JP5974352B2 - センサー装置 - Google Patents
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Description
施工直後のコンクリート構造物中のコンクリートは、通常、強アルカリ性を呈する。そのため、施工直後のコンクリート構造物中の鉄筋は、その表面に不動態膜が形成されるため、安定である。しかし、施工後に酸性雨や排気ガス等の影響を受けたコンクリート構造物は、コンクリートが徐々に酸性化(中性化)していくため、鉄筋が腐食することとなる。また、コンクリート構造物は、コンクリートへ侵入した塩化物イオンによっても鉄筋が腐食する。
しかし、かかる装置では、鉄筋の腐食の原因がコンクリート中へ侵入した塩化物イオンによるものなのか、コンクリートの中性化によるものなのかを特定することができず、その結果、コンクリート構造物の適切な保全を行うことができないという問題があった。
本発明のセンサー装置は、第1の金属材料で構成された第1の電極と、
前記第1の電極に対して離間して設けられ、第2の金属材料で構成された第2の電極と、
前記第1の電極の表面との間に隙間を形成して配置された隙間形成体と、
前記隙間に充填され、測定対象物内の環境下で溶解または分解することにより消失する隙間充填体と、
前記第1の電極と前記第2の電極との電位差を測定する機能を有する機能素子とを有し、
前記機能素子で測定された電位差に基づいて、測定対象部位の状態を測定し得るように構成されたことを特徴とする。
そのため、測定対象部位の塩化物イオン濃度が比較的低い状態であっても、第1の電極と第2の電極との電位差が生じ、かかる電位差に基づいて塩化物イオンの侵入を高感度に検知することができる。
ここで、第1の電極および隙間形成体を測定対象物内に設置する途中およびその後の所定期間において、第1の電極と隙間形成体との間の隙間の少なくとも一部が隙間充填体により埋められた状態となるため、かかる隙間が潰れたり意図しない物質により埋められたりするのを防止することができる。その結果、前述したような隙間腐食を確実に生じさせることができる。
これにより、隙間充填体を簡単かつ高精度に形成することができる。
本発明のセンサー装置では、前記隙間形成体は、前記隙間充填体上に成膜することにより形成されたものであることが好ましい。
これにより、隙間充填体の厚さに応じて第1の電極と隙間形成体との間の隙間を高精度に規定することができる。
これにより、測定対象物が例えばコンクリート構造物である場合、コンクリート構造物中のコンクリートが強アルカリ性を呈するので、コンクリート構造物中で隙間充填体を溶解させることができる。
これにより、第1の電極の隙間腐食を生じさせ得る隙間を第1の電極と隙間形成体との間に簡単かつ確実に形成することができる。
本発明のセンサー装置では、前記隙間形成体は、前記第1の電極の表面の一部との間に前記隙間を形成していることが好ましい。
これにより、隙間充填体の消失後の第1の電極の隙間腐食を促進することができる。
これにより、隙間充填体の消失後の第1の電極の隙間腐食を促進することができる。
本発明のセンサー装置では、前記隙間形成体は、絶縁性材料で構成されていることが好ましい。
これにより、隙間形成体が第1の電極の自然電位に影響を及ぼすのを防止することができる。そのため、第1の電極および隙間形成体の設計が容易となる。
これにより、隙間形成体が第1の電極の自然電位に影響を及ぼすのを防止することができる。そのため、第1の電極および隙間形成体の設計が容易となる。
本発明のセンサー装置では、前記隙間形成体は、耐アルカリ性を有する材料から構成されていることが好ましい。
これにより、測定対象部位がコンクリートである場合であっても、隙間形成体の耐久性を優れたものとすることができる。そのため、コンクリートの状態を長期に亘り安定して測定することができる。
これにより、隙間充填体の消失後の第1の電極の隙間腐食を促進することができる。
本発明のセンサー装置では、前記第1の金属材料および前記第2の金属材料は、それぞれ、前記測定対象部位の環境変化に伴って表面に不動態膜を形成するか、または、表面に存在した不動態膜を消失させる金属材料であることが好ましい。
これにより、第1の電極と第2の電極との電位差に基づいて、測定対象部位に塩化物イオンが侵入したことを高感度に検知することができる。
これにより、第1の電極と第2の電極との電位差に基づいて、測定対象部位に塩化物イオンが侵入したことをより高感度に検知することができる。
本発明のセンサー装置では、前記第1の金属材料および前記第2の金属材料は、異なる金属材料で構成されることが好ましい。
これにより、第1の電極と第2の電極との電位差に基づいて、測定対象部位のpHが設定値以下か否かを検知することができる。
鉄または鉄系合金(鉄系材料)は比較的安価で入手が容易である。また、例えば、センサー装置をコンクリート構造物の状態測定に用いた場合、第1の電極および第2の電極の少なくとも一方の電極をコンクリート構造物中の鉄筋と同一材料(または近似した材料)で構成することが可能であり、コンクリート構造物中の鉄筋の腐食状態を効果的に検知することができる。
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るセンサー装置の使用状態の一例を示す図、図2は、図1に示すセンサー装置の概略構成を示すブロック図、図3は、図2に示す第1の電極、第2の電極、隙間形成体および機能素子を説明するための平面図、図4は、図2に示す第1の電極、第2の電極、隙間形成体および隙間充填体を説明するための断面図(図3中のA−A線断面図)、図5は、図2に示す機能素子を説明するための断面図(図3中のB−B線断面図)、図6は、図2に示す機能素子に備えられた差動増幅回路を示す回路図、図7は、図2に示す機能素子に備えられた差動増幅回路を示す回路図、図8は、図4に示す隙間充填体の消失後の第1の電極および隙間形成体を説明するための断面図、図9は、図8に示す第1の電極の塩化物イオンによる腐食を説明する模式図、図10は、図1に示すセンサー装置の作用の一例を説明するための図である。
なお、以下では、本発明のセンサー装置をコンクリート構造物の品質測定に用いる場合を例に説明する。
コンクリート構造物100は、コンクリート101内に複数の鉄筋102が埋設されている。そして、センサー装置1は、コンクリート構造物100のコンクリート101内の鉄筋102付近に埋設されている。なお、センサー装置1は、コンクリート構造物100を打設する際に、コンクリート101の打設前に鉄筋に固定して埋め込んでもよいし、打設後に硬化したコンクリート101に穿孔して埋め込んでもよい。
このセンサー装置1は、本体2と、その本体2上に設けられた第1の電極3および第2の電極4とを有する。また、図1では説明の便宜上図示を省略しているが、センサー装置1は、第1の電極3上に設けられた隙間形成体8を有する(図3参照)。また、第1の電極3と隙間形成体8との間には、隙間充填体10が設けられている(図4参照)。
また、センサー装置1は、図2に示すように、第1の電極3および第2の電極4に電気的に接続された機能素子51と、電源52と、温度センサー53と、通信用回路54と、アンテナ55と、発振器56とを有し、これらが本体2内に収納されている。
(本体)
本体2は、第1の電極3、第2の電極4および機能素子51等を支持する機能を有する。
このような本体2は、図4および図5に示すように、第1の電極3、第2の電極4および機能素子51を支持する基板21を有する。なお、基板21は、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56をも支持するが、図3〜5では、説明の便宜上、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56の図示を省略している。
図4に示すように、この基板21上には、例えばソルダーレジストのような絶縁性の樹脂組成物で構成された絶縁層23が設けられている。そして、この絶縁層23を介して基板21上には、第1の電極3、第2の電極4および機能素子51が実装されている。
この導体部61は、第1の電極3と、導体部516a、516dおよびトランジスタ514aのゲート電極とを電気的に接続している。また、導体部62は、第2の電極4と、導体部516b、516eおよびトランジスタ514bのゲート電極とを電気的に接続している。第1の電極3と第2の電極4は、各々、トランジスタ514a、514bのゲート電極と接続しているためフローテイング状態にある。515aと515bは、集積回路の層間絶縁膜であり、25は、集積回路の保護膜である。
特に、本体2は、機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56を液密的に収納するように構成されている。
具体的には、図4および図5に示すように、本体2は、封止部24を有する。この封止部24は、機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56を封止する機能を有する。これにより、センサー装置1を水分やコンクリートの存在下に設置した場合に、機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56の劣化を防止することができる。
なお、封止部24は、必要に応じて設ければよく、省略することもできる。
第1の電極3および第2の電極4は、図4に示すように、それぞれ、前述した本体2の外表面上(より具体的には基板21上)に設けられている。特に、第1の電極3および第2の電極4は、同一平面上に設けられている。そのため、第1の電極3および第2の電極4の設置環境の差が生じるのを防止することができる。
また、第1の電極3および第2の電極4は、互いに電位の影響を受けない程度(例えば数mm)に離間している。
また、第2の電極4は、その少なくとも表面付近が多孔質体で構成されているのが好ましい。これにより、第2の電極4の表面には腐食の生じやすい部分として微細な多数の凹部が均一に分散して形成される。そのため、第2の電極4の表面は、塩化物イオンの存在下において、均一に腐食が生じ、局所的な腐食(孔食)が抑制される。
このようなことから、外部環境の湿度や温度の変化に伴ってコンクリート101内の相対湿度が変化しても、第2の電極4上の水分量の変動を防止することができる。その結果、外部環境の湿度や温度の変化によって第2の電極4の自然電位が変動するのを防止し、コンクリート101の測定対象部位の状態を高精度に測定することができる。
第1の電極3は、不動態膜(第1の不動態膜)を形成する第1の金属材料(以下、単に「第1の金属材料」とも言う)で構成されている。このように構成された第1の電極3は、pHの変化によって不動態膜が形成されたり破壊されたりする。このような第1の電極3は、不動態膜が形成された状態(不動態化した状態)では不活性(貴)であり、自然電位が高くなる(貴化する)。一方、第1の電極3は、不動態膜が破壊された状態(消失された状態)では活性(卑)である。そのため、第1の電極3の電位は、pH変化に伴う不動態膜の有無により急峻に変化する。
中でも、第1の金属材料は、FeまたはFeを含む合金(Fe系合金)、すなわち鉄系材料(具体的には、炭素鋼、合金鋼、SUS等)であるのが好ましい。鉄系材料は安価で入手が容易である。また、本実施形態のように、センサー装置1をコンクリート構造物100の状態測定に用いた場合、第1の金属材料をコンクリート構造物100の鉄筋102と同一または近似の材料とすることが可能であり、鉄筋102の腐食環境状態を効果的に検知することができる。例えば、第1の電極3がFeで構成されている場合、pHが9以上か否かの判断ができる。
この第2の金属材料としては、第2の電極4が電極として機能し得るものであれば、特に限定されず、各種金属材料を用いることができる。
また、第2の金属材料は、前述した第1の金属材料と同種の材料(同一または近似した材料)で構成されていてもよいし、前述した第1の金属材料と異なる材料で構成されていてもよい。
また、第2の金属材料は、不動態膜を形成するものであってもよいし、不動態膜を形成しないものであってもよい。
すなわち、第1の電極3および第2の電極4の表面にそれぞれ不動態膜が形成された状態において、第1の電極3と第2の電極4との電位差が測定対象部位の塩化物イオン濃度に応じたものとなる。そのため、第1の電極3と第2の電極4との電位差に基づいて、測定対象部位に塩化物イオンが侵入したことをより高感度に検知することができる。
第1の金属材料および第2の金属材料の双方が不動態膜を形成する金属材料である場合、第1の金属材料が不動態膜を形成するpHの範囲の下限値を第1のpH(第1の不動態化pH)とし、第2の金属材料が不動態膜を形成するpHの範囲の下限値を第2のpH(第2の不動態化pH)としたとき、第1のpHおよび第2のpHが互いに異なるのが好ましい。すなわち、第1の金属材料は、第1のpHよりも大きいpHとなったときに不動態膜を形成し、第2の金属材料は、第1のpHとは異なる第2のpHよりも大きいpHとなったときに不動態膜を形成するのが好ましい。これにより、第1の電極3および第2の電極4が設置された環境のpHが第1のpH以下か否かおよび第2のpH以下か否かをそれぞれ正確に検知することができる。
この場合、第1の金属材料は、3以上5以下のpH、または、8以上10以下のpHよりも大きいpHとなったときに不動態膜を形成するものであるのが好ましい。3以上5以下のpH以下か否かを検知することにより、第1の電極3および第2の電極4の設置環境が酸性状態になってしまったことを知ることができる。また、8以上10以下のpH以下か否かを検知することにより、第1の電極3および第2の電極4の設置環境が中性状態に近付いていることを事前に知ることができる。
このような第1の電極3および第2の電極4の形成方法としては、それぞれ、特に限定されず、公知の成膜法を用いることができる。
隙間形成体8は、第1の電極3の表面の一部との間に隙間Gを形成して配置されている。この隙間Gは、第1の電極3の表面に対して局所的に形成され、外部に連通している。
この隙間Gには、図4に示すように、隙間充填体10が充填されている。
隙間充填体10は、隙間Gを埋めるように第1の電極3と隙間形成体8との間に設けられている。そして、隙間充填体10は、測定対象物内の環境下で溶解または分解することにより消失する。これにより、後述するように、センサー装置1を測定対象物内に設置したときに、隙間充填体10が溶解または分解することにより消失し、隙間Gが現れる(図8参照)。
例えば、隙間充填体10の構成材料としては、アルカリ溶解性を有する金属材料または樹脂材料を用いることができる。コンクリート構造物中のコンクリートが強アルカリ性を呈するので、このような材料を用いることにより、コンクリート構造物中で隙間充填体10を溶解させることができる。
また、アルカリ溶解性を有する樹脂材料としては、アルカリ水溶液(特に強アルカリ水溶液)に溶解し得る樹脂材料(アルカリ可溶性樹脂)であればよく、例えば、ポリメチルグルタルイミド(PMGI)等を用いることができる。
このようなことから、第1の電極3と第2の電極4との電位差に基づいて、測定対象部位に塩化物イオンが侵入したことを高感度に検知することができる。
また、第1の電極3の隙間形成体8に覆われていない部分の表面積は、第1の電極3の隙間Gを介して隙間形成体8に覆われている部分の表面積よりも大きい。これにより、隙間充填体10の消失後の第1の電極3の隙間腐食を促進することができる。
このような隙間形成体8は、例えば、第1の電極3上に隙間充填体10を例えば電解メッキ等の成膜法により形成した後、その隙間充填体10上に隙間形成体8を公知の成膜法により形成することにより形成することができる。
このように、隙間充填体10が第1の電極3上に成膜することにより形成されたものであることにより、隙間充填体10を簡単かつ高精度に形成することができる。
このような隙間形成体8の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、絶縁材材料、または、第1の電極3を構成する第1の金属材料と同種の金属材料を用いるのが好ましい。また、隙間形成体8の構成材料としては、測定対象物内で溶解および分解し難いものが好ましく、特に、本実施形態では、前述した隙間充填体10よりも耐アルカリ性および耐加水分解性に優れるものが好ましい。
かかる絶縁性材料としては、特に限定されないが、例えば、SiO2、Si3N4等の絶縁性セラミックス材料、PSF(ポリサルフォン)、PAI(プリアミドイミド)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等の樹脂材料等が挙げられる。
また、隙間形成体8は、耐アルカリ性を有するのが好ましい。これにより、測定対象部位がコンクリートである場合であっても、隙間形成体8の耐久性を優れたものとすることができる。そのため、コンクリートの状態を長期に亘り安定して測定することができる。
機能素子51は、前述した本体2の内部に埋設されている。なお、機能素子51は、前述した本体2の基板21に対して第1の電極3および第2の電極4とは、同一面に設けても、反対側に設けても良い。
この機能素子51は、第1の電極3と第2の電極4との電位差を測定する機能を有する。これにより、第1の電極3と第2の電極4との電位差に基づいて、第1の電極3および第2の電極4の設置環境の塩化物イオン濃度が設定値以下か否かを検知することができる。
このような機能素子51は、例えば、集積回路である。より具体的には、機能素子51は、例えば、MCU(マイクロコントロールユニット)であり、図2に示すように、CPU511と、A/D変換回路512と、差動増幅回路514とを有する。
複数のトランジスタ514a、514b、514cは、それぞれ例えば電界効果トランジスタ(FET)であり、差動増幅回路514の一部を構成するものである。
また、差動増幅回路514は、図7に示すように、演算増幅器201、202と、演算増幅器203とを有する。
演算増幅器201は、比較用電極7を基準として第1の電極3の電位を検出する。また、演算増幅器202は、比較用電極7を基準として第2の電極4の電位を検出する。また、演算増幅器203は、演算増幅器201の出力電位と演算増幅器202の出力電位との差を検出する。
また、機能素子51は、電源52からの通電により作動する。電源52は、機能素子51を動作可能な電力を供給できるものであれば、特に限定されず、例えば、ボタン型電池のような電池であってもよいし、圧電素子のような発電機能を有する素子を用いた電源ものであってもよい。
温度センサー53は、測定対象物であるコンクリート構造物100の測定対象部位の温度を検知する機能を有する。このような温度センサー53としては、特に限定されず、例えば、サーミスター、熱電対等の公知の様々な種類の温度センサーを用いることができる。
この通信用回路54は、例えば、電磁波を送信するための送信回路、信号を変調する機能を有する変調回路等を有する。なお、通信用回路54は、信号の周波数を小さく変換する機能を有するダウンコンバータ回路、信号の周波数を大きく変換する機能を有するアップコンバータ回路、信号を増幅する機能を有する増幅回路、電磁波を受信するための受信回路、信号を復調する機能を有する復調回路等を有していてもよい。
また、機能素子51は、発振器56からのクロック信号を取得し得るように構成されている。これにより、各回路の同期をとったり、各種情報に時刻情報を付加したりすることができる。
以上説明したように構成されたセンサー装置1を用いた測定方法は、第1の電極3および第2の電極4を測定対象物であるコンクリート構造物100内にそれぞれ埋設し、第1の電極3と第2の電極4との電位差に基づいて、コンクリート構造物100の状態を測定する。
前述したように、センサー装置1をコンクリート構造物100内に設置したとき、隙間充填体10が溶解または分解することにより消失し、隙間Gが現れる(図8参照)。
第1の電極3が塩化物イオン(Cl−)の存在下にあるとき、隙間G内に侵入した塩化物イオンにより、第1の電極3の表面に形成された不動態膜の局所的な破壊が一旦生じると、第1の電極3を構成する第1の金属材料が金属イオン(Mnn+)として隙間G内に溶出する。
Fe→Fe2++2e
の反応により、隙間G内に金属イオンとしてFe2+が溶出する。
このように隙間G内に溶出した金属イオンは、拡散速度が遅く、隙間G内に滞留する。これにより、隙間G内での金属イオンの濃度が増加する。
そのため、隙間G外における塩化物イオンの濃度に比し、隙間G内における塩化物イオンの濃度が高くなる。
例えば、第1の金属材料が純鉄(Fe)である場合、
Fe2++2Cl−→FeCl2
FeCl2+2H2O→Fe(OH)2+HCl
の反応により、隙間G内の水素イオンの濃度が増加する。
そのため、隙間G外における水素イオンの濃度に比し、隙間G内における水素イオンの濃度が高くなる。
ここで、第1の電極3の表面は、隙間腐食が生じる部分がアノード領域となり、隙間Gの外側に露出した部分がカソード領域となる。
第1の電極3のアノード領域では、Fe→Fe2++2eのアノード反応が生じ、
第1の電極3のカソード領域では、1/2O2+H2O+2e→2OH−のカソード反応が生じる。
このようなカソード反応は、第1の電極3のカソード領域を大きくすることにより、アノード反応が促進される。そのため、第1の電極3の表面の隙間Gの外側に露出した部分の面積を大きくすることにより、測定対象部位の塩化物イオン濃度がより低い状態においても、第1の電極3の隙間腐食が生じるため、測定対象部位への塩化物イオンの侵入をより高感度に検知することができる。
打設直後のコンクリート構造物100において、通常、適切に打設されていれば、コンクリート101は強アルカリ性を呈する。そのため、このとき、測定対象部位に塩化物イオンが侵入していなければ、第1の電極3および第2の電極4は、それぞれ、安定な不動態膜を形成する。すなわち、図10(a)に示すように、第1の電極3は、その表面に不動態膜33が形成され、第2の電極4は、その表面に不動態膜43が形成される。これにより、第1の電極3および第2の電極4の自然電位がそれぞれ上がっている(貴化している)。そのため、コンクリートの打設直後における第1の電極3と第2の電極4との電位差は小さくなる。
このようなことから、測定対象部位へ塩化物イオンが侵入すると、第1の電極3と第2の電極4との電位差が大きくなる。そのため、第1の電極3と第2の電極4との電位差に基づいて、測定対象部位の塩化物イオン濃度変化を測定することができる。
また、コンクリート構造物100は、二酸化炭素、酸性雨、排気ガス等の影響により、コンクリート101のpHが徐々に酸性側に変化(中性化)していく。
また、コンクリート構造物100の打設時に異常があった否かを判断することもできる。そのため、コンクリート構造物100の初期トラブルを防止し、コンクリート構造物100の品質を向上させることができる。
ここで、第1の電極3および隙間形成体8をコンクリート構造物100内に設置する途中およびその後の所定期間において、第1の電極3と隙間形成体8との間の隙間Gの少なくとも一部が隙間充填体10により埋められた状態となるため、かかる隙間Gが潰れたり意図しない物質により埋められたりするのを防止することができる。その結果、前述したような第1の電極3の隙間腐食を確実に生じさせることができる。
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
図11は、本発明の第2実施形態に係るセンサー装置の使用状態の一例を示す図、図12は、図11に示すセンサー装置の部分拡大斜視図、図13は、図12に示す第1の電極、隙間形成体および隙間充填体を示す拡大側面図である。
以下、第2実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態のセンサー装置1Aは、図11に示すように、本体2Aと、その本体2A上に設けられた第1の電極3Aおよび第2の電極4とを有する。
本実施形態では、第1の電極3Aおよび第2の電極4は、コンクリート構造物100の外表面からの距離が、コンクリート構造物100の外表面と鉄筋102との間に距離(すなわち鉄筋102のかぶり深さ)とほぼ等しくなるように設置されている。
第1の電極3Aは、板状またはシート状をなし、一方の面が本体2Aに固着されている。そして、図13に示すように、第1の電極3Aの本体2Aとは反対側の面には、第1の電極3Aの一部を薄肉化するように段差部34が設けられている。この段差部34により、隙間Gを簡単かつ確実に形成することができる。
この隙間充填体10Aは、その一部が隙間G1に充填され、前述した第1実施形態の隙間充填体10と同様、測定対象物内の環境下(すなわちコンクリート構造物100内の環境下)で溶解または分解することにより消失するものである。
このような隙間充填体10Aは、第1の電極3A上に成膜することにより形成することができる。
本実施形態では、隙間形成体8Aは、平面視にて四角形をなしている。なお、隙間形成体8Aの平面視形状は、四角形に限定されず、例えば、円形であってもよい。
より具体的に説明すると、固定部材9は、ボルト91と、ワッシャー92、93と、ナット94とを有している。
以上説明したような第2実施形態のセンサー装置1Aによっても、コンクリート構造物100のコンクリート101中の塩化物イオン濃度変化をコンクリート101のpH変化と区別して測定し、その測定情報をコンクリート構造物100の計画的な保全に活用することができる。
例えば、本発明のセンサー装置では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
また、前述した実施形態では、隙間形成体が第1の電極の表面の一部を覆う場合を例に説明したが、隙間形成体が第1の電極の表面の全域を覆っていてもよい。この場合、例えば、隙間形成体の少なくとも一部を測定対象物内で腐食し得る材料で構成することにより、測定対象物内で隙間充填体が分解または溶解するための欠損部を隙間形成体に形成することができる。また、隙間充填体は、測定対象物内で完全に消失せずに一部が残存するように構成されていてもよい。
また、前述した実施形態では第1の電極および第2の電極がそれぞれ薄膜状をなす場合を例に説明したが、これに限定されず、第1の電極および第2の電極の形状は、それぞれ、例えば、ブロック状、線状等をなしていてもよい。また、前述した実施形態では第1の電極および第2の電極をそれぞれセンサー装置の本体の外表面に沿って設けているが、第1の電極および第2の電極をそれぞれセンサー装置の本体の外表面から突出させてもよい。また、第1の電極および第2の電極の設置位置、大きさ(大小関係)等についても、前述したような測定が可能であれば、前述した実施形態に限定されず、任意である。
また、前述した実施形態では測定情報をアクティブタグ通信により無線送信によりセンサー装置外部へ送信する場合を例に説明したが、これに限定されず、例えば、パッシブタグ通信を用いて情報をセンサー装置の外部へ送信してもよいし、有線により情報をセンサー装置の外部へ送信してもよい。
また、前述した第2実施形態では、隙間形成体を第1の電極に対して固定する固定部材として、ボルトおよびナットを有するものを例に説明したが、第1の電極3の隙間腐食を生じ得る隙間を形成しつつ隙間形成体を第1の電極に対して固定することができるものであれば、これに限定されない。
Claims (14)
- 第1の金属材料で構成された第1の電極と、
前記第1の電極に対して離間して設けられ、第2の金属材料で構成された第2の電極と、
前記第1の電極の表面との間に隙間を形成して配置された隙間形成体と、
前記隙間に設けられ、測定対象物内の環境下で溶解または分解することにより消失する隙間充填体と、
前記第1の電極と前記第2の電極との電位差を測定する機能を有する機能素子とを有し、
前記第1の金属材料は、測定対象部位の環境変化に伴って表面に不動態膜を形成するか、または表面に存在した不動態膜を消失させる金属材料であり、
前記第2の金属材料は、前記測定対象部位の環境変化に伴って表面に不動態膜を形成するか、または表面に存在した不動態膜を消失させる金属材料であり、
前記機能素子で測定された電位差に基づいて、前記測定対象部位の状態を測定し得るように構成されたことを特徴とするセンサー装置。 - 前記隙間充填体は、前記第1の電極上に設けられたものである請求項1に記載のセンサー装置。
- 前記隙間形成体は、前記隙間充填体上に設けられたものである請求項1または2に記載のセンサー装置。
- 前記隙間充填体は、アルカリ溶解性を有する金属材料または樹脂材料で構成されている請求項1ないし3のいずれかに記載のセンサー装置。
- 前記第1の電極および前記隙間形成体は、それぞれ、板状またはシート状をなし、互いに重ねて配置されている請求項1ないし4のいずれかに記載のセンサー装置。
- 前記隙間形成体は、前記第1の電極の表面の一部との間に前記隙間を形成している請求項1ないし5のいずれかに記載のセンサー装置。
- 前記第1の電極は、前記隙間形成体に覆われていない部分の表面積が前記隙間を介して前記隙間形成体に覆われている部分の表面積よりも大きい請求項6に記載のセンサー装置。
- 前記隙間形成体は、絶縁性材料で構成されている請求項1ないし7のいずれかに記載のセンサー装置。
- 前記隙間形成体は、前記第1の金属材料と同種の金属材料で構成されている請求項1ないし7のいずれかに記載のセンサー装置。
- 前記隙間形成体は、耐アルカリ性を有する材料から構成されている請求項1ないし9のいずれかに記載のセンサー装置。
- 前記隙間における前記隙間形成体と前記第1の電極との間の距離は、1μm以上100μm以下である請求項1ないし10のいずれかに記載のセンサー装置。
- 前記第1の金属材料および前記第2の金属材料は、同種の金属材料で構成される請求項1ないし11のいずれかに記載のセンサー装置。
- 前記第1の金属材料および前記第2の金属材料は、異なる金属材料で構成される請求項1ないし11のいずれかに記載のセンサー装置。
- 前記第1の金属材料および前記第2の金属材料は、それぞれ、鉄または鉄系材料である請求項1ないし13のいずれかに記載のセンサー装置。
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