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JP5994766B2 - ワークの切断方法 - Google Patents
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Description

本発明は、ワイヤソーを使用したワークの切断方法に関する。
近年、半導体ウェーハの大型化が望まれており、この大型化に伴い、ワークの切断には専らワイヤソーが使用されている。
ワイヤソーは、ワイヤ(高張力鋼線)を高速走行させて、ここにスラリを掛けながら、ワーク(例えばシリコンインゴットが挙げられる。)を押し当てて切断し、多数のウェーハを同時に切り出す装置である(特許文献1参照)。
ここで、図6に、従来の一般的なワイヤソーの一例の概要を示す。
図6に示すように、ワイヤソー101は、主に、ワークを切断するためのワイヤ102、ワイヤ102を巻回したワイヤガイド103、ワイヤ102に張力を付与するための張力付与機構104、切断されるワークを送り出すワーク送り手段105、切断時にSiC微粉等の砥粒をクーラントに分散して混合したスラリを供給するためのノズル106等で構成されている。
ワイヤ102は、一方のワイヤリールボビン107から繰り出され、トラバーサ108を介してパウダクラッチ(定トルクモータ109)やダンサローラ(デッドウェイト)(不図示)等からなる張力付与機構104を経て、ワイヤガイド103に入っている。ワイヤ102はこのワイヤガイド103に300〜400回程度巻回された後、もう一方の張力付与機構104’を経てワイヤリールボビン107’に巻き取られている。
また、ワイヤガイド103は鉄鋼製円筒の周囲にポリウレタン樹脂を圧入し、その表面に一定のピッチで溝を切ったローラであり、巻回されたワイヤ102が、駆動用モータ110によって予め定められた周期で往復方向に駆動できるようになっている。
そして、ワイヤガイド103、巻回されたワイヤ102の近傍には、ノズル106が設けられており、切断時にはこのノズル106から、ワイヤガイド103、ワイヤ102にスラリを供給できるようになっている。そして、切断後には廃スラリとして排出される。
このようなワイヤソー101を用い、ワイヤ102に張力付与機構104を用いて適当なワイヤ張力をかけて、駆動用モータ110により、ワイヤ102を往復方向に走行させ、スラリを供給しつつワークをスライスすることにより、所望のスライスウェーハを得ている。
また、上記のワイヤソーで使われるワイヤ102について、1本のワークを切断するのに供給される分のワイヤ102の長さを、新線供給量と呼ぶ。
ワイヤ102はワイヤリールボビン107に数百km分の長さが巻き付けられており、このワイヤリールボビン107に巻き付けられているワイヤ102で複数本のワークを切断する。
ウェーハの製造原価に含まれるワイヤにかかるコストの低減を進める場合、ワーク1本当たりで必要な新線供給量を減らすことで、ワイヤリールボビン1本当たりで切断できるワークの本数を増やすという方法がある。
例えば、ワイヤ510km巻のワイヤリールボビンにて、ワーク1本当たりの切断に使用する新線供給量を170kmとして、ワーク3本の切断を行っていたとする。それを、1切断当たりの新線供給量を半分の85kmとすることで、同じワイヤの長さ、すなわち1本のワイヤリールボビンで切断できるワークの本数を6本に増やすことができる。
このように、ワーク1本当たりの切断に用いる新線供給量を減らすことで、ワーク1本当たりの切断に用いるワイヤの量が減るため、1本のワイヤリールボビンで切断できるワークの本数を増やすことができ、ワイヤにかかるコストを低減することができる。
特開平10−86140号公報
しかし、上記した方法の問題点として、新線供給量を減らした分、ワークの切断の際にワイヤ自身が摩耗する量が、新線供給量を減らす前に比べて大きくなり、ワイヤの直径が細くなってしまうという問題点がある。ワイヤの直径が細くなると、切断後のウェーハ品質を悪化させてしまう。
ウェーハ品質として、代表的なものにウェーハの反りが挙げられる。切断後のウェーハは平坦で、反りがより小さいことが望ましい。しかし、ワイヤの直径が細くなると、ワイヤに乗るスラリの持ち込み量が少なくなり、切断効率が落ちるため、切断後のウェーハの反りが大きくなってしまう。
また、ワイヤの直径が細くなることで、ワイヤの破断強度が低下するため、ワークの切断中にワイヤの破断が起きやすくなる。
ワークの切断中にワイヤ破断が発生すると、切断が中断し、復旧作業に多くの手間と時間を要するため、ウェーハの生産効率を著しく低下させる。更に、ワイヤ破断が起こると、切断後のウェーハ品質が大きく悪化する。そのため、ワークの切断中のワイヤ破断は、できる限り発生させないことが望ましい。
上記のように、ワーク1本当たりの切断に用いる新線供給量を減らす方法に替わる手段として、使用済みのワイヤを再度使用する方法がある。1度ワークの切断に使用した使用済みのワイヤを同じ条件で再度使用することで、1本のワイヤリールボビンで切断できるワークの本数を増やすことができる。
ただし、この方法でワイヤを再度使用すると、前述した理由により、使用済みのワイヤでは、ワークの切断時にワイヤの破断が起きやすくなる。また、切断後のウェーハの反りが大きくなってしまう。
本発明は前述のような問題に鑑みてなされたもので、前回のワークの切断に使用した使用済みのワイヤを再度、前回のワークを切断した条件と異なる条件でワークを切断することで、同じワイヤで切断できるワークの本数を増やしつつ、ワイヤの破断の発生を低減し、ウェーハの反りの悪化を抑制することができるワークの切断方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明によれば、複数のワイヤガイド間に螺旋状に巻回された軸方向に走行するワイヤでワイヤ列を形成し、前記ワイヤ列にワークを押し当て、前記ワークの切断を行うワークの切断において、前回のワークの切断に使用した後のワイヤを再度使用して、次のワークを切断するワークの切断方法であって、前記次のワークを切断する際のワイヤ張力を前記前回のワークの切断におけるワイヤ張力に対して、87〜95%の範囲の値とし、前記次のワークを切断する際の新線供給量を、前記前回のワークを切断した際の新線供給量に対して、125%以上の範囲の値として、前記ワイヤを再度使用して前記次のワークを切断するワークの切断方法を提供する。
ワークの切断に使用済みのワイヤを再度使用する場合であっても、前回使用時のワイヤ張力及び新線供給量に対するワイヤ張力及び新線供給量が、上記の範囲の値になるように制御しながら次のワークの切断を実施することで、ワイヤの破断が起きにくく、ウェーハの反りの悪化を抑制でき、ウェーハ品質を前回の切断時と同等の水準に保つことができる。
このとき、前記次のワークを切断する際、ワークの送り速度を前記前回のワークの切断におけるワークの送り速度に対して83〜91%の範囲の値にすることが好ましい。
このようにすれば、使用済みのワイヤを再度使用してワークの切断を行う場合であっても、切断後のウェーハの反りの悪化をより確実に抑制することができる。
本発明のワークの切断方法であれば、使用済みのワイヤを再度使用することで、同じワイヤで切断できるワークの本数を大幅に増やすことができ、ワイヤにかかるコストを大きく削減することができる。更に、ワイヤを再度使用する時に、ワイヤ張力及び新線供給量を本発明のように、適切な範囲に制御して切断を行うことで、ワイヤの破断の発生率と切断後のウェーハの品質の悪化を抑制することができ、前回の切断と同等の品質のウェーハを得ることができる。
本発明のワークの切断方法の一例を示したフロー図である。 本発明のワークの切断方法に用いるワイヤソーの一例を示した概略図である。 本発明のワークの切断方法に用いるワイヤソーにおけるワーク送り手段の一例を示す概略図である。 ワイヤを再度使用するときの、ウェーハの反りとワイヤ張力の関係を示した図である。 ワイヤを再度使用するときの、ワイヤ破断強度と新線供給量の関係を示した図である。 一般的なワイヤソーの一例を示した概略図である。
以下、本発明について実施の形態を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記で説明したように、1度ワークの切断に使用したワイヤを再度使用する場合には、ワイヤの直径が細くなっているため、ワイヤが破断したり、ウェーハ品質が悪化したりするという問題があった。
そこで、本発明者はこのような問題を解決すべく鋭意検討を重ねた。その結果、1度ワークの切断に使用したワイヤを再度使用する場合、ワイヤ張力及び新線供給量を、前回のワークの切断時のワイヤ張力及び新線供給量に対して、それぞれ87〜95%の範囲の値及び125%以上の範囲の値として、ワークの切断を行えばワイヤの破断、ウェーハ品質の悪化を抑制できることに想到し、本発明を完成させた。
以下、本発明のワークの切断方法について図1−3を参照して説明する。下記では、既に1度ワークの切断に使用したワイヤを再度使用して、2度目のワークの切断を実施する時に本発明のワークの切断方法を適用する場合について説明する。
まず、本発明のワークの切断方法に使用するワイヤソー1について図2を参照しながら説明する。
図2に示すように、ワイヤソー1は、主に、ワークWを切断するためのワイヤ2、ワイヤガイド3、ワイヤ2に張力を付与するためのワイヤ張力付与機構4、4’、ワークWを保持しつつ相対的に押し下げるワーク送り手段5、切断時にワイヤ2に加工液を供給するためのノズル6等で構成されている。
ワイヤ2は、一方のワイヤリールボビン7から繰り出され、トラバーサ13を介してパウダクラッチ(定トルクモータ14)やダンサローラ(デッドウェイト)(不図示)等からなるワイヤ張力付与機構4を経て、ワイヤガイド3に入っている。ワイヤ2が複数のワイヤガイド3に300〜400回程度巻回されることによってワイヤ列16が形成される。ワイヤ2はもう一方のワイヤ張力付与機構4’を経てワイヤリールボビン7’に巻き取られている。このワイヤとしては、例えば高張力鋼線等を用いることができる。ワイヤリールボビン7、7’はワイヤリールボビン用駆動モータ15、15’によって回転駆動される。更に、張力付与機構4、4’によって、ワイヤ2にかかるワイヤ張力は精密に調整される。
ノズル6はワークWとワイヤ2との接触部に加工液を供給する。このノズル6は、特に限定されないがワイヤガイド3に巻回されたワイヤ2の上方に配置することができる。ノズル6はスラリタンク(不図示)に接続されており、供給されるスラリはスラリチラー(不図示)により供給温度が制御されてノズル6からワイヤ2に供給できるようになっているものとすることができる。
ここで、ワークWの切断中に使用する加工液の種類は特に限定されず、従来と同様のものを用いることができ、例えば炭化珪素砥粒やダイヤモンド砥粒をクーラントに分散させたものとすることができる。クーラントとしては、例えば水溶性又は油性のクーラントを用いることができる。
ワークWの切断時には、図3に示すようなワーク送り手段5によって、ワークWはワイヤガイド3に巻回されたワイヤ2に送り出される。このワーク送り手段5は、ワークを送り出すためのワーク送りテーブル9、LMガイド10、ワークを把持するワーククランプ11、スライスあて板12等からなっており、コンピュータ制御でLMガイド10に沿ってワーク送りテーブル9を駆動させることにより、予めプログラムされた送り速度で先端に固定されたワークWを送り出すことが可能である。
ワイヤガイド3は、鉄鋼製円筒の周囲にポリウレタン樹脂を圧入し、その表面に所定のピッチで溝を切ったローラであり、ワイヤ2の損傷を防いでワイヤ断線などを抑制できるようになっている。更に、ワイヤガイド3は駆動用モータ8によって、巻回されたワイヤ2が軸方向に往復走行できるようになっている。ワイヤ2を往復走行させる際、ワイヤ2の両方向への走行距離を同じにするのではなく、片方向への走行距離の方が長くなるようにする。このようにして、ワイヤ2の往復走行を行うことで長い走行距離の方向にワイヤ2の新線が供給される。また、駆動用モータ8により、1本のワークを切断するのに供給される分のワイヤ2の長さである新線供給量も調節することができる。
次に、このワイヤソー1を用いた場合の本発明のワークWの切断方法について説明する。
まず、ワイヤソー1において、ワイヤ2を上記したように往復走行させながら、ワイヤ列16に複数本のワークWを順番に押し当てて切断する。所定の本数のワークを切断し終えたらワイヤ2を停止する。このようにして、1回目のワークの切断を行う(図1のS101)。
この1回目のワークの切断は、従来と同様の切断方法で行うことができる。1回目の切断においては、切断に使用するワイヤは摩耗していないので、直径が十分に太くワイヤの破断の発生率は低く、切断後のウェーハ品質が良好なウェーハを得ることができる。
このように1回目の切断が終了した後、1回目の切断の時にワイヤリールボビン7’に巻き取られたワイヤ2をワイヤリールボビン7に巻き戻して、1度使用したワイヤ2を次のワークWの切断に使用する準備をする。このとき、この使用済みのワイヤ2は、洗浄等の処理を行うことなく、そのまま次回の2回目のワークの切断に再使用することができる。
次に、ワーク送り手段5によりワークWを保持する。そして、ワイヤ2にワイヤ張力付与機構4、4’によって張力を付与しながら、ワイヤ2を駆動用モータ8によって軸方向へ往復走行させる。
このとき、本発明では、ワイヤ張力を前回のワークの切断(この場合、1回目の切断)におけるワイヤ張力に対して、87〜95%の範囲の値とする。
ワイヤの直径は、前回のワークの切断時に比べ摩耗により細くなっているため、ワイヤの破断強度は低下する。そのため、ワイヤを再度使用する時は、ワイヤ張力を前回のワークの切断時に対して95%以下の値にする。また、ワイヤ張力を小さくし過ぎず、87%以上とすれば、切断後のウェーハの品質が悪化しにくくなる。
ここで、ワイヤ2を再度使用する時のワイヤ張力を通常の設定(前回のワークの切断時と同じワイヤ張力)のワイヤ張力に対し、小さくした場合のウェーハ品質への影響を図4に示す。図4のグラフは、横軸がワイヤ張力で、縦軸がウェーハの反りを示している。ワイヤ張力及びウェーハの反りは、通常の設定のワイヤ張力及びその際の切断後のウェーハの反りをそれぞれ100%とし、相対値で表記している。図4から読み取れるように、ワイヤ張力を小さくし過ぎると、ウェーハの反りが大きくなる傾向となった。
また、図4に示すように、ワイヤ張力が87%の場合で、切断後のウェーハの反りが通常の設定でのワークの切断時に対して10%増加の110%となった。これ以上の増加は許容できないため、ワイヤ張力の下限値は87%とした。また、ワイヤ張力を96%以上として切断を行うと、ワイヤ破断が頻発したため、ワイヤ張力の上限値は95%とした。
また本発明では、更に、1本のワークを切断するのに供給されるワイヤ2の長さである新線供給量を、前回のワークを切断した際(この場合、1回目の切断の際)の新線供給量に対して、125%以上の範囲の値とする。
ワークWを切断する時の新線供給量は、ワイヤ摩耗量と関係する。ワイヤ摩耗量とは、ワークWの切断に使用する前のワイヤ2の直径とワークWの切断に使用した後のワイヤ2の直径の差である。ワイヤ2はワークWの切断を行う過程で、摩耗し細くなっていくが、新線供給量を増やせばワイヤ摩耗量は小さくなり、逆に新線供給量を減らすとワイヤ摩耗量は大きくなる。本発明では新線供給量を、前回のワークを切断した際の新線供給量に対して、125%以上の範囲の値に増やすことで、ワイヤ摩耗量が前回の切断時のワイヤ摩耗量に対し80%以下になるように調整することができる。
ここで、ワイヤを再度使用する時の新線供給量を、通常の設定(前回のワークの切断時と同じ新線供給量)の新線供給量に対し、大きくした場合のワイヤ摩耗量及びワイヤの破断強度への影響を図5に示す。図5にワイヤの破断強度とワイヤ摩耗量との関係を示す。図5のグラフは、横軸がワイヤ摩耗量で、縦軸がワイヤの破断強度を示している。ワイヤ摩耗量及びワイヤの破断強度は、通常の設定(前回の切断と同じ新線供給量)のワイヤ摩耗量及び破断強度をそれぞれ100%とした相対値で表記している。
図5に示すように、新線供給量を、前回のワークの切断時の新線供給量に対して125%以上の範囲の値にすることで、ワイヤ摩耗量を80%以下にすると、その分ワイヤの直径が太い状態に維持でき、ワイヤの破断強度は前回の切断と同じ新線供給量とした時の破断強度より5%程度大きくなる。これはワイヤ張力を10%程度下げることに相当し、ワイヤ破断が発生しにくくなる。
上記のように新線供給量を増やせば、使用済みのワイヤ2を再度使用する場合であっても、ワイヤの破断の発生を抑制することができ、ウェーハの反りなどのウェーハ品質を大幅に悪化させることなく切断を行うことができる。なお、新線供給量を大きくし過ぎると、ワーク1本当たりの切断に要するワイヤの消費量が多くなるため、好ましくは、新線供給量は大きくし過ぎないことが望ましく、例えば200%以下とする。
次に、ワーク送り手段5によりワークWを相対的に押し下げて、ワークWをワイヤ列16に押し当て、再使用における1本目のワークWの切断を開始する。ワークWを切断する際には、加工液をノズル6からワークWとワイヤ2との接触部に供給しながら切断を進める。
このとき、ワークの送り速度を前回のワークの切断(この場合、1回目の切断)におけるワークの送り速度に対して83〜91%の範囲の値にすることが好ましい。
このように、ワークの送り速度を、前回のワークの切断におけるワークの送り速度に対して91%以下と遅くすることで、ワイヤの直径が細いことが原因のスラリの持ち込み量の減少による切断効率の低下をカバーすることができる。また、ワークの送り速度を、前回のワークの切断におけるワークの送り速度に対して83%以上とすることで、ワークの切断速度が遅くなり過ぎず、ウェーハの生産効率の悪化を抑制することができる。
上記のようにワイヤ張力、新線供給量を制御しながら、更にワークWを下方に押し下げ切断を進め、切断を完了させた後、ワークWを送り出す方向を逆転させることにより、ワイヤ列16から切断済みのワークWを引き抜き、切り出したウェーハを回収する。上記のように、1度使用済みのワイヤ2で複数のワークを順番に、繰り返しウェーハ状に切断していく。以上のようにして、1度使用済みのワイヤ2を用いた2回目の切断を行う(図1のS103)。
このような、ワークの切断方法であれば、使用済みのワイヤを再度使用することで、同じワイヤで切断できるワークの本数を大幅に増やすことができ、ワイヤにかかるコストを大きく削減することができる。更に、ワイヤを再度使用する時に、ワイヤ張力及び新線供給量を本発明のように、適切な範囲に制御して切断を行うことで、ワイヤの破断の発生率と切断後のウェーハの品質の悪化を抑制することができ、前回の切断と同等の品質のウェーハを得ることができる。
また、2回目の切断の後、3回目の切断の際にワイヤ張力を前回のワークの切断(この場合、2回目の切断)におけるワイヤ張力に対して、87〜95%の範囲の値とし、更に、新線供給量を、前回のワークを切断した際(この場合、2回目の切断の際)の新線供給量に対して、125%以上の範囲の値として繰り返しワークの切断を実施することができる(図1のS103)。更に、ワイヤの直径が減少し、寿命に達するまでは4回目や5回目以降の切断に、本発明のワークの切断方法を用いて、同一のワイヤを使用してワークの切断を行うことができる。
以下、本発明の実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
図2、3に示すようなワイヤソーを用いて、既にワークの切断に1回使用したワイヤを再度使用して、2回目のワークの切断を実施した。
ワークは単結晶シリコンインゴットを、ワイヤは高炭素鋼ブラスメッキ鋼線を用いた。直径300mm、長さ100〜450mmの単結晶シリコンインゴットを、直径0.13mmのワイヤを用いて切断を行った後、使用済みのワイヤで2回目のワークの切断を実施した。1回目のワイヤ使用時に、ワイヤリールボビン1本当たりにつきシリコンインゴット4本を切断し、さらに同じワイヤリールボビンにて、ワイヤ2回目の使用時の際に、シリコンインゴット4本を切断した。
表1内の条件2に示すように、ワイヤの2回目の使用時の条件は、1回目のワイヤ使用時のワイヤ張力、新線供給量及びワーク送り速度に対してそれぞれ、ワイヤ張力を91%、新線供給量を125%、ワーク送り速度は変えず100%として切断を行った。表1内のワイヤ破断発生率及びウェーハの反りは、1回目のワイヤ使用時の値を1とした相対値を記載している。ワイヤ破断発生率及びウェーハの反りが小さくなるほど、これらの相対値は小さくなる。ワイヤ破断発生率及びウェーハの反りは値が小さい方が望ましい。
その結果、ワイヤ破断の発生率はワイヤ1回目使用時の1.6倍となり問題無い水準になった。また、ウェーハの反りについては、1回目使用時のウェーハの反りの1.07倍となり問題無い水準になった。
このように、本発明のワークの切断方法であれば、使用済みのワイヤを再度使用してもワイヤ破断の発生率とウェーハの反りを問題のない水準に低減することができ、ワイヤにかかるコストを削減しつつ、前回の切断と同程度の品質のウェーハを得られることが確認できた。
(実施例2)
実施例1と同様に、既にワークの切断に1回使用したワイヤを再度使用して、2回目のワークの切断を実施した。
表1内の条件3に示すように、ワイヤの2回目の使用時の条件は、1回目のワイヤ使用時のワイヤ張力、新線供給量及びワーク送り速度に対してそれぞれ、ワイヤ張力を91%、新線供給量を125%、ワーク送り速度を90%として切断を行った。その結果、ワイヤ破断の発生率はワイヤ1回目使用時と同程度の1.6倍となり問題無い水準になった。また、ウェーハの反りについては、1回目使用時のウェーハの反りの0.99倍となり実施例1よりもウェーハ品質が向上した。
このように、本発明のワークの切断方法において、更に、ワーク送り速度を83〜91%に制御すれば、ウェーハの反りをより改善できることが確認できた。
(実施例3)
実施例1と同様に、既にワークの切断に1回使用したワイヤを再度使用して、2度目のワークの切断を実施した。
表1内の条件4に示すように、ワイヤの2回目の使用時の条件は、1回目のワイヤ使用時のワイヤ張力、新線供給量及びワーク送り速度に対してそれぞれ、ワイヤ張力を87%、新線供給量を125%、ワーク送り速度は変えず100%として切断を行った。
その結果、ワイヤ破断の発生率はワイヤ1回目使用時の1.4倍となり問題無い水準になった。また、ウェーハの反りについては、1回目使用時のウェーハの反りの1.07倍となり問題無い水準になった。
(実施例4)
実施例1と同様に、既にワークの切断に1回使用したワイヤを再度使用して、2回目のワークの切断を実施した。
表1内の条件5に示すように、ワイヤの2回目の使用時の条件は、1回目のワイヤ使用時のワイヤ張力、新線供給量及びワーク送り速度に対してそれぞれ、ワイヤ張力を95%、新線供給量を125%、ワーク送り速度は変えず100%として切断を行った。
その結果、ワイヤ破断の発生率はワイヤ1回目使用時の1.7倍となり問題無い水準になった。また、ウェーハの反りについては、1回目使用時のウェーハの反りの1.02倍となり問題無い水準になった。
(比較例1)
実施例1と同様に、既にワークの切断に1回使用したワイヤを再度使用して、2回目のワークの切断を実施した。
表1内の条件1’に示すように、ワイヤの2回目の使用時の条件は、ワイヤの1回目使用時でのワークの切断時と同じワイヤ張力(ワイヤの1回目使用時に対して100%の値)、同じ新線供給量(ワイヤの1回目使用時に対して100%の値)、同じワークの送り速度(ワイヤの1回目使用時に対して100%の値)として切断を行った。その結果、ウェーハの反りはワイヤ1回目使用時と同等となったが、ワイヤ破断の発生率が、ワイヤ1回目使用時の12.6倍と大幅に悪化した。
比較例1のような条件でワイヤをワークの切断に再度使用した場合、ワイヤ破断の発生率が高すぎるため安定して高品質のウェーハを得られず、実質上ワイヤの再使用ができないことが確認された。
(比較例2)
実施例1と同様に、既にワークの切断に1回使用したワイヤを再度使用して、2回目のワークの切断を実施した。
表1内の条件6に示すように、ワイヤの2回目の使用時の条件は、1回目のワイヤ使用時のワイヤ張力、新線供給量及びワーク送り速度に対してそれぞれ、ワイヤ張力を86%、新線供給量を125%、ワーク送り速度は変えず100%として切断を行った。その結果、ワイヤ破断の発生率が、ワイヤ1回目使用時の1.4倍となった。また、ウェーハの反りがワイヤ1回目使用時の1.2倍となった。
比較例2のような条件でワイヤをワークの切断に再度使用した場合、実施例1−4のように安定して、前回の切断と同程度の品質のウェーハを得られず、実質上ワイヤの再使用ができないことが確認された。
(比較例3)
実施例1と同様に、既にワークの切断に1回使用したワイヤを再度使用して、2回目のワークの切断を実施した。
表1内の条件7に示すように、ワイヤの2回目の使用時の条件は、1回目のワイヤ使用時のワイヤ張力、新線供給量及びワーク送り速度に対してそれぞれ、ワイヤ張力を96%、新線供給量を125%、ワーク送り速度は変えず100%として切断を行った。その結果、その結果、ワイヤ破断の発生率が、ワイヤ1回目使用時の3.6倍となった。また、ウェーハの反りがワイヤ1回目使用時の1.02倍となった。
比較例3のような条件でワイヤをワークの切断に再度使用した場合、ワイヤ張力を96%としたためワイヤ破断が頻発してしまった。このように、ワイヤ破断の発生率が高すぎるため実施例1−4のように安定して高品質のウェーハを得られず、実質上ワイヤの再使用ができないことが確認された。
(比較例4)
実施例1と同様に、既にワークの切断に1回使用したワイヤを再度使用して、2回目のワークの切断を実施した。
表1内の条件8に示すように、ワイヤの2回目の使用時の条件は、1回目のワイヤ使用時のワイヤ張力、新線供給量及びワーク送り速度に対してそれぞれ、ワイヤ張力を91%、新線供給量を124%、ワーク送り速度は変えず100%として切断を行った。その結果、ワイヤ破断の発生率が、ワイヤ1回目使用時の4.0倍となった。また、ウェーハの反りがワイヤ1回目使用時の1.07倍となった。
比較例4のような条件でワイヤをワークの切断に再度使用した場合、実施例1−4のように安定して、前回の切断と同程度の品質のウェーハを得られず、実質上ワイヤの再使用ができないことが確認された。
表1に、実施例1−4、比較例1−4における実施結果をまとめたもの示す。
Figure 0005994766
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1…ワイヤソー、 2…ワイヤ、 3…ワイヤガイド、
4、4’…ワイヤ張力付与機構、 5…ワーク送り手段、 6…ノズル、
7、7’…ワイヤリールボビン、 8…駆動用モータ、
9…ワーク送りテーブル、 10…LMガイド、 11…ワーククランプ、
12…スライスあて板、 13…トラバーサ、 14…定トルクモータ、
15、15’…ワイヤリールボビン用駆動モータ、 16…ワイヤ列。

Claims (2)

  1. 複数のワイヤガイド間に螺旋状に巻回された軸方向に走行するワイヤでワイヤ列を形成し、前記ワイヤ列にワークを押し当て、前記ワークの切断を行うワークの切断において、前回のワークの切断に使用した後のワイヤを再度使用して、次のワークを切断するワークの切断方法であって、
    前記次のワークを切断する際のワイヤ張力を前記前回のワークの切断におけるワイヤ張力に対して、87〜95%の範囲の値とし、前記次のワークを切断する際の新線供給量を、前記前回のワークを切断した際の新線供給量に対して、125%以上の範囲の値として、前記ワイヤを再度使用して前記次のワークを切断するワークの切断方法。
  2. 前記次のワークを切断する際、ワークの送り速度を前記前回のワークの切断におけるワークの送り速度に対して83〜91%の範囲の値にすることを特徴とする請求項1に記載のワークの切断方法。
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