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JP5954299B2 - 開先加工装置および開先加工方法 - Google Patents
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JP5954299B2 - 開先加工装置および開先加工方法 - Google Patents

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本発明は、鋼板の板幅方向の端部(以下、エッジ部という)を開先加工する開先加工装置および開先加工方法に関するものである。
従来から、大径溶接鋼管等の溶接鋼管の製造工程において、溶接鋼管の素材となる鋼板の両側エッジ部を所定の開先形状に加工する開先加工が行われている。一般に、鋼板の開先加工では、ミーリングカッター等を用いて鋼板の両側エッジ部が切削または研削される。これにより、鋼板の両側エッジ部は、X開先等の開先形状に加工される(例えば特許文献1参照)。
鋼板を開先加工した後、この開先加工後の鋼板の両側エッジ部は、クリンピングプレスによって曲げ加工される。その後、この鋼板に対し、UプレスおよびOプレスによる成形加工、あるいは、ベンディングプレス法による成形加工(例えば特許文献2参照)が施され、これにより、オープン管が製造される。オープン管は、上述したプレス成形加工により、素材である鋼板を管状に曲げ加工し且つ開先形状の両側エッジ部同士を溶接せずに突き合わせてなる管状鋼材である。また、これら開先形状の両側エッジ部を互いに突き合わせた部分は、このオープン管の開先部となる。このように製造したオープン管に対しては、開先部の両側エッジ部同士を仮付けする仮付け溶接が施される。続いて、この仮付け溶接後のオープン管の開先部は、内面側から外面側の順に本溶接される。
特開2008−43974号公報 特開2000−319759号公報
一方、ベンディングプレス法等によって鋼板をオープン管に成形加工した場合、例えば図11に示すように、オープン管の開先部111のエッジ部端面間にギャップ112が発生する可能性がある。この開先部111のギャップ112は、過大化することによって、開先部111の仮付け溶接不良を招来する。具体的には、ギャップ112が過大となった開先部111を仮付け溶接した場合、図11に示すように、仮付け溶接による溶接ビード116と開先部111との間に隙間113,114,115が生じる。すなわち、溶接ビード116は、仮付け溶接すべき開先部111に密着していない不安定な状態である。上述した従来技術では、オープン管の開先部111のギャップ112を軽減することは困難であるため、開先部111のギャップ112が過大化して、開先部111を仮付け溶接した際の溶接ビード116が不安定状態になる場合が多い。このように仮付け溶接時の溶接ビード116が不安定状態である場合、開先部111を本溶接する前に溶接補修作業によって溶接ビード116の隙間113,114,115を埋めなければならず、この溶接補修作業に多大な労力および時間が掛かる。このことは、溶接鋼管(以下、単に「鋼管」と略す)の生産効率の悪化を引き起こしかねない。また、仮付け溶接による不安定な溶接ビード116は、開先部111の本溶接時に溶接金属流れ等の不具合を引き起こす可能性がある。これに起因して、開先部111の溶接強度の劣化等、本溶接後の管状鋼材(鋼管)の品質低下が生じ、延いては、鋼管の製造歩留まりが低下してしまう。
近年、製品としての鋼管の更なる高強度化が要求される傾向にある。これに伴い、より高強度または厚肉の鋼板を鋼管素材として用いる必要性が増している。このような状況下においては、ベンディングプレス法等のプレス成形加工によって製造したオープン管の開先部に過大なギャップが発生し易く、このため、上述した問題が顕著となる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、鋼管素材である鋼板の両側エッジ部を、オープン管の開先部のギャップを軽減する開先形状に加工することが可能な開先加工装置および開先加工方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる開先加工装置は、プレス成形加工によってオープン管に成形される鋼板の板幅方向の両側エッジ部を開先加工する開先加工装置において、前記鋼板の性状を示す鋼材条件と前記プレス成形加工の条件を示すプレス条件とをもとに、前記オープン管の開先部をなす前記両側エッジ部が前記オープン管の真円形状の外周面から突き出る量であるピーキング量を予測し、前記オープン管の成形時に互いに突き合わせる前記両側エッジ部の各ルートフェイス部と開先加工前の前記両側エッジ部の各端面とが各々なす各ルートフェイス角度を、予測した前記ピーキング量をなす前記両側エッジ部の各ルートフェイス部同士が正対して突き合わさるように設定する角度設定部と、前記角度設定部によって設定されたルートフェイス角度をなす前記各ルートフェイス部を有する各開先形状に前記両側エッジ部を各々加工するエッジ加工部と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明にかかる開先加工装置は、上記の発明において、過去に前記プレス成形加工によって成形した複数の前記オープン管を用いて得られた前記ピーキング量の過去実績データと前記鋼材条件および前記プレス条件との相関を示すピーキング量情報と、前記各ルートフェイス部同士が正対して突き合わさる場合の前記ルートフェイス角度を前記ピーキング量別に示すルートフェイス角度情報とを記憶する記憶部をさらに備え、前記角度設定部は、前記ピーキング量情報に基づき、前記鋼材条件および前記プレス条件に応じた前記ピーキング量を予測し、予測した前記ピーキング量と前記ルートフェイス角度情報とに基づき、前記各ルートフェイス部同士が正対して突き合わさるような前記各ルートフェイス角度を導出することを特徴とする。
また、本発明にかかる開先加工装置は、上記の発明において、前記エッジ加工部の刃物を交換する刃物交換部をさらに備え、前記角度設定部は、設定した前記各ルートフェイス角度に対応して、前記エッジ加工部の刃物を、加工すべき前記両側エッジ部の前記各開先形状に合った刃物に交換するように前記刃物交換部を制御する制御部であることを特徴とする。
また、本発明にかかる開先加工方法は、プレス成形加工によってオープン管に成形される鋼板の板幅方向の両側エッジ部を開先加工する開先加工方法において、前記鋼板の性状を示す鋼材条件と前記プレス成形加工の条件を示すプレス条件とをもとに、前記オープン管の開先部をなす前記両側エッジ部が前記オープン管の真円形状の外周面から突き出る量であるピーキング量を予測するピーキング量予測ステップと、前記オープン管の成形時に互いに突き合わせる前記両側エッジ部の各ルートフェイス部と開先加工前の前記両側エッジ部の各端面とが各々なす各ルートフェイス角度を、予測した前記ピーキング量をなす前記両側エッジ部の各ルートフェイス部同士が正対して突き合わさるように設定する角度設定ステップと、前記角度設定ステップによって設定したルートフェイス角度をなす前記各ルートフェイス部を有する各開先形状に前記両側エッジ部を各々加工するエッジ加工ステップと、を含むことを特徴とする。
また、本発明にかかる開先加工方法は、上記の発明において、前記ピーキング量予測ステップは、過去に前記プレス成形加工によって成形した複数の前記オープン管を用いて得られた前記ピーキング量の過去実績データと前記鋼材条件および前記プレス条件との相関を示すピーキング量情報に基づき、前記鋼材条件および前記プレス条件に応じた前記ピーキング量を予測し、前記角度設定ステップは、前記各ルートフェイス部同士が正対して突き合わさる場合の前記ルートフェイス角度を前記ピーキング量別に示すルートフェイス角度情報と予測した前記ピーキング量とに基づき、前記各ルートフェイス部同士が正対して突き合わさるような前記各ルートフェイス角度を導出することを特徴とする。
また、本発明にかかる開先加工方法は、上記の発明において、前記エッジ加工ステップは、設定した前記各ルートフェイス角度に対応して、前記両側エッジ部の加工に用いる刃物を、加工すべき前記両側エッジ部の前記各開先形状に合った刃物に交換することを特徴とする。
本発明によれば、鋼管素材である鋼板の両側エッジ部を、オープン管の開先部のギャップを軽減する開先形状に加工することができるという効果を奏する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる開先加工装置を適用した鋼管製造装置の一構成例を示す図である。 図2は、オープン管の横断面構造の一例を示す断面図である。 図3は、本発明の実施の形態にかかる開先加工装置の一構成例を示す図である。 図4は、本実施例における鋼板の両側エッジ部の開先加工を説明する図である。 図5は、本実施の形態におけるオープン管のピーキング量および開先部のギャップ量を示す図である。 図6は、本発明の実施の形態にかかる開先加工方法の一例を示すフローチャートである。 図7は、本発明による開先加工後の鋼板をプレス成形加工してなるオープン管の開先部の状態を示す図である。 図8は、本発明による開先加工後の鋼板をプレス成形加工してなるオープン管の開先部を仮付け溶接した状態を示す図である。 図9は、本実施例に対する比較例において仮付け溶接したオープン管開先部の溶接ビード状態の評価結果を示す図である。 図10は、本実施例において仮付け溶接したオープン管開先部の溶接ビード状態の評価結果を示す図である。 図11は、従来技術の問題点を説明するための図である。
以下に、添付図面を参照して、本発明にかかる開先加工装置および開先加工方法の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本実施の形態により、本発明が限定されるものではない。また、各図面において同一構成部分には同一符号を付している。
(鋼管製造装置)
まず、本発明の実施の形態にかかる開先加工装置を適用した鋼管製造装置について説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかる開先加工装置を適用した鋼管製造装置の一構成例を示す図である。この鋼管製造装置10は、造管ラインの一部をなすものであり、図1に示すように、開先加工装置1と、クリンピングプレス装置2と、ベンディングプレス装置3と、仮付け溶接装置4と、内面溶接装置5と、外面溶接装置6と、メカニカル拡管装置7とを備える。なお、図1において、太線矢印は、鋼管素材である鋼板100または鋼板100を管状に成形した管状鋼材の搬送の流れを示す。
この鋼管製造装置10において、開先加工装置1には、タブ溶接等の必要な処理が施された鋼板100が順次搬入される。開先加工装置1は、加工対象の鋼板100を受け入れ、この受け入れた鋼板100をその搬送方向に搬送しつつ、鋼板100の両側エッジ部を開先加工する。開先加工後の鋼板100は、開先加工装置1からクリンピングプレス装置2へ搬送される。
クリンピングプレス装置2は、開先加工後の鋼板100を開先加工装置1から受け入れ、この受け入れた鋼板100をその搬送方向に搬送しつつ、鋼板100の両側エッジ部をクリンピングプレスする。これにより、クリンピングプレス装置2は、開先加工後の鋼板100の両側エッジ部を、この鋼板100の長手方向の全域に亘って曲げ加工する。この際、クリンピングプレス装置2は、後段のベンディングプレス装置3による鋼板100のプレス成形加工時と同じ曲げ方向に鋼板100の両側エッジ部を湾曲させる。クリンピングプレス後の鋼板100は、クリンピングプレス装置2からベンディングプレス装置3へ搬送される。
ベンディングプレス装置3は、クリンピングプレス後の鋼板100をクリンピングプレス装置2から受け入れ、この受け入れた鋼板100を管状にプレス成形加工する。この際、ベンディングプレス装置3は、ベンディングプレス法により、この鋼板100の両側エッジ部の一方から他方に向かう方向(鋼板100の板幅方向)に沿って、この鋼板100の局部的な曲げ加工を順次行う。この結果、ベンディングプレス装置3は、この鋼板100をオープン管110(図2参照)にプレス成形加工する。図2は、オープン管の横断面構造の一例を示す断面図である。本実施の形態において、オープン管110は、ベンディングプレス装置3によるプレス成形加工により、図2に示すように鋼管素材である鋼板100を管状に曲げ加工し且つこの鋼板100の開先形状をなす両側エッジ部101,102同士を溶接せずに突き合わせてなる管状鋼材である。また、この鋼板100の両側エッジ部101,102は、開先加工装置1によって既に開先形状に加工(開先加工)されている。このような開先形状の両側エッジ部101,102を互いに突き合わせた部分は、図2に示すように、オープン管110の開先部110aとなる。上述したようにベンディングプレス装置3によって製造されたオープン管110は、ベンディングプレス装置3から仮付け溶接装置4へ搬送される。
仮付け溶接装置4は、後段の内面溶接装置5および外面溶接装置6によるオープン管110の本溶接が行われる前に、このオープン管110の仮付け溶接を行う。具体的には、仮付け溶接装置4は、上述したように製造されたオープン管110をベンディングプレス装置3から受け入れ、この受け入れたオープン管110をその外周面側から複数のケージロール(図示せず)等によって拘束する。これにより、仮付け溶接装置4は、オープン管110の開先部110aを閉じた状態、すなわち、この開先部110aをなす鋼板110の両側エッジ部101,102同士を突き合わせた状態(図2参照)に維持する。続いて、仮付け溶接装置4は、この開先部110aの状態を維持しつつ、ガスシールドアーク溶接等の溶接法により、オープン管110の長手方向の全域に亘って連続的に、開先部110aをその外周面側から仮付け溶接する。仮付け溶接後のオープン管110は、仮付け溶接装置4から内面溶接装置5へ搬送される。
内面溶接装置5は、オープン管110をその内周面側から本溶接する。具体的には、内面溶接装置5は、仮付け溶接後のオープン管110を仮付け溶接装置4から受け入れる。続いて、内面溶接装置5は、この受け入れたオープン管110の長手方向の全域に亘って、サブマージアーク溶接等の溶接法により、このオープン管110の開先部110aをその内面側から連続的に溶接する。この結果、内面溶接装置5は、このオープン管110の開先部110aの内面側部分全域を溶接する(以下、この溶接を内面溶接という)。このように内面溶接装置5によって開先部110aを内面溶接されたオープン管110は、内面溶接装置5から外面溶接装置6へ搬送される。
外面溶接装置6は、オープン管110をその外周面側から本溶接する。具体的には、外面溶接装置6は、上述した内面溶接後のオープン管110を内面溶接装置5から受け入れる。続いて、外面溶接装置6は、この受け入れたオープン管110の長手方向の全域に亘って、サブマージアーク溶接等の溶接法により、このオープン管110の開先部110aをその外面側から連続的に溶接する。この結果、外面溶接装置6は、このオープン管110の開先部110aの外面側部分全域を溶接する(以下、この溶接を外面溶接という)。このように、外面溶接装置6は、上述した内面溶接が施されたオープン管110の開先部110aを外面溶接することにより、このオープン管110の開先部110aの本溶接を達成する。この本溶接により、開先部110aにおける両側エッジ部101,102同士は、オープン管110の長手方向の全域に亘り、十分な接合強度をもって接合される。この結果、オープン管110は、開先部110aが本溶接された管状鋼材となる。この本溶接後の管状鋼材は、外面溶接装置6からメカニカル拡管装置7へ搬送される。
メカニカル拡管装置7は、本溶接後の管状鋼材の形状および口径を調整する拡管処理を行う。具体的には、メカニカル拡管装置7は、本溶接後の管状鋼材を外面溶接装置6から受け入れる。続いて、メカニカル拡管装置7は、この受け入れた管状鋼材をその内面側から押し広げる。これにより、メカニカル拡管装置7は、この管状鋼材の形状を真円に近い円筒形状(望ましくは真円形状)に成形しつつ、この管状鋼材の口径を目標の口径に調整する。この結果、メカニカル拡管装置7は、目標の円筒形状および口径を有する鋼管120を製造する。
(開先加工装置)
つぎに、本発明の実施の形態にかかる開先加工装置1について説明する。図3は、本発明の実施の形態にかかる開先加工装置の一構成例を示す図である。本実施の形態にかかる開先加工装置1は、プレス成形加工によってオープン管110(図2参照)に成形される鋼板100の板幅方向の両側エッジ部101,102を開先加工するものであり、図3に示すように、両側エッジ部101,102を切削加工するエッジ加工部11と、エッジ加工部11の刃物を交換する刃物交換部12と、鋼板100に関する各種条件を入力する条件入力部13と、開先加工制御に必要な情報等を記憶する記憶部14と、開先加工を制御する制御部15とを備える。
エッジ加工部11は、鋼管素材である鋼板100の両側エッジ部101,102を各々開先形状に加工するものである。図4は、本実施例における鋼板の両側エッジ部の開先加工を説明する図である。エッジ加工部11は、図4に示す一対のミーリングカッター11a,11bおよびミーリングカッター11a,11bの回転駆動部(図示せず)等を用いて構成される。ミーリングカッター11a,11bは、各々、鋼板100の両側エッジ部101,102の目標とする開先形状に合った刃先をもつ回転式の刃物である。ミーリングカッター11a,11bは、図4に示すように、鋼板100を挟んで互いの刃先が対向するように配置される。ミーリングカッター11a,11bは、この配置状態を維持しながら各々回転する。エッジ加工部11は、回転中のミーリングカッター11a,11bの刃先を、図3の太線矢印に示される搬送方向に搬送(走行)中の鋼板100の各エッジ部101,102に各々押し付ける。この場合、図4に示すように、ミーリングカッター11aの刃先は、鋼板100の一方のエッジ部101の端面に押し付けられ、ミーリングカッター11bの刃先は、鋼板100の他方のエッジ部102の端面に押し付けられる。このような状態において、エッジ加工部11は、鋼板100の走行に伴い、回転中のミーリングカッター11a,11bと両側エッジ部101,102とを鋼板100の搬送方向に沿って相対的に移動させる。この結果、エッジ加工部11は、鋼板100の長手方向の全域に亘り、ミーリングカッター11a,11bによって目標の開先形状に両側エッジ部101,102を各々切削加工する。
具体的には、図4に示すように、一方のエッジ部101は、ミーリングカッター11aによって、ルートフェイス部101aと内面部101bと外面部101cとを有する開先形状に切削加工される。これと同様に、他方のエッジ部102は、ミーリングカッター11bによって、ルートフェイス部102aと内面部102bと外面部102cとを有する開先形状に切削加工される。ルートフェイス部101a,102aは、鋼板100をオープン管110(図2参照)に成形した際に互いに突き合わせる部分である。図4に示すように、ルートフェイス部101aは、ミーリングカッター11aによる切削加工(開先加工)前の鋼板100のエッジ部端面101dに対してルートフェイス角度θaをなして傾斜する。すなわち、ルートフェイス角度θaは、このエッジ部端面101dとルートフェイス部101aとのなす角度である。これと同様に、ルートフェイス部102aは、ミーリングカッター11bによる切削加工(開先加工)前の鋼板100のエッジ部端面102dに対してルートフェイス角度θbをなして傾斜する。すなわち、ルートフェイス角度θbは、このエッジ部端面102dとルートフェイス部102aとのなす角度である。これらのルートフェイス角度θa,θbは、開先加工装置1の制御部15によって設定される。一方、内面部101b,102bは、図2に示したオープン管110の内側を向く端面部分である。図4に示すように、内面部101bは、ルートフェイス部101aおよび鋼板100の上面(オープン管110の内周面)に対して傾斜し且つ連続する。これと同様に、内面部102bは、ルートフェイス部102aおよび鋼板100の上面(オープン管110の内周面)に対して傾斜し且つ連続する。他方、外面部101c,102cは、図2に示したオープン管110の外側を向く端面部分である。図4に示すように、外面部101cは、ルートフェイス部101aおよび鋼板100の下面(オープン管110の外周面)に対して傾斜し且つ連続する。これと同様に、外面部102cは、ルートフェイス部102aおよび鋼板100の下面(オープン管110の内周面)に対して傾斜し且つ連続する。
刃物交換部12は、鋼板100の両側エッジ部101,102を開先形状に各々切削加工するエッジ加工部11の刃物を交換するものである。具体的には、刃物交換部12は、エッジ加工部11に取り付けられるミーリングカッター11a,11bを含む複数のミーリングカッターセットを、エッジ加工部11用の刃物として有する。これら複数のミーリングカッターセットは、各々、ルートフェイス角度別に異なる刃先を有する。刃物交換部12は、エッジ加工部11の刃物すなわち一対のミーリングカッター11a,11bを、目標とするルートフェイス部101a,102aのルートフェイス角度θa,θbに合った刃先を有するミーリングカッターにすべく、ミーリングカッターの交換を行う。
条件入力部13は、管状にプレス成形加工する鋼板100に関する各種条件を入力するものである。具体的には、条件入力部13は、プロセスコンピュータ等の鋼管製造装置10(図1参照)の操業条件を管理する装置を用いて実現される。条件入力部13は、鋼管製造装置10のベンディングプレス装置3によってオープン管110にプレス成形加工される鋼板100に関する操業条件、すなわち、鋼材条件およびプレス条件を制御部15に入力する。鋼材条件は、鋼管素材である鋼板100の強度(規格)、鋼種、板幅および板厚等の性状を示すものである。プレス条件は、鋼板100のプレス成形加工の条件を示すものである。特に、本実施の形態において、プレス条件は、ベンディングプレス装置3によって鋼板100をオープン管110にプレス成形加工する際のプレス線圧およびプレスピッチ等の条件を示す。なお、条件入力部13は、入力キーおよびマウス等の入力デバイスを用いて実現され、作業者による入力操作によって、鋼板100の鋼材条件およびプレス条件を制御部15に入力してもよい。あるいは、条件入力部13は、プロセスコンピュータおよび入力デバイス等を適宜組み合わせたものでもよい。
記憶部14は、鋼板100の両側エッジ部101,102の開先加工の制御に必要な各種情報を記憶する。具体的には、図3に示すように、記憶部14は、鋼板100からなるオープン管110のピーキング量に関するピーキング量情報14aと、鋼板100の両側エッジ部101,102の各ルートフェイス角度θa,θbに関するルートフェイス角度情報14bとを記憶する。図5は、本実施の形態におけるオープン管のピーキング量および開先部のギャップ量を示す図である。本実施の形態において、ピーキング量hは、図5に示すように、オープン管110の開先部110aをなす鋼板100の両側エッジ部101,102がオープン管110の真円形状の外周面(図5の二点鎖線部分参照)から突き出る量である。ピーキング量情報14aは、過去にベンディングプレス装置3がプレス成形加工によって成形した複数のオープン管110を用いて取得し蓄積したピーキング量hの過去実績データと、複数種類の鋼板100の鋼材条件およびプレス条件との相関を示す情報である。このピーキング量情報14aにおいては、オープン管110の開先部110aにおけるピーキング量hと、このピーキング量hをなす鋼板100の鋼材条件およびプレス条件とが対応付けられる。一方、ルートフェイス角度情報14bは、オープン管110の開先部110aをなすエッジ部101,102の各ルートフェイス部101a,102a同士が正対して突き合わさる場合のルートフェイス角度θa,θbをピーキング量h別に示す情報である。このルートフェイス角度情報14bにおいては、オープン管110の開先部110aにおけるピーキング量hと、このピーキング量hをなす開先部110aの両側エッジ部101,102間のギャップ量dを零とするために必要なルートフェイス角度θa,θbとが対応付けられる。また、上記のギャップ量dは、図5に示すように、開先部110aにおいて突き合わせるべき両側エッジ部101,102の各ルートフェイス部101a,102a間に生じるギャップの最大距離である。
制御部15は、鋼板100の両側エッジ部101,102の開先加工を制御するものであり、これら両側エッジ部101,102の各ルートフェイス角度θa,θbを設定する角度設定部としての機能を有する。具体的には、制御部15は、条件入力部13によって入力された鋼板100の鋼材条件およびプレス条件をもとに、この鋼板100をプレス成形加工してなるオープン管110の開先部110aをなす両側エッジ部101,102のピーキング量hを予測する。この際、制御部15は、記憶部14からピーキング量情報14aを読み出し、読み出したピーキング量情報14aに基づき、条件入力部13からの入力情報すなわち鋼板100の鋼材条件およびプレス条件に応じたピーキング量hを予測する。ついで、制御部15は、上記のように予測したピーキング量hをなす鋼板100の両側エッジ部101,102の各ルートフェイス部101a,102a同士がオープン管110の成形時に正対して突き合わさるように、各ルートフェイス角度θa,θbを設定する。ここで、ルートフェイス角度θa,θbは、オープン管110の成形時に互いに突き合わせる両側エッジ部101,102の各ルートフェイス部101a,102aと開先加工前の両側エッジ部101,102の各端面とが各々なす角度である。制御部15は、記憶部14からルートフェイス角度情報14bを読み出し、上記のように予測したピーキング量hと読み出したルートフェイス角度情報14bとに基づき、各ルートフェイス部101a,102a同士が正対して突き合わさるような各ルートフェイス角度θa,θbを導出する。制御部15は、このように導出した各ルートフェイス角度θa,θbを、両側エッジ部101,102の各開先形状のルートフェイス角度として各々設定する。
また、制御部15は、上述したように設定した各ルートフェイス角度θa,θbに対応して、エッジ加工部11のミーリングカッター11a,11bを、加工すべき鋼板100の両側エッジ部101,102の各開先形状に合った刃先のミーリングカッターに交換するように刃物交換部12を制御する。制御部15は、この刃物交換部12の制御を通して、上述したように設定した各ルートフェイス角度θa,θbに合う刃先のミーリングカッター11a,11bを用いた両側エッジ部101,102の切削加工をエッジ加工部11に行わせる。これにより、制御部15は、オープン管110の開先部110aにおけるギャップ量d(図5参照)が零となるルートフェイス角度θa,θbのルートフェイス部101a,102aを形成するように、鋼板100の両側エッジ部101,102の開先加工を制御する。
(開先加工方法)
つぎに、本発明の実施の形態にかかる開先加工方法について説明する。図6は、本発明の実施の形態にかかる開先加工方法の一例を示すフローチャートである。本実施の形態にかかる開先加工装置1(図3参照)は、図6に示すステップS101〜S104の各処理を順次行うことにより、プレス成形加工によってオープン管110(図2参照)に成形される鋼板100の板幅方向の両側エッジ部101,102を開先加工する。
すなわち、本実施の形態にかかる開先加工方法において、開先加工装置1は、図6に示すように、まず、鋼管素材である鋼板100の鋼材条件およびプレス条件を取得する(ステップS101)。ステップS101において、開先加工装置1の制御部15には、条件入力部13によって鋼板100の鋼材条件およびプレス条件が入力される。制御部15は、条件入力部13からの鋼材条件に基づく鋼板100の強度、鋼種、板幅および板厚等の性状を認識する。また、制御部15は、条件入力部13からのプレス条件に基づく鋼板100のプレス成形加工の条件、具体的には、ベンディングプレス装置3によって鋼板100をオープン管110にプレス成形加工する際のプレス線圧およびプレスピッチ等の条件を認識する。
続いて、開先加工装置1は、ステップS101において取得した鋼板100の鋼材条件およびプレス条件をもとに、この鋼板100プレス成形加工してなるオープン管110のピーキング量hを予測する(ステップS102)。ステップS102において、制御部15は、条件入力部13によって入力された鋼板100の鋼材条件およびプレス条件をもとに、この鋼板100に応じたピーキング量hを予測する。ここで、ピーキング量hは、図5に示したように、オープン管110の開先部110aをなす鋼板100の両側エッジ部101,102がオープン管110の真円形状をなす際の外周面から突き出る量である。制御部15は、記憶部14からピーキング量情報14aを読み出し、読み出したピーキング量情報14aと鋼板100の鋼材条件およびプレス条件とを参照する。これにより、制御部15は、ピーキング量情報14aの中から、これらの鋼材条件およびプレス条件と対応付けられたピーキング量を導出する。制御部15は、このようにピーキング量情報14aに基づいて導出したピーキング量を、鋼板100の鋼材条件およびプレス条件に応じたピーキング量hとして予測する。
つぎに、開先加工装置1は、ステップS102において予測したピーキング量hをなす鋼板100の両側エッジ部101,102の各ルートフェイス部101a,102a同士が正対して突き合わさるように、ルートフェイス部101a,102aの各ルートフェイス角度θa,θbを設定する(ステップS103)。ステップS103において、制御部15は、鋼板100の両側エッジ部101,102が予測のピーキング量hをなして各ルートフェイス部101a,102a同士を突き合わせた際に各ルートフェイス部101a,102a間のギャップ量d(図5参照)が零となるように、ルートフェイス部101a,102aの各ルートフェイス角度θa,θbを設定する。ここで、ギャップ量dは、図5に示したように、鋼板100からなるオープン管110の開先部110aにおいて突き合わせるべき両側エッジ部101,102の各ルートフェイス部101a,102a間に生じるギャップの最大距離である。制御部15は、上記のギャップ量dが零となる場合すなわち各ルートフェイス部101a,102a同士が正対して突き合わさる場合のルートフェイス角度をピーキング量別に示すルートフェイス角度情報14bを、記憶部14から読み出す。ついで、制御部15は、読み出したルートフェイス角度情報14bと、ステップS102による予測のピーキング量hとを参照して、ルートフェイス角度情報14bの中から、予測のピーキング量hと対応付けられたルートフェイス角度を導出する。制御部15は、このようにルートフェイス角度情報14bと予測のピーキング量hとに基づいて導出したルートフェイス角度を、予測のピーキング量hをなす両側エッジ部101,102の各ルートフェイス部101a,102a同士が正対して突き合わさり得るルートフェイス角度θa,θbとして設定する。
その後、開先加工装置1は、ステップS103において設定したルートフェイス角度θa,θbをなす各ルートフェイス部101a,102aを有する各開先形状に鋼板100の両側エッジ部101,102を各々加工する(ステップS104)。ステップS104において、制御部15は、ステップS103によって設定した各ルートフェイス角度θa,θbに対応して、刃物交換部12によるエッジ加工部11のミーリングカッター交換動作を制御する。刃物交換部12は、制御部15の制御に基づき、エッジ加工部11が鋼板100の両側エッジ部101,102の加工に用いるミーリングカッターセットを、加工すべき両側エッジ部101,102の各開先形状に合った刃先を有する一式のミーリングカッター11a,11bに交換する。この刃物交換部12の作用により、エッジ加工部11は、鋼板100の両側エッジ部101,102を切削加工する際、ステップS103において制御部15が設定したルートフェイス角度θa,θbに合う刃先のミーリングカッター11a,11bを常に用いることができる。エッジ加工部11は、刃物交換部12によって選択的に取り付けられたミーリングカッター11a,11bを回転させながら、これらのミーリングカッター11a,11bの各刃先を、搬送中の鋼板100の両側エッジ部101,102に各々押し付ける。これにより、エッジ加工部11は、鋼板100の長手方向の全域に亘って、上述した設定のルートフェイス角度θa,θbに対応した各開先形状に、これらの両側エッジ部101,102を各々切削加工(開先加工)する。すなわち、エッジ加工部11は、鋼板100の両側エッジ部101,102の各全域に、上述したギャップ量d(図5参照)を零とし得るルートフェイス角度θa,θbをもつルートフェイス部101a,102aを各々形成する。
なお、開先加工装置1は、開先加工対象の鋼板100が搬送される都度、この鋼板100に対して、上述したステップS101〜S104の各処理を順次行う。これにより、開先加工装置1は、順次搬送される鋼板100の両側エッジ部101,102を、上述したルートフェイス角度θa,θbの各ルートフェイス部101a,102aをなす各開先形状に各々加工する。
本実施の形態において、上述したステップS101〜S104による開先加工後の鋼板100は、図1に示したベンディングプレス装置3により、オープン管110にプレス加工成形される。図7は、本発明による開先加工後の鋼板をプレス成形加工してなるオープン管の開先部の状態を示す図である。上述した開先加工装置1によって開先加工された鋼板100の両側エッジ部101,102は、この鋼板100がオープン管110にプレス成形加工された際、図2に示したように、互いに突き合わさってオープン管110の開先部110aを構成する。この開先部110aにおいて、両側エッジ部101,102は、図7に示すように、オープン管110が真円形状をなす場合のオープン管外周面(図7の二点鎖線部分参照)から外側に突き出る現象(以下、ピーキングという)を発生させる。このピーキングの突出量は、例えばミリオーダーの量であり、上述したステップS103において予測されたピーキング量hと同程度になる。ここで、鋼板100の両側エッジ部101,102は、開先加工装置1により、ピーキング量hに応じて最適化されたルートフェイス角度θa,θbのルートフェイス部101a,102bを各々有する開先形状に形成されている。このような開先形状の両側エッジ部101,102同士を突き合せてなる開先部110aにおいて、ルートフェイス部101a,102aは、たとえピーキング量hのピーキングが発生する場合であっても、図7に示すように、互いに正対して突き合わさる。この結果、鋼板100をプレス加工成形してなるオープン管110の開先部110aにおいて、ルートフェイス部101a,102a間のギャップ量d(図5参照)は、開先部110aに許容される基準ギャップ量(例えば0.1ミリオーダーのギャップ量)に、望ましくは零に低減した。
一方、図1に示した仮付け溶接装置4は、オープン管110の外周面をケージロールによって拘束することにより、上述したようにルートフェイス部101a,102a間のギャップ量dを低減した状態を維持しながら、このオープン管110の開先部110aを仮付け溶接する。図8は、本発明による開先加工後の鋼板をプレス成形加工してなるオープン管の開先部を仮付け溶接した状態を示す図である。本実施の形態において、オープン管110の開先部110aは、図8に示すように、ルートフェイス部101a,102a同士を正対して突き合わせた状態(ギャップ量dを低減した状態)を維持しながら、仮付け溶接装置4によって仮付け溶接される。この際、仮付け溶接装置4は、オープン管110の長手方向に沿って溶接トーチ4aを移動させつつ、開先部110aの全域に溶接ビード4bを形成する。このように形成した溶接ビード4bは、開先部110aの全域に亘って、両側エッジ部101,102のルートフェイス部101a,102aおよび外面部101c,102cと隙間なく密着した安定状態となる。この結果、オープン管110の開先部110aの高品質な仮付け溶接を実現することができる。このような仮付け溶接の高品質化は、図1に示した内面溶接装置5による開先部110aの内面溶接と外面溶接装置6による開先部110aの外面溶接との高品質化、すなわち、オープン管110の開先部110aに対する本溶接の高品質化に繋がる。
(実施例および比較例)
つぎに、本発明の作用効果を具体的に説明するための実施例および比較例について説明する。本実施例では、図1,3等に示した開先加工装置1を用い、図6に示した開先加工方法(ステップS101〜S104)に沿って、鋼板100の両側エッジ部101,102を開先加工した。この際、鋼材条件およびプレス条件を適宜変更した複数の鋼板サンプルを鋼板100として用い、鋼材条件およびプレス条件等をもとに予測したピーキング量hに応じて、ルートフェイス角度θa,θbを設定し、設定したルートフェイス角度θa,θbのルートフェイス部101a,102aを有する開先形状に両側エッジ部101,102を加工した。本実施例における開先加工後の鋼板100は、ベンディングプレス装置3等を用いてオープン管110にプレス加工成形し、製造したオープン管110の開先部110aを仮付け溶接装置4(図1参照)によって仮付け溶接した。
また、本実施例では、仮付け溶接装置4によってオープン管110の開先部110aを仮付け溶接する際、開先部110aにおけるピーキング量hとルートフェイス部101a,102a間のギャップ量dとを測定し、ピーキング量hおよびギャップ量dの測定結果毎に、開先部110aに対する仮付け溶接の溶接ビード状態を評価した。
一方、本実施例に対する比較例では、鋼板100の両側エッジ部101,102を開先加工する際にルートフェイス角度θa,θbを4[°]に固定し、一定のルートフェイス角度θa,θb=4[°]のルートフェイス部101a,102aを有する開先形状の両側エッジ部101,102を形成した。このルートフェイス角度条件以外、比較例の条件は、上述した実施例と同じにした。なお、上記4[°]というルートフェイス角度θa,θbは、オープン管110が真円形状をなす場合に開先部110aにおいてルートフェイス部101a,102a同士が正対して突き合わさる角度である。
また、この比較例についても、上述した実施例と同様に、オープン管110の開先部110aにおけるピーキング量hとルートフェイス部101a,102a間のギャップ量dとを測定し、ピーキング量hおよびギャップ量dの測定結果毎に、開先部110aに対する仮付け溶接の溶接ビード状態を評価した。
図9は、本実施例に対する比較例において仮付け溶接したオープン管開先部の溶接ビード状態の評価結果を示す図である。図10は、本実施例において仮付け溶接したオープン管開先部の溶接ビード状態の評価結果を示す図である。図9,10において、「●」印は、オープン管110の開先部110aを仮付け溶接した際の溶接ビードが安定状態であることを示す。この安定状態とは、例えば図8に示したように、仮付け溶接による溶接ビード4bがオープン管110の開先部110aにおけるルートフェイス部101a,102aおよび外面部101c、102cと隙間なく密着した状態を意味する。一方、「△」印は、オープン管110の開先部110aを仮付け溶接した際の溶接ビードが不安定状態であることを示す。この不安定状態とは、例えば図11に示したように、仮付け溶接による溶接ビード116がオープン管の開先部111におけるルートフェイス部および外面部との間に隙間をあけてルートフェイス部および外面部と密着していない状態を意味する。
図9に示すように、ルートフェイス角度θa,θbを4[°]に固定した比較例では、ピーキング量hが3[mm]以上である場合に、ルートフェイス部101a,102a間のギャップ量dが0.5[mm]を超過した。これは、ピーキング量hの変化によらずルートフェイス角度θa,θbを一定にしたので、鋼板100(特に高強度鋼板)をオープン管110にプレス成型加工した際に、ルートフェイス部101a,102a同士の正対すべき突き合わせが過大なピーキング量hに対応しきれなくなったためと考えられる。このようにピーキング量hおよびギャップ量dがともに過大化した結果、図9に示すように、オープン管110の開先部110aを仮付け溶接した際の溶接ビードは、不安定状態となった。
これに対し、本実施例では、鋼板100の鋼材条件およびプレス条件をもとに予測したピーキング量hに応じて、ルートフェイス角度θa,θbを、ルートフェイス部101a,102a同士の正対した突き合わせに好適な最適角度に設定した。例えば、上述した比較例において固定していたルートフェイス角度θa,θb=4[°]を、本実施例では8[°]に最適化した。これにより、本実施例では、図10に示すように、ピーキング量hの増減変化によらず、ルートフェイス部101a,102a間のギャップ量dが0.5[mm]以下に安定した。すなわち、ピーキング量hが、比較例において溶接ビードを安定状態にし得るピーキング量範囲内(0≦h<3)である場合は勿論、比較例において過大と判断されたピーキング量範囲(h≧3)の値であっても、ギャップ量dは0.5[mm]以下であった。これは、鋼板100の鋼材条件およびプレス条件に応じて予測したピーキング量hに応じてルートフェイス角度θa,θbを最適角度に設定したので、各種条件の鋼板100をオープン管110にプレス成型加工しても、ルートフェイス部101a,102a同士が正対して突き合わさり易くなったためと考えられる。このような本実施例では、ピーキング量hが従来過大と判断される量であっても、ルートフェイス部101a,102a間のギャップ量dを、溶接対象の開先部110aに許容される基準ギャップ量以下(望ましくは零)に低減できる。この結果、本実施例においてオープン管110の開先部110aを仮付け溶接した際の溶接ビードは、図10に示すように、ピーキング量hによらず安定状態となった。また、図9,10を参照して分かるように、本実施例では、0.5[mm]という基準ギャップ量を設定し、ルートフェイス部101a,102a間のギャップ量dを、この基準ギャップ量以下に管理することにより、溶接ビードの安定状態を確保できる。
以上、説明したように、本発明の実施の形態では、鋼管素材である鋼板の鋼材条件とプレス条件とをもとに、この鋼板をプレス成形加工してなるオープン管の開先部におけるピーキング量を予測し、予測したピーキング量をなす鋼板の両側エッジ部の各ルートフェイス部同士が正対して突き合わさるようにルートフェイス角度を設定し、設定したルートフェイス角度をなすルートフェイス部を有する開先形状に鋼板の両側エッジ部を各々加工している。
このため、鋼板の両側エッジ部に形成する開先形状のルートフェイス角度を、予測のピーキング量に応じて常に、ルートフェイス部同士の正対する突き合わさりに最適な角度にすることができる。この結果、鋼板をプレス成形加工してなるオープン管の開先部に従来過大とされるピーキングが発生した場合であっても、この開先部において互いに突き合わせる各ルートフェイス部の間のギャップ量を、この開先部に許容される基準ギャップ量以下(望ましくは零)に低減することができる。すなわち、鋼管素材である多種多様な鋼板(特に高強度鋼板)の両側エッジ部を、オープン管の開先部のギャップを可能な限り軽減し得る開先形状に加工することができる。
本発明にかかる開先加工装置および開先加工方法を鋼管製造に適用することにより、ベンディングプレス法等の鋼板のプレス成形加工によって製造したオープン管の開先部を仮付け溶接した際、この開先部全域に安定状態の溶接ビードを形成することができる。この結果、オープン管の開先部の仮付け溶接の品質が飛躍的に向上することから、この開先部に対する本溶接(内面溶接および外面溶接)の溶接品質の向上を促進することができ、延いては、鋼管の品質および製造歩留まりを向上することができる。また、仮付け溶接後のオープン管に対して溶接補修作業を行う必要が減るため、溶接補修作業に費やす労力および時間を可能な限り省くことができる。これにより、鋼管製造装置においてオープン管等の鋼管素材の流れが停滞する事態を可能な限り回避でき、この結果、鋼管の生産効率を向上することができる。
また、本発明の実施の形態では、鋼板の両側エッジ部の開先加工に用いるエッジ加工部のミーリングカッターを交換する刃物交換部を設け、各ルートフェイス角度の設定値に対応して、この刃物交換部によるミーリングカッターの交換動作を制御している。これにより、鋼板の両側エッジ部の加工に用いるミーリングカッターを、加工すべき両側エッジ部の各開先形状に合った刃先を有するミーリングカッターに自動交換することができる。この結果、ルートフェイス角度の設定変更に対応してエッジ加工部のミーリングカッターを円滑且つ容易に最適なミーリングカッターに交換できるとともに、ミーリングカッターの交換に擁する作業者の手間を可能な限り軽減することができる。
なお、上述した実施の形態では、刃物交換部12により、エッジ加工部11のミーリングカッター11a,11bをルートフェイス角度θa,θbの設定値に対応して自動交換していたが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明において、エッジ加工部11のミーリングカッター11a,11bは、作業者がルートフェイス角度θa,θbの設定値に対応してミーリングカッターの交換作業を行うことにより、手動交換されてもよい。この場合、開先加工装置1は、刃物交換部12の代わりに、制御部15によって設定されたミーリングカッターの情報を表示する表示部を備えてもよく、作業者は、この表示部の表示内容を確認してミーリングカッターの交換作業を行ってもよい。
また、上述した実施の形態では、ピーキング量dを予測する際に用いるピーキング量情報14aを、過去の鋼管製造の操業実績に基づいて蓄積したピーキング量の過去実績データと鋼板の鋼材条件およびプレス条件との相関を示す情報としていたが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明において、ピーキング量情報14aは、鋼板の開先加工に関する実験またはシミュレーションの結果に基づいて蓄積したピーキング量のデータと鋼板の鋼材条件およびプレス条件との相関を示す情報であってもよい。一方、ルートフェイス角度情報14bによって示されるピーキング量別のルートフェイス角度は、過去の鋼管製造の操業実績に基づいて蓄積した過去実績データであってもよいし、実験またはシミュレーションに基づいて蓄積したデータであってもよい。
さらに、上述した実施の形態では、開先加工装置1による開先加工後の鋼板100をベンディングプレス法によってオープン管110にプレス成形加工していたが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明にかかる開先加工装置1および開先加工方法によって開先加工された後の鋼板100は、U型プレス成形およびO型プレス成形をこの順に行うことにより、オープン管110にプレス成形加工されてもよい。すなわち、本発明において、鋼管製造装置10は、ベンディングプレス装置3の代わりに、鋼板100のU型プレス成形を行うUプレス装置と、このUプレス装置によるU型プレス成形後の鋼板100に対してO型プレス成形を行うOプレス装置とを備えてもよい。
また、上述した実施の形態または実施例により本発明が限定されるものではなく、上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。その他、上述した実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例および運用技術等は全て本発明に含まれる。
1 開先加工装置
2 クリンピングプレス装置
3 ベンディングプレス装置
4 仮付け溶接装置
4a 溶接トーチ
4b,116 溶接ビード
5 内面溶接装置
6 外面溶接装置
7 メカニカル拡管装置
10 鋼管製造装置
11 エッジ加工部
11a,11b ミーリングカッター
12 刃物交換部
13 条件入力部
14 記憶部
14a ピーキング量情報
14b ルートフェイス角度情報
15 制御部
100 鋼板
101,102 エッジ部
101a,102a ルートフェイス部
101b,102b 内面部
101c,102c 外面部
110 オープン管
110a,111 開先部
112 ギャップ
113,114,115 隙間
120 鋼管

Claims (6)

  1. プレス成形加工によってオープン管に成形される鋼板の板幅方向の両側エッジ部を開先加工する開先加工装置において、
    前記鋼板の性状を示す鋼材条件と前記プレス成形加工の条件を示すプレス条件とをもとに、前記オープン管の開先部をなす前記両側エッジ部が前記オープン管の真円形状の外周面から突き出る量であるピーキング量を予測し、前記オープン管の成形時に互いに突き合わせる前記両側エッジ部の各ルートフェイス部と開先加工前の前記両側エッジ部の各端面とが各々なす各ルートフェイス角度を、予測した前記ピーキング量をなす前記両側エッジ部の各ルートフェイス部同士が正対して突き合わさるように設定する角度設定部と、
    前記角度設定部によって設定されたルートフェイス角度をなす前記各ルートフェイス部を有する各開先形状に前記両側エッジ部を各々加工するエッジ加工部と、
    を備えたことを特徴とする開先加工装置。
  2. 過去に前記プレス成形加工によって成形した複数の前記オープン管を用いて得られた前記ピーキング量の過去実績データと前記鋼材条件および前記プレス条件との相関を示すピーキング量情報と、前記各ルートフェイス部同士が正対して突き合わさる場合の前記ルートフェイス角度を前記ピーキング量別に示すルートフェイス角度情報とを記憶する記憶部をさらに備え、
    前記角度設定部は、前記ピーキング量情報に基づき、前記鋼材条件および前記プレス条件に応じた前記ピーキング量を予測し、予測した前記ピーキング量と前記ルートフェイス角度情報とに基づき、前記各ルートフェイス部同士が正対して突き合わさるような前記各ルートフェイス角度を導出することを特徴とする請求項1に記載の開先加工装置。
  3. 前記エッジ加工部の刃物を交換する刃物交換部をさらに備え、
    前記角度設定部は、設定した前記各ルートフェイス角度に対応して、前記エッジ加工部の刃物を、加工すべき前記両側エッジ部の前記各開先形状に合った刃物に交換するように前記刃物交換部を制御する制御部であることを特徴とする請求項1または2に記載の開先加工装置。
  4. プレス成形加工によってオープン管に成形される鋼板の板幅方向の両側エッジ部を開先加工する開先加工方法において、
    前記鋼板の性状を示す鋼材条件と前記プレス成形加工の条件を示すプレス条件とをもとに、前記オープン管の開先部をなす前記両側エッジ部が前記オープン管の真円形状の外周面から突き出る量であるピーキング量を予測するピーキング量予測ステップと、
    前記オープン管の成形時に互いに突き合わせる前記両側エッジ部の各ルートフェイス部と開先加工前の前記両側エッジ部の各端面とが各々なす各ルートフェイス角度を、予測した前記ピーキング量をなす前記両側エッジ部の各ルートフェイス部同士が正対して突き合わさるように設定する角度設定ステップと、
    前記角度設定ステップによって設定したルートフェイス角度をなす前記各ルートフェイス部を有する各開先形状に前記両側エッジ部を各々加工するエッジ加工ステップと、
    を含むことを特徴とする開先加工方法。
  5. 前記ピーキング量予測ステップは、過去に前記プレス成形加工によって成形した複数の前記オープン管を用いて得られた前記ピーキング量の過去実績データと前記鋼材条件および前記プレス条件との相関を示すピーキング量情報に基づき、前記鋼材条件および前記プレス条件に応じた前記ピーキング量を予測し、
    前記角度設定ステップは、前記各ルートフェイス部同士が正対して突き合わさる場合の前記ルートフェイス角度を前記ピーキング量別に示すルートフェイス角度情報と予測した前記ピーキング量とに基づき、前記各ルートフェイス部同士が正対して突き合わさるような前記各ルートフェイス角度を導出することを特徴とする請求項4に記載の開先加工方法。
  6. 前記エッジ加工ステップは、設定した前記各ルートフェイス角度に対応して、前記両側エッジ部の加工に用いる刃物を、加工すべき前記両側エッジ部の前記各開先形状に合った刃物に交換することを特徴とする請求項4または5に記載の開先加工方法。
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