[0092]ここで、本発明の代表的な態様に対して、詳細に言及する。本発明は、列挙する態様と組み合わせて記載されるが、本発明はこれらの態様に限定されるとは意図されないことが理解されるであろう。対照的に、本発明は、請求項によって定義されるような本発明の範囲内に含まれうる、すべての代替物、修飾、および同等物を含むよう意図される。
[0093]当業者は、本発明の実施において使用可能であり、そして実施の範囲内にある、本明細書記載のものと類似のまたは同等な多くの方法および材料を認識するであろう。本発明は、いかなる点でも、記載する方法および材料に限定されない。
[0094]別に定義しない限り、本明細書で用いる技術的および科学的用語は、本発明が属する技術範囲の一般の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書記載のものと類似のまたは同等な任意の方法、デバイス、および材料を、本発明の実施または試験において使用可能であるが、好ましい方法、デバイス、および材料を、ここで記載する。
[0095]本出願に引用するすべての刊行物、公開特許文書、および特許出願は、本出願が関連する技術分野(単数または複数)の技術のレベルの指標である。本明細書に引用するすべての刊行物、公開特許文書、および特許出願は、各個々の刊行物、公開特許文書、または特許出願が、具体的に、そして個々に、本明細書に援用されると示されるのと同じ度合いに、本明細書に援用される。
[0096]本出願で使用する際、付随する請求項を含めて、文脈が別に明らかに示さない限り、単数形「a」、「an」、および「the」には複数の言及が含まれ、そして「少なくとも1つ」および「1またはそれより多く」と交換可能に用いられる。したがって、「アプタマー(an aptamer)」への言及には、アプタマーの混合物が含まれ、「プローブ(a probe)」への言及には、プローブの混合物が含まれるなどである。
[0097]本明細書において、用語「約」は、数値が関連する項目の基本的な機能が不変であるような、数値の重要でない修飾または変動を示す。
[0098]本明細書において、用語「含む(comprises)」、「含むこと(comprising)」、「含まれる(includes)」、「含まれること(including)」、「含有する(contains)」、「含有すること(containing)」、およびそれらの任意の変形は、非包括的包含を含むと意図され、したがって、要素または要素のリストを含むか、該要素が含まれるか、または該要素を含有する、問題のプロセス、方法、プロセスによる産物、または組成物には、これらの要素のみが含まれるのでなく、問題のこうしたプロセス、方法、プロセスによる産物、または組成物に明確に列挙されていないかまたは本質的でない、他の要素もまた、含まれてもよい。
[0099]本出願には、NSCLCおよびより一般的に癌の検出および診断のためのバイオマーカー、方法、デバイス、試薬、系、およびキットが含まれる。
[0100]1つの側面において、単独で、または多様な組み合わせのいずれかで、NSCLCを診断し、CTスキャンまたは他の画像化法で同定された未確定の肺小結節を持つ個体で見られる非悪性状態から、NSCLCの示差的診断を可能にし、NSCLCに関して高リスクの喫煙者をスクリーニングし、そしてNSCLCを有する個体を診断し、NSCLC再発を監視し、または他の臨床的徴候に取り組む、1またはそれより多いバイオマーカーを提供する。以下に詳細に記載するように、例示的な態様には、表1に提供するバイオマーカーであって、一般的に実施例1に、そしてより具体的には実施例2に記載される多重化アプタマーに基づくアッセイを用いて同定される、前記マーカーが含まれる。
[0101]表1は、NSCLC症例由来の数百の個体血液サンプル、ならびに高リスク喫煙者および良性肺小結節由来の数百の同等の個体対照血液サンプルを分析することから得た知見を示す。喫煙者および良性肺小結節対照群は、無症候性個体および症候性個体を含めて、NSCLC診断試験が最も利益をもたらしうる集団にマッチするよう設計された。これらの症例および対照を、多数の臨床施設から得て、こうした試験を適用可能な現実世界の条件の範囲を模倣した。潜在的なバイオマーカーを、疾患および対照血をプールするのではなく、個々のサンプルにおいて測定した;これによって、疾患(この場合、NSCLC)の存在および非存在に関連する表現型における個体および群変動をよりよく理解することが可能になった。1000を超えるタンパク質測定を各サンプルに対して行い、そして疾患および対照集団各々由来の数百のサンプルを個々に測定するため、表1は、非常に多数のデータセットの分析から生じた。本明細書のセクション「バイオマーカーの分類および疾患スコアの計算」中に記載する方法を用いて、測定を分析した。表1は、喫煙者および良性肺小結節から得られる「対照」サンプルから、NSCLCの個体から得られるサンプルを区別する際に有用であることが見出される、59のバイオマーカーを列挙する。
[0102]記載するNSCLCバイオマーカーの特定のものは、NSCLCを検出し、そして診断するために単独で有用であるが、本明細書に記載するのはまた、NSCLCバイオマーカーの多数のサブセットをグループ化する方法であって、各グループ化またはサブセット選択が、3またはそれより多いバイオマーカーのパネルとして有用であり、本明細書において交換可能に「バイオマーカー・パネル」およびパネルと称されるものである、前記方法である。したがって、本出願の多様な態様は、Nのバイオマーカーを含む組み合わせを提供し、ここでNは少なくとも2つのバイオマーカーである。他の態様において、Nは、2〜59のバイオマーカーより選択される。
[0103]さらに他の態様において、Nは、2〜5、2〜10、2〜15、2〜20、2〜25、2〜30、2〜35、2〜40、2〜45、2〜50、2〜55、または2〜59からの任意の数であるように選択される。他の態様において、Nは、3〜5、3〜10、3〜15、3〜20、3〜25、3〜30、3〜35、3〜40、3〜45、3〜50、3〜55、または3〜59からの任意の数であるように選択される。他の態様において、Nは、4〜5、4〜10、4〜15、4〜20、4〜25、4〜30、4〜35、4〜40、4〜45、4〜50、4〜55、または4〜59からの任意の数であるように選択される。他の態様において、Nは、5〜10、5〜15、5〜20、5〜25、5〜30、5〜35、5〜40、5〜45、5〜50、5〜55、または5〜59からの任意の数であるように選択される。他の態様において、Nは、6〜10、6〜15、6〜20、6〜25、6〜30、6〜35、6〜40、6〜45、6〜50、6〜55、または6〜59からの任意の数であるように選択される。他の態様において、Nは、7〜10、7〜15、7〜20、7〜25、7〜30、7〜35、7〜40、7〜45、7〜50、7〜55、または7〜59からの任意の数であるように選択される。他の態様において、Nは、8〜10、8〜15、8〜20、8〜25、8〜30、8〜35、8〜40、8〜45、8〜50、8〜55、または8〜59からの任意の数であるように選択される。他の態様において、Nは、9〜10、9〜15、9〜20、9〜25、9〜30、9〜35、9〜40、9〜45、9〜50、9〜55、または9〜59からの任意の数であるように選択される。他の態様において、Nは、10〜15、10〜20、10〜25、10〜30、10〜35、10〜40、10〜45、10〜50、10〜55、または10〜59からの任意の数であるように選択される。Nは、類似の、しかしより高い桁の範囲を含むように選択可能であることが認識されるであろう。
[0104]1つの態様において、バイオマーカー・サブセットまたはパネルに有用なバイオマーカーの数は、バイオマーカー値の特定の組み合わせに関する感度および特異性値に基づく。用語「感度」および「特異性」は、本明細書において、個体の生物学的サンプル中で検出される1またはそれより多いバイオマーカー値に基づいて、NSCLCを持つまたはNSCLCを持たないとして、個体を正しく分類する能力に関して用いられる。「感度」は、NSCLCを持つ個体を正しく分類することに関するバイオマーカー(単数または複数)の性能を示す。「特異性」は、NSCLCを持たない個体を正しく分類することに関するバイオマーカー(単数または複数)の性能を示す。例えば、対照サンプルおよびNSCLCサンプルのセットを試験するために用いられるマーカーのパネルに関して、85%の特異性および90%の感度は、パネルによって、対照サンプルの85%が対照サンプルとして正しく分類され、そしてパネルによって、NSCLCサンプルの90%がNSCLCサンプルとして正しく分類されたことを示す。望ましいまたは好ましい最小値は、実施例3に記載するように決定可能である。代表的なパネルを表4〜11に示し、これは3〜10のバイオマーカーの100の異なるパネルのシリーズを示し、各パネルに関して、特異性および感度の示すレベルを有する。これらのパネル各々における各マーカーの出現総数を表12に示す。
[0105]1つの側面において、NSCLCは、個体由来の生物学的サンプルに対するアッセイを実行して、そしてバイオマーカー、MMP7、CLIC1またはSTX1Aおよび表1中のバイオマーカーのリストから選択される少なくともNのさらなるバイオマーカーの少なくとも1つに各々対応するバイオマーカー値を検出することによって、個体において検出されるかまたは診断され、ここで、Nは、2、3、4、5、6、7、8、または9に等しい。さらなる側面において、NSCLCは、個体由来の生物学的サンプルに対するアッセイを実行して、そしてバイオマーカー、MMP7、CLIC1またはSTX1Aおよび表1中のバイオマーカーのリストから選択される少なくともNのさらなるバイオマーカーの1つに各々対応するバイオマーカー値を検出することによって、個体において検出されるかまたは診断され、ここで、Nは、1、2、3、4、5、6、または7に等しい。さらなる側面において、NSCLCは、個体由来の生物学的サンプルに対するアッセイを実行して、そしてバイオマーカー、MMP7および表1中のバイオマーカーのリストから選択される少なくともNのさらなるバイオマーカーの1つに各々対応するバイオマーカー値を検出することによって、個体において検出されるかまたは診断され、ここで、Nは、2、3、4、5、6、7、8、または9に等しい。さらなる側面において、NSCLCは、個体由来の生物学的サンプルに対するアッセイを実行して、そしてバイオマーカー、CLIC1および表1中のバイオマーカーのリストから選択される少なくともNのさらなるバイオマーカーの1つに各々対応するバイオマーカー値を検出することによって、個体において検出されるかまたは診断され、ここで、Nは、2、3、4、5、6、7、8、または9に等しい。さらなる側面において、NSCLCは、個体由来の生物学的サンプルに対するアッセイを実行して、そしてバイオマーカー、STX1Aおよび表1中のバイオマーカーのリストから選択される少なくともNのさらなるバイオマーカーの1つに各々対応するバイオマーカー値を検出することによって、個体において検出されるかまたは診断され、ここで、Nは、2、3、4、5、6、7、8、または9に等しい。
[0106]本明細書に同定されるNSCLCバイオマーカーは、NSCLCを有効に検出するかまたは診断するために使用可能な、バイオマーカーのサブセットまたはパネルの比較的多数の選択に相当する。こうしたバイオマーカーの望ましい数の選択は、選択されるバイオマーカーの特定の組み合わせに応じる。NSCLCを検出するかまたは診断するためのバイオマーカーのパネルにはまた、表1に見られないバイオマーカーも含まれる可能性もあり、そして表1に見られないさらなるバイオマーカーを含めると、表1より選択される特定のサブセットまたはパネル中のバイオマーカーの数を減少させることも可能であることを覚えておくことが重要である。サブセットまたはパネルに用いられる表1由来のバイオマーカーの数はまた、さらなる生物医学情報を、バイオマーカー値と組み合わせて用いて、所定のアッセイに関する許容されうる感度および特異性を確立すると、減少させることも可能である。
[0107]バイオマーカーのサブセットまたはパネル中で用いられるバイオマーカーの数に影響を及ぼしうる別の要因は、NSCLCに関して診断中の個体由来の生物学的サンプルを得るために用いられる方法である。注意深く管理されたサンプル調達環境において、望ましい感度および特異性値を満たすために必要なバイオマーカーの数は、サンプル収集、取り扱いおよび保存において、より大きい変動が存在しうる状況におけるよりも低いであろう。表1に示すバイオマーカーのリストを発展させる際、多数のサンプル収集施設を利用して、分類器訓練のためのデータを収集した。これは、サンプル収集、取り扱いおよび保存における変動により感受性でないよりロバストなバイオマーカーを提供するが、また非常に類似の条件下で訓練データがすべて得られた場合よりもサブセットまたはパネル中のバイオマーカーの数をより大きくすることもまた必要としうる。
[0108]本出願の1つの側面は、一般的に、図1Aおよび1Bを参照して表現可能である。関心対照の単数または複数の個体から生物学的サンプルが得られる。次いで、生物学的サンプルをアッセイして、関心対照の1またはそれより多い(Nの)バイオマーカーの存在を検出して、そして前記のNのバイオマーカー各々に関するバイオマーカー値を決定する(図1Bにおいて、マーカーRFUと称される)。ひとたび、バイオマーカーが検出され、そしてバイオマーカー値が割り当てられたら、本明細書に詳細に記載するように、各マーカーをスコア付けするかまたは分類する。次いで、マーカースコアを合わせて、総診断スコアを提供し、これは、サンプルを得た個体がNSCLCを有する尤度を示す。
[0109]本明細書において、「肺(lung)」は、交換可能に「肺(pulmonary)」を指しうる。
[0110]本明細書において、「喫煙者」は、タバコの煙の吸入歴を有する個体を指す。
[0111]「生物学的サンプル」、「サンプル」、および「試験サンプル」は、本明細書において、交換可能に用いられ、個体から得られたかまたは別の方式で派生した、任意の材料、生物学的液体、組織、または細胞を指す。これには、血液(全血、白血球、末梢血単核細胞、バフィーコート、血漿、および血清が含まれる)、痰、涙、粘液、鼻洗浄液、鼻吸引液、息、尿、精液、唾液、腹腔洗浄液、嚢胞液、髄膜液、羊水、腺液、リンパ液、細胞液、腹水、胸水、乳頭吸引液、気管支吸引液、気管支ブラッシング、滑液、関節吸引液、臓器分泌物、細胞、細胞抽出物、および脳脊髄液が含まれる。これにはまた、前述のものすべての実験的に分離された分画も含まれる。例えば、血液サンプルを、血清、血漿に、あるいは特定の血球タイプ、例えば赤血球または白血球(白血球細胞)を含有する分画に分画してもよい。望ましい場合、サンプルは、個体由来のサンプルの組み合わせ、例えば組織および液体サンプルの組み合わせであってもよい。用語「生物学的サンプル」にはまた、ホモジナイズした固形材料、例えば糞便サンプル、組織サンプル、または組織生検由来のものも含まれる。用語「生物学的サンプル」にはまた、組織培養または細胞培養由来の材料も含まれる。生物学的サンプルを得るための任意の適切な方法を使用してもよく;例示的な方法には、例えば、静脈切開術、スワブ(例えば頬側スワブ)、および細針吸引生検法が含まれる。細針吸引しやすい例示的な組織には、リンパ節、肺、肺洗浄液、BAL(気管支肺胞洗浄液)、胸膜、甲状腺、乳房、膵臓および肝臓が含まれる。サンプルはまた、例えば顕微解剖(例えば、レーザー捕捉顕微解剖(LCM)またはレーザー顕微解剖(LMD))、膀胱洗浄、スメア(例えばPAPスメア)、または管洗浄によって収集可能である。個体から得られるかまたは派生する「生物学的サンプル」には、個体から得られた後、任意の適切な方式でプロセシングされている任意のサンプルが含まれる。
[00112]さらに、多くの個体から生物学的サンプルを得て、そしてこれらをプールするか、または各個体の生物学的サンプルのアリコットをプールすることによって、生物学的サンプルを得てもよいことを理解しなければならない。プールされたサンプルは、単一個体由来のサンプルと同様に処理可能であり、そしてプールされたサンプルにおいて、癌の存在が確立されたら、各個々の生物学的サンプルを再試験して、どの個体(単数または複数)がNSCLCを有するかを決定してもよい。
[0113]本明細書の目的のため、句「個体由来の生物学的サンプルに起因するデータ」は、個体の生物学的サンプルから得られるか、またはこうしたサンプルを用いて生成された何らかの型のデータを意味するよう意図される。データは、生成された後、例えば1つの測定系の単位から、別の測定系の単位に変換することによって、ある程度まで、再フォーマットされるか、改訂されるか、または数学的に改変されていることも可能であるが;データは、生物学的サンプルから得られているかまたは該サンプルを用いて生成されたと理解される。
[0114]「ターゲット」、「ターゲット分子」、および「分析物」は、本明細書において交換可能に用いられ、生物学的サンプル中に存在可能な、関心対照の任意の分子を指す。「関心対照の分子」には、特定の分子の任意の重大でない変動、例えばタンパク質の場合、分子の同一性を実質的に改変しない、例えば、アミノ酸配列、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、あるいは任意の他の操作または修飾、例えば標識構成要素でのコンジュゲート化の重大でない変動が含まれる。「ターゲット分子」、「ターゲット」、または「分析物」は、分子または多分子構造の1つのタイプまたは種のコピーセットである。「ターゲット分子」、「ターゲット」、および「分析物」は、1より多いこうした分子セットを指す。例示的なターゲット分子には、タンパク質、ポリペプチド、核酸、炭水化物、脂質、多糖、糖タンパク質、ホルモン、受容体、抗原、抗体、アフィボディ、自己抗体、抗体模倣体、ウイルス、病原体、毒性物質、基質、代謝産物、遷移状態類似体、補因子、阻害剤、薬剤、色素、栄養素、増殖因子、細胞、組織、および前述の任意のものの任意の断片または部分が含まれる。
[0115]本明細書において、「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は交換可能に用いられ、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指す。ポリマーは、直鎖または分枝鎖であってもよく、修飾アミノ酸を含んでもよく、そして非アミノ酸によって中断されていてもよい。該用語はまた、天然にまたは介入によって修飾されているアミノ酸ポリマーも含み;例えばジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、あるいは任意の他の操作または修飾、例えば標識構成要素でのコンジュゲート化で修飾されている。定義内にやはり含まれるのは、例えば、アミノ酸の1またはそれより多い類似体(例えば非天然アミノ酸等を含む)、ならびに当該技術分野に知られる他の修飾を含有するポリペプチドである。ポリペプチドは、単一の鎖または会合する鎖であってもよい。定義内にやはり含まれるのは、プレタンパク質および損なわれていない(intact)成熟タンパク質;成熟タンパク質から得られるペプチドまたはポリペプチド;タンパク質の断片;スプライス変異体;タンパク質の組換え型;アミノ酸修飾、欠失、または置換を含むタンパク質変異体;ならびに翻訳後修飾、例えばグリコシル化、アセチル化、リン酸化等である。
[0116]本明細書において、「マーカー」および「バイオマーカー」は、交換可能に用いられ、個体における正常または異常なプロセス、あるいは個体における疾患または他の状態を示すか、あるいはこれらの徴候である、ターゲット分子を指す。より具体的には、「マーカー」または「バイオマーカー」は、正常または異常であってもよく、そして異常である場合、慢性または急性であってもよい、特定の生理学的状態またはプロセスの存在と関連する、解剖学的、生理学的、生化学的、または分子パラメータである。バイオマーカーは、実験室アッセイおよび医学的画像化法を含む、多様な方法によって、検出可能であり、そして測定可能である。バイオマーカーがタンパク質である場合、生物学的サンプルにおける対応するタンパク質バイオマーカーの量または存在または非存在の代理尺度として対応する遺伝子の発現、あるいはバイオマーカーの発現を制御するバイオマーカーまたはタンパク質をコードする遺伝子のメチル化状態を用いることも可能である。
[0117]本明細書において、「バイオマーカー値」、「値」、「バイオマーカーレベル」、および「レベル」は、交換可能に用いられ、生物学的サンプル中のバイオマーカーを検出するための任意の分析法を用いて行われ、そして生物学的サンプル中のバイオマーカーの、該バイオマーカーに関する、または該バイオマーカーに対応する、存在、非存在、絶対量または濃度、相対量または濃度、力価、レベル、発現レベル、測定されたレベルの比等を示す、測定値を指す。「値」または「レベル」の正確な性質は、バイオマーカーを検出するために使用される特定の分析法の特定の設計および構成要素に応じる。
[0118]バイオマーカーが、個体における異常なプロセスまたは疾患または他の状態を示すか、またはその徴候である場合、バイオマーカーは、一般的に、個体における正常なプロセスまたは疾患もしくは他の状態の非存在を示すかまたはこれらの徴候であるバイオマーカーの発現レベルまたは値に比較した際、過剰発現されているかまたは過少発現されているかいずれかであると記載される。「上方制御」、「上方制御された」、「過剰発現」、「過剰発現された」、およびその任意の変形は、交換可能に用いられ、健康なまたは正常な個体由来の類似の生物学的サンプル中で典型的に検出されるバイオマーカーの値またはレベル(あるいは値またはレベルの範囲)より大きい、生物学的サンプル中のバイオマーカーの値またはレベルを指す。該用語はまた、特定の疾患の異なる段階で検出可能なバイオマーカーの値またはレベル(あるいは値またはレベルの範囲)より大きい、生物学的サンプル中のバイオマーカーの値またはレベルも指してもよい。
[0119]「下方制御」、「下方制御された」、「過少発現」、「過少発現された」、およびその任意の変形は、交換可能に用いられ、健康なまたは正常な個体由来の類似の生物学的サンプル中で典型的に検出されるバイオマーカーの値またはレベル(あるいは値またはレベルの範囲)より小さい、生物学的サンプル中のバイオマーカーの値またはレベルを指す。該用語はまた、特定の疾患の異なる段階で検出可能なバイオマーカーの値またはレベル(あるいは値またはレベルの範囲)より小さい、生物学的サンプル中のバイオマーカーの値またはレベルも指してもよい。
[0120]さらに、過剰発現されたかまたは過少発現されたかいずれかであるバイオマーカーはまた、個体における正常なプロセスまたは疾患もしくは他の状態の非存在を示すかまたはその徴候であるバイオマーカーの「正常」発現レベルまたは値と比較した際、「示差的に発現された」か、または「示差的レベル」または「示差的値」を有すると称されることも可能である。したがって、バイオマーカーの「示差的発現」はまた、バイオマーカーの「正常」発現レベルからの変動と称されることも可能である。
[0121]用語「示差的遺伝子発現」および「示差的発現」は交換可能に用いられ、その発現が、正常または対照被験体における発現に比較して、特定の疾患を患う被験体において、より高いレベルまたはより低いレベルに活性化されている遺伝子(またはその対応するタンパク質発現産物)を指す。該用語にはまた、その発現が、同じ疾患の異なる病期で、より高いレベルまたはより低いレベルに活性化されている遺伝子(またはその対応するタンパク質発現産物)も含まれる。示差的に発現される遺伝子が、核酸レベルまたはタンパク質レベルで活性化されるかまたは阻害されるかいずれであってもよく、あるいは異なるポリペプチド産物を生じる選択的スプライシングに供されていてもよいこともまた理解される。こうした相違は、mRNAレベル、表面発現、ポリペプチドの分泌または他の分配を含む、多様な変化によって証明されていてもよい。示差的遺伝子発現には、2またはそれより多い遺伝子またはその遺伝子産物間の発現の比較;あるいは2またはそれより多い遺伝子またはその遺伝子産物間の発現の比の比較;あるいはさらに、正常被験体および疾患を患う被験体の間で;または同じ疾患の多様な病期の間で異なる、同じ遺伝子の2つの異なってプロセシングされた産物の比較が含まれてもよい。示差的発現には、例えば、正常および疾患細胞間の、あるいは異なる疾患事象または病期を経た細胞間の、遺伝子またはその発現産物の一時的または細胞発現パターンの、定量的および定性的両方の相違が含まれる。
[0122]本明細書において、「個体」は、試験被験体または患者を指す。個体は、哺乳動物または非哺乳動物であってもよい。多様な態様において、個体は哺乳動物である。哺乳動物個体は、ヒトまたは非ヒトであってもよい。多様な態様において、個体はヒトである。健康なまたは正常な個体は、関心対照の疾患または状態(例えば肺疾患、肺関連疾患、または他の肺状態を含む)が、慣用的な診断法では検出不能である、個体である。
[0123]「診断する」、「診断すること」、「診断」、およびその変形は、個体に属する1またはそれより多い徴候、症状、データ、または他の情報に基づいて、個体の健康状態または状態の検出、決定、または認識を指す。個体の健康状態は、健康/正常と診断される(すなわち疾患または状態の非存在の診断)か、または病気/異常である(すなわち、疾患または状態の存在の診断、またはその特性の評価)と診断されることも可能である。用語「診断する」、「診断すること」、「診断」等は、特定の疾患または状態に関して、疾患の最初の検出;疾患の性質決定または分類;疾患の進行、寛解、または再発の検出;ならびに個体への治療または療法投与後の疾患反応の検出を含む。NSCLCの診断には、癌を持たない個体から癌を持つ個体を区別する工程が含まれる。NSCLCから、喫煙者および良性肺小結節を区別する工程がさらに含まれる。
[0124]「予後診断する」、「予後診断すること」、「予後」、およびその変形は、疾患または状態を有する個体における、疾患または状態の将来の経過の予測(例えば患者生存を予測する)を指し、そしてこうした用語は、個体に対する治療または療法投与後の疾患反応の評価を含む。
[0125]「評価する」、「評価すること」、「評価」、およびその変形は、「診断する」および「予後診断する」の両方を含み、そしてまた、疾患を持たない個体における疾患または状態の将来の経過に関する決定または予測、ならびに見かけ上、疾患が治癒している個体において、疾患または状態が再発するであろう尤度に関する決定または予測も含む。用語「評価する」はまた、療法に対する個体の反応を評価し、例えば個体が療法剤に好ましく反応する可能性が高いか、または療法剤に反応する可能性が低いか(あるいは、例えば毒性または他の望ましくない副作用を経験するか)を予測し、個体に投与する療法剤を選択し、あるいは個体に投与されている療法に対する個体の反応を監視するかまたは予測することも含む。したがって、NSCLCを「評価すること」には、例えば以下:個体におけるNSCLCの将来の経過を予後診断するか;見かけ上、NSCLCが治癒している個体において、NSCLCの再発を予測するか;あるいはNSCLC治療に対する個体の反応を決定するかまたは予測するか、または個体の生物学的サンプルから得られるバイオマーカー値の決定に基づいて、個体に投与するNSCLC治療を選択することのいずれかが含まれてもよい。
[0126]以下の例のいずれかをNSCLCを「診断している」かまたは「評価している」かいずれかと称することも可能である:まず、NSCLCの存在または非存在を検出する;NSCLCの特定の病期、タイプまたはサブタイプ、あるいは他の分類または特性を決定する;疑わしい肺小結節または塊が良性または悪性NSCLCであるかどうかを決定する;あるいはNSCLC進行(例えば腫瘍増殖または転移伝播を監視する)、寛解、または再発を検出する/監視する。
[0127]本明細書において、「さらなる生物医学的情報」は、本明細書に記載するバイオマーカーのいずれかを用いる以外の、癌リスク、またはより具体的にはNSCLCリスクと関連する、個体の1またはそれより多い評価を指す。「さらなる生物医学的情報」には、以下のいずれかが含まれる:個体の物理的記述因子、CT画像化によって観察される肺小結節の物理的記述因子、個体の身長および/または体重、個体の性別、個体の民族性、喫煙歴、職歴、既知の発癌性物質(例えばアスベスト、ラドンガス、化学薬品、火事の煙、および不動のまたは可動性の供給源からの放出物、例えば産業/工場または自動車/船舶/飛行機放出物を含みうる空気汚染いずれかに対する曝露)、受動喫煙への曝露、NSCLC(または他の癌)の家族歴、肺小結節の存在、小結節のサイズ、小結節の位置、小結節の形態(例えばCT画像化、磨りガラス陰影(GGO)、固形、非固形を通じて観察されるようなもの)、小結節の境界特性(例えば平滑、分葉化、尖ってそして平滑、針骨状、浸潤)等。喫煙歴は、通常、「パック年」の単位で定量化され、これは、1日あたり喫煙するパックの平均数に、ヒトが喫煙してきた年数を乗じた数を指す。例えば、1日あたり平均1パックのタバコを35年間、喫煙してきたヒトは、喫煙歴35パック年を有すると称される。当該技術分野に知られるルーチンの技術を用いて、個体から、例えばルーチンの患者アンケートまたは健康歴アンケート等の使用によって個体自身から、または医師からなどで、さらなる生物医学的情報を得てもよい。あるいは、CT画像化(例えば低線量CT画像化)およびX線を含む、ルーチンの画像化技術から、さらなる生物医学的情報を得てもよい。任意のさらなる生物医学的情報の評価と組み合わせて、バイオマーカーレベルを試験すると、バイオマーカー試験のみまたはさらなる生物医学的情報の特定の任意の項目のみ(例えばCT画像化のみ)を評価するのに比較して、例えば、感度、特異性、および/またはNSCLCを検出するためのAUC(または他のNSCLC関連使用)が改善されうる。
[0128]用語「曲線下面積」または「AUC」は、受信者動作特性(ROC)曲線の曲線下の面積を指し、これらはどちらも当該技術分野に周知である。AUC測定値は、全データ範囲に渡る、分類器の正確性を比較するために有用である。より大きいAUCを有する分類器は、関心対照の2つの群(例えばNSCLCサンプルおよび正常または対照サンプル)の間で、未知のものを正しく分類する、より高い能力を有する。ROC曲線は、2つの集団(例えばNSCLCを有する症例およびNSCLCを持たない対照)の間を区別する際、特定の特徴(例えば本明細書記載の任意のバイオマーカーおよび/またはさらなる生物医学情報の任意の項目)の性能をプロットするために有用である。典型的には、全集団(例えば症例および対照)に渡る特徴データを、単一の特徴の値に基づいて、昇順でソートする。次いで、その特徴に関する各値に関して、データに関する真の陽性率および偽陽性率を計算する。その特徴に関する値を超える症例の数を数え、そして次いで、症例総数で割ることによって、真の陽性率を決定する。その特徴に関する値を超える対照の数を数え、そして次いで、対照総数で割ることによって、偽陽性率を決定する。この定義は、対照に比較して、症例において、特徴が上昇しているシナリオを指すが、この定義はまた、対照に比較して、症例において、特徴がより低いシナリオにも当てはまる(こうしたシナリオの場合、その特徴に関する値より低いサンプルを数えるであろう)。単一の特徴に関して、ならびに他の単一の出力に関してROC曲線を生成してもよく、例えば2またはそれより多い特徴の組み合わせを数学的に組み合わせて(例えば付加する、減じる、乗じる等)、単一の合計値を提供し、そしてこの単一の合計値をROC曲線中にプロットしてもよい。さらに、組み合わせが単一の出力値を導く、多数の特徴の任意の組み合わせを、ROC曲線中にプロットしてもよい。これらの特徴の組み合わせは、試験を含んでもよい。ROC曲線は、試験の偽陽性率(1−特異性)に対する、試験の真の陽性率(感度)のプロットである。
[0129]本明細書において、バイオマーカー値に関して「検出すること」または「決定すること」には、バイオマーカー値に対応するシグナルを観察し、そして記録するのに必要な装置、ならびにそのシグナルを生成するのに必要な材料(単数または複数)の両方の使用が含まれる。多様な態様において、蛍光、化学発光、表面プラズモン共鳴、表面音波、質量分析、赤外分光、ラマン分光、原子間力顕微鏡、走査トンネル顕微鏡、電気化学検出法、核磁気共鳴、量子ドット等の任意の適切な方法を用いて、バイオマーカー値を検出する。
[0130]「固体支持体」は、本明細書において、分子が直接または間接的に、共有または非共有結合いずれかを通じて付着可能な表面を有する、任意の支持体を指す。「固体支持体」は、多様な物理的形式を有してもよく、これには、例えば、膜;チップ(例えばタンパク質チップ);スライド(例えばガラススライドまたはカバーガラス);カラム;空洞、固形、半固形、孔または空洞含有粒子、例えばビーズなど;ゲル;光ファイバー材料を含むファイバー;マトリックス;およびサンプルレセプタクルが含まれてもよい。例示的なサンプルレセプタクルには、サンプルウェル、チューブ、キャピラリー、バイアル、およびサンプルを保持することが可能な任意の他の容器、溝または刻み目が含まれる。サンプルレセプタクルは、マルチサンプルプラットフォーム、例えばマイクロタイタープレート、スライド、微量流体デバイス等の上に含有されてもよい。支持体は天然または合成材料、有機または無機材料で構成されてもよい。捕捉試薬が付着する固体支持体の組成は、一般的に、付着法(例えば共有付着)に応じる。他の例示的なレセプタクルには、微液滴および微量流体制御またはバルク油/水性エマルジョンが含まれ、その中でアッセイおよび関連操作を実行可能である。適切な固体支持体には、例えば、プラスチック、樹脂、多糖、シリカまたはシリカに基づく材料、官能化ガラス、変性シリコン、炭素、金属、無機ガラス、膜、ナイロン、天然繊維(例えば絹、羊毛および綿)、ポリマー等が含まれる。固体支持体を構成する材料には、捕捉試薬の付着に用いられる、反応性基、例えばカルボキシ、アミノ、またはヒドロキシル基が含まれてもよい。ポリマー性固体支持体には、例えばポリスチレン、ポリエチレングリコールテレフタレート、酢酸ポリビニル、塩化ポリビニル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、ブチルゴム、スチレンブタジエンゴム、天然ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、(ポリ)テトラフルオロエチレン、(ポリ)ビニリデンフルオリド、ポリカーボネート、およびポリメチルペンテンが含まれてもよい。使用可能な適切な固体支持体粒子には、例えばコード化粒子、例えばLuminex型コード化粒子、磁気粒子、およびガラス粒子が含まれる。
バイオマーカーの例示的使用
[0131]多様な例示的態様において、個体の循環中、例えば血清または血漿中に存在する1またはそれより多いバイオマーカーに対応する1またはそれより多いバイオマーカー値を、本明細書記載の任意の分析法を含む任意の数の分析法によって検出することによって、個体において、NSCLCを診断するための方法を提供する。これらのバイオマーカーは、例えば、NSCLCを持たない個体に比較した際、NSCLCを持つ個体において示差的に発現される。個体におけるバイオマーカーの示差的発現の検出を用いて、例えば、NSCLCの初期診断を可能にし、良性および悪性肺小結節(例えばコンピュータ断層(CT)スキャン上で観察される小結節)の間を区別し、NSCLC再発を監視することも可能であるし、または他の臨床的徴候のために用いることも可能である。
[0132]本明細書記載の任意のバイオマーカーを、NSCLCに関する多様な臨床的適応において用いてもよく、以下のいずれも含まれる:NSCLCの検出(例えば高リスク個体または集団において);例えば非小細胞肺癌(NSCLC)および小細胞肺癌(SCLC)の間の、および/または腺癌および扁平細胞癌の間の区別(またはそうでなければ組織病理学の促進)による、NSCLCの性質決定(例えばNSCLCタイプ、サブタイプ、または病期の決定);肺小結節が良性小結節または悪性肺腫瘍であるかの決定;NSCLC予後の決定;NSCLC進行または寛解の監視;NSCLC再発に関する監視;転移の監視;治療選択;療法剤または他の治療に対する反応の監視;コンピュータ断層(CT)スクリーニングに関する個体の階層化(例えばNSCLCのリスクがより高く、そしてしたがってスパイラルCTスクリーニングから利益を得る可能性が最も高く、したがってCTの陽性予測値を増加させる個体の同定);さらなる生物医学的情報、例えば喫煙歴等、または小結節サイズ、形態等とのバイオマーカー試験の組み合わせ(CT試験またはバイオマーカー試験のみに比較して、アッセイに、診断性能増加を提供するようなもの);肺小結節の悪性または良性としての診断の容易化;CT上で肺小結節が観察された際の臨床的決定の容易化(例えば、小結節が低リスクであると判断される場合、例えばバイオマーカーに基づく試験が陰性である場合、小結節のサイズのカテゴリー化を伴いまたは伴わずに、CTスキャンの反復を命じるか、あるいは小結節が中程度から高リスクと判断される場合、例えばバイオマーカーに基づく試験が陽性である場合、小結節のサイズのカテゴリー化を伴いまたは伴わずに、生検を考慮する);および臨床追跡調査に関する決定の容易化(例えば、CT上で非石灰化小結節が観察された後、反復CTスキャン、細針生検、小結節切除または開胸術を実行するかどうか)。バイオマーカー試験は、高リスク個体のCTまたは胸部X線スクリーニング単独よりも、陽性予測値(PPV)を改善させうる。CTスクリーニングとの組み合わせにおいて有用であるのに加え、本明細書記載のバイオマーカーはまた、NSCLCに関して用いられる任意の他の画像化様式、例えば胸部X線、気管支鏡または蛍光気管支鏡、MRIまたはPETスキャンと組み合わせても使用可能である。さらに、記載されるバイオマーカーはまた、NSCLC徴候が、画像化様式または他の臨床的関連物によって検出されるより前に、あるいは症状が現れるより前に、これらの特定の使用を可能にするのにも有用でありうる。これにはさらに、CTスキャンで同定された不確定の肺小結節を持つ個体の区別、NSCLCに関する高リスク喫煙者のスクリーニング、およびNSCLCを持つ個体の診断が含まれる。
[0133]本明細書記載の任意のバイオマーカーを用いて、NSCLCを診断することが可能な方式の例として、NSCLCを持たないことが知られる個体において、記載されるバイオマーカーの1またはそれより多くの示差的発現は、個体がNSCLCを有することを示す可能性があり、それによって、治療が最も有効である疾患の初期に、おそらく、他の手段によってNSCLCが検出される前に、または症状が現れる前に、NSCLCの検出を可能にする。NSCLCの経過中のバイオマーカーの1つまたはそれより多くの過剰発現は、NSCLC進行の指標である可能性もあり、例えば、NSCLC腫瘍が増殖しており、そして/または転移しており(そしてしたがって劣った予後を示し)、一方、バイオマーカーの1つまたはそれより多くが示差的に発現される度合いが減少していれば(すなわち続くバイオマーカー試験において、個体における発現レベルが「正常」発現レベルに向かって移動するかまたは近づきつつある)、NSCLC寛解の指標である可能性もあり、例えばNSCLC腫瘍は退縮している(そしてしたがって優れたまたはよりよい予後を示す)。同様に、NSCLC治療の経過中、バイオマーカーの1つまたはそれより多くが示差的に発現される度合いが増加していれば(すなわち続くバイオマーカー試験において、個体における発現レベルが「正常」発現レベルから離れて移動している)、NSCLCが進行していることを示す可能性もあり、そしてしたがって、治療が無効であることを示す可能性もある一方、NSCLC治療の経過中、バイオマーカーの1つまたはそれより多くの示差的発現が減少していれば、NSCLC寛解を示す可能性もあり、そしてしたがって、治療が成功裡に働いていることを示す可能性もある。さらに、個体が見かけ上、NSCLCから治癒した後のバイオマーカーの1つまたはそれより多くの示差的発現の増加または減少は、NSCLC再発の指標である可能性もある。こうした状況では、例えば、個体は、NSCLCの再発が後になるまで検出されなかった場合よりもより早い段階で、療法(または、個体が療法を維持している場合は、投薬量および/または頻度を増加させるように修飾された療法措置)を再開することも可能である。さらに、個体におけるバイオマーカーの1またはそれより多くの示差的発現レベルは、特定の療法剤に対する個体の反応を予測する可能性もある。NSCLC再発または進行を監視する際、バイオマーカー発現レベルの変化は、例えばNSCLC活性を決定するか、または治療の変化に関する必要性を決定するために、画像化を反復する(例えばCTスキャンを反復する)必要性を示す可能性もある。
[0134]本明細書記載の任意のバイオマーカーの検出は、NSCLC治療の後に、または該治療と組み合わせて、例えば治療の成功を評価するか、あるいは治療後のNSCLC寛解、再発、および/または進行(転移を含む)を監視するのに特に有用である可能性もある。NSCLC治療には、例えば、個体への療法剤の投与、手術の性能(例えば、NSCLC腫瘍の少なくとも一部の外科的切除、またはNSCLCおよび周囲組織の除去)、放射線療法の投与、または当該技術分野で用いられる任意の他のタイプのNSCLC治療、およびこれらの治療の任意の組み合わせが含まれうる。肺癌治療には、例えば、個体への療法剤の投与、手術の性能(例えば肺腫瘍の少なくとも一部の外科的切除)、放射線療法の投与、または当該技術分野に用いられるNSCLC治療の任意の他のタイプ、およびこれらの治療の任意の組み合わせが含まれうる。例えば、siRNA分子は、遺伝子発現を阻害する合成二本鎖RNA分子であり、そしてターゲット化肺癌療法剤として作用しうる。例えば、バイオマーカーのいずれかを、治療後、少なくとも1回検出してもよいし、または治療後、多数回(例えば定期的間隔で)検出してもよいし、または治療の前および後の両方で検出してもよい。長期に渡る個体のバイオマーカーいずれかの示差的発現レベルは、NSCLC進行、寛解、または再発の指標である可能性もあり、その例には、以下の任意のものが含まれる:治療前のバイオマーカーの発現レベルと比較した、治療後のバイオマーカーの発現レベルの増加または減少;治療後のより早期の時点でのバイオマーカーの発現レベルと比較した、治療後のより後期の時点でのバイオマーカーの発現レベルの増加または減少;ならびにバイオマーカーの正常レベルと比較した、治療後の単一の時点でのバイオマーカーの示差的発現レベル。
[0135]特定の例として、本明細書記載の任意のバイオマーカーのバイオマーカーレベルを、術前および術後(例えば手術の2〜16週間後)血清または血漿サンプルにおいて、決定してもよい。術前サンプルと比較した、術後サンプルにおけるバイオマーカー発現レベル(単数または複数)の増加は、NSCLCの進行(例えば手術失敗)を示す可能性があり、一方、術前サンプルと比較した、術後サンプルにおけるバイオマーカー発現レベル(単数または複数)の減少は、NSCLCの退行(例えば手術が肺腫瘍を成功裡に除去した)を示す可能性がある。他の型の治療の前および後に、例えば放射線療法あるいは療法剤または癌ワクチンの投与の前および後に、バイオマーカーレベルの同様の分析を行ってもよい。
[0136]単独型診断試験としてのバイオマーカーレベルの試験に加えて、バイオマーカーレベルはまた、疾患の感受性リスク増加の指標であるSNPまたは他の遺伝的欠損または変動の決定と組み合わせて行ってもよい(例えばAmosら, Nature Genetics 40, 616−622(2009)を参照されたい)。
[0137]単独診断試験としてのバイオマーカーレベルの試験に加えて、また、バイオマーカーレベルを、放射線スクリーニング、例えばCTスクリーニングと組み合わせて行ってもよい。例えば、バイオマーカーは、例えばNSCLCのリスクがある大きな無症候性集団(例えば喫煙者)のスクリーニングのため、CTスクリーニングを実行するための医学的および経済学的正当化を容易にしうる。例えばバイオマーカーレベルの「プレCT」試験を用いて、CTスクリーニングに関して、例えばバイオマーカーレベルに基づいて、NSCLCに関して最高のリスクにあり、そしてCTスクリーニングに関して優先させるべきである個体を同定するため、高リスク個体を階層化することも可能である。CT試験を実行する場合、1またはそれより多いバイオマーカーのバイオマーカーレベル(例えば血清または血漿サンプルのアプタマーアッセイによって決定されるようなもの)を測定し、そしてさらなる生物医学的情報(例えばCT試験によって決定される腫瘍パラメータ)と組み合わせて、診断スコアを評価して、CTまたはバイオマーカー試験のみの場合よりも、陽性予測値(PPV)を増進させることも可能である。バイオマーカーレベルを決定するための「ポストCT」アプタマーパネルを用いて、CT(または他の画像化様式)によって観察される肺小結節が悪性または良性である尤度を決定することも可能である。
[0138]本明細書記載の任意のバイオマーカーの検出は、ポストCT試験に有用でありうる。例えば、バイオマーカー試験は、CTのみよりも、偽陽性試験のかなりの数を除去するかまたは減少させることも可能である。さらに、バイオマーカー試験は、患者の治療を促進しうる。例えば、肺小結節サイズが5mm未満である場合、バイオマーカー試験の結果は、患者が「じっと成り行きを見守る(watch and wait)」状態から生検へと、より早期に進行することを可能にし;肺小結節が5〜9mmである場合、バイオマーカー試験は、偽陽性スキャンに対する生検または開胸術の使用を排除することも可能であり;そして肺小結節が10mmより大きい場合、バイオマーカー試験は、良性小結節を持つこれら患者の下位集団に関して手術を排除することも可能である。バイオマーカー試験に基づいて、ある程度の患者において、生検の必要性を排除することは、小結節生検に関連するかなりの死亡率があり、そして小結節の位置次第で、小結節組織を得ることが困難であるため、有益であろう。同様に、ある患者、例えば小結節が実際に良性である患者において、手術の必要性を排除することは、手術に関連する不必要なリスクおよびコストを回避するであろう。
[0139]高リスク個体において、放射線スクリーニングと組み合わせてバイオマーカーレベルを試験することに加えて(例えば画像化スキャン上で観察される肺小結節または塊のサイズまたは他の特性と組み合わせて、バイオマーカーレベルを評価すること)、バイオマーカーに関する情報を、他のタイプのデータ、特にNSCLCに関する個体のリスクを示すデータ(例えば患者臨床歴、職業上の曝露歴、症状、癌の家族歴、個体が喫煙者かどうかなどのリスク要因、および/または他のバイオマーカーの状態等)と組み合わせて評価してもよい。これらの多様なデータを自動化法、例えばコンピュータまたは他の装置/デバイスで具体化可能なコンピュータプログラム/ソフトウェアによって評価してもよい。
[0140]記載する任意のバイオマーカーはまた、画像化試験においても使用可能である。例えば、画像化剤を、記載する任意のバイオマーカーとカップリングして、これを用いて、とりわけ、NSCLC診断を補助し、進行/寛解または転移を監視し、疾患再発を監視し、または療法に対する反応を監視してもよい。
バイオマーカーおよびバイオマーカー値の検出および決定
[0141]多様な既知の任意の分析法を用いて、本明細書記載のバイオマーカーに関するバイオマーカー値を検出することも可能である。1つの態様において、捕捉試薬を用いて、バイオマーカー値を検出する。本明細書において、「捕捉剤」または「捕捉試薬」は、バイオマーカーに特異的に結合可能な分子を指す。多様な態様において、捕捉試薬を溶液中のバイオマーカーに曝露してもよいし、または捕捉試薬を固体支持体に固定する一方、バイオマーカーに曝露してもよい。他の態様において、捕捉試薬は、固体支持体上の第二の特徴と反応性である特徴を含有する。これらの態様において、捕捉試薬を溶液中のバイオマーカーに曝露し、そして次いで、捕捉試薬上の特徴を固体支持体上の第二の特徴と組み合わせて用いて、固体支持体上にバイオマーカーを固定してもよい。捕捉試薬は、行おうとする分析のタイプに基づいて選択される。捕捉試薬には、限定されるわけではないが、アプタマー、抗体、抗原、アドネクチン、アンキリン、他の抗体模倣体および他のタンパク質骨格、自己抗体、キメラ、小分子、F(ab’)2断片、一本鎖抗体断片、Fv断片、一本鎖Fv断片、核酸、レクチン、リガンド結合性受容体、アフィボディ、ナノボディ、インプリンティングされたポリマー、アビマー、ペプチド模倣体、ホルモン受容体、サイトカイン受容体、および合成受容体、ならびにこれらの修飾物および断片が含まれる。
[0142]いくつかの態様において、バイオマーカー/捕捉試薬複合体を用いて、バイオマーカー値を検出する。
[0143]他の態様において、バイオマーカー値は、バイオマーカー/捕捉試薬複合体に由来し、そして間接的に、例えばバイオマーカー/捕捉試薬相互作用に続く反応の結果として検出されるが、バイオマーカー/捕捉試薬複合体の形成に依存する。
[0144]いくつかの態様において、生物学的サンプル中のバイオマーカーから、バイオマーカー値を直接検出する。
[0145]1つの態様において、生物学的サンプル中の2またはそれより多いバイオマーカーの同時検出を可能にする多重化形式を用いて、バイオマーカーを検出する。多重化形式の1つの態様において、直接または間接的に、共有または非共有的に、固体支持体の別個の位置に、捕捉試薬を固定する。別の態様において、多重化形式は、別個の固体支持体を用い、ここで、各固体支持体は、その固体支持体、例えば量子ドットと会合するユニークな捕捉試薬を有する。別の態様において、生物学的サンプル中の検出しようとする多数のバイオマーカーの各々1つの検出のため、個々のデバイスを用いる。生物学的サンプル中の各バイオマーカーが、同時にプロセシングされることを可能にするように、個々のデバイスを構成することが可能である。例えば、プレート中の各ウェルが、生物学的サンプル中の検出しようとする多数のバイオマーカーの1つをユニークに分析するように用いられるように、マイクロタイタープレートを使用可能である。
[0146]1つまたはそれより多い前述の態様において、蛍光タグを用いて、バイオマーカー/捕捉複合体の構成要素を標識して、バイオマーカー値の検出を可能にすることも可能である。多様な態様において、既知の技術を用いて、蛍光標識を、本明細書記載の任意のバイオマーカーに特異的な捕捉試薬にコンジュゲート化して、そして次いで、蛍光標識を用いて、対応するバイオマーカーを検出してもよい。適切な蛍光標識には、希土類キレート、フルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、アロフィコシアニン、PBXL−3、Qドット605、リサミン、フィコエリトリン、テキサスレッド、および他のこうした化合物が含まれる。
[0147]1つの態様において、蛍光標識は蛍光色素分子である。いくつかの態様において、蛍光色素分子には、少なくとも1つの置換インドリウム環系が含まれ、ここで、インドリウム環の3炭素上の置換基は、化学的反応基またはコンジュゲート化物質を含有する。いくつかの態様において、色素分子には、AlexFluor分子、例えば、AlexaFluor 488、AlexaFluor 532、AlexaFluor 647、AlexaFluor 680、またはAlexaFluor 700が含まれる。他の態様において、色素分子には、色素分子の第一のタイプおよび第二のタイプ、例えば2つの異なるAlexaFluor分子が含まれる。他の態様において、色素分子には、色素分子の第一のタイプおよび第二のタイプが含まれ、そして2つの色素分子は異なる発光スペクトルを有する。
[0148]広範囲のアッセイ形式と適合する多様な計測手段を用いて、蛍光を測定してもよい。例えば、分光蛍光光度計は、マイクロタイタープレート、顕微鏡スライド、プリントアレイ、キュベット等を分析するように設計されてきている。例えば、Principles of Fluorescence Spectroscopy, J. R. Lakowicz, Springer Science + Business Media, Inc., 2004を参照されたい。Bioluminescence & Chemiluminescence: Progress & Current Applications; Philip E. StanleyおよびLarry J. Kricka監修, World Scientific Publishing Company, January 2002を参照されたい。
[0149]前述の態様の1またはそれより多くにおいて、場合によって化学発光タグを用いて、バイオマーカー/捕捉複合体の構成要素を標識して、バイオマーカー値の検出を可能にしてもよい。適切な化学発光物質には、塩化オキサリル、ローダミン6G、Ru(bipy)3 2+、TMAE(テトラキス(ジメチルアミノ)エチレン)のいずれかが含まれる。ピロガロール(1,2,3−トリヒドロキシベンゼン)、ルシゲニン、ペルオキシオキサレート、シュウ酸アリール、アクリジニウムエステル、ジオセタン、およびその他のいずれかが含まれる。
[0150]さらに他の態様において、検出法には、バイオマーカー値に対応する、検出可能シグナルを生成する、酵素/基質の組み合わせが含まれる。一般的に、酵素は、分光光度測定、蛍光、および化学発光を含む、多様な技術を用いて、測定可能な発色原基質の化学的改変を触媒する。適切な酵素には、例えば、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ、西洋ワサビ(horseradish)ペルオキシダーゼ(HRPO)、アルカリホスファターゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、およびグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、ユリカーゼ、キサンチンオキシダーゼ、ラクトペルオキシダーゼ、マイクロペルオキシダーゼ等が含まれる。
[0151]さらに他の態様において、検出法は、測定可能シグナルを生じる、蛍光、化学発光、放射性核種または酵素/基質の組み合わせの組み合わせであってもよい。多様式シグナル伝達は、バイオマーカーアッセイ形式で、ユニークでそして好適な特性を有しうる。
[0152]より具体的には、以下に詳述するような、単一化アプタマーアッセイ、多重化アプタマーアッセイ、単一化または多重化イムノアッセイ、mRNA発現プロファイリング、miRNA発現プロファイリング、質量分析、組織学的/細胞学的方法等を含む、既知の分析法を用いて、本明細書記載のバイオマーカーに関するバイオマーカー値を検出してもよい。
アプタマーに基づくアッセイを用いたバイオマーカー値の決定
[0153]生物学的サンプルおよび他のサンプルにおける生理学的に重要な分子の検出および定量化に向けられたアッセイは、科学的研究および医療分野で重要なツールである。こうしたアッセイの1つのクラスは、固体支持体上に固定された1またはそれより多いアプタマーを含む、マイクロアレイの使用を伴う。アプタマーは、各々、非常に特異的な方式で、そして非常に高いアフィニティで、ターゲット分子に結合可能である。例えば、米国特許第5,475,096号、表題「核酸リガンド」を参照されたい;また、例えば、各々「核酸リガンド診断バイオチップ」と題される米国特許第6,242,246号、米国特許第6,458,543号、および米国特許第6,503,715号を参照されたい。ひとたび、マイクロアレイをサンプルと接触させると、アプタマーが、サンプル中に存在するそれぞれのターゲット分子に結合し、そしてそれによって、バイオマーカーに対応するバイオマーカー値の決定が可能になる。
[0154]本明細書において、「アプタマー」は、ターゲット分子に対する特異的結合アフィニティを有する核酸を指す。アフィニティ相互作用は、程度の問題であることが認識される;しかし、この文脈では、アプタマーのそのターゲットに対する「特異的結合アフィニティ」は、アプタマーが、試験サンプル中の他の構成要素に結合するよりも、はるかに高い度合いのアフィニティで、そのターゲット一般に結合することを意味する。「アプタマー」は、特定のヌクレオチド配列を有する核酸分子の1つのタイプまたは種のコピーセットである。アプタマーには、任意の適切な数のヌクレオチドが含まれ、任意の数の化学的修飾ヌクレオチドが含まれる。「(複数の)アプタマー」は、こうした分子セットの1より多くを指す。異なるアプタマーは、同じまたは異なる数のヌクレオチドのいずれを有してもよい。アプタマーは、DNAまたはRNAまたは化学的修飾核酸であってもよく、そして一本鎖、二本鎖であってもよく、または二本鎖領域を含有してもよく、そしてより高次の構造を含んでもよい。アプタマーはまた光アプタマーであってもよく、この場合、光反応性または化学的反応性官能基がアプタマーに含まれて、対応するターゲットに共有結合されることを可能にする。本明細書に開示する任意のアプタマー法には、同じターゲット分子に特異的に結合する2またはそれより多いアプタマーの使用が含まれうる。さらに以下に記載するように、アプタマーにはタグが含まれてもよい。アプタマーにタグが含まれる場合、すべてのコピーのアプタマーが同じタグを有する必要はない。さらに、異なるアプタマーが各々タグを含む場合、これらの異なるアプタマーは、同じタグまたは異なるタグのいずれを有してもよい。
[0155]SELEXプロセスを含む任意の既知の方法を用いて、アプタマーを同定してもよい。ひとたび同定されたら、化学合成法および酵素合成法を含む任意の既知の方法にしたがって、アプタマーを調製するかまたは合成してもよい。
[0156]本明細書において、「SOMAmer」または緩慢解離速度修飾アプタマー(Slow Off−Rate Modified Aptamer)は、改善された解離速度特性を有するアプタマーを指す。SOMAmerは、米国公報第2009/0004667号、表題「改善された解離速度を持つアプタマーを生成するための方法」に記載される改善されたSELEX法を用いて生成可能である。
[0157]用語「SELEX」および「SELEXプロセス」は、本明細書において交換可能に用いられ、一般的に、(1)望ましい方式で、ターゲット分子と相互作用する、例えばタンパク質に高アフィニティで結合する、アプタマーの選択と、(2)これらの選択された核酸の増幅の組み合わせを指す。SELEXプロセスを用いて、特定のターゲットまたはバイオマーカーに対して高いアフィニティを持つアプタマーを同定することも可能である。
[0158]SELEXには、一般的に、核酸の候補混合物を調製し、候補混合物を所望のターゲット分子に結合させて、アフィニティ複合体を形成し、アフィニティ複合体を未結合候補核酸から分離し、アフィニティ複合体から核酸を分離し、そして単離し、核酸を精製し、そして特異的アプタマー配列を同定する工程が含まれる。プロセスには、選択されたアプタマーのアフィニティをさらに洗練させるため、多数の周期が含まれてもよい。プロセスには、プロセスの1またはそれより多い時点で、増幅工程が含まれてもよい。例えば、米国特許第5,475,096号、表題「核酸リガンド」を参照されたい。SELEXプロセスを用いて、ターゲットに共有結合するアプタマー、ならびにターゲットに非共有結合するアプタマーを生成することも可能である。例えば、米国特許第5,705,337号、表題「指数関数的濃縮による核酸リガンドの体系的進化:Chemi−SELEX」を参照されたい。
[0159]SELEXプロセスを用いて、例えば改善されたin vivo安定性または改善された送達特性などの改善された特性をアプタマーに与える、修飾ヌクレオチドを含有する高アフィニティアプタマーを同定することも可能である。こうした修飾の例には、リボースおよび/またはリン酸および/または塩基位での化学的置換が含まれる。SELEXプロセスが同定する修飾ヌクレオチド含有アプタマーは、米国特許第5,660,985号、表題「修飾ヌクレオチドを含有する高アフィニティ核酸リガンド」に記載され、これは、ピリミジンの5’および2’位で化学的に修飾されたヌクレオチド誘導体を含有するオリゴヌクレオチドを記載する。米国特許第5,580,737号、上記は、2’−アミノ(2’−NH2)、2’−フルオロ(2’−F)、および/または2’−O−メチル(2’−OMe)で修飾された1またはそれより多いヌクレオチドを含有する非常に特異的なアプタマーを記載する。また、拡張された物理的および化学的特性を有する核酸ライブラリ、ならびにSELEXおよびphotoSELEXにおけるその使用を記載する、米国特許出願公報2009/0098549、表題「SELEXおよびPHOTOSELEX」も参照されたい。
[0160]SELEXを用いて、望ましい解離速度特性を有するアプタマーを同定することも可能である。ターゲット分子に結合可能なアプタマーを生成するための改善されたSELEX法を記載する米国特許出願公報2009/0004667、表題「改善された解離速度を持つアプタマーを生成するための方法」を参照されたい。それぞれのターゲット分子からより緩慢な解離速度を有するアプタマーおよび光アプタマーを産生するための方法が記載される。該方法は、候補混合物をターゲット分子と接触させ、核酸−ターゲット複合体の形成が起こるのを可能にし、そして迅速な解離速度を持つ核酸−ターゲット複合体が解離し、そして再形成されない一方、緩慢な解離速度を持つ複合体が損なわれないまま残るような、緩慢解離速度濃縮プロセスを実行する工程が含まれる。さらに、該方法には、改善された解離速度性能を持つアプタマーを生成するための、候補核酸混合物産生における修飾ヌクレオチドの使用が含まれる。
[0161]このアッセイの変形は、ターゲット分子に、アプタマーが共有結合するかまたは「光架橋される」ことを可能にする、光反応性官能基を含むアプタマーを使用する。例えば、米国特許第6,544,776号、表題「核酸リガンド診断バイオチップ」を参照されたい。これらの光反応性アプタマーはまた、光アプタマーとも称される。例えば、各々「指数関数的濃縮による核酸リガンドの体系的進化:核酸リガンドおよび溶液SELEXの光選択」と題される、米国特許第5,763,177号、米国特許第6,001,577号、および米国特許第6,291,184号を参照されたい;また、例えば米国特許第6,458,539号、表題「核酸リガンドの光選択」も参照されたい。マイクロアレイをサンプルと接触させ、そして光アプタマーがターゲット分子に結合する機会を有した後、光アプタマーを光活性化し、そして固体支持体を洗浄して、いかなる非特異的結合分子も除去するよう、固体支持体を洗浄する。厳しい洗浄条件を用いてもよく、これは光アプタマーに結合したターゲット分子は、光アプタマー上の光活性化官能基(単数または複数)によって生成される共有結合により、一般的に、除去されないためである。この方式で、アッセイは、試験サンプル中のバイオマーカーに対応するバイオマーカー値の検出を可能にする。
[0162]これらのアッセイ形式の両方において、アプタマーをサンプルと接触させる前に、固体支持体上に固定する。しかし、特定の状況下では、サンプルとの接触前のアプタマーの固定は、最適なアッセイを提供しない可能性もある。例えば、アプタマーの前固定は、固体支持体表面でのターゲット分子とアプタマーの非効率的な混合を生じ、おそらく長い反応時間を導き、そしてしたがって、ターゲット分子へのアプタマーの効率的な結合を可能にするには、インキュベーション期間を延長させる可能性がある。さらに、光アプタマーをアッセイ中で使用する際、そして固体支持体として利用する材料に応じて、固体支持体は、光アプタマーおよびそのターゲット分子間の共有結合の形成を達成するために用いられる光を散乱させるかまたは吸収する傾向がありうる。さらに、使用する方法において、そのアプタマーに結合したターゲット分子の検出は、不正確になりやすく、これは、固体支持体表面もまた、用いる任意のラベリング剤に曝露され、そして影響を受ける可能性があるためである。最後に、固体支持体上のアプタマーの固定は、一般的に、アプタマーをサンプルに曝露する前のアプタマー調製工程(すなわち固定)を含み、そしてこの調製工程は、アプタマーの活性または官能性に影響を及ぼしうる。
[0163]アプタマーが溶液中のターゲットを捕捉することを可能にし、そして次いで、検出前にアプタマー−ターゲット混合物の特定の構成要素を除去するように設計された分離工程を使用する、アプタマーアッセイもまた、記載されてきている(米国特許出願公報2009/0042206、表題「試験サンプルの多重化分析」を参照されたい)。記載するアプタマーアッセイ法は、核酸(すなわちアプタマー)を検出し、そして定量化することによって、試験サンプル中の非核酸ターゲット(例えばタンパク質ターゲット)の検出および定量化を可能にする。記載する方法は、非核酸ターゲットを検出し、そして定量化するために核酸代理(すなわちアプタマー)を生成し、したがって、増幅を含む非常に多様な核酸技術を、タンパク質ターゲットを含む、より広い範囲の所望のターゲットに適用することを可能にする。
[0164]アプタマーを構築して、アプタマーバイオマーカー複合体(または光アプタマーバイオマーカー共有複合体)からアッセイ構成要素を分離するのを促進し、そして検出および/または定量化のため、アプタマーの単離を可能にする。1つの態様において、これらの構築物には、アプタマー配列内に切断可能または放出可能要素が含まれることも可能である。他の態様において、さらなる官能性、例えば標識または検出可能構成要素、スペーサー構成要素、あるいは特異的結合タグまたは固定化要素をアプタマーに導入してもよい。例えば、アプタマーには、切断可能部分、標識、標識を分離するスペーサー構成要素、および切断可能部分を通じて、アプタマーに連結されたタグが含まれてもよい。1つの態様において、切断可能要素は光切断可能リンカーである。光切断可能リンカーをビオチン部分およびスペーサーセクションに付着させてもよく、該リンカーはアミン誘導体化のため、NHS基を含んでもよく、そして該リンカーを用いて、ビオチン基をアプタマーに導入し、それによって、アッセイ法において、後で、アプタマーの放出を可能にしてもよい。
[0165]溶液中のすべてのアッセイ構成要素とともに行われる均質アッセイは、シグナルの検出前に、サンプルおよび試薬の分離を必要としない。これらの方法は迅速であり、そして使用が容易である。これらの方法は、分子捕捉または特異的ターゲットと反応する結合試薬に基づいてシグナルを生成する。NSCLCに関しては、分子捕捉試薬はアプタマーまたは抗体等であり、そして特異的ターゲットは表1のNSCLCバイオマーカーであろう。
[0166]1つの態様において、シグナル生成のための方法は、特異的バイオマーカーターゲットとフルオロフォア標識捕捉試薬の相互作用による、異方性シグナル変化を利用する。標識捕捉がターゲットと反応した際、分子量増加のため、複合体に付着したフルオロフォアの回転運動が引き起こされ、異方性値のはるかにより緩慢な変化となる。異方性変化を監視することによって、結合事象を用いて、溶液中のバイオマーカーを定量的に測定することも可能である。他の方法には、蛍光偏光アッセイ、分子ビーコン法、時間分解蛍光消光、化学発光、蛍光共鳴エネルギー移動等が含まれる。
[0167]生物学的サンプル中のバイオマーカーに対応するバイオマーカー値を検出するために使用可能な、例示的な溶液に基づくアプタマーアッセイには、以下が含まれる:(a)生物学的サンプルを、第一のタグを含み、そしてバイオマーカーに対して特異的アフィニティを有するアプタマーと接触させることによって、混合物を調製し、ここで、バイオマーカーがサンプル中に存在する場合、アプタマーアフィニティ複合体が形成され;(b)混合物を、第一の捕捉要素を含む第一の固体支持体に曝露し、そして第一のタグが第一の捕捉要素と会合するのを可能にし;(c)第一の固体支持体と会合しない混合物のいかなる構成要素も除去し;(d)アプタマーアフィニティ複合体のバイオマーカー構成要素に第二のタグを付着させ;(e)第一の固体支持体からアプタマーアフィニティ複合体を放出させ;(f)第二の捕捉要素を含む第二の固体支持体に、放出されたアプタマーアフィニティ複合体を曝露し、そして第二のタグが第二の捕捉要素と会合することを可能にし;(g)複合体化していないアプタマーを、アプタマーアフィニティ複合体から分配することによって、混合物からいかなる非複合体化アプタマーも除去し;(h)固体支持体からアプタマーを溶出させ;そして(i)アプタマーアフィニティ複合体のアプタマー構成要素を検出することによって、バイオマーカーを検出する工程。
[0168]当該技術分野に知られる任意の手段を用いて、アプタマーアフィニティ複合体のアプタマー構成要素を検出することによって、バイオマーカー値を検出してもよい。多くの異なる検出法、例えばハイブリダイゼーションアッセイ、質量分析、またはQPCRを用いて、アフィニティ複合体のアプタマー構成要素を検出することも可能である。いくつかの態様において、核酸配列決定法を用いて、アプタマーアフィニティ複合体のアプタマー構成要素を検出して、そしてそれによってバイオマーカー値を検出することも可能である。簡潔には、試験サンプルを任意の種類の核酸配列決定法に供して、試験サンプル中に存在する1またはそれより多いアプタマーの単数または複数の配列を同定し、そして定量化することも可能である。いくつかの態様において、配列には、全アプタマー分子または分子をユニークに同定するために使用可能な分子の任意の部分が含まれる。他の態様において、同定する配列決定は、アプタマーに付加された特定の配列であり;こうした配列は、しばしば「タグ」、「バーコード」、または「ジップコード」と称される。いくつかの態様において、配列決定法には、アプタマー配列を増幅するか、または任意の位に化学修飾を含有するRNAおよびDNAを含む、核酸の任意の種類を、配列決定に適した核酸の任意の他の種類に変換する、酵素工程が含まれる。
[0169]いくつかの態様において、配列決定法には、1またはそれより多いクローニング工程が含まれる。他の態様において、配列決定法には、クローニングを伴わない直接配列決定法が含まれる。
[0170]いくつかの態様において、配列決定法には、試験サンプル中の1またはそれより多いアプタマーをターゲットとする特異的プライマーを用いた有向性アプローチが含まれる。他の態様において、配列決定法には、試験サンプル中のすべてのアプタマーをターゲットとするショットガンアプローチが含まれる。
[0171]いくつかの態様において、配列決定法には、配列決定のためにターゲティングされる分子を増幅する酵素工程が含まれる。他の態様において、配列決定法は、単一分子を直接配列決定する。生物学的サンプル中のバイオマーカーに対応するバイオマーカー値を検出するために使用可能な、例示的な核酸配列決定に基づく方法は、以下を含む:(a)酵素工程を用いて、化学的に修飾されたヌクレオチドを含有するアプタマー混合物を、非修飾核酸に変換し;(b)例えば454配列決定系(454 Life Sciences/Roche)、Illumina配列決定系(Illumina)、ABI SOLiD配列決定系(Applied Biosystems)、HeliScope単一分子配列決定装置(Helicos Biosciences)、またはPacific Biosciencesリアルタイム単一分子配列決定系(Pacific BioSciences)またはPolonator G配列決定系(Dover Systems)などの配列決定プラットフォームを用いて、生じた非修飾核酸をショットガン配列決定し;そして(c)特定の配列および配列カウントによって、混合物中に存在するアプタマーを同定し、そして定量化する工程。
イムノアッセイを用いたバイオマーカー値の決定
[0172]イムノアッセイ法は、対応するターゲットまたは分析物に対する抗体の反応に基づき、そして特異的アッセイ形式に応じて、サンプル中の分析物を検出可能である。免疫反応性に基づいて、アッセイ法の特異性および感度を改善するため、モノクローナル抗体は、その特異的エピトープ認識のために、しばしば用いられる。ポリクローナル抗体もまた、モノクローナル抗体と比較した際、ターゲットに対するアフィニティが増加しているため、多様なイムノアッセイにおいて成功裡に用いられてきている。イムノアッセイは、広範囲の生物学的サンプルマトリックスで使用するために設計されてきている。イムノアッセイ形式は、定性的、半定量的、および定量的結果を提供するために設計されてきている。
[0173]定量的結果は、検出しようとする特定の分析物の既知の濃度で生成された標準曲線の使用を通じて生成される。未知のサンプルからの反応またはシグナルを標準曲線上にプロットし、そして未知のサンプル中のターゲットに相当する量または値を確立する。
[0174]多数のイムノアッセイ形式が設計されてきている。ELISAまたはEIAは、分析物の検出に関して定量的であることも可能である。この方法は、分析物または抗体のいずれかへの標識の付着に頼り、そして標識構成要素には、直接または間接的にのいずれかで酵素が含まれる。他の方法は、例えば放射性同位体(I125)または蛍光などの標識に頼る。さらなる技術には、例えば、凝集、比濁分析、比濁法、ウェスタンブロット、免疫沈降、免疫細胞化学、免疫組織化学、フローサイトメトリー、血清学、Luminexアッセイ等が含まれる(ImmunoAssay: A Practical Guide, Brian Law監修, Taylor & Francis, Ltd.発行, 2005年版)。
[0175]例示的なアッセイ形式には、酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ、蛍光、化学発光、および蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)または時間分解FRET(TR−FRET)イムノアッセイが含まれる。バイオマーカーを検出するための方法の例には、バイオマーカー免疫沈降後、サイズおよびペプチドレベルの区別を可能にする定量的方法、例えばゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動、平面電気クロマトグラフィ等が含まれる。
[0176]検出可能標識またはシグナル生成物質を検出し、そして/または定量化する方法は、標識の性質に応じる。適切な酵素(検出可能標識が酵素である場合;上記を参照されたい)によって触媒される反応の産物は、限定なしに、蛍光性、発光性、または放射性であってもよく、あるいはこれらは可視光または紫外光を吸収してもよい。こうした検出可能標識を検出するのに適した検出装置の例には、限定なしに、X線フィルム、放射性カウンター、シンチレーションカウンター、分光光度計、比色計、蛍光光度計、ルミノメーター、および濃度計が含まれる。
[0177]検出のための任意の方法を、任意の適切な調製、プロセシング、および反応分析を可能にする任意の形式で実行してもよい。これは、例えば、マルチウェルアッセイプレート(例えば96ウェルまたは384ウェル)中であってもよいし、あるいは任意の適切なアレイまたはマイクロアレイを用いてもよい。多様な剤のストック溶液を手動でまたはロボット制御で作製してもよく、そしてすべての続くピペット操作、希釈、混合、分配、洗浄、インキュベーション、サンプル読み取り、データ収集および分析を、商業的に入手可能な分析ソフトウェア、ロボット工学、および検出可能標識を検出することが可能な検出装置を用いて、ロボット制御で行ってもよい。
遺伝子発現プロファイリングを用いたバイオマーカー値の決定
[0178]生物学的サンプルにおけるmRNAの測定を、生物学的サンプル中の対応するタンパク質レベルの検出の代理として、用いてもよい。したがって、本明細書記載の任意のバイオマーカーまたはバイオマーカーパネルもまた、適切なRNAを検出することによっても検出可能である。
[0179]mRNA発現レベルを逆転写定量的ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR後、qPCR)によって測定する。RT−PCRを用いて、mRNAからcDNAを生成する。cDNAをqPCRアッセイにおいて用いて、DNA増幅プロセスが進行するにつれて、蛍光を生じることも可能である。標準曲線に比較することによって、qPCRは、細胞あたりのmRNAのコピー数などの絶対測定値を生じうる。ノーザンブロット、マイクロアレイ、Invaderアッセイ、およびキャピラリー電気泳動と組み合わせたRT−PCRはすべて、サンプル中のmRNAの発現レベルを測定するために用いられてきている。Gene Expression Profiling: Methods and Protocols, Richard A. Shimkets監修, Humana Press, 2004を参照されたい。
[0180]miRNA分子は、非コーディングであるが、遺伝子発現を制御可能な小分子RNAである。また、対応するmiRNAに関して、mRNA発現レベルの測定に適した任意の方法を用いてもよい。近年、多くの研究室が、疾患に関するバイオマーカーとしてmiRNAの使用を調べてきている。多くの疾患は、広範な転写制御を伴い、そしてmiRNAがバイオマーカーとしての役割を見出すことは驚くべきことではない。miRNAバイオマーカーの値はかなりでありうるにも関わらず、miRNA濃度および疾患の間の関連は、しばしば、タンパク質レベルおよび疾患の間の関連より、さらに明らかではない。もちろん、疾患中に示差的に発現される任意のRNAでのように、in vitro診断製品の開発が直面する問題には、miRNAが疾患細胞中で存続し、そして分析のために容易に抽出されるか、あるいはmiRNAが血液または他のマトリックス内に放出され、測定されるのに十分に長い期間、存続しなければならない必要性が含まれる。タンパク質バイオマーカーは、類似の必要性を有するが、多くの潜在的なタンパク質バイオマーカーは、疾患中、パラクリン方式で、病変部位で意図的に分泌され、そして機能する。多くの潜在的なタンパク質バイオマーカーは、タンパク質が合成される細胞の外で機能するよう設計されている。
in vivo分子画像化技術を用いたバイオマーカーの検出
[0181]任意の記載するバイオマーカー(表1を参照されたい)はまた、分子画像化試験で使用可能である。例えば、画像化剤を任意の記載するバイオマーカーにカップリングして、これを用いて、とりわけ、NSCLC診断を補助し、疾患進行/寛解または転移を監視し、疾患再発に関して監視し、または療法に対する反応を監視してもよい。
[0182]in vivo画像化技術は、個体の体の特定の疾患状態を決定するための、非侵襲性の方法を提供する。例えば、体の部分全体、またはさらに体全体を、三次元画像で見ることも可能であり、それによって、体の形態および構造に関する価値ある情報を提供する。こうした技術を、本明細書記載のバイオマーカーの検出と組み合わせて、個体の癌状態、特にNSCLC状態に関する情報を提供してもよい。
[0183]in vivo分子画像化技術の使用は、技術における多様な進歩のため拡大している。これらの進歩には、体内で強いシグナルを提供可能な、新規造影剤または標識、例えば放射標識および/または蛍光標識の開発;ならびに有用な情報を提供するのに十分な感度および正確性で、体の外からこれらのシグナルを検出し、そして分析することが可能な、強力な新規画像化技術の開発が含まれる。造影剤は、適切な画像化系において視覚化可能であり、それによって、造影剤が位置する体の単数または複数の部分の画像を提供することも可能である。造影剤は、捕捉剤、例えばアプタマーまたは抗体、および/またはペプチドまたはタンパク質、またはオリゴヌクレオチド(例えば遺伝子発現の検出のため)、あるいはこれらの任意のものと1またはそれより多い巨大分子および/または他の特定の型を含有する複合体とともに、結合するかまたはこれらと会合することも可能である。
[0184]造影剤はまた、画像化に有用な放射性原子も特徴としうる。適切な放射性原子には、シンチグラフィ研究のためのテクネチウム−99m、またはヨウ素−123が含まれる。他の容易に検出可能な部分には、例えば、磁気共鳴画像化(MRI)のためのスピン標識、例えば再びヨウ素−123、ヨウ素131、インジウム−111、フッ素−19、炭素−13、窒素−15、酸素−17、ガドリニウム、マンガンまたは鉄が含まれる。こうした標識は当該技術分野に周知であり、そして一般の当業者によって容易に選択可能である。
[0185]標準的な画像化技術には、限定されるわけではないが、磁気共鳴画像化、コンピュータ断層撮影スキャニング、ポジトロン放出断層撮影(PET)、単一光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)等が含まれる。診断in vivo画像化のため、利用可能な検出装置のタイプは、所定の造影剤、例えば所定の放射性核種およびターゲティングに用いられる特定のバイオマーカー(タンパク質、mRNA等)を選択する際の重要な要因である。選択される放射線核種は、典型的には、所定のタイプの装置によって検出可能な崩壊のタイプを有する。また、in vivo診断のための放射線核種を選択する際、半減期は、ターゲット組織による最大取り込みの時点で検出を可能にするために十分に長くなければならないが、宿主の有害な放射線照射が最小限になるために十分に短くなければならない。
[0186]例示的な画像化技術には、限定されるわけではないが、PETおよびSPECTが含まれ、これらは、放射性核種が合成的にまたは局所的に個体に投与される画像化技術である。放射性トレーサーの続く取り込みを長期間測定し、そしてこれを用いて、ターゲティングされる組織およびバイオマーカーに関する情報を得る。使用する特定の同位体が高エネルギー(ガンマ線)を放出し、そしてこれらを検出するために用いる装置が高感度であり、そして洗練されているため、放射能の二次元分布は、体の外部から推論可能である。
[0187]PETにおいて一般的に用いられるポジトロン放出核種には、例えば、炭素−11、窒素−13、酸素−15、およびフッ素−18が含まれる。電子捕捉および/またはガンマ放出によって崩壊する同位体がSPECTにおいて用いられ、そしてこうした同位体には、例えば、ヨウ素−123およびテクネチウム−99mが含まれる。テクネチウム−99mでアミノ酸を標識するための例示的な方法は、キレート性前駆体の存在下での、過テクネチウム酸イオンの還元であり、不安定なテクネチウム−99m−前駆体複合体が形成されて、これは続いて、二官能性修飾走化性ペプチドの金属結合基と反応して、テクネチウム−99m−走化性ペプチドコンジュゲートを形成する。
[0188]こうしたin vivo画像化診断法には、抗体を頻繁に用いる。in vivo診断のための抗体の調製および使用が当該技術分野に周知である。個体の疾患状態を診断するかまたは評価する目的のため、用いる特定のバイオマーカーにしたがって検出可能な、表1のバイオマーカーのいずれかに特異的に結合する標識抗体を、特定のタイプの癌(例えばNSCLC)を有すると推測される個体内に注入してもよい。用いる標識は、先に記載するように、用いようとする画像化様式にしたがって選択されるであろう。標識の局在は、癌の伝播の決定を可能にする。臓器または組織内の標識の量はまた、その臓器または組織中の癌の存在または非存在の決定も可能にする。
[0189]同様に、アプタマーをこうしたin vivo画像化診断法に用いてもよい。例えば、個体のNSCLC状態を診断するかまたは評価する目的のため、特定のバイオマーカーにしたがって検出可能な、表1に記載する特定のバイオマーカーを同定するために用いた(そしてしたがって、その特定のバイオマーカーに特異的に結合する)アプタマーを、適切に標識し、そしてNSCLCを有すると推測される個体内に注入してもよい。用いられる標識は、先に記載するように、用いようとする画像化様式にしたがって選択されるであろう。標識の局在は、癌の伝播の決定を可能にする。臓器または組織内の標識の量はまた、その臓器または組織中の癌の存在または非存在の決定も可能にする。アプタマーに導かれる画像化剤は、他の画像化剤に比較した際、組織浸透、組織分布、動力学、排除、強度、および選択性に関する、ユニークでそして好適な特性を有することも可能である。
[0190]こうした技術はまた、場合によって、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドでの画像化を通じて遺伝子発現を検出するため、標識オリゴヌクレオチドでも実行可能である。これらの方法は、in situハイブリダイゼーションのため、標識としての例えば蛍光分子または放射性核種とともに用いられる。遺伝子発現の検出のための他の方法には、例えば、レポーター遺伝子の活性の検出が含まれる。
[0191]画像化技術の別の一般的なタイプは、光学画像化であり、ここで、被験体の外側にある光学デバイスによって被験体内の蛍光シグナルを検出する。これらのシグナルは、実際の蛍光および/または生物発光によってもよい。光学検出デバイスの感度の改善は、in vivo診断アッセイに関する光学画像化の有用性を増加してきている。
[0192]in vivo分子バイオマーカー画像化の使用は、臨床試験を含めて増加しており、例えば、新規癌療法のための試験において、臨床効率をより迅速に測定し、そして/または、長期治療が倫理的に疑わしいと見なされうる、多発性硬化症のような疾患のためのプラセボでの長期治療を回避する。
[0193]他の技術の概説に関しては、N. Blow, Nature Methods, 6, 465−469, 2009を参照されたい。
組織学/細胞学的方法を用いたバイオマーカー値の決定
[0194]NSCLCの評価のため、多様な組織サンプルを、組織学的または細胞学的方法で使用してもよい。サンプル選択は、原発性腫瘍の位置および転移の部位に応じる。例えば、気管支内および経気管支生検、細針吸引物、カッティングニードル、およびコア生検を組織学のために用いてもよい。気管支洗浄およびブラッシング、胸膜吸引、胸水、および痰を、細胞学のために用いてもよい。細胞学的分析は、なお、NSCLCの診断において用いられるが、組織学的方法は、癌の検出により高い感度を提供することが知られる。個体において上方制御されていることが示された(表1)、本明細書に同定する任意のバイオマーカーを用いて、疾患の徴候として組織学的標本を染色してもよい。
[0195]1つの態様において、対応するバイオマーカー(単数または複数)に特異的な1またはそれより多い捕捉試薬は、肺組織細胞サンプルの細胞学的評価に用いられ、そしてこれには、1またはそれより多い以下が含まれてもよい:細胞サンプルを収集し、細胞サンプルを固定し、脱水し、清浄化し、細胞サンプルを顕微鏡スライド上に固定し、細胞サンプルを透過処理し、分析物回収のために処理し、染色し、脱染色し、洗浄し、ブロッキングし、そして緩衝溶液中で1またはそれより多い捕捉試薬と反応させる。別の態様において、細胞サンプルは細胞ブロックから産生される。
[0196]別の態様において、対応するバイオマーカー(単数または複数)に特異的な1またはそれより多い試薬(単数または複数)を、肺組織サンプルの組織学的評価において用い、そしてこれには、1またはそれより多い以下が含まれてもよい:組織標本を収集し、組織サンプルを固定し、脱水し、清浄化し、細胞サンプルを顕微鏡スライド上に固定し、組織サンプルを透過処理し、分析物回収のために処理し、染色し、脱染色し、洗浄し、ブロッキングし、再水和し、そして緩衝溶液中で捕捉試薬(単数または複数)と反応させる。別の態様において、固定および脱水を、凍結で置換する。
[0197]別の態様において、対応するバイオマーカー(単数または複数)に特異的な1またはそれより多いアプタマー(単数または複数)を、組織学的または細胞学的サンプルと反応させ、そしてこれを、核酸増幅法において、核酸ターゲットとして利用することも可能である。適切な核酸増幅法には、例えば、PCR、q−ベータレプリカーゼ、ローリングサークル増幅、鎖置換法、ヘリカーゼ依存性増幅、ループ仲介等温増幅、リガーゼ連鎖反応、ならびに制限および環状化補助ローリングサークル増幅が含まれる。
[0198]1つの態様において、組織学的または細胞学的評価で使用するための対応するバイオマーカーに特異的な1またはそれより多い捕捉試薬(単数または複数)を、緩衝溶液中で混合し、これには、以下:ブロッキング材料、競合剤、界面活性剤、安定化剤、キャリアー核酸、ポリアニオン材料等のいずれかが含まれてもよい。
[0199]「細胞学プロトコル」には、一般的に、サンプル収集、サンプル固定、サンプル固定化、および染色が含まれる。「細胞調製」には、サンプル収集後のいくつかのプロセシング工程が含まれてもよく、調製細胞の染色のための1またはそれより多い緩慢解離速度アプタマーの使用が含まれる。
[0200]サンプル収集には、非処理輸送容器中にサンプルを直接入れるか、何らかのタイプの媒体を含有する輸送容器中にサンプルを入れるか、あるいはいかなる処理または固定も伴わずに、スライド上にサンプルを直接置く(固定)工程が含まれてもよい。
[0201]ポリリジン、ゼラチン、またはシランで処理したガラススライドに、収集した標本の部分を適用することによって、サンプル固定を改善してもよい。薄い、そして均一の細胞層をスライドに渡ってスメアすることによって、スライドを調製してもよい。機械的歪みおよび乾燥アーチファクトを最小限にするように、全般に注意を払う。液体標本を細胞ブロック法においてプロセシングしてもよい。あるいは、液体標本を、固定溶液と1:1で、室温で約10分間混合してもよい。
[0202]残渣浸出液、痰、尿沈降物、胃腸液、肺液、細胞擦過、または細針吸引物から、細胞ブロックを調製してもよい。遠心分離または膜ろ過によって、細胞を濃縮するかまたはパッキングする。細胞ブロック調製のためのいくつかの方法が開発されてきている。代表的な方法には、固定沈降、細菌寒天、または膜ろ過法が含まれる。固定沈降法において、細胞沈降を、ブアン、ピクリン酸、または緩衝ホルマリンのような固定剤と混合し、そして次いで、混合物を遠心分離して、固定細胞をペレットにする。上清を除去し、細胞ペレットを可能な限り完全に乾燥させる。ペレットを収集し、そしてレンズペーパーにくるみ、そして次いで、組織カセット中に入れる。組織カセットを、さらなる固定剤を含むジャーに入れ、そして組織サンプルとしてプロセシングする。寒天法は非常に類似であるが、ペレットを除去し、そしてペーパータオル上で乾燥させ、そして次いで半分に切る。切った側を、ガラススライド上の融解した寒天滴中に乗せ、そして次いでペレットを寒天で覆い、寒天中に泡がないことを確認する。寒天を硬化させ、そして次いで、いかなる過剰な寒天も取り払う。これを組織カセット中に入れ、そして組織プロセスを完了する。あるいは、ペレットを直接2%液体寒天中に65℃で懸濁して、そしてサンプルを遠心分離する。寒天細胞ペレットを4℃で1時間固化させる。固形寒天を遠心分離管から除去し、そして半分にスライスしてもよい。寒天をろ紙にくるみ、そして次いで、組織カセットに入れる。この時点以降のプロセシングは上述の通りである。これらの任意の方法において、遠心分離を膜ろ過で置換してもよい。これらのプロセスはいずれも、「細胞ブロックサンプル」を生成するために使用可能である。
[0203]Lowicryl樹脂、LRホワイト、LRゴールド、Unicryl、およびMonoStepを含む特殊化樹脂を用いて、細胞ブロックを調製してもよい。これらの樹脂は、低い粘性を有し、そして低温で、そして紫外(UV)光で、重合可能である。包埋プロセスは、脱水中にサンプルを次第に冷却し、サンプルを樹脂に移し、そして適切なUV波長を用い最終低温でブロックを重合させることに頼る。
[0204]細胞ブロック切片を、細胞形態学的検査のため、ヘマトキシリン−エオジンで染色し、一方、さらなる切片を特異的マーカーの検査のために用いてもよい。
[0205]プロセスが細胞学的または組織学的であれ、サンプル分解を防止するため、さらなるプロセシング前に、サンプルを固定してもよい。このプロセスは「固定」と称され、そして交換可能に使用可能な材料および方法を広範に記載する。サンプル固定プロトコルおよび試薬は、検出しようとするターゲットおよび分析しようとする特定の細胞/組織タイプに経験的に基づいて、最適に選択される。サンプル固定は、エタノール、ポリエチレングリコール、メタノール、ホルマリン、またはイソプロパノールなどの試薬に頼る。サンプルは、収集およびスライドへの固定の後、可能な限り速やかに固定しなければならない。しかし、選択される固定液は、多様な分子ターゲット内に構造変化を導入し、それによって、続く検出がより困難になる。固定および固定化プロセスおよびその順序は、細胞の外見を修飾する可能性もあり、そしてこれらの変化は細胞技術者によって予測されそして認識されなければならない。固定液は、特定の細胞タイプの縮みを引き起こし、そして細胞質を顆粒状または網状に見えるようにした。多くの固定剤は、細胞構成要素を架橋することによって機能する。これは、特定のエピトープに損傷を与えるかまたはエピトープを修飾し、新規エピトープを生成し、分子会合を引き起こし、そして膜浸透性を減少させる可能性もある。ホルマリン固定は、最も一般的な細胞学的/組織学的アプローチの1つである。ホルマリンは、隣のタンパク質との間のまたはタンパク質内でのメチル架橋を形成する。固定のため、沈降または凝集もまた用い、そしてエタノールは、このタイプの固定に頻繁に用いられる。架橋および沈降の組み合わせもまた、固定に用いてもよい。強い固定プロセスは、形態学的情報を保持する際に最適であり、一方、より弱い固定プロセスは、分子ターゲットを保持するために最適である。
[0206]代表的な固定液は50%無水エタノール、2mMポリエチレングリコール(PEG)、1.85%ホルムアルデヒドである。この配合に対する変動には、エタノール(50%〜95%)、メタノール(20%〜50%)、およびホルマリン(ホルムアルデヒド)のみが含まれる。別の一般的固定液は、2% PEG1500、50%エタノール、および3%メタノールである。スライドを固定液中に、室温で約10〜15分間入れ、そして次いで取り出して、そして乾燥させた。ひとたびスライドを固定したら、これらをPBSのような緩衝溶液でリンスしてもよい。
[0207]広範囲の色素を用いて、細胞、細胞内、および組織特徴または形態学的構造を、示差的に強調し、そして対比または「染色」してもよい。ヘマトイリン(hematoylin)を用いて、核を青または黒色に染色する。オレンジG−6およびエオジンアズールはどちらも、細胞の細胞質を染色する。オレンジGは、ケラチンおよびグリコーゲンを含有する細胞を黄色に染色する。エオジンYを用いて、核、繊毛、赤血球、および表在性上皮扁平細胞を染色する。空気乾燥スライドに関しては、ラマノフスキー染色を用い、そしてこれは、多型性を増進し、そして細胞質内物質から細胞外を区別するのに有用である。
[0208]染色プロセスには、染色剤に対する細胞の透過性を増加させる処理が含まれてもよい。界面活性剤での細胞の処理を用いて、透過性を増加させてもよい。細胞および組織透過性を増加させるため、固定サンプルを、さらに溶媒、サポニン、または非イオン性界面活性剤で処理してもよい。酵素消化もまた、組織サンプル中の特異的ターゲットのアクセス可能性を改善しうる。
[0209]染色後、アルコール濃度を増加させながら、アルコールリンスの連続を用いて、サンプルを脱水する。最終洗浄は、スライドに適用されるカバースリップのものに近い反射率を有する、キシレンまたはキシレン代替物、例えばシトラス・テルペンで行われるものである。この最終工程は、クリアリングと称される。ひとたびサンプルを脱水し、そしてクリアリングしたら、マウンティング媒体を適用する。マウンティング媒体は、ガラスに近い反射率を有するように選択され、そしてスライド上のカバースリップに結合可能である。これは、細胞サンプルのさらなる乾燥、縮み、または退色も阻害するであろう。
[0210]染色またはプロセシングを用いるにも関わらず、肺細胞学的標本の最終評価は、形態の視覚的調査およびマーカーの存在または非存在の決定を可能にするある種の顕微鏡によって行われる。例示的な顕微鏡法には、明視野、位相差、蛍光、および微分干渉コントラスト法が含まれる。
[0211]検査後、サンプルに対する二次試験が必要である場合、カバースリップを取り除き、そしてスライドを脱染色してもよい。脱染色は、色素を添加せずに、元来のスライドを染色する際に用いた元来の溶媒系を用い、そして元来の染色法の逆の順序で進行する。脱染色はまた、細胞が無色になるまで、スライドを酸アルコールに浸すことによって完了可能である。ひとたび無色になったら、スライドを水槽中でよくリンスし、そして二次染色法を適用する。
[0212]さらに、抗体あるいは核酸プローブまたはアプタマーなどの特異的分子試薬の使用を通じて、細胞形態学的分析と組み合わせて、特異的分子差別化が可能である。これによって、診断細胞学の正確性が改善される。顕微解剖を用いて、さらなる評価のため、特に、異常な染色体、遺伝子発現、または突然変異の遺伝子評価のため、細胞サブセットを単離してもよい。
[0213]組織学的評価のための組織サンプルの調製は、固定、脱水、浸潤、包埋、および切片作製を伴う。組織学で用いられる固定試薬は、細胞学で用いられるものと非常に類似であるかまたは同一であり、そして個々のタンパク質などの分子のものを犠牲にして、形態学的特徴を保持する同じ問題を有する。組織サンプルを固定せず、そして脱水せずに、その代わり凍結し、そして次いで凍結中に切片作製すれば、時間を節約可能である。これは、より穏やかなプロセシング法であり、そしてより多くの個々のマーカーを保持可能である。しかし、凍結は、細胞内情報が、氷の結晶の導入によって失われるため、組織サンプルの長期保存には認められない。凍結組織サンプル中の氷はまた、切片作製プロセスにおいて、非常に薄い切片を産生するのを妨げ、そしてしたがって、ある程度の顕微鏡解像度および細胞内構造の画像化が失われる可能性もある。ホルマリン固定に加えて、四酸化オスミウムを用いて、固定し、そしてリン脂質(膜)を染色する。
[0214]アルコール濃度を増加させて連続して洗浄することによって、組織の脱水を達成する。クリアリングは、アルコールと混和可能な材料および包埋材料を使用し、そして50:50アルコール:クリアリング剤で始まり、そして次いで100%クリアリング剤(キシレンまたはキシレン置換物)となる、段階的なプロセスを伴う。浸潤は、組織を包埋剤の液体型(温かい蝋、ニトロセルロース溶液)と、最初は50:50包埋剤:クリアリング剤で、そして100%包埋剤で、インキュベーションする工程を含む。包埋は、組織をモールドまたはカセットに入れ、そして融解した包埋剤、例えばワックス、寒天、またはゼラチンを充填することによって、完了する。包埋剤を固化させる。次いで、固化した組織サンプルを、染色および続く検査のため、薄い切片にスライスする。
[0215]染色前に、組織切片を脱ワックスし、そして再水和する。キシレンを用いて、切片を脱ワックスし、キシレンの1またはそれより多い変化を用いてもよく、そして組織を、減少する濃度のアルコール中で連続洗浄することによって、再水和する。脱ワックス前に、約80℃で約20分間、組織切片をガラススライドに固定してもよい。
[0216]レーザー捕捉顕微解剖によって、組織切片から、さらなる分析のため、細胞サブセットを単離することも可能である。
[0217]細胞学におけるように、顕微鏡特徴の視覚化を増進するため、組織切片またはスライスを多様な染色剤で染色してもよい。商業的に入手可能な染色剤の多くのメニューを用いて、特定の特徴を増進するかまたは同定することも可能である。
[0218]細胞学的/組織学的サンプルと分子試薬の相互作用をさらに増加させるため、「分析物回収」のための多くの技術が開発されてきている。第一のこうした技術は、固定サンプルの高温加熱を用いる。この方法はまた、熱誘導性エピトープ回収、またはHIERと称される。多様な加熱技術が用いられてきており、これには、スチーム加熱、マイクロ波、オートクレーブ、水槽、および加圧調理、または加熱のこれらの方法の組み合わせが含まれる。分析物回収溶液には、例えば、水、クエン酸、および正常生理食塩水が含まれる。分析物回収への重要な点は高温での時間であるが、より長い時間に渡る、より低い温度もまた成功裡に用いられてきている。分析物回収に関する別の重要な点は、加熱溶液のpHである。低pHは、最適な免疫染色を提供することが見出されてきているが、バックグラウンドの上昇を生じ、これはしばしば、負の対照として、第二の組織選択の使用を必要とする。最も一貫した利益(バックグラウンドの増加を伴わない免疫染色の増加)は、一般的に、緩衝液組成物とは関係なく、高いpH溶液で得られる。特異的ターゲットに関する分析物回収プロセスは、プロセス最適化のための変数として、熱、時間、pH、および緩衝組成物を用いて、ターゲットに関して経験的に最適化される。マイクロ波分析物回収法を用いて、抗体試薬で、異なるターゲットの連続染色を可能にする。しかし、染色工程間に抗体および酵素複合体を得るために必要な時間もまた、細胞膜分析物を分解させることが示されてきている。マイクロ波加熱法は、in situハイブリダイゼーション法もまた改善している。
[0219]分析物回収プロセスを開始するため、切片をまず脱ワックスし、そして水和する。次いで、スライドを、プレートまたはジャーの中の10mMクエン酸ナトリウム緩衝液pH6.0中に入れる。代表的な方法は、1100Wマイクロ波を用い、そして100%出力で2分間、スライドをマイクロ波処理し、その後、スライドが液体中に覆われたままであることを確認した後、20%出力を用いて18分間、スライドをマイクロ波処理する。次いで、スライドを覆いのない容器中で冷却し、そして次いで、再蒸留水でリンスする。HIERを、酵素消化と組み合わせて用いて、免疫化学試薬へのターゲットの反応性を改善する。
[0220]1つのこうした酵素消化プロトコルは、プロテイナーゼKを用いる。20g/ml濃度のプロテイナーゼKを、50mM Tris塩基、1mM EDTA、0.5%Triton X−100、pH8.0緩衝液中で調製する。プロセスはまず、各5分ずつのキシレンの2回交換で切片を脱ワックスする工程を含む。次いで、各3分間の100%エタノールの2回交換、各1分間の95%および80%エタノール、そして次いで、再蒸留水中でのリンスで、サンプルを再水和する。切片をプロテイナーゼK作業溶液で覆い、そして加湿チャンバー中、37℃で10〜20分間インキュベーションする(最適なインキュベーション時間は、組織タイプおよび固定の度合いに応じて多様でありうる)。切片を室温で10分間冷却し、そして次いでPBS Tween20中、2x2分でリンスする。望ましい場合、切片をブロッキングして、内因性化合物および酵素からの潜在的な干渉を排除してもよい。次いで、切片を、一次抗体希釈緩衝液中の適切な希釈の一次抗体と、室温で1時間または4℃で一晩インキュベーションする。次いで、切片をPBS Tween20中、2x2分でリンスする。特異的適用が必要である場合、さらなるブロッキングを行ってもよく、その後、PBS Tween20で、3x2分でさらにリンスし、そして次いで最終的に免疫染色プロトコルを完了する。
[0221]室温で1%SDSでの単純な処理もまた、免疫組織化学染色を改善することが示されてきている。分析物回収法は、スライドマウンティング切片、ならびに自由流動切片に適用されてきている。別の処理オプションは、クエン酸および0.1 Nonident P40を含有するジャーにスライドを入れ、そして95℃に加熱することである。次いで、スライドをPBSのような緩衝溶液で洗浄する。
[0222]組織の免疫学的染色のため、切片を血清または脱脂粉乳などのタンパク質溶液に浸すことによって、組織タンパク質と抗体の非特異的会合をブロックすることが有用でありうる。
[0223]ブロッキング反応には、内因性ビオチンのレベルを減少させ;内因性電荷効果を排除し;内因性ヌクレアーゼを不活性化し;そして/またはペルオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼのような内因性酵素を不活性化する必要が含まれうる。内因性ヌクレアーゼは、プロテイナーゼKでの分解によって、熱処理によって、キレート剤、例えばEDTAまたはEGTAの使用によって、キャリアーDNAまたはRNAの導入によって、カオトロープ、例えば尿素、チオ尿素、塩酸グアニジン、チオシアン酸グアニジン、過塩素酸リチウム等、またはジエチルピロカーボネートでの処理によって、不活性化可能である。アルカリホスファターゼは、0.1N HClで、室温で5分間処理するか、または1mMレバミゾールで処理することによって、不活性化可能である。ペルオキシダーゼ活性は、0.03%過酸化水素で処理することによって、排除可能である。スライドまたは切片を、アビジン(ストレプトアビジン、ニュートラアビジンで置換可能である)中に室温で少なくとも15分間浸すことによって、内因性ビオチンをブロッキングしてもよい。次いで、スライドまたは切片を、緩衝液中、少なくとも10分間洗浄する。これを少なくとも3回反復してもよい。次いで、スライドまたは切片を、ビオチン溶液中に10分間浸す。これを、各回、新鮮なビオチン溶液で、少なくとも3回反復してもよい。緩衝液洗浄法を反復する。ブロッキングプロトコルは、細胞または組織構造あるいは関心対照の単数または複数のターゲットのいずれかに損傷を与えるのを防止するため、ブロッキングプロトコルを最小限にすべきであるが、これらのプロトコルの1またはそれより多くを組み合わせて、1またはそれより多い緩慢解離速度アプタマーとの反応前に、スライドまたは切片を「ブロック」することも可能である。Basic Medical Histology: the Biology of Cells, Tissues and Organs, Richard G. Kessel著, Oxford University Press, 1998を参照されたい。
質量分析法を用いたバイオマーカー値の決定
[0224]多様な配置の質量分析計を用いて、バイオマーカー値を検出してもよい。いくつかのタイプの質量分析計が入手可能であるか、または多様な配置で産生可能である。一般的に、質量分析計は、以下の主要構成要素を有する:サンプル入り口、イオン供給源、質量分析装置、検出装置、真空系、および装置制御系、およびデータ系。サンプル入り口、イオン供給源、および質量分析装置の相違は、一般的に、装置のタイプおよびその能力を定義する。例えば、入り口は、キャピラリーカラム液体クロマトグラフィ供給源であってもよいし、あるいは、マトリックス支援レーザー脱離において用いられるような直接プローブまたはステージであってもよい。一般的なイオン供給源は、例えば、ナノスプレーおよびマイクロスプレーを含むエレクトロスプレーまたはマトリックス支援レーザー脱離である。一般的な質量分析装置には、四重極マスフィルター、イオン捕捉質量分析装置および時間飛行質量分析装置が含まれる。さらなる質量分析法が当該技術分野に周知である(Burlingameら Anal. Chem. 70:647 R−716R(1998); Kinter and Sherman, ニューヨーク(2000)を参照されたい)。
[0225]タンパク質バイオマーカーおよびバイオマーカー値を、以下の方法のいずれによって、検出し、そして測定することも可能である:エレクトロスプレーイオン化質量分析法(ESI−MS)、ESI−MS/MS、ESI−MS/(MS)n、マトリックス補助レーザー脱離イオン化時間飛行質量分析法(MALDI−TOF)、表面増進レザー脱離/イオン化時間飛行質量分析法(SELDI−TOF−MS)、シリコン上の脱離/イオン化(DIOS)、二次イオン質量分析法(SIMS)、四極子時間飛行(Q−TOF)、ultraflex III TOF/TOFと呼ばれるタンデム時間飛行(TOF/TOF)技術、大気圧化学イオン化質量分析法(APCI−MS)、APCI−MS/MS、APCI−(MS)N、大気圧光イオン化質量分析法(APPI−MS)、APPI−MS/MS、およびAPPI−(MS)N、四極子質量分析法、フーリエ変換質量分析法(FTMS)、定量的質量分析法、およびイオン捕捉質量分析法。
[0226]タンパク質バイオマーカーの質量分析特性決定およびバイオマーカー値の決定の前に、サンプル調製戦略を用いて、サンプルを標識し、そして濃縮する。標識法には、限定されるわけではないが、相対および絶対定量化のための等圧性タグ(iTRAQ)、および細胞培養中のアミノ酸での安定同位体標識(SILAC)が含まれる。質量分析前に、候補バイオマーカータンパク質に関して、サンプルを選択的に濃縮するために用いる捕捉試薬には、限定されるわけではないが、アプタマー、抗体、核酸プローブ、キメラ、小分子、F(ab’)2断片、一本鎖抗体断片、Fv断片、一本鎖Fv断片、核酸、レクチン、リガンド結合受容体、アフィボディ、ナノボディ、アンキリン、ドメイン抗体、代替抗体骨格(例えばディアボディ等)、インプリンティングされたポリマー、アビマー、ペプチド模倣体、ペプトイド、ペプチド核酸、トレオース核酸、ホルモン受容体、サイトカイン受容体、および合成受容体、ならびにこれらの修飾および断片が含まれる。
近接連結アッセイを用いた、バイオマーカー値の決定
[0227]近接連結アッセイを用いて、バイオマーカー値を決定してもよい。簡潔には、試験サンプルを、一対のアフィニティプローブと接触させ、ここでこのプローブは、一対の抗体または一対のアプタマーであってもよく、対の各メンバーはオリゴヌクレオチドで伸張される。対のアフィニティプローブに関するターゲットは、1つのタンパク質上の2つの別個の決定因子、または2つの異なるタンパク質各々の上の1つの決定因子であってもよく、これらはホモまたはヘテロ多量体複合体として存在してもよい。プローブがターゲット決定因子に結合すると、オリゴヌクレオチド伸張の未結合端が、ともにハイブリダイズするのに十分に近い近接性になる。オリゴヌクレオチド伸張のハイブリダイゼーションは、共通の連結因子オリゴヌクレオチドによって促進され、該オリゴヌクレオチドは、十分に近接して配置されると、オリゴヌクレオチド伸張を一緒に架橋するように働く。プローブのオリゴヌクレオチド伸張がひとたびハイブリダイズしたら、伸張の端は酵素DNA連結によって一緒に連結される。
[0228]各オリゴヌクレオチド伸張は、PCR増幅のためのプライマー部位を含む。ひとたび、オリゴヌクレオチド伸張が一緒に連結されたら、オリゴヌクレオチドは、連続DNA配列を形成し、これはPCR増幅を通じて、ターゲットタンパク質の同一性および量に関連する情報、ならびにターゲット決定因子が2つの異なるタンパク質上にある場合、タンパク質−タンパク質相互作用に関する情報を明らかにする。近接連結は、リアルタイムPCRの使用を通じて、リアルタイムタンパク質濃度および相互作用情報に関する非常に高感度でそして特異的なアッセイを提供可能である。関心対照の決定因子に結合しないプローブは、対応するオリゴヌクレオチド伸長が近接せず、そして連結またはPCR増幅が進行不能であり、その結果、シグナルはまったく産生されない。
[0229]前述のアッセイによって、NSCLCを診断するための方法において有用であるバイオマーカー値の検出を可能にし、ここで該方法は、個体由来の生物学的サンプルにおいて、表1に提供するバイオマーカーからなる群より選択されるバイオマーカーに各々対応する、少なくともNのバイオマーカー値を検出する工程を含み、ここで、以下に詳細に記載するような、バイオマーカー値を用いた分類は、個体がNSCLCを有するかどうかを示す。記載するNSCLCバイオマーカーの特定のものが、単独で、NSCLCを検出し、そして診断するのに有用であるが、本明細書において、3またはそれより多いバイオマーカーのパネルとして、各々、有用である、NSCLCバイオマーカーの多数のサブセットのグループ化のための方法もまた、本明細書に記載する。したがって、本出願の多様な態様は、Nが少なくとも3つのバイオマーカーである、Nバイオマーカーを含む組み合わせを提供する。他の態様において、Nは、2〜59バイオマーカーからの任意の数であるように選択される。Nは上述の範囲のいずれか由来の任意の数、ならびに類似であるが、より高い桁の範囲であるようにも選択可能であることが認識されるであろう。本明細書記載の方法のいずれかにしたがって、バイオマーカー値を検出し、そして個々に分類するか、または例えば多重化アッセイ形式におけるように、集合的にこれらを検出し、そして分類してもよい。
[0230]別の側面において、NSCLCの非存在を検出するための方法であって、個体由来の生物学的サンプルにおいて、表1に提供するバイオマーカーからなる群より選択されるバイオマーカーに各々対応する、少なくともNのバイオマーカー値を検出する工程を含み、ここで、以下に詳細に記載するような、バイオマーカー値の分類は、個体におけるNSCLCの非存在を示す。記載するNSCLCバイオマーカーの特定のものが、単独で、NSCLCの非存在を検出し、そして診断するのに有用であるが、3またはそれより多いバイオマーカーのパネルとして、各々、有用である、NSCLCバイオマーカーの多数のサブセットのグループ化のための方法もまた、本明細書に記載する。したがって、本出願の多様な態様は、Nが少なくとも3つのバイオマーカーである、Nバイオマーカーを含む組み合わせを提供する。他の態様において、Nは、2〜59バイオマーカーからの任意の数であるように選択される。Nは上述の範囲のいずれか由来の任意の数、ならびに類似であるが、より高い桁の範囲であるようにも選択可能であることが認識されるであろう。本明細書記載の方法のいずれかにしたがって、個々にバイオマーカー値を検出し、そして分類するか、または例えば多重化アッセイ形式におけるように、集合的にこれらを検出し、そして分類してもよい。
バイオマーカーの分類および疾患スコアの計算
[0231]所定の診断試験に関するバイオマーカー「シグネチャー」は、マーカーのセットを含有し、各マーカーは、関心対照の集団において、異なるレベルを有する。この文脈において、異なるレベルは、2もしくはそれより多い群における個体に関するマーカーレベルの異なる平均、または2もしくはそれより多い群における異なる分散、あるいは両方の組み合わせを指すことも可能である。診断試験の最も単純な型に関しては、これらのマーカーを用いて、疾患または疾患でない、2つの群のいずれか一方に、個体由来の未知のサンプルを割り当てることも可能である。2またはそれより多い群の1つへのサンプルの割り当ては、分類として知られ、そしてこの割り当てを達成するために用いる方法は、分類器または分類法として知られる。分類法はまた、スコアリング法とも称されうる。バイオマーカー値セットから診断分類器を構築するために使用可能な、多くの分類法がある。一般的に、分類法は、区別しようとする2つ(または、多重分類状態に関しては、それより多く)の別個の群に、個体から得られたサンプルを用いてデータセットを収集する、教師付き学習技術を用いて、最も容易に行われる。各サンプルが属するクラス(群または集団)は、各サンプルに関してあらかじめ知られているため、分類法を訓練して、望ましい分類反応を生じることも可能である。教師なし学習技術を用いて、診断分類器を生じることもまた可能である。
[0232]診断分類器を開発するための一般的なアプローチには、決定木;バギング、ブースティング、フォレストおよびランダムフォレスト;ルール推論に基づく学習;パルツェン窓;線形モデル;ロジスティック;神経ネットワーク法;教師なしクラスター形成;K−平均法;階層的昇順/降順;半教師付き学習;プロトタイプ法;最近傍;カーネル密度推定量;サポートベクターマシン;隠れマルコフモデル;ボルツマン学習が含まれ;そして分類器を単純に、または特定の目的関数が最小限になる方式で、組み合わせてもよい。概説に関しては、例えば、Pattern Classification, R. O. Dudaら監修, John Wiley & Sons, 第2版, 2001を参照されたい;また、The Elements of Statistical Learning −Data Mining, Inference, and Prediction, T. Hastieら監修, Springer Science+Business Media, LLC, 第2版, 2009を参照されたい;これらは各々、その全体が本明細書に援用される。
[0233]教師付き学習技術を用いて、分類器を産生するため、訓練データと呼ばれるサンプルセットを得る。診断試験の文脈において、訓練データには、未知のサンプルを後に割り当てようとする、別個の群(クラス)由来のサンプルが含まれる。例えば、対照集団における個体および特定の疾患集団における個体から収集したサンプルは、未知のサンプル(またはより具体的には、サンプルが得られた個体)を、疾患を有するかまたは疾患を持たないかいずれかとして分類可能な分類器を発展させる訓練データを構成しうる。訓練データ由来の分類器の発展は、分類器を訓練するとして知られる。分類器訓練に関する特定の詳細は、教師付き学習技術の性質に応じる。例示の目的のため、単純ベイズ分類器を訓練する例を以下に記載する(例えば、Pattern Classification, R. O. Dudaら監修, John Wiley & Sons, 第2版, 2001を参照されたい;また、The Elements of Statistical Learning −Data Mining, Inference, and Prediction, T. Hastieら監修, Springer Science+Business Media, LLC, 第2版, 2009を参照されたい)。
[0234]典型的には、訓練セット中のサンプルよりも、多くのより潜在的なバイオマーカー値があるため、過剰適合を回避するため、注意を払わなければならない。過剰適合は、統計モデルが、根底にある関連の代わりに、ランダムな誤差またはノイズを記載する際に生じる。過剰適合は、例えば、分類器を発展させる際に用いるマーカーの数を限定することによって、マーカー反応が互いに独立であると仮定することによって、使用する根底の統計モデルの複雑さを限定することによって、そして根底にある統計モデルがデータに一致することを確実にすることによって、多様な方式で回避可能である。
[0235]バイオマーカーセットを用いた診断試験の発展の例示的な例には、単純ベイズ分類器、バイオマーカーの厳密に独立な処理を伴うベイズ理論に基づいた単純確率的分類器の適用が含まれる。各バイオマーカーは、各クラスにおける測定されたRFU値または対数RFU(相対蛍光単位)値に関するクラス依存性確率密度関数(pdf)によって記載される。1つのクラスにおけるマーカーセットのジョイントpdfは、各バイオマーカーに関する個々のクラス依存性pdfの積であると仮定される。この文脈において、単純ベイズ分類器の訓練は、クラス依存性pdfを特徴付けるパラメータを割り当てることになる(「パラメータ化」)。クラス依存性pdfに関して、任意の根底にあるモデルを用いてもよいが、モデルは、一般的に、訓練セット中で得られるデータに一致していなければならない。
[0236]特に、疾患クラス中のバイオマーカーiに関する値xiを測定するクラス依存性確率は、p(xi|d)と記載され、そして値
を持つnのマーカーを観察する全体の単純ベイズ確率は
式中、個々のxisは、RFUまたは対数RFUにおいて測定されたバイオマーカーレベルである、と書き表される。未知の値に関する分類割り当ては、同じ測定される値に関して、疾患不含(対照)にある確率
に比較して、測定される
を有する疾患である確率
を計算することによって容易になる。これらの確率の比を、ベイズ定理の適用によってクラス依存性pdfから計算し、すなわち、
式中、p(d)は、試験に適切な集団における疾患の有病率である。この比の両側の対数を取り、そして上記から単純ベイズクラス依存性確率を置換すると
が生じる。この型は、対数尤度比として知られ、そして疾患を有するものに対して、特定の疾患を持たない対数尤度を単純に記載し、そして主に、nの個々のバイオマーカーの個々の対数尤度比の合計で構成される。最も単純な型において、未知のサンプル(またはより具体的には、サンプルが得られた個体)を、上記比がゼロより多い場合は疾患を持たないと分類し、そして比がゼロ未満である場合は、疾患を有すると分類する。
[0237]1つの例示的態様において、クラス依存性バイオマーカーpdf、p(xi|c)およびp(xi|d)は、測定されるRFU値xiにおいて、正常または対数正常分布であると仮定され、すなわち
であり、p(xi|d)に関しては、μdおよびσdを伴う類似の表現である。モデルのパラメータ化は、各クラス依存性pdfに関して、訓練データから2つのパラメータ、平均μおよび分散σ2の概算を必要とする。これは、例えば最大尤度概算によって、最小二乗法によって、そして当業者に知られる任意の他の方法によってを含めて、多数の方式で達成可能である。μおよびσに関する正規分布を、上に定義する対数尤度比に置換すると、以下の表現が生じる:
[0238]
[0239]ひとたび、訓練データ由来の各クラス中の各pdfに関して、μおよびσ2のセットが定義され、そして集団における疾患有病率が特定されたら、ベイズ分類器を完全に決定し、そしてこれを用いて、測定値
を持つ未知のサンプルを分類することも可能である。
[0240]単純ベイズ分類器の性能は、分類器を構築し、そして訓練するために用いたバイオマーカーの数および品質に依存する。単一のバイオマーカーは、以下の実施例3に定義するようなKS距離(コルモゴロフ−スミルノフ)にしたがって機能するであろう。分類器性能測定基準が、受信者動作特性曲線下面積(AUC)として定義される場合、完璧な分類器は、スコア1を有し、そしてランダム分類器は、平均して0.5のスコアを有するであろう。nおよびmのサイズを持つ2つのセットAおよびBの間のKS距離の定義は、値、Dn,m=supx|FA,n(x)−FB,m(x)|であり、これは、2つの経験的集積分布関数(edf)の間の最大相違である。nの観察XiのセットAに関する経験的edfは、
と定義され、式中、
は、Xi<xである場合1に等しく、そしてその他の場合0に等しい、指標関数である。定義によって、この値は、0および1の間に結びつけられ、ここで、1のKS距離は、経験分布が重複しないことを示す。
[0241]すぐれたKS距離(例えば>0.3)を持つ、続くマーカーの付加は、一般的に、続いて付加されるマーカーが第一のマーカーとは独立である場合、分類性能を改善するであろう。ROC曲線下面積(AUC)を分類器スコアとして用いると、単純に、欲張りアルゴリズムの変形とともに、多くの高スコアリング分類器が生じる。(欲張りアルゴリズムは、大域的最適解を発見することを望んで、各段階で局所的に最適である選択を行う、問題解決メタヒューリスティックにしたがうアルゴリズムいずれかである。)
[0242]本明細書で用いるアルゴリズムアプローチを実施例4に詳細に記載する。簡潔には、潜在的なバイオマーカーの表からすべての単一分析物分類器を生成し、そしてリストに付加する。次いで、保存された単一分析物分類器各々への第二の分析物のすべてのありうる付加を行い、最適スコアリング対のあらかじめ決定された数、例えば1000を新規リスト上に取っておく。最適2マーカー分類器のこの新規リストを用いて、すべてのあり得る3つのマーカー分類器を探索し、再びこれらの最適の1000を取っておく。スコアがプラトーに達するか、またはさらなるマーカーを付加した際に劣化し始めるまで、このプロセスを続ける。収束後に残る高スコアリング分類器を、意図される使用のため望ましい性能に関して評価してもよい。例えば、1つの診断適用において、高感度で、そして中程度の特異性を持つ分類器は、中程度の感度でそして高い特異性を持つものよりもより望ましい可能性もある。別の診断適用において、高い特異性および中程度の感度を持つ分類器がより望ましい可能性もある。性能の望ましいレベルは、一般的に、各々、特定の診断適用に関して許容可能である、偽陽性および偽陰性の数の間で行わなければならないトレードオフに基づいて選択される。こうしたトレードオフは、一般的に、偽陽性または偽陰性いずれかの誤差の医学的結果に応じる。
[0243]多様な他の技術が当該技術分野に知られ、そしてこれを使用して、単純ベイズ分類器を用いたバイオマーカーのリストから、多くの潜在的な分類器を生成することも可能である。1つの態様において、遺伝的アルゴリズムと称されるものを用いて、上に定義するような適合スコアを用いて、異なるマーカーを合わせてもよい。遺伝的アルゴリズムは、潜在的分類器の非常に多様な集団を探索するのに特によく適している。別の態様において、いわゆる蟻コロニー最適化を用いて、分類器セットを生成してもよい。当該技術分野に知られる他の戦略もまた使用可能であり、これらには、例えば、他の進化的戦略ならびにシミュレーションアニーリングおよび他の確率的探索法が含まれる。メタヒューリスティック法、例えばハーモニーサーチもまた使用可能である。
[0244]例示的な態様は、多様な組み合わせで、表1に列挙したNSCLCバイオマーカーの任意の数を用いて、NSCLCを検出するための診断試験を生じる(これらのバイオマーカーをどのように同定するかの詳細な説明に関しては、実施例2を参照されたい)。1つの態様において、NSCLCを診断するための方法は、単純ベイズ分類法を、表1に列挙するNSCLCバイオマーカーの任意の数と組み合わせて用いる。例示的な例(実施例3)において、単一のバイオマーカー、例えば0.59のKS距離でNSCLC中で示差的に発現されるMMP7を用いて、喫煙者および良性肺小結節の集団から、NSCLCを検出するための最も単純な試験を構築することも可能である。表16由来のMMP7に関するパラメータμc、i、σc、i、μd、i、およびσd、iならびに上記の対数尤度に関する等式を用いて、0.803のAUCを伴う診断試験が得られうる。表15を参照されたい。この試験に関するROC曲線を図2に示す。
[0245]例えば0.53のKS距離を持つバイオマーカーCLIC1を付加すると、分類器性能が0.883のAUCに有意に改善される。2つのバイオマーカーで構築された分類器に関するスコアが、KS距離の単純な合計ではないことに注目されたい;KS距離は、バイオマーカーを合わせた際、付加的ではなく、そして強いマーカーと同じレベルの性能を達成するには、はるかに多くの弱いマーカーを要する。例えば、第三のマーカー、STX1Aを付加すると、分類器性能は0.901のAUCにブーストされる。さらなるバイオマーカー、例えばCHRDL1、PA2G4、SERPINA1、BDNF、GHR、TGFBI、およびNME2を付加すると、表15に要約し、そして図3の一連のROC曲線として示す一連のNSCLC試験が生じる。分類器構築に用いた分析物の数の関数としての分類器スコアを図4に示す。この例示的な10マーカー分類器のAUCは0.948である。
[0246]表1に列挙するマーカーを多くの方式で組み合わせて、NSCLCを診断するための分類器を産生することも可能である。いくつかの態様において、バイオマーカーパネルは、選択される特定の診断性能基準に応じて、異なる数の分析物で構成される。例えば、バイオマーカーの特定の組み合わせは、他の組み合わせよりもより感度が高い(またはより特異的な)試験を産生するであろう。
[0247]表1由来のバイオマーカーの特定のセットを含むようにパネルを定義し、そして訓練データセットから分類器を構築したら、診断試験の定義を完了する。1つの態様において、未知のサンプルを分類するのに用いる方法を図1Aに概略する。別の態様において、未知のサンプルを分類するのに用いる方法を図1Bに概略する。生物学的サンプルを適切に希釈し、そして次いで、1またはそれより多いアッセイにおいて実行して、分類に用いる適切な定量的バイオマーカーレベルを生じる。測定したバイオマーカーレベルを、分類法のための入力として用いて、該方法は、分類、およびクラス割り当ての確かさを反映する、サンプルに関する場合によるスコアを出力する。
[0248]表1は、NSCLCを診断するのに有用な59のバイオマーカーを同定する。これは、バイオマーカーを発見する努力の中で典型的に見出されるものに比較した際、予期されるよりも驚くほどより多数であり、そしてこれは、記載する研究のスケールに起因する可能性があり、これは、低フェントモル濃度範囲の濃度のいくつかの場合、数百の個々のサンプルで測定される、1000を超えるタンパク質を含む。おそらく、多数のバイオマーカーが発見されるのは、腫瘍生物学および腫瘍の存在に対する体の反応の両方に関与する多様な生化学的経路を反映し;各経路およびプロセスは、多くのタンパク質を伴う。結果は、小さい群のタンパク質のどの単一のタンパク質もこうした複雑なプロセスに関してユニークに情報を持つのではなく;むしろ、多数のタンパク質が適切なプロセス、例えばアポトーシスまたは細胞外マトリックス修復に関与することを示す。
[0249]記載する研究中に多くのバイオマーカーが同定されることを考慮すると、多様な診断法において使用可能な、多数の高性能分類器が得られる可能性があることが予期されるであろう。この知見を試験するため、表1中のバイオマーカーを用いて、数万の分類器を評価した。実施例4に記載するように、表1に提示するバイオマーカーの多くのサブセットを合わせて、有用な分類器を産生してもよい。例えば、NSCLCを検出するための1つ、2つ、および3つのバイオマーカーを含有する分類器に関して、説明を提供する。実施例4に記載するように、表1中のバイオマーカーを用いて構築したすべての分類器は、「非マーカー」を用いて構築した分類器よりも著しく優れた性能を示す。
[0250]表1中のマーカーのいくつかをランダムに排除して、分類器を構築するものより少数のサブセットを生じることによって得られる分類器の性能もまた試験した。実施例4に記載するように、表1中のマーカーのランダムサブセットから構築される分類器は、表1中のマーカーの全リストを用いて構築される最適分類器と同様に働いた。
[0251]10マーカー集合体から「最適な」個々のマーカーを排除することによって得られる10マーカー分類器の性能もまた試験した。実施例4に記載するように、表1中の「最適な」マーカーなしに構築した分類器もまた、よく働いた。表1に列挙するバイオマーカーの多くのサブセットは、表中に列挙されるマーカーの上位15を除いた後であっても、最適に近く働いた。これは、任意の特定の分類器の性能特性は、バイオマーカーのいくつかの小さいコアグループによるのではなく、そして疾患プロセスは、多くの生化学的経路に影響を及ぼす可能性が高く、これが多くのタンパク質の発現レベルを改変するようであることを示す。
[0252]実施例4の結果は、特定のありうる結論を示唆する:第一に、多数のバイオマーカーの同定は、同様に高い性能を提供する、非常に多数の分類器への集合を可能にする。第二に、根底にある疾患プロセスの複雑性に疑いなく行き渡るように、余剰性を反映する方式で、特定のバイオマーカーが、他のバイオマーカーで置換可能であるように、分類器を構築することも可能である。すなわち、表1に同定される任意の個々のバイオマーカーによって貢献される疾患に関する情報は、表1中の特定のバイオマーカーまたはバイオマーカーの小さい群がいずれも、任意の分類器に含まれなければならないわけではないように、他のバイオマーカーによって貢献可能な情報と重複する。
[0253]例示的な態様は、未知のサンプルを分類するために、表16中のデータから構築される単純ベイズ分類器を用いる。方法を図1Aおよび1Bに概略する。1つの態様において、生物学的サンプルを場合によって希釈して、そして多重化アプタマーアッセイを行う。アッセイ由来のデータを正規化して、そして実施例3に概略するように較正し、そして生じたバイオマーカーレベルをベイズ分類スキームへの入力値として用いる。測定したバイオマーカー各々に関して個々に対数尤度比を計算し、そして次いで、合計して最終分類スコアを生じ、これをまた、診断スコアと称する。生じた割り当て、ならびに全体の分類スコアを報告してもよい。場合によって、各バイオマーカーレベルに関して計算する個々の対数尤度リスク因子もまた報告してもよい。分類スコア計算の詳細を実施例3に提示する。
キット
[0254]例えば本明細書に開示する方法を実行する際に使用するための、適切なキットを用いて、表1のバイオマーカーの任意の組み合わせ(ならびにさらなる生物医学情報)を検出することも可能である。さらに、任意のキットは、蛍光部分などの本明細書記載の1またはそれより多い検出可能標識を含有することも可能である。
[0255]1つの態様において、キットには、(a)生物学的サンプル中の1またはそれより多いバイオマーカーを検出するための1またはそれより多い捕捉試薬(例えば少なくとも1つのアプタマーまたは抗体)であって、バイオマーカーが、表1中に示すバイオマーカーのいずれかを含む、前記捕捉試薬、および場合によって(b)本明細書にさらに記載するように、NSCLCを持つまたは持たないとして生物学的サンプルを得た個体を分類するための、あるいは個体がNSCLCを有する尤度を決定するための、1またはそれより多いソフトウェアまたはコンピュータプログラム製品が含まれる。
[0256]対応する捕捉試薬およびシグナル生成物質との固体支持体の組み合わせは、本明細書において「検出デバイス」または「キット」と称される。キットにはまた、デバイスおよび試薬を用い、サンプルを取り扱い、そしてデータを分析するための使用説明書も含まれうる。さらに、キットをコンピュータ系またはソフトウェアとともに用いて、生物学的サンプルの分析の結果を分析し、そして報告することも可能である。
[0257]キットはまた、生物学的サンプルをプロセシングするための、1またはそれより多い試薬(例えば可溶化緩衝液、界面活性剤、洗浄液、または緩衝液)も含有してもよい。本明細書記載の任意のキットにはまた、例えば緩衝液、ブロッキング剤、質量分析マトリックス物質、抗体捕捉剤、陽性対照サンプル、陰性対照サンプル、ソフトウェアおよび情報、例えばプロトコル、ガイダンスおよび参考データも含まれてもよい。
[0258]1つの側面において、本発明は、NSCLC状態の分析のためのキットを提供する。該キットには、表1より選択される1またはそれより多いバイオマーカーに関するPCRプライマーが含まれる。キットにはさらに、使用のための使用説明書およびNSCLCとバイオマーカーの相関が含まれてもよい。キットにはまた、表1より選択される1またはそれより多いバイオマーカーの相補体を含有するDNAアレイ、試薬、および/またはサンプルDNAを増幅するかまたは単離するための酵素も含まれてもよい。キットにはまた、リアルタイムPCRのための試薬、例えばTaqManプローブおよび/またはプライマー、ならびに酵素が含まれてもよい。
[0259]例えば、キットは、(a)試験サンプル中の1またはそれより多いバイオマーカーを定量化するための少なくとも捕捉試薬を含む試薬であって、前記バイオマーカーが表1に示すバイオマーカー、あるいは本明細書記載の任意の他のバイオマーカーまたはバイオマーカーパネルを含む、前記試薬、および場合によって、(b)試験サンプル中で定量化された各バイオマーカーの量を、1またはそれより多いあらかじめ決定したカットオフに比較して、そして前記比較に基づいて、定量化された各バイオマーカーにスコアを割り当て、定量化された各バイオマーカーに関する割り当てられたスコアを合わせて総スコアを得て、総スコアをあらかじめ決定されたスコアと比較して、そして前記比較を用いて、個体がNSCLCを有するかどうか決定する工程を実行するための1またはそれより多いアルゴリズムまたはコンピュータプログラムを含んでもよい。あるいは、1またはそれより多いアルゴリズムまたはコンピュータプログラムよりも、上記工程を人によって手動で行うための1またはそれより多い使用説明書を提供してもよい。
コンピュータ法およびソフトウェア
[0260]バイオマーカーまたはバイオマーカーパネルがひとたび選択されたら、個体を診断するための方法は、以下を含むことも可能である:1)生物学的サンプルを収集するかまたは別の方式で得る;2)生物学的サンプルにおいて、パネル中の単数または複数のバイオマーカーを検出し、そして測定する分析法を実行する;3)バイオマーカー値を収集するために用いる方法に必要な任意のデータ正規化または標準化を実行する;4)マーカースコアを計算する;5)マーカースコアを合わせて、総診断スコアを得る;および6)個々の診断スコアを報告する。このアプローチでは、診断スコアは、疾患の存在または非存在の指標であるプリセット閾値と比較して、すべてのマーカー計算の合計から決定した単一の数値であってもよい。または診断スコアは、各々、バイオマーカー値を示す、一連のバーであってもよく、そして反応パターンを、疾患の存在または非存在の決定のため、プリセットパターンに比較してもよい。
[0261]コンピュータの使用を伴い、本明細書記載の方法の少なくともいくつかの態様を実行してもよい。コンピュータ系100の例を図6に示す。図6に対する言及とともに、プロセッサ101、入力デバイス102、出力デバイス103、記憶デバイス104、コンピュータ読み取り可能記憶媒体読み取り装置105a、通信系106、プロセシング加速(例えばDSPまたは特殊目的プロセッサ)107およびメモリ109を含む、バス108を通じて電気的にカップリングされた、ハードウェア装置で構成される系100を示す。コンピュータ読み取り可能記憶媒体読み取り装置105aはさらに、コンピュータ読み取り可能記憶媒体105b、遠隔、局所、固定および/または取り外し可能記憶デバイスに加えて、コンピュータ読み取り可能情報を一時的におよび/またはより永続的に含有する記憶媒体、メモリ等に包括的に相当する組み合わせにさらにカップリングされ、これには記憶デバイス104、メモリ109および/または任意の他のこうしたアクセス可能系100供給源もまた含まれてもよい。系100はまた、操作系192および他のコード193、例えばプログラム、データ等を含む、ソフトウェア要素(作業メモリ191内に現在位置すると示される)も含む。
[0262]図6に関して、系100は、徹底的な柔軟性および設定可能性を有する。したがって、例えば、単一構築を利用して、現在望ましいプロトコル、プロトコル変形、拡張等にしたがって、さらに構成することも可能である。しかし、当業者には、態様が、より特異的な出願必要性にしたがって、十分に利用可能であることが明らかであろう。例えば、1またはそれより多い系の要素を、系100構成要素内の下位要素(例えば通信システム106内)として実行してもよい。カスタム化ハードウェアもまた、利用可能であり、そして/または特定の要素をハードウェア、ソフトウェアまたは両方の中で実施してもよい。さらに、ネットワーク入力/出力デバイス(未提示)などの他の計算デバイスに対する連結が使用可能であるが、他の計算デバイスへの有線、無線、モデム、および/または他の単数または複数の連結もまた利用可能であることが理解されるものとする。
[0263]1つの側面において、系は、NSCLCに特徴的なバイオマーカーの特徴を含有するデータベースを含んでもよい。バイオマーカーデータ(またはバイオマーカー情報)を、コンピュータ実装法の一部として使用するため、コンピュータへの入力値として利用してもよい。バイオマーカーデータには、本明細書に記載するようなデータが含まれうる。
[0264]1つの側面において、系はさらに、1またはそれより多いプロセッサに入力データを提供するための1またはそれより多いデバイスを含む。
[0265]系はさらに、ランキングしたデータ要素のデータセットを記憶するためのメモリを含む。
[0266]別の側面において、入力データを提供するためのデバイスは、データ要素の特性を検出するための検出装置、例えば質量分析装置または遺伝子チップ読み取り装置を含む。
[0267]系はさらに、データベース管理系を含むことも可能である。ユーザー要求またはクエリーを、クエリーをプロセシングして、訓練セットのデータベースから適切な情報を抽出するデータベース管理系によって理解される適切な言語にフォーマットしてもよい。
[0268]系は、ネットワークサーバーおよび1またはそれより多いクライアントが連結するネットワークに連結可能でありうる。ネットワークは、当該技術分野に知られるような、ローカルエリアネットワーク(LAN)または広域ネットワーク(WAN)であってもよい。好ましくは、サーバーには、ユーザーリクエストをプロセシングするためのデータベースデータにアクセスするため、コンピュータプログラム製品(例えばソフトウェア)を実行するのに必要なハードウェアが含まれる。
[0269]系には、データベース管理系からの命令を実行するためのオペレーティングシステム(例えばUNIX(登録商標)またはLinux(登録商標))が含まれてもよい。1つの側面において、オペレーティングシステムは、グローバル・コミュニケーション・ネットワーク、例えばインターネット上で操作可能であり、そしてこうしたネットワークに連結するために、グローバル・コミュニケーション・ネットワーク・サーバーを利用することも可能である。
[0270]系には、当該技術分野に知られるグラフィカル・ユーザー・インターフェースにルーチンに見られるような、ボタン、プルダウンメニュー、スクロールバー、テキストを入力するためのフィールドなどのインターフェース要素を含むグラフィカル・ディスプレイ・インターフェースを含む1またはそれより多いデバイスが含まれてもよい。ユーザー・インターフェース上に入力されたリクエストを、フォーマットのための系におけるアプリケーションプログラムに伝達して、系のデータベースの1またはそれより多くにおいて、適切な情報を検索してもよい。ユーザーによって入力されるリクエストまたはクエリーを、任意の適切なデータベース言語で構築してもよい。
[0271]オペレーティング・システムの一部としてのグラフィカル・ユーザー・インターフェース・コードによって、グラフィカル・ユーザー・インターフェースを生成して、そしてこれを用いてデータを入力し、そして/または入力されたデータをディスプレイしてもよい。プロセシングされたデータの結果をインターフェース中にディスプレイし、系とのコミュニケーションがあるプリンター上で印刷し、メモリデバイス中に保存し、そして/またはネットワーク上で伝達することも可能であるし、あるいはコンピュータ読み取り可能媒体の形で提供してもよい。
[0272]系は、系にデータ要素に関するデータ(例えば発現値)を提供するための入力デバイスとコミュニケーションがあってもよい。1つの側面において、入力デバイスには、遺伝子発現プロファイリング系が含まれてもよく、これには、例えば質量分析装置、遺伝子チップまたはアレイ読み取り装置等が含まれる。
[0273]多様な態様にしたがって、NSCLCバイオマーカー情報を分析するための方法および装置を、任意の適切な方式で、例えばコンピュータ系上で作動するコンピュータプログラムを用いて、実行可能である。プロセッサおよびランダムアクセスメモリを含む慣用的なコンピュータ系、例えば遠隔アクセス可能アプリケーションサーバー、ネットワークサーバー、パーソナルコンピュータまたはワークステーションが使用可能である。さらなるコンピュータ系構成要素には、メモリデバイスまたは情報記憶系、例えば大量記憶系およびユーザーインターフェース、例えば慣用的モニター、キーボードおよびトラッキングデバイスが含まれてもよい。コンピュータ系は、サーバーおよび1またはそれより多いデータベースを含む、独立型の系またはネットワークの一部であってもよい。
[0274]NSCLCバイオマーカー分析系は、データ分析、例えばデータ収集、プロセシング、分析、報告および/または診断を完了する機能および操作を提供可能である。例えば、1つの態様において、コンピュータ系は、NSCLCバイオマーカーに関連する情報を受け取り、保存し、検索し、分析し、そして報告することも可能なコンピュータプログラムを実行可能である。コンピュータプログラムは、多様な機能または操作を実行する多数のモジュール、例えば生データをプロセシングし、そして補足データを生成するためのプロセシングモジュール、ならびに生データおよび補足データを分析して、NSCLC状態および/または診断を生成するための分析モジュールを含むことも可能である。NSCLC状態の診断は、疾患に関連する個体の状態に関する、さらなる生物医学情報を含む任意の他の情報を生成するかまたは収集し、さらなる試験が望ましい可能性があるかどうかを同定し、あるいは別の方式で個体の健康状態を評価する工程を含んでもよい。
[0275]ここで、図7を参照すると、開示する態様の原理にしたがってコンピュータを利用する方法の例を見ることが可能である。図7において、フローチャート3000を示す。ブロック3004において、個体に関して、バイオマーカー情報を回収することも可能である。バイオマーカー情報は、コンピュータデータベースから、例えば個々の生物学的サンプルの試験を行った後に、回収してもよい。バイオマーカー情報は、表1に提供するバイオマーカーからなる群より選択される少なくともNのバイオマーカーの1つに各々対応するバイオマーカー値を含んでもよく、ここでN=2〜59である。ブロック3008において、コンピュータを利用して、バイオマーカー値各々を分類してもよい。そして、ブロック3012において、複数の分類に基づいて、個体がNSCLCを有する尤度に関して決定を行ってもよい。表示は、人によって見られうるような、ディスプレイまたは他の表示デバイスへの出力であってもよい。したがって、表示は、例えば、コンピュータのディスプレイスクリーンまたは他の出力デバイス上にディスプレイされてもよい。
[0276]ここで図8を参照すると、別の態様にしたがって、コンピュータを利用する代替法を、フローチャート3200を通じて例示可能である。ブロック3204において、コンピュータを利用して、個体に関するバイオマーカー情報を回収してもよい。バイオマーカー情報は、表1に提供するバイオマーカー群より選択されるバイオマーカーに対応するバイオマーカー値を含む。ブロック3208において、バイオマーカー値の分類をコンピュータで行ってもよい。そして、ブロック3212において、分類に基づいて、個体がNSCLCを有する尤度に関して、表示を行ってもよい。表示は、人によって見られうるような、ディスプレイまたは他の表示デバイスへの出力であってもよい。したがって、例えば、コンピュータのディスプレイスクリーンまたは他の出力デバイス上にディスプレイされてもよい。
[0277]コンピュータプログラム製品を含むように、本明細書記載のいくつかの態様を実行してもよい。コンピュータプログラム製品には、データベースを含むコンピュータ上でアプリケーションプログラムを実行させる媒体において具体化される、コンピュータ読み取り可能プログラムコードを有する、コンピュータ読み取り可能媒体が含まれてもよい。
[0278]本明細書において、「コンピュータプログラム製品」は、任意の性質の物理的媒体(例えば書面、電子、磁気、光学またはその他)に含有され、そしてコンピュータまたは他の自動化データプロセシング系で使用可能な、自然言語またはプログラミング言語命令文の形の命令の系統的セットを指す。こうしたプログラミング言語命令文は、コンピュータまたはデータプロセシング系によって実行された際、コンピュータまたはデータプロセシング系が、特定の内容の命令文にしたがって働くようにする。コンピュータプログラム製品には、限定なしに:ソースコードおよびオブジェクトコード中のプログラムおよび/またはコンピュータ読み取り可能媒体中に埋め込まれた試験またはデータライブラリが含まれる。さらに、コンピュータ系またはデータプロセシング装置デバイスが、あらかじめ選択された方式で作用することを可能にするコンピュータプログラム製品を、限定されるわけではないが、オリジナルソースコード、アセンブリコード、オブジェクトコード、機械言語、前述およびあらゆる同等物の暗号化または圧縮型を含む、多くの型で提供してもよい。
[0279]1つの側面において、コンピュータプログラム製品を、NSCLCの尤度を示すために提供する。コンピュータプログラム製品には、計算デバイスまたは系のプロセッサによって実行可能なプログラムコードを具体化するコンピュータ読み取り可能媒体が含まれ、プログラムコードは:個体由来の生物学的サンプルに起因するデータを回収するコードであって、データが表1に提供するバイオマーカー群より選択される、生物学的サンプル中の少なくともNのバイオマーカーの1つに各々対応するバイオマーカー値を含み、ここで、N=2〜59である、前記コード;およびバイオマーカー値の関数として、個体のNSCLC状態を示す、分類法を実行するコードを含む。
[0280]さらに別の側面において、コンピュータプログラム製品を、NSCLCの尤度を示すために提供する。コンピュータプログラム製品には、計算デバイスまたは系のプロセッサによって実行可能なプログラムコードを具体化するコンピュータ読み取り可能媒体が含まれ、プログラムコードは:個体由来の生物学的サンプルに起因するデータを回収するコードであって、データが表1に提供するバイオマーカー群より選択される、生物学的サンプル中のバイオマーカーに対応するバイオマーカー値を含む、前記コード;およびバイオマーカー値の関数として、個体のNSCLC状態を示す、分類法を実行するコードを含む。
[0281]多様な態様を方法または装置として記載してきているが、態様が、コンピュータとカップリングしたコード、例えばコンピュータ上に常在するかまたはコンピュータによってアクセス可能なコードを通じて実行可能であることが理解されるべきである。例えば、ソフトウェアおよびデータベースを利用して、上に論じる方法の多くを実行することも可能である。したがって、ハードウェアによって達成される態様に加えて、具体化され、本明細書に開示する機能を使用可能にするコンピュータ読み取り可能プログラムコードを有するコンピュータ使用可能媒体で構成される製品の使用を通じて、達成可能であることもまた注目される。したがって、そのプログラムコード手段における態様もまた、本特許によって保護されると見なされることが望ましい。さらに、態様は、限定なしにRAM、ROM、磁気媒体、光学媒体、または磁気光学媒体を含む、実質的に任意の種類のコンピュータ読み取り可能メモリ中に記憶されるコードとして具体化可能である。さらにより一般的に、態様は、ソフトウェア中で、またはハードウェア中で、またはその任意の組み合わせで実行可能であり、限定されるわけではないが、汎用プロセッサ、マイクロコード、PLA、またはASIC上で動くソフトウェアが含まれる。
[0282]搬送波中で具体化されるコンピュータシグナル、ならびに伝達媒体を通じて伝搬するシグナル(例えば電気的および光学的)として、態様を達成可能であることもまた想定される。したがって、上に論じる多様なタイプの情報を、構造、例えばデータ構造にフォーマットし、そして伝達媒体を通じて、電気シグナルとして伝達するか、またはコンピュータ読み取り可能媒体上で記憶させることも可能である。
[0283]本明細書に列挙する多くの構造、材料、および行為が、機能を実行するための手段、または機能を実行するための工程として列挙されうることもまた注目される。したがって、こうした言語は、本明細書に援用されるものを含めて、本明細書内に開示されるすべてのこうした構造、材料、または行為、およびその同等物を含む権利を与えられることが認識されなければならない。
[0284]バイオマーカー同定プロセス、本明細書に開示するバイオマーカーの利用、およびバイオマーカー値を決定するための多様な方法を、NSCLCに関して上に詳細に記載する。しかし、プロセスの適用、同定されるバイオマーカーの使用、およびバイオマーカー値を決定するための方法は、他の特定のタイプの癌、癌一般、任意の他の疾患または医学的状態、あるいは補助医学治療によって利益を受けうるまたは受けない可能性がある個体の同定に、完全に適用可能である。NSCLCに関連する特定の結果に言及する場合を除いて、文脈から明らかであるように、NSCLCに対する本明細書の言及は、他のタイプの癌、癌一般、あるいは任意の他の疾患または医学的状態を含むことが理解されうる。
[0285]以下の実施例は、例示目的のみのために提供され、そして付随する請求項によって定義されるような適用の範囲を限定することを意図しない。当業者に周知であり、そしてルーチンである標準技術を用いて、本明細書記載のすべての実施例を実行した。以下の実施例に記載するルーチンの分子生物学技術は、標準的実験室マニュアル、例えばSambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第3版, Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー(2001)に記載されるように実行可能である。
実施例1. サンプルの多重化アプタマー分析
[0286]本実施例は、表1に示すバイオマーカーセットの同定のため(図9を参照されたい)、そして表19に示す癌バイオマーカーの同定のため、サンプルおよび対照を分析する多重化アプタマーアッセイを記載する。NSCLC、中皮腫および腎細胞癌研究のため、多重化分析は、各々特異的ターゲットに対してユニークである、1,034アプタマーを利用した。
[0287]本方法において、各溶液添加に関して、ピペットチップを交換した。
[0288]また、別に示さない限り、大部分の溶液トランスファーおよび洗浄液添加は、Beckman Biomek FxPの96ウェルヘッドを用いた。手動でピペッティングされる方法工程は、別に示さない限り、12チャネルP200 Pipetteman(Rainin Instruments, LLC, カリフォルニア州オークランド)を用いた。SB17と称されるカスタム緩衝液は、社内で調製され、これは、pH7.5で、40mM HEPES、100mM NaCl、5mM KCl、5mM MgCl2、1mM EDTAを含んだ。SB18と称されるカスタム緩衝液は、社内で調製され、これは、pH7.5で、40mM HEPES、100mM NaCl、5mM KCl、5mM MgCl2を含んだ。別に示さない限り、すべての工程を室温で実行した。
[0289]1. アプタマーストック溶液の調製
[0290]5%、0.316%および0.01%血清のためのカスタムストックアプタマー溶液を、1xSB17、0.05%Tween−20中、2倍濃度で調製した。
[0291]これらの溶液を使用まで−20℃で保存する。アッセイ当日、各加熱工程の間に激しく混合しながら、各アプタマー混合物を37℃で10分間融解し、沸騰水槽中に10分間入れ、そして25℃に20分間の冷却を可能にした。加熱−冷却後、55μLの各2xアプタマー混合物を96ウェルHybaidプレート内に手動でピペッティングし、そしてプレートをホイルで密封した。最終結果は、5%、0.316%または0.01%アプタマー混合物を含む、3つの96ウェルホイル密封Hybaidプレートであった。個々のアプタマー濃度は、2x最終または1nMであった。
[0292]2. アッセイサンプル調製物
[0293]−80℃で保存された、100%血清または血漿の凍結アリコットを、25℃水槽に10分間入れた。融解したサンプルを氷上に置き、穏やかに8秒間ボルテックスし(4にセット)、そして次いで氷上に置いた。
[0294]50μLの8チャネルに渡るピペッターを用いて、8μLのサンプルを、各ウェルが適切なサンプル希釈剤(血清に関しては1xSB17または血漿に関しては0.8xSB18に加えて、0.06%Tween−20、11.1μM Z−ブロック_2、0.44mM MgCl2、2.2mM AEBSF、1.1mM EGTA、55.6μM EDTA)72μLを含有する、96ウェルHybaidプレートに4℃でトランスファーすることによって、10%サンプル溶液(2x最終)を調製した。このプレートを、BiomekFxPロボット上で次のサンプル希釈工程が始まるまで、氷上で保存した。
[0295]サンプルおよびアプタマー平衡化を開始するため、10%サンプルプレートを短時間遠心分離し、そしてBeckman FX上に置き、ここで、96ウェルピペッターを用いて上下にピペッティングすることによって混合した。次いで、6μLの10%サンプルを、2mM AEBSFを含む89μLの1xSB17、0.05%Tween−20内で希釈することによって、0.632%サンプルプレート(2x最終)を調製した。次に、6μLの生じた0.632%サンプルを184μLの1xSB17、0.05%Tween−20内で希釈して、0.02%サンプルプレート(2x最終)を作製した。Beckman Biomek FxP上で希釈を行った。各トランスファー後、上下にピペッティングすることによって、溶液を混合した。次いで、55μLのサンプルを、55μLの適切な2xアプタマー混合物に添加することによって、3つのサンプル希釈プレートをそれぞれのアプタマー溶液に移した。上下にピペッティングすることによって、サンプルおよびアプタマー溶液をロボット上で混合した。
[0296]3. サンプル平衡化結合
[0297]サンプル/アプタマープレートをホイルで密封し、そして捕捉1工程に進む前に、37℃インキュベーター中に3.5時間入れた。
[0298]4. 捕捉2ビーズプレートの調製
[0299]MyOne(Invitrogen社、カリフォルニア州カールスバッド)ストレプトアビジンC1ビーズ(10mg/mL)の11mLのアリコットを、等体積の20mM NaOH(各洗浄に関して5分間のインキュベーション)で2回、等体積の1xSB17、0.05%Tween−20で3回洗浄し、そして11mLの1xSB17、0.05%Tween−20に再懸濁した。12スパンのマルチチャネルピペッターを用いて、50μLのこの溶液を96ウェルHybaidプレートの各ウェルに手動でピペッティングした。次いで、プレートをホイルで覆い、そしてアッセイで使用するため、4℃で保存した。
[0300]5. 捕捉1ビーズプレートの調製
[0301]3つの0.45μm Millipore HVプレート(Durapore膜、カタログ番号MAHVN4550)を100μLの1xSB17、0.05%Tween−20で少なくとも10分間平衡化した。次いで、平衡化緩衝液を、プレートを通じてろ過し、そして133.3μLの7.5%ストレプトアビジン−アガロースビーズスラリー(1xSB17、0.05%Tween−20)を各ウェルに添加した。ストレプトアビジン−アガロースビーズをフィルタープレート内にトランスファーしつつ、懸濁状態で維持するため、ビーズ溶液を、200μL、12チャネルピペッターで、ピペッティング事象の間に、少なくとも6回、手動で混合した。ビーズを3つのフィルタープレートに渡って分配した後、真空を適用して、ビーズ上清を除去した。最後に、ビーズをフィルタープレート中で、200μL 1xSB17、0.05%Tween−20で洗浄し、そして次いで、200μL 1xSB17、0.05%Tween−20中に再懸濁した。フィルタープレートの底をブロットし、そしてプレートをアッセイで使用するために保存した。
[0302]6. Cytomatの装填
[0303]Cytomatをすべてのチップ、プレート、トラフ中のすべての試薬(プレートへの添加直前に新鮮に調製したNHS−ビオチン試薬を除く)、3つの調製捕捉1フィルタープレート、および1つの調製MyOneプレートに装填した。
[0304]7. 捕捉1
[0305]3.5時間の平衡化時間後、サンプル/アプタマープレートをインキュベーターから取り除き、約1分間遠心分離し、カバーを取り外し、そしてBeckman Biomek FxP上に置いた。Beckman Biomek FxPプログラムを開始した。別に示さない限り、Beckman Biomek FxPロボットによって、捕捉1のすべての続く工程を実行した。プログラム内で、捕捉1フィルタープレートに真空を適用して、ビーズ上清を取り除いた。各100マイクロリットルの5%、0.316%および0.01%平衡化結合反応をそれぞれの捕捉1ろ過プレートに添加し、そしてデッキ上の軌道振盪装置を800rpmで10分間用いて、各プレートを混合した。
[0306]未結合溶液を真空ろ過によって除去した。溶液を分配し、そして直ちに真空で抜き取ってプレートを通じて溶液をろ過することによって、捕捉1ビーズを、1xSB17、0.05%Tween−20中の190μLの100μMビオチンで、その後、5x190μLのSB17、0.05%Tween−20で、洗浄した。
[0307]8. タグ化
[0308]無水DMSO中の100mM NHS−PEO4−ビオチンアリコットを37℃で6分間融解し、そして次いで、タグ化緩衝液(pH7.25のSB17、0.05%Tween−20)で1:100に希釈した。ロボットプロンプトに際して、希釈したNHS−PEO4−ビオチン試薬をデッキ上のトラフに添加して、そしてロボットプログラムを手動で再開して、100μLのNHS−PEO4−ビオチンを、各捕捉1フィルタープレートの各ウェルに分配した。この溶液を、軌道振盪装置上、800rpmで5分間振盪しながら、捕捉1ビーズとのインキュベーションを可能にした。
[0309]9. 動力学的曝露および光切断
[0310]真空ろ過によってタグ化反応を取り除き、そして1xSB17、0.05%Tween−20中の150μLの20mMグリシンを捕捉1プレートに添加することによって停止した。NHS−タグ/グリシン溶液を真空ろ過を通じて取り除いた。次に、1500μL 20mMグリシン(1xSB17、0.05%Tween−20)を各プレートに添加し、そして軌道振盪装置上で1分間インキュベーションした後、真空ろ過によって取り除いた。
[0311]続いて、190μLの1xSB17、0.05%Tween−20を3回添加し、その後、真空濾過し、そして次いで190μLの1xSB17、0.05%Tween−20を800rpmで1分間振盪しながら添加し、その後、真空ろ過することによって、捕捉1プレートのウェルを3回洗浄した。最後の洗浄後、プレートを1mLの深ウェルプレートの上に置き、そしてデッキから取り除いた。捕捉1プレートを1000rpmで1分間遠心分離して、溶出前に、アガロースビーズから外部の体積をできる限り多く取り除いた。
[0312]Beckman Biomek FxP上にプレートを戻し、そして85μLの1xSB17、0.05%Tween−20中の10mM DxSO4をフィルタープレートの各ウェルに添加した。
[0313]フィルタープレートをデッキから取り除き、BlackRay(Ted Pella, Inc.、カリフォルニア州レディング)光源下、Variomag Thermoshaker(Thermo Fisher Scientific, Inc.、マサチューセッツ州ウォルサム)上に置き、そして800rpmで振盪しながら5分間照射した。5分間インキュベーションした後、プレートを180°回転させ、そしてさらに5分間振盪しながら照射した。
[0314]まず5%捕捉1フィルタープレートを1mLの深ウェルプレートの上に置き、そして1000rpmで1分間遠心分離することによって、光切断溶液を各捕捉1プレートから共通の深ウェルプレート内に連続して溶出させた。次いで、0.316%および0.01%捕捉1プレートを同じ深ウェルプレート内に連続して遠心分離した。
[0315]10. 捕捉2ビーズ捕捉
[0316]捕捉1の合わせた溶出物を含有する1mL深ウェルブロックを、捕捉2のため、Beckman Biomek FxPのデッキ上に置いた。
[0317]ロボットは、すべての光切断溶出物を、1mL深ウェルプレートから、先に調製した捕捉2 MyOne磁気ビーズ(磁気分離を通じてMyOne緩衝液を除去した後)を含有するHybaidプレート上に移した。
[0318]Variomag Thermoshaker(Thermo Fisher Scientific, Inc.、マサチューセッツ州ウォルサム)上、1350rpmで振盪しながら、25℃で5分間、溶液をインキュベーションした。
[0319]ロボットは、プレートをデッキ上の磁気分離装置ステーションにトランスファーした。プレートを磁石上で90秒間インキュベーションした後、上清を除去し、そして廃棄した。
[0320]11. 37℃ 30%グリセロール洗浄
[0321]捕捉2プレートをデッキ上のサーマル振盪装置に移し、そして75μLの1xSB17、0.05%Tween−20を各ウェルにトランスファーした。プレートを1350rpmおよび37℃で1分間混合して、ビーズを再懸濁して、そして温めた。捕捉2プレートの各ウェルに、75μLの60%グリセロールを37℃でトランスファーし、そしてプレートをさらに1分間、1350rpmおよび37℃で混合し続けた。ロボットは、プレートを37℃磁気分離装置にトランスファーし、ここで磁石上で2分間、プレートをインキュベーションし、そして次いで、ロボットを取り除き、そして上清を廃棄した。これらの洗浄をさらに2回反復した。
[0322]捕捉2ビーズから3回目の30%グリセロール洗浄を除去した後、150μLの1xSB17、0.05%Tween−20を各ウェルに添加し、そして37℃でインキュベーションし、1350rpmで1分間振盪した後、37℃の磁石上の磁気分離によって除去した。
[0323]捕捉2ビーズを、最後に、150μLの1xSB17、0.05%Tween−20を用いて1分間インキュベーションしながら1350rpm、25℃で振盪した後、磁気分離した。
[0324]12. 捕捉2ビーズ溶出および中和
[0325]105μLの100mM CAPSOと1M NaCl、0.05%Tween−20を各ウェルに添加することによって、捕捉2ビーズからアプタマーを溶出した。この溶液とともに、1300rpmで5分間振盪しながらビーズをインキュベーションした。
[0326]次いで、捕捉2プレートを、磁気分離装置上に90秒間置いた後、63μLの溶出物を、各ウェル中に7μLの500mM HCl、500mM HEPES、0.05%Tween−20を含有する新規96ウェルプレートにトランスファーした。トランスファー後、60μLを上下に5回ピペッティングすることによって、溶液をロボットで混合した。
[0327]13. ハイブリダイゼーション
[0328]Beckman Biomek FxPは、20μLの中和捕捉2溶出物を、新鮮なHybaidプレートにトランスファーし、そしてハイブリダイゼーション対照の10xスパイクを含有する6μLの10xAgilentブロックを各ウェルに添加した。次に、30μLの2xAgilentハイブリダイゼーション緩衝液を、手動で、中和サンプルおよびブロッキング緩衝液を含有するプレートの各ウェルにピペッティングし、そして大規模な泡形成を回避するため、25μLを手動で上下にゆっくりと15回ピペッティングすることによって、溶液を混合した。プレートを1000rpmで1分間回転させた。
[0329]いくつかのプライマー領域に加えて、アプタマーランダム領域に相補的なプローブを含有するように、カスタムAgilentマイクロアレイスライド(Agilent Technologies, Inc.、カリフォルニア州サンタクララ)を設計した。アプタマーの大部分に関しては、相補配列の最適な長さを経験的に決定し、そしてこれは、40〜50ヌクレオチドの範囲であった。後者のアプタマーに関しては、46量体の相補領域をデフォルトで選択した。総プローブ長60ヌクレオチドに関して、ポリTリンカーでスライド表面にプローブを連結した。
[0330]ガスケットスライドをAgilentハイブリダイゼーションチャンバー内に入れ、そしてハイブリダイゼーションおよびブロッキング溶液を含有する40μLの各サンプルを、手動で、各ガスケット内にピペッティングした。泡形成を最小限にするよう意図された方式で、8チャネル可変スパンピペッターを用いた。次いで、カスタムAgilentマイクロアレイスライド(Agilent Technologies, Inc.、カリフォルニア州サンタクララ)を番号バーコードが上を向くようにして、ゆっくりとガスケットスライド上に下ろした(詳細な説明に関しては、Agilentマニュアルを参照されたい)。
[0331]ハイブリダイゼーションチャンバーの上部を、スライド/裏打ちサンドイッチ上に置き、そして固定ブラケットを全アセンブリ上にスライドさせた。ねじをしっかり回すことによって、これらのアセンブリをきつく固定した。
[0332]各スライド/裏打ちスライドサンドイッチを視覚的に検査して、溶液の泡がサンプル内を自由に移動可能であることを確認した。泡が自由に移動していない場合、ハイブリダイゼーションチャンバーアセンブリを穏やかにタッピングして、ガスケット近くに止まった泡を解放した。
[0333]組み立てたハイブリダイゼーションチャンバーをAgilentハイブリダイゼーションオーブン中で、20rpmで回転させながら60℃で19時間インキュベーションした。
[0334]14. ハイブリダイゼーション後洗浄
[0335]およそ400mLのAgilent洗浄緩衝液1を2つの別個の各ガラス染色プレートに入れた。染色プレートの1つを磁気攪拌プレートおよびスライドラック上に置き、そして攪拌バーを緩衝液内に入れた。
[0336]攪拌バーを空のガラス染色プレート内に入れることによって、Agilent洗浄液2に関する染色プレートを調製した。
[0337]第四のガラス染色プレートを最終アセトニトリル洗浄のために取り置いた。
[0338]6つのハイブリダイゼーションチャンバー各々を分解した。1つずつ、スライド/裏打ちサンドイッチをハイブリダイゼーションチャンバーから取り外し、そして洗浄液1を含有する染色プレート内に浸した。マイクロアレイスライドを浸したまま、ピンセットを用いて、スライド/裏打ちサンドイッチをこじ開けた。スライドを、磁気攪拌プレート上の洗浄液1染色プレート中のスライドラックに迅速にトランスファーした。
[0339]スライドラックを穏やかに5回上下させた。磁気攪拌装置を低いセッティングでオンにし、そしてスライドを5分間インキュベーションした。
[0340]洗浄液1に関して残り1分となったら、インキュベーター中で37℃にあらかじめ温めた洗浄緩衝液2を第二の調製された染色プレートに添加した。スライドラックを迅速に洗浄緩衝液2にトランスファーし、そしてラックの底にあるいかなる過剰な緩衝液も、染色プレートの上部で掻き取ることによって取り除いた。スライドラックを穏やかに5回上下させた。磁気攪拌装置を低いセッティングでオンにし、そしてスライドを5分間インキュベーションした。
[0341]スライドラックをゆっくりと洗浄液2から引き出し、およそ15秒間掛けてスライドを溶液から取り除いた。
[0342]洗浄液2において残り1分となったら、アセトニトリル(ACN)を第四の染色プレートに添加した。スライドラックをアセトニトリル染色プレートにトランスファーした。スライドラックを穏やかに5回上下させた。磁気攪拌装置を低いセッティングでオンにし、そしてスライドを5分間インキュベーションした。
[0343]スライドラックをゆっくりとACN染色プレートから引き出し、そして吸収タオル上に置いた。スライドの底の縁を迅速に乾燥させ、そしてスライドをきれいなスライドボックス内に入れた。
[0344]15. マイクロアレイ画像化
[0345]マイクロアレイスライドをAgilentスキャナスライドホルダーに入れ、そして製造者の指示にしたがって、Agilentマイクロアレイスキャナに装填した。
[0346]スライドをCy3−チャネル中、5μm解像度で100%PMT設定および0.05で有効にしたXRDオプションで画像化した。Agilent特徴抽出ソフトウェア、バージョン10.5を用いて、生じたtiff画像をプロセシングした。
実施例2. バイオマーカー同定
[0347]CTスキャンまたは他の画像化法で同定された不確定の肺小結節を持つ個体においてNSCLCを診断し、NSCLCに関して高リスク喫煙者をスクリーニングし、そしてNSCLCを持つ個体を診断するために、潜在的なNSCLCバイオマーカーの同定を行った。本研究のための登録基準は、喫煙者、年齢18歳またはそれより上、インフォームドコンセントを提供可能であるもの、ならびにNSCLCまたは良性知見の血液サンプルおよび文書化診断である。症例に関しては、血液サンプルを治療または手術前に収集し、そして続いてNSCLCと診断した。排除基準には、血液抜き取り5年以内の、癌(皮膚の扁平上皮癌を除く)の先の診断または治療が含まれた。血清サンプルを3つの異なる部位から収集し、そして表17に記載するように、これには、46のNSCLCサンプルおよび218の対照群サンプルが含まれた。実施例1に記載するような多重化アプタマーアフィニティアッセイを用いて、これらの264サンプル各々において、1,034分析物に関するRFU値を測定し、そして報告した。
[0348]1,034分析物各々に関して、クラス依存性累積分布関数(cdf)を生成することによって、症例および対照集団各々を別個に比較した。2セットのサンプル由来の値の間のKS距離(コルモゴロフ−スミルノフ統計値)は、1つのセット(セットA)由来の値の経験分布が、他のセット(セットB)由来の値の分布と異なる度合いのノンパラメトリック測定値である。閾値Tの任意の値に関して、セットA由来の値のある程度の割合はT未満であろうし、そしてセットB由来の値のある程度の割合はT未満であろう。KS距離は、任意の選択のTに関して2つのセット由来の値の割合の間の最大(符号なし)相違を測定する。
[0349]潜在的なバイオマーカーのこのセットを用いて、サンプルを対照群または疾患群のいずれかに割り当てる分類器を構築してもよい。実際、バイオマーカーのこれらのセットから多くのこうした分類器を産生し、そして任意のバイオマーカーが優れたスコアリング分類器中で用いられる頻度を決定した。上位のスコアリング分類器の中で最も頻繁に生じるバイオマーカーは、診断試験を生成するのに最も有用であった。本実施例において、ベイズ分類器を用いて、分類空間を探索したが、多くの他の教師付き学習技術をこの目的のために使用可能である。疾患有病率を0.5と仮定する、ベイズ表面での分類器の受信者動作特性曲線下面積(ROCのAUC)によって、任意の個々の分類器のスコアリング適合性を評価した。このスコアリング測定基準はゼロから1の間で多様であり、1が誤差を伴わない分類器である。バイオマーカー集団測定からベイズ分類器を構築する詳細を、実施例3に記載する。
[0350]表1中の59の分析物を用いて、総数964の10分析物分類器は、対照群からNSCLCを診断するため、0.94のAUCを持つことが見出された。分類器のこのセットから、総数12のバイオマーカーが30%またはそれより多い高スコアリング分類器中に存在することが見出された。表13は、これらの潜在的なバイオマーカーのリストを提供し、そして図10は、同定されたバイオマーカーに関する頻度プロットである。
実施例3. NSCLCに関する単純ベイズ分類
[0351]NSCLCおよび対照の間を区別するために有用であると同定されたバイオマーカーのリストから、10バイオマーカーのパネルを選択し、そして単純ベイズ分類器を構築した。表16および18を参照されたい。クラス依存性確率密度関数(pdf)、p(xi|c)およびp(xi|d)、式中、xiはバイオマーカーiに関する測定されたRFU値の対数であり、そしてcおよびdは、対照および疾患集団を指す、は、平均μおよび分散σ2によって特徴付けられる対数正規分布関数としてモデル化された。10バイオマーカーのpdfに関するパラメータを表16に列挙し、そして通常のpdfに適合するモデルとともに生データの例を図5に示す。根底にある仮定は、図5に立証されるように、データに非常によく適合するようである。
[0352]こうしたモデルに関する単純ベイズ分類を、検定に適した以下の等式によって提供し、式中、p(d)は、集団における疾患の有病率であり、
そしてn=10である。合計の項は各々、個々のマーカーに関する対数尤度比であり、そして疾患を有するものに対して、関心対照の疾患(すなわちこの場合、NSCLC)を含まないサンプル
の総対数尤度比は、単純に、これらの個々の項の合計に、疾患の有病率を構成する項を加えたものである。単純にするため、本発明者らは、p(d)=0.5と仮定し、したがって、
である。
[0353]6.9、8.7、7.9、9.8、8.4、10.6、7.3、6.3、7.3、8.1の10のバイオマーカー各々に関する対数(RFU)における未知のサンプル測定を所与として、分類の計算を表16に詳述する。対照クラスに対する疾患の対数尤度比を含む個々の構成要素を表にし、そして表16中のパラメータおよび
の値から計算してもよい。個々の対数尤度比の合計は−11.584であり、または疾患を有するものに対して疾患を持たない尤度は107,386であり、ここで、尤度e11.584=107,386である。最初の3つのバイオマーカー値は、疾患群とより一致する尤度を有する(対数尤度>0)が、残りの7つのバイオマーカーは、すべて対照群を支持することが見出される。尤度をともに乗じると、上記に示すものと同じ結果が得られ;未知のサンプルが疾患を含まない尤度は107,386である。実際、このサンプルは訓練セット中の対照群由来であった。
実施例4. 分類器のためのバイオマーカーパネルを選択するための欲張りアルゴリズム
[0354]本実施例は、本明細書記載の方法いずれかにおいて分類器として使用可能なパネルを形成する、表1からのバイオマーカーの選択を記載する。表1中のバイオマーカーのサブセットを選択して、優れた性能の分類器を構築した。本方法はまた、どの潜在的なマーカーが実施例2中のバイオマーカーとして含まれるかを決定した。
[0355]本明細書で用いた分類器性能の測定値はAUCであり;0.5の性能は、ランダム(コイントス)分類器に関するベースライン期待値であり、ランダムより劣った分類器は、0.0〜0.5の間にスコアされ、ランダム性能より優れた分類器は0.5〜1.0の間にスコアされるであろう。誤差がない完全な分類器は、1.0の感度および1.0の特異性を有するであろう。実施例4に記載する方法を、F値、感度および特異性の合計、または感度および特異性の積などの性能の他の一般的な測定値に適用することも可能である。特に、ある程度の感度を犠牲にして、より高い特異性を持って実行する分類器を選択するため、またはある程度の特異性を犠牲にして、より高い感度を持って実行する分類器を選択するため、感度および特異性を異なる加重で処理したいと希望する可能性もある。本明細書記載の方法は、「性能」の測定値を伴うのみであるため、単一の性能測定値を生じる任意の加重スキームが使用可能である。異なる適用は、真の陽性および真の陰性発見に関して異なる利点を有し、そしてまた、偽陰性発見とは異なる、偽陽性発見に関するコストを有するであろう。例えば、無症候性喫煙者およびCTで発見される良性小結節の示差診断をスクリーニングする工程は、一般的に、特異性および感度の間の同じ最適なトレードオフを持たないであろう。2つの試験の異なる要求は、一般的に、性能測定値に反映される、陽性および陰性の誤った分類に異なる加重を設定することを必要とするであろう。性能測定値を変化させると、一般的に、所定のデータセットに関して、表1から選択されるマーカーの正確なサブセットが変化するであろう。
[0356]実施例3に記載する、対照サンプルからNSCLCサンプルを区別するためのベイズアプローチに関して、分類器は、疾患および良性訓練サンプルにおけるバイオマーカーの分布によって完全にパラメータ化され、そしてバイオマーカーのリストは表1から選択された;すなわち、包含するよう選択されたマーカーのサブセットは、訓練データセットを所与として、1対1方式で分類器を決定した。
[0357]本明細書で使用する欲張り法を用いて、表1由来のマーカーの最適なサブセットに関して検索した。少数のマーカーまたは比較的少数のマーカーを含む分類器に関して、ありうるマーカーサブセットすべてを列挙し、そして特定のマーカーセットで構築される分類器の性能に関して評価した(実施例4、パート2を参照されたい)。(このアプローチは、「最適サブセット選択」として統計分野に周知である;例えばHastieらを参照されたい)。しかし、本明細書記載の分類器に関して、多数のマーカーの組み合わせ数は非常に大きくなる可能性があり、そして10マーカーのすべてのあり得るセットを評価することは実行可能でなく、これは、わずか30の総分析物のリストから30,045,015のありうる組み合わせが生成可能であるためである。すべてのマーカーサブセットを通じた検索は非現実的であるため、単一の最適サブセットを見出すことは可能ではない;しかし、このアプローチを用いることによって、多くの優れたサブセットが見出され、そして多くの場合で、これらのサブセットはいずれも、最適なものに相当する可能性がある。
[0358]すべてのあり得るマーカーセットを評価する代わりに、「欲張り」順方向段階的アプローチにしたがってもよい(例えばDabney AR, Storey JD (2007) Optimality Driven Nearest Centroid Classification from Genomic Data. PLoS ONE 2(10): el002. doi:10.1371/journal.pone.0001002を参照されたい)。この方法を用いると、分類器を最適な単一マーカー(個々のマーカーに関するKS距離に基づく)で開始し、そして続いて、マーカーリストの、現在、分類器のマーカーセットのメンバーではない各メンバーを試すことによって、各段階で成長させる。存在する分類器と組み合わせて最適なスコアを生じる1つのマーカーを分類器に加える。性能のさらなる改善が達成されなくなるまで、これを反復する。不運なことに、このアプローチは、プロセスが停止する前に、個々のマーカーのいくつかがすべては選択されないマーカーの価値ある組み合わせを見逃す可能性もある。
[0359]本明細書で用いる欲張り法は、進行性順方向段階的アプローチの精緻化であり、この中で、検索を広げるため、各段階で単一の候補分類器(マーカーサブセット)を単に維持するよりも、候補分類器のリストを維持した。リストには、すべての単一マーカーサブセットが植え付けられた(表中のすべてのマーカーをそのまま使用する)。現在リストにあるものから新たな分類器(マーカーサブセット)を得て、そしてリストに付加することによって、段階的にリストを拡張した。すでにその分類器の一部になっておらず、そしてサブセットへの付加に際して、存在するサブセットを重複させないであろう、表1由来の任意のマーカー(これらは「許容マーカー」と称される)を付加することによって、現在リスト上にある各マーカーサブセットを拡張した。リストからのすべての許容マーカーによって、すべての存在するマーカーサブセットを拡張した。明らかに、こうしたプロセスは、最終的にすべてのありうるサブセットを生じ、そしてリストはスペース不足になるであろう。したがって、生成される分類器すべてを、リストが何らかのあらかじめ決定されたサイズ未満の間のみ維持した(しばしば、すべての3つのマーカーサブセットを維持するのに十分であった)。リストがあらかじめ決定されたサイズ限界に到達したら、エリート主義(elitist)となり;すなわち、特定のレベルの性能を示す分類器のみがリスト上に維持され、そして他のものは、リストの端から落ち、そして失われた。これは、分類器性能の順にソーティングされるリストを維持することによって達成され;少なくとも、現在リスト上にある最悪の分類器と同程度によい新規分類器が挿入され、現在の最低の成績不振者の排除を強いた。1つのさらなる実行詳細は、リストが完全に各世代段階で交換されるものであり;したがってリスト上のすべての分類器が、同じ数のマーカーを有し、そして各工程で、分類器あたりのマーカー数が1つずつ大きくなる。
[0360]この方法は、異なる組み合わせのマーカーを用いて、候補分類器のリストを生じるため、最適な単一分類器によって、または最適分類器の少数群によって、作製されうる誤差を回避するため、分類器を組み合わせてもよいかどうか疑問が生じうる。こうした「アンサンブル」および「専門家委員会」法は、統計分野および機械学習分野で周知であり、そしてこれには例えば、「平均」、「投票」、「スタッキング」、「バギング」および「ブースティング」が含まれる(例えばHastieらを参照されたい)。単純分類器のこれらの組み合わせは、いくつかの異なる分類器を含め、そしてしたがって、バイオマーカー表由来のマーカーのより大きなセットからの情報を含めて、分類器間を有効に平均することによって、マーカーの任意の特定のセットにおけるノイズによる、分類における分散を減少させるための方法を提供する。このアプローチの有用性の例は、単一のマーカー中の異常値が、単一のサンプルの分類に不都合に影響を及ぼすことを防止可能であることである。より多数のシグナルを測定する必要性は、慣用的な「一度に1マーカー」抗体アッセイでは非現実的でありうるが、完全に多重化されたアプタマーアッセイに関しては、不都合な点ではない。これらなどの技術は、バイオマーカーのより包括的な表から利益を得て、そして疾患プロセスに関する情報の多数の供給源を使用して、よりロバストな分類を提供する。
[0361]表1で選択するバイオマーカーは、「非マーカー」(すなわち、表1に含まれる基準を満たさなかったシグナルを有するタンパク質(実施例2に記載される通り))で構築された分類器よりもよりよく働く分類器を生じさせた。
[0362]1、2、および3つのマーカーしか含有しない分類器に関しては、表1中のバイオマーカーを用いて得られる、すべてのありうる分類器を列挙し、そしてランダムに選択された非マーカーシグナルの類似の表から構築された分類器に比較した性能分布に関して調べた。
[0363]図11において、AUCを性能測定値として用いた;0.5の性能は、ランダム(コイントス)分類器のベースライン期待値である。分類器性能のヒストグラムを、59の非マーカーシグナルの「非マーカー」表から構築された分類器の類似の徹底的な列挙からの性能のヒストグラムと比較した;対照および疾患集団の間の示差的シグナル伝達を示さない59のシグナルを、アプタマーからランダムに選択した。
[0364]図11は、対照群およびNSCLCの間を区別可能なバイオマーカーに関する表14のバイオマーカーパラメータから構築された、すべてのありうる1、2、および3マーカー分類器の性能のヒストグラムを示し、そしてこれらの分類器を、59の「非マーカー」アプタマーRFUシグナルを用いて構築された、すべてのありうる1、2、および3マーカー分類器と比較する。図11Aは、単一マーカー分類器性能のヒストグラムを示し、図11Bは、2マーカー分類器性能のヒストグラムを示し、そして図11Cは、3マーカー分類器性能のヒストグラムを示す。
[0365]図11において、実線は、表14における喫煙者および良性肺小結節およびNSCLCに関する、バイオマーカーデータを用いた、すべての1、2、および3マーカー分類器の分類器性能のヒストグラムを示す。点線は、対照およびNSCLCに関するデータを用いるが、ランダム非マーカーシグナルのセットを用いる、すべての1、2、および3マーカー分類器の分類器性能ヒストグラムである。
[0366]表1に列挙するマーカーから構築される分類器は、別個のヒストグラムを形成し、1マーカー、2マーカーおよび3マーカー比較のすべてに関して、「非マーカー」由来のシグナルで構築された分類器とははっきり分離された。表1中のバイオマーカーから構築された分類器の性能およびAUCスコアはまた、非マーカーから構築された分類器よりも、マーカー数とともに迅速に増加し、分類器あたりのマーカー数が増加するにつれて、マーカーおよび非マーカー分類器の間の分離は増加する。表14中に列挙されるバイオマーカーを用いて構築されたすべての分類器は、「非マーカー」を用いて構築された分類器よりも著しく優れた性能を示す。
[0367]分類器性能の分布は、表1中の分析物セットから得られうる、多くのありうる多数マーカー分類器があることを示す。いくつかのバイオマーカーは、単一分析物に関する分類器スコアの分布およびAUCによって示されるように、そのままで、他のものよりも優れているが、こうしたバイオマーカーが高性能分類器を構築するのに必要であるかどうかを決定することが望ましかった。この決定を行うため、最適バイオマーカーのいくつかを除外することによって、分類器性能の振る舞いを調べた。図12は、表1中のバイオマーカーの全リストで構築された分類器の性能と、上位にランキングされるマーカーを排除した表1由来のバイオマーカーサブセットで構築された分類器の性能を比較する。
[0368]図12は、最適マーカーを含まずに構築された分類器が優れた性能を示すことを立証し、分類器の性能が、いくつかの少数のマーカーのコア群によるものではなく、そして疾患と関連するプロセスの根底にある変化は、多くのタンパク質の活性に反映されることを暗示する。表1中のバイオマーカーの多くのサブセットは、表1由来の59マーカーのうち上位15を除いた後であっても、最適に近い性能を示した。表1から上位にランキングされる15のマーカー(KS距離によってランキング)を落とした後、分類器性能は、表から選択されるマーカーの数とともに増加して、ほぼ0.93のAUCに到達し、これは、バイオマーカー全リストから選択される、0.948の最適分類器スコアの性能に近かった。
[0369]最後に、図13は、実施例3にしたがって、表14中のパラメーターのリストから構築された典型的な分類器のROC性能がどのようであるかを示す。MMP7、CLIC1、STX1A、CHRDL1、およびPA2G4で5つの分析物分類器を構築した。図13Aは、実施例3におけるように、これらのマーカーの独立性を仮定して、モデルの性能を示し、そして図13Bは、表14中のパラメータを定義するのに用いた研究データセットから生成される経験的なROC曲線を示す。選択されるマーカーの所定の数に関する性能は、定性的に一致し、そしてAUCによって立証されるように、定量的な一致は一般的にきわめて優れていたが、モデル計算は、分類器性能を過剰評価する傾向があることがわかる。これは、疾患プロセスに関する任意の特定のバイオマーカーによって寄与される情報が、表1に提供される他のバイオマーカーによって寄与される情報と重複しており、一方、モデル計算が完全な独立性を仮定しているという知見と一致する。図13は、したがって、実施例3に記載される方法と組み合わされて、表1が、対照群からNSCLCを区別するのに有用な非常に多くの分類器の構築および評価を可能にすることを立証する。
実施例5. 臨床バイオマーカーパネル
[0370]ランダムフォレスト分類器を、臨床診断試験で使用するのに最も適している可能性がある、選択されたバイオマーカーパネルから構築した。単純ベイズ欲張り順方向アルゴリズムによって選択されたモデルとは異なり、ランダムフォレスト分類器は、バイオマーカー測定がランダムに分布すると仮定しない。したがって、このモデルは、単純ベイズ分類器では有効ではない表1由来のバイオマーカーを利用可能である。
[0371]ランダムフォレスト分類器によって提供されるジニ重要性測定値を利用して、逆方向排除法を用いて、パネルを選択する。ジニ重要性は、訓練セットにおけるサンプルを正しく分類する際のバイオマーカーの有効性の測定値である。
[0372]バイオマーカー重要性のこの測定値を用いて、分類器の性能に、より重要でないマーカーを排除することも可能である。逆方向排除法は、表1のすべての59を含む、ランダムフォレスト分類器を構築することによって開始された。次いで、最も重要でないバイオマーカーを排除し、そして残りのバイオマーカーを用いて、新規モデルを構築した。この方法を、単一のバイオマーカーが残るまで続けた。
[0373]選択された最終パネルは、モデルにおける最高AUCおよび最低数のマーカーの間の最適なバランスを提供した。これらの基準を満たす8バイオマーカーのパネルは、以下の分析物、MMP12、MMP7、KLK3−SERPINA3、CRP、C9、CNDP1、CA6、およびEGFRで構成された。このバイオマーカーパネルに関するROC曲線のプロットを図14に示す。このモデルの感度は0.70であり、対応する特異性は0.89である。
実施例6. 癌の診断のためのバイオマーカー
[0374]癌の一般的な診断のための潜在的なバイオマーカーの同定を行った。症例および対照サンプルの両方を、3つの異なるタイプの癌(肺癌、中皮腫、および腎細胞癌)から評価した。施設にまたがり、包含基準は、サインされたインフォームドコンセントを伴い、少なくとも18歳であることであった。症例および対照はどちらも、問題の癌以外の既知の悪性病変に関して排除された。
[0375]肺癌。症例および対照サンプルを実施例2に記載するように得た。総数46の症例および218の対照を本実施例で用いた。
[0376]胸膜中皮腫。後に非悪性と診断された疑わしい放射線知見を含めた良性肺疾患からの、胸膜中皮腫の示差的診断に関する潜在的なマーカーを同定するため、症例および対照サンプルを、大学癌センターバイオレポジトリから得た。総数124の中皮腫症例および138のアスベスト曝露対照を本実施例に用いた。
[0377]腎細胞癌。腎細胞癌(RCC)および良性塊(BEN)を持つ患者由来の大学癌センターバイオレポジトリから、症例および対照サンプルを得た。手術前サンプル(TP1)をすべての被験体に関して得た。一次分析は、臨床追跡調査を通じて文書化された「疾患の証拠」(EVD)対「疾患の証拠なし」(NED)を有するRCC患者に関する転帰データ(SEERデータベースフィールドCAステータス1に記録されるようなもの)を比較した。総数38のEVD症例および104のNED対照を本実施例で用いた。
[0378]3つの異なる癌研究の各々に関して考慮されたバイオマーカーセットを組み合わせることによって、癌バイオマーカーの最終リストを同定した。増加するサイズのバイオマーカーセットを用いたベイズ分類器は、欲張りアルゴリズム(本実施例のセクション6.2により詳細に記載するようなもの)を用い、成功裡に構築された。異なる部位およびタイプの癌の中で、癌一般を診断するのに有用なバイオマーカーのセット(またはパネル)を、セット(またはパネル)サイズの関数としてコンパイルし、そしてその性能に関して分析した。この分析は、表19に示す23の癌バイオマーカーのリストを生じ、この各々は、これらの連続マーカーセットの少なくとも1つに存在し、サイズは3〜10マーカーの範囲であった。例示的な例として、本発明者らは、表32に示す、10の癌バイオマーカーで構成される特異的パネルの生成を記載する。
6.1 癌のための単純ベイズ分類器
[0379]表1中のバイオマーカーリストから、本実施例のセクション6.2に概略するように、バイオマーカー選択のための欲張りアルゴリズムを用いて、10の潜在的癌バイオマーカーのパネルを選択した。3の各々に関して、別個の単純ベイズ分類器を構築した。クラス依存性確率密度関数(pdf)、p(xi|c)およびp(xi|d)、式中、xiはバイオマーカーiに関する測定されたRFU値の対数であり、そしてcおよびdは、対照および疾患集団を指す、は、平均μおよび分散σ2によって特徴付けられる対数正規分布関数としてモデル化された。10の潜在的なバイオマーカーで構成される3モデルのpdfに関するパラメータを表31に列挙する。
[0380]こうしたモデルに関する単純ベイズ分類を、検定に適した以下の等式によって提供し、式中、p(d)は、集団における疾患の有病率であり、
[0381]
そしてn=10である。合計の項は各々、個々のマーカーに関する対数尤度比であり、そして疾患を有するものに対して、関心対照の疾患(すなわちこの場合、3つの異なる癌タイプ由来の各々特定の疾患)を含まないサンプル
の総対数尤度比は、単純に、これらの個々の項の合計に、疾患の有病率を構成する項を加えたものである。単純にするため、本発明者らは、p(d)=0.5と仮定し、したがって、
である。
[0382]9.5、8.8、7.8、8.3、9.4、7.0、7.9、6.3、7.7、10.6の10のバイオマーカー各々に関する対数(RFU)における未知のサンプル測定を所与として、分類の計算を表32に詳述する。対照クラスに対する疾患の対数尤度比を含む個々の構成要素を表にし、そして表31中のパラメータおよび
の値から計算してもよい。個々の対数尤度比の合計は−3.326であり、または疾患を有するものに対して疾患を持たない尤度は28であり、ここで、尤度e3.326=28である。4つのバイオマーカー値のみは、疾患群とより一致する尤度を有する(対数尤度>0)が、残りの6つのバイオマーカーは、すべて対照群を支持することが一貫して見出される。尤度をともに乗じると、上記に示すものと同じ結果が得られ;未知のサンプルが疾患を含まない尤度は28である。実際、このサンプルは腎細胞癌訓練セット中の対照群由来であった。
6.1 癌のための単純ベイズ分類器
[0383]表1中のバイオマーカーリストから、本実施例のセクション6.2に概略するように、バイオマーカー選択のための欲張りアルゴリズムを用いて、10の潜在的癌バイオマーカーのパネルを選択した。3つの異なる癌タイプの各々に関して、別個の単純ベイズ分類器を構築した。クラス依存性確率密度関数(pdf)、p(xi|c)およびp(xi|d)、式中、xiはバイオマーカーiに関する測定されたRFU値の対数であり、そしてcおよびdは、対照および疾患集団を指す、は、平均μおよび分散σ2によって特徴付けられる対数正規分布関数としてモデル化された。10の潜在的なバイオマーカーで構成される3モデルのpdfに関するパラメータを表31に列挙する。
[0384]こうしたモデルに関する単純ベイズ分類を、検定に適した以下の等式によって提供し、式中、p(d)は、集団における疾患の有病率であり、
そしてn=10である。合計の項は各々、個々のマーカーに関する対数尤度比であり、そして疾患を有するものに対して、関心対照の疾患(すなわちこの場合、3つの異なる癌タイプ由来の各々特定の疾患)を含まないサンプル
の総対数尤度比は、単純に、これらの個々の項の合計に、疾患の有病率を構成する項を加えたものである。単純にするため、本発明者らは、p(d)=0.5と仮定し、したがって、
である。
[0385]9.5、8.8、7.8、8.3、9.4、7.0、7.9、6.3、7.7、10.6の10のバイオマーカー各々に関する対数(RFU)における未知のサンプル測定を所与として、分類の計算を表32に詳述する。対照クラスに対する疾患の対数尤度比を含む個々の構成要素を表にし、そして表31中のパラメータおよび
の値から計算してもよい。個々の対数尤度比の合計は−3.326であり、または疾患を有するものに対して疾患を持たない尤度は28であり、ここで、尤度e3.326=28である。4つのバイオマーカー値のみは、疾患群とより一致する尤度を有する(対数尤度>0)が、残りの6つのバイオマーカーは、すべて対照群を支持することが一貫して見出される。尤度をともに乗じると、上記に示すものと同じ結果が得られ;未知のサンプルが疾患を含まない尤度は28である。実際、このサンプルはNSCLC訓練セット中の対照群由来であった。
6.2 分類器のための癌バイオマーカーパネルを選択するための欲張りアルゴリズム
パート1
[0386]表1中のバイオマーカーのサブセットを選択して、どのマーカーが癌を検出する一般的な癌バイオマーカーとして使用可能か決定することが可能な潜在的な分類器を構築した。
[0387]マーカーセットを所与とし、3つの癌研究の各々に関して別個のモデルを訓練し、したがって、多くの異なるタイプの癌を同時に分類可能であるバイオマーカーセットを選択するため、性能の広範囲の測定値が必要であった。本明細書で用いる分類器性能の測定値は、すべての単純ベイズ分類器に渡って、ROC曲線下面積の平均であった。ROC曲線は、単一の分類器の真の陽性率(感度)対偽陽性率(1−特異性)のプロットである。ROC曲線下面積(AUC)は、0〜1.0の範囲であり、1.0のAUCは完全分類に対応し、そして0.5のAUCはランダム(コイントス)分類器に対応する。性能の他の一般的な測定値、例えばF値、あるいは感度および特異性の合計または積などを適用することも可能である。特に、ある程度の感度を犠牲にして、より高い特異性を持って実行する分類器を選択するため、または特異性を犠牲にして、より高い感度を持って実行する分類器を選択するため、感度および特異性を異なる加重で処理したいと希望する可能性もある。本発明者らは、感度および特異性のすべての組み合わせを単一の測定値に含むため、AUCの使用を選択した。異なる適用は、真の陽性および真の陰性発見に関して異なる利点を有し、そして偽陰性発見とは異なる、偽陽性発見に関するコストを有するであろう。性能測定値を変化させると、所定のデータセットに関して、所定のデータセットに関して選択されるマーカーの正確なサブセットが変化する可能性もある。
[0388]本実施例のセクション6.1に記載する、対照サンプルから癌サンプルを区別するためのベイズアプローチに関して、分類器は、3つの癌研究各々におけるバイオマーカーの分布によって完全にパラメータ化され、そしてバイオマーカーのリストは表19から選択された。すなわち、包含するよう選択されたマーカーのサブセットは、訓練データセットを所与として、1対1方式で分類器を決定した。
[0389]本明細書で使用する欲張り法を用いて、表1由来のマーカーの最適なサブセットに関して検索した。少数のマーカーまたは比較的少数のマーカーを含む分類器に関して、ありうるマーカーサブセットすべてを列挙し、そして特定のマーカーセットで構築される分類器の性能に関して評価した(実施例4を参照されたい)。(このアプローチは、「最適サブセット選択」として統計分野に周知である;例えばHastieらを参照されたい)。しかし、本明細書記載の分類器に関して、多数のマーカーの組み合わせ数は非常に大きくなる可能性があり、そして10マーカーのすべてのあり得るセットを評価することは実行可能でなく、これは、わずか30の総分析物のリストから30,045,015のありうる組み合わせが生成可能であるためである。すべてのマーカーサブセットを通じた検索は非現実的であるため、単一の最適サブセットを見出すことは可能ではない;しかし、このアプローチを用いることによって、多くの優れたサブセットが見出され、そして多くの場合で、これらのサブセットはいずれも、最適なものに相当する可能性がある。
[0390]すべてのありうるマーカーセットを評価する代わりに、「欲張り」順方向段階的アプローチにしたがってもよい(例えばDabney AR, Storey JD (2007) Optimality Driven Nearest Centroid Classification from Genomic Data. PLoS ONE 2(10): el002. doi:10.1371/journal.pone.0001002を参照されたい)。この方法を用いると、分類器を最適な単一マーカー(個々のマーカーに関するKS距離に基づく)で開始し、そして続いて、マーカーリストの、現在、分類器のマーカーセットのメンバーではない各メンバーを試すことによって、各段階で成長させる。存在する分類器と組み合わせて最適なスコアを生じる1つのマーカーを分類器に加える。性能のさらなる改善が達成されなくなるまで、これを反復する。不運なことに、このアプローチは、プロセスが停止する前に、個々のマーカーのいくつかがすべては選択されないマーカーの価値ある組み合わせを見逃す可能性もある。
[0391]本明細書で用いる欲張り法は、進行性順方向段階的アプローチの精緻化であり、この中で、検索を広げるため、各段階で単一の候補マーカーサブセットを単に維持するよりも、候補マーカーセットのリストを維持した。リストには、単一マーカーリストが植え付けられた。現在リストにあるものから新たなマーカーサブセットを得て、そしてリストに付加することによって、段階的にリストを拡張した。すでにその分類器の一部になっておらず、そしてサブセットへの付加に際して、存在するサブセットを重複させないであろう、表1由来の任意のマーカー(これらは「許容マーカー」と称される)を付加することによって、現在リスト上にある各マーカーサブセットを拡張した。各時点で、マーカーの新規セットを定義し、これらのマーカーを用いて、各癌研究の1つで構成される分類器セットを訓練し、そして全体の性能を、すべての3つの研究に渡る平均AUCを介して測定した。潜在的な過剰適合を回避するため、各癌研究モデルに関するAUCを10倍交差検定法を通じて計算した。リストからのすべての許容マーカーによって、すべての存在するマーカーサブセットを拡張した。明らかに、こうしたプロセスは、最終的にすべてのありうるサブセットを生じ、そしてリストはスペース不足になるであろう。したがって、生成されるマーカーセットすべてを、リストが何らかのあらかじめ決定されたサイズ未満の間のみ維持した。リストがあらかじめ決定されたサイズ限界に到達したら、エリート主義となり;すなわち、特定のレベルの性能を示す分類器セットのみがリスト上に維持され、そして他のものは、リストの端から落ち、そして失われた。これは、分類器セット性能の順にソーティングされるリストを維持することによって達成され;その分類器が、全体的に、少なくとも現在リスト上にある最悪の分類器セットと同程度によい新規マーカーセットが挿入され、現在の最低の成績不振分類器セットの排除を強いた。1つのさらなる実行詳細は、リストが完全に各世代段階で交換されるものであり;したがってリスト上のすべてのマーカーセットが、同じ数のマーカーを有し、そして各工程で、分類器あたりのマーカー数が1つずつ大きくなる。
[0392]1つの態様において、非癌から一般的な癌を診断するための分類器を構築するのに有用なバイオマーカーのセット(またはパネル)は、分類スキームで使用するバイオマーカーの特定の組み合わせに関する平均AUCに基づく。本発明者らは、対照から、異なる癌サンプルを有効に分類可能な、表19中のマーカーから得られるバイオマーカーの多くの組み合わせを同定した。代表的なパネルを表22〜29に示し、これは、3〜10バイオマーカーの100の異なるパネルシリーズを示し、これらは、各パネルに関して、示す平均交差検定(CV)AUCを有する。これらのパネル各々における各マーカー発生の総数を、各表の底部に示す。
[0393]表19で選択されるバイオマーカーは、「非マーカー」で構築される分類器よりも優れた性能を示す分類器を生じさせた。図15において、本発明者らは、他のありうる分類器の性能に比較した、10のバイオマーカー分類器の性能を示す。
[0394]図15Aは、表19中の10のマーカーを除いて、すべての3つの研究に存在する23の全セットから取った10の「非マーカー」のランダムにサンプリングされたセットから構築された分類器に関する平均AUCの分布を示す。10の潜在的な癌バイオマーカーの性能を、垂直の点線として示す。このプロットは、明らかに、10の潜在的なバイオマーカーの性能が、他のマーカー組み合わせの分布をはるかに超えることを示す。
[0395]図15Bは、図15Aと類似の分布を示すが、ランダムにサンプリングされたセットは、10の分析物分類器に関する欲張りバイオマーカー選択法によって選択されない、表1由来の49バイオマーカーに限定された。このプロットは、欲張りアルゴリズムによって選択される10のマーカーが、残りの49のバイオマーカーで構築される分類器よりもはるかに優れて癌の他のタイプに一般化される、バイオマーカーサブセットに相当することを立証する。
[0396]最後に、図16は、3つの癌研究分類器各々に関する分類器ROC曲線を示す。前述の態様および実施例は、例としてのみ意図される。特定の態様、実施例、あるいは特定の態様または実施例の要素は、いずれも、請求項のいずれかの決定的な、必要な、または本質的な要素または特徴とは見なされないものとする。さらに、本明細書記載の要素はいずれも、明らかに「本質的」または「決定的」と記載されない限り、付随する請求項の実施に必要とはされない。付随する請求項によって定義される本出願の範囲から逸脱することなく、開示する態様に多様な改変、修飾、置換、および他の変動を行ってもよい。図および実施例を含む明細書は、制限する方式ではなく、例示の方式で見なされるものとし、そしてすべてのこうした修飾および置換は、本出願の範囲内に含まれると意図される。したがって、本出願の範囲は、上に提供する実施例によるのではなく、付随する請求項およびその法的な同等物によって決定されなければならない。例えば、任意の方法またはプロセス請求項に列挙される工程を、実行可能な任意の順で遂行してもよく、そしてこうした工程は、態様、実施例、または請求項のいずれに提示される順にも限定されない。さらに、前述の方法いずれにおいても、表1または表19の1またはそれより多いバイオマーカーを、個々のバイオマーカーとして、または任意のパネル由来のバイオマーカーとして、具体的に排除してもよい。
表1:癌バイオマーカー
表2: 1バイオマーカーのパネル
表3: 2バイオマーカーのパネル
表4: 3バイオマーカーのパネル
表5: 4バイオマーカーのパネル
表6: 5バイオマーカーのパネル
表7: 6バイオマーカーのパネル
表8: 7バイオマーカーのパネル
表9: 8バイオマーカーのパネル
表10: 9バイオマーカーのパネル
表11: 10バイオマーカーのパネル
表12: バイオマーカーパネル中のマーカーのカウント
表13: 10マーカー分類器における分析物
表14: 単純ベイズ分類器に関する訓練セットから得られるパラメータ
表15: バイオマーカーの例示的な組み合わせに関するAUC
表16: 単純ベイズ分類器に関する訓練セット由来の計算
表17: 訓練セットの臨床特性
表18: 10バイオマーカー分類器タンパク質
表19: 一般的な癌のバイオマーカー
表20: 1バイオマーカーのパネル
表21: 2バイオマーカーのパネル
表22: 3バイオマーカーのパネル
表23: 4バイオマーカーのパネル
表24: 5バイオマーカーのパネル
表25: 6バイオマーカーのパネル
表26: 7バイオマーカーのパネル
表27: 8バイオマーカーのパネル
表28: 9バイオマーカーのパネル
表29: 10バイオマーカーのパネル
表30: バイオマーカーパネル中のマーカーのカウント
表31: 単純ベイズ分類器に関する癌データセットセット由来のパラメータ
表32: 単純ベイズ分類器に関する訓練セット由来の計算