本実施形態の説明に先立ち、本願発明者が行った調査結果について説明する。その調査では、以下のようにしてQCMセンサの個体差が調べられた。
図1は、その調査で使用したQCMセンサ1の斜視図である。
QCMセンサ1は、円盤状の水晶振動子5と、その水晶振動子5の一方の主面に形成された第1の電極6と、水晶振動子5の他方の主面に形成された第2の電極7とを備える。
水晶振動子5のサイズやカットは特に限定されない。本調査では、直径が8mmのATカットの水晶振動子5を使用する。
また、第1の電極6と第2の電極7の各々の材料は、検知の対象となる腐食性ガスに応じて選択される。例えば、硫化水素を検出する場合には第1の電極6と第2の電極7の材料として銀を使用し得る。また、塩素を検出する場合には、第1の電極6と第2の電極7の材料として銅を使用し得る。
そして、第1の電極6と第2の電極7の各々には金等を材料とする導線8が、引き出し配線9を介して電気的に接続され、その導線8によって上記の水晶振動子5が支持される。
実使用下においては、導線8を介して第1の電極6と第2の電極7との間に所定の電圧を印加することにより水晶振動子5を発振させる。水晶振動子5は、使用開始の時点では基本周波数Fと呼ばれる共振周波数で発振するが、腐食によって第1の電極6と第2の電極7の質量が増加するとその共振周波数fは徐々に低下する。
ここで、使用開始の時点と比較して第1の電極6と第2の電極7の総質量がMfだけ増加したときの周波数fの変化量Δfm(=F−f)は、次の式(1)のSaurbreyの式によって表される。
但し、Fは基本共振周波数、ρqは水晶の密度、μqは水晶のせん断応力、Sは第1の電極6と第2の電極7の総表面積である。
QCMセンサ1によって腐食性ガスによる腐食量の測定を開始して間もない時期は、環境中の腐食ガスの濃度に応じて第1の電極6や第2の電極7の腐食が進行する。よって、この時期においては、上記の質量の増加量Mfの時間変化を式(1)のSaurbreyの式によってΔfmとして感度よく読み取ることができる。
しかし、腐食が第1の電極6と第2の電極7の大部分に及ぶと、これらの電極の腐食が進行しにくくなりいずれは飽和するため、上記の質量の増加量MfからΔfmを読み取ることができなくなる。また、腐食が停止する前であっても、腐食に伴う第1の電極6と第2の電極7の質量の増加によって水晶振動子5の振動に対する負荷が大きくなりすぎ、その結果、安定な共振範囲を超えて共振周波数が不安定になることもある。これらの場合には、QCMセンサ1で腐食性ガスをこれ以上監視することはできなくなり、QCMセンサ1は寿命を迎えることになる。
このようにQCMセンサが寿命を迎えたときは、長期間にわたる腐食性ガスによる腐食量の監視を継続するために、古いQCMセンサを新しいQCMセンサに交換する。このとき、新旧のQCMセンサの仕様が異なると、式(1)の右辺の比例定数(−2F2/(ρqμq)1/2)が交換前と変わってしまうため、交換前後における腐食性ガスによる腐食量の変動を把握できなくなり、腐食性ガスによる腐食量の測定精度が低下してしまう。
よって、古いQCMセンサを新品に交換するときには、当該QCMセンサと同一の仕様のQCMセンサに交換するのが好ましい。ここで、QCMセンサの仕様としては、例えば、水晶振動子5のサイズやカット面、第1の電極6と第2の電極7の各々のサイズと材料等がある。
但し、仕様を同一にしようとしても、実際には製造時における材料や加工のばらつきが原因で式(1)の右辺の比例定数はQCMセンサごとに異なった値となる。また、電極の腐食の仕方もQCMセンサごとに異なったものとなる。これらにより、各QCMセンサの腐食特性に個体差が生じてしまう。
図2(a)、(b)は、そのような個体差を調査して得られたグラフである。
これらのうち、図2(a)は、第1の電極6と第2の電極7の各々の材料として銀を用い、硫化水素を含有した雰囲気にQCMセンサ1を暴露して得られた結果である。なお、その雰囲気の温度は25℃、湿度は50%である。また、その雰囲気中における硫化水素の濃度は0.25ppmである。
そして、図2(a)の横軸は、上記の雰囲気へのQCMセンサ1の暴露時間であり、縦軸は共振周波数の変化量Δfmである。
図2(a)には複数本のグラフが示されているが、これらはいずれも同一ロット内の同一仕様のQCMセンサを用いて得られたグラフである。
各グラフは互いに完全には重なっておらず、各グラフ間で共振周波数の変化量が最大で10%程度異なっている。異なるロットのQCMセンサの場合には、これよりも更にグラフが相違すると予想される。
このことから、同一仕様であっても各QCMセンサに個体差が生じることが確認された。
図2(b)は、第1の電極6と第2の電極7の各々を二層構造の金属層とし、図2(a)と同じ調査をして得られたグラフである。なお、二層構造の金属層の最下層には各電極6、7と配線8とを電気的に導通させる役割を担う金層を形成し、最上層には腐食させる金属として銅層を形成した。
なお、このように第1の電極6と第2の電極7を多層構造にした場合、各層の密着性を高めるための金属層を層間に形成してもよい。また、第1の電極6と水晶振動子5との間にこれらの密着力を高める金属層を形成してもよい。更に、第2の電極7と水晶振動子5との間にこれらの密着力を高める金属層を形成してもよい。
この場合も、図2(a)と同様に、各QCMセンサに個体差が生じることが明らかとなった。
このように個体差があると、寿命を迎えた古いQCMセンサと交換後の新しいQCMセンサとで測定値の傾向が異なってしまい、長期間にわたって大気中の腐食性ガスによる腐食量を高精度に監視するのが難しくなってしまう。
QCMセンサの個体差を予測するために、測定の初期の段階でそのQCMセンサを実際に腐食させ、図2(a)、(b)のようなグラフを作成することも考えられる。しかし、この方法では、予測通りに腐食が進行するとは限らないうえに、腐食させた分だけQCMセンサの寿命が短くなってしまう。
以下、本実施形態について説明する。
(第1実施形態)
本実施形態では、古いQCMセンサを新しいQCMセンサに交換して長期間にわたって腐食性ガスを監視すると共に、交換時に新旧のQCMセンサの個体差を考慮することで腐食性ガスによる腐食量の測定精度を維持する。
図3は、本実施形態に係る環境測定装置の構成図である。
この環境測定装置10は、駆動部13と演算部14とを備える。
このうち、駆動部13は、交換前の古い第1のQCMセンサ11aと、交換後の新しい第2のQCMセンサ11bの各々に接続される。
なお、第1のQCMセンサ11aと第2のQCMセンサ11bは、図1に示したのと同じ構造を有しており、それらの仕様は同一である。本実施形態では、第1のQCMセンサ11aと第2のQCMセンサ11bの各々の水晶振動子5の直径を8mmとし、各電極6、7として厚さが0.1μmの銀膜を形成する。また、第1のQCMセンサ11aと第2のQCMセンサ11bの基本共振周波数は、例えば25MHzである。
更に、第1のQCMセンサ11aと第2のQCMセンサ11bの各電極6、7を予めある程度腐食させるエージング処理を行ってもよい。そのエージング処理により、図2(a)、(b)に示したような測定の初期段階における腐食特性の急峻な変化を避けてより安定な腐食特性領域での測定が可能になる。これについては、後述の各実施形態でも同様である。
駆動部13は、第1及び第2の発振回路16a、16bと、第1及び第2の周波数カウンタ18a、18bとを備える。
第1及び第2の発振回路16a、16bは、それぞれ第1のQCMセンサ11aと第2のQCMセンサ11bを基本共振周波数で発振させるための回路である。
図4は、第1の発振回路16aの回路図である。なお、第2の発振回路16bの回路図もこれと同様なので、ここでは省略する。
図4に示すように、第1の発振回路16aは、インバータ17と、第1及び第2の抵抗R1、R2と、第1及び第2のキャパシタC1、C2とを備える。これらの値を適切に設定することで、第1のQCM11aセンサを所定の共振周波数で安定して発振させることができる。
このような回路においては、インバータ17が第1のQCMセンサ11aと協働して並列共振回路を形成しており、第1及び第2のキャパシタC1、C2の容量値を適宜設定することで、第1のQCMセンサ11aを発振させることができる。
なお、第1のQCMセンサ11aを流れる水晶電流の大きさは第1の抵抗R1によって調節される。そして、インバータ17には電源電圧Vddが印加されており、第2の抵抗R2がインバータ28の帰還抵抗として機能する。
再び図3を参照する。
第1の周波数カウンタ18aは、第1の発振回路16aに接続されており、第1のQCMセンサ11aの第1の共振周波数f1mを測定する。同様に、第2の周波数カウンタ18bは、第2の発振回路16bに接続されており、第2のQCMセンサ11bの第2の共振周波数f2mを測定する。
演算部14は、パーソナルコンピュータ等の計算機であって、上記の駆動部13から第1の共振周波数f1mと第2の共振周波数f2mとを取得する。
図5は、駆動部13のコネクタ付近の拡大図である。
図5に示すように、駆動部13には、第1のQCMセンサ11aと第2のQCMセンサ11bの各々の導線8が脱着可能な四つのコネクタ19が設けられる。
本実施形態では、ユーザは、最初にコネクタ19に第1のQCMセンサ11aを差し込み、第1のQCMセンサ11aにより大気中の腐食性ガスによる腐食量を監視する。そして、第1のQCMセンサ11aの寿命が近づいたら、ユーザは新品の第2のQCMセンサ11bをコネクタ19に装着する。
図6は、第1のQCMセンサ11aと第2のQCMセンサ11bの測定結果の一例を示す図である。
なお、図6の横軸は、第1のQCMセンサ11aで測定を開始してからの経過時間である。そして、図6の縦軸は、第1のQCMセンサ11aの第1の共振周波数f1mの第1の変化量Δf1mと、第2のQCMセンサ11bの第2の共振周波数f2mの第2の変化量Δf2mである。
なお、第1のQCMセンサ11aと第2のQCMセンサ11bの各々の基本周波数をそれぞれF1、F2とするとき、各変化量Δf1m、Δf2mはそれぞれΔf1m=F1−f1m、Δf2m=F2−f2mで定義される。
また、図6では、第1の変化量Δf1mを第1のグラフA1で表し、第2の変化量Δf2mを第2のグラフA2で表している。
図6に示すように、本実施形態では、第1のQCMセンサ11aと第2のQCMセンサ11bの両方で測定を行う第1の期間T1を設ける。
第1の期間T1の始期である第1の時刻tsは、第1のQCMセンサ11aの共振周波数の第1の変化量Δf1mが予め定められた第1の規定値Fsmとなった時刻である。
そして、第1の期間T1の終期である第2の時刻tcは、第1の変化量Δf1mが予め定められた第2の規定値Fcmとなった時刻である。
各規定値のうち、第2の規定値Fcmは、第1のQCMセンサ11aが寿命を迎えたと判断される第1の変化量Δf1mである。そして、第1の規定値Fsmは、第1のQCMセンサ11aの寿命が近いと判断される第1の変化量Δf1mである。
第1の規定値Fsmの設定方法は特に限定されない。例えば、第1のQCMセンサ11aと同一仕様の他のQCMセンサを実際に腐食させ、そのQCMセンサが寿命となったときの共振周波数の変化量を測定し、当該変化量から1%〜5%程度小さい値を第1の規定値Fsmとして設定し得る。また、後述のように本実施形態では第1の期間T1における各変化量Δf1m、Δf2mを利用して補正を行うため、第1の期間T1が長いほど補正に要するデータを多く集めることができる。
なお、QCMセンサの特性ばらつきも考慮して、ある程度のマージンを見込んで規定値Fcmを設定するのが好ましい。このようにマージンを大きくすることで、より確実で精度の高い補正が可能になる。但し、QCMセンサを交換するまでの間に測定が可能な期間、すなわち実質的な寿命が短くなるのを防止するため、測定の目的などに配慮して適切な値に規定値Fcmを設定するのが好ましい。
その第1の期間T1においては、同一の仕様の第1のQCMセンサ11aと第2のQCMセンサとを用いて同一の大気中の腐食性ガスを監視するので、本来なら第1のQCMセンサ11aと第2のQCMセンサ11bの測定結果から得られる腐食速度、すなわち周波数変化の速度は同一となるはずである。
しかし、既述のような個体差によって測定結果にばらつきが生じ、図6のように第1の期間T1におけるグラフの傾き(腐食速度)が第1のQCMセンサ11aと第2のQCMセンサ11bとで異なっている。
そこで、本実施形態では、以下のようにして第2のQCMセンサ11bの第2の変化量Δf2mを補正することにより、第2のグラフA2の傾きを第1のグラフA1の傾きに合せる。
図7は、本実施形態に係る環境測定方法について説明するためのフローチャートである。
最初のステップS1では、時刻tにおいて、演算部14が第1のQCMセンサ11aの第1の共振周波数f1mを取得し、当該時刻tにおける共振周波数f1mの第1の変化量Δf1mを算出する。第1の変化量Δf1mは、時刻0における第1のQCMセンサ11aの共振周波数である基本周波数F1と、当該時刻tにおける第1の共振周波数f1mとの差(F1−f1m)である。
次に、ステップS2に移り、第1の変化量Δf1mが第1の規定値Fsm以上であるか否かを演算部14が判断する。
ここで、第1の規定値Fsm以上ではない(NO)と判断された場合には、第1のQCMセンサ11aはまだ寿命に近づいていないと考えられるので、ステップS1に戻り、第1のQCMセンサ11aによる測定を継続する。
一方、ステップS2において第1の規定値Fsm以上である(YES)と判断された場合には、時刻tが既述の第1の期間T1内に入っており、第1のQCMセンサ11aの寿命が近いと考えられる。
そこで、この場合は、ステップS3に移り、ユーザが駆動部13に新品の第2のQCMセンサ11bを装着し、第2のQCMセンサ11bによる測定の準備をする。
次に、ステップS4に移り、演算部14が、第2のQCMセンサ11bの第2の共振周波数f2mの取得を開始する。その開始時刻は、第2のQCMセンサ11bの装着の手間などを考えると上記の第1の時刻tsよりも数秒から数分程度のわずかな時間だけ遅れるが、実質的には第1の時刻tsから第2の共振周波数f2mの取得が開始される。
そして、演算部14が、時刻tにおける第2の共振周波数f2mの第2の変化量Δf2mの算出を開始する。第2の変化量Δf2mは、第1の時刻tsにおける第2のQCMセンサ11bの共振周波数である基本周波数F2と、時刻tにおける第2の共振周波数f2mとの差(F2−f2m)である。
次に、ステップS5に移り、第1の変化量Δf1mが既述の第2の規定値Fcm以上であるか否かを演算部14が判断する。
ここで、第2の規定値Fcm以上ではない(NO)と判断された場合には、第1のQCMセンサ11aはその寿命に達しつつあるものの、まだ寿命は迎えていないと考えられるので、ステップS4に戻る。
一方、ステップS5において第2の規定値Fcm以上である(YES)と判断された場合には、第1のQCMセンサ11aは寿命に達したと考えられる。
よって、この場合は、ステップS6に移り、第1のQCMセンサ11aによる第1の共振周波数f1mの取得を終了する。その終了時刻は、第1の変化量Δf1mが第2の規定値Fcmに等しくなった第2の時刻tcである。
次に、ステップS7に移り、演算部14が、第2の時刻tcにおける第2の変化量Δf2mを算出する。以下では、このように算出した第2の変化量Δf2mを本実施形態ではFemと書く。Femは、第1の期間T1内における第2の変化量Δf2mの増分に相当し、第2の増分の一例である。
次いで、ステップS8に移り、演算部14が、第1の時刻ts以降の時刻における第2の変化量Δf2mを補正するための第1の補正係数C1を算出する。
図8は、第1の補正係数C1の算出方法を説明するための図である。図8では、図6に示したグラフA2を縦軸方向に平行移動することにより、第1の時刻tsにおけるグラフA1にグラフA2の始点を合せている。
このように単にグラフを縦軸方向に平行移動しただけでは、各グラフA1、A2の傾きの相違が原因でこれらのグラフA1、A2を繋ぐことはできない。
本ステップでは、このような傾きの相違を解消させるために、演算部14が第2の変化量Δf2mに乗じるべき第1の補正係数C1を以下のように求める。
まず、第1の期間T1内での第1の変化量Δf1mの第1の増分Fcm−Fsmを算出する。
次いで、第1の増分Fcm−Fsmと第2の増分Femとの第1の比(Fcm−Fsm)/Femを算出し、その第1の比を第1の補正係数C1とする。このように算出された第1の補正係数C1は、期間T1における図6の各グラフA1、A2の傾きの比に等しい。
次に、ステップS9に移り、演算部14が、第1の時刻ts以降の時刻における第2の変化量Δf2mに上記の第1の補正係数C1を乗じることにより、当該第2の変化量Δf2mを補正する。
上記のように第1の補正係数C1は各グラフA1、A2の傾きの比に等しいため、本ステップで第2の変化量Δf2mに第1の補正係数C1を乗じると、グラフA2を補正してその傾きをグラフA1の傾きに合せることができる。
但し、本ステップでは各グラフA1、A2の傾きが合せられたのみであって、これらのグラフの高さは合せられていない。
そこで、ステップS10に移り、ステップS9で算出した補正値(C1×Δf2m)に、更に第1の時刻tsにおける第1の変化量Δf1mである第1の規定値Fsmを加えることにより、第2の変化量Δf2mを再度補正する。
図9は、補正後の第2のグラフA2を示す図である。
図9に示すように、ステップS9における補正により、第1の期間T1におけるグラフA2の傾きがグラフA1の傾きに一致する。そして、ステップS10における補正により各グラフA1、A2の高さが合せられる。
以上により、本実施形態に係る環境測定方法の基本ステップが終了する。
上記した本実施形態によれば、図9に示したように、第1のQCMセンサ11aと第2のQCMセンサ11bを用いて長期間にわたって大気中の腐食性ガスを監視することができる。
しかも、第2のQCMセンサ11bの第2の変化量Δf2mを補正することにより、第1のQCMセンサ11aと第2のQCMセンサ11bの個体差が原因で測定結果が不正確になるのを防止して、長期間にわたって腐食性ガスを高精度に監視できる。
(第2実施形態)
第1実施形態では、寿命を迎えつつあるQCMセンサをユーザが自ら新品に交換した。本実施形態では、QCMセンサの交換を以下のように自動で行う。
図10は、本実施形態で使用するセンサユニットの斜視図である。
このセンサユニット25は、筐体26とフィルム状のシャッタ28とを有する。
このうち、筐体26には開口26aが設けられており、その開口26a内に第1のQCMセンサ11aと第2のQCMセンサ11bとが収容される。筐体26の材料は特に限定されないが、本実施形態では樹脂又は金属をその材料として使用する。
そして、シャッタ28は、モータ27によってその長手方向に移動可能であると共に、上記の開口26aに重なる窓28aを有する。
図11は、シャッタ28の展開図である。
シャッタ28は、樹脂フィルム等の可撓性フィルムを加工して形成され、上記の窓28aは平面視で矩形状である。また、シャッタ28において窓28aが形成されていない部分は、上記の開口26aを塞ぐ遮蔽部28bとして供される。
図12は、図10のI−I線に沿う断面図である。
図12に示すように、シャッタ28は筐体26の内部において二つのローラ30によって巻回されると共に、補助ローラ31によってシャッタ28の張力が調節される。
また、筐体26の内側には仕切り板32が設けられる。その仕切り板32は、樹脂板又は金属板であって、筐体26の内側の空間を第1の部屋35と第2の部屋36とに分ける。
図13は、このセンサユニット25を備えた環境測定装置40の構成図である。なお、図13において、第1実施形態で説明したのと同じ要素には第1実施形態におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
図13に示すように、センサユニット25内の第1のQCMセンサ11aと第2のQCMセンサ11bは駆動部13に接続される。
また、演算部14の後段には、センサユニット25のモータ27の回転量を制御するための制御部15が設けられる。本実施形態ではパーソナルコンピュータ等の計算機を制御部15として用いる。
次に、センサユニット25の動作について説明する。
図14(a)〜(c)は、センサユニット25の動作について説明するための平面図である。
図14(a)は、時刻tが第1の時刻tsよりも前の状態を示す図である。この時刻においては、第1実施形態で説明したように、第1のQCMセンサ11aはまだその寿命に近づいておらず、第1のQCMセンサ11aのみで腐食性ガスによる腐食量の測定を行う。
よって、この時刻においては、第1の部屋35にシャッタ28の窓28aを連通させることにより、腐食性ガスを含む大気に第1のQCMセンサ11aを暴露させる。また、新品の第2のQCMセンサ11bの各電極6、7が腐食するのを防止するために、シャッタ28の遮蔽部28bで第2の部屋36を塞ぐ。
図14(b)は、時刻tが第1の時刻tsと第2の時刻tcとの間における状態を示す図である。
この時刻は第1実施形態で説明した第1の期間T1内にあるため、第1のQCMセンサ11aと第2のQCMセンサ11bの両方を利用して補正が行われる。よって、この時刻においては、第1の部屋35と第2の部屋36の各々に窓28aを連通させることにより、腐食性ガスを含む大気に第1のQCMセンサ11aと第2のQCMセンサ11bの両方を暴露させる。
図14(c)は、時刻tが第2の時刻tcよりも後の状態を示す図である。この時刻においては、第1実施形態で説明したように、新品の第2のQCMセンサ11bで腐食性ガスによる腐食量の測定を行う。
そのため、この場合は、第2の部屋35に窓28aを連通させることにより、腐食性ガスを含む大気に第2のQCMセンサ11bを暴露させる。なお、第1のQCMセンサ11aによる測定は終了しているので、第1のQCMセンサ11aを収容した第1の部屋35は遮蔽部28bで塞がれる。
以上説明した本実施形態によれば、図14(a)〜(c)に示したように、時刻tに応じて第1のQCMセンサ11aと第2のQCMセンサ11bのどちらを大気に暴露するするのかを制御部15が自動的に選択するので、ユーザの負担を減らすことができる。
更に、センサユニット25に予め新品の第2のQCMセンサ11bを収納しておくので、駆動部13に第2のQCMセンサ11bを装着する手間も省ける。
しかも、第1のQCMセンサ11aの寿命が近くなるまでは、第2のQCMセンサ11bは第2の部屋36の中に収納されており外部の腐食性ガスに曝されないので、新品の第2のQCMセンサ11bの各電極6、7が腐食されるのを防止することもできる。
なお、図14(c)の状態では、第1のQCMセンサ11aでの測定は終了しているので、図14(c)の状態に代えて図14(b)状態にしても測定には影響がない。但し、第1のQCMセンサ11aを収容した第1の部屋35内やコネクタ19部の汚染などを抑制する観点においては、図14(c)のように遮蔽部28bで第1のQCMセンサ11aを遮蔽することが望ましい。
(第3実施形態)
第2実施形態では、図11に示すように、長尺状のシャッタ28を使用した。これに対し、本実施形態では、以下のように円形のシャッタを使用する。
図15は、本実施形態で使用するセンサユニットの平面図である。
このセンサユニット42は、平面視で円筒状の筐体43と、円形のシャッタ59と、そのシャッタ59に被せられたキャップ60とを有する。
このうち、シャッタ59は、後述のように互いに独立して回転可能な二枚の回転板を重ねてなり、その周縁が筐体43に重なる。
一方、筐体43は、樹脂又は金属を整形してなり、その内側に第1〜第4の部屋44〜47を有する。そして、これら第1〜第4の部屋44〜47には、それぞれ第1〜第4のQCMセンサ11a〜11dが収納される。なお、これらのQCMセンサ11a〜11dの構造は図1に示したのと同様なので、その説明は省略する。
また、キャップ60は、円形のリングの内側に十字型の桟を設けてなる。
図16(a)は、上記のシャッタ59として用いられる第1の回転板51の平面図であり、図16(b)は、第1の回転板51と共に用いられる第2の回転板52の平面図である。
図16(a)に示すように、第1の回転板51は平面視で円形であって、第1の軸51aを中心にして回転可能であると共に、第1の開口53と第2の開口54とを有する。これらの開口の形状は特に限定されないが、本実施形態では第1の軸51aから第1の回転板51の周縁に向かって延びる扇形に第1の開口53と第2の開口54とを形成する。
また、図16(b)に示すように、第2の回転板52も第1の回転板51と同様の円形である。
第2の回転板52は、第2の回転軸52aを中心に回転可能であって、上記した第1及び第2の開口53、54と同一形状の第3及び第4の開口55、56を備える。
なお、第1の回転板51と第2の回転板52は、いずれも金属板又は樹脂板である。
図17(a)は、図15のII−II線に沿う断面図である。
図17(a)に示すように、上記の第1の回転板51と第2の回転板52は、筐体43の開口端43aの上に順に重ねられる。
そして、上記のキャップ60は、その内側側面が筐体43の外周側面に固定されていると共に、第2の回転板52の上面に摺接することにより、第1及び第2の回転板51、52に生じるガタを抑制する。
また、各部屋44〜47の中には、シリカゲル等の乾燥剤66が設けられる。第1〜第4のQCMセンサ11a〜11dの各電極6、7は腐食性ガスで腐食するが、その腐食が進行する速度は大気中の水分量が多いほど速くなる。そのため、乾燥剤66により各部屋44〜47を低湿度の状態に保つことで、腐食性ガスを監視する前に第1〜第4のQCMセンサ11a〜11dの各電極6、7の腐食が進んでこれらのセンサの寿命が短くなるのを防止できる。
更に、乾燥剤66は、水分だけでなく腐食性ガスなども吸着する性質を持つので、第1〜第4のQCMセンサ11a〜11dを保管している各部屋44〜47の雰囲気が乾燥剤66によって清浄される効果も期待できる。
乾燥剤66を収容する部位は上記に限定されない。図17(b)は、第2の回転板52に乾燥剤66を収容した場合の拡大断面図である。
なお、図17(b)において、図17(a)で説明したのと同じ要素には図17(a)におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
図17(b)の例では、第2の回転板52aの下面52xに凹部52yを設け、その凹部52y内に乾燥剤66を収容する。なお、その凹部52yの開口端には通気性を有するメッシュ状の蓋58が設けられ、重力で乾燥剤66が下に脱落するのを蓋58で防ぐ。
これによれば、各部屋44〜47が第2の回転板52で塞がれているときにはこれらの部屋の湿度を乾燥剤66で低減できる。
また、第2の回転板52を回転させて第3の開口55や第4の開口56を通じて各部屋44〜47を大気に解放するときは、第1の回転板51と第2の回転板52との間に乾燥剤66が閉じ込められる。よって、各部屋44〜47に収容された各QCMセンサ111a〜11dを大気に曝してこれらのQCMセンサで測定を開始するとき、乾燥剤66が原因で各QCMセンサ111a〜11dの周囲の相対湿度が低下するのを防止できる。
一方、第1の回転軸51aと第2の回転軸52aは同軸をなしており、第1の回転軸51aは第1のモータ61と機械的に接続され、第2の回転軸52aは第2のモータ62と機械的に接続される。
図18は、筐体43の上記の開口端43aの拡大断面図である。
図18に示すように、キャップ60の縁部には、上記の第1〜第4の部屋44〜47の気密性を高めるための第1〜第3の摺滑体65〜67が設けられる。
このうち、第1の摺滑体65は、筐体43の開口端43aに固定された弾性体65aと、弾性体65aの上に固定されたシール材65bとを有する。弾性体65aは、例えばスポンジやゴムであって、自身が弾性変形することにより第1の摺滑体65と第1の回転板51との密着力を高める。
なお、その弾性体65aにシリカゲル等の乾燥剤を含浸させてもよい。これにより、乾燥剤66(図17(a)、(b)参照)と同じ機能を弾性体65aが有するようになり、各部屋44〜47を低湿度に維持して第1〜第4のQCMセンサ11a〜11dの各電極6、7が不必要に腐食してしまうのを防止できる。
また、シール65bは、第1の回転板51に密着して上記の第1〜第4の部屋44〜47の気密性を高めると共に、第1の摺滑体65と第1の回転板51との間の摩擦力を低減して第1の回転板51の回転運動をスムーズにする。
シール65bの材料は特に限定されないが、本実施形態では滑性の良好なシリコーン系樹脂やフッ素系樹脂等をシール65bの材料として使用する。
そして、第2の摺滑体66は、第1の回転板51の上面に固着されると共に、第2の回転板52の周縁に密着して、第1の回転板51と第2の回転板52との摩擦力を低減する。同様に、第3の摺滑体67は第2の回転板52の上面に固着され、第2の回転板52とキャップ60との摩擦力を低減する。
これら第2及び第3の摺滑体66、67の材料としては、例えばシリコーン系樹脂やフッ素系樹脂等を使用し得る。
図19は、このセンサユニット42を備えた環境測定装置70の構成図である。なお、図19において、第2実施形態の図13で説明したのと同じ要素には図13におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
図19に示すように、演算部13には、第1〜第4のQCMセンサ11a〜11dの各々に対応した第1〜第4の発振回路16a〜16dと、第1〜第4の周波数カウンタ18a〜18dが設けられる。
このうち、第3及び第4の発振回路16c、16cは、それぞれ第3のQCMセンサ11cと第4のQCMセンサ11dを基本波モードで共振させるための回路であり、図4に示したのと同じ回路構成を有する。
また、第3の周波数カウンタ18cは、第3の発振回路16cに接続されており、第3のQCMセンサ11cの第3の共振周波数f3mを測定する。同様に、第4の周波数カウンタ18dは、第4の発振回路16dに接続されており、第4のQCMセンサ11dの第4の共振周波数f4mを測定する。
更に、演算部14の後段には、第1のモータ61と第2のモータ62(図17(a)参照)の回転量を制御するための制御部15が設けられる。
次に、センサユニット42の動作について説明する。
図20〜図22は、センサユニット42の動作について説明するための平面図である。
このうち、図20(a)〜(c)は時刻tが第1の時刻tsよりも前の状態を示す図であって、図20(a)はセンサユニット42の平面図、図20(b)は第1の回転板51の平面図、図20(c)は第2の回転板52の平面図である。
この時刻においては、第1実施形態で説明したように、第1のQCMセンサ11aはまだその寿命に近づいておらず、第1のQCMセンサ11aのみで腐食性ガスによる腐食量の測定を行う。
よって、この時刻においては、第1の回転板51と第2の回転板52の各々の回転量を調節することにより、第1の部屋44の上で第1の開口53と第4の開口56を重ねてこれらの開口で窓Wを形成し、その窓Wから第1のQCMセンサ11aを暴露させる。
また、新品の第2〜第4のQCMセンサ11b〜11dの各電極6、7が腐食するのを防止するために、第1の回転板51と第2の回転板52の少なくとも一方によって第2〜第4の部屋45〜47を塞ぐ。
図21は、時刻tが第1の時刻tsと第2の時刻tcとの間における状態を示す図であって、図21(a)はセンサユニット42の平面図、図21(b)は第1の回転板51の平面図、図21(c)は第2の回転板52の平面図である。
この時刻は第1実施形態で説明した第1の期間T1内にあるため、第1のQCMセンサ11aと第2のQCMセンサ11bの両方を利用して補正が行われる。
よって、この時刻においては、第1の部屋44の上で第1の開口53と第3の開口55とを重ね、かつ第2の部屋45の上で第2の開口54と第4の開口56とを重ねる。これにより、第1〜第4の開口53〜56の各々で窓Wが形成され、その窓Wから第1のQCMセンサ11aと第2のQCMセンサ11bとを暴露させる。
なお、第3の部屋46と第4の部屋47は、これらの部屋に収納されている第3のQCMセンサ11cと第4のQCMセンサ11dの各電極6、7が腐食するのを防止するために、第1の回転板51と第2の回転板52によって塞がれる。
図22は、時刻tが第2の時刻tcよりも後の状態を示す図であって、図22(a)はセンサユニット42の平面図、図22(b)は第1の回転板51の平面図、図22(c)は第2の回転板52の平面図である。
この時刻においては、第1実施形態で説明したように、新品の第2のQCMセンサ11bで腐食量の測定を行う。
そのため、この場合は、第2の部屋45の上で第1の開口53と第4の開口56とを重ねることにより窓Wを形成し、その窓Wから第2のQCMセンサ11bを暴露させる。
また、新品の第3のQCMセンサ11cと第4のQCMセンサ11dの各電極6、7が腐食するのを防止するために、第3の部屋46と第4の部屋47を第1の回転板51と第2の回転板52の少なくとも一方によって塞ぐ。
更に、寿命となった第1のQCMセンサ11dを大気に暴露する必要もないので、第1の回転板51と第2の回転板52の少なくとも一方によって第1の部屋44を塞ぐ。
その後、第2のQCMセンサ11bの寿命が近づいたら第3のQCMセンサ11cで測定を引き継ぎ、更にその第3のQCMセンサ11cの寿命が近づいたら第4のQCMセンサ11dに測定を引き継ぐ。これらの引継ぎ時の補正方法は第1実施形態と同じであり、また各回転板51、52の動きも図20〜図22と同様なので、これらの説明については省略する。
以上説明した本実施形態によれば、第2実施形態と同様に、第1〜第4のQCMセンサ11a〜11dのうち大気に暴露するQCMセンサを自動的に選択することでユーザの負担を軽減できる。
更に、一つのセンサユニット42内に収納できるQCMセンサの個数が第2実施形態よりも多い4個なので、第1〜第4のQCMセンサ11a〜11dを順に使用することでより長期にわたって大気中の腐食性ガスを監視することができる。
(第4実施形態)
第1実施形態では、図7に示したように、ステップS2で第1のQCMセンサ11aの寿命が近いか否かを判断するときに、その判断基準として第1の規定値Fsmを利用した。
第1の規定値Fsmは、第1のQCMセンサ11aの第1の共振周波数f1mの第1の変化量Δf1mに予め定めておいた規定値であるが、これに代えて以下のようにして第1のQCMセンサ11aの寿命を判断してもよい。
図23は、本実施形態に係る第1のQCMセンサ11aの平面図である。なお、図23において第1実施形態で説明したのと同じ要素には第1実施形態におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
図23に示すように、本実施形態では、水晶振動子5の主面に第1の電極6から独立した配線9を設け、その配線9の抵抗値Rを演算部14(図3参照)が測定する。なお、第1の電極6とは反対側の水晶振動子5の主面に配線9を設けてもよい。
第1のQCMセンサ11aを腐食ガスの雰囲気中におくと、第1の電極6だけでなく配線9も腐食してその抵抗値Rが上昇する。そのため、配線9の抵抗値Rを監視することにより、第1の電極6がどの程度腐食しているかの目安をつけることができ、第1のQCMセンサ11aの寿命が近いかどうかを予測できる。
配線9の材料は特に限定されない。但し、第1の電極6の材料として使用される銀や銅等のように、腐食を測定したい金属と同一の材料で配線9を形成するのが好ましい。このように第1の電極6と同じ材料を使用すれば、腐食の速度が配線9と第1の電極6とで同程度となるため、配線9の抵抗値Rに基づいて第1のQCMセンサ11の寿命を正確に予測することができる。
本実施形態におけるステップS2(図7参照)の処理方法も特に限定されない。例えば、配線9の抵抗値Rに閾値R1を定めておき、ステップS2で抵抗値Rが閾値R1以上であるか否かを演算部14に判断させてもよい。
ここで、抵抗値Rが閾値R1以上である(YES)と判断された場合には第1のQCMセンサ11の寿命が近いため、第1実施形態に従ってステップS3に進む。また、抵抗値Rが閾値R1以上ではない(NO)と判断された場合には第1のQCMセンサ11の寿命がまだ近くないため、第1実施形態と同様にステップS1に戻ればよい。
以上説明した本実施形態によれば、第1のQCMセンサ11に形成した配線9の抵抗値Rを測定することにより、第1のQCMセンサ11の寿命を簡単に予測することができる。
(第5実施形態)
本実施形態では、以下のように補正専用のQCMセンサを用いることにより、各QCMセンサを補正する。
図24は、本実施形態に係る環境測定装置の構成図である。なお、図24において、図3で説明したのと同じ要素には図3におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
図24に示すように、この環境測定装置70においては、第1実施形態と同様に駆動部13に第1のQCMセンサ11aと第2のQCMセンサ11bが装着される。
これらのうち、第1のQCMセンサ11aは、補正専用のセンサであって、センサユニット71に収められる。センサユニット71は、後述のように補正を行うときのみ第1のQCMセンサ11aを大気に暴露し、補正を行わないときは大気から第1のQCMセンサ11aを隔離する。
一方、第2のQCMセンサ11bは、大気中の腐食性ガスによる腐食量の量を監視するのに使用され、寿命が近づいたら新品のQCMセンサに交換される。
図25は、センサユニット71の斜視図である。なお、図25において、図10〜図12で説明したのと同じ要素にはこれらにおけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
このセンサユニット71は、モータ27が回転することでシャッタ28がその長手方向に移動する。そして、シャッタ28の移動量を制御することにより、シャッタ28の窓28aから第1のQCMセンサ11を露出させたり、シャッタ28の遮蔽部28bで筐体26の開口26aを塞いだりすることができる。
図26は、図25のIII−III線に沿う断面図である。
本実施形態では、センサユニット71内に第1のQCMセンサ11aを一つのみ収容するので、図12のような仕切り板32は不要であり、筐体26内には単一の部屋のみが画定される。
図27は、第2のQCMセンサ11bと駆動部13との拡大図である。
図27に示すように、駆動部13には、第2のQCMセンサ11bの二つの導線8が脱着可能な二つのコネクタ19が設けられる。
本実施形態では、第2のQCMセンサ11bがその寿命を迎えたら、ユーザがコネクタ19から第2のQCMセンサ11bを外し、新品の第3のQCMセンサ11cをコネクタ19に装着する。
第1〜第3のQCMセンサ11a〜11cの仕様は特に限定されない。但し、新旧のQCMセンサを交換する前後における腐食性ガスによる腐食量の変動を正確に把握するために、本実施形態では第1〜第3のQCMセンサ11a〜11cの仕様を同一とする。なお、既述のように、QCMセンサの仕様には、水晶振動子5のサイズやカット面、第1の電極6と第2の電極7の各々のサイズと材料等がある。
次に、本実施形態に係る環境測定方法について説明する。
図28は、第1〜第3のQCMセンサ11a〜11cの測定結果の一例を示す図であって、図中の第1〜第3のグラフA1〜A3はそれぞれ第1〜第3のQCMセンサ11a〜11cの測定結果に対応する。
また、各グラフの横軸は、第2のQCMセンサ11bで測定を開始してからの経過時間である。そして、各グラフの縦軸は、第1〜第3のQCMセンサ11a〜11cの各々の共振周波数の変化量である第1〜第3の変化量Δf1m〜Δf3mである。
なお、第3の変化量Δfm3は、第3のQCMセンサ11cの第3の共振周波数f3mを用いてΔf3m=F3−f3mで定義される。ここで、F3は第3のQCMセンサ11cの基本周波数である。
図28に示すように、本実施形態では、第1のQCMセンサ11aと第2のQCMセンサ11bの両方で測定を行う第1の期間T1の他に、第1のQCMセンサ11aと第3のQCMセンサ11cの両方で測定を行う第2の期間T2を設ける。
第1の期間T1の始期である第1の時刻tsは、第2のQCMセンサ11bの共振周波数の第2の変化量Δf2mが予め定められた第1の規定値Fsmとなった時刻である。そして、第1の期間T1の終期である第2の時刻tcは、第2の変化量Δf2mが予め定められた第2の規定値Fcmとなった時刻である。
また、第2の期間T2の始期である第3の時刻tdは、第3のQCMセンサ11cの第3の共振周波数f3mの取得を開始する時刻である。更に、第2の期間T2の始期である第4の時刻teは、第1のQCMセンサ11aの第1の共振周波数f1mの取得を終了する時刻である。
ここで、上記のように第1及び第2のQCMセンサ11a、11bはそれらの仕様は同一なので、第1の期間T1においては第1のグラフA1と第2のグラフA2の傾きが同一となるはずである。しかし、第1のQCMセンサ11aと第2のQCMセンサ11bの個体差が原因で、実際には図28のように第1の期間T1において各グラフA1、A2の傾きは相違する。
これと同様の理由により、第2の期間T2においては第1のグラフA1と第3のグラフA3の各々の傾きが相違する。
このような個体差が原因で大気中の腐食性ガスによる腐食量の測定結果が不正確になるのを防止するために、本実施形態では以下のようにして第2のQCMセンサ11bと第3のQCMセンサ11cの測定値を補正する。
図29は、本実施形態に係る環境測定方法について説明するためのフローチャートである。
最初のステップS20では、時刻tにおいて、演算部14が第2のQCMセンサ11bの第2の共振周波数f2mを取得し、当該時刻tにおける共振周波数f2mの第2の変化量Δf2mを算出する。第2の変化量Δf2mは、時刻0における第2のQCMセンサ11bの共振周波数である基本周波数F2と、当該時刻tにおける第2の共振周波数f2mとの差(F2−f2m)である。
次に、ステップS21に移り、第2の変化量Δf2mが第1の規定値Fsm以上であるか否かを演算部14が判断する。
ここで、第1の規定値Fsm以上ではない(NO)と判断された場合には、第2のQCMセンサ11bはまだ寿命に近づいていないと考えられるので、ステップS20に戻り、第2のQCMセンサ11bによる測定を継続する。
一方、ステップS21において第1の規定値Fsm以上である(YES)と判断された場合には、時刻tが既述の第1の期間T1内に入っており、第2のQCMセンサ11bの寿命が近いと考えられる。
そこで、この場合は、ステップS22に移り、制御部15の制御下でモータ27(図25参照)を駆動することにより、シャッタ28を移動させてその窓28aから第1のQCMセンサ11aを露出させ、第1のQCMセンサ11aによる補正の準備をする。
次に、ステップS23に移り、演算部14が、第1のQCMセンサ11aの第1の共振周波数f1mの取得を開始する。その開始時刻は、シャッタ28(図25参照)の移動に要する時間を考えると上記の第1の時刻tsよりも若干程度遅れるが、実質的には第1の時刻tsから第1の共振周波数f1mの取得が開始される。
そして、演算部14が、時刻tにおける第1の共振周波数f1mの第1の変化量Δf1mの算出を開始する。第1の変化量Δf1mは、第1の時刻tsにおける第1のQCMセンサ11aの共振周波数である基本周波数F1と、時刻tにおける第1の共振周波数f1mとの差(F1−f1m)である。
次に、ステップS24に移り、第1の変化量Δf1mが既述の第2の規定値Fcm以上であるか否かを演算部14が判断する。
ここで、第2の規定値Fcm以上ではない(NO)と判断された場合には、第2のQCMセンサ11bはその寿命に達しつつあるものの、まだ寿命は迎えていないと考えられるので、ステップS23に戻る。
一方、ステップS24において第2の規定値Fcm以上である(YES)と判断された場合には、第2のQCMセンサ11bは寿命に達したと考えられる。
よって、この場合は、ステップS25に移り、第2の変化量Δf2mが第2の規定値Fcmに等しくなった第2の時刻tcにおいて第2のQCMセンサ11bによる測定を終了する。
次に、ステップS26に移り、演算部14が、第2の時刻tc以前の時刻における第2の変化量Δf2mを事後的に補正するための第1の補正係数C1を算出する。
図30は、第1の補正係数C1の算出方法について説明するための図である。図30では、図28に示した第1のグラフA1を上方に平行移動することにより、第1の時刻tsにおける第2のグラフA2に第1のグラフA1の始点を合せている。
また、第3のグラフA3についても、上方に平行移動することによりその始点を第3の時刻tdにおける第1のグラフA1に合せている。
このように単にグラフを平行移動しただけでは、第1〜第3のグラフA1〜A3の傾きの相違が原因で各グラフを繋ぐことはできない。
本ステップでは、これらのグラフのうち第1のグラフA1と第2のグラフA2の各々の傾きの相違を解消させるために第2の変化量Δf2mに乗じるべき第1の補正係数C1を演算部14が以下のように求める。
まず、第1の期間T1内での第1の変化量Δf1mの第1の増分Fc−Fsと、第1の期間T1内での第2の変化量Δf2mの第2の増分Fcm−Fsmとを算出する。なお、Fsは第1の時刻tsでの第1の変化量Δf1mの値であり、Fcは第2の時刻tcでの第1の変化量Δf1mの値である。
そして、演算部14が、これら第1の増分Fc−Fsと第2の増分Fcm−Fsmとの第1の比(Fc−Fs)/(Fcm−Fsm)を算出し、その第1の比を第1の補正係数C1とする。このように算出された第1の補正係数C1は、第1の期間T1における図28の第2のグラフA2と第1のグラフA1の各々の傾きの比に等しい。
次に、ステップS27に移り、演算部14が、第1の時刻ts以前の時刻における第2の変化量Δf2mに上記の第1の補正係数C1を乗じることにより、既に算出済みの当該第2の変化量Δf2mを事後的に補正する。
上記のように第1の補正係数C1は各グラフA1、A2の傾きの比に等しいため、本ステップで第2の変化量Δf2mに第1の補正係数C1を乗じると、グラフA2を補正してその傾きをグラフA1の傾きに合せることができる。
また、第1の期間T1においては、第2のQCMセンサ11bの腐食が相当程度進んで第2のグラフA2の傾きが安定しているため、上記の第2の増分Fcm−Fsmには誤差が生じ難く、本ステップで精度よく第2の変化量Δf2mを補正することができる。
次いで、ステップS28に移り、ユーザがコネクタ19(図27参照)から第2のQCMセンサ11bを外し、新品の第3のQCMセンサ11cをコネクタ19に装着する。
次に、ステップS29に移り、演算部14が、第3の時刻tdにおいて第3のQCMセンサ11cの第3の共振周波数f3mの取得を開始すると共に、時刻tにおける第3の共振周波数f3mの第3の変化量Δf3mを算出する。
既述のように、時刻tでの第3の変化量Δf3mは、第3のQCMセンサ11cの基本周波数F3と時刻tでの第3の共振周波数f3mとを用いてΔf3m=F3−f3mで定義される。
次いで、ステップS30に移り、演算部14が、上記の第3の変化量Δf3mが予め定めておいた第3の規定値Fem以上であるか否かを判断する。
第3の規定値Femは、第3のQCMセンサ11cの補正をするのに十分な大きさの第3の変化量Δf3mが得られたか否かを判断する目安であり、ユーザが予め設定しておく。また、第3の規定値Femは、図30に示されるように、第2の期間T2における第3のグラフA3の増加量、すなわち第3の変化量Δf3mの第3の増分としての意義も有する。
ここで、第3の規定値Fem以上ではない(NO)と判断された場合には第3の変化量Δf3mの大きさがまだ十分ではないため、再びステップS29に戻る。
一方、ステップS30において第3の規定値Fem以上である(YES)と判断された場合にはステップS31に移る。ステップS31においては、制御部15の制御下でモータ27(図25参照)を駆動することによりシャッタ28を移動させ、シャッタ28の遮蔽部28bで第1のQCMセンサ11aを遮蔽する。
これにより、ステップS23において開始した第1のQCMセンサ11aの第1の共振周波数f1mの取得が終了する。
また、このようにシャッタ28で開口26aを塞ぐことで、第1のQCMセンサ11aの各電極6、7を外気から隔離することができる。その結果、外気に含まれる腐食性ガスが原因の各電極6、7の腐食の進行が停止し、第1のQCMセンサ11aの寿命を延ばすことができる。
次に、ステップS32に移る。ステップS32では、図30に示すように、演算部14が、第2の期間T2における第1の変化量Δf1mの第1の増分Fe−Fdと、第2の期間T2における第3の変化量Δf3mの第3の増分Femとを算出する。
更に、演算部14が、これら第1の増分Fe−Fdと第3の増分Femとの第2の比(Fe−Fd)/Femを算出し、その第2の比を第2の補正係数C2とする。このように算出された第2の補正係数C2は、第2の期間T2における図28の第1のグラフA1と第3のグラフA3の各々の傾きの比に等しい。
次に、ステップS33に移り、演算部14が、第3の時刻td以降の時刻における第3の変化量Δf3mに上記の第2の補正係数C2を乗じることにより、当該第3の変化量Δf3mを補正する。
上記のように第2の補正係数C2は各グラフA1、A3の傾きの比に等しいため、本ステップで第3の変化量Δf3mに第2の補正係数C2を乗じると、グラフA3を補正してその傾きをグラフA1の傾きに合せることができる。
更に、第3のグラフA3の高さを補正後の第1のグラフA1に合せるために、第3の変化量Δf3mを演算部14が次の式(2)のように更に補正する。
Δf3m←C2×Δf3m+C1×Fcm+(Fd−Fc) ・・・(2)
式(2)の右辺第2項は、ステップS27で補正済の第2のグラフA2の第2の時刻tcでの値である。また、右辺第3項は、第2の時刻tcと第3の時刻tdとの間における第1のグラフA1の増分である。これら2項を上記の補正値(C2×Δf3m)に加えることで、第1のグラフA1の増分を考慮しつつ、第3のグラフA3の高さを補正後の第1のグラフA1に合せることができる。
次に、ステップS34に移り、上記のステップS27とステップS33で算出した補正値を利用して、演算部14が全ての時刻tにおける測定値を以下のように生成する。
まず、時刻tが第2の時刻tcよりも前の場合には、当該時刻tの測定値として、ステップS27で算出した値(C1×Δf2m)を利用する。
また、時刻tが第2の時刻tcと第3の時刻tdとの間の場合には、Δf1m+C1×Fcmを測定値として利用する。
そして、時刻tが第3の時刻tdよりも後の場合には、式(2)の補正値(C2×Δf3m+C1×Fcm+(Fd−Fc))を測定値として利用する。
図31は、本ステップで生成された測定値により得られたグラフである。なお、このグラフの横軸と縦軸の意味は図28で説明したのと同じなので、ここではその説明を省略する。
また、図31においては、補正前の第1〜第3のグラフA1〜A3に相当する部分にそれぞれ符号A1〜A3を付している。そして、第1〜第4の時刻ts〜teに対応するグラフの値をそれぞれF01〜F04で示している。
図31に示すように、上記のように補正をすることで全ての時刻tにわたって連続的に測定値を取得することができる。
図32は、第1〜第4の時刻ts〜teにおける図31のグラフの拡大図である。
図32に示すように、上記の補正で第1〜第4の時刻ts〜teにおけるグラフが滑らかに接続される。
以上により、本実施形態に係る環境測定方法の基本ステップを終了する。
上記した本実施形態によれば、第1のQCMセンサ11aを補正専用のセンサとして用いる。これにより、第2のQCMセンサ11bの第2の変化量Δf2mと第3のQCMセンサ11cの第3の変化量Δf3mの各々を補正して、図31に示したように全時刻tにわたって連続的な測定値を得ることができる。
また、第1のQCMセンサ11bを補正の目的のみに使用し、補正を行わないときには第1のQCMセンサ11bを大気から隔離することにより、第1のQCMセンサ11bの寿命を延ばすこともできる。
更に、補正のみに使用する第1のQCMセンサ11bは、補正のたびに大気に曝されてその電極6、7の腐食がある程度進行しているので、エージング処理を行ったときと同様にその特性が安定している。よって、本実施形態のように第1のQCMセンサ11bを基準にして第2の変化量Δf2mや第3の変化量Δf3mを補正することで、その補正の精度が高められる。
(第6実施形態)
第5実施形態では、図29のステップS28において、寿命を迎えた第2のQCMセンサ11bをユーザが自ら新品の第3のQCMセンサ11cに交換した。本実施形態では、この交換を以下のように自動的に行う。
図33は、本実施形態で使用するセンサユニット80の平面図である。なお、図33において、図15で説明したのと同じ要素には図15におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
このセンサユニット80は、平面視で円筒状の筐体43と、円形で樹脂製又は金属製のシャッタ59と、そのシャッタ59に被せられたキャップ60とを有する。
これらのうち、筐体43の内部には第1〜第4の部屋44〜47が設けられる。
各部屋の位置は特に限定されないが、本実施形態では第1の部屋44の両隣のうちの一方に第2の部屋45を設け、当該両隣の他方に第3の部屋46を設ける。また、第4の部屋47は、第1の部屋45と第3の部屋46の両方に隣り合うように設けられる。
そして、第1〜第3の部屋44〜46にはそれぞれ第1〜第3のQCMセンサ11a〜11cが収納される。なお、本実施形態では第4の部屋47にはQCMセンサを収容しない。
一方、シャッタ59は、第3実施形態では図15のように二枚の回転板51、52を備えていたが、本実施形態のシャッタ59は一枚の回転板のみから形成される。
図34は、そのシャッタ59の平面図である。
図34に示すように、シャッタ59は平面視で円形であって、軸59aを中心にして回転可能である。更に、シャッタ59には第1の窓81と第2の窓82とが形成されており、これらの窓が形成されていない部分のシャッタ59は上記の第1〜第4の部屋44〜47を塞ぐ遮蔽部59bとして供される。
第1の窓81と第2の窓82の各々は、上記した第1〜第4の部屋44〜47のうちで隣接する二つの部屋に対応するように形成される。これにより、第1〜第4の部屋44〜47のなかから選択した隣接する二つの部屋が第1の窓81と第2の窓82に連通し、選択されなかった残りの部屋が遮蔽部59bで塞がれることになる。
図35は、図33のIV−IV線に沿う断面図である。
キャップ60は、その内側側面が筐体43の外周側面と機械的に固定されていると共に、シャッタ59の上面に摺接することにより、当該シャッタ59に生じるガタを抑制する。
一方、軸59aはモータ86と機械的に接続されており、モータ86が回転することによってシャッタ59を回転させることができる。
なお、各部屋44〜46の中に第3実施形態で説明した乾燥剤66(図17(a)、(b)参照)を入れ、水分が原因で第1〜第3のQCMセンサ11a〜11cの各電極6、7の腐食が助長されるのを防止してもよい。
図36は、このセンサユニット80を備えた環境測定装置90の構成図である。なお、図36において、図19や図24で説明したのと同じ要素にはこれらの図におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
図36に示すように、センサユニット80内の第1〜第3のQCMセンサ11a〜11cは、駆動部13と演算部14を介して制御部15と接続される。本実施形態では、その制御部15がモータ86の回転量を制御することにより、シャッタ59の回転量を調節する。
次に、センサユニット80の動作について説明する。
図37(a)〜(d)は、センサユニット80の動作について説明するための平面図である。
このうち、図37(a)は、時刻tが第1の時刻tsよりも前の状態を示す図である。この時刻においては、第5実施形態で説明したように、第2のQCMセンサ11bはまだその寿命に近づいておらず、第2のQCMセンサ11bのみで腐食性ガスによる腐食量の測定を行う。
よって、この時刻においては、シャッタ59の回転量を調節することにより、第2の窓82を第2の部屋45に連通させ、その第2の窓82から第2のQCMセンサ11bを暴露させる。
また、補正用の第1のQCMセンサ11aと新品の第3のQCMセンサ11cの各電極6、7が腐食するのを防止するために、第1の部屋44と第3の部屋46を遮蔽部59bで塞ぐ。
図37(b)は、時刻tが第1の時刻tsと第2の時刻tcとの間における状態を示す図である。
この時刻は第5実施形態で説明した第1の期間T1内にあるため、第1のQCMセンサ11aと第2のQCMセンサ11bの両方を利用して補正が行われる。
よって、この時刻においては、第1の部屋44に第2の開口82を連通させると共に、第2の部屋45に第1の開口81を連通させることにより、第1のQCMセンサ11aと第2のQCMセンサ11bの各々を各窓81、82から暴露させる。
なお、第3の部屋46は、その中に収納されている第3のQCMセンサ11cの各電極6、7が腐食するのを防止するために、遮蔽部59bによって塞がれる。
図37(c)は、時刻tが第3の時刻tdと第4の時刻teとの間における状態を示す図である。
この時刻は第5実施形態で説明した第2の期間T2内にあるため、第1のQCMセンサ11aと第3のQCMセンサ11cの両方を利用して補正が行われる。
よって、この時刻においては、第1の部屋44に第1の開口81を連通させると共に、第3の部屋46に第2の開口82を連通させることにより、第1のQCMセンサ11aと第3のQCMセンサ11cの各々を各窓81、82から暴露させる。
更に、寿命となった第2のQCMセンサ11bを大気に暴露する必要もないので、遮蔽部59bで第1の部屋45を塞ぐ。
図37(d)は、時刻tが第4の時刻teよりも後における状態を示す図である。
この時刻においては、第5実施形態で説明したように、第3のQCMセンサ11cのみで腐食性ガスによる腐食量の測定を行う。よって、この場合は、第3の部屋46に第1の窓81を連通させることにより、第1の窓81から第3のQCMセンサ11cを暴露させる。
また、補正用の第1のQCMセンサ11aの各電極6、7が大気中の腐食性ガスで腐食するのを防止するため、遮蔽部59bで第1の部屋44を塞ぐ。更に、寿命となった第2のQCMセンサ11bを大気に暴露する必要もないので、遮蔽部59bで第1の部屋45も塞ぐ。
以上説明した本実施形態によれば、交換用の新品の第3のQCMセンサ11cを予めセンサユニット80内に設けておくので、第2のQCMセンサ11bが寿命を迎えたときにユーザが各センサを自ら脱着する必要がなく、ユーザの負担軽減を図ることができる。
しかも、シャッタ59を回転させるための機構は極めてシンプルであり、第1〜第3のQCMセンサ11a〜11cのうちで大気に暴露するQCMセンサを簡単に選択することができる。
(第7実施形態)
第6実施形態では、図33のシャッタ59として回転板を用いたが、本実施形態ではフィルム状のシャッタを用いる。
図38(a)は本実施形態で使用するセンサユニット90の平面図であり、図38(b)は図38(a)のV−V線に沿う断面図である。
なお、図38(a)、(b)において図10〜図12で説明したのと同じ要素にはこれらにおけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
図38(a)に示すように、このセンサユニット90は、モータ27が回転することでシャッタ28がその長手方向に移動する。
シャッタ28には第1の窓28cが設けられる。シャッタ28の移動量を制御することにより、第1〜第3のQCMセンサ11a〜11cの各々を第1の窓28cから露出させたり、シャッタ28の遮蔽部28bで筐体26の開口26aを塞いだりすることができる。
また、図38(b)に示すように、筐体26の内部には、第1実施形態で説明した仕切り板32が四つ設けられ、これらの仕切り板32によって第1〜第3の部屋91〜93が画定される。
なお、本実施形態では各仕切り板32の端部を底板73で連結することにより、第1〜第3の部屋91〜93の底面をその底板73で画定する。
図39は、シャッタ28の展開図である。
シャッタ28には第1の窓28cと第2の窓28dとが間隔をおいて形成される。このうち、第1の窓28cは、第1〜第3のQCMセンサ11a〜11cのなかから選択された一個又は二個のQCMセンサを暴露させるのに使用される。一方、第2の窓28cは、補正用に使用する第1のQCMセンサ11aのみを暴露するために使用される。
図40は、このセンサユニット90を備えた環境測定装置100の構成図である。なお、図40において、第6実施形態の図36で説明したのと同じ要素には図36におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
図40に示すように、センサユニット90内の第1〜第3のQCMセンサ11a〜11cは、駆動部13と演算部14を介して制御部15と接続される。本実施形態では、その制御部15がモータ27の回転量を制御することにより、シャッタ28の移動量を調節する。
次に、センサユニット100の動作について説明する。
図41〜図42は、センサユニット100の動作について説明するための平面図である。
図41(a)は、時刻tが第1の時刻tsよりも前の状態を示す図である。この時刻においては、図28を参照して説明したように、第2のQCMセンサ11bはまだその寿命に近づいておらず、第2のQCMセンサ11bのみで腐食性ガスによる腐食量の測定を行う。
よって、この時刻においては、第2の部屋92のみにシャッタ20の第1の窓28aを連通させることにより、腐食性ガスを含む大気に第2のQCMセンサ11bを暴露させる。また、補正用の第1のQCMセンサ11aと新品の第3のQCMセンサ11cの各電極6、7が腐食するのを防止するために、シャッタ28の遮蔽部28bで第1の部屋91と第3の部屋93を塞ぐ。
図41(b)は、時刻tが第1の時刻tsと第2の時刻tcとの間における状態を示す図である。
この時刻は図28の第1の期間T1内にあるため、第1のQCMセンサ11aと第2のQCMセンサ11bの両方を利用して補正が行われる。
よって、この時刻においては、第1の部屋91と第2の部屋92の両方に第1の窓28cを連通させることにより、第1の窓28cから第1のQCMセンサ11aと第2のQCMセンサ11bの各々を暴露させる。
なお、新品の第3のQCMセンサ11cの各電極6、7が腐食するのを防止するため、第3の部屋93については遮蔽部28bで塞ぐ。
図41(c)は、時刻tが第2の時刻tcと第3の時刻tdとの間における状態を示す図である。
この時刻においては、図28に示したように、補正用の第1のQCMセンサ11aのみで測定が行われる。そのため、一つのセンサのみを暴露する大きさに形成された第2の窓28dのみを第1の部屋91に連通させ、第2の窓28dから第1のQCMセンサ11aを暴露させる。
図42(a)は、時刻tが第3の時刻tdと第4の時刻teとの間における状態を示す図である。
この時刻は、図28で説明した第2の期間T2内にあるため、第1のQCMセンサ11aと第3のQCMセンサ11cの両方を利用して補正が行われる。
よって、この時刻においては、第1の部屋91と第3の部屋93の両方に第1の窓28cを連通させることにより、第1のQCMセンサ11aと第3のQCMセンサ11cの各々を第1の窓28cから暴露させる。
図42(b)は、時刻tが第4の時刻teよりも後における状態を示す図である。
この時刻においては、図28に示したように、第3のQCMセンサ11cのみで腐食性ガスによる腐食量の測定を行う。よって、この場合は、第3の部屋46に第1の窓28cを連通させることにより、第1の窓28cから第3のQCMセンサ11cを暴露させる。
また、補正用の第1のQCMセンサ11aの各電極6、7が大気中の腐食性ガスで腐食するのを防止するため、遮蔽部28bで第1の部屋44を塞ぐ。更に、寿命となった第2のQCMセンサ11bを大気に暴露する必要もないので、遮蔽部28bで第1の部屋45も塞ぐ。
以上説明した本実施形態によれば、図41〜図42に示したように、時刻tに応じて第1〜第3のQCMセンサ11a〜11cのどれを大気に暴露するするのかを自動的に選択するので、ユーザの負担を減らすことができる。
更に、第1〜第3のQCMセンサ11a〜11cを予め筐体26の中に収容しておくことでこれらのセンサを交換する手間が省け、ユーザの更なる負担軽減を図ることが可能となる。
(第8実施形態)
第5実施形態では、図28に示したように、第2のQCMセンサ11bが寿命を迎える頃に第1の期間T1を設け、その第1の期間T1における第1の変化量Δf1mを利用することにより、第2の変化量Δf2mを補正した。
これに対し、本実施形態では、第2のQCMセンサ11bによる測定を開始した直後での第1の変化量Δf1mを利用することにより、第2の変化量Δf2mを補正する。
図43は、第1及び第2のQCMセンサ11a、11d(図24参照)の測定結果の一例を示す図であって、図中の第1及び第2のグラフA1、A2はそれぞれ第1及び第2のQCMセンサ11a、11bの測定結果に対応する。
なお、各グラフの横軸は、任意の時刻を原点とした経過時間である。そして、各グラフの縦軸は、第1及び第2のQCMセンサ11a、11bの各々の共振周波数の変化量である第1及び第2の変化量Δf1m、Δf2mである。
図43に示すように、本実施形態では、第2のQCMセンサ11bによる測定の初期、すなわち、一連の連続した測定の最初に、当該第2のQCMセンサ11bと補正用の第1のQCMセンサ11aの両方で測定を行う第3の期間T3を設ける。
第3の期間T3の始期である第5の時刻tfは、第2のQCMセンサ11bの第2の共振周波数f2mの取得を開始し、演算部14(図24参照)が第2の共振周波数f2mの第2の変化量Δf2mの計算を始める時刻である。この時刻は、第1のQCMセンサ11aの第1の共振周波数f1mの取得を開始し、演算部14が第1の共振周波数f1mの第1の変化量Δf1mの計算を始める時刻に等しい。
また、第3の期間T3の終期である第6の時刻tgは、第2の変化量Δf2mが予め定められた規定値Femとなり、演算部14が第1の共振周波数f1mの取得を終了して第1の変化量Δf1mの計算を終える時刻である。
第5実施形態で説明したように、第1及び第2のQCMセンサ11a、11bの各々の仕様は同一であるものの、それらの個体差が原因で第3の期間T3における第1のグラフA1と第2のグラフA2の傾きは相違する。
そこで、本実施形態では以下のような補正を行うことで第2のグラフA2の傾きを第1のグラフA1の傾きに合せる。
まず、演算部14が、第3の期間T3内での第1の変化量Δf1mの第1の増分Fgと、当該第3の期間T3内での第2の変化量Δf2mの第2の増分Femとの第3の比Fg/Femを求め、第3の比を第3の補正係数C3とする。このように算出された第3の補正係数C3は、第3の期間T3における図43の各グラフA1、A2の傾きの比に等しい。
その後、演算部14が、第6の時刻tg以降の時刻における第2の変化量Δf2mに上記の第3の補正係数C3を乗じることにより、当該第2の変化量Δf2mを補正する。
上記のように第3の補正係数C3は各グラフA1、A2の傾きの比に等しいため、このように第2の変化量Δf2mを補正することで、第2のグラフA2の傾きを第1のグラフA1の傾きに合せることができる。