以下、第1の実施の形態を、図1ないし図11を参照して説明する。
図1および図2に硬貨処理装置10を示し、この硬貨処理装置10は、硬貨Cを入出金する硬貨入出金装置である。
硬貨処理装置10の機体11内の前部には、機体11の上面に設けられた入金口から投入される硬貨Cを受け入れて1枚ずつ繰り出す繰出部12が配設されている。この繰出部12には受渡通路13および搬送通路14が順に接続されている。そして、受渡通路13に配置された受渡円板15により、繰出部12から繰り出された硬貨Cを1枚ずつ所定のタイミングで搬送通路14に送り込むように構成されている。
搬送通路14は、機体11の前後方向に沿って水平に形成されており、硬貨Cの一面が載る水平な通路面を構成する通路底板16、およびこの通路底板16の幅方向両側に配設されていて硬貨Cの両側面をガイドする側壁17,18を有している。
搬送通路14上には、硬貨Cを搬送する搬送手段20としての搬送ベルト21が張設されている。搬送ベルト21は、搬送通路14の前端および後端にそれぞれ水平方向に回転可能に軸支されたプーリ22によって張設されている。搬送ベルト21には内周側に歯を有するタイミングベルトが用いられ、プーリ22にも外周に歯を有するタイミングプーリが用いられている。搬送ベルト21の内周側には溝部が設けられ、プーリ22の外周には搬送ベルト21の溝部に係合する突出部が設けられており、プーリ22によって搬送ベルト21の高さ方向の位置が規制され、搬送ベルト21と搬送通路14の通路面との間隔が処理する硬貨Cのうちの最大厚み硬貨の厚みよりも少し広い寸法に保たれている。
搬送ベルト21には、搬送ベルト21の下面から下方へ向かって突出して搬送通路14内の硬貨Cを1枚ずつ押動搬送する複数のピン23がベルト長手方向に沿って所定の間隔毎に設けられている。複数のピン23の間隔は、搬送方向前後のピン23間に硬貨Cを1枚ずつ受け入れて搬送可能とする寸法とされている。ピン23と搬送通路14の通路面との間には、処理する硬貨Cのうちの最小厚み硬貨の厚みよりも小さい寸法の間隙があけられている。
後端側のプーリ22がモータなどの搬送駆動手段によって正逆回転駆動される。そして、搬送駆動手段の駆動によって、搬送通路14上の搬送ベルト21が、搬送通路14の前側から後側方向へ向けた入金搬送方向F1、および搬送通路14の後側から前側方向へ向けた出金搬送方向F2にそれぞれ回転される。プーリ22の軸には、このプーリ22の回転位置を検知する搬送検知手段が設けられており、搬送検知手段の検知に基づいて搬送通路14上における搬送ベルト21の回動位置および各ピン23の位置を検知することができる。
また、搬送通路14には、搬送通路14内を搬送する硬貨Cを識別する識別部25が配設されている。
また、搬送通路14の識別部25より後側であって入金搬送方向F1の下流側には、識別部25で識別不能または不適切と識別されたリジェクト硬貨を搬送通路14から分岐するリジェクト分岐部27が配設されている。このリジェクト分岐部27は、通路底板16に形成された分岐口28、およびこの分岐口28を開閉してリジェクト硬貨のみを選択的に分岐する分岐ゲート29を備えている。この分岐ゲート29は、ソレノイドなどの分岐駆動手段により、入金搬送方向F1の下流側の水平な軸を支点として入金搬送方向F1の上流側が上下に移動し、分岐口28を開閉する。そして、分岐ゲート29によって分岐口28を閉塞する状態で分岐ゲート29上を硬貨Cが通過し、また、入金搬送方向F1に搬送する硬貨Cが識別部25でリジェクト硬貨と識別された場合、分岐ゲート29の入金搬送方向F1の上流側が上方に移動して分岐口28を開放し、分岐ゲート29でリジェクト硬貨を分岐口28に落とし込んで分岐する。また、分岐ゲート29には、上方への移動時に搬送ベルト21と干渉しないように溝29aが形成されている。
リジェクト分岐部27の分岐口28の下方には、分岐口28から分岐されたリジェクト硬貨を機体11の前面に形成された返却口30に導くリジェクトシュート31が配設されている。
また、搬送通路14の識別部25より前側であって出金搬送方向F2の下流側には、硬貨Cを搬送通路14から分岐する出金分岐部33が配設されている。この出金分岐部33は、リジェクト分岐部27と同様に分岐口28および分岐ゲート29を備えているが、分岐ゲート29の出金搬送方向F2の下流側の水平な軸を支点として出金搬送方向F2の上流側が上下に移動し、分岐口28を開閉するようになっている。そして、分岐ゲート29によって分岐口28を閉塞する状態で分岐ゲート29上を硬貨Cが通過し、また、出金時、返却時および回収時などに、分岐ゲート29の出金搬送方向F2の上流側が上方に移動して分岐口28を開放し、出金搬送方向F2に搬送する硬貨Cを分岐ゲート29で分岐口28に落とし込んで分岐する。
出金分岐部33の分岐口28の下方には、分岐口28から分岐された硬貨Cを機体11の前面に形成された出金口34に導く出金シュート35が配設されている。出金口34は、機体11の前面から引き出し可能な出金箱36で構成されている。出金シュート35の中間部には、機体11内に着脱可能に配置されたカセット37に硬貨Cを導くための回収シュート38が接続されている。出金シュート35と回収シュート38との接続部には、分岐口28から分岐された硬貨Cを出金シュート35または回収シュート38に振り分ける切換レバー39が配設されている。
また、搬送通路14の識別部25およびリジェクト分岐部27より後側であって入金搬送方向F1の下流側には、識別部25による識別に基づいて硬貨Cを金種別に分岐する金種別の収納分岐部41が配設されている。さらに、搬送通路14の一側部には、各収納分岐部41に対応して金種別に硬貨Cを収納する硬貨収納装置42が配設されている。
収納分岐部41は、通路底板16に形成された孔部44に配設されたガイドゲート45を備えている。このガイドゲート45は、ソレノイドなどの分岐駆動手段により、入金搬送方向F1の下流側の水平な軸を中心として入金搬送方向F1の上流側が上下に移動し、搬送通路14の通路底板16上に出没可能になっている。ガイドゲート45には、入金搬送方向F1の上流側の端部に、搬送通路14と硬貨収納装置42との間で硬貨Cをスムーズに移動させて受け渡せるように曲面状のガイド面45aが形成されているとともに、上方への突出時に搬送ベルト21と干渉しないように溝45bが形成されている。そして、ガイドゲート45が通路底板16に埋没した状態でガイドゲート45上を硬貨Cが通過し、また、入金搬送方向F1に搬送する硬貨Cのうち、識別部25で該当金種と識別された硬貨Cが搬送されてくる所定のタイミングで、ガイドゲート45の入金搬送方向F1の上流側が通路底板16上に突出し、このガイドゲート45のガイド面45aで該当金種の硬貨Cを搬送通路14の一側の硬貨収納装置42へ向けて案内して分岐する。さらに、ガイドゲート45が通路底板16上に突出した状態で、硬貨収納装置42側から繰り出される硬貨Cを搬送通路14内にガイドする。
また、硬貨収納装置42は、搬送通路14から硬貨Cを受け入れて収納するとともに収納している硬貨Cを搬送通路14に繰り出すものである。硬貨収納装置42は、上下方向を集積方向として集積する収納部47を構成する収納筒48、および搬送通路14および収納筒48の両方に跨った形でそれらの上方に配置される押動部材49を備えている。なお、硬貨収納装置42によって硬貨Cを収納および繰り出すのにガイドゲート45も協働するため、硬貨収納装置42にはガイドゲート45も含まれる。
収納筒48の上端は開口され、この上端の開口から硬貨Cの収納および繰り出しがなされる。
図1、図3および図4に示すように、搬送通路14の一側方に収納筒48の上端が配置されており、搬送通路14と収納筒48の上端との間にはこれら搬送通路14と収納筒48の上端との間で硬貨Cを案内する案内通路50が形成されている。この案内通路50は、通路底板16の上面と同じ高さに配置されていて硬貨Cの一面が載る底面部51、および硬貨Cの両側面を案内する両側の側面部52を有している。さらに、案内通路50の上方には、押動部材49の一部が配置されているとともに、押動部材49の以外の部分に上面規制板53(図5参照)が配置されている。底面部51と押動部材49の下面および上面規制板53の下面との間には、硬貨Cの1枚分の厚みより大きく2枚分の厚みより小さい間隔があけられている。そして、案内通路50は、搬送通路14から収納筒48の上端へ向けて湾曲した形状に形成されている。
図1、図3ないし図6に示すように、押動部材49は、硬貨筒48の集積方向と平行な回転軸55を中心に水平方向に回転する回転板56を有している。この回転板56の下面周辺部に、3つの突起57が周方向に等間隔毎に突設されている。回転板56の回転軸55の上端が駆動手段としてのモータ58に連結され、このモータ58によって回転板56が回転可能に支持されている。
回転板56の下面と搬送通路14の通路底板16および案内通路50の底面部51との間には硬貨Cの1枚分の厚みより大きく2枚分の厚みより小さい間隔があけられ、また、突起57の下面と搬送通路14の通路底板16および案内通路50の底面部51との間には硬貨Cの1枚分の厚みより小さい間隔があけられている。したがって、回転板56の下側に1枚の硬貨Cのみが進入し、その硬貨Cの側面に突起57が当接して押動可能とする。
搬送通路14の一側の側壁17には、案内通路50の入口および出口としての出入口50aが開口されているとともに、突起57の回転移動を許容する通過溝17aが形成されている。
図5および図6に示すように、回転板56には、回転板56の回転位置を検知する検知手段59が配設されている。この検知手段59は、回転板56または回転軸55に取り付けられた検知板60、およびこの検知板60の周辺部に対して上下方向から対向配置されたフォトインタラプタである定位置検知センサ61を備えている。検知板60の周縁部には、3つの突起57の位置に対応して3つの切欠部62が形成されている。そして、定位置検知センサ61に対して回転する検知板60の周縁部が対向する状態から切欠部62が対向する状態となって、定位置検知センサ61が遮光状態から透光状態に切り換わることにより、回転板56の定位置を検知する。回転板56の定位置は、図1に示すように、いずれか1つの突起57が案内通路50の出入口50aの中央に位置するとともに、いずれの突起57も搬送通路14の外に位置している回転板56の回転位置としている。回転板56の定位置では、1つの突起57が案内通路50の出入口50aの中央に位置し、搬送通路14から案内通路50に硬貨Cが侵入するのを規制している。
そして、回転板56は、モータ58により、硬貨Cの収納時(押込動作時)に図1反時計回り方向の押込回転方向に回転駆動され、硬貨Cの繰出時(押出動作時)に押込回転方向と反対となる図1時計回り方向の押出回転方向に回転駆動される。
さらに、モータ58による回転板56の各方向への回転は、搬送手段20による硬貨Cの搬送に同期されている。すなわち、上述した搬送検知手段によって搬送ベルト21のピン23の位置を検知しているため、入金時には、ピン23の検知位置と識別部25での識別結果とに基づいて該当する金種の硬貨Cを分岐するようにモータ58で回転板56を回転させ、また、出金時にはピン23の位置に基づいて該当するピン23に硬貨Cを受け渡すようにモータ58で回転板56を回転させる。
また、図7に示すように、収納筒48内には、収納筒48内に上下方向に集積される硬貨Cを支えるステージ64が上下方向に移動可能に配置されている。
図5および図9に示すように、収納筒48の側部には、ステージ64を上下方向に移動させるステージ移動手段65が配設されている。このステージ移動手段65は、収納筒48と平行に配置された螺旋軸66、この螺旋軸66を回転させるステージ用モータ67を備えている。ステージ64の支持部64aが収納筒48の一部に上下方向に沿って形成された溝を通じて収納筒48の外に突出されていて螺旋軸66に螺合されている。そして、ステージ用モータ67の駆動によって螺旋軸66が回転することによりステージ64が上下方向に移動する。
ステージ64の支持部64aには検知片68が設けられ、収納筒48の下端側には検知片68を検知する最下降位置検知センサ69が配設されている。この最下降位置検知センサ69が検知片68を検知することにより、ステージ64の最下降位置が検知される。
図5に示すように、収納筒48の上部側には、収納筒48内に検知光を投受光する上端検知センサ70が配設されている。この上端検知センサ70が透光から遮光、遮光から透光に切り換わることで、硬貨Cが集積されていない場合のステージ64またはステージ64上に集積されている硬貨Cの上端位置が検知される。
また、図7ないし図9に示すように、各硬貨収納装置42は、収納筒48内に入金硬貨を一時保留する構成となっており、その一時保留の際に収納済み硬貨と一時保留硬貨とを分離するためのセパレータ72を備えている。セパレータ72は、収納筒48と平行な支軸73に上下方向にスライド可能に取り付けられているとともに、支軸73に取り付けられた回転規制軸74によって支軸73と一体に回転するように支軸73に対して回転規制されている。セパレータ72は、略L字形に形成され、基端が支軸73に支持され、先端が収納筒48内に進退可能としている。
収納筒48の一部には、セパレータ72の先端が収納筒48内に進退可能とするとともにセパレータ72が収納筒48内に進入した状態で上下方向に移動可能とする溝48aが形成されている。
各支軸73にはピニオン75が取り付けられ、これら各ピニオン75に共通のラック76に噛合されている。そして、ラック76がラック駆動手段によってスライドすることにより、全てのセパレータ72が支軸73を中心として回動し、収納筒48に対して進退される。
図7(a)に示すように、支軸73の側方には、セパレータ72の上昇上限位置(待機位置)と、上昇上限位置から例えば硬貨50枚分下降した位置に相当するセパレータ72の所定の下降位置とに対応して、上側の退避ガイド77及び下側の退避ガイド78が配設されている。そして、セパレータ72の上昇上限位置または所定の下降位置で、収納筒48に進入されているセパレータ72を退避回動させることにより、セパレータ72が上側の退避ガイド77または下側の退避ガイド78に乗り移り、セパレータ72を各高さ位置に支持できる。上側の退避ガイド77または下側の退避ガイド78に支持されたセパレータ72を収納筒48へ向けて進入回動させることにより、各高さ位置からセパレータ72を収納筒48に進入させることができる。
次に、硬貨処理装置10の動作を説明する。
まず、入金処理について説明する。
図1に示すように、入金処理時には、操作者によって機体11の入金口から投入される硬貨Cを繰出部12に受け入れる。繰出部12から硬貨Cを1枚ずつ繰り出し、受渡円板15によって硬貨Cを1枚ずつ搬送ベルト21のピン23に受け渡す。搬送ベルト21は、入金搬送方向F1に回動しており、硬貨Cを1枚ずつピン23で押動しながら搬送通路14に沿って搬送する。
搬送ベルト21によって搬送する硬貨Cを識別部25で識別する。
識別部25での識別の結果、識別不能や不適切なリジェクト硬貨が識別されると、リジェクト分岐部27の分岐ゲート29を開き、リジェクト硬貨を搬送通路14から分岐してリジェクトシュート31を通じて返却口30に返却する。
識別部25での識別の結果、正常な硬貨Cは、リジェクト分岐部27を通過し、対応する金種の収納分岐部41で分岐するとともに対応する金種の硬貨収納装置42の収納筒48内に収納して一時保留する。
ここで、硬貨Cを収納筒48内に収納して一時保留するための収納筒48への硬貨Cの収納動作を説明する。
なお、図7(b)に示すように、入金処理時には、収納筒48のステージ64およびセパレータ72が待機位置に位置している。この待機位置では、セパレータ72が集積硬貨上に載っており、セパレータ72および集積硬貨の上面が収納筒48の上部に上昇されていて、案内通路50を通じて集積方向と直交する方向から収納筒48の上部に1枚の硬貨Cを受け入れ可能とする状態にある。すなわち、図3に示すように、セパレータ72の上面と回転板56の下面および上面規制板53(図5および図6参照)の下面との間に搬送通路14から案内通路50を通じて1枚の硬貨Cを受け入れ可能とする状態にある。セパレータ72および集積硬貨の上面の位置は、セパレータ72および集積硬貨を上昇させる際の上端検知センサ70の検知に基づいて位置決めされている。
そして、図10(a)に示すように、収納分岐部41では、該当金種の硬貨Cが搬送されてくるタイミングに合わせてガイドゲート45の先端が上昇する。これにより、搬送ベルト21のピン23で押動されている硬貨Cがガイドゲート45の先端のガイド面45aに当接し、硬貨Cがガイド面45aに沿って搬送通路14の側方の案内通路50へ向けて移動する。
図10(b)に示すように、ガイドゲート45の先端が上昇してから所定のタイミングで押動部材49の回転板56が定位置から押込回転方向(図中の矢印方向)に回転を開始する。これにより、案内通路50の出入口50aに位置していた突起57が収納筒48上へ向けて移動し、搬送ベルト21のピン23で押動されているとともにガイドゲート45によってガイドされる硬貨Cが出入口50aから案内通路50に進んでいく。
回転板56の回転開始により、通過溝17aに位置していた突起57が通過溝17aから搬送通路14内に進出する。このとき、その突起57は、ピン23で押動されている硬貨Cよりも入金搬送方向F1の上流側に進出する。
図10(c)に示すように、搬送通路14内に進出した突起57が硬貨Cに当接してピン23から硬貨Cを受け取り、この突起57で硬貨Cを押動して案内通路50内に押し込んでいく。
図10(d)に示すように、突起57による押動動作により、硬貨Cを案内通路50に沿って移動させながら、硬貨Cを集積方向に対して交差する方向から収納筒48の上部に押し込んでいく。
図10(e)に示すように、突起57による押動動作により、硬貨Cを収納筒48の上部に押し込み、セパレータ72上に集積させる。この突起57による押込動作により、硬貨Cを収納筒48内に強制的に押し込んで収納させるため、硬貨Cが自由落下する場合に比べて硬貨Cの挙動が安定し、収納筒48内での硬貨Cの安定した集積ができる。さらに、突起57による押込動作により、集積方向に対して交差する方向から硬貨Cを収納筒48の上部に押し込むため、硬貨立ちが生じにくく、硬貨Cの安定した集積ができる。そして、硬貨Cに当接して押動していた突起57が案内通路50の出入口50aに位置する定位置で回転板56の回転を停止する。
硬貨Cを収納した収納筒48では、ステージ64を硬貨1枚分下降させ、収納筒48の上部に次の硬貨Cを受け入れ可能とするスペースを形成する。これにより、収納筒48への1枚の硬貨Cの収納動作を完了する。
また、続けて、硬貨Cを収納筒48に収納する場合にも、上述のようにガイドゲート45、押動部材49およびステージ64が同様に動作し、セパレータ72上に既に集積されている硬貨C上に続けて送り込む硬貨Cを順次集積する。そして、図7(c)には、収納筒48に複数枚の硬貨Cを一時保留した状態を示す。
そして、識別部25で硬貨Cを所定時間識別しなくなることで繰出部12に投入された硬貨Cの一時保留までの処理が完了したものとする。
その後、操作者によって入金承認操作がなされれば、収納筒48内に一時保留した硬貨Cを収納済みの硬貨Cと一体に集積収納する。
図7(d)に示すように、全金種の収納筒48のセパレータ72が所定の下降位置に下降するまでステージ64を下降させる。
図7(e)に示すように、セパレータ72を回動させて収納筒48から退避させることにより、セパレータ72上の一時保留した硬貨Cが収納済みの硬貨C上に落下して一体に集積される。収納筒48から退避したセパレータ72は下側の退避ガイド78に支持される。なお、硬貨Cを一時保留しなかった金種の収納筒48においても、セパレータ72が退避されて下側の退避ガイド78に支持される。
図7(f)に示すように、集積硬貨の上面がセパレータ72の所定の下降位置の高さより低くなるまで、ステージ64をさらに下降させる。
図7(g)に示すように、セパレータ72を回動させて収納筒48内に進入させ、集積硬貨の上方に配置する。
図7(h)に示すように、ステージ64を上昇させ、セパレータ72および集積硬貨の上面が収納筒48の上部に位置する待機位置に移動させる。
これにより、投入された硬貨Cを収納筒48に収納するまでの入金処理が完了する。
なお、一時保留後に、操作者によって入金承認操作がなされずに返却操作がなされた場合には、収納筒48に一時保留した硬貨Cを1金種ずつ順に搬送通路14へ繰り出し、出金箱36に払い出して返却する。収納筒48からの硬貨Cの繰出動作は、次の出金処理において説明する。
また、硬貨Cを補充する場合にも、入金処理時と同様に、補充硬貨を硬貨収納装置42の収納筒48に収納する。この場合、セパレータ72を収納筒48から退避させ、ステージ64上に補充硬貨を集積する。
次に、出金処理について説明する。
出金処理時には、操作者などによって入力される出金額や出金金種などの出金データに基づいて、出金該当金種の硬貨収納装置42に収納されている硬貨Cを1金種ずつ順番に出金する。
図7(i)に示すように、待機状態(例えば図7(b)(h)参照)にあったセパレータ72を回動させて収納筒48から退避させ、上側の退避ガイド77に支持させる。その後、出金該当金種の収納筒48についてのみステージ64を上昇させ、集積硬貨の最上位の硬貨Cを上面規制板53の下面または回転板56の下面に押し当てる。これにより、図4に示すように、集積硬貨のうちの最上位の硬貨Cが案内通路50の底面部51より上方に配置される。
図11(a)に示すように、搬送ベルト21が出金搬送方向F2に回動する。そして、図11(b)に示すように、出金該当金種のうちの1つ金種の硬貨収納装置42において、搬送ベルト21のピン23とピン23との間に硬貨Cを繰り出すように、搬送ベルト21の回動に同期して押動部材49の回転板56を定位置から押出回転方向(図中の矢印方向)に回転させる。
図11(c)に示すように、回転する回転板56の1つの突起57が最上位の硬貨Cに当接し、この硬貨Cを案内通路50に押し出していく。このとき、最上位から2番目の硬貨Cは、収納筒48の内壁に当接して最上位の硬貨Cとともに連れ出されることはなく、1枚の硬貨Cのみが案内通路50に押し出されていく。
図11(d)に示すように、突起57による押出動作により、硬貨Cを案内通路50に沿って移動させながら搬送通路14内に押し出していく。搬送通路14内に押し出される硬貨Cは、通路底板16と搬送ベルト21の間でかつ搬送ベルト21のピン23とピン23との間に進入する。
図11(e)に示すように、硬貨Cに当接して押動していた突起57が案内通路50の出入口50aに位置する定位置で、回転板56の回転を停止する。硬貨Cは、突起57で押動されていた慣性によって搬送通路14内に移動する。
そして、搬送通路14内に移動した硬貨Cに搬送ベルト21のピン23が当接し、硬貨Cを出金搬送方向F2に搬送する。
また、搬送ベルト21で搬送する硬貨Cを識別部25で識別し、出金分岐部33で分岐する。出金分岐部33の分岐ゲート29は開放されており、硬貨Cを搬送通路14から分岐し、出金シュート35を通じて出金箱36に送り込む。
なお、識別部25で識別不能や不適切と識別された硬貨Cは、出金分岐部33で分岐した後に切換レバー39および回収シュート38を介してカセット37に回収するようにしてもよい。硬貨Cをカセット37に回収した場合には、不足分の硬貨Cを硬貨収納装置42から繰り出す。
出金が完了した金種の収納筒48では、ステージ64を下降させる。そして、全て金種の硬貨Cの出金が完了した後、セパレータ72を回動させて収納筒48内に進入させ、ステージ64を上昇させ、セパレータ72および集積硬貨の上面が収納筒48の上部に位置する待機位置に移動させる。
そして、出金硬貨が出金された出金箱36を機体11から引き出すことにより、出金硬貨を取り出すことができる。
なお、硬貨収納装置42の収納筒48内に収納されている硬貨Cを回収する回収処理時にも、出金処理時と同様に硬貨収納装置42から硬貨Cを1枚ずつ繰り出し、搬送通路14、出金分岐部33、切換レバー39、回収シュート38を通じてカセット37に回収する。
以上のように構成された硬貨収納装置42によれば、押動部材49による硬貨Cを収納筒48の上部に押し込む押込動作により、硬貨Cを収納筒48内に強制的に収納するため、硬貨Cに対して挙動を安定させる強制力が働き、硬貨Cの安定した集積ができる。
しかも、押動部材49の押込動作により、集積方向に対して交差する方向から硬貨Cを収納筒48の上部に押し込むため、硬貨立ちが発生しにくく、硬貨Cの安定した集積ができる。
また、押動部材49による収納筒48内の上部の硬貨Cを集積方向に対して交差する方向に押し出す押出動作により、収納筒48内の硬貨Cを繰り出すことができるため、硬貨Cの収納と繰出とに押動部材49を共用でき、収納用の構成と繰出用の構成とを別々に設ける場合に比べて構成の簡素化および小形化ができる。
さらに、押動部材49は集積方向と平行な回転軸55を中心に回転する回転板56であり、回転板56に硬貨Cと当接する突起57を設けているため、回転板56で硬貨Cの挙動を規制しながら突起57で硬貨Cを押動できる。
しかも、押動部材49が回転して押込動作および押出動作をするとともに、押出動作時には押込動作時の回転方向とは逆方向に回転するため、簡単な構成で硬貨Cの収納および繰出ができる。
また、硬貨処理装置10によれば、押動部材49の押込動作により搬送手段20で搬送する搬送通路14上の硬貨Cを収納筒48に収納させることができる。
さらに、押動部材49の押出動作により収納筒48内の硬貨Cを搬送通路14に繰り出すことができ、これにより、例えば入金のための搬送通路14と出金のための搬送通路14とを共通化でき、簡素化および小形化できる。
また、押動部材49を収納部47の上方に配設しているため、硬貨処理装置10の幅方向の小形化を図ることができる。
しかも、押動部材49は、搬送手段20による硬貨Cの搬送と同期して動作するため、搬送手段20によって搬送する硬貨Cを収納筒48に確実に収納できる。
なお、前記実施の形態において押動部材49の突起57は、3つに限らず、少なくとも1つあればよい。突起57が1つの場合には、搬送通路14から案内通路50に硬貨Cが侵入するのを規制するように、案内通路50の出入口50aを定位置とする。
また、押動部材49は、図12の第2の実施の形態を示すように、収納筒48の径方向にスライドする構成とし、収納筒48に対して押し込んで収納させたり押し出して繰り出すようにしてもよい。
さらに、押動部材49は、図13に第3の実施の形態を示すように、収納筒48に対して支点49bを中心に揺動する構成とし、収納筒48に対して硬貨Cを押し込んで収納させたり押し出して繰り出すようにしてもよい。
また、前記実施の形態では、入金時と出金時とで搬送通路14を共通化する例を説明したが、これに限定されるものではなく、入金時と出金時とで別々の搬送通路を使用するようにしてもよい。この場合、押動部材49の押込動作による硬貨Cの繰込方向と押動部材49の押出動作による硬貨の繰出方向とは別々の方向となる。