JP5978779B2 - 酸化耐熱と耐変色性の両性能に優れた樹脂組成物及び衛生製品用合成樹脂繊維 - Google Patents
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Description
すなわち、こうした樹脂製の極細繊維は保管時に綿状の固まりとして倉庫内で保管される際に、綿内に含まれた空気に触れて樹脂組成物の表面が酸化し発熱する危険性がある。そのため、かかる極細繊維用樹脂組成物としては、高温かつ酸素存在下で発熱しにくいという指標の酸化耐熱の基準をクリアすることが求められている。
一方で、衛生用品用途としては、褐色の色は清潔感を損なうため、より白色の樹脂組成物であること、すなわち、耐変色性が求められている。
従来こうした酸化耐熱と耐変色性を両方とも兼ね備えた樹脂組成物を得るために、種々の樹脂配合の探索が試みられていたが、現実的には、両方の性能を同時に改良した樹脂組成物を得ることは非常に難しかった。なぜなら酸化耐熱性と耐変色性は、傾向としてグラフ中右上がりの関係を有することが経験上知られており、そのため、酸化耐熱性を向上させようとして酸化防止剤の量を増やすと(縦軸上方)、酸化防止剤由来の着色がおきて、耐変色性は悪化(縦軸右方)するからである。
また、酸化耐熱を得るためには酸化耐熱に優れた酸化防止剤を使用することも考えられる。例えば、同一分子内に亜リン酸エステル構造とフェノール構造を有する酸化防止剤(例えば、商品名 スミライザー(登録商標)GP)は、単独で使用しても耐変色性と酸化耐熱に優れた酸化防止剤として既知の酸化防止剤である。
加工耐熱に対して十分な安定性を有し、かつ優れた色相安定性を有し、延伸テープや繊維などの延伸加工を行う用途に好適なポリエチレン樹脂組成物を提供することを目的として、ポリエチレン樹脂100重量部に対し、本願発明のA成分に相当する同一分子内に亜リン酸エステル構造とヒンダードフェノール構造を有する酸化防止剤0.01〜1重量部、本願発明のD成分に相当するハイドロタルサイト系化合物0.01〜1重量部および/または本願発明のC成分に相当する高級脂肪酸の周期律表第II族金属塩0.01〜1重量部を含有することを特徴とするポリエチレン樹脂組成物が提案されている(特許文献1)。
また、NOxガスに対する耐変色性、加工安定性、帯電防止性、耐候性および耐熱老化性に優れたポリオレフィン系樹脂組成物およびその樹脂組成物からなる成形体を提供することを課題として、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、本願発明のA成分に相当する特定の式で示される亜リン酸エステル類0.001〜5重量部と、アミド系帯電防止剤0.01〜5重量部、さらに中和剤として本願発明のC成分に相当するステアリン酸カルシウムを含有することを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物が提案されている(特許文献3)。
また、加工安定性、耐熱着色性および耐NOx着色性が改善された新規な熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂の加工安定性、耐熱着色性および耐NOx着色性を改善することにより熱可塑性樹脂を安定化する方法を提供することを課題として、熱可塑性樹脂に本願発明のA成分に相当する特定の式で示される亜リン酸エステル類と、コハク酸ジメチルおよび4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物と、本願発明のD成分に相当するハイドロタルサイトとを含有した熱可塑性樹脂組成物が提案され、さらに本願発明のB成分に相当する有機リン系酸化防止剤を併用添加した実施例も示されている(特許文献4)。
すなわち、本願図1中A4〜A6(比較例4〜6)は、同一分子内に亜リン酸エステル構造とフェノール構造を有する酸化防止剤(成分A)に、ステアリン酸カルシウム(成分C)を加えた樹脂組成物の値を示しており、A7〜A9(比較例7〜9)は該酸化防止剤(A)、ステアリン酸カルシウム(C)に加えてハイドロタルサイト系化合物(D)を加えた樹脂組成物の値を示している。
A10〜A12は、該酸化防止剤(A)にリン系酸化防止剤(B)、ステアリン酸カルシウム(C)を添加した例であり、A13〜A14は該酸化防止剤(A)にリン系酸化防止剤(B)、ハイドロタルサイト系化合物(D)を添加した例である。
いずれも、A1〜3(比較例1〜3)に比べると酸化耐熱性(OIT)耐変色性(ΔYI)共に向上しているが、酸化耐熱性を向上するために酸化防止剤の添加量を増加すると耐変色性は悪化してしまい、その変化カーブを見ても、酸化防止剤の増減を行っても目的とする図中左上の領域に達することができないことは明らかである。
ところが、今般、実験中に条件設定の誤りをきっかけとして、意外にも、両性能を同時に改良した樹脂組成物が得られることを見出し到達したのが、本発明である。
すなわち、種々実験中に、偶然(A)成分と(C)成分を含有したマスターバッチに対し、(B)成分と、(C)成分に間違えて(D)成分を含有したマスターバッチを組み合わせた樹脂組成物において、両性能を充たす新しい領域の樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。この、2種類の(A)と(B)という特定の酸化防止剤の組み合わせと、2種類の(C)と(D)という特定の無機化合物の組み合わせという、4成分を必須とし、かつ(A)成分の含有量を比較的低い添加量範囲と限定することで、4成分のうちの3成分だけの組み合わせや、他の酸化防止剤との組み合わせの結果からは想定しえない、スプリットした領域の性能を有する樹脂組成物が得られたのである。
なお、(A)成分と(B)成分は酸化防止剤として、(C)成分と(D)成分はポリエチレン樹脂の中和剤等として、いずれも公知の樹脂添加剤ではあるが、通常(A)成分の酸化防止剤は単独で使用しても十分効果があると知られているため、単独で使用するのが通常で、また、(C)成分と(D)成分も一般的に同じ目的に使用する添加剤であり、用途に適した性能とコストに応じていずれかを選択することが通常である。
式(1) ΔYI=NOx曝露後YI−初期値YI
式(2) OIT(分)=窒素雰囲気下で試料を所定温度(210℃)に達するまで昇温し、温度が安定化したところで酸素に切り替えた時点から、その後前記試料が酸化により発熱を開始する時点までの所要時間
(式中、YIは、JIS K 7105−1981に準拠して測定した黄色度である。)
また、本発明は、上記樹脂組成物を用いてなる衛生製品用合成樹脂繊維に関する。
以下、本発明の樹脂組成物及びその成分並びに合成樹脂繊維などについて、詳細に説明する。
(1)熱可塑性樹脂
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を必須として含有する。
前記熱可塑性樹脂としては、種々のものが使用可能であり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−αオレフィン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド等が挙げられる。中でも、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、特にポリエチレン樹脂が好ましい。
また、前記ポリエチレン樹脂は、密度が0.94g/cm3以上である高密度ポリエチレンを含有することが好ましい。該高密度ポリエチレンとしては、例えばエチレンの単独重合体、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体などが挙げられる。これらのポリオレフィン系樹脂は、1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、繊維系が数デニールといった極細繊維に用いられる高密度ポリエチレンとしては、密度が0.94g/cm3以上0.96g/cm3以下のエチレンのホモポリマー、エチレンと1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのオレフィンから選ばれる少なくとも1種とのコポリマーが好ましい。加えて、温度190℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレイトが10〜50g/10分、好ましくは15〜25g/10分の範囲にあるものが好適である。
密度が0.940g/cm3未満では不織布製品にした時の嵩高性(ボリューム感)などが低下するおそれがあり、0.960g/cm3を超えると繊維同士の熱融着性等が悪化するので好ましくない。また、メルトフローレイトが10g/10分未満では紡糸性に難点を生じ、50g/10分を超えると繊維の強度低下を招くので好ましくない。
なお、本発明において、メルトフローレイト(MFRともいう。)は、JIS K 7210:1999に準拠して、各条件にて測定した値である。
重合条件は特に限定されないが、重合温度は通常15〜350℃、好ましくは20〜200℃、さらに好ましくは50〜110℃であり、重合圧力は低中圧法の場合、通常常圧〜70kg/cm2G、好ましくは常圧〜20kg/cm2Gであり、高圧法の場合、通常1500kg/cm2G以下である。重合時間は低中圧法の場合、通常3分〜10時間、好ましくは5分〜5時間程度が望ましい。高圧法の場合、通常1分〜30分、好ましくは2分〜20分程度である。また、重合は一段重合法はもちろん、水素濃度、モノマー濃度、重合圧力、重合温度、触媒などの重合条件が互いに異なる2段階以上の多段重合法など特に限定されるものではない。
本発明の樹脂組成物は、同一分子内に亜リン酸エステル構造とヒンダードフェノール構造を有する酸化防止剤(A)(以下、「酸化防止剤(A)」、「(A)成分」ともいう。)を必須として含有する。
前記酸化防止剤(A)としては、下記一般式(I)又は一般式(II)で示される化合物などが例示されるが、本発明の効果は具体例に示された化合物に限定されるものではない。本発明における亜リン酸エステル構造とは、亜リン酸P(OH)3の水素原子が炭化水素基に置換された構造のことをいう。また、本発明におけるヒンダードフェノール構造とは、フェノールの2,6位の水素原子が炭化水素基に置換された構造のことをいう。
一般式(I)で示される化合物は、市販のものとしては、住友化学株式会社製の「スミライザー(登録商標)GP」が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、リン系酸化防止剤(B)(以下、「酸化防止剤(B)」、「(B)成分」ともいう。)を必須として含有する。なお、酸化防止剤(B)は、酸化防止剤(A)(同一分子内に亜リン酸エステル構造とヒンダードフェノール構造を有する酸化防止剤)とは異なるリン系酸化防止剤である。
(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の比が前記範囲を超え、(A)成分の含有量が多くなるか、または(B)成分の含有量が多くなると、酸化耐熱向上に相乗効果が乏しくなるおそれがあるため好ましくない。
本発明の樹脂組成物は、高級脂肪族の周期律表第II族金属塩(C)(以下、「中和剤(C)」、「(C)成分」ともいう。)を必須として含有する。
本発明の樹脂組成物は、ハイドロタルサイト系化合物(D)(以下、「中和剤(D)」、「(D)成分」ともいう。)を必須として含有する。
本発明の樹脂組成物は上記(A)(B)(C)(D)の4成分を必須とし、かつ、(A)成分の含有量が、比較的低含有量(樹脂組成物中0.02重量%以上0.1重量%未満)であることを特徴とするものであり、更に好ましくは(B)成分の樹脂組成物中含有量が、0.02重量%以上0.15重量%以下、(C)成分の樹脂組成物中含有量が、0.05重量%以上0.15重量%以下、(D)成分の樹脂組成物中含有量が、0.02重量%以上0.1重量%以下であること、更に好ましくは、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の比が、1:0.5〜1:5の範囲であることを特徴とすることにより、絶妙のバランスで、相反する性能である、酸化耐熱と耐変色性の両性能に優れた樹脂組成物を得ることができる。
本発明の樹脂組成物は、下記式(1)で表される耐変色指数(ΔYI)が10.0以下、下記式(2)で表される酸素誘導時間(OIT)が、10.0以上であることが好ましい。
式(1) ΔYI=NOx曝露後YI−初期値YI
式(2) OIT(分)=窒素雰囲気下で試料を所定温度(210℃)に達するまで昇温し、温度が安定化したところで酸素に切り替えた時点から、その後前記試料が酸化により発熱を開始する時点までの所要時間
ΔYIは、10.0以下であり、好ましくは9以下である。
ΔYIが10.0より大きいと、変色度合いが顕著であり衛生材料用途として好ましくない。またΔYIはより小さい方が好ましいため下限は限定されないが、本願発明によれば少なくとも7.0以上10.0以下のΔYI値を有し、かつOITの値が10.0以上の樹脂組成物を得ることができる。
OITは、10.0以上であり、好ましくは15.0以上、更に好ましくは20.0以上である。
OITが10.0より小さいと、繊維製品では酸化発熱による自然発火のリスクが高まるため好ましくない。
また、OITはより高い方が好ましいため上限は限定されないが、本願発明によれば少なくとも10.0以上40.0以下のOIT値を有し、かつΔYI値が10.0以下の樹脂組成物を得ることができる。
本発明の樹脂組成物は、前記熱可塑性樹脂に対し、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の4成分を必須として含有する樹脂組成物であるが、樹脂組成物の製造方法としては、通常行われている方法を用いることができる。上記成分の添加順序は特に制限はない。
本発明の衛生製品用合成樹脂繊維は、本発明の樹脂組成物を用いて製造されるが、その製造方法については特に制限はなく、従来から行われている公知の方法により製造することができる。例えば、ポリエチレン樹脂組成物をモノフィラメント用ダイを備えた押出し機で押出し、これを一旦冷却後、ローラに導く。ローラを通過した後に、加熱槽により加熱し、前記ローラよりも回転速度の早いローラを通過させる。二つのローラの周速比の違いにより、フィラメントを延伸させ、繊維を製造することができる。
前記衛生製品用合成樹脂繊維は、繊維径が数デニールといった極細繊維とすることができ、この場合、酸化耐熱と耐変色性とが優れた繊維であるため、好適である。こうした樹脂製の極細繊維は保管時に綿状の固まりとして倉庫内で保管される際に、綿内に含まれた空気に触れて樹脂組成物の表面が酸化し発熱する危険性があるが、本発明の繊維は繊維径が数デニールであっても約210℃といった高温かつ酸素存在下で発熱しにくいものであり、加えて、耐変色性が優れ、黄変しにくいため、マスクなどの衛生用品に用いる場合に好適である。
本発明の樹脂組成物は、ボトルキャップ等や白色フィルム等、耐変色性と酸化耐熱が求められるものにも特に好適に使用される。
具体的には、炭酸飲料ボトルキャップ等が例示され、好適に使用することができる。
なお、各実施例及び比較例において、用いた重合体の各物性の評価方法を以下に示す。
(1)メルトフローレイト(MFR)
MFRは、JIS K 7210:1999に準拠して、各条件にて測定した。
(2)密度
ラミフィルムをタテヨコ2mmになるように打ち抜き、試験温度23℃で、JIS K7112に準拠して、測定した。
I)測定用試料調整
試料である試験用フィルムの巾両端を裁断し、厚み精度良好(30μ±10%)となるよう調整した。厚み精度を調整したフィルム50mを筒状に巻き、両端をホースバンドによりトルク10Kg・cmで締付けて固定し測定用試料とした。
II)YI(初期値)の測定
前記I)で調整した試料端面の一方を測定面に決め、日本電色製カラーコンピューター(機種名:ZE2000)でYIを測定しこの値をYI初期値とした。
III)ΔYIの算出
JIS L0855に準拠し、上記I)で調整した試料を密閉容器中に静置し500ppm濃度のNOxガスを充満させ23℃下7日間曝露した。曝露期間終了後速やかに試料を取り出し、上記II)と同様の方法でYIを計測し下記の式(1)によりΔYIを算出した。
ΔYI=NOx曝露後YI−初期値YI (1)
エスアイアイ・ナノテクノロジー社製 DSC7020の熱分析装置を用い、下記条件で測定を行った。
測定温度:210℃
昇温速度:20℃/分
窒素流量:50ml/分
酸素流量:50ml/分
試料:30μmフィルム
試料重量:15mg
窒素雰囲気下で所定温度(210℃)に達するまで昇温し、温度が安定化したところで酸素に切り替えるとその後試料が酸化により発熱を開始する。
酸素に切替を開始した時点から発熱を開始する時点までの所要時間を酸素誘導時間(OIT)とした。
(1)熱可塑性樹脂
熱可塑性樹脂として、高密度ポリエチレンである、日本ポリエチレン社製「ノバテック(登録商標)HD:HE490」重合時の無添加パウダー(製造時に採取した添加剤を配合していないポリエチレンパウダー)、MFR(JIS K6922−2準拠):22g/10分、密度(JIS K7112準拠):0.956g/cm3を使用した。
酸化防止剤(A)である、同一分子内に亜リン酸エステル構造とヒンダードフェノール構造を有する酸化防止剤として、住友化学社製リン系酸化防止剤、商品名「スミライザーGP」を使用した。
酸化防止剤(B)である、リン系酸化防止剤として、BASFジャパン社製リン系酸化防止剤、商品名「イルガフォス168」を使用した。
また、酸化防止剤(E)として、BASFジャパン社製フェノール系酸化防止剤、商品名「イルガノックス1076」を使用した。
中和剤(C)である、高級脂肪族の周期律表第II族金属塩として、日油社製ステアリン酸カルシウム、商品名「カルシウムステアレートG」を使用した。
中和剤(D)である、ハイドロタルサイト系化合物として、協和化学社製ハイドロタルサイト、商品名「DHT−4A」を使用した。
(実施例1〜8及び比較例1〜17)
(1)樹脂組成物の調整
ベースとなる前記高密度ポリエチレンパウダーに表1〜3に示した所定量の添加剤を計量し、ヘンシェルミキサーにより3分間攪拌しポリエチレンと添加剤が均質混合されるよう調整した。(表中の数字は組成物中の各添加剤の重量%を示す)
(2)ペレット化
前記で調整した添加剤入りポリエチレンパウダーをフィルム成形機に供するため、押出機を使用し以下の条件で押出造粒を行いペレットを得た。
押出機:モダンマシナリー製50mmφ(単軸)
L/D:24
スクリュー圧縮比:2.5 (3ステージフルフライトタイプ)
押出機温度設定(℃)
シリンダー1:140
シリンダー2〜シリンダー3:160
押出機ヘッド〜ダイ:140
ノズル:3mmφ(穴径)×8(穴数)
スクリーンメッシュ構成:100/120/100
押出量:22Kg/Hr
ストランド冷却:水冷(常温)
ペレット化:自社製ペレタイザー
(3)フィルム成形
前記条件で得られたペレットを以下の条件でフィルム製膜し評価試料とした。
装置:三菱重工製50mmφTダイフィルム成型装置
L/D:24 スクリュー圧縮比:2.8 (3ステージフルフライトタイプ)
Tダイ:ダイ巾300mm リップ巾1.0mm(コートハンガータイプ)
押出機温度設定(℃)
シリンダー1:180
シリンダー2〜シリンダー3:200
アダプター、ダイ1〜ダイ3:200
フィルム冷却方式:チルロール+エアナイフ
チルロール温度設定(℃):80
フィルム厚み:30μm
以下、本願実施例と比較例の説明を図1及び図2に示すグラフをもとに説明する。
実施例と比較例において、酸素誘導時間(OIT)と耐変色指数(ΔYI)との関係をグラフにし、図1及び図2に示した。
図1は、実施例1〜8及び比較例1〜17の、OITとΔYIとの関係をグラフ化したものである。また、図2は、実施例1、比較例3、比較例11及び比較例13におけるOITとΔYIの値をグラフ化したものである。
比較例1〜3は、酸化防止剤の組み合わせが本願発明の(A)成分と(B)成分ではなく、(B)成分と他の酸化防止剤(E)を組み合わせた例であり、無機化合物(中和剤)として1成分(C)のみを用いた例であり、各々酸化防止剤(E)の添加量0.1重量%、0.05重量%、0.025重量%と変化させた例である。この系の樹脂組成物の結果は、図1のA1〜A3のプロットに示すように、酸化耐熱のレベルも低く、耐変色性も好ましくない。
比較例4〜6は、酸化防止剤として1種の(A)成分と、中和剤として1成分(C)のみを用いた例である。比較例1〜3に比べると、酸化耐熱と耐変色性のレベルが若干向上しているが、目的とする領域(ΔYIが10.0以下で且つOITが10.0以上)までは達していない。
比較例7〜9は酸化防止剤として1種の(A)成分と中和剤として2種の(C)成分と(D)成分を用いた例である。酸化防止剤(A)の添加量が0.05重量%、0.1重量%では酸化耐熱の目標であるOITが10.0以上を十分に満足するが、耐変色性は目標であるΔYIが10.0以下に未達であった。
比較例10〜12は、酸化防止剤として2種の(A)成分と(B)成分を併用し、中和剤として1成分(C)を用いた例である。酸化耐熱のレベルは向上しているが、耐変色性がやはり劣っていて、目的とする領域まで達していない。
比較例13〜14は、酸化防止剤として2種の(A)成分と(B)成分を併用し、中和剤として1成分(D)を用いた例である。これも酸化耐熱のレベルは向上するものの、耐変色性が劣り、(A)成分の添加量を加減しても、目的とする領域まで達してはいない。
少なくともこの3成分必須の比較例10〜12(ABC)と比較例13〜14(ABD)を見ても、本発明の(A)(B)(C)及び(D)の4成分必須の系が、下記に示すとおり顕著な効果を有することは予期し得ない。
また、比較例15〜17は、酸化防止剤として2種の(A)(B)成分、中和剤として2種の(C)(D)成分を用いているが、(A)成分の添加量が本願発明で特定する範囲より高い場合を示す例である。(A)成分を0.15重量%〜0.3重量%添加した樹脂組成物は、グラフ中に示すように、酸化耐熱の値は高いが、耐変色性(ΔYI)のレベルが高く、本発明の目的とする領域(ΔYIが10.0以下で且つOITが10.0以上)には、達することができない。
これに対し、本願発明の効果は実施例1〜8(図中B1〜B8)に示すとおりである。
また、図2は、実施例1(B1)と、比較例5(A5)、比較例11(A11)及び比較例13(A13)におけるOIT(左側)とΔYI(右側)の値をグラフ化し示した図である。なお、左側に示すOIT(酸化耐熱性)は高い方が好ましく、右側に示すΔYI(変色性)は小さい方が好ましい。
この図2から、上記4成分のうちの2成分や3成分だけの組み合わせに比べて、本願発明の4成分必須の系のものは、OITとΔYI共に、顕著に際立って良好であることが明示されている。特に、(A)+(B)+(C)成分のA11と(A)+(B)+(D)成分のA13の結果から予測される効果に比べて、本願発明の(A)+(B)+(C)+(D)の効果は特異的に良好であることが明示されている。
したがって、本願発明の(A)(B)(C)及び(D)の4成分を必須とし、かつ(A)成分の含有量を特定範囲とすることで、ΔYIが10.0以下で且つOITが10.0以上という、酸化耐熱と、耐変色性を両方とも兼ね備える新しい領域の樹脂組成物を得ることが可能となることが確認された。
これらの比較例に比べて、本発明による樹脂組成物は、実施例1〜8に示すとおり、酸化耐熱と、耐変色性を両方とも兼ね備えるものであることが確認された。
Claims (7)
- 熱可塑性樹脂に対し、(A)同一分子内に亜リン酸エステル構造とヒンダードフェノール構造を有する酸化防止剤、(B)リン系酸化防止剤、(C)高級脂肪族の周期律表第II族金属塩及び(D)ハイドロタルサイト系化合物の4成分を必須として含有する樹脂組成物であって、(A)成分の樹脂組成物中含有量が、0.02重量%以上0.1重量%未満、(B)成分の樹脂組成物中含有量が、0.02重量%以上0.15重量%以下、(C)成分の樹脂組成物中含有量が、0.05重量%以上0.15重量%以下、(D)成分の樹脂組成物中含有量が、0.02重量%以上0.1重量%以下であることを特徴とする酸化耐熱と耐変色性の両性能に優れた樹脂組成物。
- (A)成分の含有量と、(B)成分の含有量の比が、1:0.5〜1:5の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の酸化耐熱と耐変色性の両性能に優れた樹脂組成物。
- 前記熱可塑性樹脂が、ポリエチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかの項に記載の酸化耐熱と耐変色性の両性能に優れた樹脂組成物。
- 前記ポリエチレン系樹脂が、密度0.94g/cm3以上0.96g/cm3以下の高密度ポリエチレン樹脂を含有することを特徴とする請求項4に記載の酸化耐熱と耐変色性の両性能に優れた樹脂組成物。
- 下記式(1)で表される耐変色指数(ΔYI)が10.0以下、下記式(2)で表される酸素誘導時間(OIT)が、10.0以上であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかの項に記載の酸化耐熱と耐変色性の両性能に優れた樹脂組成物。
式(1) ΔYI=NOx曝露後YI−初期値YI
式(2) OIT(分)=窒素雰囲気下で試料を所定温度(210℃)に達するまで昇温し、温度が安定化したところで酸素に切り替えた時点から、その後前記試料が酸化により発熱を開始する時点までの所要時間
(式中、YIは、JIS K 7105−1981に準拠して測定した黄色度である。) - 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の樹脂組成物を用いてなることを特徴とする衛生製品用合成樹脂繊維。
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