JP5978064B2 - 溶着金属、帯状電極、焼結型フラックス及びサブマージアーク溶接方法 - Google Patents
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Description
この溶着金属は、O:0.05〜0.10質量%を含有していてもよい。
また、前記不可避的不純物のうち、Biを0.005質量%以下に規制してもよい。
更に、前記不可避的不純物のうち、Cr、Mo、Ti、Nb、V、Ni及びAlの総含有量を0.5質量%以下に規制してもよい。
Siは、溶着金属中のOと反応する脱酸作用があり、溶着金属の洗浄度を向上させる効果がある。また、Siには、溶接ビード止端のなじみ性を改善する効果もある。ただし、溶着金属中のSi量が0.30質量%未満の場合、これらの効果が不十分となる。一方、Siの過剰な添加は溶着金属の破断伸びを低下させるため、溶着金属中のSi量は0.60質量%以下に抑える必要がある。よって、本実施形態の溶着金属では、Si含有量を0.30〜0.60質量%とする。
MnもSiと同様に、溶着金属の脱酸に不可欠な元素であるが、溶着金属中のMn量が1.00質量%未満の場合、十分な脱酸効果が得られない。一方、Mnも過剰に添加すると、溶着金属の破断伸びを低下させるため、溶着金属中のMn量は1.50質量%以下に抑える。従って、本実施形態の溶着金属では、Mn含有量を1.00〜1.50質量%とする。
Cの過剰な添加は、溶着金属の破断伸びを低下させ、遅れ割れや高温割れの感受性を著しく高めるため、本実施形態の溶着金属では規制成分とする。具体的には、溶着金属中のC量が0.20質量%を超えると、肉盛金属層に遅れ割れや高温割れなどが発生しやすくなるため、本実施形態の溶着金属では、C含有量を0.20質量%以下に規制する。また、溶着金属におけるC含有量は0.15質量%以下とすることが好ましく、これにより耐割れ性を向上させることができる。
本実施形態の溶着金属では、前述した各成分に加えて、更にOを含有していてもよい。Oは、アーク熱によって溶融した電極及びフラックスにより構成される溶融金属の粘度を下げ、溶接ビード止端及び母材や前パスのラップ(重ね)部とのなじみ性を改善する効果がある。ただし、Oを過剰に添加すると、溶着金属の靭性を著しく劣化させることとなる。
本実施形態の溶着金属における残部は、Fe及び不可避的不純物である。なお、ここでいう不可避的不純物には、P、S、Cu、B、Sn、Sb、As及びPbなどが挙げられる。また、Bi、Cr、Mo、Ti、Nb、V、Ni及びAlなどは、意図的に含有させると本発明の目的を達成することが困難になる。このため、本実施形態の溶着金属では、これらの元素を積極的に添加することはせず、不可避的不純物として含有する場合も、その含有量を以下に示す範囲に規制する。
Biは、溶着金属の高温割れ感受性を高める元素である。また、上盛層の溶接後にPWHT(Post Weld Heat Treatment:溶接後熱処理)が実施される場合、又は上盛層の溶接時に高温での予熱・パス間温度管理が必要とされる場合、溶着金属にBiが多量に含有されていると、下盛層溶着金属のSR割れ(再熱割れ)感受性が高まる。このため、耐割れ性向上の観点から、溶着金属中のBi量は0.005質量%以下であることが好ましく、0.003質量%以下であることがより好ましい。
Cr、Mo、Ti、Nb、V、Ni及びAlなどの合金元素は、溶着金属の強度を高め、破断伸びを低下させる。そこで、下盛層の耐SR割れ性を向上するには、これらの合金元素を低減することが効果的である。特に、Ti、Nb及びVは、上盛層溶接後のPWHTや高温の予熱・パス間管理溶接時に微細な炭化物を形成し、溶着金属の強度を著しく高めるため、溶着金属にこれらの元素が多量に含まれていると、SR割れ感受性が高くなる。
溶着金属の破断伸びは、塑性変形能の指標である。溶着金属の破断伸びは、溶接したままの状態で、JIS Z3111に規定されるタイプIIA2号試験片を用いた常温引張試験により測定することができる。そして、溶着金属の破断伸びが30%未満の場合は、上盛溶接時の熱応力を軽減できず、肉盛金属層に割れが発生することがある。このため、本実施形態の溶接金属においては、破断伸びは30%以上とする。
次に、本実施形態の溶着金属を得るための溶接方法について説明する。本実施形態の溶着金属は、帯状電極を用いたサブマージアーク溶接により形成される。その際使用する帯状電極の成分組成は、帯状電極の加工性及び溶着金属中への合金元素の歩留まりの観点から、軟鋼系であれば特に限定されるものではないが、例えば、Mn:0.20〜0.50質量%を含有すると共に、C:0.10質量%以下、Si:0.10質量%以下、Cr、Mo、Ti、Nb、V、Ni及びAl:合計で1.0質量%以下に規制され、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成を有するものを使用することができる。
以下、前述した帯状電極の各成分の数値限定理由について説明する。
帯状電極に含有されるMnは、溶着金属中のMn量を高め、脱酸効果によって溶着金属の洗浄度を高める効果がある。しかしながら、その含有量が0.20質量%未満の場合、添加効果が十分に得られず、0.50質量%を超えてMnを含有していると、帯状電極の強度が高まり、圧延性が低下する。よって、帯状電極中のMn量は0.2〜0.50質量%であることが好ましい。
Cを過剰に添加すると、帯状電極の強度が高まり、圧延性が低下する。よって、帯状電極中のC量は、0.1質量%以下に規制されていることが好ましく、これにより加工性を良好にすることができる。
SiもCと同様に、帯状電極の強度を高め、圧延性を低下させる元素である。このため、加工性向上の観点から、帯状電極中のSi量は、0.1質量%以下に規制されていることが好ましい。
Cr、Mo、Ti、Nb及びVなどの合金元素も、帯状電極の強度を高める作用があり、過剰に添加されると、圧延性が低下する。また、これら元素に加えて、Ni及びAlが過剰に含有されると、溶着金属中の[A]値が大きくなり、溶着金属のSR割れ感受性が高くなる。よって、帯状電極の加工性向上及び溶着金属の耐割れ性向上の観点から、帯状電極は、Cr、Mo、Ti、Nb、V、Ni及びAlの総含有量([A])が、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。
以下、前述した焼結型フラックスの各成分の数値限定理由について説明する。
SiO2は、酸性物質であり、溶接中に、フラックス中に含まれる他の塩基性物質と反応してガラス状のスラグを形成し、アーク雰囲気中の溶融金属を保護し、溶着金属や溶接ビードの酸化及び窒化を防止すると共に、ビード形状を改善する効果がある。ただし、SiO2含有量が15質量%未満の焼結型フラックスでは、前述した効果が得られないことがある。
ZrO2は、スラグ形成剤としてフラックスに添加されるが、その含有量が10質量%未満の焼結型フラックスでは、十分な効果が得られないことがある。一方、ZrO2を過剰に添加すると、溶融スラグの粘度が上昇して、溶融スラグが先行しやすくなるため、溶接ビードのなじみ性が低下し、スラグ巻き込みなどの溶接欠陥が誘発される。具体的には、ZrO2が30質量%を超える焼結型フラックスでは、溶接欠陥が発生しやすくなる。よって、焼結型フラックスのZrO2含有量は、10〜30質量%であることが好ましい。
Al2O3は、塩基性物質であり、フラックス中に含まれる他の酸性物質と溶接中に反応してガラス状のスラグを形成することにより、アーク雰囲気中の溶融金属を保護し、溶着金属や溶接ビードの酸化を防止すると共に、ビード形状を改善する効果がある。ただし、Al2O3含有量が10質量%未満の焼結型フラックスでは、前述した効果が得られないことがある。
Mnは、合金元素添加剤又はスラグ形成剤として、例えば金属Mn、Fe−Mn合金などの形態で添加される。ただし、フラックス中のMn量が5質量%未満の場合、その添加効果が得られないことがある。一方、例えば15質量%を超えて、Mnを過剰に添加すると、溶着金属中のMn量が高くなり、破断伸びが低下する。よって、焼結型フラックスのMn含有量は、5〜15質量%であることが好ましい。なお、MnがFe−Mn合金やFe−Si−Mn合金などの形態で添加された場合には、ここでいうMn量は、金属Mnに換算した量を指す。
金属炭酸塩は、アーク熱によって金属酸化物とCO2に分解する。金属酸化物はスラグを形成することで溶接ビードを保護し、CO2は、アーク雰囲気中の水素分圧を下げ、溶着金属中の拡散性水素量を低減する効果がある。炭酸塩は、特に限定されるものではないが、例えばMgCO3、CaCO3、BaCO3、Na2CO3などの形態で添加することができる。
弗素化合物は、前述したZrO2と同様に、スラグ形成剤として作用する。焼結型フラックスに添加される弗素化合物は、特に限定されるものではなく、BaF2、CaF2、KF、NaF、AlF3などに代表される金属弗化物だけでなく、K2SiF6などの複合金属弗化物や、PTFE(polytetrafluoroethylene)などの弗素樹脂でもよい。
Bi2O3は、溶接時のスラグ剥離性を改善し、美麗な溶接ビードを形成する効果があり、施工コストの低減にも寄与するが、溶着金属中で還元反応を起こすため、焼結型フラックス中のBi2O3量は0.10質量%以下に規制することが好ましい。フラックス中のBi2O3量が0.10質量%を超えると、溶着金属中のBi量が増加し、溶着金属の高温割れ感受性及びSR割れ感受性が高くなる虞がある。なお、焼結型フラックスにおけるBi2O3含有量は0であってもよい。
フラックス中のCr、Mo、Ti、Nb、V、Ni及びAlの総含有量([A])が1.0質量%を超えると、溶着金属のSR割れ感受性が高くなることがある。そこで、焼結型フラックスも、帯状電極と同様に、溶着金属の耐割れ性向上の観点から、Cr、Mo、Ti、Nb、V、Ni及びAlの総含有量([A])を、1.0質量%以下に規制することが好ましく、0.5質量%以下に規制することがより好ましい。
2 下盛層
3 上盛層
10 シャルピー衝撃試験片
20 常温引張試験片
Claims (7)
- 肉盛溶接のバッファー層用溶着金属であって、
Si:0.30〜0.60質量%、
Mn:1.00〜1.50質量%、
を含有すると共に、
C:0.20質量%以下、
に規制され、
残部がFe及び不可避的不純物からなる組成を有し、
溶接したままの状態で常温引張試験により測定した破断伸びが30%以上である溶着金属。 - 更に、O:0.05〜0.10質量%を含有することを特徴とする、請求項1に記載の溶着金属。
- 前記不可避的不純物のうち、Bi:0.005質量%以下に規制することを特徴とする請求項1又は2に記載の溶着金属。
- 前記不可避的不純物のうち、Cr、Mo、Ti、Nb、V、Ni及びAlの総含有量を0.5質量%以下に規制することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶着金属。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の溶着金属を作製するための帯状電極であって、
Mn:0.20〜0.50質量%、
を含有すると共に、
C:0.10質量%以下、
Si:0.10質量%以下、
Cr、Mo、Ti、Nb、V、Ni及びAl:合計で1.0質量%以下、
に規制され、
残部がFe及び不可避的不純物であることを特徴とする帯状電極。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の溶着金属を作製するための帯状電極を用いたサブマージアーク溶接に使用される焼結型フラックスであって、
SiO2:15〜35質量%、
ZrO2:10〜30質量%、
Al2O3:10〜30質量%、
Mn(金属Mn換算):5〜15質量%、
金属炭酸塩(CO2換算):5〜10質量%、
弗素化合物(F換算):0.5〜3質量%、
を含有すると共に、
Bi2O3:0.10質量%以下、
Cr、Mo、Ti、Nb、V、Ni及びAl:合計で1.0質量%以下、
に規制した組成を有する焼結型フラックス。 - Mn:0.20〜0.50質量%を含有すると共に、C:0.10質量%以下、Si:0.10質量%以下、Cr、Mo、Ti、Nb、V、Ni及びAl:合計で1.0質量%以下に規制され、残部がFe及び不可避的不純物からなる帯状電極と、
SiO2:15〜35質量%、ZrO2:10〜30質量%、Al2O3:10〜30質量%、Mn(金属Mn換算):5〜15質量%、金属炭酸塩(CO2換算):5〜10質量%、弗素化合物(F換算):0.5〜3質量%を含有すると共に、Bi2O3:0.10質量%以下、Cr、Mo、Ti、Nb、V、Ni及びAl:合計で1.0質量%以下に規制した組成を有する焼結型フラックスと、
を使用し、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の溶着金属を得るサブマージアーク溶接方法。
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| JP2012183528A JP5978064B2 (ja) | 2012-08-22 | 2012-08-22 | 溶着金属、帯状電極、焼結型フラックス及びサブマージアーク溶接方法 |
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| JP2014039950A JP2014039950A (ja) | 2014-03-06 |
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2012
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