本発明を実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
〔第1の実施の形態〕
(反射光の分類)
最初に、図1に基づき記録紙等の記録媒体に光を照射した場合の反射光について説明する。記録媒体である記録紙に光を照射した場合の反射光は、記録紙の表面における反射と記録紙の内部からの反射に分けることができる。また、記録紙の表面における反射光は、正反射された反射光と拡散反射された反射光とに分けることができる。ここでは便宜上、図1(a)に示される記録紙の表面において正反射された反射光を表面正反射光と記載し、図1(b)に示される記録紙の表面において拡散反射された光を表面拡散反射光と記載する。尚、本実施の形態では、光を照射されるものが記録紙の記録媒体の場合について説明するが、例えば、樹脂製フィルム、布、皮膚等であってもよく、同様の測定等を行なうことができる。
記録媒体である記録紙の表面は、平面と斜面によって構成されており、記録紙の平滑性はこの割合で決まる。平面で反射された光は表面正反射光となり、斜面で反射された光は表面拡散反射光となり、記録紙の平滑性が高いほど表面正反射光の光量が増加する。
一方、記録媒体内部からの反射は、記録媒体が記録紙である場合、記録紙を構成する繊維により多重反射するため拡散反射光のみとなる。ここでは便宜上、図1(c)に示される記録紙の内部において多重反射された拡散反射光を内部拡散反射光と記載する。
以上のように、記録媒体である記録紙からの反射光は、表面正反射光、表面拡散反射光、内部拡散反射光がある。このうち、記録紙の表面において反射した光は、偏光方向は回転しない。即ち、表面正反射光、表面拡散反射光は偏光方向が変化しない。これは、照射された光の偏光方向が回転するためには、照射された光が、光軸に対して回転の向きに傾斜した面で反射されることが必要であるからである。従って、光が発せられる光源と、光が照射される領域と、光検出器が同一平面に存在している場合には、偏光方向が回転する反射光は、光検出器の存在している方向には反射されないため、この配置の光検出器では検出されない。これに対し、内部拡散反射光は、記録紙の内部の繊維において多重反射された光であるため、偏光方向は、光源から発せられた光に対し回転している。
以上より、偏光方向の異なる光を分離する光学素子、例えば、偏光フィルタを光検出器の前に設けることにより、光源から発せられた直線偏光の偏光成分に対し垂直な方向の偏光成分の光を検出することができ、内部拡散反射光のみを分離して検出することができる。このように検出された内部拡散反射光の光量に基づき記録媒体である記録紙の種類や厚さ等を判別することが可能である。
具体的には、図2に示すように、内部拡散反射光量と記録紙の厚さとは相関関係があり、記録紙の厚さが厚くなると内部拡散反射光量の値が増加する。よって、内部拡散反射光量の値に基づき記録紙の厚さを判別することができる。また、図3に示すように、内部拡散反射光量と記録紙の密度とは相関関係があり、記録紙の密度が高くなると内部拡散反射光量の値が増加する。よって、内部拡散反射光量の値に基づき記録紙の密度を判別することができる。尚、図2及び図3は、記録紙の厚さ及び記録紙の密度の異なるものを複数用意して測定した結果である。
(記録紙の流れ目)
ところで、記録媒体である記録紙は、製造工程において一方向に流れるように製造される。これにより記録紙には流れ目と称される記録紙を構成する繊維の配向が生じている。この繊維の配向は記録紙の製造工程において記録紙が流れる方向に沿うように形成されている。このため、光の照射される方向によっては、同じ記録紙でも異なる反射特性が得られ、この反射特性に基づき記録紙の銘柄等を判別することが可能である。即ち、流れ目の程度の違いに基づき記録紙の銘柄を判別することが可能である。
このことを図4及び図5に基づき説明する。図4及び図5における記録紙1は、流れ目による凹凸の配向性が100%のものを仮定したものであり、流れ目はY軸方向に沿ったものである。図4に示すように、記録紙1の流れ目に沿った方向より光11を照射した場合、即ち、記録紙の流れ目と照射された光11の光路とが同一平面にある場合、言い換えるならば、照射された光11の光路がYZ面と平行な面に存在している場合、記録紙1の表面は平滑な平面とみなすことができ、照射された光11の殆どは記録紙1の表面で正反射され表面正反射光11aとなり、表面拡散反射光は殆ど発生することはない。また、拡散反射光としては、記録紙1の内部において拡散反射された内部拡散反射光11bが生じる。よって、この場合には、照射された光11の反射光は、表面正反射光11aが殆どとなる。尚、図4(a)はこの状態を示す斜視図であり、図4(b)は、記録紙1の流れ目に沿った面、即ち、YZ面における断面を示すものである。
次に、図5に示すように、記録紙1の流れ目に対し垂直方向より光12を照射した場合、即ち、記録紙1に照射される光12の光路がXZ面と平行な面に存在している場合、記録紙1の表面は凹凸のある斜面とみなすことができ、照射された光12の殆どは、表面で拡散反射され正反射されることはない。よって、表面拡散反射光12aの光量が多くなる。この場合も同様に、拡散反射光として、記録紙1の内部において拡散反射された内部拡散反射光12bが生じるが光量は低く、照射された光12の反射光は、表面拡散反射光12aが殆どとなる。尚、図5(a)はこの状態を示す斜視図であり、図5(b)は、記録紙1の流れ目に垂直な面、即ち、XZ面における断面を示すものである。
また、記録紙1の流れ目に対し垂直方向に光を入射させた場合には、記録紙1に対する光の入射方向により、検出される表面拡散反射光及び内部拡散反射光の光量が変化する。具体的には、図6に示すように、記録紙1の流れ目に対し垂直方向の光であって、相互に反対方向の光13及び14を入射させた場合、検出される表面拡散反射光及び内部拡散反射光の光量が変化する。これは、記録紙1の流れ目の両側における傾斜が異なることによるものであり、このような記録紙1の流れ目の両側の傾斜が異なっていることは確認されている。
即ち、記録紙1の流れ目に垂直な方向より記録紙1に対し略同じ角度で同様に光を入射させた場合であっても、記録紙1の入射する光の入射方向が異なると、記録紙1の凹凸の傾斜により入射角が異なる。具体的には、記録紙1に入射する光13は、記録紙1の斜面に対し垂直に近い角度で入射するため、記録紙1の内部に入射する光は多くなり、正面拡散反射光13aは少なく、内部拡散反射光13bは多くなる。また、記録紙1に入射する光14は、記録紙1の斜面に対する入射角度が、光13よりも鋭角な角度であるため、記録紙1の内部に入射する光は少なくなり、正面拡散反射光14aは多く、内部拡散反射光14bは少なくなる。尚、このことは、記録紙1の流れ目に対し垂直に光を入射させた場合のことであり、記録紙1の流れ目に沿って光を照射させた場合には、光の入射方向を変えても表面正反射光と内部拡散反射光との割合等が変化することはない。
以上、記録紙に入射する光の入射方向と反射光の関係についてまとめると、記録紙の流れ目に沿って照射された光と記録紙の流れ目に垂直に照射された光とでは、表面正反射光と表面拡散反射光との割合が異なる。また、記録紙に入射する光の入射方向が反対方向、即ち、入射する光の入射方向の角度が180°となる場合については、記録紙の流れ目に沿って各々の光を入射させる場合には、光の入射方向の違いにより、表面正反射光及び内部拡散反射光の光量に変化はない。しかしながら、記録紙の流れ目に垂直に各々の光を入射させる場合には、光の入射方向が変わると、表面拡散反射光及び内部拡散反射光の光量に変化が生じる。
上記は、記録紙の流れ目の配向性が100%である場合を想定したものであるが、実際の記録紙においては、流れ目は生じるものの、流れ目の配向性の程度等は製造工程、製造条件等により異なる。しかしながら、このような記録紙における特質に基づいて、記録紙に入射した光の反射光を表面正反射光、表面拡散反射光、内部拡散反射光に分けて光量を測定することにより、記録紙の銘柄及び種類等を詳細に判別することができ、記録紙の判別精度を向上させることができる。
(内部拡散反射光の検出精度)
次に、精度の高い内部拡散反射光の検出方法について説明する。精度の高い内部拡散反射光の検出を行なうためには、最初に、少なくとも検出方向に表面正反射光の成分を含まないことである。しかしながら、実際の照射系では完全な一方向のみの直線偏光の光、例えば、第1の偏光方向の直線偏光の光とすることは困難であり、表面における反射光にも第1の偏光方向に垂直な第2の偏光方向の成分が含まれてしまう。
具体的には、表面正反射光が検出される位置に光検出器を設置し、光学フィルタを用いて第2の偏光方向の光の成分の光量を検出した場合、記録紙に照射される光に第2の偏光方向の光の成分が含まれていると、この成分も光検出器で検出されてしまい、内部拡散反射光の光量を正確に検出することができない。この際、一般的に内部拡散反射光の光量は低いため、記録紙に照射される光に含まれている第2の偏光方向の光の成分の光量が、内部拡散反射光の光量よりも多くなる場合がある。また、記録紙に照射される光を完全な第1の偏光方向の光とすることも可能ではあるが、この場合、消光比の高い偏光フィルタを用いることが必要となり、高コスト化を招いてしまう。
次に、内部拡散反射光を検出する際には、記録紙の紙面に対し略垂直方向で行なうことである。これは、内部拡散反射光は完全拡散反射とみなすことができるため、検出方向に対する反射光量はランバーと分布により近似することができ、記録紙の紙面に対し垂直方向が最も反射光量が多くなる。内部拡散反射光は光量が微小であるため、S/N比を向上させる観点から、記録紙の紙面に対し垂直方向に受光部となる光検出器を設置することにより、最も精度を高くすることができる。但し、記録紙に照射する光の照射方向を変えた光源及び光検出器を複数設置する場合には、記録紙の紙面に垂直方向に複数の光検出器を設置する必要があるため、光検出器同士が干渉しない位置であって略垂直となる方向に設置することが好ましい。また、ビームスプリッタを設けて分光させること、駆動可能な偏光フィルタを設置することにより対応してもよい。
(スペックルノイズの抑制方法)
上記のように反射光量の観点からは、光源として半導体レーザを用いることが好ましい。しかしながら、記録紙の表面状態を検出する光学センサの光源に半導体レーザを用いた場合、出射されたコヒーレント光が、記録紙の表面のような粗面の各点で乱反射し干渉することにより、スペックルパターンが発生する。スペックルパターンは、反射方向でランダムに干渉し合うため、光検出器の出力においてはノイズとなり、S/Nを低減させてしまう。本願においては、このS/Nの低減のことをスペックルノイズと記載し、この対策を以下に記載する。
発明者らは、複数の発光部が2次元的に配列されている垂直共振器型の面発光レーザアレイ(VCSELアレイ)を光源として用い、発光部の数(発光部数)とスペックルパターンのコントラスト比との関係について調べた。この結果を図7に示す。尚、本実施の形態では、スペックルパターンのコントラスト比とは、スペックルパターンの観測強度における最大値と最小値の差を規格化した値として定義する。
スペックルパターンの観測は、Y軸方向(拡散方向)に関して、ビームプロファイラを用いて行ない、ビームプロファイラによる観測結果からスペックルパターンのコントラスト比を算出した。観測の対象となる試料には、互いに平滑度が異なる3種類の普通紙(普通紙A、普通紙B、普通紙C)と光沢紙を用いた。普通紙Aは王研式平滑度が33秒の普通紙であり、普通紙Bは王研式平滑度が50秒の普通紙であり、普通紙Cは王研式平滑度が100秒の普通紙である。
図7に示されるように、発光部数が増加すると、スペックルパターンのコントラスト比が減少する傾向にある。また、この傾向は紙種には依存していない。
更に、発明者らは、このスペックルパターンのコントラスト比が低減する効果は、総光量の増加に起因するものではなく、発光部数の増加に起因するものであることを確認するための実験を行なった。この結果を図8に示す。
図8は、各発光部の光量は一定(1.66mW)であって、発光部の数を変化させた場合と、発光部の数を30個に固定して各発光部の光量を変化させた場合とについて、総光量に対するコントラスト比の変化を示すものである。
発光部数を固定して各発光部の光量を変化させた場合では、光量に依存することなくコントラスト比が一定であるのに対し、発光部数を変化させた場合では、低光量、即ち、発光部数が少ない場合にはコントラスト比が高く、発光部数が増加するに伴いコントラスト比が徐々に低下している。このことから、スペックルパターンにおけるコントラスト比の低減効果は、光量の増加に依存するものではなく、発光部数の増加に依存するものであることが確認された。
また、発明者らは、光源から出射される光の波長を時間的に変化させることにより、スペックルパターンを抑制することができるか否かの検討を行なった。
尚、面発光レーザ(VCSEL)では、駆動電流によって出射光における波長を制御することが可能である。これは、駆動電流を変化させると、面発光レーザ内部において発熱するため屈折率が変化し、実効的な共振器長が変化するからである。
図9は、面発光レーザを光源とした場合において、駆動電流を変化させることにより、出射光量を1.4mW〜1.6mWまで変化させた場合のスペックルパターンをビームプロファイラにより観測し、得られた光強度分布を示すものである。図9に示されるように、駆動電流の変化に伴い、光源から出射される光の波長が変化するため、光強度分布が変化することが確認される。
図10は、駆動電流を高速に変化させた場合における実効的な光強度分布を示すものである。この光強度分布は、図9に示される複数の駆動電流における光強度分布の平均値と同等であり、光強度の変動が抑制されていることを確認することができる。このように駆動電流を変化させた場合におけるスペックルパターンのコントラスト比は0.72となり、駆動電流を一定にした場合におけるスペックルパターンのコントラスト比0.96よりも低くすることができる。
このため、面発光レーザを駆動する際、例えば、電流値の時間的変化が三角波形状となるように駆動電流を流すことにより、コントラスト比を低くすることが可能となる。
(光学センサ)
次に、本実施の形態における光学センサについて説明する。尚、本願明細書中においては、記録紙に照射される光は直線偏光の光でありS波であって、記録紙の紙面に略垂直方向に設置された光検出器がP波を検出した場合における反射光量をSP強度と記載する。この反射光量は内部拡散反射光の光量である。同様に、記録紙に照射される光は直線偏光の光でありP波であって、記録紙の紙面に略垂直方向に設置された光検出器がS波を検出した場合における反射光量をPS強度と記載する。
また、記録紙に照射される光は直線偏光の光でありS波であって、記録紙の紙面において正反射された光を検出する光検出器、即ち、記録紙に照射される光の入射角度と略同じ角度で反射された光を検出する光検出器は、偏光フィルタが設けられておらず、S波とP波の両方の成分を含む光が検出される。この光検出器において検出される反射光量をSN強度と記載する。記録紙に照射される光、即ち、記録紙に入射する入射光の入射角度θ等は、記録紙の紙面の法線に対する角度であり、光検出器の設置する角度は、記録紙に入射した位置を基準として、記録紙の紙面に対する角度であり、角度φ、ψ等と表現する。尚、本実施の形態では、記録紙に照射される光がS波の場合について説明しているが、P波であってもよい。
次に、図11及び図12に基づき本実施の形態における光学センサをより詳細に説明する。本実施の形態における光学センサは、2の測定系を有するものであり、第1の測定系110と第2の測定系120を有している。第1の測定系110は、第1の光照射系111、第1の正反射光検出系112、第1の拡散反射光検出系113を有している。また、第2の測定系120は、第2の光照射系121、第2の正反射光検出系122、第2の拡散反射光検出系123を有している。
第1の測定系110及び第2の測定系120は、暗箱180により覆われており、暗箱180は記録紙100の存在している面に光を記録紙100に光を照射するための開口部181が設けられている。このように、第1の測定系110と第2の測定系120は、暗箱180と記録紙100により囲まれており、外光等が外部より入射することはないため、正確な測定を行なうことができる。また、第1の光照射系111、第1の正反射光検出系112、第1の拡散反射光検出系113、第2の光照射系121、第2の正反射光検出系122及び第2の拡散反射光検出系123は、制御部190に接続されている。
また、本実施の形態では、第1の測定系110と第2の測定系120は、第1の光照射系111から出射された光の光路と第2の光照射系121から出射された光の光路とのなす角度が、XY面において150°となるように設置されている。即ち、第1の光照射系111から出射された光の記録紙100に平行な成分と第2の光照射系121から出射された光の記録紙100に平行な成分とのなす角度が150°となるように設置されている。尚、この角度は、90°以上、180°以下であることが好ましい。この角度が90°以上、180°以下であれば、第2の光照射系121から出射された光は、第1の光照射系111から出射された光に対し、図6に示されるような反対方向より照射される成分を有している。このため、より精度の高い記録媒体の識別を行なうことができる。また、本実施の形態では、XY面においてとは、XY面に投影された状態を意味するものとする。
第1の光照射系111は、光源114及びコリメータレンズ115等を有しており、第2の光照射系121も同様の光源及びコリメータレンズ等を有している。第1の光照射系111は、記録紙100の法線に対し角度θ1で光が入射する位置に設置されており、第2の光照射系121は、記録紙100の法線に対し角度θ2で光が入射する位置に設置されている。本実施の形態では、角度θ1と角度θ2は等しく、約80°である。尚、角度θ1は、第1の光照射系111から記録紙100に照射された光の方向と記録紙100の紙面の法線とのなす角度であり、角度θ2は、第2の光照射系121から記録紙100に照射された光の方向と記録紙100の紙面の法線とのなす角度である。
第1の正反射光検出系112は、第1の光照射系111より記録紙100に照射された光の表面正反射光を検出するためのものであり、フォトダイオード等の受光素子からなる光検出器116を有している。第2の正反射光検出系122は、第2の光照射系121より記録紙100に照射された光の表面正反射光を検出するためのものであり、フォトダイオード等の受光素子からなる光検出器126を有している。
第1の拡散反射光検出系113は、第1の光照射系111より記録紙100に照射された光の表面拡散反射光及び内部拡散反射光を検出するためのものであり、フォトダイオード等の受光素子からなる光検出器117を有しており、光検出器117の前には偏光フィルタ118が設けられている。第2の拡散反射光検出系123は、第2の光照射系121より記録紙100に照射された光の表面拡散反射光及び内部拡散反射光を検出するためのものであり、フォトダイオード等の受光素子からなる光検出器127を有しており、光検出器127の前には偏光フィルタ128が設けられている。
暗箱180は、アルミニウム等の材料により形成されており、外乱光及び迷光による影響を防ぐため、表面、即ち外面と内面は黒アルマイト処理が施されている。尚、記録紙100は紙面がXY面に平行となるように設置されており、本実施の形態における光学センサは、記録紙100に対し+Z側に設置されている。
第1の光照射系111及び第2の光照射系121における光源114等は、複数の発光部を有している。各々の発光部は、同一基板上に形成された垂直共振器型の面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:VCSEL)である。即ち、光源114等は、面発光レーザアレイ(VCSELアレイ)を含むものである。
図13に示すように、この面発光レーザアレイ200は、VCSELからなる発光部201と、各々の発光部201に接続される各々の配線202と、各々の配線202に接続される電極パッド203を有している。図13には、一例として、9個(ch1〜ch9)の発光部201が2次元的に配列されているものを記載している。
また、本実施の形態において、制御装置のCPUは、電流値の時間的変化が三角波形状となるような駆動電流を面発光レーザアレイに供給している。これにより、スペックルパターンが抑制され、記録紙の正確な反射光量を検出することが可能となり、記録紙の識別精度を高めることができる。即ち、駆動電流を三角波形状となるように時間的に変化させることにより、光源からの出射光の波長を時間的に変化させることができ、これにより、スペックルパターンを抑制することができる。
更に、面発光レーザアレイを用いた場合には、記録紙に照射される照射光を平行光にするための調整が容易となり、光学センサの小型化及び低コスト化を図ることが可能となる。
第1の光照射系111及び第2の光照射系121は、記録紙100に対してS偏光の光が照射されるように形成されている。尚、光源114等として、LED、白色光等の無偏光光源を用いる場合には、光源114等から発せられた光をS偏光の光とするための偏光フィルタを設置し、偏光フィルタを透過させることによりS偏光の光とする必要がある。また、第1の光照射系111及び第2の光照射系121から照射された光の角度θ1、θ2は80°であるが、入射光の角度θ1、θ2については、大きな角度の方が記録紙の種類等を判別する上では好ましいとされている。
コリメートレンズ115等は、光源114等から出射された光束の光路上に設置され、この光束を略平行光とするためのものである。コリメートレンズ115等により平行光となった光は、暗箱180に設けられている開口部181より記録紙100に照射する。尚、本実施の形態では、この光が記録紙100の表面に照射される領域を照射領域と記載し、照射領域の中心位置を「照明中心」と記載し、コリメートレンズ115等を介した光を「照射光」と記載する場合がある。本実施の形態では、第1の光照射系111から照射された光の照明中心と第2の光照射系121から照射された光の照明中心とは略同じ位置であり、双方の照射領域の面積も略等しくなるように設置されている。
ところで、媒質の境界面に光が入射するとき、照射光線と入射点における境界面の法線とを含む面は「入射面」と呼ばれている。そこで、照射光が本実施例の9個の発光部を持つVCSELアレイのように複数の光線からなる場合は、光線毎に入射面が存在することとなる。しかしながら、ここでは便宜上、VCSELアレイのなかで中央に配置された発光部からの光の入射面を、記録紙における入射面ということとする。
第1の正反射光検出系112は、第1の光照射系111から記録紙100に照射された光の反射光のうち、正反射の光を受光する位置に設置されている。即ち、記録紙100の紙面に対する角度φ1が170°となる方向であって、第1の光照射系111と照明中心とを含む面上に設置されている。また、第2の正反射光検出系122は、第2の光照射系121から記録紙100に照射された光の反射光のうち、正反射の光を受光する位置に設置されている。即ち、記録紙100の紙面に対する角度φ2が170°となる方向であって、第2の光照射系121と照明中心とを含む面上に設置されている。
また、第1の正反射光検出系112における光検出器116及び第2の正反射光検出系122における光検出器126は、同じ受光径を有するフォトダイオードが用いられており、ともに照明中心から等距離となる位置に設置されている。尚、照明中心と光検出器116との間及び照明中心と光検出器126との間に、集光レンズを設置してもよく、この場合、照明中心と集光レンズとの距離等が均一となるように設置する。
第1の拡散反射光検出系113は、第1の光照射系111から出射された光の拡散反射光を検出するものであり、照明中心において記録紙100の紙面に対する角度ψ1が約90°となる方向に設置されている。第2の拡散反射光検出系123は、第2の光照射系121から出射された光の拡散反射光を検出するものであり、照明中心において記録紙100の紙面に対する角度ψ2が約90°となる方向に設置されている。尚、角度ψ1及びψ2は、90°であることが好ましいが、第1の拡散反射光検出系113及び第2の拡散反射光検出系123は所定の大きさを有しているため、各々を設置する際に位置的に干渉する場合がある。よって、第1の拡散反射光検出系113と第2の拡散反射光検出系123は、相互に干渉しない角度であって、できるだけ90°に近い角度、即ち、略90°となるように設置することが好ましい。
第1の拡散反射光検出系113に設けられた偏光フィルタ118及び第2の拡散反射光検出系123に設けられた偏光フィルタ128は、ともにP偏光の光を透過し、S偏光の光を遮光する偏光フィルタである。尚、この偏光フィルタ118及び128に代えて、同等の機能を有する偏光ビームスプリッタを用いてもよい。また、第1の拡散反射光検出系113及び第2の拡散反射光検出系123は、照明中心から等距離の位置に設置されており、角度ψ1と角度ψ2は略等しい角度となるように設置されている。
本実施の形態では、第1の測定系110において、第1の光照射系111の光源114の中心と、照明中心と、第1の正反射光検出系112の光検出器116の中心と、第1の拡散反射光検出系113の光検出器117の中心及び偏光フィルタ118の中心は、同一平面に存在するように設置されている。同様に、第2の測定系120において、第2の光照射系121の光源の中心と、照明中心と、第2の正反射光検出系122の光検出器126の中心と、第2の拡散反射光検出系123の光検出器127の中心及び偏光フィルタ128の中心は、同一平面に存在するように設置されている。
また、第1の正反射光検出系112の光検出器116、第1の拡散反射光検出系113の光検出器117、第2の正反射光検出系122の光検出器126、第2の拡散反射光検出系123の光検出器127は、各々受光した光量に対応する電気信号(光電変換信号)を制御部190に出力する。尚、本実施の形態では、第1の光照射系111からの光を記録紙100に照射した際、第1の正反射光検出系112の光検出器116の出力信号の信号レベルを「S11」、第1の拡散反射光検出系113の光検出器117の出力信号の信号レベルを「S12」と記載する。同様に、第2の光照射系121からの光を記録紙100に照射した際、第2の正反射光検出系122の光検出器126の出力信号の信号レベルを「S21」、第2の拡散反射光検出系123の光検出器127の出力信号の信号レベルを「S22」と記載する。
本実施の形態では、第1の測定系110における測定と、第2の測定系120における測定とを独立に行なうため、制御部190において、第1の光照射系111における光照射のタイミングと、第2の光照射系121における光照射のタイミングとが重なることがないように光源114等の発光が制御されている。これにより第1の拡散反射光検出系113の光検出器117において検出される光量は、第1の光照射系111より照射された光の散乱光のみの光量とすることができ、第2の拡散反射光検出系123の光検出器127において検出される光量は、第2の光照射系121より照射された光の散乱光のみの光量とすることができる。具体的には、図14に示すように、第1の光照射系111の発光のタイミングと、第2の光照射系121の発光のタイミングとは重なることがなく、また、第1の光照射系111が発光している間に信号レベルS11及びS12の検出が行なわれ、第2の光照射系121が発光している間に信号レベルS21及びS22の検出が行なわれる。
このようにして検出された信号レベルS11、S12、S21、S22に基づき、記録紙100の種類、即ち、記録紙100の銘柄、平滑度、厚さ、密度を判別する。具体的には、カラープリンタ等の画像形成装置において使用される複数の種類の記録紙について、予め各々の記録紙における信号レベルS11、S12、S21、S22を測定しておき、これに基づき、誤差範囲を含めた記録紙における信号レベルS11、S12、S21、S22の出力の範囲を記録紙に対応させた「記録紙判別テーブル」を作成する。この記録紙判別テーブルは、画像形成装置を出荷する前に、制御部190または、画像形成装置内に記憶されている。
これにより、画像形成装置により記録紙に印刷等を行なう場合には、本実施の形態における光学センサにより信号レベルS11、S12、S21、S22を測定し、この信号レベルに基づき、記録紙判別テーブルより、記録紙の種類、即ち、記録紙の銘柄、平滑度、厚さ、密度等を判別する。この判別は、画像形成装置内の調整装置等または制御部190において行なわれる。
この記録紙判別テーブルは、具体的には、図15に示すように、各々の記録紙に対応する信号レベルS11と信号レベルS12との範囲、信号レベルS21と信号レベルS22との範囲が示されているものである。この記録紙判別テーブルに基づき、信号レベルS11及びS12が含まれる範囲と、信号レベルS21及びS22が含まれる範囲より、記録紙の種類、銘柄等を判別することができる。
例えば、図15に示す場合において、ある記録紙において第1の測定系110により検出される信号レベルS11及びS12に基づく位置が点301である場合、点301は範囲311(銘柄AのS11、S12による出力範囲)内及び範囲321(銘柄BのS11、S12による出力範囲)内のいずれにも存在しており、この記録紙は銘柄Aまたは銘柄Bであるものと考えられるが、どちらであるかは特定できない。ここで、第2の測定系120により検出される信号レベルS21及びS22に基づく位置が点302である場合、点302は範囲312(銘柄AのS21、S22による出力範囲)内には存在しているが、範囲322(銘柄BのS21、S22による出力範囲)内には存在していない。よって、この記録紙は銘柄Aの記録紙であるものと判別することができる。
また、図16に示す場合において、ある記録紙において第1の測定系110により検出される信号レベルS11及びS12に基づく位置が点303である場合、点303は範囲331(銘柄CのS11、S12による出力範囲)内のみに存在しており、この記録紙は銘柄Cであるものと考えられる。この場合、更に、第2の測定系120により検出される信号レベルS21及びS22に基づく位置が点304であり、点304は範囲332(銘柄CのS21、S22による出力範囲)内のみに存在しているため、この記録紙は銘柄Cの記録紙であることが確認される。
また、更に、S21−S11の値及びS22−S12の値に基づき記録紙の流れ目の方向も知ることが可能である。図16に示す場合では、点303及び点304に基づくと、S21−S11の値は正であり、S22−S12の値は負である。このため、この記録紙の流れ目は、第2の測定系120における光路に沿う方向に近い方向、即ち、第2の測定系120における光路の記録紙100に平行な面の成分に近い方向であるものと考えられる。このことは、前述したように、記録紙の流れ目に沿って光を照射した場合では、正反射光の光量が高くなり、流れ目に対し垂直に光を照射した場合では、拡散反射光の光量が高くなる。このことに基づくならば、正反射光量の差であるS21−S11の値が正であり、拡散反射光量の差であるS22−S12が負であるため、この記録紙の流れ目は、第2の測定系120における光路に沿う方向に近い方向であるものと考えられる。
本実施の形態では、記録紙の一点に光を照射した場合について説明したが、記録紙の複数の位置に光を照射し、これらの光の反射光を光検出器により検出し、検出された反射光の光量を平均することにより記録紙の種類等を判別してもよい。
本実施の形態における光学センサでは、2つの測定系を有しているため、測定系が1つの場合と比較して、記録紙の判別精度をより高めることができる。
また、本実施の形態において、記録紙の識別方法は、従来技術における識別方法の他に、従来は分離検出されていなかった記録紙の内部の情報を持つ内部旋光光量による紙種識別法を新たに加えたものである。拡散光の偏光成分が有している記録紙の情報の意味合いから適切な位置における偏光方向を検出することにより、従来の記録紙の表面の光沢度(平滑度)に加えて、厚みや密度の情報も得ることができ、記録紙の銘柄識別レベルの細分化が可能となる。
また、光源が複数の発光部を有しているため、内部拡散反射光に含まれるP偏光成分の光量を大きくすることができる。更に、光源が1つの発光部のみを有する場合に比べて、スペックルパターンのコントラスト比を低減させることができ、記録紙の識別の精度を向上させることができる。
また、電流値が時間的に変化する駆動電流により面発光レーザを駆動しているため、スペックルパターンのコントラスト比をより一層低減させることができる。
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。図17及び図18に基づき本実施の形態について説明する。本実施の形態における光学センサは、第1の実施の形態と同様の2つの測定系、即ち、第1の測定系110と第2の測定系120とを有するものであって、第1の測定系110と第2の測定系120は、第1の光照射系111から出射された光の光路と第2の光照射系121から出射された光の光路とがXY面において、90°となるように設置されているものである。言い換えるならば、第1の光照射系111から出射された光の記録紙100に平行な成分と第2の光照射系121から出射された光の記録紙100に平行な成分とのなす角度が90°となるように設置されている。
記録紙100の配向方向と垂直な方向では、検出される2つの正反射光の差が最大となり、また、検出される2つの内部拡散反射光の差が最大となる。よって、第1の測定系110と第2の測定系120は、第1の光照射系111から出射された光の光路と第2の光照射系121から出射された光の光路とがXY面において、90°となるように設置することにより、精度の高い記録紙の判別を行なうことができる。
また、通常、記録紙100の形状は長方形のものが数多く用いられているが、本実施の形態では、第1の光照射系111から出射された光の光路が、記録紙100の一方の辺に平行な面に存在し、また、第2の光照射系112から出射された光の光路が記録紙100の他方の辺に平行な面に存在するように設置されている。即ち、XY面において、記録紙100の一方の辺と第1の光照射系111から出射された光の光路とが略平行となるように設置されており、記録紙100の他方の辺と第2の光照射系121から出射された光の光路とが略平行となるように設置されている。言い換えるならば、記録紙100の一方の辺と第1の光照射系111から出射された光の記録紙100に平行な成分とが略平行となり、記録紙100の他方の辺と第2の光照射系121から出射された光の記録紙100に平行な成分とが略平行となるように設置されている。尚、記録紙100の形状が正方形の場合についても同様である。
通常の記録紙を製造する際には、パルプから取り出された繊維が製造装置内を一方向に流れるように製造されるが、このように、製造装置内を一方向に流れることにより記録紙を構成する繊維が製造装置内を流れる方向に揃うようになる。このため、記録紙の流れる方向に沿って繊維が揃い、記録紙の流れる方向が繊維の配向方向となる。このように繊維が配向することにより凹凸が形成されるが、一般的には、記録紙は製造工程において、繊維の流れる方向と平行方向及び垂直方向に所定の大きさで裁断され記録紙が製造される。
よって、第1の光照射系111から出射された光の光路が、記録紙100の一方の辺に平行な面に存在し、第2の光照射系112から出射された光の光路が記録紙100の他方の辺に平行な面に存在するように設置することにより、第1の測定系110と第2の測定系120とにおいて、検出される正反射光の差が最大となり、また、内部拡散反射光の差が最大となる。
尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
〔第3の実施の形態〕
次に、第3の実施の形態について説明する。図19に基づき本実施の形態について説明する。本実施の形態における光学センサは、第1の実施の形態と同様の2つの測定系、即ち、第1の測定系110と第2の測定系120とを有するものであって、第1の測定系110と第2の測定系120は、第1の光照射系111から出射された光の光路と第2の光照射系121から出射された光の光路とがXY面において、180°となるように設置されているものである。言い換えるならば、第1の光照射系111から出射された光の記録紙100に平行な成分と第2の光照射系121から出射された光の記録紙100に平行な成分とのなす角度が180°となるように設置されているものである。
このように、第1の測定系110と第2の測定系120との照射中心が異なる位置となるように、第1の測定系110及び第2の測定系120を設置することにより、XY面において、第1の光照射系111から出射された光と、第2の光照射系121から出射された光とが反対方向となるように記録紙100に照射することができる。具体的には、図6に示す状態にすることができる。
また、本実施の形態における光学センサでは、第1の拡散反射光検出系113を照射中心において記録紙100に対し垂直方向となる方向に設置することができ、第2の拡散反射光検出系123を照射中心において記録紙100に対し垂直方向となる方向に設置することができる。本実施の形態における光学センサは、このような配置を行なっても、第1の拡散反射光検出系113と第2の拡散反射光検出系123は干渉しないからである。
尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
〔第4の実施の形態〕
次に、第4の実施の形態について説明する。図20に基づき本実施の形態について説明する。本実施の形態における光学センサは、第1の測定系110及び第2の測定系120と同様の測定系を4つ有するものである。
本実施の形態における光学センサは、4つの測定系における光路がXY面において相互に90°となる方向に配置されている。具体的には、第1の測定系と第2の測定系は、第1の光照射系111から出射された光の光路と第2の光照射系121から出射された光の光路とがXY面において、90°となるように設置されている。即ち、第1の測定系及び第2の測定系は、第1の光照射系111から出射された光の記録紙100に平行な成分と第2の光照射系121から出射された光の記録紙100に平行な成分のなす角度が90°となるように設置されている。
また、第3の光照射系131、第3の正反射光検出系132、第3の拡散反射光検出系133からなる第3の測定系は、第1の光照射系111から出射された光の光路と第3の光照射系131から出射された光の光路とがXY面において、180°となるように設置されている。即ち、第3の測定系は、第1の光照射系111から出射された光の記録紙100に平行な成分と第3の光照射系131から出射された光の記録紙100に平行な成分のなす角度が180°となるように設置されている。
また、第4の光照射系141、第4の正反射光検出系142、第4の拡散反射光検出系143からなる第4の測定系は、第2の光照射系121から出射された光の光路と第4の光照射系141から出射された光の光路とがXY面において、180°となるように設置されている。即ち、第4の測定系は、第2の光照射系121から出射された光の記録紙100に平行な成分と第4の光照射系141から出射された光の記録紙100に平行な成分のなす角度が180°となるように設置されている。
第3の光照射系131及び第4の光照射系141は、第1の光照射系111等と同様のものであり、第3の正反射光検出系132及び第4の正反射光検出系142は、第1の正反射光検出系112等と同様のものであり、第3の拡散反射光検出系133及び第4の拡散反射光検出系143は、第1の拡散反射光検出系113等と同様のものである。
尚、本実施の形態では、各々光照射系と正反射光検出系の位置が干渉するため、照射中心から光照射系までの距離と照射中心から正反射光検出系までの距離とを変えること、または、光照射系をミラー等で反射した光を照射中心に照射すること等により各々の位置の干渉を防ぐことができる。
本実施の形態において、第3の光照射系131からの光を記録紙100に照射した際、第3の正反射光検出系132の光検出器の出力信号の信号レベルを「S31」、第3の拡散反射光検出系133の光検出器の出力信号の信号レベルを「S32」と記載する。また、第4の光照射系141からの光を記録紙100に照射した際、第4の正反射光検出系142の光検出器の出力信号の信号レベルを「S41」、第4の拡散反射光検出系143の光検出器の出力信号の信号レベルを「S42」と記載する。
この場合、前述したように、S11とS31は等しい値となり、S21とS41は等しい値となる。ここでの記録紙の判別方法としては、S11(またはS31)、S21(またはS41)、S12とS32の平均値、S22とS42の平均値を第1の実施の形態におけるS11、S21、S12、S22と置き換えることにより、同様に記録紙の判別を行なうことができる。これにより、本実施の形態における光学センサでは、より高い精度で記録紙の判別を行なうことができる。
尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様である。と同様である。
〔第5の実施の形態〕
次に、第5の実施の形態について説明する。本実施の形態は、2つの測定系を有するものであって、ビームスプリッタにより分光した光を第1の拡散反射光検出系113及び第2の拡散反射光検出系123に入射させる構造のものである。図21及び図22に基づき本実施の形態における光学センサについて説明する。
本実施の形態における光学センサにおいては、第1の光照射系111及び第1の正反射光検出系112、第2の光照射系121及び第2の正反射光検出系122は、第2の実施の形態と同様の位置に配置されている。また、本実施の形態では、記録紙100の紙面に対し照射中心において垂直方向にビームスプリッタ151が設けられている。このビームスプリッタ151により、ビームスプリッタ151に入射した光は、ビームスプリッタ151を直進する光と、ビームスプリッタ151により偏向される光とに分光することができる。ビームスプリッタ151により偏向される光は、第1の拡散反射光検出系113に入射し、ビームスプリッタ151を直進する光は、第2の拡散反射光検出系123に入射する。これにより、拡散反射光の光量が最も多くなる記録紙100の紙面に対し垂直方向における拡散反射光を検出することが可能である。
尚、第1の光照射系111及び第2の光照射系121より出射される光の偏光方向を各々所定の方向とし、第1の光照射系111及び第2の光照射系121を所定のタイミングで発光させることにより、ビームスプリッタ151を偏光ビームスプリッタにすることも可能である。この場合、第1の拡散反射光検出系113における偏光フィルタ118及び第2の拡散反射光検出系123における偏光フィルタ128は不要となる。
尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様である。また、第1の実施の形態等においても同様に適用することが可能である。
〔第6の実施の形態〕
次に、第6の実施の形態について説明する。本実施の形態は、2つの測定系を有するものであって、第1の実施の形態における第1の拡散反射光検出系113及び第2の拡散反射光検出系123を1つにしたものである。図23及び図24に基づき本実施の形態における光学センサについて説明する。
本実施の形態における光学センサにおいては、第1の光照射系111及び第1の正反射光検出系112、第2の光照射系121及び第2の正反射光検出系122は、第1の実施の形態と同様の位置に配置されている。
本実施の形態では、拡散反射光検出系153は、記録紙100の照射中心における垂直方向に設置されている。拡散反射光検出系153は、フォトダイオード等の受光素子からなる光検出器157を有しており、光検出器157の前には偏光フィルタ158を有している。尚、光検出器157は、光検出器117等と同様のものであり、偏光フィルタ158は、偏光フィルタ118等と同様のものである。
本実施の形態では、図14に示すように、第1の光照射系111及び第2の光照射系121の発光を制御することにより、制御部190により拡散反射光検出系153により検出されるタイミングを制御することができ、信号レベルS12とS22とを分けて検出することができる。これにより、拡散反射光検出系153を1つにすることができ、より低コスト化及び小型化にすることができる。
尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。また、本実施の形態は、第2の実施の形態等にも適用することが可能である。
〔第7の実施の形態〕
次に、第7の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1から第6の実施の形態における光学センサを有する画像形成装置である。図25に示すように、本実施の形態における画像形成装置は、カラープリンタ2000である。
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、光走査装置2010、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つのクリーニングユニット(2031a、2031b、2031c、2031d)、4つの帯電装置(2032a、2032b、2032c、2032d)、4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)、4つのトナーカートリッジ(2034a、2034b、2034c、2034d)、転写ベルト2040、転写ローラ2042、定着装置2050、給紙コロ2054、レジストローラ対2056、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、光学センサ2245、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
プリンタ制御装置2090は、CPU、該CPUにて解読可能なコードで記述されたプログラム及び該プログラムを実行する際に用いられる各種データが格納されているROM、作業用のメモリであるRAM、アナログデータをデジタルデータに変換するAD変換回路などを有している。そして、プリンタ制御装置2090は、上位装置からの要求に応じて各部を制御するとともに、上位装置からの画像情報を光走査装置2010に送る。
感光体ドラム2030a、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、トナーカートリッジ2034a、及びクリーニングユニット2031aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030b、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、トナーカートリッジ2034b、及びクリーニングユニット2031bは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030c、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、トナーカートリッジ2034c、及びクリーニングユニット2031cは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030d、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、トナーカートリッジ2034d、及びクリーニングユニット2031dは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。なお、各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図25における面内で矢印方向に回転するものとする。
各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
光走査装置2010は、上位装置からの多色の画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づいて、各色毎に変調された光束を、対応する帯電された感光体ドラムの表面にそれぞれ照射する。これにより、各感光体ドラムの表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像ローラの方向に移動する。
トナーカートリッジ2034aにはブラックトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033aに供給される。トナーカートリッジ2034bにはシアントナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033bに供給される。トナーカートリッジ2034cにはマゼンタトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033cに供給される。トナーカートリッジ2034dにはイエロートナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033dに供給される。
各現像ローラは、回転に伴って、対応するトナーカートリッジからのトナーが、その表面に薄く均一に塗布される。そして、各現像ローラの表面のトナーは、対応する感光体ドラムの表面に接すると、該表面における光が照射された部分にだけ移行し、そこに付着する。すなわち、各現像ローラは、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(トナー画像)は、感光体ドラムの回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされて多色のカラー画像が形成される。
給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙コロ2054が配置されており、該給紙コロ2054は、記録紙を給紙トレイ2060から1枚ずつ取り出し、レジストローラ対2056に搬送する。該レジストローラ対2056は、所定のタイミングで記録紙を転写ベルト2040と転写ローラ2042との間隙に向けて送り出す。これにより、転写ベルト2040上のカラー画像が記録紙に転写される。ここで転写された記録紙は、定着装置2050に送られる。
定着装置2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。ここで定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次スタックされる。
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電装置に対向する位置に戻る。
光学センサ2245は、給紙トレイ2060内に収容されている記録紙の銘柄、平滑度、厚さ、密度等を特定するのに用いられる。具体的には、カラープリンタ2000の内部でこの判定を行なう場合には、光学センサ2245により得られた数値等の情報に基づき、プリンタ制御装置2090等において記録紙の銘柄、平滑度、厚さ、密度等を特定する。よって、プリンタ制御装置2090等は画像形成条件を調整する調整装置としても機能も有するものである。
この光学センサ2245は、第1から第6の実施の形態における光学センサである。本実施の形態における画像形成装置は、第1から第6の実施の形態における光学センサを搭載しているため、精度の高い記録紙の判別を低コストで行なうことができる。よって、精度の高い記録紙の判別を行なうことができる画像形成装置を低コストで得ることができる。また、第1から第6の実施の形態における光学センサは小型であるため、画像形成装置全体の大きさを大きくすることはない。
また、本実施の形態において、光学センサ2245の識別レベルが、非塗工紙/塗工紙/OHPシートを特定するレベルで十分である場合には、拡散反射光検出系に設けられた偏光フィルタがなくてもよい。面発光レーザアレイを用いることにより、発光部が1つの場合よりも高い光量の光を記録紙に照射することができるため、反射光量におけるS/N比を向上させることができ、記録紙の識別精度を高めることができる。また、複数の発光部を同時に点灯させることにより、スペックルパターンのコントラスト比を低減させることができ、より正確に記録紙の反射光量の検出が可能となるため、記録紙の識別精度をより一層高めることができる。更に、面発光レーザアレイを用いた場合、従来用いられてきたLED等では困難であった高密度な集積化が可能となる。即ち、コリメートレンズの光軸近傍にすべてのレーザ光を集めることができるため、入射角を一定にして複数の光束を略平行にすることが可能となり、容易にコリメート光学系を実現することが可能となる。
また、本実施の形態においては、図26に示されるように、面発光レーザアレイ200aにおける複数の発光部201は、少なくとも一部の発光部間隔(発光部201間の間隔)が、他の発光部間隔と異なるものであってもよい。この場合、スペックルパターンの規則性が乱され、スペックルパターンのコントラスト比を更に低減することが可能となる。言い換えるならば、本実施の形態においては、面発光レーザアレイにおける発光部間隔は、相互に相違しているものであることが好ましい。
5個の発光部を1次元配列した面発光レーザアレイを含む光源において、発光部間隔を等間隔とした場合におけるスペックルパターンをビームプロファイラで観測して得られた光強度分布を図27に示す。この場合には、発光部が配置されている規則性に対応した周期的な光強度分布の変化が確認される。この場合におけるコントラスト比は、0.64であった。
また、5個の発光部を1次元配列した面発光レーザアレイを含む光源において、発光部間隔の比が、1.0:1.9:1.3:0.7となるように不規則に配置されている場合におけるスペックルパターンをビームプロファイラで観測して得られた光強度分布を図28に示す。この場合には、周期的な光の強度分布の変化は抑制されていることが確認される。この場合におけるコントラスト比は、0.56となり、発光部を等間隔に配置した場合よりもコントラスト比を低減することができる。
このように、複数の発光部を有する面発光レーザ等においては、発光部間隔を等間隔ではなく、不規則にすることにより、スペックルパターンをより一層抑制することが可能となる。
また、本実施の形態においては、光検出器は受光器の前部に集光レンズが配置されていることがより好ましい。これにより、光を集光することにより検出光量の変化を低減させることができる。
反射光量をもとに記録紙を判別する光学センサにおいて、測定の再現性は重要である。反射光量をもとに記録紙を判別する光学センサは、測定時に測定面と記録紙の表面が同一平面にあることを前提として測定系を設置している。しかしながら、記録紙は、たわみや振動等の理由から、測定面に対し記録紙表面が傾斜または距離が離れてしまい測定面と記録紙の表面とが同一平面とならない場合が生じる。このため、実際の測定においては、反射光量が変化し、安定して記録紙の詳細な判別を行なうことができない。ここで、例として、正反射について説明する。
図29(a)に示されるように、測定面と記録紙100の表面とが同一平面にある場合では、光照射系101より照射された照射光が記録紙100により正反射され、正反射検出系102は、正反射された正反射光を受光し検出することができる。
これに対し、図29(b)に示されるように、測定面に対し記録紙100の表面が角度αだけ傾斜している場合では、図29(a)における場合と同様に光照射系101及び正反射検出系102が配置されているとすると、記録紙100において正反射した光は所定の反射光の光路に対し、2αずれた方向に進む。このため、正反射検出系102において受光する光は、記録紙100における正反射光の光路に対し、角度が2αずれた光である。即ち、照射領域の中心位置と正反射検出系102との距離をLとすると、L×tan2αだけずれた位置で、正反射検出系102は光を検出することになる。また、実際の入射角度は、所定の入射角度θからαだけずれているため、記録紙100における反射率も変化してしまう。このため正反射検出系102において検出される検出光量に変化が生じ、記録紙100の詳細な判別が困難なものとなってしまう。
また、図29(c)に示されるように、測定面に対し記録紙100の表面がdだけ高さ方向、即ち、Z軸方向にずれた場合では、図29(a)における場合と同様に光照射系101及び正反射検出系102が配置されているとすると、このずれに伴い、正反射光の光路は、所定の位置から2d×sinθだけずれる。このため、記録紙100からの正反射光の光路に対し、2d×sinθだけずれた位置で、正反射検出系102は光を検出することになる。このため正反射検出系102において検出される検出光量に変化が生じ、記録紙100の詳細な判別が困難なものとなってしまう。
このため、正反射検出系102において確実に記録紙100からの正反射光を検出することができるよう、正反射検出系102の受光器の前部に集光レンズを配置する。これにより、測定面と記録紙100とがずれることにより、正反射光の光路がずれた場合であっても、確実に正反射検出系102の受光器に正反射光を入射させることができる。
また、正反射検出系102の受光器に、受光領域が十分大きいフォトダイオード(PD)を用いることにより、正反射光の光路がずれた場合であっても、受光領域において受光することができるようにしてもよい。また、照射光のビーム径を狭めたりしてもよい。
また、正反射検出系102の受光器に、アレイ化されたフォトダイオードを用いて、正反射光の光路のずれに対し、十分大きな受光領域を有する構成としてもよい。この場合、正反射光の光路がずれたとしても、各々のフォトダイオードが検出した光信号のうち、最大のものを正反射光の信号とすることができる。また、アレイ化されている場合、個々のフォトダイオードの受光領域を小さくすることができ、正反射光と受光領域の中心のずれによる出力の変動も低減することができるため、より正確な検出を行なうことができる。
尚、上記においては、便宜上、正反射光について説明したが、表面拡散反射や内部拡散反射においても、測定面と記録紙100の表面とのずれは生じるため、同様に適用することが可能である。
以上の実施の形態の説明においては、光学センサは、記録紙に照射される光がS偏光の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、記録紙に照射される光がP偏光であってもよい。但し、この場合は、前記偏光フィルタに代えて、S偏光を透過させる偏光フィルタが用いられる。
また、外乱光や迷光の影響で、誤った紙種判別をする恐れがある場合には、光検出系を増やしても良い。例えば、表面拡散反射光を受光する光検出系を追加配置し、その出力信号も判別の手段としてもよい。
また、上述した実施の形態における光学センサでは、照射光及び反射光の光路はミラーによって曲げられていてもよい。その際、曲げられた光路上に光検出器の中心点が配置される。この場合は、光源及び光検出器を傾斜した状態でそれぞれ支持する部材が不要であり、かつ電気回路を簡素化することができる。これにより、低コストで、小型化が可能な光学センサを実現できる。
また、上述した実施の形態における光学センサは、給紙トレイ内に積層された記録紙を対象として設置される。なお、搬送中に記録紙の銘柄を特定してもよい。この場合は、光学センサは搬送路近傍に配置される。
また、上述した実施の形態における光学センサによって識別される対象物は、記録紙に限定されるものではない。
以上、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。