部分並びに笠部18の末端16及びその周辺部分が弾性変形する。この圧力下での弾性変形により、笠部18の末端16と第1吸盤部分34の外縁36との間の空間76から少なくとも一部の空気が外部に押し出され、空間76が負圧になる。その結果、笠部18の末端16と第1吸盤部分34の外縁36との間に、環状の第2吸盤部分74が形成される。第2吸盤部分74は、第1吸盤部分34を環状に包囲する形態に形成される。この実施形態では、笠部18の末端16が、第1吸盤部分34の外縁36と協働して、第2吸盤部分74を形成し、笠部18の環状壁28の内周面28bの、対象物表面12aに対向する面部分74aが、第2の吸着面(以下、吸着面74aとも称する)を構成する。
上記構成を有する吸着パッド60では、対象物12を吸着するときに、第1吸盤部分34と第2吸盤部分74との双方が同時に対象物12の表面12aに対し吸着作用を発揮するので、前述した吸着パッド10と同様に、全体として吸着力が増加し、吸着作用の信頼性が向上する。対象物12の表面12aが凹凸を有する場合にも、第1吸盤部分34と第2吸盤部分74との二重の吸着作用により、吸着面34b、74aを通して外部から蛇腹部20の内部空間22に空気が侵入すること(空気漏れ、真空漏れ等とも称する)を防止できる。吸着パッド60は、笠部18及び蛇腹部20のいずれにも、例えば既述の特許文献1に記載されるような補強用の突起部を備えないから、より簡易な構成により、対象物表面12aの凹凸等に起因する空気漏れを防止できる。また吸着パッド60では、第1吸盤部分34と第2吸盤部分74との双方が対象物12に吸着している間、蛇腹部20は笠部18の内側で折り畳まれて笠部18に覆われるから、吸着中の第1吸盤部分34を笠部18によって保護することができる。さらに、吸着パッド60によれば、笠部18を有する第1部品62と蛇腹部20を有する第2部品64とを、それぞれに要求される物性を満足する材料で別々に形成することができる。
図16〜図18は、別体構造を有する吸着パッド60の変形例を、外力を受けず実質的に変形していない状態で示す。この変形例による吸着パッド60′は、笠部18を有する第1部品62′と、蛇腹部20を有する第2部品64′とを、互いに組み合わせて構成される。第1部品62は、軸線62aを中心として基端14から末端16まで末広がりに延びる笠部18と、笠部18の基端14に接続される第1基部66′とを備える。第1基部66′は、軸線62aに沿って延びる通気孔67と、通気孔67に隣接して笠部18の基端14まで広がる凹所68′とを有する。第2部品64′は、軸線64aに沿って折り畳み式に伸縮可能な筒状の蛇腹部20と、蛇腹部20の基端40に接続される第2基部70′とを備える。第2基部70′は、第1基部66の凹所68′に密に嵌入可能な外形を有するとともに、蛇腹部20の内部空間22に連通する通気孔72′を有する。通気孔67と通気孔72′とは、互いに略同一の内径を有する。第2基部70′を第1基部66′の凹所68′に例えば圧入等により密に挿入すると、第1部品62′の軸線62aと第2部品64′の軸線64aとが互いに合致するとともに、通気孔67と通気孔72′とが互いに連通して、第1部品62′と第2部品64′とが互いに固定的に組み合わされる。その他の構成は、前述した吸着パッド60の構成と同様である。
図19は、吸着パッド60′を、対象物12を吸着して変形した状態で示す。吸着パッド60′は、第1吸盤部分34を対象物12の表面12aに接触させて蛇腹部20が笠部18の内側で軸線方向へ縮んだときに、笠部18が末端16で対象物表面12aに接触できるように構成される。吸着パッド60′においても、吸着パッド60と同様に、蛇腹部20が軸線方向へ最も縮まった状態になると、蛇腹部20は笠部18の内側で折り畳まれて外部から見えないように笠部18によって覆われ、笠部18の末端16が第1吸盤部分34の外縁36の外側で対象物12の表面12aに接触する。笠部18の末端16が対象物12の表面12aに接触した状態で、末端16と第1吸盤部分34の外縁36と対象物表面12aとの間に環状の空間76が形成され、笠部18の末端16と第1吸盤部分34の外縁36との間に、環状の第2吸盤部分74が形成される。
上記変形例による吸着パッド60′は、吸着パッド60の前述した効果と同等の効果を奏する。吸着パッド60、60′は、前述した吸着パッド10の材料と同様の材料から作製でき、また吸着パッド10と同様に適当な部分を別体構造にすることもできる。また吸着パッド60、60′は、吸着パッド10と同様に、第2基部70の通気孔72、第1基部66′の通気孔67、第2基部70′の通気孔72′が、蛇腹部20の内部空間22の最小横断面積よりも大きな最小横断面積を有するように構成できる。
図20及び図21は、吸盤部分をさらに増加させた第3の実施形態による吸着パッド80を、外力を受けず実質的に変形していない状態で示す。図22及び図23は、吸着パッド80を、対象物12を吸着して変形した状態で示す。図24は、図23の吸着パッド80の一部を拡大して示す。吸着パッド80は、第1吸盤部分34及び第2吸盤部分44に加えてさらに第3の吸盤部分を備えた構成を有する点以外は、前述した吸着パッド10(特に吸着パッド10″)と実質的に同一の構成を有する。よって、対応する構成要素には共通の参照符号を付して、その詳細な説明を適宜省略する。
図20及び図21に示すように、吸着パッド80は、基端14から末端16まで末広がりに延びる笠部18と、笠部18の内側(図で下側)で折り畳み式に伸縮可能な筒状の蛇腹部82とを備える。笠部18と蛇腹部82とは、後述するように、吸着パッド80が対象物12(図22)を吸着するときに、蛇腹部82の内部空間84の減圧に伴い変形して吸着作用を発揮する。また吸着パッド80は、笠部18の基端14に接続される基部24を備える。笠部18及び基部24は、吸着パッド10の笠部18及び基部24と同様の構成を有する。
蛇腹部82は、所望の厚みを有する折り畳み可能な筒状壁86を備える。筒状壁86は、2つの環状の谷折り部分32と、それら谷折り部分32の間に位置する1つの環状の山折り部分88と、一方(図で下側)の谷折り部分32から、笠部18から離れる方向(図で下方)へ末広がりに延びる第1吸盤部分34と、他方(図で上側)の谷折り部分32から、笠部18に接近する方向(図で上方)へ末広がりに延びる上壁部分38と、一方(図で下側)の谷折り部分32を挟んで第1吸盤部分34とは反対側で山折り部分88に向かって末広がりに延びる第2の上壁部分90と、他方(図で上側)の谷折り部分32を挟んで上壁部分38とは反対側で山折り部分88に向かって末広がりに延びる下壁部分92とを有する。第1吸盤部分34と第2の上壁部分90とは、一方(図で下側)の谷折り部分32で互いに一体に接続され、第2の上壁部分90と下壁部分92とは、山折り部分88で互いに一体に接続され、下壁部分92と上壁部分38とは、他方(図で上側)の谷折り部分32で互いに一体に接続され、上壁部分38は、接続領域42で笠部18の末端16に一体に接続される。第1吸盤部分34及び上壁部分38は、吸着パッド10の第1吸盤部分34及び上壁部分38と同様の構成を有する。
図20及び図21に示すように、笠部18の末端16は、第1吸盤部分34の外縁36よりも外側に突出して配置されるとともに、蛇腹部82の筒状壁86の山折り部分88よりも外側に突出して配置される。また、山折り部分88は、第1吸盤部分34の外縁36よりも外側に突出して配置される。笠部18の環状壁28と蛇腹部82の上壁部分38とは、接続領域42及びその周辺部分で弾性変形可能であって、この弾性変形を伴いながら、環状壁28と上壁部分38との成す角度を予め定めた範囲で変更できる。また下壁部分92と第2の上壁部分90とは、山折り部分88及びその周辺部分で弾性変形可能であって、この弾性変形を伴いながら、下壁部分92と第2の上壁部分90との成す角度を予め定めた範囲で変更できる。
吸着パッド80は、蛇腹部82が笠部18の内側で縮んだ状態で、笠部18の末端16と第1吸盤部分34の外縁36との間に設けられる環状の第2吸盤部分44を有する。また吸着パッド80は、蛇腹部82が笠部18の内側で縮んだ状態で、蛇腹部82の山折り部分88と第1吸盤部分34の外縁36との間に、第2吸盤部分44に包囲されるように設けられる環状の第3吸盤部分94を有する。この構成を、図22〜図24を参照して詳細に説明する。
図22〜図24に示すように、吸着パッド80は、第1吸盤部分34を対象物12の表面12aに接触させて蛇腹部82が笠部18の内側で軸線方向へ縮んだときに、笠部18が末端16で対象物12の表面12aに接触できるとともに、蛇腹部82が山折り部分88で対象物12の表面12aに接触できるように構成される。蛇腹部82は、第1吸盤部分34を外縁36に沿った部位で最初に対象物12の表面12aに接触させた後、笠部18を対象物12に接近させることで、笠部18の内側で軸線80aに沿って折り畳み式に縮む。蛇腹部82は、第1吸盤部分34と第2の上壁部分90とが両者の外周面で互いに接触し、第2の上壁部分90と下壁部分92とが両者の内周面で互いに接触し、上壁部分38と下壁部分92とが両者の外周面で互いに接触し、環状壁28と上壁部分38とが両者の内周面で互いに接触した時点で、軸線方向へ最も縮まった状態となる。
蛇腹部82が軸線方向へ最も縮まった状態になると、蛇腹部82は笠部18の内側で折り畳まれて外部から見えないように笠部18によって覆われ、笠部18の末端16が第1吸盤部分34の外縁36及び山折り部分88の外側で対象物12の表面12aに接触する。つまり笠部18は、蛇腹部82が笠部18の内側で縮んだときに蛇腹部82を包囲して蛇腹部82に当接する形状を有する。また蛇腹部82が軸線方向へ最も縮まった状態になると、山折り部分88が、第1吸盤部分34の外縁36の外側及び笠部18の末端16の内側で対象物12の表面12aに接触する。笠部18の末端16及び蛇腹部82の山折り部分88が対象物12の表面12aに接触した状態で、末端16と山折り部分88と対象物表面12aとの間に、環状の空間46が形成され、山折り部分88と第1吸盤部分34の外縁36と対象物表面12aとの間に、環状の空間96が形成される(図24)。
蛇腹部82を軸線方向へ最も縮まった状態にする一方で、蛇腹部82の内部空間84を減圧することにより、第1吸盤部分34がその内周面(吸着面)34bで対象物12の表面12aに接触して表面12aに吸着する。第1吸盤部分34が対象物12の表面12aに吸着している間、内部空間22と周囲環境との圧力差により、蛇腹部82及び笠部18は対象物12の表面12aに押し付けられ、少なくとも第1吸盤部分34の外縁36及びその周辺部分、山折り部分88及びその周辺部分、並びに笠部18の末端16及びその周辺部分が弾性変形する。この圧力下での弾性変形により、笠部18の末端16と山折り部分88との間の空間46及び山折り部分88と第1吸盤部分34の外縁36との間の空間96から少なくとも一部の空気が外部に押し出され、空間46及び空間96が負圧になる。その結果、図24に示すように、笠部18の末端16と山折り部分88との間に、環状の第2吸盤部分44が形成され、山折り部分88と第1吸盤部分34の外縁36との間に、環状の第3吸盤部分94が形成される。
第2吸盤部分44は、第3吸盤部分94を環状に包囲する形態に形成され、第3吸盤部分94は、第1吸盤部分34を環状に包囲する形態に形成される。この実施形態では、笠部18の末端16及び蛇腹部82の上壁部分38の基端40が、山折り部分88と協働して、第2吸盤部分44を形成し、末端16と基端40との接続領域42の、対象物表面12aに対向する外面部分44aが、第2の吸着面(以下、吸着面44aとも称する)を構成する。また、第2の上壁部分90の山折り部分88に隣接する部分が、第1吸盤部分34の外縁36と協働して、第3吸盤部分94を形成し、第2の上壁部分90の、対象物表面12aに対向する外面部分94aが、第3の吸着面(以下、吸着面94aとも称する)を構成する。
上記構成を有する吸着パッド80では、対象物12を吸着するときに、第1吸盤部分34と第2吸盤部分44と第3吸盤部分94との全てが同時に対象物12の表面12aに対し吸着作用を発揮するので、前述した吸着パッド10と同様に、全体として吸着力が増加し、吸着作用の信頼性が向上する。対象物12の表面12aが凹凸を有する場合にも、第1吸盤部分34と第2吸盤部分44と第3吸盤部分94との三重の吸着作用により、吸着面34b、44a、94aを通して外部から蛇腹部20の内部空間22に空気が侵入すること(空気漏れ、真空漏れ等とも称する)を防止できる。吸着パッド80は、笠部18及び蛇腹部20のいずれにも、例えば既述の特許文献1に記載されるような補強用の突起部を備えないから、より簡易な構成により、対象物表面12aの凹凸等に起因する空気漏れを防止できる。また吸着パッド80では、第1吸盤部分34と第2吸盤部分44と第3吸盤部分94との全てが対象物12に吸着している間、蛇腹部20は笠部18の内側で折り畳まれて笠部18に覆われるから、吸着中の第1吸盤部分34及び第3吸盤部分94を笠部18によって保護することができる。
吸着パッド80においては、蛇腹部82の筒状壁86に、3つ以上の谷折り部分32と2つ以上の山折り部分88とを設け、蛇腹部82が笠部18の内側で縮んだ状態で、個々の山折り部分88がいずれも対象物表面12aに接触できるようにすることで、さらに多重の吸盤部分を有する構成とすることもできる。
吸着パッド80は、前述した吸着パッド10の材料と同様の材料から作製でき、また吸着パッド10と同様に適当な部分を別体構造にすることもできる。また吸着パッド80は、吸着パッド10と同様に、基部24の通気孔26が、蛇腹部82の内部空間84の最小横断面積よりも大きな最小横断面積を有するように構成できる。