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JP5963288B2 - 乾式ガス精製設備における炭素の析出抑制方法及び石炭ガス化複合発電設備における炭素の析出抑制方法 - Google Patents
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JP5963288B2 - 乾式ガス精製設備における炭素の析出抑制方法及び石炭ガス化複合発電設備における炭素の析出抑制方法 - Google Patents

乾式ガス精製設備における炭素の析出抑制方法及び石炭ガス化複合発電設備における炭素の析出抑制方法 Download PDF

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Description

本発明は、乾式ガス精製設備及び石炭ガス化複合発電設備における炭素の析出抑制方法に関する。
石炭は世界の広い地域に存在し、可採埋蔵量が多く、価格が安定しているため、供給安定性が高く発熱量あたりの価格が低廉である。かかる石炭を燃料とする火力発電の一つの方式として、石炭ガス化複合発電(IGCC:Integrated Coal Gasification Combined Cycle)が知られている。石炭ガス化複合発電では、石炭を不完全燃焼させて得られた石炭ガス化ガスを燃料としてガスタービンを駆動して電力を得ると共に、ガスタービンの排気熱を回収して蒸気を発生させ、発生した蒸気により蒸気タービンを駆動して電力を得ている(例えば、特許文献1参照)。
石炭ガス化炉で発生する石炭ガス化ガスには、燃焼される一酸化炭素の他に、硫黄化合物(硫化物)等の不純物や後続機器に対して影響を与える不純物、微量成分が含まれるため、ガス精製設備により石炭ガス化ガスの不純物を除去して燃料ガスとしている。
このようなガス精製設備としては、石炭ガス化ガスの温度を露点を上回る温度に維持して不純物を除去する乾式のガス精製設備がある(例えば、特許文献2参照)。かかる乾式ガス精製設備によれば、石炭ガス化ガスを高温のまま精製することができるので、温度や圧力の昇降を抑えて燃料ガスを得ることができる。
しかしながら、石炭ガス化炉で発生した石炭ガス化ガスは1000℃以上であり、乾式ガス精製設備で不純物を除去するために適した温度(450℃程度)にまで降温する必要があるが、このとき、石炭ガス化ガス中の一酸化炭素が固体の炭素として析出してしまうことが懸念される。
すなわち、石炭ガス化炉から乾式ガス精製設備に至る配管や、乾式ガス精製設備の反応器の材質は鉄を含むため、鉄を触媒として配管等の表面に炭素が析出し、得られる燃料ガスのカロリーが低下したり、機器の劣化・損傷を誘発する虞がある。また、乾式脱硫プロセスで用いられる剤、例えば硫黄化合物を除去するための亜鉛フェライトなどの脱硫剤が炭素析出の触媒として作用してしまい、炭素析出により脱硫剤の本来の脱硫作用を阻害してしまう虞がある。
特開2005―171148号公報 特開2009−173717号公報
本発明は、このような事情に鑑み、不純物の除去剤や配管等に炭素が析出することを防止し、石炭ガス化ガスを乾式で精製することができる乾式ガス精製設備及び当該乾式ガス精製設備を備えた石炭ガス化複合発電設備における炭素の析出抑制方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための第1の態様は、石炭ガス化炉で生成された石炭ガス化ガスの温度を、露点を上回る温度に維持して運転する乾式法により石炭ガス化ガス中の不純物を除去する除去装置を備える乾式ガス精製設備における炭素の析出抑制方法であって、ある温度Tにおいて前記除去装置に流入する石炭ガス化ガス中の二酸化炭素ガス及び一酸化炭素ガスの実際のモル分率をそれぞれχCO2及びχCOとし、石炭ガス化ガスの圧力をPとし、温度Tにおいて炭素が析出する反応が進行しない条件における二酸化炭素ガス及び一酸化炭素ガスのモル分率をそれぞれχCO2(T)及びχCO(T)とし、石炭ガス化ガスの圧力をP’ とし、下記数1で定義されるKと、下記数2で定義される基準値K(T)とが下記数3の関係となるようにχCO2とχCOとの比を変化させる流体を前記石炭ガス化ガスに添加することを特徴とする乾式ガス精製設備における炭素の析出抑制方法にある。
〔数1〕
=χCO2/(χCO ×P)
〔数2〕
(T)=χCO2(T)/(χCO(T)×P’)
〔数3〕
(T)≦K
かかる第1の態様では、除去装置の配管表面や不純物の除去剤に、石炭ガス化ガス中の一酸化炭素から炭素が析出することを防止することができる。これにより、除去剤が有する不純物の除去機能が炭素析出で阻害されることが防止され、確実に石炭ガス化ガスを精製することができる。また、除去装置の配管表面などで炭素析出が抑制されるので、装置の劣化損傷が抑えられる。
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載する乾式ガス精製設備における炭素の析出抑制方法において、前記流体として水蒸気を石炭ガス化ガスに添加することを特徴とする乾式ガス精製設備における炭素の析出抑制方法にある。
かかる第2の態様では、KがK(T)以上となるようにxCO2とxCOとの比を変化させる流体として水蒸気を用いることができる。
本発明の第3の態様は、第1の態様に記載する乾式ガス精製設備における炭素の析出抑制方法において、前記流体として二酸化炭素ガスを石炭ガス化ガスに添加することを特徴とする乾式ガス精製設備における炭素の析出抑制方法にある。
かかる第3の態様では、KがK(T)以上となるようにxCO2とxCOとの比を変化させる流体として二酸化炭素ガスを用いることができる。
本発明の第4の態様は、第1の態様に記載する乾式ガス精製設備における炭素の析出抑制方法において、前記流体として水蒸気及び二酸化炭素ガスを含む混合ガスを石炭ガス化ガスに添加することを特徴とする乾式ガス精製設備における炭素の析出抑制方法にある。
かかる第4の態様では、KがK(T)以上となるようにxCO2とxCOとの比を変化させる流体として水蒸気及び二酸化炭素ガスを含む混合ガスを用いることができる。
本発明の第5の態様は、石炭及び酸化剤の反応により石炭ガス化ガスを生成する石炭ガス化炉と、前記石炭ガス化炉で生成された石炭ガス化ガスの温度を、露点を上回る温度に維持して運転する乾式法により石炭ガス化ガス中の不純物を除去する除去装置を備える乾式ガス精製設備と、前記乾式ガス精製設備で得られた燃料ガスを燃焼させる燃焼手段と、前記燃焼手段からの燃焼ガスを膨張することで動力を得るガスタービンと、前記ガスタービンの排気ガスの熱を回収して得られた蒸気を膨張することで動力を得る蒸気タービンとを備える石炭ガス化複合発電設備における炭素の析出抑制方法であって、ある温度Tにおいて前記除去装置に流入する石炭ガス化ガス中の二酸化炭素ガス及び一酸化炭素ガスの実際のモル分率をそれぞれχCO2及びχCOとし、石炭ガス化ガスの圧力をPとし、温度Tにおいて炭素が析出する反応が進行しない条件における二酸化炭素ガス及び一酸化炭素ガスのモル分率をそれぞれχCO2(T)及びχCO(T)とし、石炭ガス化ガスの圧力をP’ とし、下記数1で定義されるKと、下記数2で定義される基準値K(T)とが下記数3の関係となるようにχCO2とχCOとの比を変化させる流体として前記蒸気タービンで仕事をした水蒸気を前記除去装置の上流において前記前記石炭ガス化ガスに添加することを特徴とする石炭ガス化複合発電設備における炭素の析出抑制方法にある。
〔数1〕
=χCO2/(χCO ×P)
〔数2〕
(T)=χCO2(T)/(χCO(T)×P’)
〔数3〕
(T)≦K
かかる第5の態様では、KがK(T)以上となるようにxCO2とxCOとの比を変化させる流体として、系内の蒸気タービンで仕事をした排気蒸気を有効利用することができる。外部から水蒸気を別途調達することなく、容易に炭素の析出を抑制する流体を添加することができる。
本発明の第6の態様は、石炭及び酸化剤の反応により石炭ガス化ガスを生成する石炭ガス化炉と、前記石炭ガス化炉で生成された石炭ガス化ガスの温度を、露点を上回る温度に維持して運転する乾式法により石炭ガス化ガス中の不純物を除去する除去装置を備える乾式ガス精製設備と、前記乾式ガス精製設備で得られた燃料ガスを燃焼させる燃焼手段と、前記燃焼手段からの燃焼ガスを膨張することで動力を得るガスタービンと、前記ガスタービンの排気ガスの熱を回収して得られた蒸気を膨張することで動力を得る蒸気タービンとを備える石炭ガス化複合発電設備における炭素の析出抑制方法であって、ある温度Tにおいて前記除去装置に流入する石炭ガス化ガス中の二酸化炭素ガス及び一酸化炭素ガスの実際のモル分率をそれぞれχCO2及びχCOとし、石炭ガス化ガスの圧力をPとし、温度Tにおいて炭素が析出する反応が進行しない条件における二酸化炭素ガス及び一酸化炭素ガスのモル分率をそれぞれχCO2(T)及びχCO(T)とし、石炭ガス化ガスの圧力をP’ とし、下記数1で定義されるKと、下記数2で定義される基準値K(T)とが下記数3の関係となるようにχCO2とχCOとの比を変化させる流体として前記ガスタービンの排気ガスを回収する二酸化炭素回収系から得られた二酸化炭素を前記除去装置の上流において前記石炭ガス化ガスに添加することを特徴とする石炭ガス化複合発電設備における炭素の析出抑制方法にある。
〔数1〕
=χCO2/(χCO ×P)
〔数2〕
(T)=χCO2(T)/(χCO(T)×P’)
〔数3〕
(T)≦K
かかる第6の態様では、KがK(T)以上となるようにxCO2とxCOとの比を変化させる流体として、系内のガスタービンで仕事をした排気ガスを有効利用することができる。外部から二酸化炭素ガスを別途調達することなく、容易に炭素の析出を抑制する流体を添加することができる。
本発明によれば、不純物の除去剤や配管等に炭素が析出することを防止し、石炭ガス化ガスを乾式で精製することができる乾式ガス精製設備及び石炭ガス化複合発電設備における炭素の析出抑制方法が提供される。
実施形態1に係る乾式ガス精製設備を備えた石炭ガス化複合発電設備の構成図である。 実施形態1に係る炭素析出防止の原理を示す概念図である。 石炭ガス化ガスのKと炭素析出量との関係を示すグラフである。 実施形態2に係る乾式ガス精製設備を備えた石炭ガス化複合発電設備の構成図である。 実施形態2に係る炭素析出防止の原理を示す概念図である。 石炭ガス化ガスに添加した水蒸気及び二酸化炭素ガスの添加量と炭素析出量との関係を示すグラフである。 石炭ガス化ガスに水蒸気、二酸化炭素ガスのそれぞれを添加した場合の脱硫性能を示すグラフである。
〈実施形態1〉
図1に基づいて、本発明の実施形態に係る乾式ガス精製設備を備えた石炭ガス化複合発電設備の構成を説明する。
図示するように、石炭ガス化複合発電設備1は、石炭ガス化炉2を備えている。石炭ガス化炉2には、系内からの二酸化炭素が供給され、酸化剤(酸素、空気)の反応により石炭ガス化ガスgが生成される。二酸化炭素及び酸素で石炭をガス化することで、二酸化炭素のガス化促進効果により、空気、酸素濃度を高めた空気、または酸素で石炭をガス化することに比べ、炉内炭素転換率が大幅に向上する。
石炭ガス化ガスgには、一酸化炭素や水素ガスなどの可燃成分が含まれ、また、水溶性不純物、凝縮性不純物、粒子状不純物、及びガス状不純物が含まれている。二酸化炭素及び酸素で石炭をガス化することで、石炭ガス化ガスgに含まれる一酸化炭素や水素は空気で石炭をガス化することに比べ、高濃度になる。石炭ガス化ガスgは、図示しない除塵手段により除塵されて熱交換器3で所定温度に調整され、乾式ガス精製設備4に送られる。
乾式ガス精製設備4は、石炭ガス化ガスgの温度を、露点を上回る温度に維持して運転する乾式法により石炭ガス化ガスgの不純物を除去する。本実施形態では、乾式ガス精製設備4は、不純物を除去する除去装置の一例として、ハロゲン化物除去装置5と脱硫装置6とを備えている。
ハロゲン化物除去装置5は、石炭ガス化ガスgに含まれるハロゲン化物と化学反応するハロゲン化物吸収剤を備えている。ハロゲン化物吸収剤としては、アルミニウムとアルカリ物質との複合酸化物であるアルミン酸アルカリを含有すると共に強度補強添加剤を含有するものを用いることができる。また、アルミン酸アルカリ以外のハロゲン化物吸収剤を用いることも可能である。
脱硫装置6は、石炭ガス化ガスgに含まれる硫黄化合物と化学反応する金属酸化物系脱硫剤を備えている。金属酸化物系脱硫剤は、硫化カルボニル(COS)や硫化水素(HS)等の硫黄化合物を低濃度まで除去することができる。金属酸化物系脱硫剤としては、硫黄化合物と化学反応する金属酸化物を含んでいれば良く、例えば、酸化鉄を主成分とする脱硫剤、亜鉛フェライトを主成分とする脱硫剤、酸化亜鉛を主成分とする脱硫剤を用いることができる。
なお、乾式ガス精製設備4としては、上述したハロゲン化物除去装置5と脱硫装置6の他に、ガスに含まれるアンモニアを除去するアンモニア除去装置や、ガスに含まれる水銀を除去する水銀除去装置を用いてもよい。
このような乾式ガス精製設備4に石炭ガス化ガスgが送られると、ハロゲン化物除去装置5でハロゲン化物が除去され、脱硫装置6で硫黄化合物が除去されて精製され、燃料ガスfとされる。
燃料ガスfは、燃焼器7に送られる。さらに燃焼器7には、酸素製造装置8で製造された高濃度の酸素が送られ、燃料ガスfが燃焼される。酸素製造装置8で製造された酸素は石炭ガス化炉2にも供給される。酸素製造装置8は、例えば、圧力スウィング吸着により窒素ガスが濃縮されて空気から除去されて加圧された酸素が供給される設備や、深冷設備からの酸素が所定圧力に加圧されて供給される設備を適用することができる。
燃焼器7での燃焼により生じた燃焼ガスは、ガスタービン10に送られて膨張され、発電動力が得られる。ガスタービン10で仕事を終えた排気ガスe(二酸化炭素を主成分とする作動流体)は排熱回収ボイラ(HRSG)11で熱回収され、HRSG11で熱回収された排気ガスeは圧縮機9で圧縮され、圧縮機9で圧縮された排気ガスeは、再生熱交換器12で昇温されて燃焼器7に投入される。再生熱交換器12は、ガスタービン10からの排気ガスeの一部が送られ、排気ガスeの熱回収を行う。
また、HRSG11で熱回収された排気ガスeの一部は、後述する二酸化炭素回収系で回収される。
ガスタービン10の出口側の排気ガスeは、二酸化炭素ガスを主成分とする作動流体であるため比熱比が小さく、圧縮機9及びガスタービン10の出入口温度差が小さくなり、再生熱交換器12による熱効率を大幅に向上させることができる。つまり、再生による熱効率の効果を得やすいシステムとなっている。
HRSG11で発生した蒸気は蒸気タービン13に送られ、蒸気タービン13で膨張され、動力が得られる。上述した圧縮機9及びガスタービン10と蒸気タービン13は、同軸状態で接続され、蒸気タービン13には発電機14が接続されている。直列に接続されたガスタービン10及び蒸気タービン13の動力により発電機14が駆動され、ガスタービン10と蒸気タービン13による複合発電が行われる。
蒸気タービン13で仕事を終えた排気蒸気は復水器15で復水されて図示しない給水ポンプにより給水加熱器16に送られる。給水加熱器16にはHRSG11で熱回収された排気ガスeの一部が送られ、その回収された熱により復水器15で凝縮された復水が加熱され、HRSG11に供給される。
HRSG11で熱回収された排気ガスの一部は、二酸化炭素回収系により二酸化炭素が回収される。すなわち、排気ガスe(COを含むガス)は、給水加熱器16で冷却されたのち、汽水分離器(冷却器)17で水分が分離され、水分が分離された排気ガスe(CO)は圧縮機18で所定圧力に加圧された後、更に、汽水分離器(冷却器)19で冷却される。冷却されて水分が除去された排気ガスe(CO)は圧縮機20で所定圧力に加圧されて石炭ガス化炉2に送られる。余剰のCOは加圧して液化する等により回収される。
石炭ガス化炉2には、酸化剤として圧縮機9の流体が抽気されて供給される(A)。熱交換器3には、復水器15からの復水の一部が供給され(B)、石炭ガス化ガスgとの熱交換により蒸気を発生させ、発生した蒸気は蒸気タービン13に送られる(C)。
上述した石炭ガス化複合発電設備1では、石炭ガス化炉2において、酸化剤と石炭と酸素製造装置8から送られる酸素と、回収された二酸化炭素ガスの反応により石炭ガス化ガスgが生成され、石炭ガス化ガスgを乾式ガス精製設備4で精製して燃料ガスfとし、この燃料ガスfを燃焼器7に送り、燃焼器7で酸素燃焼することで二酸化炭素を主成分とする比熱比の小さな燃焼ガス(作動流体)が得られ、燃焼器7からの燃焼ガスはガスタービン10で膨張され発電動力が得られる。ガスタービン10で仕事を終えた排気ガスeはHRSG11で熱回収され、HRSG11及び熱交換器3からの発生蒸気は蒸気タービン13に送られ発電出力が得られる。また、排気ガスeの一部は、再生熱交換器12に送られて熱回収され、石炭ガス化炉2に送られて石炭のガス化に用いられ、又は回収される。
ここで、流体添加手段について説明する。乾式ガス精製設備4の上流側には、脱硫装置6の脱硫剤や配管などで炭素の析出が抑制される組成の石炭ガス化ガスgとなるように、流体を添加する流体添加手段が設けられている。
このような流体添加手段が設けられることで、脱硫装置6の配管表面や脱硫剤に、石炭ガス化ガスg中の一酸化炭素から炭素が析出することを防止することができる。これにより、脱硫剤が有する硫黄化合物の除去機能が炭素析出で阻害されることが防止され、確実に石炭ガス化ガスgを精製することができる。また、脱硫装置6の配管表面などで炭素析出が抑制されるので、劣化損傷が抑えられる。
このような流体添加手段の具体的構成を説明する。
図1に示すように、流体添加手段は、熱交換器3とハロゲン化物除去装置5とを接続する石炭ガス化ガスgの配管21にHRSG11で製造した水蒸気を供給するように構成されている(D)。
水蒸気を石炭ガス化ガスgに添加する場所は、乾式ガス精製設備4の上流側であり、かつ、石炭ガス化炉2の下流であればよい。本実施形態では、熱交換器3において、乾式ガス精製設備4での乾式ガス精製プロセスに適した温度にされた石炭ガス化ガスgの流路となる配管21に水蒸気を供給するようにした。
配管21に添加される水蒸気の圧力は、配管21に送られる石炭ガス化ガスgの圧力と同等以上にする。例えば、HRSG11で製造した水蒸気は、配管21の石炭ガス化ガスに添加するのに適した温度、圧力を有している。なお、石炭ガス化複合発電設備1の系内で水蒸気を抽出する箇所に特に限定はない。蒸気タービン13で仕事を終えた排気蒸気の圧力が石炭ガス化ガスgの圧力以下であるならば、より高い圧力の蒸気を別途製造して配管21に供給するようにしてもよい。
石炭ガス化ガスgに添加する水蒸気の流量は、Kを増大させるのに必要な流量とする。すなわち、石炭ガス化ガスg中の二酸化炭素ガス及び一酸化炭素ガスの平衡におけるモル分率をそれぞれxCO2及びxCOとし、石炭ガス化ガスgの圧力をPとしたとき、乾式ガス精製設備4よりも上流において、下記数2で定義されるKが増大するようにxCO2とxCOとの比を変化させる流体を石炭ガス化ガスgに添加する。
〔数2〕
=xCO2/(xCO ×P)
(なお、二酸化炭素の分圧をPCO2、一酸化炭素の分圧をPCOとすれば、PCO2=xCO2×P、PCO=xCO×Pであるので、K=PCO2/(PCOとも表現できる。また、同式の詳細な説明は、本明細書末のKの説明を参照のこと。)
全圧Pは、乾式脱硫プロセスの運転圧力であるから、自由に設定することはできない。また、石炭ガス化ガスgの組成は、石炭ガス化炉2の特性で決まるので、xCO2やxCOを自由に変えることはできない。そこで、二酸化炭素ガスもしくは水蒸気のそれぞれを単独で、又は双方を石炭ガス化ガスgに添加することで、Kを増大させるようにxCO2とxCOとの比を変化させる。
石炭ガス化ガスgに添加する水蒸気の流量の目安としては、例えば、石炭ガス化ガスgの流量の5〜10%程度とすることが好ましい。5%で十分な効果が期待できるが、より高い効果を期待する場合には10%程度まで増大させてもよい。ただし、水蒸気の添加量を増やすほど、IGCC全体の発電効率を低下させるので添加量は必要最小限とすることが望ましい。なお、水蒸気の添加量と炭素析出量との関係については後述する。
このような構成の流体添加手段を設けることで、石炭ガス化ガスgにはKを増大させる水蒸気が添加され、脱硫装置6の配管の表面や脱硫剤に炭素が析出することが防止される。このような炭素析出防止の原理を図2に基づいて説明する。
図2に示すように、石炭ガス化炉2から配管21に送られる石炭ガス化ガスgに、HRSG11(図1参照)からの水蒸気が添加されると、(1)下記数3に示す水性シフト反応が左辺から右辺に進み、(2)一酸化炭素のモル分率xCOが減少し、二酸化炭素のモル分率xCO2が増大するためKが増大する。(3)モル分率xCO2が増大すると、一酸化炭素から二酸化炭素及び炭素への反応であるBoudouard反応が抑制され、(4)炭素の析出が抑制される。このようにして、石炭ガス化ガスgに、Kを増大させるように水蒸気を添加することで、脱硫装置6において炭素の析出が抑制される。
〔数3〕
CO+HO→CO+H
ここで、図3に基づいて、石炭ガス化ガスgのKと炭素析出量との関係について説明する。同図は、配管21に送られた石炭ガス化ガスgに様々な流量の水蒸気を加え、そのときのKと、当該石炭ガス化ガスgにより脱硫装置6の脱硫剤等に生じた炭素の析出量をプロットしたグラフである。横軸はKであり、縦軸は炭素析出量[mol%]である。なお、石炭ガス化ガスgの温度は400℃〜450℃、圧力は0.98MPaである。
同図に示すように、石炭ガス化炉2の出口における石炭ガス化ガスg(水蒸気が添加されていない状態のもの)は、Kが約0.007〜0.008の範囲にある。この範囲の石炭ガス化ガスgが脱硫装置6に送られると、脱硫剤に、約1〜7mol%の炭素が析出した。
一方、石炭ガス化ガスgに水蒸気を添加した場合は、脱硫装置6の出口におけるガスのKは約0.015〜0.023の範囲にあり、何れも炭素は析出しなかった。
これらの結果から、水蒸気の添加は、炭素の析出を抑制する手段として有効であるということが分かった。
ここで、石炭ガス化ガスgにその流量に対する割合で7.6%の水蒸気を添加した場合を例に、水蒸気を添加したときに期待される効果をKに基づいて説明する。二酸化炭素及び酸素で石炭をガス化したときの、石炭ガス化ガスgに含まれる主成分の組成を化学平衡計算によって求めると表1の(1)のようになる。石炭ガス化炉2の典型的な運転条件から、全圧Pは27.51 barに設定した。このときのKの値は0.0071である。この組成の石炭ガス化ガスgにその流量に対する割合で7.6%の水蒸気を添加したときの組成は(3)となる。このときのKの値は0.0076であり(1)とほとんど変わらない値である。石炭ガス化炉2では1000℃以上の温度で生成される石炭ガス化ガスを、乾式ガス精製設備4で不純物を除去するために適した温度(450℃程度)にまで降温すると、数3の水性ガスシフト反応が進む。(1)の組成の石炭ガス化ガスgは、水性ガスシフト反応が450℃の化学平衡まで進むことにより(2)の組成となる。このときのKの値は0.0102まで僅かに増大する。水蒸気を添加した効果は水性ガスシフト反応後の組成に顕著に現れる。(3)の組成のガスは、水性ガスシフト反応が450℃の化学平衡まで進むと、(4)の組成となる。このときのKの値は0.0223まで大幅に増大し、図3に示したように、炭素の析出が抑制される。このように水蒸気を添加することによって、水性ガスシフト反応後のKが大幅に増大するようにxCO2とxCOとの比を変化させることができるため、Boudouard反応の進行を抑制できる。
本実施形態に係る乾式ガス精製設備4における炭素の析出方法は、乾式ガス精製に先立ち、石炭ガス化炉2から供給される石炭ガス化ガスgに水蒸気を添加することで、乾式ガス精製プロセスにおいて、脱硫剤や脱硫装置6の配管等に炭素が析出することを防止できる。
このような炭素析出抑制効果により、脱硫剤は、脱硫作用が炭素析出により阻害されないので、確実に、乾式ガス精製設備4は、石炭ガス化ガスgから硫黄化合物を除去して高カロリーの燃料ガスfを精製できる。
また、乾式ガス精製設備4には、炭素が析出しにくい石炭ガス化ガスgが供給されるので、脱硫装置6が炭素析出で劣化・損傷することも抑制され、脱硫装置6の保守に要するコストを削減できる。さらに、脱硫装置6の配管等に特殊なコーティングを実施しなくてもよく、脱硫装置6に掛かるコストを更に削減することができる。脱硫剤についても、炭素が析出して交換を要する事態がなくなるので、長期に亘り使用可能となり、脱硫剤に掛かるコストも削減することができる。
さらに、このような乾式ガス精製設備4を備えた石炭ガス化複合発電設備1における炭素の析出方法は、石炭ガス化ガスgに添加する水蒸気として、系内のHRSG11で製造した水蒸気を有効利用することができ、外部から水蒸気を別途調達することなく、容易に炭素の析出を抑制する流体を添加することができる。
なお、図1では、排気ガスeを圧縮機18、20で圧縮して、二酸化炭素回収のための所定圧力にする例を挙げて説明したが、圧縮機の数及び配置は任意であり、設備の規模や機器構成により適宜配置することができる。また、圧縮機9、ガスタービン10、蒸気タービン13は一軸で配列して発電機14を備えた構成としたが、圧縮機9とガスタービン10の軸と、蒸気タービン13の軸を並列に配置してそれぞれ発電機を備えた構成としてもよい。
〈実施形態2〉
本実施形態では、石炭ガス化ガスgに添加する流体として二酸化炭素ガスを用いる場合について説明する。図4は、本実施形態に係る乾式ガス精製設備を備えた石炭ガス化複合発電設備の概略構成図である。実施形態1と同一のものには同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図示するように、流体添加手段は、熱交換器3とハロゲン化物除去装置5とを接続する石炭ガス化ガスgの配管21に、圧縮機20で圧縮された排気ガスeの二酸化炭素ガスを供給するように構成されている(E)。
配管21に添加される二酸化炭素ガスの温度、圧力は、配管21に送られる石炭ガス化ガスgの温度、圧力と同等以上にすることが望ましい。しかし、石炭ガス化複合発電設備1では、排気ガスeから二酸化炭素ガスを分離する工程上、高温の二酸化炭素ガスが得られない。したがって、二酸化炭素ガスを抽出する箇所は、二酸化炭素ガスの圧力が配管21の石炭ガス化ガスgの圧力に近いところとし、必要に応じて昇圧することが好ましい。
二酸化炭素ガスを石炭ガス化ガスgに添加する場所は、乾式ガス精製設備4の上流側であり、かつ、熱交換器3の下流となる配管21とした。ただし、二酸化炭素ガスを添加する場合は、配管21に限らず、乾式ガス精製設備4の上流側であればよい。例えば、圧縮機20で昇圧した二酸化炭素ガスは、炉内炭素転換率の向上のため、石炭ガス化炉2に供給されているが、配管21における二酸化炭素ガスの流量が増大するように、更に石炭ガス化炉2に供給される二酸化炭素ガスの流量を増やすなど調整してもよい。
石炭ガス化ガスgに添加する二酸化炭素ガスの流量は、Kを増大させるのに必要な流量とすればよいが、目安としては、石炭ガス化ガスgの流量の5〜22%程度とすることが好ましい。5%で十分な効果が期待できるが、より高い効果を期待する場合には22%程度まで増大させてもよい。ただし、一酸化炭素の添加量を増やすほど、IGCC全体の発電効率を低下させるので添加量は必要最小限とすることが望ましい。なお、二酸化炭素ガスの添加量と炭素析出量との関係については後述する。
このような構成の流体添加手段を設けることで、石炭ガス化ガスgにはKを増大させる二酸化炭素ガスが添加されるため、脱硫装置6の配管の表面や脱硫剤に炭素が析出することが防止される。このような炭素析出防止の原理を図5に基づいて説明する。
図5に示すように、石炭ガス化炉2から配管21に送られる石炭ガス化ガスgに、圧縮機20(図4参照)からの二酸化炭素ガスが添加されると、(1)二酸化炭素ガスのモル分率xCO2が増大する。(2)モル分率xCO2の増大、すなわちKの増大により、一酸化炭素から二酸化炭素及び炭素への反応であるBoudouard反応が抑制され、(3)炭素の析出が抑制される。このようにして、石炭ガス化ガスgに、Kを増大させるように二酸化炭素ガスを添加することで、脱硫装置6において炭素の析出が抑制される。
ここで、石炭ガス化ガスgにその流量に対する割合で21.2%の二酸化炭素を添加した場合を例に、二酸化炭素を添加したときに期待される効果をKに基づいて説明する。二酸化炭素及び酸素で石炭をガス化したときの、石炭ガス化ガスgに含まれる主成分の組成を化学平衡計算によって求めると表2の(1)のようになる。石炭ガス化炉の典型的な運転条件から、全圧Pは27.51 barに設定した。このときのKの値は0.0071である。これらの値は表1の(1)とまったく同じ組成である。この組成の石炭ガス化ガスgにその流量に対する割合で21.2%の二酸化炭素を添加したときの組成は(2)となる。このときxCO2とxCOとの比が変化するため、Kの値は0.0298まで増大し、Boudouard反応の抑制効果がある。さらに、乾式ガス精製設備4で不純物を除去するために適した温度(450℃程度)にまで降温して、数3の水性ガスシフト反応が450℃の化学平衡まで進むと(3)の組成となる。このときのKの値は0.0339まで大幅に増大する。このように二酸化炭素を添加すること、および水性ガスシフト反応が進むこととの相乗効果によって、Kが大幅に増大するようにxCO2とxCOとの比を変化させることができるため、Boudouard反応の進行を抑制できる。
本実施形態に係る乾式ガス精製設備4における炭素の析出抑制方法は、乾式ガス精製に先立ち、石炭ガス化炉2から供給される石炭ガス化ガスgに二酸化炭素ガスを添加することで、乾式ガス精製プロセスにおいて、脱硫剤や脱硫装置6の配管等に炭素が析出することを防止できる。
このような炭素析出抑制効果により、脱硫剤は、脱硫作用が炭素析出により阻害されないので、確実に、石炭ガス化ガスgから硫黄化合物を除去して高カロリーの燃料ガスfを精製できる。
また、炭素が析出しにくい石炭ガス化ガスgが供給されるので、脱硫装置6が炭素析出で劣化・損傷することも抑制され、脱硫装置6の保守に要するコストを削減できる。さらに、脱硫装置6の配管等に特殊なコーティングを実施しなくてもよく、脱硫装置6に掛かるコストを更に削減することができる。脱硫剤についても、炭素が析出して交換を要する事態がなくなるので、長期に亘り使用可能となり、脱硫剤に掛かるコストも削減することができる。
さらに、このような乾式ガス精製設備4を備えた石炭ガス化複合発電設備1における炭素の析出方法は、石炭ガス化ガスgに添加する二酸化炭素ガスとして、系内の排気ガスeを有効利用することができ、外部から二酸化炭素ガスを別途調達することなく、容易に炭素の析出を抑制できる流体を添加することができる。
さらに、石炭ガス化ガスgに二酸化炭素ガスを添加することによる熱損失は、実施形態1において示した水蒸気を添加することによる熱損失よりも少ない。このため、本実施形態に係る石炭ガス化複合発電設備における炭素の析出方法は、実施形態1と比較して、全体の効率を高めることができる。
〈水蒸気及び二酸化炭素ガスの添加量と炭素析出量との関係〉
図6は、実施形態1及び実施形態2について、水蒸気及び二酸化炭素ガスの添加量と炭素析出量との関係を示したグラフである。縦軸は、脱硫剤の重量に対する炭素析出量(wt%)を表し、横軸は、石炭ガス化ガスの流量に対する水蒸気、二酸化炭素ガスの流量の割合(%)を表している。
同図に示すように、石炭ガス化ガスに水蒸気を添加した場合(実施形態1)、水蒸気の添加量が増大するのに伴い、炭素析出量が低減している。水蒸気の添加量が7.56%であるとき炭素の析出がゼロとなっている。
一方、石炭ガス化ガスに二酸化炭素ガスを添加した場合(実施形態2)、二酸化炭素ガスの添加量が増大するのに伴い、炭素析出量が低減している。二酸化炭素ガスの添加量が21.22%であるとき炭素の析出がゼロとなっている。
このように、水蒸気及び二酸化炭素ガスの何れを添加する場合についても、添加量と脱硫剤での炭素析出量とに傾向があることが分かる。
〈水蒸気及び二酸化炭素ガスの添加量と脱硫性能との関係〉
図7は、実施形態1及び実施形態2について、水蒸気及び二酸化炭素ガスの添加量と脱硫性能との関係を示したグラフである。縦軸は、脱硫装置6の出口における当該ガスに含まれる硫黄化合物の濃度(ppm)である。横軸は、脱硫剤の除去できる硫黄化合物の理論量を当該ガスで供給できる時間を「1」として、実際に当該ガスを供給した時間を比で表した無次元化時間(t[−])である。また、石炭ガス化ガスに対する水蒸気の添加量は10%であり、二酸化炭素ガスも10%である。
同図に示すように、石炭ガス化ガスに水蒸気を添加した場合(実施形態1)、無次元化時間が0.4〜0.5になった時点で、硫黄濃度が上昇傾向を示し始める。その後、無次元化時間が1.0付近を越えても硫黄濃度が引き続き上昇傾向を続けており、硫黄化合物を低濃度に維持できる時間が短く、脱硫剤が完全に硫黄化合物を吸収しきるまでの時間が1.0より長くかかる傾向を示している。
一方、石炭ガス化ガスに二酸化炭素ガスを添加した場合(実施形態2)、無次元化時間が0.8付近まで硫黄濃度はほぼゼロであり、その後、硫黄濃度が上昇している。
このように、水蒸気及び二酸化炭素ガスの何れを添加する場合についても、無次元化時間が1に達するまでの一定期間、脱硫剤が脱硫性能を維持していることが分かる。特に、二酸化炭素ガスを添加する場合は、脱硫剤は、無次元化時間の「1」に近い時点までほぼ完全に脱硫を行うことができる。
〈他の実施形態〉
上述したように、実施形態1〜2では、石炭ガス化ガスgに添加する流体として、Kが増大するようにxCO2とxCOとの比を変化させる流体(水蒸気、二酸化炭素ガス)を用いたが、炭素析出の抑制効果がある流体を添加する方法も有効である。乾式ガス精製設備4の脱硫剤や配管などで炭素の析出が抑制される流体を、石炭ガス化ガスgにあらかじめ含ませておくため、たとえば乾式ガス精製設備4の上流側にて添加すればよい。
このような流体として、例えば硫化水素ガスなどの硫黄化合物を挙げることができる。流体添加手段としては、配管21の石炭ガス化ガスgの圧力と同等以上の圧力にした硫化水素ガスを配管21に供給するように構成する。
このような構成の流体添加手段を設けることで、石炭ガス化ガスgは、脱硫装置6の配管の表面や脱硫剤に炭素が析出することを防止できる組成となる。このような炭素析出防止の原理は、次のように説明できる。
硫化水素は吸着性が極めて高く、元来固体表面に吸着されやすい性質を持っている。また、高温で石炭ガス化ガスに含まれていると反応性が高く、金属や金属酸化物との化学反応により硫化物を生成しやすい。これらの性質があるため、硫化水素は脱硫装置6の脱硫剤に除去されたり、配管などに付着したりする。一方でBoudouard反応は、後述するように2分子の一酸化炭素(CO)が反応するが、気体のCO同士の化学反応が進む、いわゆる気相反応ではなくて、何らかの固体に吸着されたCOが、さらに気相からのCOと接触して化学反応が進むことによって、二酸化炭素と炭素になると考えられている。硫化水素のような吸着性や反応性の高いガスを添加しておくと、COと硫化水素とが競争吸着になると考えられ、吸着性の高い硫化水素がCOの吸着を妨げるため、結果としてBoudouard反応を抑制することができる。
なお、脱硫装置6の下流の配管等では硫化水素は除去されてなくなっているため、上述の硫化水素の効果は得られない。脱硫装置6で水性ガスシフト反応が進むため、脱硫装置6での炭素析出が抑制されておれば、さらに下流の配管等でのBoudouard反応は抑制されると考えられる。
さらに、他の実施形態としては、実施形態1〜2において、流体添加手段は、水蒸気又は二酸化炭素ガスの何れか一方を配管21に供給するように構成したが、双方を配管21に供給するように構成してもよい。例えば、ガスタービン10で仕事を終えた排気ガスには水蒸気及び二酸化炭素ガスの双方が含まれているので、この排気ガスを用いる構成とすることができる。温度及び圧力の観点から、圧縮機9で昇圧された排気ガスを再生熱交換器12に投入される前に一部を抽出して、配管21に投入することが好ましい。このような構成の石炭ガス化複合発電設備1においても脱硫装置6に炭素が析出することを防止し、脱硫剤の性能低下を防止することができる。また、系内の水蒸気及び二酸化炭素ガスを有効利用することができる。
また、流体添加手段は、系外の水蒸気及び二酸化炭素ガスを乾式ガス精製設備4の上流側に供給するように構成してもよい。
〈Kの説明〉
石炭ガス化ガスから炭素が析出する主反応は、Boudouard反応(式1)と考えられている。この反応が進むと2分子の気体が1分子になるため、反応系が圧力を低下させる方向に動く。この作用により、本反応は、圧力が高いほど進みやすいと予測できる。
(1)2CO→CO2+C(固体)
実際に本反応の進みやすさを決める基準は、Boudouard反応に寄与する二酸化炭素と一酸化炭素の分圧比(PCO2/(PCO)であり、化学平衡の観点から以下のように説明できる。
炭素析出の進行はある温度Tにおいて、(式2)で決まる化学平衡定数、K(T)が達成されると平衡となりそれ以上の反応は進行しない状態になる。
(2)K(T)=ρCO2/(ρCO
(T)は、圧力平衡定数(温度Tで決まる定数)、ρCO2及びρCOは、化学平衡時の二酸化炭素及び一酸化炭素の分圧である。ガス組成と分圧の関係は(式3)(式4)の通りである。
(3)ρCO2=χCO2×P
(4)ρCO=χCO×P
χCO2及びχCOは、石炭ガス化ガス中の二酸化炭素ガス及び一酸化炭素ガスの平衡におけるモル分率であり、Pは、石炭ガス化ガスの圧力である。
(2)に(3)と(4)を代入すると、圧力平衡定数とガス組成の関係が得られる(式5、数2の式)。
(5)K(T)=χCO2×P/(χCO×P)=χCO2/(χCO ×P)
あるガス組成で計算された分圧比K=xCO2/(xCO ×P)が、
(6)K(T)>K
の関係にあるときは、xCO2/(xCO ×P)が増大するほう、すなわちBoudouard反応が進むことを意味している。逆にあらかじめ
(7)K(T)≦K
の関係となっているときは、Boudouard反応は進まない。K=xCO2/(xCO ×P)を増大させることが、Boudouard反応の抑制になることがわかる。
本発明は、石炭から石炭ガス化ガスを生成し、乾式で不純物を除去する乾式ガス精製設備及びこれを備える石炭ガス化複合発電設備で利用することができる。
1 石炭ガス化複合発電設備
2 石炭ガス化炉
3 熱交換器
4 乾式ガス精製設備
5 ハロゲン化物除去装置
6 脱硫装置
7 燃焼器
8 酸素製造装置
9 圧縮機
10 ガスタービン
11 排熱回収ボイラ(HRSG)
12 再生熱交換器
13 蒸気タービン
14 発電機
15 復水器
16 給水加熱器
17、19 汽水分離器
18、20 圧縮機
21 配管
e 排気ガス
f 燃料ガス
g 石炭ガス化ガス

Claims (6)

  1. 石炭ガス化炉で生成された石炭ガス化ガスの温度を、露点を上回る温度に維持して運転する乾式法により石炭ガス化ガス中の不純物を除去する除去装置を備える乾式ガス精製設備における炭素の析出抑制方法であって、
    ある温度Tにおいて、前記除去装置に流入する石炭ガス化ガス中の二酸化炭素ガス及び一酸化炭素ガスの実際のモル分率をそれぞれχCO2及びχCOとし、石炭ガス化ガスの圧力をPとし、
    温度Tで炭素が析出する反応が進行しない条件における、二酸化炭素ガス及び一酸化炭素ガスのモル分率をそれぞれχCO2(T)及びχCO(T)とし、石炭ガス化ガスの圧力をP’とし、
    下記数1で定義されるKと、下記数2で定義される基準値K(T)とが下記数3の関係となるようにχCO2とχCOとの比を変化させる流体を前記石炭ガス化ガスに添加する
    ことを特徴とする乾式ガス精製設備における炭素の析出抑制方法。
    〔数1〕
    =χCO2/(χCO ×P)
    〔数2〕
    (T)=χCO2(T)/(χCO(T)×P’)
    〔数3〕
    (T)≦K
  2. 請求項1に記載する乾式ガス精製設備における炭素の析出抑制方法において、
    前記流体として水蒸気を石炭ガス化ガスに添加する
    ことを特徴とする乾式ガス精製設備における炭素の析出抑制方法。
  3. 請求項1に記載する乾式ガス精製設備における炭素の析出抑制方法において、
    前記流体として二酸化炭素ガスを石炭ガス化ガスに添加する
    ことを特徴とする乾式ガス精製設備における炭素の析出抑制方法。
  4. 請求項1に記載する乾式ガス精製設備における炭素の析出抑制方法において、
    前記流体として水蒸気及び二酸化炭素ガスを含む混合ガスを石炭ガス化ガスに添加する
    ことを特徴とする乾式ガス精製設備における炭素の析出抑制方法。
  5. 石炭及び酸化剤の反応により石炭ガス化ガスを生成する石炭ガス化炉と、
    前記石炭ガス化炉で生成された石炭ガス化ガスの温度を、露点を上回る温度に維持して運転する乾式法により石炭ガス化ガス中の不純物を除去する除去装置を備える乾式ガス精製設備と、
    前記乾式ガス精製設備で得られた燃料ガスを燃焼させる燃焼手段と、
    前記燃焼手段からの燃焼ガスを膨張することで動力を得るガスタービンと、
    前記ガスタービンの排気ガスの熱を回収して得られた蒸気を膨張することで動力を得る蒸気タービンとを備える石炭ガス化複合発電設備における炭素の析出抑制方法であって、
    ある温度Tにおいて、前記除去装置に流入する石炭ガス化ガス中の二酸化炭素ガス及び一酸化炭素ガスの実際のモル分率をそれぞれχCO2及びχCOとし、石炭ガス化ガスの圧力をPとし、
    温度Tで炭素が析出する反応が進行しない条件における、二酸化炭素ガス及び一酸化炭素ガスのモル分率をそれぞれχCO2(T)及びχCO(T)とし、石炭ガス化ガスの圧力をP’とし、
    下記数1で定義されるKと、下記数2で定義される基準値K(T)とが下記数3の関係となるようにχCO2とχCOとの比を変化させる流体として前記蒸気タービンで仕事をした水蒸気を前記除去装置の上流において前記石炭ガス化ガスに添加する
    ことを特徴とする石炭ガス化複合発電設備における炭素の析出抑制方法。
    〔数1〕
    =χCO2/(χCO ×P)
    〔数2〕
    (T)=χCO2(T)/(χCO(T)×P’)
    〔数3〕
    (T)≦K
  6. 石炭及び酸化剤の反応により石炭ガス化ガスを生成する石炭ガス化炉と、
    前記石炭ガス化炉で生成された石炭ガス化ガスの温度を、露点を上回る温度に維持して運転する乾式法により石炭ガス化ガス中の不純物を除去する除去装置を備える乾式ガス精製設備と、
    前記乾式ガス精製設備で得られた燃料ガスを燃焼させる燃焼手段と、
    前記燃焼手段からの燃焼ガスを膨張することで動力を得るガスタービンと、
    前記ガスタービンの排気ガスの熱を回収して得られた蒸気を膨張することで動力を得る蒸気タービンとを備える石炭ガス化複合発電設備における炭素の析出抑制方法であって、
    ある温度Tにおいて、前記除去装置に流入する石炭ガス化ガス中の二酸化炭素ガス及び一酸化炭素ガスの実際のモル分率をそれぞれχCO2及びχCOとし、石炭ガス化ガスの圧力をPとし、
    温度Tで炭素が析出する反応が進行しない条件における、二酸化炭素ガス及び一酸化炭素ガスのモル分率をそれぞれχCO2(T)及びχCO(T)とし、石炭ガス化ガスの圧力をP’とし、
    下記数1で定義されるKと、下記数2で定義される基準値K(T)とが下記数3の関係となるようにχCO2とχCOとの比を変化させる流体として前記ガスタービンの排気ガスを回収する二酸化炭素回収系から得られた二酸化炭素を前記除去装置の上流において前記石炭ガス化ガスに添加する
    ことを特徴とする石炭ガス化複合発電設備における炭素の析出抑制方法。
    〔数1〕
    =χCO2/(χCO ×P)
    〔数2〕
    (T)=χCO2(T)/(χCO(T)×P’)
    〔数3〕
    (T)≦K
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