以下、本発明の実施形態について説明する。
尚、本発明において、露光に際して照射される「放射線」とは、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線等を含む概念である。
<感放射線性樹脂組成物>
本実施形態の感放射線性樹脂組成物は、有機EL素子の絶縁膜の形成に用いられる感放射線性の樹脂組成物であり、(A)ポリイミド、(B)ポリアミック酸、(C)キノンジアジド化合物、および、(D)化合物を含有するものである。以下、各成分について説明する。
[(A)ポリイミド]
本実施形態の感放射線性樹脂組成物に含有される(A)ポリイミドは、酸成分とアミン成分とを縮合して得られるポリイミドである。酸成分としてはテトラカルボン酸二無水物を選択することが好ましく、アミン成分には、ジアミンを選択することが好ましい。
(A)ポリイミドは、ポリイミドであってアクリル樹脂等の他の感光性の樹脂に比べて低い吸水性を有する。そして、(A)ポリイミドは、アルカリ可溶性の樹脂であることが好ましい。(A)ポリイミドは、アルカリ可溶性を示すことで、本実施形態の感放射線性樹脂組成物から形成される絶縁膜は現像性を備えることができ、高精度のパターニングが可能となる。
さらに、本実施形態の感放射線性樹脂組成物から形成される絶縁膜が好適な遮光特性を備えるように、(A)ポリイミドは、絶縁膜の遮光性を向上する特性を備えることが好ましい。
本実施形態の感放射線性樹脂組成物に含有される(A)ポリイミドは、酸成分または酸成分に由来する構造部位をアクセプター(電子受容体)とし、アミン成分またはアミン成分に由来する構造部位をドナー(電子供与体)とする電荷移動相互作用が可能となるように構成されている。したがって、(A)ポリイミドは、紫外領域を含む波長領域に、その電荷移動相互作用に由来する電荷移動(CT)吸収を有する。そのため、本実施形態の感放射線性樹脂組成物から形成される絶縁膜は、紫外領域を含む波長領域において、優れた遮光性を示すことができる。
(A)ポリイミドが以上の特性を示すように、特に、優れた遮光性を示すように、(A)ポリイミドを得るための酸成分は、下記式(1―1)で示される基を有する(A1)酸成分を含むことが好ましい。そして、(A)ポリイミドを得るためのアミン成分は、下記式(1−2)で示される基を有する(A2)アミン成分を含むことが好ましい。
(式(1−2)中、Xは炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシル基、炭素数1から6のフルオロアルキル基および水酸基のうちのいずれかを示す。)
(A1)酸成分が、カルボキシル基を含有して電子吸引性を示す上記式(1−1)の基を有し、(A2)アミン成分が、アミノ基を含有して電子供与性を示す上記式(1−2)の基を有することで、それらを用いて形成される(A)ポリイミドは、分子内、または、分子間で、電荷移動型の相互作用が可能となる。
また、上記式(1−1)の基を(A1)酸成分が有することで、(A)ポリイミドは、溶剤への溶解性が向上し、また、低吸水性を示すことができる。そして、上記式(1−2)の基を(A2)アミン成分が有することで、(A)ポリイミドは、溶剤への溶解性が向上し、(A)ポリイミドを含有する本実施形態の感放射線性樹脂組成物から形成される絶縁膜は、良好なパターニング性を示すことができる。
上述の特性を示すことができる(A)ポリイミドを得るための(A1)酸成分としては、上記式(1−1)で示される基を有する酸成分であれば、いかなるものも用いることができるが、例えば、以下の式(1−1−1)〜式(1−1−5)で示される化合物を挙げることができる。(A1)酸成分として以下の式(1−1−1)〜式(1−1−5)で示される化合物を用いることで、(A)ポリイミドは、溶剤への溶解性が向上し、また、遮光性を示すことができる。
(式(1−1−1)〜式(1−1−5)中、R
12〜R
14はそれぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基およびフェニル基の少なくとも一方を含む2価の基である。)
ここで、(A)ポリイミドを得るための酸成分であって、(A1)酸成分とともに使用可能な酸成分としては、例えば、(A1)酸成分以外の芳香族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらのテトラカルボン酸二無水物は、単独または2種以上を組み合わせて使用できる。
以上より、(A)ポリイミドを得るための酸成分としては、芳香環を1個〜4個有し、芳香環を2個以上有する場合は、その芳香環の間が単結合または1つの原子を介して結合する構造を有する芳香族テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。
このような構造の芳香族テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4−オキシジフタル酸(ODPA)、エチレングリコールビストリメリート二無水物、2,2−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}プロパン二無水物、1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−5−イソベンゾフランカルボン酸−1,4−フェニレンエステル(TAHQ)、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物(6FDA)、下記式(1−1−a)で示される化合物(以下、HQDAと言う。)、および、下記式(1−1−b)で示される化合物(以下、PPTAと言う。)等が挙げられるほか、特願2010−97188号公報に記載のテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
これらの中で、特に好ましい芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、4,4−オキシジフタル酸(ODPA)、1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−5−イソベンゾフランカルボン酸−1,4−フェニレンエステル(TAHQ)、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物(6FDA)、HQDA、および、PPTAを挙げることができる。
また、上述の特性を示すことができる(A)ポリイミドを得るための(A2)アミン成分としては、上記式(1−2)で示される基を有するアミン成分であれば、いかなるものも用いることができる。そして、(A2)アミン成分としては、例えば、下記式(1−2a)で示されるアミン化合物を挙げることができる。下記式(1−2a)で示されるアミン化合物を用いて形成される(A)ポリイミドは、優れた溶解性と遮光性を示すことができる。
上記式(1−2a)中のR4は、単結合、酸素原子、硫黄原子、スルホン基、カルボニル基、メチレン基、ジメチルメチレン基、およびビス(トリフルオロメチル)メチレン基からなる群より選択される少なくとも一種の基である。また、上記式(1−2a)中のR5は、互いに独立して、水素原子、アシル基またはアルキル基を示す。好ましいアシル基としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチロイル基、イソブチロイル基等を挙げることができ、好ましいアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基等を挙げることできる。尚、R5の少なくとも一つは水素原子である。また、上記式(1−2a)中のn1およびn2は、0〜2の整数であり、n1とn2の少なくとも一方は1以上である。
そして、上記式(1−2a)で示されるアミン化合物としては、例えば、下記式のジアミンを挙げることができる。
また、上記式(1−2a)で示されるアミン化合物としては、例えば、下記式の水酸基を2つ有するジアミンであることが好ましい。
また、上記式(1−2a)で示されるアミン化合物としては、例えば、下記式の水酸基を3つ有するジアミンであることが好ましい。
さらに、上記式(1−2a)で示されるアミン化合物としては、例えば、下記式の水酸基を4つ有するジアミンであることが好ましい。
そして、上記式(1−2a)で示されるアミン化合物としては、上記式の水酸基を2つ有するジアミンであることがより好ましい。上記式の水酸基を2つ有するジアミンであることにより、それを用いて形成される(A)ポリイミドは、より優れた溶解性を示すことができる。
ここで、(A)ポリイミドを得るためのアミン成分であって、(A2)アミン成分とともに使用可能なアミン成分としては、例えば、(A2)アミン成分以外の芳香族ジアミンを挙げることができる。そして、その芳香族ジアミンとしては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、1,4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル等が挙げられる。
以上のように、(A)ポリイミドを得るための酸成分には、(A1)酸成分の含有が好ましく、また、アミン成分には、(A2)アミン成分の含有が好ましい。
このとき、(A1)酸成分の使用量は、(A)ポリイミドを得るための酸成分の全量を100質量%とした場合、60質量%〜100質量%が好ましい。また、(A2)アミン成分の使用量は、(A)ポリイミドを得るためのアミン成分の全量を100質量%とした場合、60質量%〜100質量%が好ましい。(A1)酸成分と(A2)アミン成分の使用量をこのような範囲にすることによって、(A)ポリイミドは、溶剤への溶解性が向上し、また、低吸水性を示すことができる。そして、(A)ポリイミドを含有する本実施形態の感放射線性樹脂組成物から形成される絶縁膜は、良好なパターニング性と遮光性を併せ持つことができる。
そして特に、(A)ポリイミドを得るための酸成分は、全てが、上記式(1−1)で示される基を有する(A1)酸成分であることが好ましい。そして、(A)ポリイミドを得るためのアミン成分は、全てが、上記式(1−2)で示される基を有する(A2)アミン成分であることが好ましい。こうすることにより、(A)ポリイミドは、溶剤への優れた溶解性を示し、また、より好ましい低い吸水性を示すことができる。そして、(A)ポリイミドを含有する本実施形態の感放射線性樹脂組成物から形成される絶縁膜は、より良好なパターニング性とより優れた遮光性を示すことができる。
(A)ポリイミドの合成方法として、公知の方法に従い、(A1)酸成分を含む酸成分と、(A2)アミン成分を含むアミン成分とを反応させてポリアミック酸を合成し、得られたポリアミック酸を脱水閉環してポリイミドを得る方法が好適である。
ポリアミック酸の合成反応に用いられる(A1)酸成分を含む酸成分と、(A2)アミン成分を含むアミン成分の使用割合としては、アミン成分に含まれるアミノ基1当量に対して、酸成分の酸無水物基が0.2当量〜2当量が好ましく、0.3当量〜1.2当量がより好ましい。
合成反応は、有機溶剤中において行うことが好ましい。反応温度としては、−20℃〜150℃が好ましく、0℃〜100℃がより好ましい。反応時間としては、0.5時間〜24時間が好ましく、2時間〜12時間がより好ましい。
重合溶剤としては、合成時における原料および生成物を溶解させることができるものが選択される。
まず、重合溶剤としては、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルプロピオネートおよびプロピレングリコールモノアルキルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。これらの化合物は、単独で重合のための溶剤として使用することができ、2種以上を混合して用いることも可能である。
これらの溶剤の具体例としては、ジエチレングリコールジアルキルエーテルとして、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等が挙げられる。
また、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテートとして、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
また、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテートとして、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
また、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートとして、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
また、プロピレングリコールモノアルキルエーテルプロピオネートとして、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノブチルエーテルプロピオネート等が挙げられる。
プロピレングリコールモノアルキルエーテルとして、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
また、重合溶剤として好ましい溶剤としては、ケトン類が挙げられ、ケトン類の具体例としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、メチルイソアミルケトン、メチル−3−メトキシプロピオネート等を挙げることができる。
これらのうちで、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAと略称することがある。)、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(以下、EDMと略称することがある。)等が特に好ましい。
さらに、重合溶剤として好ましい溶剤としては、γ−ブチロラクトン(以下、BLと略称することがある。)を挙げることができる。γ−ブチロラクトンは、例えば、単独で重合溶剤として使用することができ、また、上述の好ましい重合溶剤として挙げたものと混合して使用することができる。
そしてさらに、必要に応じ、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノールおよび2−(2−エトキシエトキシ)エタノール等のアルコール溶剤や、ジグライムおよびトリグライム等のエーテル溶剤や、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素溶剤を重合溶剤に加えてもよい。
尚、本実施形態の(A)ポリイミドは、溶解性に優れ、重合溶剤として従来から多用されてきたNMPを用いることなく、その前駆体となるポリアミック酸の合成が可能であり、また、NMPを用いることなくそのポリアミック酸から合成される。
こうしてポリアミック酸を溶解して含有する反応溶液が得られる。この反応溶液は、そのまま(A)ポリイミドを得るイミド化反応に用いてもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸を単離した上でイミド化反応に用いてもよい。また、単離したポリアミック酸を精製した上でイミド化反応に用いてもよい。ポリアミック酸の単離および精製は、公知の方法に従うことができる。
ポリアミック酸から(A)ポリイミドを得るためのイミド化反応は、加熱イミド化反応と化学イミド化反応等の公知の方法の適用が可能である。加熱イミド化反応によって(A)ポリイミドを合成する場合、好ましくは、ポリアミック酸の合成溶液を120℃〜210℃、1時間〜16時間加熱することにより行う。尚、必要に応じて、トルエン、キシレン等の共沸溶剤を使用して系内の水を除去しながら反応を行ってもよい。
合成される(A)ポリイミドは、その前駆体であるポリアミック酸が有していたアミック酸構造の全てを脱水閉環した完全イミド化物であってもよく、アミック酸構造の一部のみ脱水閉環し、アミック酸構造とイミド環構造が分子内に併存する、部分イミド化物であってもよい。
本実施形態の(A)ポリイミドは、そのイミド化率が20%以上であることが好ましく、40%〜99%であることがより好ましく、50%〜99%であることがさらに好ましい。このイミド化率は、(A)ポリイミドのアミック酸構造の数とイミド環構造の数の合計に対するイミド環構造の数の割合を百分率で表したものである。
(A)ポリイミドについて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」とも言う。)は、好ましくは、2000〜500000程度であり、より好ましくは3000〜300000程度である。Mwが2000未満であると、絶縁膜として十分な機械的特性が得られなくなる傾向にある。一方、Mwが500000超であると、この(A)ポリイミドを用いて得られる感放射線性樹脂組成物の、溶剤や現像液に対する溶解性が乏しくなる傾向にある。
尚、(A1)酸成分を含む酸成分と、(A2)アミン成分を含むアミン成分とを反応させてポリアミック酸を合成するに際し、それらの成分とともに、適当な分子量調整剤を用いて末端修飾型の重合体を合成することとしてもよい。このような末端修飾型の重合体とすることにより、本発明の効果を損なうことなく、本実施形態の感放射線性樹脂組成物の塗布性(印刷性)を向上することができる。
分子量調整剤は末端封止剤とも称し、例えば、酸一無水物、モノアミン化合物およびモノイソシアネート化合物等を用いることができる。その場合、分子量調整剤(末端封止剤)の使用割合は、使用する酸成分とアミン成分の全量100質量%に対し、20質量%以下が好ましく、10質量%以下とすることがより好ましい。
以上で説明した酸成分とアミン成分とを縮合して得られる(A)ポリイミドは、(A1)酸成分と(A2)アミン成分の構造に由来する構成部位を有することが好ましい。例えば、(A)ポリイミドは、下記式(3)〜式(7)の構成部位を有することが好ましい。下記式(3)〜式(7)の構成部位を有する(A)ポリイミドを含有することで、本実施形態の感放射線性樹脂組成物は、良好なパターニング性と優れた遮光性を示す絶縁膜を形成することができる。
(式(3)〜式(7)中、R
11は、下記式(1−2b)で示される構成部位である。R
12〜R
14はそれぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基およびフェニル基の少なくとも一方を含む2価の基である。)
(式(1−2b)中のR4は、単結合、酸素原子、硫黄原子、スルホン基、カルボニル基、メチレン基、ジメチルメチレン基、およびビス(トリフルオロメチル)メチレン基からなる群より選択される少なくとも一種の基である。また、R5は、互いに独立して、水素原子、アシル基またはアルキル基を示す。好ましいアシル基としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチロイル基、イソブチロイル基等を挙げることができ、好ましいアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基等を挙げることできる。尚、R5の少なくとも一つは水素原子である。また、n1およびn2は、0〜2の整数であり、n1とn2の少なくとも一方は1以上である。)
そして、(A)ポリイミドにおいて含有が好ましい、上記式(3)〜上記式(7)の構成部位において、R11は、具体的には、次の水酸基を1つ有する2価の基であることが好ましい。
また、(A)ポリイミドにおいて含有が好ましい、上記式(3)〜上記式(7)の構成部位において、R11は、次の水酸基を2つ有する2価の基である構成部位であることが好ましい。
また、(A)ポリイミドにおいて含有が好ましい、上記式(3)〜上記式(7)の構成部位において、R11は、次の水酸基を3つ有する2価の基である構成部位であることが好ましい。
さらに、(A)ポリイミドにおいて含有が好ましい、上記式(3)〜上記式(7)の構成部位において、R11は、次の水酸基を4つ有する2価の基である構成部位であることが好ましい。
そして、(A)ポリイミドにおいて含有が好ましい、上記式(3)〜上記式(7)の構成部位において、R11は、上述の水酸基を2つ有する2価の基である構成部位であることが最も好ましい。R11が水酸基を2つ有する2価の基である構成部位であることにより、上記式(3)〜上記式(7)の構成部位を有する(A)ポリイミドを含有する本実施形態の感放射線性樹脂組成物は、より良好な現像性とパターニング性とより優れた遮光性を示す絶縁膜を形成することができる。
[(B)ポリアミック酸]
本実施形態の感放射線性樹脂組成物に含有される(B)ポリアミック酸は、酸成分とアミン成分とを縮合して得られるポリアミック酸である。酸成分としてはテトラカルボン酸二無水物を選択することが好ましく、アミン成分には、ジアミンを選択することが好ましい。(B)ポリアミック酸は、アルカリ可溶性の樹脂であり、そのため、本実施形態の感放射線性樹脂組成物から形成される絶縁膜は現像性を備えることができ、パターニング性が良好となる。
さらに、本実施形態の感放射線性樹脂組成物から形成される絶縁膜が好適な遮光特性を備えるように、(B)ポリアミック酸は、それ自体、および、好ましくはそれを脱水閉関してなるポリイミドが、絶縁膜の遮光性を向上する特性を備えることが好ましい。
本実施形態の感放射線性樹脂組成物に含有される(B)ポリアミック酸は、酸成分または酸成分に由来する構造部位をアクセプター(電子受容体)とし、アミン成分またはアミン成分に由来する構造部位をドナー(電子供与体)とする電荷移動相互作用が可能となるように構成されている。したがって、(B)ポリアミック酸およびそれが脱水閉環して形成されるポリイミドは、紫外領域を含む波長領域に、その電荷移動相互作用に由来する電荷移動(CT)吸収を有することができる。そのため、本実施形態の感放射線性樹脂組成物から形成される絶縁膜は、紫外領域を含む波長領域において、優れた遮光性を示すことができる。
(B)ポリアミック酸が以上の特性を示すように、(B)ポリアミック酸を得るための酸成分は、上記式(1−1)で示される基を有する(B1)酸成分を含むことが好ましい。そして、(B)ポリアミック酸を得るためのアミン成分は、上記式(1−2)で示される基を有する(B2)アミン成分を含むことが好ましい。すなわち、(B1)酸成分は、上述した(A)成分の(A)ポリイミドの形成に用いる(A1)酸成分と同様のものであり、(B2)アミン成分は、上述した(A)成分の(A)ポリイミドの形成に用いる(A2)アミン成分と同様のものであることが好ましい。
ここで、(B)ポリアミック酸を得るための酸成分であって、(B1)酸成分以外の酸成分としては、上述した、(A)ポリイミドを得るための酸成分であって(A1)酸成分以外の酸成分を例示することができる。また、(B)ポリアミック酸を得るためのアミン成分であって、(B2)アミン成分以外のアミン成分としては、上述した(A)ポリイミドを得るためのアミン成分であって、(A2)アミン成分以外のアミン成分を例示することができる。
このとき、(B)ポリアミック酸を得るための(B1)酸成分の使用量は、(B)ポリアミック酸を得るための酸成分の全量を100質量%とした場合、60質量%〜100質量%が好ましい。また、(B)ポリアミック酸を得るための(B2)アミン成分の使用量は、(B)ポリアミック酸を得るためのアミン成分の全量を100質量%とした場合、60質量%〜100質量%が好ましい。(B1)酸成分と(B2)アミン成分の使用量をこのようにすることによって、(B)ポリアミック酸を含有する本実施形態の感放射線性樹脂組成物から形成される絶縁膜は、良好な遮光性を示すことができる。
そして特に、(B)ポリアミック酸を得るための酸成分は、全てが、上記式(1―1)で示される基を有する(B1)酸成分であることが好ましい。そして、(B)ポリアミック酸を得るためのアミン成分は、全てが、上記式(1−2)で示される基を有する(B2)アミン成分であることが好ましい。こうすることにより、(B)ポリアミック酸を含有する本実施形態の感放射線性樹脂組成物から形成される絶縁膜は、より優れた遮光性を示すことができる。
(B)ポリアミック酸が以上の特性を示すように、(B)ポリアミック酸を得るための(B1)酸成分としては、上記式(1―1)で示される基を有する酸成分であれば、いかなるものも用いることができる。そして、例えば、(A)ポリイミドを得るための(A1)酸成分として例示した、上記式(1−1−1)〜上記式(1−1−5)の化合物を挙げることができる。
また、(B)ポリアミック酸を得るための(B2)アミン成分としては、上記式(1―2)で示される基を有するアミン成分であれば、いかなるものも用いることができる。そして、例えば、(A)ポリイミドを得るための(A2)アミン成分として例示した、上記式(1−2a)で示されるアミン化合物、および、その具体例として示された上述のジアミンを挙げることができる。
(B)ポリアミック酸の合成方法としては、上述した(A)ポリイミドの合成方法におけるポリミック酸の合成方法と同様とすることができる。
以上で説明した酸成分とアミン成分とを縮合して得られる(B)ポリアミック酸は、(B1)酸成分と(B2)アミン成分に由来する構造の構成部位を有することが好ましい。例えば、(B)ポリアミック酸は、下記式(8)〜下記式(12)の構成部位を有することが好ましい。下記式(8)〜下記式(12)の構成部位を有する(B)ポリアミック酸を含有することで、本実施形態の感放射線性樹脂組成物は、良好なパターニング性と優れた遮光性を示す絶縁膜を形成することができる。
(式(8)〜式(12)中、R
11は、上記式(1−2b)で示される構成部位である。R
12〜R
14はそれぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基およびフェニル基の少なくとも一方を含む2価の基である。)
そして、(B)ポリアミック酸において含有が好ましい、上記式(8)〜上記式(12)の構成部位において、R11は、具体的には、次の水酸基を1つ有する2価の基であることが好ましい。
また、(B)ポリアミック酸において含有が好ましい、上記式(8)〜上記式(12)の構成部位において、R11は、次の水酸基を2つ有する2価の基である構成部位であることが好ましい。
また、(B)ポリアミック酸において含有が好ましい、上記式(8)〜上記式(12)の構成部位において、R11は、次の水酸基を3つ有する2価の基である構成部位であることが好ましい。
さらに、(B)ポリアミック酸において含有が好ましい、上記式(8)〜上記式(12)の構成部位において、R11は、次の水酸基を4つ有する2価の基である構成部位であることが好ましい。
そして、(B)ポリアミック酸において含有が好ましい、上記式(8)〜上記式(12)の構成部位において、R11は、上述の水酸基を2つ有する2価の基である構成部位であることが最も好ましい。R11が水酸基を2つ有する2価の基である構成部位であることにより、上記式(8)〜上記式(12)の構成部位を有する(B)ポリアミック酸を含有する本実施形態の感放射線性樹脂組成物は、より良好な現像性とパターニング性とより優れた遮光性を示す絶縁膜を形成することができる。
以上のように、本実施形態の感放射線性樹脂組成物に含有される(B)ポリアミック酸は、上述の(A)ポリイミドと同様の酸成分とアミン成分を用いて形成することができる。しかし、(A)ポリイミドと(B)ポリアミック酸は、別個に合成されたものであることが好ましい。そして、後に説明する本実施形態の感放射線性樹脂組成物の調製時に、それらは混合されて用いられることが好ましい。
このとき、本実施形態の感放射線性樹脂組成物に含有される(A)ポリイミドと(B)ポリアミック酸の混合割合は、(A)ポリイミドおよび(B)ポリアミック酸の全量を100質量%とした場合、(A)ポリイミドが60質量%〜99質量%、(B)ポリアミック酸が1質量%〜40質量%の範囲であることが好ましい。このような混合割合とすることで、本実施形態の感放射線性樹脂組成物を用いて形成される絶縁膜は、低吸水性と現像性とを両立でき、また、有機EL素子に用いられて優れた遮光性を示すことができる。
[その他の樹脂]
本実施形態の感放射線性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上述の(A)ポリイミドおよび(B)ポリアミック酸以外のその他の樹脂をさらに含有させることができる。含有させることができる、その他の樹脂は、特に限定されないが、アルカリ可溶性のものが好ましい。そしてさらに、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂(以下、フェノール樹脂とも言う。)を含有させることが、感放射線性樹脂組成物から得られる絶縁膜の解像性が良好となるためにより好ましい。
含有させることのできるフェノール樹脂としては、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレンおよびその共重合体、フェノール−キシリレングリコールジメチルエーテル縮合樹脂、クレゾール−キシリレングリコールジメチルエーテル縮合樹脂、フェノール−ジシクロペンタジエン縮合樹脂等を挙げることができる。
ノボラック樹脂としては、具体的には、フェノール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、クレゾール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、フェノール−ナフトール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂等を挙げることができる。
ノボラック樹脂は、フェノール類とアルデヒド類を、触媒の存在下で縮合させることにより得ることができる。この際に使用されるフェノール類としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、α−ナフトール、β−ナフトール等を挙げることができる。また、アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等を挙げることができる。
ポリヒドロキシスチレンの共重合体を構成するヒドロキシスチレン以外のモノマーは、特に限定されないが、具体的には、スチレン、インデン、p−メトキシスチレン、p−ブトキシスチレン、p−アセトキシスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体等;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物誘導体を挙げることができる。
フェノール樹脂の含有割合は、(A)ポリイミドと(B)ポリアミック酸とフェノール樹脂の全量を100質量%として、0質量%〜90質量%とすることが好ましく、5質量%〜80質量%とすることがより好ましく、10質量%〜70質量%とすることがさらに好ましい。5質量%未満であると、このフェノール樹脂を含有させることの効果が発揮され難くなる傾向にある。一方、90質量%超であると、膜の機械的強度が低下する傾向にある。
さらに、本実施形態の感放射線性樹脂組成物には、上述のフェノール樹脂のほかに、フェノール性低分子化合物を含有させることができる。含有させることのできるフェノール性低分子化合物の具体例としては、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,3−ビス[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、1,4−ビス[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、4,6−ビス[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]−1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−[4−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}フェニル]エタン、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等を挙げることができる。
フェノール性低分子化合物の含有割合は、(A)ポリイミドと(B)ポリアミック酸の全量を100質量%(但し、(A)ポリイミドと(B)ポリアミック酸以外のその他の樹脂をさらに含有させる場合には、(A)ポリイミドと(B)ポリアミック酸とその他の樹脂の全量を100質量%)として、0質量%〜100質量%とすることが好ましく、1質量%〜60質量%とすることがより好ましく、5質量%〜40質量%とすることがさらに好ましい。1質量%未満であると、このフェノール性低分子化合物を含有させることの効果が発揮され難くなる傾向にある。一方、100質量%超であると、膜の機械的強度が低下する傾向にある。
[(C)キノンジアジド化合物]
本実施形態の感放射線性樹脂組成物は、上述した(A)ポリイミドおよび(B)ポリアミック酸とともに、(C)キノンジアジド化合物を必須の成分として含有する。(A)ポリイミドおよび(B)ポリアミック酸はアルカリ可溶性の樹脂成分であり、そのアルカリ溶解性を制御する(C)キノンジアジド化合物を含有することで本実施形態の感放射線性樹脂組成物は、ポジ型の感放射線性樹脂組成物として使用することが可能である。
(C)キノンジアジド化合物は、放射線の照射によってカルボン酸を発生するキノンジアジド化合物である。(C)キノンジアジド化合物としては、フェノール性化合物またはアルコール性化合物(以下、「母核」と称する。)と、1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとの縮合物を用いることができる。
上述の母核としては、例えば、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ペンタヒドロキシベンゾフェノン、ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、(ポリヒドロキシフェニル)アルカン、その他の母核等が挙げられる。
トリヒドロキシベンゾフェノンとしては、例えば、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6−トリヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられる。
テトラヒドロキシベンゾフェノンとしては、例えば、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,3’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,2’−テトラヒドロキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシ−3’−メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
ペンタヒドロキシベンゾフェノンとしては、例えば、2,3,4,2’,6’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられる。
ヘキサヒドロキシベンゾフェノンとしては、例えば、2,4,6,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、3,4,5,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられる。
(ポリヒドロキシフェニル)アルカンとしては、例えば、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン、4,4’−〔1−{4−(1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル)フェニル}エチリデン〕ビスフェノール、ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインデン−5,6,7,5’,6’,7’−ヘキサノール、2,2,4−トリメチル−7,2’,4’−トリヒドロキシフラバン等が挙げられる。
その他の母核としては、例えば、2−メチル−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシフェニル)−7−ヒドロキシクロマン、1−〔1−{3−(1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル)−4,6−ジヒドロキシフェニル}−1−メチルエチル〕−3−〔1−{3−(1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル)−4,6−ジヒドロキシフェニル}−1−メチルエチル〕ベンゼン、4,6−ビス{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}−1,3−ジヒドロキシベンゼン等が挙げられる。
これらの母核のうち、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、1,1,1−トリス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、4,4’−〔1−{4−(1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル)フェニル}エチリデン〕ビスフェノールが好ましく用いられる。
1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとしては、1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリドが好ましい。1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリドとしては、例えば、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸クロリド、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド等が挙げられる。これらのうち、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリドがより好ましい。
フェノール性化合物またはアルコール性化合物(母核)と、1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとの縮合反応においては、フェノール性化合物またはアルコール性化合物中のOH基数に対して、好ましくは30モル%〜85モル%、より好ましくは50モル%〜70モル%に相当する1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドを用いることができる。縮合反応は、公知の方法によって実施することができる。
また、キノンジアジド化合物としては、上記に例示した母核のエステル結合をアミド結合に変更した1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸アミド類、例えば、2,3,4−トリアミノベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸アミド等も好適に使用される。
これらのキノンジアジド化合物は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態の感放射線性樹脂組成物における(C)キノンジアジド化合物の使用割合は、(A)ポリイミドおよび(B)ポリアミック酸等の感放射線性樹脂組成物に含有される樹脂成分全量を100質量%とした場合、5質量%〜100質量%が好ましく、10質量%〜50質量%がより好ましい。(C)キノンジアジド化合物の使用割合を上述の範囲とすることで、本実施形態の感放射線性樹脂組成物の塗膜において、現像液となるアルカリ水溶液に対する放射線の照射部分と未照射部分との溶解度の差を大きくして、絶縁膜のパターニング性能を向上させることができる。また、この感放射性樹脂組成物を用いて得られる絶縁膜の耐溶媒性を良好なものとすることもできる。
[(D)化合物]
本実施形態の感放射線性樹脂組成物は、上述した(A)ポリイミドおよび(B)ポリアミック酸等とともに、(D)化合物を必須の成分として含有する。
(D)化合物は、本実施形態の感放射線性樹脂組成物を用いて得られる絶縁膜における、それが形成される基板との密着性を向上される性能を備えた化合物である。
(D)化合物は、例えば、シランカップリング剤として知られた化合物とすることができる。
そして、好ましい(D)化合物としては、下記式(2)で示される化合物を挙げることができる。
(式(2)中、R
2は水素原子および炭素数1〜6のアルキル基のうちのいずれかを示し、Zは単結合、メチレン基および炭素数2から6のアルキレン基のうちのいずれかを示し、R
3は、水素原子およびフェニル基のうちのいずれかを示す。yは0〜2の整数を表し、aは0〜12の整数を表す。)
上記式(2)で表される、好ましい(D)化合物としては、例えば、下記式の化合物を挙げることができる。
本実施形態の感放射線性樹脂組成物における(D)化合物物の使用割合は、(A)ポリイミドおよび(B)ポリアミック酸等の感放射線性樹脂組成物に含有される樹脂成分全量を100質量%とした場合、0.01質量%〜20質量%が好ましく、0.1質量%〜15質量%がより好ましい。(D)化合物の使用割合を上述の範囲とすることで、本実施形態の感放射線性樹脂組成物は、それを用いて基板上に絶縁膜を形成するに際し、その基板と絶縁膜との密着性を向上することができる。
[(E)オキセタニル基含有化合物]
本実施形態の感放射線性樹脂組成物は、上述したように、(A)ポリイミド、(B)ポリアミック酸、(C)キノンジアジド化合物、および、(D)化合物を含有して構成されるが、必要に応じて、他の成分を含有することができる。
例えば、本実施形態の感放射線性樹脂組成物は、(E)オキセタニル基含有化合物を含有することができる。ここで(E)オキセタニル基含有化合物とは、1個以上のオキセタニル基を有する化合物である。
上述したように、(B)ポリアミック酸等のアルカリ可溶性の樹脂成分とともに、(C)キノンジアジド化合物を含有する本実施形態の感放射線性樹脂組成物は、ポジ型の感放射線性樹脂組成物として使用することができる。したがって、それを用いた絶縁膜のパターニングにおいては、露光部分が除去され、未露光部分がパターニングされた絶縁膜として残されることになる。その場合、絶縁膜中には、未反応の(C)キノンジアジド化合物が残留することになる。
絶縁膜中に残された(C)キノンジアジド化合物は、その後、光を吸収し、または、加熱されて分解された場合、その分子内にカルボキシル基を形成する。したがって、絶縁膜中には望まないカルボキシル基が含まれることになって、絶縁膜の吸湿性が高くなる懸念がある。
そこで、本実施形態の感放射線性樹脂組成物は、1個以上のオキセタニル基を有する(E)オキセタニル基含有化合物を含有させ、発生したカルボキシル基と反応をさせる。そして、絶縁膜内に存在するカルボキシル基の数を減らして、絶縁膜の吸水性が高まるのを抑制する。
(E)オキセタニル環含有化合物としては、分子内にオキセタニル環が1つ以上含有されていればよく、特に限定されないが、例えば、下記式(13−1)〜下記式(13−3)で表される化合物等を挙げることができる。
(式(13−1)〜式(13−3)の各々において、R
23はメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基であり、R
21はメチレン基、エチレン基、プロピレン基等のアルキレン基であり、R
22はメチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、キシリル基等のアリール基;下記式(i)で表されるジメチルシロキサン残基;メチレン基、エチレン基、プロピレン基等のアルキレン基;フェニレン基;又は下記式(ii)〜(vi)で表される基を示し、bはR
22の価数に等しく、1〜4の整数である。尚、下記式(i)〜(vi)における「*」は、結合部位を示す。
(式(i)および式(ii)におけるcおよびdは、それぞれ独立に、0〜50の整数である。また、式(iii)におけるZは、単結合、または、−CH2−、−C(CH
3)
2−、−C(CF
3)
2−若しくは−SO
2−で表される2価の基である。)
上記式(13−1)〜上記式(13−3)で表わされる化合物の具体例としては、1,4−ビス{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}ベンゼン(商品名「OXT−121」、東亜合成社製)、3−エチル−3−{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン(商品名「OXT−221」、東亜合成社製)、4,4’−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル(宇部興産製、商品名「ETERNACOLL(登録商標) OXBP」)、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル−フェニル〕エーテル、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル−フェニル〕プロパン、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル−フェニル〕スルホン、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル−フェニル〕ケトン、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル−フェニル〕ヘキサフロロプロパン、トリ〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、テトラ〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、および下記式(14−a)〜下記式(14−g)で表される化合物等を挙げることができる。
尚、本実施形態の感放射線性樹脂組成物は、(E)オキセタニル基含有化合物を1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。
本実施形態の感放射線性樹脂組成物における(E)オキセタニル基含有化合物の使用割合は、(A)ポリイミドおよび(B)ポリアミック酸等の感放射線性樹脂組成物に含有される樹脂成分全量を100質量%とした場合、1質量%〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは1質量%〜70質量%、さらに好ましくは5質量%〜40質量%である。(E)オキセタニル基含有化合物の使用割合が1質量%より少ないと、上述した絶縁膜に存在するカルボキシル基の数を減らす効果が十分に得られない。そして、1質量%〜100質量%である場合、絶縁膜に存在するカルボキシル基の数を減らす効果が十分に得られ、絶縁膜の吸水性が高まることを抑制できる。
[溶剤]
本実施形態の感放射線性樹脂組成物は、上述したように、(A)ポリイミド、(B)ポリアミック酸、(C)キノンジアジド化合物、および、(D)化合物を含有して構成されるが、必要に応じて、溶剤を含有することができる。溶剤を含有することにより、本実施形態の感放射線性樹脂組成物を液状の樹脂組成物とすることができ、基板上に絶縁膜を形成するに際し、塗布性を向上することができる。
溶剤としては、上述した(A)ポリイミドを得るための好ましい重合溶剤として挙げたものを用いることができる。すなわち、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートおよびプロピレングリコールモノアルキルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルおよびγ―ブチロラクトンからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。これら溶剤は、単独で使用することができ、また、2種以上を混合して用いることも可能である。
尚、溶剤としてγ−ブチロラクトンを用いる場合、溶剤は、その全量を100質量%として、γ−ブチロラクトンを20質量%〜40質量%含むことが好ましい。γ−ブチロラクトンの含有量をこうした範囲にすることで、本実施形態の感放射線性樹脂組成物における(A)ポリイミド等の樹脂成分の溶解状態を好適に維持し、塗布性の向上を図ることができる。
ここで溶剤として、上述のものが用いられた場合、それらはNMPに比べて低吸湿性である。したがって、本実施形態の感放射線性樹脂組成物は、吸湿性の高いNMPを用いることなく、低吸湿性の溶剤を用いた調製が可能となる。その結果、本実施形態の感放射線性樹脂組成物は、低吸湿性を示すことができる。また、上述の各溶剤は、安全性が高く、安全性の高い本実施形態の感放射線性樹脂組成物を提供することができる。
そして、上述した(A)ポリイミド等の重合溶剤と同じものを溶剤に用いる場合、(A)ポリイミド等を合成した後、それらを沈殿させて(A)ポリイミド等を単離することなく、本実施形態の感放射線性樹脂組成物の調製に用いることが可能となる。すなわち、溶剤に上記のものを使用する場合、(A)ポリイミド等を合成した後に単離をして、別の溶剤に再溶解させるプロセスを不要とすることができる。その結果、有機EL素子の製造における工程数の増加と、それに伴う生産性の低下の懸念が低減されることになる。
[その他の添加剤]
本実施形態の感放射線性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、界面活性剤等のその他の添加剤を含有させることができる。
(界面活性剤)
本実施形態の感放射線性樹脂組成物には、塗布性、消泡性、レベリング性等の諸特性を向上させる目的で、界面活性剤を含有させることもできる。界面活性剤としては、例えば、BM−1000、BM−1100(以上、BMケミー社製)、メガファック(登録商標)F142D、同F172、同F173、同F183(以上、DIC社製)、フロラードFC−135、同FC−170C、同FC−430、同FC−431(以上、住友スリーエム社製)、サーフロン(登録商標)S−112、同S−113、同S−131、同S−141、同S−145(以上、AGCセイミケミカル社製)、SH−28PA、同−190、同−193、SZ−6032、SF−8428(以上、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)等の商品名で市販されているフッ素系界面活性剤を使用することができる。
本実施形態の感放射線性樹脂組成物における界面活性剤の含有量は、(A)ポリイミドおよび(B)ポリアミック酸等の感放射線性樹脂組成物に含有される樹脂成分全量を100質量%とした場合、5質量%以下とすることが好ましい。
[感放射線性樹脂組成物の調製]
本実施形態の感放射線性樹脂組成物は、上述したように、(A)ポリイミド、(B)ポリアミック酸、(C)キノンジアジド化合物、および、(D)化合物を含有して構成される。そして、必要に応じて、(E)オキセタニル基含有化合物、溶剤、その他の添加剤を含有することができる。
このとき、(A)ポリイミドと(B)ポリアミック酸の使用割合、すなわち混合割合は、それら樹脂成分の溶解性と吸水性を考慮して決められる。(B)ポリアミック酸は溶解性に優れるものの、アミック酸構造に起因し、(A)ポリイミドに比べて吸水性が高い。そのため、本実施形態の感放射線性樹脂組成物は、(B)ポリアミック酸とともに、樹脂成分として、アミック酸構造のない、または少ない(A)ポリイミドを混合して使用し、ポリアミック酸の含有割合を制御する。そして、本実施形態の感放射線性樹脂組成物からなる絶縁膜において、現像性と低吸水性とが両立するようにする。
このとき、本実施形態の感放射線性樹脂組成物において、(A)ポリイミドと(B)ポリアミック酸の混合割合は、(A)ポリイミドと(B)ポリアミック酸の全量を100質量%として、(A)ポリイミドが60質量%〜99質量%、(B)ポリアミック酸が1質量%〜40質量%の範囲であることが好ましい。
このような、(A)ポリイミドと(B)ポリアミック酸の混合割合とすることで、上述したように、本実施形態の感放射線性樹脂組成物からなる絶縁膜において、現像性と低吸水性とを両立することができる。
次に、本実施形態の感放射線性樹脂組成物が溶剤を含有する場合、その溶剤以外の成分、すなわち、(A)ポリイミド、(B)ポリアミック酸、(C)キノンジアジド化合物および(D)化合物、並びにその他の添加剤が添加される場合はそれを加えた全体の割合は、使用目的や所望の膜厚等に応じて任意に設定することができる。そして、溶剤以外の成分は、好ましくは2質量%〜50質量%、より好ましくは5質量%〜40質量%、さらに好ましくは10質量%〜35質量%である。このようにして調製された感放射線性樹脂組成物は、孔径0.2μm〜0.5μm程度のミリポアフィルタ等を用いて濾過した後、使用に供することもできる。
<絶縁膜の形成>
次に、上述した本実施形態の感放射線性樹脂組成物を用いて、本実施形態の絶縁膜を形成する方法について説明する。本実施形態の絶縁膜を形成する方法は、以下の工程を主要な工程とし、次の順で含んで構成することができる。
(1)本実施形態の感放射線性樹脂組成物の塗膜を基板上に形成する工程(以下、単に、塗膜形成工程と言うことがある。)、
(2)工程(1)で形成した塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程(以下、単に、放射線照射工程と言うことがある。)、
(3)工程(2)で放射線を照射された塗膜を現像する工程(以下、単に、現像工程と言うことがある。)、および
(4)工程(3)で現像された塗膜を加熱する工程(以下、単に、加熱工程と言うことがある。)。
以下(1)〜(4)の各工程についてより詳細に説明する。
(1)塗膜形成工程
上述の(1)塗膜形成工程において、本実施形態の感放射線樹脂組成物を基板表面に塗布し、好ましくはプレベークを行うことにより溶剤として使用された成分を除去して、感放射線性樹脂組成物の塗膜を形成する。使用できる基板の種類としては、例えば、樹脂基板およびガラス基板や、シリコンウエハを挙げることができる。そして、有機EL表示素子の形成に用いられる、例えば、TFTやその配線が形成された基板を挙げることができる。
本実施形態の感放射線樹脂組成物の塗布方法としては、特に限定されず、例えば、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法とも言う。)、スリットダイ塗布法、バー塗布法、インクジェット法等の適宜の方法を採用することができる。これらの塗布方法の中でも特に、スピンコート法、スリットダイ塗布法が好ましい。プレベークの条件としては、各成分の種類、使用割合等によっても異なるが、例えば、加熱温度が60℃〜110℃で加熱時間を30秒間〜15分間程度とすることができる。形成される塗膜の膜厚としては、プレベーク後の値として1μm〜10μmとすることができる。
(2)放射線照射工程
上述の(2)放射線照射工程では、形成された塗膜に所定のパターンを有するマスクを介して、放射線を照射する。このとき用いられる放射線としては、例えば、紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線等が挙げられる。
上述の紫外線としては、例えば、g線(波長436nm)、i線(波長365nm)等が挙げられる。遠紫外線としては、例えば、KrFエキシマレーザ等が挙げられる。X線としては、例えば、シンクロトロン放射線等が挙げられる。荷電粒子線としては、例えば電子線等を挙げることができる。これらの放射線のうち、紫外線が好ましく、紫外線の中でもg線および/またはi線を含む放射線が特に好ましい。露光量としては、50J/m2〜1500J/m2とすることが好ましい。
(3)現像工程
(3)現像工程において、上述の(2)放射線照射工程で放射線を照射された塗膜に対して現像を行って、放射線の照射部分を除去し、所望のパターンを形成することができる。現像処理に用いられる現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジエチルアミノエタノール、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ〔4,3,0〕−5−ノナン等のアルカリ(塩基性化合物)の水溶液を用いることができる。また、上述のアルカリの水溶液にメタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液、または本実施形態の感放射線樹脂組成物を溶解する各種有機溶剤を少量含むアルカリ水溶液を、現像液として使用することができる。その有機溶剤としては、上述した(A)ポリイミドを得るための重合溶剤として挙げたものを用いることができる。
さらに、現像方法としては、例えば、液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法、シャワー法等の適宜の方法を利用することができる。現像時間は、感放射線樹脂組成物の組成によって異なるが、例えば30秒間〜120秒間とすることができる。
(4)加熱工程
(4)加熱工程において、上述の(3)現像工程後に、パターニングされた塗膜に対して、好ましくは流水洗浄によるリンス処理を行うことができる。また、上述した(A)ポリイミドを得るための重合溶剤として挙げた低吸湿性の溶剤を用い、塗膜を洗浄するリンス処理を行うことも可能である。
続いて、好ましくは高圧水銀灯等による放射線を全面に照射(後露光)することにより、塗膜中に残存するキノンジアジド化合物の分解処理を行う。次いで、ホットプレート、オーブン等の加熱装置を用いて、この塗膜を加熱処理(ポストベーク処理)することによって、塗膜の硬化処理を行い、本実施形態の絶縁膜を得る。上述の後露光における露光量は、好ましくは2000J/m2〜5000J/m2程度である。また、この硬化処理における加熱温度は、例えば、120℃〜250℃である。加熱時間は、加熱機器の種類により異なるが、例えば、ホットプレート上で加熱処理を行う場合には5分間〜30分間、オーブン中で加熱処理を行う場合には30分間〜90分間とすることができる。この際に、2回以上の加熱工程を行うステップベーク法等を用いることもできる。このようにして、目的とするパターンの絶縁膜を基板上に形成することができる。
上記のようにして形成された絶縁膜は、構成材料が低吸水性であり、製造工程においても、低吸湿性の溶剤等を用いた処理が可能であって、好ましい吸湿特性(吸水性)を有する。加えて、PGMEA溶剤を用いた洗浄を可能にするPGMEA洗浄性、遮光性、耐熱性、パターニング性、パターニング形状特性、現像マージン特性、耐溶剤性、放射線感度、解像度等の点において、良好な特性を示し、有機EL素子の隔壁をなす絶縁膜の他に、上述した平坦化機能を備えた絶縁膜として好適に用いることができる。
<有機EL素子>
本実施形態の有機EL素子として、本実施形態の有機EL表示素子の例を用い、それについて図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態の有機EL表示素子の主要部の構造を模式的に説明する断面図である。
本実施形態の有機EL表示素子1は、マトリクス状に形成された複数の画素を有するアクティブマトリクス型の有機EL表示素子である。有機EL表示素子1は、トップエミッション型、ボトムエミッション型のいずれでもよい。有機EL表示素子1は、基板2上の各画素部分において、アクティブ素子である薄膜トランジスタ(以下、TFTとも称する。)3を配置して有する。
有機EL表示素子1の基板2については、有機EL表示素子1がボトムエミッション型である場合、基板2は透明であることが求められるため、基板2の材料の例として、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)、PI(ポリイミド)等の透明樹脂や無アルカリガラス等のガラス等が用いられる。一方、有機EL表示素子1がトップエミッション型の場合には、基板2は透明である必要はないので、基板2の材料として任意の絶縁体を用いることができる。ボトムエミッション型と同様、無アルカリガラス等、ガラス材料を用いることも可能である。
TFT3は、基板2上に、走査信号線(図示されない)の一部をなすゲート電極4と、ゲート電極4を被覆するゲート絶縁膜5と、ゲート電極4上にゲート絶縁膜5を介して配置された半導体層6と、映像信号線(図示されない)の一部をなして半導体層6に接続する第1のソース−ドレイン電極7と、半導体層6に接続する第2のソース−ドレイン電極8とを有して構成されている。
ゲート電極4は、基板2上に、蒸着法やスパッタ法等により金属薄膜を形成し、エッチングプロセスを利用したパターニングを行って形成することができる。また、金属酸化物導電膜、または、有機導電膜をパターニングして用いることも可能である。
ゲート電極4を構成する金属薄膜の材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、金(Au)、タングステン(W)および銀(Ag)等の金属、それら金属の合金、およびAl−NdおよびAPC合金(銀、パラジウム、銅の合金)等の合金を挙げることができる。そして、金属薄膜としては、AlとMoとの積層膜等、異なる材料の層からなる積層膜を用いることも可能である。
ゲート電極4を構成する金属酸化物導電膜の材料としては、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、ITO(Indium Tin Oxide:インジウムドープ酸化錫)および酸化亜鉛インジウム(IZO)等の金属酸化物導電膜を挙げることができる。
また、有機導電膜の材料としては、ポリアニリン、ポリチオフェンおよびポリピロ−ル等の導電性の有機化合物、またはこれらの混合物を挙げることができる。
ゲート電極4の厚みは、10nm〜1000nmとすることが好ましい。
ゲート電極4を覆うように配置されたゲート絶縁膜5は、スパッタ法やCVD法、蒸着法等により酸化膜や窒化膜を成膜して形成することができる。ゲート絶縁膜5は、例えば、SiO2等の金属酸化物やSiN等の金属窒化物を用い、それらを単独でまたは積層して形成することができる。また、高分子材料等の有機材料から構成することも可能である。ゲート絶縁膜5の膜厚としては10nm〜10μmが好ましく、特に、金属酸化物等の無機材料を用いた場合は、10nm〜1000nmが好ましく、有機材料を用いた場合は50nm〜10μmが好ましい。
半導体層6と接続する第1のソース−ドレイン電極7および第2のソース−ドレイン電極8は、それらの電極を構成する導電膜を、印刷法やコーティング法の他、スパッタ法やCVD法、蒸着法等の方法を用いて形成した後、フォトリソグラフィ法等を利用したパターニングを施して形成することができる。第1のソース−ドレイン電極7および第2のソース−ドレイン電極8の構成材料としては、例えば、Al、Cu、Mo、Cr、Ta、Ti、Au、WおよびAg等の金属、それらの金属の合金、並びにAl−NdおよびAPC等の合金を挙げることができる。また、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、ITO、酸化インジウム亜鉛(IZO)、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)およびGZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)等の導電性の金属酸化物や、ポリアニリン、ポリチオフェンおよびポリピロ−ル等の導電性の有機化合物を挙げることができる。そして、それらの電極を構成する導電膜としては、TiとAlとの積層膜等の異なる材料の層からなる積層膜を用いることも可能である。
第1のソース−ドレイン電極7および第2のソース−ドレイン電極8の厚みは、10nm〜1000nmとすることが好ましい。
半導体層6は、例えば、非晶質状態のa−Si(アモルファス−シリコン)、またはa−Siをエキシマレーザまたは固相成長等により結晶化して得られるp−Si(ポリシリコン)等、シリコン(Si)材料を用いることによって形成することができる。
半導体層6にa−Siを用いる場合、半導体層6の厚みは、30nm〜500nmとすることが好ましい。また、半導体層6と、第1のソース−ドレイン電極7または第2のソース−ドレイン電極8との間には、オーミックコンタクトを取るための図示されないn+Si層が10nm〜150nmの厚さで形成されることが好ましい。
また、TFT3の半導体層6は、酸化物を用いて形成することができる。その半導体層6に適用可能な酸化物としては、単結晶酸化物、多結晶酸化物、およびアモルファス酸化物、並びにこれらの混合物が挙げられる。多結晶酸化物としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)等を挙げることができる。
半導体層6に適用可能なアモルファス酸化物としては、インジウム(In)、亜鉛(Zn)および錫(Sn)の少なくとも1種類の元素を含み構成されるアモルファス酸化物を挙げることができる。
半導体層6に適用可能なアモルファス酸化物の具体的例としては、Sn−In−Zn酸化物、In−Ga−Zn酸化物(IGZO:酸化インジウムガリウム亜鉛)、In−Zn−Ga−Mg酸化物、Zn−Sn酸化物(ZTO:酸化亜鉛錫)、In酸化物、Ga酸化物、In−Sn酸化物、In−Ga酸化物、In−Zn酸化物(IZO:酸化インジウム亜鉛)、Zn−Ga酸化物、Sn−In−Zn酸化物等を挙げることができる。尚、以上の場合、構成材料の組成比は必ずしも1:1である必要はなく、所望の特性を実現する組成比の選択が可能である。
アモルファス酸化物を用いた半導体層6は、例えば、それがIGZOやZTOを用いて形成される場合、IGZOターゲットやZTOターゲットを用いてスパッタ法や蒸着法により膜形成が行われ、フォトリソグラフィ法等を利用して、レジストプロセスとエッチングプロセスによるパターニングを行って形成される。アモルファス酸化物を用いた半導体層6の厚みは、1nm〜1000nmとすることが好ましい。
以上で例示した酸化物を用いることにより、移動度の高い半導体層6を低温で形成することができ、優れた性能のTFT3を提供することができる。
そして、本実施形態の半導体素子1の半導体層6を形成するのに特に好ましい酸化物としては、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)、酸化亜鉛錫(ZTO)および酸化インジウム亜鉛(ZIO)を挙げることができる。
これらの酸化物を用いることによりTFT3は、移動度に優れた半導体層6をより低温で形成して有し、高ON/OFF比を示すことが可能となる。
尚、TFT3の半導体層6においては、半導体層6の上部面の第1のソース−ドレイン電極7および第2のソース−ドレイン電極8の形成されないチャネル領域に、例えば、5nm〜80nmの厚みのSiO2からなる保護層(図示されない)を設けることができる。この保護層はエッチング停止層、または、ストップ層等と称されることもある。こうした保護層は、半導体層6に上述の酸化物を用いる場合において、特に好ましい構成要素となる。
TFT3の上には、TFT3を被覆するように、無機絶縁膜19を設けることができる。無機絶縁膜19は、例えば、SiO2等の金属酸化物やSiN等の金属窒化物を用い、それらを単独でまたは積層して形成することができる。無機絶縁膜19は、半導体層6を保護し、例えば、湿度によって影響されるのを防ぐために設けられる。尚、本実施形態の有機EL表示素子1では、無機絶縁膜19を設けず、TFT3の上に、後述する有機材料からなる絶縁膜である第1の絶縁膜10を配置する構造とすることも可能である。
次に、有機EL表示素子1においては、基板2上のTFT3の上方を被覆するよう、無機絶縁膜19の上に第1の絶縁膜10が配置されている。この第1の絶縁膜10は、基板2上に形成されたTFT3による凹凸を平坦化する機能を備える。第1の絶縁膜10は、上述した本実施形態の感放射線性樹脂組成物を用いて形成された絶縁性の膜であり、有機材料を用いて形成された有機膜である。第1の絶縁膜10は、平坦化膜としての優れた機能を有することが好ましく、この観点から厚く形成されることが好ましい。例えば、第1の絶縁膜10は、1μm〜6μmの膜厚で形成することができる。第1の絶縁膜10は、上述した絶縁膜の形成の方法に従い形成される。
第1の絶縁膜10上には、画素電極をなす陽極11が配置される。陽極11は、導電性の材料からなる。陽極11の材料は、有機EL表示素子1が、ボトムエミッション型かトップエミッション型かによって異なる特性のものを選択することが好ましい。ボトムエミッション型の場合には、陽極11が透明であることが求められるので、陽極11の材料としては、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)、酸化スズなどが選択される。一方、有機EL表示素子1がトップエミッション型の場合には、陽極11に光反射性が求められ、陽極11の材料としては、APC合金(銀、パラジウム、銅の合金)やARA(銀、ルビジウム、金の合金)、MoCr(モリブデンとクロムの合金)、NiCr(ニッケルとクロムの合金)等が選択される。陽極11の厚さは、100nm〜500nmとすることが好ましい。
第1の絶縁膜10上に配置された陽極11が第2のソース−ドレイン電極8と接続するため、第1の絶縁膜10には、第1の絶縁膜10を貫通するスルーホール12が形成されている。スルーホール12は第1の絶縁膜10の下層にある無機絶縁膜19も貫通するように形成される。第1の絶縁膜10は、上述した本実施形態の感放射線性樹脂組成物を用いて形成することができる。したがって、上述した絶縁膜の形成の方法に従い、感放射線性樹脂組成物の塗膜に放射線を照射して所望形状の貫通孔を有する第1の絶縁膜10を形成した後、この第1の絶縁膜10をマスクとして無機絶縁膜19に対してドライエッチングを行うことにより、スルーホール12を完成することができる。尚、TFT3上に無機絶縁膜19が配置されていない構造の場合、第1の絶縁膜10に放射線を照射して形成される貫通孔がスルーホール12を構成する。その結果、陽極11は、第1の絶縁膜10の少なくとも一部を覆うとともに、第1の絶縁膜10を貫通するよう第1の絶縁膜10に設けられたスルーホール12を介して、TFT3に接続する第2のソース−ドレイン電極8と接続することができる。
有機EL表示素子1において、第1の絶縁膜10上の陽極11の上には、有機発光層14の配置領域を規定する隔壁となる第2の絶縁膜13が形成されている。第2の絶縁膜13は、上述した本実施形態の感放射線性樹脂組成物を用い、上述した絶縁膜の形成の方法に従って塗膜をパターニングして硬化膜として製造することができる。そして、第2の絶縁膜13は、例えば、平面視で格子状の形状を有することができる。この第2の絶縁膜13に規定される領域内には、電界発光する有機発光層14が配置されている。有機EL表示素子1において、第2の絶縁膜13は、有機発光層14の周囲を包囲する障壁となって、互いに隣接する複数画素のそれぞれを区画する。
有機EL表示素子1において、第2の絶縁膜13の高さ(第2の絶縁膜13の上面と有機発光層14の配置領域での陽極11の上面との距離)は、0.1μm〜2μmであることが好ましく、0.8μm〜1.2μmであることがより好ましい。第2の絶縁膜13の高さが2μm以上であった場合、第2の絶縁膜13の上方で封止基板20とぶつかる恐れがある。また、第2の絶縁膜13の高さが0.1μm以下であった場合、第2の絶縁膜13によって規定された領域内に、インクジェット法によってインク状の発光材料組成物を塗布しようとするときに、発光材料組成物が第2の絶縁膜13から漏れ出すおそれがある。
有機EL表示素子1の第2の絶縁膜13は、上述した本実施形態の感放射線性樹脂組成物を用い、上述した絶縁膜の形成の方法に従って、その塗膜にパターニング等を施すことによって硬化膜として形成することができる。すなわち、第2の絶縁膜13は、樹脂を含んで構成することができる。第2の絶縁膜13は、インクジェット法によってインク状の発光材料組成物を塗布する場合には、有機発光材料を含むインク状の発光材料組成物が塗布される領域を規定することから、濡れ性が低いことが好ましい。第2の絶縁膜13の濡れ性を特に低く制御する場合には、第2の絶縁膜13をフッ素ガスでプラズマ処理することが可能であり、また、第2の絶縁膜13を形成する本実施形態の感放射線性樹脂組成物に撥液剤を含有させてもよい。プラズマ処理は有機EL表示素子1の他の構成部材に悪影響を与えることがあるので、第2の絶縁膜13を形成する本実施形態の感放射線性樹脂組成物に撥液剤を含有させるほうが好ましい場合がある。
第2の絶縁膜13に規定される領域内には、電界を印加されて発光する有機発光層14が配置されている。有機発光層14は、電界発光する有機発光材料を含む層である。
有機発光層14に含まれる有機発光材料は低分子有機発光材料であっても、高分子有機発光材料であってもよい。例えば、Alq3、BeBq3等の基材母体にキナクリドンやクマリンをドープした材料を用いることができる。また、インクジェット法による有機発光材料の塗布法を用いる場合には、それに好適な高分子有機発光材料であることが好ましい。高分子有機発光材料としては、例えば、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリアセチレン(Poly acetylene)およびその誘導体、ポリフェニレン(Poly phenylene)およびその誘導体、ポリパラフェニレンエチレン(Poly para phenylene ethylene)およびその誘導体、ポリ3−ヘキシルチオフェン(Poly 3−hexyl thiophene(P3HT))およびその誘導体、ポリフルオレン(Poly fluorene (PF))およびその誘導体等を選択して用いることができる。
有機発光層14は、第2の絶縁膜13によって規定された領域内で陽極11上に配置される。有機発光層14の厚さは50nm〜100nmであることが好ましい。ここで有機発光層14の厚さとは陽極11上の有機発光層14の底面から、陽極11上の有機発光層14の上面までの距離を意味する。
尚、陽極11と有機発光層14との間には、正孔注入層および/または中間層が配置されていてもよい。陽極11と有機発光層14との間に、正孔注入層および中間層が配置される場合、陽極11上に正孔注入層が配置され、正孔注入層上に中間層が配置され、そして中間層上に有機発光層14が配置される。また、陽極11から有機発光層14へ効率的に正孔を輸送できる限り、正孔注入層および中間層は省略されてもよい。
有機EL表示素子1では、有機発光層14を覆い、画素区画のための第2の絶縁膜13を覆って陰極15が形成されている。陰極15は、複数の画素を共通に覆って形成され、有機EL表示素子1の共通電極をなす。
本実施形態の有機EL表示素子1は、有機発光層14上に陰極15を有し、陰極15は、導電性部材からなる。陰極15の形成に用いる材料は、有機EL表示素子1がボトムエミッション型か、トップエミッション型かによって異なる。トップエミッション型の場合には、陰極15は、可視光透過性の電極を構成するITO電極やIZO電極等であることが好ましい。一方、有機EL表示素子1がボトムエミッション型の場合には陰極15が可視光透過性である必要はない。その場合、陰極15の構成材料は、導電性であれば特に限定されないが、例えば、バリウム(Ba)、酸化バリウム(BaO)、アルミニウム(Al)およびAlを含む合金等を選択することも可能である。
尚、陰極15と有機発光層14との間には、例えば、バリウム(Ba)、フッ化リチウム(LiF)等からなる電子注入層が配置されていてもよい。
陰極15の上には、パッシベーション膜16を設けることができる。パッシベーション膜16は、SiNや窒化アルミニウム(AlN)等の金属窒化物等を用い、それらを単独でまたは積層して形成することができる。パッシベーション膜16の作用により、有機EL表示素子1内への水分や酸素の浸入を抑制することができる。
このように構成された基板2の、有機発光層14が配置された主面は、外周端部付近に塗布されたシール剤(図示されない)を用い、封止層17を介して、封止基板20により封止することが好ましい。封止層17は、乾燥された窒素ガス等の不活性なガスの層とするか、または、接着剤等の充填材料の層とすることができる。また、封止基板20としては、無アルカリガラス等のガラス基板を用いることができる。
以上の構造を有する本実施形態の有機EL表示素子1は、構成要素である第1の絶縁膜10と第2の絶縁膜13とが、低吸湿性の本実施形態の感放射線性樹脂組成物を用いて形成されて、低吸水構造を有する。また、その形成工程において、低吸湿性の材料を用いた洗浄等の処理が可能である。そのため、吸着水等の形態で絶縁膜形成材料に含まれる微量の水分が徐々に有機発光層に浸入することを低減し、有機発光層の劣化と発光状態の阻害を低減することができる。
また、有機EL表示素子1は、構成要素である第1の絶縁膜10と第2の絶縁膜13とが、好適な遮光性を有し、TFT3の半導体層6に好ましくない光が照射されないための遮光膜としての機能も果たす。そのため、有機EL表示素子1は、外部からの光の影響によるTFT3の特性の悪化を低減できる。そして、有機EL表示素子1のTFT3が、IGZO等の酸化物半導体から形成された半導体層6を有するものであっても、第1の絶縁膜10と第2の絶縁膜13が遮光膜として好適に機能し、外部項の影響によるTFT3の特性悪化を低減することができる。
以下、実施例に基づき本発明の実施形態を詳述するが、この実施例によって本発明が限定的に解釈されるものではない。
合成例における各樹脂溶液の溶液粘度およびポリイミドのイミド化率は以下の方法により測定した。
[樹脂体溶液の溶液粘度]
樹脂溶液の溶液粘度(mPa・s)は、その樹脂の良溶媒を用い、樹脂成分の濃度を10重量%に調整した溶液について、E型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
[ポリイミドのイミド化率]
ポリイミドの溶液を純水に投入し、得られた沈殿物を室温で十分に減圧乾燥した後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、テトラメチルシランを基準物質として室温で
1H−NMRを測定した。得られた
1H−NMRスペクトルから、下記数式(1)で示される式によりイミド化率を求めた。
(数式(1)中、A
1は化学シフト10ppm付近に現れるNH基のプロトン由来のピーク面積であり、A
2はその他のプロトン由来のピーク面積であり、αはポリイミドの前駆体(ポリアミック酸)におけるNH基のプロトン1個に対するその他のプロトンの個数割合である。)
<ポリイミドの合成>
[合成例1]
反応容器に、重合溶剤としてガンマブチロラクトン(BL)64g、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(PGMEA)16gを加えた後、重合溶剤の合計80gに対し固形分濃度20%となるように、ジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物を重合溶剤中に加えた。
ジアミンとしては、2,2’−ビス(3−アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BAHF)を投入した。これらを溶解させた後、次に、テトラカルボン酸二無水物として、4,4−オキシジフタル酸(ODPA)と1,3−ジヒドロ-1,3−ジオキソ-5-イソベンゾフランカルボン酸―1,4−フェニレンエステル(TAHQ)とを、テトラカルボン酸二無水物の組成比がODPA:TAHQ=80:20(モル比)となるように投入した。このとき、ジアミン成分の全体量100モル部に対して、テトラカルボン酸二無水物である酸成分は、85モル部を加えた。
その後、それらを60℃で1時間反応させた後、末端封止剤として無水フタル酸を30モル部加え、60℃でさらに1時間反応させた後、昇温し120℃で4時間反応させた。反応の際はN2(窒素)フロー条件でディーン・スターク管を用い、低沸点溶剤のPGMEAを溜去した。これにより、固形分濃度23.8%のポリイミド(ポリイミド(A−1))の溶液約84gを得た。
得られたポリイミド溶液の溶液粘度は、28mPa・sであり、ポリイミド(A−1)のイミド化率は、25%であった。溶液粘度とイミド化率の評価結果も、下記の表1に示す。
[合成例2〜合成例7および比較合成例1〜比較合成例2]
合成例2〜合成例7については、使用する重合溶剤、酸成分であるテトラカルボン酸二無水物およびアミン成分であるジアミンの種類および配合比を下記表1のようにした点を除き、合成例1と同様にしてポリイミド(ポリイミド(A−2)〜ポリイミド(A−7))を含有する溶液をそれぞれ調製した。
そして、比較合成例1および比較合成例2については、使用する重合溶剤、酸成分であるテトラカルボン酸二無水物およびアミン成分であるジアミンの種類および配合比を下記表1のようにした点を除き、合成例1と同様にしてポリイミド(ポリイミド(A−8)〜ポリイミド(A−9))を含有する溶液を調製した。
そして、合成例1と同様に、溶液粘度とイミド化率の評価結果を、下記の表1にまとめて示す。
尚、表1中、空欄は、該当する成分を含有しないことを示す。また、表中に示された濃度の単位「mol%」は、テトラカルボン酸二無水物については、合成に使用したテトラカルボン酸二無水物の全体量に対する、その該当するテトラカルボン酸二無水物の含有量を示す。同様に、ジアミンについては、合成に使用したジアミンの全体量に対する、その該当するジアミンの含有量を示す。
また、下記表1中の記号が示す含有成分は、それぞれ以下のとおりである。
[重合溶剤]
s−1:プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(PGMEA)
s−2:γ−ブチロラクトン(γ−BL)
s−3:N−メチルピロリドン(NMP)
[テトラカルボン酸二無水物]
t−1:4,4−オキシジフタル酸(ODPA)
t−2:1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−5−イソベンゾフランカルボン酸−1,4−フェニレンエステル(TAHQ)
t−3:6FDA
t−4:PPTA
t−5:HQDA
t−6:ピロメリット酸二無水物(PMDA)
[ジアミン]
d−1:2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BAHF)
d−2:4,4−ジアミノジフェニルエーテル
d−3:TFMB
<ポリアミック酸の合成>
[合成例8]
反応容器に、重合溶剤としてガンマブチロラクトン(BL)80gを加えた後、重合溶剤の全量80gに対し固形分濃度20%となるように、ジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物を重合溶剤中に加えた。
ジアミンとしては、2,2’−ビス(3−アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BAHF)を投入した。これらを溶解させた後、次に、テトラカルボン酸二無水物として、4,4−オキシジフタル酸(ODPA)と1,3−ジヒドロ-1,3−ジオキソ-5-イソベンゾフランカルボン酸―1,4−フェニレンエステル(TAHQ)とを、テトラカルボン酸二無水物の組成比がODPA:TAHQ=80:20(モル比)となるように投入した。このとき、ジアミン成分の全体量100モル部に対して、テトラカルボン酸二無水物である酸成分は、85モル部を加えた。
その後、それらを60℃で1時間反応させた後、末端封止剤として無水フタル酸を30モル部加え、60℃でさらに1時間反応させて、固形分濃度20%ポリアミック酸(ポリアミック酸(B−1))の溶液約100gを得た。
得られたポリアミック酸溶液の溶液粘度は25mPa・sであり、また、イミド化率を評価した結果、イミド化率は0%であった。溶液粘度とイミド化率の評価結果も、下記の表2に示す。
[合成例9〜合成例14]
合成例9〜合成例14については、使用する重合溶剤、酸成分であるテトラカルボン酸二無水物およびアミン成分であるジアミンの種類および配合比を下記表2のようにした点を除き、合成例8と同様にしてポリアミック酸(ポリアミック酸(B−2)〜(B−8))を含有する溶液を調製した。
そして、合成例8と同様に、溶液粘度とイミド化率の評価結果を、下記の表2にまとめて示す。
尚、表2中、空欄は、該当する成分を含有しないことを示す。また、表中に示された濃度の単位「mol%」は、テトラカルボン酸二無水物については、合成に使用したテトラカルボン酸二無水物の全体量に対する、その該当するテトラカルボン酸二無水物の含有量を示す。同様に、ジアミンについては、合成に使用したジアミンの全体量に対する、その該当するジアミンの含有量を示す。
また、下記表2中の記号が示す含有成分は、表1と同様に、上述したとおりとなる。
<感放射線性樹脂組成物の調製>
[実施例1]
[A]成分のポリイミドとして合成例1のポリイミド(A−1)を含有する溶液を用い、[B]成分のポリアミック酸として合成例9のポリアミック酸(B−1)を含有する溶液を用い、それらを混合した場合に含有されるポリイミド(A−1)とポリアミック酸(B−1)の合計量100質量部(固形分)に対し、ポリイミド(A−1)の使用割合が94質量部(固形分)で、ポリアミック酸(B−1)の使用割合が6質量部(固形分)となるように、各溶液を準備した。そして、各溶液に含まれるポリイミド(A−1)とポリアミック酸(B−1)の合計量(固形分)を100質量部とし、その他の成分の使用割合を以下のようにした。
[C]成分のキノンジアジド化合物として、4,4’−〔1−{4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル}エチリデン〕ビスフェノール(1.0モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(2.0モル)の縮合物(C−1)を用い、20質量部とした。
[D]成分のシランカップリング剤として、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製 KBM−573)(D−1)を用い、5質量部とした。
[E]成分のオキセタニル基含有化合物として、イソフタル酸=ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル](E−1)を用い、5質量部とした。
その他の添加剤である界面活性剤として、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製SH8400を用い、0.01質量部とした。
次に、以上の各成分を混合し、固形分濃度が28質量%となるように溶剤を用いて調製した後、口径0.2μmのメンブランフィルタで濾過して、感放射線性樹脂組成物の溶液(S−1)を調製した。
得られた感放射線性樹脂組成物の溶液(S−1)の[A]〜[E]の各成分の使用割合は、表3にまとめて示す。尚、表3では、使用される溶剤の種類と配合割合も併せて示している。
[実施例2〜実施例14および比較例1〜比較例3]
[A]〜[E]成分の各成分の種類と使用割合を表3に記載したものとした以外、実施例1と同様にし、実施例となる感放射線性樹脂組成物(S−2)〜(S−14)を調製した。
そして、[A]〜[E]成分の各成分の種類と使用割合を表3に記載したものとした以外、実施例1と同様にし、比較例となる感放射線性樹脂組成物(S−15)〜(S−17)を調製した。
尚、表3中、空欄は、その該当する成分を含有しないことを示す。また、下記表3中の記号が示す含有成分は、それぞれ以下のとおりである。
[C]成分(キノンジアジド化合物)
C−1:4,4’−〔1−{4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル}エチリデン〕ビスフェノール(1.0モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(2.0モル)の縮合物
[D]成分(シランカップリング剤)
D−1:N−フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン (信越化学社製 KBM−573)
D−2:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン (信越化学社製 KBM−603)
[E]成分(オキセタニル基含有化合物)
E−1:イソフタル酸=ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル]
E−2:1,4‐ビス[(3‐エチルオキセタン‐3‐イル)メトキシメチル]ベンゼン
次に実施例1〜実施例14および比較例1〜比較例3でえられた感放射線性樹脂組成物(S−1)〜(S−17)を用い、絶縁膜の形成を行い、各種の評価を行った。評価結果は、表3にまとめて示した。
[実施例15]
(吸水性の評価)
感放射線性樹脂組成物(S−1)〜(S−17)をそれぞれ用い、スピンナまたはスリットダイコータを用いて、シリコン基板上に塗布した後、120℃にて2分間ホットプレート上でプレベークをし、その後、クリーンオーブンにて250℃にて45分間ポストベークして膜厚3.0μmの塗膜をそれぞれ形成した。形成した各膜に対してTDS(Thermal Desorption Spectroscopy)を用い、常温から200℃に昇温した際の、膜表面および膜から脱離するガスを質量分析計で検出し、水のピークM/z=18の検出値を測定し、吸水性を評価した。具体的には、60℃〜200℃のトータルのピーク強度の積分値を算出し、吸水性として評価した。60℃〜200℃のトータルのピーク強度の積分値が1.0×10−7以下の場合、吸水性が「良好」と評価した。
[実施例16]
(PGMEA洗浄性の評価)
感放射線性樹脂組成物(S−1)〜(S−17)をそれぞれ用い、スピンナまたはスリットダイコータを用いて、シリコン基板上に塗布して塗膜を形成した後、PGMEA溶剤を用いて80秒シャワー現像を行った。その後、シリコン基板上の塗膜の状態を確認した。塗膜が全て溶解し、目視で残留物を確認できなくなった場合、洗浄性が「良好」と評価した。
[実施例17]
(遮光性の評価)
シリコン基板の代わりに、ガラス基板としてコーニング(登録商標)7059(コーニング社製)を用いた以外は、上記実施例15の吸水性の評価と同様に、ガラス基板上に絶縁膜をそれぞれ形成した。分光光度計 150−20型ダブルビーム(日立製作所社製)を用いて、その絶縁膜を有するガラス基板の全光線透過率を380nm〜780nmの波長範囲で測定し、各絶縁膜毎に、波長400nmでの遮光率(透過率)を求めた。遮光率が50%以上(透過率が50%以下)のとき、遮光性は「良好」と評価した。
[実施例18]
(耐熱性の評価)
上述の実施例15の吸水性の評価と同様にして絶縁膜を形成し、得られた各硬化膜について熱重量測定装置(TAインスツルメント社製TGA2950)を用いて、100℃〜500℃においてTGA測定(空気下、昇温速度10℃/分)を行い、5%重量減少温度を求めた。5%重量減少温度が350℃以上の場合、耐熱性が「良好」と評価した。
[実施例19]
(パターニング性の評価)
感放射線性樹脂組成物(S−1)〜(S−17)をそれぞれ用い、スピンナまたはスリットダイコータを用いて、シリコン基板上に塗布した後、120℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして膜厚3.0μmの塗膜を形成した。得られた各塗膜に対し、キヤノン社製PLA−501F露光機(超高圧水銀ランプ)を用い、所定のパターンを有するパターンマスクを介して露光時間を変化させて露光を行った後、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液にて25℃、80秒間液盛り法で現像した。次いで、超純水で1分間流水洗浄を行い、乾燥させてシリコン基板上にパターンを形成した。20.0μmのライン・アンド・スペース(10対1)のスペース・パターンが完全に溶解するか確認した。そして、現像残膜率が60%以上であり、かつパターンが剥がれることなく形成されたものを「良好」、現像後残膜率が60%未満、またはパターンが剥がれてしまい形成されないものを「不良」と評価した。
[実施例20]
(パターン形状の評価)
20μmライン・アンド・スペースパターン(1対1)のマスクを用いた以外は、上述の実施例19のパターニング性評価と同様にして基板上にパターンを形成した。得られたパターンをクリーンオーブン中にて250℃で45分間加熱し硬化させ、膜厚3μmの絶縁膜を得た。このようにして得られた各絶縁膜において、20μmラインパターンのラインと直交する方向の垂直断面形状をSEMで観察し、その断面においてその底辺が最大ライン幅となっている場合、すなわち順テーパー形状が形成されている場合に「良好」、そうでない場合は「不良」と評価した。尚、パターンが形成できなかった場合については、表3において、「×」と記載した。
[実施例21]
(放射線感度の評価)
感放射線性樹脂組成物(S−1)〜(S−17)をそれぞれ用い、スピンナまたははスリットダイコータを用いて、シリコン基板上に塗布した後、120℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして膜厚2.0μmの塗膜をそれぞれ形成した。得られた各塗膜に対し、キヤノン(株)製PLA−501F露光機(超高圧水銀ランプ)を用い、所定のパターンを有するパターンマスクを介して露光時間を変化させて露光を行った後、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液にて25℃、80秒間液盛り法で現像した。次いで、超純水で1分間流水洗浄を行い、乾燥させてシリコン基板上にパターンを形成した。そして、30.0μmのライン・アンド・スペース(10対1)のスペース・パターンが完全に溶解するために必要な露光量を測定した。この値を放射線感度(露光感度)とした。この放射線感度が100mJ/cm2以下の場合に絶縁膜の放射線に対する感度が「良好」と評価した。
尚、表3では、便宜的に「感度(mJ/cm2)」と記載して、30.0μmのライン・アンド・スペース(10対1)のスペース・パターンが完全に溶解するために必要な露光量を該当欄に記載している。また、パターンが形成できなかった場合については、表3において、「×」と記載した。
[実施例22]
(現像マージンの評価)
感放射線性樹脂組成物(S−1)〜(S−17)をそれぞれ用い、上述の実施例21の(放射線感度の評価)と同様に、シリコン基板上に各塗膜を形成した。次に、キヤノン(株)製PLA−501F露光機(超高圧水銀ランプ)を使用し、3.0μmのライン・アンド・スペース(10対1)のパターンを有するマスクを介して、得られた各塗膜に対し、上述の実施例21の(放射線感度の評価)にて測定した放射線感度の値に相当する露光量で露光を行い、2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液にて25℃、現像時間を変化させて液盛り法で現像した。次いで、超純水で1分間流水洗浄を行い、乾燥させてシリコン基板上にパターンを形成した。このとき、ライン線幅が3.0μmとなるのに必要な現像時間を最適現像時間とし、また、最適現像時間からさらに現像を続けた際に3.0μmのライン・パターンが剥がれるまでの時間を測定し、現像マージン(現像時間の許容範囲)として評価した。この時間が30秒以上のとき、現像マージンは「良好」と評価した。
尚、パターンが形成できなかった場合については、表3において、「×」と記載した。
[実施例23]
(耐溶剤性の評価)
感放射線性樹脂組成物(S−1)〜(S−17)をそれぞれ用い、スピンナを用いて、シリコン基板上に塗布した後、120℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして膜厚3.0μmの塗膜をそれぞれ形成した。得られた塗膜をクリーンオーブン内にて220℃で1時間加熱し、各絶縁膜を得た。得られた絶縁膜の膜厚(T1)を測定した。そして、この絶縁膜が形成されたシリコン基板を、70℃に温度制御されたジメチルスルホキシド中に20分間浸漬させた後、シリコン基板上の絶縁膜の膜厚(t1)を測定し、浸漬による膜厚変化率{|t1−T1|/T1}×100〔%〕を算出した。膜厚変化率の値が4%以下のとき、耐溶剤性は「良好」と評価した。尚、耐溶剤性の評価においては形成する膜のパターニングは不要のため、放射線照射工程および現像工程は省略し、塗膜形成工程および加熱工程のみ行い評価に供した。また、表3では、膜厚変化率の値を該当欄に記載している。
[実施例23]
(解像度の評価)
感放射線性樹脂組成物(S−1)〜(S−17)をそれぞれ用い、スピンナまたはスリットダイコータを用いて、シリコン基板上に塗布した後、120℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして膜厚3.0μmの各塗膜を形成した。得られた各塗膜に対し、キヤノン(株)製PLA−501F露光機(超高圧水銀ランプ)を用い、所定のパターンを有するパターンマスクを介して露光時間を変化させて露光を行った後、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液にて25℃、80秒間液盛り法で現像した。次いで、超純水で1分間流水洗浄を行い、乾燥させてシリコン基板上にパターンを形成した。形成したパターン幅の下限について、その値を解像度(μm)として評価した。尚、パターンが形成できなかった場合については、表3において、「×」と記載した。
表3から明らかなように、本発明の実施例1〜実施例14の感放射線性樹脂組成物(S−1)〜(S−14)は、良好なPGMEA洗浄性、パターニング性、感度、現像マージンおよび解像度を同時に有する。また、本発明の実施例1〜実施例14の感放射線性樹脂組成物(S−1)〜(S−14)を用いて得られる絶縁膜は、低吸水性で、耐熱性および耐溶剤性に優れ、さらに優れた遮光性を有することがわかった。