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JP6001063B2 - 光学素子及び光検出器 - Google Patents
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JP6001063B2 - 光学素子及び光検出器 - Google Patents

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Description

本発明は、光を透過させて当該光を変調するための光学素子、及びこれを備える光検出器に関する。
量子サブバンド間遷移の光吸収を利用する光検出器として、QWIP(量子井戸型赤外光センサ)、QDIP(量子ドット赤外光センサ)、QCD(量子カスケード型光センサ)等が知られている。これらはエネルギーバンドギャップ遷移を利用しないため、波長範囲の設計自由度が大きい、暗電流が小さい、室温動作が可能である等のメリットを有する。
これらの光検出器のうち、QWIPとQCDは、量子井戸構造や量子カスケード構造等の周期的な積層構造を有する半導体積層体を備えている。この半導体積層体は、入射する光が半導体積層体の積層方向の電界成分を有する場合にのみ当該電界成分によって電流を生じるため、当該積層方向の電界成分を有しない光(半導体積層体の積層方向から入射する平面波)に対しては光感度を有しない。
従って、QWIP又はQCDで光を検出するには、光の電界の振動方向が半導体積層体の積層方向と一致するように光を入射させる必要がある。例えば、光の進行方向に垂直な波面を有する平面波を検出する場合では、光を半導体積層体の積層方向と垂直な方向から入射させる必要があるため、光検出器としての使用が煩わしいものとなる。
そこで、半導体積層体の積層方向の電界成分を有しない光を検出するために、半導体積層体の表面に金の薄膜を設け、この薄膜に当該光の波長以下の直径を有する孔を周期的に形成した光検出器が知られている(非特許文献1参照)。この例では、金の薄膜における表面プラズモン共鳴の効果によって、半導体積層体の積層方向の電界成分を有するように光を変調している。
また、半導体積層体の表面に光透過層を設け、この光透過層の表面に凹凸パターンからなる回折格子及びこれを覆う反射膜を形成した光検出器が知られている(特許文献1参照)。この例では、当該回折格子及び反射膜による入射光の回折及び反射の効果によって、半導体積層体の積層方向の電界成分を有するように光を変調している。
特開2000−156513号公報
W. Wu, et al., "Plasmonic enhanced quantum well infrared photodetector with high detectivity", Appl. Phys. Lett., 96, 161107(2010).
このように、半導体積層体の積層方向の電界成分を有しない光を検出するために、当該光を当該積層方向の電界成分を有するように変調する技術が種々提案されており、そのような光の変調の効率化が望まれている。
つまり、半導体積層体の積層方向を所定の方向とした場合に、当該所定の方向の電界成分を有しない光を、当該所定の方向の電界成分を有するように効率よく変調する技術が求められている。
そこで、本発明は、所定の方向の電界成分を有しない光を、当該所定の方向の電界成分を有するように効率よく変調することができる光学素子、及び、量子井戸構造や量子カスケード構造等を有する半導体積層体を用いて、半導体積層体の積層方向の電界成分を有しない光を検出することができる光検出器を提供することを目的とする。
本発明の光学素子は、所定の方向に沿って光を透過させて当該光を変調するための光学素子であって、第1の領域、及び所定の方向に垂直な面に沿って第1の領域に対し周期的に配列された第2の領域を有する構造体を備え、第1の領域及び第2の領域は、互いに屈折率が異なり、且ついずれも光に対して透過性を有する。
所定の方向に沿ってこの光学素子に光が入射した場合、当該光は、構造体において所定の方向に垂直な面に沿って周期的に配列された第1の領域及び第2の領域の屈折率の差により変調され、その後、所定の方向に沿って出射する。すなわち、所定の方向の電界成分を有しない光を、当該所定の方向の電界成分を有するように効率よく変調することができる。
ここで、第1の領域の屈折率と第2の領域の屈折率との差は、2以上であってもよい。また、第1の領域及び第2の領域の配列の周期は、1〜500μmであってもよい。これによれば、所定の方向の電界成分を有しない光を、当該所定の方向の電界成分を有するように一層効率よく変調することができる。
本発明の光学素子に透過させる光は、赤外線であってもよい。これによれば、本発明の光学素子を、赤外光検出器に好適に適用することができる。
本発明の光学素子における構造体は、所定の方向に沿って貫通する複数の貫通孔が設けられた膜体を有し、第1の領域は、膜体における貫通孔間の部分であり、第2の領域は、貫通孔内の空間であってもよい。また、本発明の光学素子における構造体は、所定の方向における一方の側又は他方の側に開口する複数の凹部が設けられた膜体を有し、第1の領域は、膜体における凹部間の部分であり、第2の領域は、凹部内の空間であってもよい。また、本発明の光学素子における構造体は、所定の方向における一方の側又は他方の側に突出する複数の凸部が設けられた膜体を有し、第1の領域は、凸部であり、第2の領域は、凸部間の空間であってもよい。これらのような膜体を有する構造体は、1種類の材料から形成することができるため、低コストであり、製造も容易である。そして、所定の方向の電界成分を有しない光を、当該所定の方向の電界成分を有するように一層効率よく変調することができるように、場合に応じて構造体の態様をこれらのうちから選択することができる。
本発明の光学素子における構造体は、所定の方向に沿って貫通する複数の貫通孔が設けられた膜体と、貫通孔内に埋設された埋設部材と、を有し、第1の領域は、膜体における貫通孔間の部分であり、第2の領域は、埋設部材であってもよい。また、本発明の光学素子における構造体は、所定の方向における一方の側又は他方の側に開口する複数の凹部が設けられた膜体と、凹部内に埋設された埋設部材と、を有し、第1の領域は、膜体における凹部間の部分であり、第2の領域は、埋設部材であってもよい。また、本発明の光学素子における構造体は、所定の方向における一方の側又は他方の側に突出する複数の凸部が設けられた膜体と、凸部間に埋設された埋設部材と、を有し、第1の領域は、凸部であり、第2の領域は、埋設部材であってもよい。これらによれば、膜体と埋設部材との双方の材料を選択することができるため、第1の領域の屈折率と第2の領域の屈折率との差の調整の自由度が高くなる。
本発明の光検出器は、上記光学素子と、光学素子に対して所定の方向における一方の側とは反対側の他方の側に配置され、光学素子を透過した光が有する所定の方向の電界成分によって電流を生じる半導体積層体と、半導体積層体の一方の側の表面に形成された第1のコンタクト層と、半導体積層体の他方の側の表面に形成された第2のコンタクト層と、を備える。
この光検出器は、上記光学素子を備えているため、入射した光が上記光学素子を透過する過程において変調される。変調された光は半導体積層体の積層方向の電界成分を有するため、この電界成分により半導体積層体に電流が生じる。すなわち、この光検出器によれば、量子井戸構造や量子カスケード構造等を有する半導体積層体を用いて、半導体積層体の積層方向の電界成分を有しない光を検出することができる。
本発明の光検出器は、第2のコンタクト層、半導体積層体、第1のコンタクト層及び光学素子が他方の側から順に積層された基板を更に備えていてもよい。これによれば、光検出器の各構成の安定化を図ることができる。
本発明の光検出器は、第1のコンタクト層と電気的に接続された第1の電極と、第2のコンタクト層と電気的に接続された第2の電極と、を更に備えていてもよい。これによれば、半導体積層体で生じる電流を効率的に検出することができる。
本発明の光検出器においては、光学素子が、一方の側から光が入射したときに所定の方向の電界成分を生じさせるものであってもよいし、或いは、光学素子が、半導体積層体を介して他方の側から光が入射したときに所定の方向の電界成分を生じさせるものであってもよい。
本発明によれば、所定の方向の電界成分を有しない光を、当該所定の方向の電界成分を有するように効率よく変調することができる光学素子、及び、量子井戸構造や量子カスケード構造等を有する半導体積層体を用いて、半導体積層体の積層方向の電界成分を有しない光を検出することができる光検出器を提供することができる。
本発明の第1の実施形態の光検出器の平面図である。 図1のII−II線に沿っての断面図である。 本発明の第1の実施形態の光学素子の平面図である。 図3のIV−IV線に沿っての断面図である。 本発明の第1の実施形態の光学素子の変形例の平面図である。 本発明の第2の実施形態の光学素子の断面図である。 本発明の第3の実施形態の光学素子の断面図である。 本発明の第3の実施形態の光学素子の変形例の断面図である。 本発明の第4の実施形態の光学素子の平面図である。 図9のX−X線に沿っての端面図である。 本発明の第5の実施形態の光学素子の平面図である。 本発明の第6の実施形態の光学素子の平面図である。 図12のXIII−XIII線に沿っての端面図である。 本発明の第6の実施形態の光検出器の断面図である。 図11の光学素子についてのFDTD法による電界強度分布である。 図11の光学素子についてのFDTD法による電界強度分布である。 図11の光学素子についての屈折率差による電界成分の変換効率を示すグラフである。 図9及び図10の光学素子についての屈折率差による電界成分の変換効率を示すグラフである。 シミュレーションで用いた光検出器の平面図である。 図19のXX−XX線に沿っての断面図である。 図19の光検出器に用いた光学素子についてのFDTD法による垂直電界強度スペクトルである。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において同一部分又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。なお、本明細書において「屈折率」とは、入射光の波長についての屈折率をいう。また、本実施形態の光検出器が検出するべき光(光学素子に入射する光)は、赤外線(波長が2〜1000μmの光)である。
[第1の実施形態]
図1及び図2に示されるように、光検出器1は、InPからなる矩形板状の基板2を備え、これにコンタクト層3,5と、半導体積層体4と、電極6,7と、光学素子10とが積層されている。この光検出器1は、半導体積層体4における量子サブバンド間遷移の光吸収を利用する光検出器である。
基板2の表面2aの全面には、コンタクト層(第2のコンタクト層)3が設けられている。コンタクト層3の表面3aの中央には、表面3aの全面よりも小さな面積をもつ半導体積層体4が設けられている。つまり、半導体積層体4は、平面視した場合にコンタクト層3に含まれるように配置されている。表面3aのうち半導体積層体4が設けられていない周縁の領域には、電極(第2の電極)6が半導体積層体4を囲むように環状に形成されている。
半導体積層体4の表面4aの全面には、コンタクト層(第1のコンタクト層)5が設けられている。コンタクト層5の表面5aの中央には、表面5aの全面よりも小さな面積をもつ光学素子10が設けられている。つまり、光学素子10は、平面視した場合にコンタクト層5に含まれるように配置されている。表面5aのうち、光学素子10が設けられていない周縁の領域には、電極(第1の電極)7が光学素子10を囲むように環状に形成されている。
半導体積層体4は、検出しようとする光の波長に合わせて設計された多重量子井戸構造(又は多重量子カスケード構造)を有するものであり、具体的には、互いにエネルギーバンドギャップの異なるInGaAs及びInAlAsの半導体層が、一層あたり数nmの厚さで交互に積層されている。
コンタクト層3,5は、半導体積層体4で生じた電流を検出するために、半導体積層体4と電極6,7とをそれぞれ電気的に連絡するための層であり、InGaAsからなる。電極6,7は、AuGe、又はTi/Pt/Au等からなる。
光学素子10は、所定の方向における一方の側から他方の側に光を透過させて、当該光を変調するための光学素子である。図3及び図4に示されるように、光学素子10は、構造体11を備えており、構造体11は、第1の領域R1、及び所定の方向に垂直な面に沿って第1の領域R1に対し入射光の波長に応じて1〜500μmとなる周期dにより周期的に配列された第2の領域R2を有する。第1の領域R1及び第2の領域R2は、互いに屈折率が異なり、且ついずれも入射する光に対して透過性を有する。
構造体11は、所定の方向における一方の側から他方の側に貫通する複数の貫通孔12が設けられた膜体13を有する。当該複数の貫通孔12は、図3に示されるように膜体13に対して平面視三角格子状に配置され、それぞれの貫通孔12は、円柱形状をなし、図4に示されるように所定の方向における一方の側から他方の側(図2における半導体積層体4の積層方向)に貫通している。なお、膜体13の厚さは10nm〜2μmであることが好ましい。
ここで、第1の領域R1は、膜体13における貫通孔12間の部分13aであり、具体的にはゲルマニウムからなる。第2の領域R2は、貫通孔12内の空間Sであり、具体的には空気である。つまり、光検出器1を光学素子10の側から平面視した場合(つまり図1において)、コンタクト層5の一部が貫通孔12から覗いている。また、第1の領域R1の屈折率と第2の領域R2の屈折率との差は、2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましい。本実施形態においては、例えば波長が5μmの中赤外光について、ゲルマニウムの屈折率は4.0であり、空気の屈折率は1.0であるため、屈折率の差は3.0である。
以上説明したように、光検出器1は、上記光学素子10を備えているため、所定の方向における一方の側からこの光学素子10に光が入射した場合(例えば、半導体積層体4の積層方向から平面波が入射した場合)、当該光は、構造体11において所定の方向に垂直な面に沿って周期的に配列された第1の領域R1及び第2の領域R2の屈折率の差により変調され、その後、所定の方向における他方の側から出射する。すなわち、所定の方向の電界成分を有しない光を、当該所定の方向の電界成分を有するように効率よく変調することができる。特に、光学素子10では複数の貫通孔12が膜体13において三角格子状に配置されているために、入射光の偏光方向に対する依存性が低い。また、第1の領域R1の屈折率と第2の領域R2の屈折率との差は、2以上であり、第1の領域R1及び第2の領域R2の配列の周期dは、1〜500μmであり、入射光の波長に応じて決められるため、光の変調が一層効率よく行われる。更に、光学素子10における構造体11は、一方の側から他方の側に貫通する複数の貫通孔12が設けられた膜体13を有し、第1の領域R1は、膜体13における貫通孔12間の部分13aであり、第2の領域R2は、貫通孔12内の空間Sである。このため、当該構造体11は1種類の材料から形成することができるため、低コストであり、製造も容易である。
そして、上記のように変調された光は、半導体積層体4の積層方向の電界成分を有するため、この電界成分が半導体積層体4の多重量子井戸構造(又は多重量子カスケード構造)に吸収されて光電子を発生させ、これが電極6,7を介して電流として検出される。すなわち、この光検出器1によれば、半導体積層体4の積層方向の電界成分を有しない光を検出することができる。また、本発明の光検出器は、コンタクト層3,5、半導体積層体4、及び光学素子10を支持する基板2を更に備えているため、光検出器1の各構成が安定化されている。そして、光検出器1は、コンタクト層5に形成された電極7と、コンタクト層3に形成された電極6と、を更に備えており、かつ、光学素子10が一方の側から見た場合にコンタクト層5に含まれるように配置されており、半導体積層体4が、一方の側から見た場合にコンタクト層3に含まれるように配置されており、電極7は、コンタクト層5の一方の側の表面5aのうち光学素子10が設けられていない領域に、光学素子10を囲むように環状に形成され、電極6は、コンタクト層3の一方の側の表面3aのうち半導体積層体4が設けられていない領域に、半導体積層体4を囲むように環状に形成されている。これにより、半導体積層体4で生じる電流を効率的に検出することができる。
更に、非特許文献1記載の光検出器では、入射光(ここでは赤外線)の一部が金の薄膜により遮光されるうえ、表面プラズモン共鳴自体もエネルギー損失が大きいため、光感度の低下を招く。また、表面プラズモン共鳴は、金属中の自由電子が光の電界成分等と結合した結果生じる振動の共鳴状態をいうことから、表面プラズモン共鳴を利用するためには、光が入射する面に自由電子が存在することが不可欠であるという制限がある。これに対し、本実施形態の光検出器1では、第1の領域R1及び第2の領域R2がいずれも入射光に対して透過性を有し、且つ光の変調に表面プラズモン共鳴を利用しないため、非特許文献1記載の光検出器でみられた光感度の低下が生じず、且つ使用材料が自由電子を有する金属に制限されない。
また、特許文献1記載の光検出器では、光透過層の表面に回折格子を形成するため、光検出器としての設計の自由度が低い。これに対し、本実施形態の光検出器1では、光学素子10はコンタクト層5とは別に形成されるものであるため、所望の屈折率を有する材料の選択、並びに、光学素子10の形成及び加工の技術の選択の幅が広い。従って、本実施形態の光検出器1は、入射光の波長や所望の光感度等に応じた設計の自由度が高い。
なお、上記第1の実施形態の光検出器1は、その光学素子10を別の態様とすることもできる。例えば、図5に示されるように、光学素子10において、膜体13に設けられた複数の貫通孔12の配置を、三角格子状に替えて正方格子状とすることもできる。これによれば、三角格子状の配置の場合と比べて、入射光が直線偏光の場合に光を変調する効率が高い。
また、上記光検出器1では、所定の方向における一方の側から光学素子10に光が入射した場合について説明したが、光検出器1の裏面側(所定の方向における他方の側)から光を入射させて、その光を検出することも可能である。これにより、光学素子10による入射光の反射及び吸収を回避することができるため、一層の光感度の増大が可能になる。更に、パッケージ、サブマウント或いは集積回路等に光検出器1をフリップチップボンディングにより搭載した状態で、簡便に光を入射させることができるため、特にイメージセンサ等への発展の可能性が広がるというメリットがある。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態として、光検出器の他の形態について説明する。第2の実施形態の光検出器が第1の実施形態の光検出器1と異なる点は、光学素子として、光学素子10に替えて図6に示される光学素子20を用いる点である。
光学素子20は、構造体21を備えており、構造体21は、第1の領域R1、及び第1の領域R1に対し、第1の実施形態における光学素子10と同様に周期的に配列された第2の領域R2を有する。第1の領域R1及び第2の領域R2は、互いに屈折率が異なり、且ついずれも入射する光に対して透過性を有する。
構造体21は、所定の方向における一方の側から他方の側に貫通する複数の貫通孔22が設けられた膜体23と、その貫通孔22内に埋設された埋設部材24とを有する。当該複数の貫通孔22及び埋設部材24は、第1の実施形態における光学素子10と同様に膜体23に対して平面視三角格子状に配置され、それぞれの貫通孔22及び埋設部材24は、円柱形状をなし、図6に示されるように所定の方向における一方の側から他方の側(図2における半導体積層体4の積層方向)に貫通している。なお、膜体23の厚さは10nm〜2μmであることが好ましい。
ここで、第1の領域R1は、膜体23における貫通孔22間の部分23aであり、第2の領域R2は、埋設部材24である。第1の領域R1を構成する材料としては、第1の実施形態における光学素子10と同様の材料が挙げられる。埋設部材24を構成するための材料としては、二酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム等が挙げられる。二酸化シリコンは、例えば波長5μmの中赤外光についての屈折率が1.3である。この場合、第1の領域R1の材料としては、その波長における屈折率が3.3以上の材料が用いられることが好ましく、例えば波長5μmの中赤外線についての屈折率が3.4であるシリコンが、第1の領域R1を構成する材料として好ましい。
光学素子20では、上記のとおり膜体23と埋設部材24との双方の材料を選択することができるため、第1の領域R1の屈折率と第2の領域R2の屈折率との差の調整の自由度が高い。
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態として、光検出器の他の形態について説明する。第3の実施形態の光検出器が第1の実施形態の光検出器1と異なる点は、光学素子として、光学素子10に替えて図7に示される光学素子30を用いる点である。
光学素子30は、構造体31を備えており、構造体31は、第1の領域R1、及び第1の領域R1に対し、第1の実施形態における光学素子10と同様に周期的に配列された第2の領域R2を有する。第1の領域R1及び第2の領域R2は、互いに屈折率が異なり、且ついずれも入射する光に対して透過性を有する。
構造体31は、一方の側に開口する複数の凹部32を有する。当該複数の凹部32は、第1の実施形態における光学素子10と同様に膜体33に対して平面視三角格子状に配置され、それぞれの凹部32は、円柱形状をなしている。なお、膜体33の厚さは10nm〜2μmであることが好ましい。
ここで、第1の領域R1は、膜体33における凹部32間の部分33aであり、第2の領域R2は、凹部32内の空間Sである。第1の領域R1及び第2の領域R2を構成する材料としては、第1の実施形態における光学素子と同様の材料が挙げられる。
光学素子30では、上記のとおり、所定の方向における一方の側から他方の側に貫通する貫通孔を有していないため、空気中の微粒子等が一方の側から他方の側に物理的に通過することがない。つまり、このような光学素子30が適用された本実施形態の光検出器においては、光学素子30が光検出器の表面保護材として働くため、光検出器の劣化が抑制される。
なお、上記第3の実施形態の光検出器は、その光学素子30を別の態様とすることもできる。例えば、図8に示されるように、光学素子30において、複数の凹部32が一方の側でなく他方の側に開口するものであってもよい。また、第2の実施形態における光学素子20のように、凹部32に埋設部材が埋設されていてもよい。
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態として、光検出器の他の形態について説明する。第4の実施形態の光検出器が第1の実施形態の光検出器1と異なる点は、光学素子として、光学素子10に替えて図9及び図10に示される光学素子40を用いる点である。
光学素子40は、構造体41を備えており、構造体41は、第1の領域R1、及び第1の領域R1に対し、第1の実施形態における光学素子10と同様に周期的に配列された第2の領域R2を有する。第1の領域R1及び第2の領域R2は、互いに屈折率が異なり、且ついずれも入射する光に対して透過性を有する。
構造体41は、一方の側に突出する複数の凸部43aが設けられた膜体43を有する。当該複数の凸部43aは、第1の実施形態における光学素子10と同様に膜体43に対して平面視三角格子状に配置され、それぞれの凸部43aは、円柱形状をなし、図9及び図10に示されるように所定の方向における他方の側から一方の側に突出している。なお、膜体43の厚さ(凸部43aの高さを含めた厚さ)は10nm〜2μmであることが好ましい。
ここで、第1の領域R1は、膜体43における凸部43aであり、第2の領域R2は、凸部43a間の空間Sである。第1の領域R1及び第2の領域R2を構成する材料としては、第1の実施形態における光学素子10と同様の材料が挙げられる。
なお、上記第4の実施形態の光検出器は、その光学素子40を別の態様とすることもできる。例えば、光学素子40において、複数の凸部43aが一方の側から他方の側に突出するものであってもよい。また、第2の実施形態における光学素子20のように、凸部43a間に埋設部材が埋設されていてもよい。
[第5の実施形態]
本発明の第5の実施形態として、光検出器の他の形態について説明する。第5の実施形態の光検出器が第1の実施形態の光検出器1と異なる点は、光学素子として、光学素子10における貫通孔の形状を、円柱形状に替えて図11に示されるようにスリット形状とした点である。
当該スリット形状の貫通孔12は、スリット形状の長手方向と垂直な方向に一列に並んでいる。この光学素子10は、図5に示される光学素子10と比べて、入射光が直線偏光の場合に光を変調する効率が更に高いという特徴を有する。
[第6の実施形態]
本発明の第6の実施形態として、光検出器の他の形態について説明する。第6の実施形態の光検出器が第1の実施形態の光検出器1と異なる点は、光学素子として、光学素子10に替えて図12及び図13に示される光学素子50を用いる点である。
光学素子50は、構造体51を備えており、構造体51は、第1の領域R1、及び第1の領域R1に対し、周期的に配列された第2の領域R2を有する。第1の領域R1及び第2の領域R2は、互いに屈折率が異なり、且ついずれも入射する光に対して透過性を有する。
構造体51は、所定の方向に高さを有する同一形状の複数の円柱体53aが、所定の方向に垂直な面に沿って平面視三角格子状に配置されて構成されている。なお、円柱体53aの高さは10nm〜2μmであることが好ましい。
ここで、第1の領域R1は、円柱体53aであり、第2の領域R2は、円柱体53a間の空間Sである。第1の領域R1及び第2の領域R2を構成する材料としては、それぞれ、第1の実施形態における光学素子10の第2の領域R2及び第1の領域R1と同様の材料が挙げられる。
なお、上記第6の実施形態の光検出器は、その光学素子50を別の態様とすることもできる。例えば、複数の円柱体53aの配置を、三角格子状に替えて正方格子状とすることもできる。また、第1の領域を構成する部分を、所定の方向に高さを有する複数の円柱体ではなく、所定の方向と垂直な方向に延びる複数の棒状体とし、これを第5の実施形態における光学素子のスリット形状のように同一平面上に配置して構造体を構成することもできる。
[第7の実施形態]
本発明の第7の実施形態として、光検出器の他の形態について説明する。第7の実施形態の光検出器100が第1の実施形態の光検出器1と異なる点は、図14に示されるように、コンタクト層5が、半導体積層体4の表面4aの全面に設けられていることに替えて、電極7の直下のみに設けられている点、及び、これに伴い光学素子10が半導体積層体4の表面4aに直接設けられている点である。後述する計算結果(図16)から明らかなように、光が光学素子を透過した際に所定の方向の電界成分が最も強く現れるのは、光学素子における光の出射側表面付近である。従って、本実施形態の光検出器100は、光学素子10と半導体積層体4とが直接接しているために、第1の実施形態の光検出器1と比べて、光の検出感度が高い。
なお、上記第7の実施形態の光検出器100は、その光学素子10を別の態様とすることもできる。例えば、当該光学素子10に替えて、上記第2〜第6の実施形態における光学素子を適用することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、第1の領域及び第2の領域を構成する材料として、文献(M.Choi et al., "A terahertz metamaterial with unnaturally high refractive index", Nature, 470, 369(2011).)に開示されているような、微細加工技術により誘電率と透磁率を人工的に操作したメタマテリアルと呼ばれる材料を用いてもよい。
また、本発明の光検出器においては、光学素子が、所定の方向における一方の側から光が入射したときに当該所定の方向の電界成分を生じさせるものであってもよいし、或いは、光学素子が、半導体積層体を介して所定の方向における他方の側から光が入射したときに当該所定の方向の電界成分を生じさせるものであってもよい。つまり、本発明の光学素子は、所定の方向に沿って光が入射したときに当該所定の方向の電界成分を生じさせるものである。
本発明における光学素子について、光が出射する側の近傍における電界強度分布を計算した。また、本発明における光学素子について、第1の領域と第2の領域の屈折率差を変化させた場合に、所定の方向の電界成分への変換効率がどのように変化するかを計算した。
[電界強度分布]
図13に示される光学素子10を対象とした。光学素子10の厚さ、並びに第1の領域R1及び第2の領域R2の構成材料及び寸法は次のとおりである。
光学素子の厚さ…0.5μm
第1の領域…ゲルマニウム(屈折率4.0)、幅0.7μm
第2の領域…空気(屈折率1.0)、幅が0.8μm
電界強度分布の計算は、FDTD(Finite-Difference Time-Domain)法(有限差分時間領域法)と呼ばれる逐次近似法にて行った。結果を図15及び図16に示す。ここで入射光は、波長5μmの平面波であり、図15及び図16における下方から上方に向けて(つまり所定の方向に)入射させた。図15は光学素子10における第1の領域R1及び第2の領域R2がなす面に(つまり所定の方向に垂直な面に)沿った方向の電界成分の強度を、図16は当該面に垂直な電界成分の強度をそれぞれ示している。
この計算結果によれば、入射光が光学素子10における第1の領域R1及び第2の領域R2を透過するときに変調され、所定の方向の電界成分を有しない光の少なくとも一部が、当該所定の方向の電界成分を有するようになったことを確認することができた。そして、図16によれば、所定の方向の電界成分は、光学素子10の近傍に、且つ光学素子10の出射側表面のうち第1の領域R1と第2の領域R2との境界付近から入射光が出射する方向に延びて、局在することが分かった。一方、この入射光の変調により所定の方向の電界成分に変換されなかった電界成分は、第1の領域R1及び第2の領域R2を透過した光とともに光学素子10の遠方へ伝播することを確認することができた。
換言すれば、図16から明らかなように、自由空間を伝播する光には生じ得ない、光の伝播方向の電界成分が生じていることが分かる。また、図15に示されるように第1の領域R1及び第2の領域R2がなす面に沿った電界成分が光学素子10から離れたところまで伝播しているのに対し、図16に示されるように所定の方向の電界成分は光学素子10の近傍に局在している。このことから、光学素子10による作用が、特許文献1に開示されているような単純な回折によるものではないことが分かる。
そして、この計算結果によれば、所定の方向の電界成分を有しない光を当該所定の方向の電界成分を有するように変調するためには、光学素子の材料が必ずしも金属でなくてもよい(自由電子の介在は必要ない)ことが分かる。すなわち、誘電体のように自由電子を持たない材料からなる周期構造を利用した場合でも、金属を利用した場合と同様もしくはそれ以上の効果が得られることが、シミュレーションによって導き出された。
[屈折率差による電界成分の変換効率]
次に、第1の領域と第2の領域の屈折率差を変化させた場合に、所定の方向の電界成分への変換効率がどのように変化するかを計算した。上記光学素子10の厚さを0.2μmに変更し、且つ第1の領域R1の屈折率を変化させた場合に、所定の方向に垂直な方向の電界成分を所定の方向の電界成分へと変換する効率がどのように変化するかを計算した。結果を図17に示す。図17によれば、第1の領域の屈折率nが1.0、すなわち第2の領域である空気と同じである場合には所定の方向の電界成分は生じていないが、第1の領域R1の屈折率を大きくするに従い所定の方向の電界成分の強度が大きくなる様子が分かる。
また、図9及び図10に示される光学素子40を用いて同様に、電界成分の変換効率を計算した。光学素子40のうち、第1の領域R1の直径を1.75μm、厚さを0.25μmとし、第2の領域R2との周期dを2.9μmに設定した。第1の領域R1の屈折率を変化させた場合に、所定の方向に垂直な方向の電界成分を所定の方向の電界成分へと変換する効率がどのように変化するかを計算した。結果を図18に示す。図18によれば、第1の領域の屈折率nが1.0、すなわち空気と同じである場合には所定の方向の電界成分は生じていないが、第1の領域R1の屈折率を大きくするに従い所定の方向の電界成分の強度が大きくなる様子が分かる。また、その電界成分の強度の大きさは、図17に計算結果を示した図11の光学素子10の場合に比べて、4倍の強度が得られている。
[第1の領域と第2の領域の幅比の変化に応じた電界強度の変化]
第1の領域(ゲルマニウム)及び第2の領域(空気)の周期を3.2μmで一定とし、これらの幅比を変化させた場合に、垂直電界強度のスペクトルがどのように変化するかを、FDTD法で計算した。なお、第1の領域及び第2の領域の厚さは0.8μmとした。
図19及び図20に示された光学素子50及び光検出器200を対象とした。光学素子50は、所定の方向に垂直な方向に延びる複数の棒状体53b(第1の領域R1)が、空間S(第2の領域R2)とともにストライプを形成するように同一平面上に互いに平行に配置されたものである。光検出器200は、光検出器1と比べて、光学素子50が用いられている点、及び、n型のInPからなる基板2が用いられ、第2の電極6が基板2の表面2aとは反対側の表面2bの全面に設けられている点が異なっている。
図21にシミュレーションの結果を示す。図21において、Dはゲルマニウムの線幅(μm)を示している。この結果によれば、ゲルマニウムの線幅が空気の線幅以上である場合(つまり、第1の領域の幅が第2の領域の幅以上である場合)において、赤外領域の入射光に対して垂直電界強度が大きくなる傾向にあることがわかる。例えば、ゲルマニウム:空気の比が2.8:0.4から3.1:0.1までの波長領域において鋭いピークが見られる。特に、ゲルマニウムの線幅が3.0μmのときに、波長3.7μm又は5.3μmの赤外光の入射によって、最大の垂直電界強度が得られることが分かる。このようなシミュレーションを利用すれば、第1の領域及び第2の領域の周期と線幅(もしくは径)との関係、或いは二種の線幅の相互関係について、入射光の波長において得られる電界強度が最大になるように、光学素子を設計することが可能である。
1,100,200…光検出器、2…基板、3,5…コンタクト層、4…半導体積層体、6,7…電極、10,20,30,40,50…光学素子、11,21,31,41,51…構造体、12,22…貫通孔、13,23,33,43…膜体、13a,23a…貫通孔間の部分、23a…凹部間の部分、24…埋設部材、32…凹部、33a…凹部間の部分、43a…凸部、R1…第1の領域、R2…第2の領域、S…空間。

Claims (12)

  1. 所定の方向に沿って波長が2〜1000μmの光を透過させて当該光を変調するための光学素子であって、
    ゲルマニウムからなる第1の領域、及び前記所定の方向に垂直な面に沿って前記第1の領域に対し周期的に配列された第2の領域を有する構造体を備え、
    前記第1の領域及び前記第2の領域は、互いに屈折率が異なり、且ついずれも前記光に対して透過性を有し、
    前記所定の方向の電界成分を有しない光を、前記所定の方向の電界成分を有するように変調する、光学素子と、
    前記光学素子に対して前記所定の方向における一方の側とは反対側の他方の側に配置され、前記光学素子を透過した前記光が有する前記所定の方向のみの電界成分によって電流を生じる半導体積層体と、
    前記半導体積層体の前記一方の側の表面に形成された第1のコンタクト層と、
    前記半導体積層体の前記他方の側の表面に形成された第2のコンタクト層と、を備え
    前記第2のコンタクト層、前記半導体積層体、前記第1のコンタクト層及び前記光学素子が前記他方の側から順に積層された基板を更に備え、
    前記光学素子は、前記第1のコンタクト層、前記第2のコンタクト層、前記半導体積層体及び前記基板とは別体として形成されているものである、光検出器。
  2. 前記第1の領域の屈折率と前記第2の領域の屈折率との差は、2以上である、請求項1記載の光検出器。
  3. 前記第1の領域に対する前記第2の領域の配列の周期は、1〜500μmである、請求項1又は2記載の光検出器。
  4. 前記構造体は、前記所定の方向に沿って貫通する複数の貫通孔が設けられた膜体を有し、
    前記第1の領域は、前記膜体における前記貫通孔間の部分であり、
    前記第2の領域は、前記貫通孔内の空間である、請求項1〜のいずれか一項記載の光検出器。
  5. 前記構造体は、前記所定の方向に沿って貫通する複数の貫通孔が設けられた膜体と、前記貫通孔内に埋設された埋設部材と、を有し、
    前記第1の領域は、前記膜体における前記貫通孔間の部分であり、
    前記第2の領域は、前記埋設部材である、請求項1〜のいずれか一項記載の光検出器。
  6. 前記構造体は、前記所定の方向における一方の側又は他方の側に開口する複数の凹部が設けられた膜体を有し、
    前記第1の領域は、前記膜体における前記凹部間の部分であり、
    前記第2の領域は、前記凹部内の空間である、請求項1〜のいずれか一項記載の光検出器。
  7. 前記構造体は、前記所定の方向における一方の側又は他方の側に開口する複数の凹部が設けられた膜体と、前記凹部内に埋設された埋設部材と、を有し、
    前記第1の領域は、前記膜体における前記凹部間の部分であり、
    前記第2の領域は、前記埋設部材である、請求項1〜のいずれか一項記載の光検出器。
  8. 前記構造体は、前記所定の方向における一方の側又は他方の側に突出する複数の凸部が設けられた膜体を有し、
    前記第1の領域は、前記凸部であり、
    前記第2の領域は、前記凸部間の空間である、請求項1〜のいずれか一項記載の光検出器。
  9. 前記構造体は、前記所定の方向における一方の側又は他方の側に突出する複数の凸部が設けられた膜体と、前記凸部間に埋設された埋設部材と、を有し、
    前記第1の領域は、前記凸部であり、
    前記第2の領域は、前記埋設部材である、請求項1〜のいずれか一項記載の光検出器。
  10. 前記第1のコンタクト層と電気的に接続された第1の電極と、
    前記第2のコンタクト層と電気的に接続された第2の電極と、を更に備える、請求項1〜のいずれか一項記載の光検出器。
  11. 前記光学素子は、前記一方の側から光が入射したときに前記所定の方向の電界成分を生じさせる、請求項1〜1のいずれか一項記載の光検出器。
  12. 前記光学素子は、前記半導体積層体を介して前記他方の側から光が入射したときに前記所定の方向の電界成分を生じさせる、請求項1〜1のいずれか一項記載の光検出器。
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