JP6001182B2 - 衝撃吸収用堤体 - Google Patents
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Description
落石や雪崩が保有する2000kJ以上の衝撃エネルギーに耐える大型の衝撃吸収用堤体が種々提案されている。
図9Bに示すように、この衝撃吸収用堤体60は、受撃体63に作用した衝撃Fを抵抗体61へ伝達する際に、伝導体62が衝撃を拡散して抵抗体61の受撃面へ伝達する特性を有している。
<1>抵抗体61の受撃面に対して衝撃Fの伝達範囲を拡張する方法としては、例えば伝導体62を前後方向に二重または三重に配列する方法がある。
この方法は伝導体62を多重に配置した分だけ衝撃吸収用堤体60の厚さが増すことから、衝撃吸収用堤体60の大型化とコストアップの問題が生じる。
<2>衝撃吸収用堤体60は道路、鉄道、或いは住宅等の既設構造物を保護するため、山裾に設置される。
しかしながら、山裾の設置予定現場の面積が衝撃吸収用堤体60の底面積に満たない場合には、衝撃吸収用堤体60を設置することができない。
<3>衝撃吸収用堤体60の設置面積を小さくする手段として、伝導体62を省略する方法が考えられる。
伝導体62が存在しないと、受撃体63から抵抗体61は受撃面の狭い範囲で衝撃を受け止めなければならないことから、抵抗体61を大型に製作する必要がある。
結果として、伝導体62を省略しても、衝撃吸収用堤体60の小型化を達成することはできない。
<4>図9Bに示すように、縦置きした複数の受撃体63のうちの一部の受撃体63に衝撃Fが作用すると、受撃体63の一部が瞬間的に浮き上がったり、受撃体63が中折れして倒れたりする。
受撃体63の一部が浮き上がると、受撃体63から伝導体62へ向けた衝撃Fの伝達面積が狭くなるから、従来の受撃体63は伝導体62および抵抗体61に対して衝撃Fを拡散して伝達する機能を十分に発揮しきれていない。
他の形態において、前記受撃体が縦長の袋体と、該袋体に封入された粒状の衝撃吸収材とからなる。
他の形態において、複数の受撃体の相互間で荷重を伝達可能に構成する手段としては、前記複数の受撃体の間を連結手段で連結して一体構造化するか、または複数の受撃体の周囲をシート状または網状の拘束体で被覆して一体構造化するか、または前記複数の受撃体の周囲をロープ状、またはベルト状の拘束体で結束して一体構造化する。
他の形態において、前記アンカー手段の基端を隣り合う受撃体の中間位置、または受撃体に固定して緩衝連続壁を抵抗体に分離不能に支持させる。
<1>衝撃吸収用堤体の概要
図1を参照して説明すると、本発明に係る衝撃吸収用堤体10は、補強盛土製で柔構造を呈する抵抗体20と、抵抗体20の受撃面21に配置した柔構造を呈する緩衝連続壁30と、緩衝連続壁30を抵抗体20に分離不能に支持するアンカー手段40とを具備する。
本発明の特徴は、緩衝連続壁30と抵抗体20との間における衝撃の伝達範囲を拡張して衝撃吸収用堤体10の衝撃吸収性能を高めることと、衝撃吸収用堤体10を小規模化することである。
抵抗体20は受撃体50を介して作用する落石等の衝撃を最終的に支持する土塊構造物であり、階層的に盛土22する工程とジオグリッド等の盛土補強材23を階層的に埋設する工程とを交互に繰り返して断面台形に構築したものである。
法面保護材はエキスパンドメタルや溶接金網等の有孔板を断面L字形に屈曲したもので、法面保護材の水平部に盛土補強材23の一端を接続すれば、法面の安定性が更に良くなる。
緩衝連続壁30は、抵抗体20の受撃面21に縦置きした複数の受撃体50を具備していて、複数の受撃体50の相互間で荷重を伝達可能に構成されている。
本例では、隣り合う受撃体50の間を連結手段35で連結して一体構造化した形態を示す。
受撃体50は縦長の袋体51と、袋体51に封入する粒状の衝撃吸収材52とにより構成する。
本発明では連結手段35を用いて複数の受撃体50を一体構造化することで、緩衝連続壁30に緩衝作用と荷重の分散伝達作用を付与することができる。
したがって、衝撃吸収用堤体10では従来の構造要素の一つである伝導体を省略することができる。
袋体51は内部に衝撃吸収材52を封入していて、受撃体50に衝撃が作用したときに袋体51が衝撃吸収材52を拘束することで衝撃Fを吸収する。
袋体51は引張強度に優れた素材で形成してあり、素材例としては、例えばジオテキスタイルやアラミド繊維、或いは鋼線等の高強度素線を用いることができる。
袋体51の上口を通じて衝撃吸収材52を中詰めした後、上口を閉鎖することで受撃体50を製作することができる。
衝撃吸収材52としては、例えば砂、砕石、現地発生土等の粒体を使用できる。
衝撃エネルギーの吸収性能を高めるためには、衝撃吸収材52として単粒度の砕石を用いることが望ましい。
連結手段35は、複数の受撃体50の相互間で荷重を伝達可能に連結するものである。
受撃体50の連結手段35の一例を図3A〜3Cに示す。
図3Aは隣り合う袋体51,51の間をロープ等の連結具36で縫合した形態を示し、図3Bは隣り合う袋体51,51の両側に予め延長片53を設け、重合させた延長片53,53の間をロープ等の連結具36で連結した形態を示し、図3Cは隣り合う袋体51,51の側面に予め接続片54を一体に形成し、接続片54を介して隣り合う袋体51,51の間を連結した形態を示す。
隣り合う袋体51,51の間の連結手段は上記した形態に限定されず、他の公知の連結手段を適用できる。
アンカー手段40は、緩衝連続壁30が抵抗体20の受撃面21から浮上することを防止するためのアンカー部材である。
アンカー手段40としては、公知の打込み式の固定ピン、ステップル、ステーアンカ等を使用できる。
アンカー手段40の基端の固定位置は、隣り合うふたつの受撃体50,30の中間位置に固定するか、または受撃体50に直接して固定してもよい。
つぎに図1,2を参照して衝撃吸収用堤体10の構築方法について説明する。
盛土補強材23を水平に敷設する工程と、盛土補強材23の上に階層的に盛土22をする工程とを繰り返して所定の高さと長さを有する抵抗体20を構築する。
以下の工程で以て、抵抗体20の斜面山側の傾斜した受撃面21に緩衝連続壁30を設置する。
抵抗体20の受撃面21に複数の受撃体50を縦置きする。
受撃体50は現場で袋体51の衝撃吸収材52を中詰めして封入するか、または現場と異なる場所で製作した衝撃吸収材52を現場へ搬入し、クレーン等で吊り上げて設置してもよい。
連結手段35を用いて、隣り合う受撃体50,50の間を一体に連結して複数の受撃体50を一体構造化する。
複数の受撃体50を一体構造化することで、抵抗体20の受撃面21の全面を被覆する柔構造の緩衝連続壁30が完成する。
緩衝連続壁30の複数箇所に複数のアンカー手段40を打ち込み、緩衝連続壁30を抵抗体20の受撃面21に固定して、衝撃吸収用堤体10の施工を完了する。
本例では緩衝連続壁30を設置した後にアンカー手段40を設ける場合について説明したが、抵抗体20を構築する際に予めアンカー手段40を抵抗体20に埋設して設置しておき、その後にそのアンカー手段40を利用して緩衝連続壁30を固定してもよい。
つぎに図2,4を参照して衝撃吸収用堤体10に衝撃Fが作用したときの緩衝作用について説明する。
緩衝連続壁30を構成する複数の受撃体50の間は連結手段35で連結されていて、隣り合う受撃体50の相互間で荷重の伝達が可能である。
したがって、緩衝連続壁30の一部に落石等の衝撃Fが作用すると、その衝撃Fは一体構造化された柔構造の緩衝連続壁30の全方向へ向けて分散(拡散)して伝達される。
緩衝連続壁30の全方向へ向けて分散された衝撃Fは、緩衝連続壁30を構成する複数の受撃体50が有する緩衝作用によって効率よく吸収される。
図2,4は緩衝連続壁30に衝撃Fが局所的に作用したときの状態を示している。
図2に示すように、緩衝連続壁30の一部に衝撃Fが作用すると、緩衝連続壁30の一部に受撃面21の離間方向へ向けた浮上力f1が発生して緩衝連続壁30がリバウンドしようとする。
緩衝連続壁30はアンカー手段40を介して抵抗体20に固定されていることから、緩衝連続壁30にはアンカー手段40の逆向きの抵抗力f2が生じる。
このように本発明では、常に緩衝連続壁30に対して浮上力f1に見合った抵抗力f2が生じるため、緩衝連続壁30を構成する受撃体50の部分的な浮き上がりを確実に阻止できるとともに、受撃体50の中折れも防止することができる。
アンカー手段40は受撃時における緩衝連続壁30の部分的な浮き上がりを防止するため、緩衝連続壁30と抵抗体20の受撃面21との間において、広い接触面積(抵抗面積)を確保することができる。
すなわち、図4に示すように、緩衝連続壁30を構成する複数の受撃体50が一体構造化されているので、複数の受撃体50が一体構造化されていない場合比較して、抵抗体20の受撃面21における衝撃Fの伝達範囲Eが格段に広くなる。
本発明に係る衝撃吸収用堤体10は、従来と比べて抵抗体20による衝撃Fの吸収効率が格段に高くなる。
一つ目の要因は、複数の受撃体50が一体構造化した緩衝連続壁30を経由することで、緩衝連続壁30から抵抗体20の受撃面21へ向けた衝撃Fの伝達面積が広範囲に拡張されることである。
二つ目の要因は、アンカー手段40により緩衝連続壁30の浮き上がりを拘束することで、緩衝連続壁30と抵抗体20の受撃面21の間における衝撃Fの伝達ロスが極めて小さくなることである。
本発明では、衝撃吸収用堤体10を衝撃Fの分散性能に優れた緩衝連続壁30と、小規模断面の抵抗体20の二重構造体として構成されるから、従来技術では設置が困難であった狭隘な現場に衝撃吸収用堤体10を設置することが可能となる。
以降に他の実施例について説明するが、その説明に際し、前記した実施例と同一の部位は同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
本例の緩衝連続壁30Aは、複数の受撃体50をシート状または網状の拘束体33で被覆して構成する。
拘束体33は複数の受撃体50をまとめて包囲するように外装して拘束する非伸縮性のシート状物または網状物である。
本例においては、複数の受撃体50をシート状の拘束体33で拘束することで一体構造化できるので、実施例1で開示した連結手段35を省略できる。
単に複数の受撃体50を拘束体33で巻き付けただけでは、複数の受撃体50を一体化する効果が十分ではない。
本例では、複数の受撃体50を外装したシート状または網状の拘束体33に複数のアンカー手段40の基端を固定することではじめて、拘束体33に複数の受撃体50の拘束効果を付与できるので、複数の受撃体50を一体化することができる。
すなわち、本例においてアンカー手段40は拘束体33と協働して、複数の受撃体50相互間で荷重伝達が可能なように複数の受撃体50を拘束する機能と、複数の受撃体50の浮き上がり防止する機能を併有する。
本例では、拘束体33とアンカー手段40とが協働して、実施例1の連結手段としての機能を発揮する。
アンカー手段40の基端は、シート状または網状の拘束体33の外側に固定する。
アンカー手段40の基端の固定位置は、図示するように隣り合う受撃体50,30の中間位置に固定するか、または受撃体50を貫通させて固定する。
アンカー手段40を隣り合う受撃体50,30の中間位置に固定すると、拘束体33の弛みを解消して複数の受撃体50の拘束効果が高くなる。
緩衝連続壁30Aおよび抵抗体20による緩衝作用、およびアンカー手段40による緩衝連続壁30Aの浮き上がり防止作用は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
また、緩衝連続壁30Aを構成する拘束体33が複数の受撃体50の周囲を被覆するので、受撃体50を紫外線劣化や落石の衝突等から保護できるといった利点がある。
図8を参照して、他の緩衝連続壁30Bを具備した衝撃吸収用堤体10について説明する。
本例の緩衝連続壁30Bは、複数の受撃体50をロープ状またはベルト状の拘束体34で結束して構成する。
<2>拘束体
拘束体34は受撃体50の交差方向に配置して、複数の受撃体50の周囲をループ状に巻き付けて拘束する非伸縮性のロープ状物、またはベルト状物である。
ロープ状またはベルト状の拘束体34は、複数の受撃体50の少なくとも上段、中段、下段をそれぞれループ状に包囲して拘束する。
本例では、複数の受撃体50をグループ化し、グループ化した単位で拘束体34をループ状に巻き掛ける形態を示す。
隣り合うグループの間で一部の受撃体50を共有させて複数の拘束体34を巻き掛けると、隣り合う各グループ間を一体構造化することができる。
また拘束体34は、すべての受撃体50をひとまとめにして巻き掛けてもよい。
アンカー手段40の基端の固定位置は、ふたつの受撃体50,30の中間に固定するか、または受撃体50に直接固定してもよい。
アンカー手段40は、緩衝連続壁30Bの浮き上がり防止する。
本例におけるアンカー手段40の機能について詳しく説明すると、アンカー手段40は拘束体34と協働して、緩衝連続壁30Bを構成する複数の受撃体50相互間で荷重伝達が可能なように複数の受撃体50を拘束する機能と、複数の受撃体50の浮き上がりを防止する機能を併有する。
緩衝連続壁30Bおよび抵抗体20による緩衝作用、およびアンカー手段40による緩衝連続壁30Bの浮き上がり防止作用は、実施例1と同様である。
20・・・・・抵抗体
21・・・・・受撃面
22・・・・・盛土
23・・・・・盛土補強材
30・・・・・緩衝連続壁
30A・・・・緩衝連続壁
30B・・・・緩衝連続壁
35・・・・・連結手段
40・・・・・アンカー手段
50・・・・・受撃体
51・・・・・袋体
52・・・・・衝撃吸収材
Claims (6)
- 抵抗体を主体とする衝撃吸収用堤体であって、
補強盛土製の抵抗体と、
前記抵抗体の受撃面に横列させて配置した縦長の受撃体を具備し、隣り合う複数の受撃体の相互間で荷重を伝達可能なように一体構造化した柔構造を呈する緩衝連続壁とによる二重構造体からなり、
受撃時に緩衝連続壁が抵抗体の受撃面から浮上するのを防止し得るように、前記緩衝連続壁を抵抗体に分離不能に支持するアンカー手段を具備することを特徴とする、
衝撃吸収用堤体。 - 前記受撃体が縦長の袋体と、該袋体に封入された粒状の衝撃吸収材とからなることを特徴とする、請求項1に記載の衝撃吸収用堤体。
- 横列させた前記複数の受撃体の間を連結手段で連結して一体構造化したことを特徴とする、請求項1又は2に記載の衝撃吸収用堤体。
- 横列させた前記複数の受撃体の周囲をシート状または網状の拘束体で被覆して一体構造化したことを特徴とする、請求項1又は2に記載の衝撃吸収用堤体。
- 横列させた前記複数の受撃体の周囲をロープ状、またはベルト状の拘束体で結束して一体構造化したことを特徴とする、請求項1又は2に記載の衝撃吸収用堤体。
- 前記隣り合う受撃体の中間位置、または受撃体にアンカー手段を打設したことを特徴とする、請求項1乃至5の何れか一項に記載の衝撃吸収用堤体。
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