JP6004895B2 - 汚染土壌の処理方法 - Google Patents
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Description
そこで、現在検討されている除染方法には、表土削り取り、水による土壌撹拌・除去、および反転耕等がある。これらの中でも、表土削り取り工法は、放射性物質を効率よく確実に除去できるため注目されている。該工法は、削り取りに用いる機械により、バックホウによる削り取り工法、ワイパー工法、ロータリーカッター工法、ターフストリッパー工法、スキマ―工法等がある。
しかし、前記工法はいずれも、(i)表土の削り取りに伴い放射性物質を含む土ぼこりが発生し易い。また、(ii)掘削土壌の運搬時や保管時にも土ぼこりが発生し、放射性物質が広範囲に拡散するおそれがある。さらに、(iii)表土の過剰な削り取りを抑制するための削り取り厚さの管理が難しいなどの問題がある。
例えば、特許文献1には酸化マグネシウムを含む重金属溶出抑制固化材が提案され、特許文献2にはMgOおよび/またはMgO含有材からなる有害物質汚染土壌用の固化不溶化剤が提案されている。また、特許文献3には酸化マグネシウムと石膏等の硫酸塩とを主成分とする土壌固化材が提案され、特許文献4には特定の酸化マグネシウムとマグネシウム等の硫酸塩と炭酸カルシウムとを特定の割合で含む土壌固化材が提案されている。
さらに、特許文献5では、特定の温度で焼成した粉末度が4000cm2/g以上の酸化マグネシウムを汚染土壌等に添加・混合する、汚染土壌等の固化・不溶化方法が提案されている。
[1]水/固化材比(質量比)が2.5〜4.5である下記固化材のスラリーを、汚染土壌1m2当たり酸化マグネシウム換算で1.5〜3.0kg添加して汚染土壌を固化し、固化した汚染土壌を除去することを特徴とする汚染土壌の処理方法。
固化材:酸化マグネシウムを50質量%以上含み、粒度の累積分布において、累積体積が20%となる粒径d 20 が7μm以下、累積体積が50%となる粒径d 50 が22μm以下、および累積体積が80%となる粒径d 80 が40μm以下である
[2]さらに、前記固化材のd50/d20が1.3〜6.0および/またはd80/d50が1.3〜5.0である、前記[1]に記載の汚染土壌の処理方法。
[3]前記汚染土壌が放射性セシウムによって汚染された土壌である前記[1]または[2]に記載の汚染土壌の処理方法。
以下に、固化材(必須成分、任意成分、粒度分布、比表面積)と、汚染土壌の処理方法に分けて詳述する。
固化材は特定量の酸化マグネシウムを必須成分として含み、かつ特定の粒度分布を有するものである。また、本発明の汚染土壌の処理方法は、特定の水/固化材比を有する前記固化材のスラリーを、汚染土壌に対し特定量添加して、汚染土壌を固化し、固化した汚染土壌を除去する方法である。
以下に、固化材(必須成分、任意成分、粒度分布、比表面積)と、汚染土壌の処理方法に分けて詳述する。
(1)必須成分
本発明で用いる固化材は必須成分として酸化マグネシウムを50質量%以上含むものである。
該酸化マグネシウムは、軽焼マグネシアおよび/または軽焼マグネシア部分水和物等である。これらの中で、軽焼マグネシアはマグネサイト、ドロマイト、ブルーサイト、または海水中のマグネシウム成分を消石灰等のアルカリで沈殿させて得た水酸化マグネシウム等を、650〜1300℃で焼成して得られるものである。該値が650℃未満では、軽焼マグネシアが生成しにくく、該値が1300℃を超えると固化強度が低下するおそれがある。前記焼成温度は、好ましくは750〜1000℃、より好ましくは800〜950℃である。また、前記焼成時間は原料の仕込み量や粒度等にもよるが、通常30分〜5時間である。
前記軽焼マグネシア部分水和物は、主成分である酸化マグネシウムおよび水酸化マグネシウムの2種について規定すると、好ましくは酸化マグネシウムを65〜96.5質量%および水酸化マグネシウムを3.5〜35質量%含有するものであり、より好ましくは酸化マグネシウムを70〜95質量%および水酸化マグネシウムを5〜30質量%含有するものであり、さらに好ましくは酸化マグネシウムを75〜90質量%および水酸化マグネシウムを10〜25質量%含有するものである。該値が前記の好ましい範囲であれば、固化強度はより高い。なお、前記軽焼マグネシア部分水和物は、酸化マグネシウムおよび水酸化マグネシウムのほかに、固化を阻害しない範囲で、その他の成分を含んでもよい。
また、農地保護の観点から、好ましくは、本発明で用いる固化材に含まれるSO3は7.0質量%以下、MnO2は1.0質量%以下、およびNa2Oeqは1.0質量%以下であり、より好ましくはSO3は5.0質量%以下、MnO2は0.3質量%以下、およびNa2Oeqは0.7質量%以下である。
また、本発明で用いる固化材は、任意成分として、高炉スラグ、炭酸マグネシウム、石膏、硫酸マグネシウム、硫酸第一鉄、塩化カルシウム、重焼リン、および熔リン等から選ばれる1種以上の固化促進剤や、不溶性フェロシアン化物、モンモリロナイト含有物、ゼオライトおよびバイデライト含有物等から選ばれる1種以上のセシウム吸着材等を含んでもよい。
これらの任意成分の含有率は、好ましくは50質量%未満、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。該成分が50質量%以上では、かえって固化強度が低下する場合がある。
本発明で用いる固化材の粒度分布は、該固化材の粒度の累積分布において、累積体積が20%となる粒径d20が7μm以下、累積体積が50%となる粒径d50が22μm以下、および累積体積が80%となる粒径d80が40μm以下である。粒度分布が該範囲にあれば、土壌への固化材の浸透性が高い。また、本発明で用いる固化材において土壌への浸透性をより高めるために、好ましくはd50/d20が1.3〜6.0および/またはd80/d50が1.3〜5.0である。
前記累積分布の曲線は、細かい粒子の側をゼロとした右上がりの曲線であり、レーザー回折・散乱式粒子径・粒度分布測定装置等、例えば、日機装社製の9320−X100(型番)と、溶媒に関東化学社製のエタノール(特級)を用いて測定することができる。
なお、固化材をスラリー(水を媒体とする懸濁液)にして用いる場合、水に溶解する成分はスラリー中では粉体として存在しないため、固化材の粒度分布は水に溶解する成分を除いて測定する。
d20は、好ましくは6μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは4.5μm以下、特に好ましくは4μm以下である。
d50は、好ましくは21μm以下、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは19μm以下、特に好ましくは18μm以下である。
d80は、好ましくは38μm以下、より好ましくは35μm以下、さらに好ましくは32μm以下、特に好ましくは30μm以下である。
また、d50/d20は、より好ましくは1.5〜5.5、さらに好ましくは1.6〜5.0、さらに好ましくは1.8〜4.5、特に好ましくは2.0〜4.0である。
d80/d50は、より好ましくは1.5〜4.5、さらに好ましくは1.6〜4.0、特に好ましくは1.6〜3.5、最も好ましくは1.6〜3.0である。
固化材の粒度分布がこれらの範囲にあれば、固化材の浸透性はさらに高くなる。土壌への浸透性が高いという本発明の効果を奏するためには、前記粒度分布を有することが重要であり、前記特許文献4および5に記載の粒度等からでは、前記粒度分布を特定することができない。
本発明で用いる固化材のブレーン比表面積は、固化強度の発現性を高めるためには、好ましくは6000cm2/g以上、より好ましくは8000cm2/g以上、さらに好ましくは10000cm2/g以上、特に好ましくは12000cm2/g以上である。
また、本発明で用いる固化材のBET比表面積は、有害物質の固定効果の観点から、好ましくは6m2/g以上、より好ましくは8m2/g以上、さらに好ましくは10m2/g以上、特に好ましくは15m2/g以上である。
ただし、固化材の製造コスト(粉砕コスト等)を考慮すると、前記ブレーン比表面積の上限は20000cm2/g以下であり、前記BET比表面積の上限は50m2/g以下である。
なお、固化材をスラリーにして用いる場合は、固化材の比表面積は、前記粒度分布の測定と同様、水に溶解する成分を除いて測定する。
次に、汚染土壌の処理方法について説明する。
該処理方法は、水/固化材比(質量比)が2.5〜4.5である前記固化材のスラリーを、汚染土壌1m2当たり酸化マグネシウム換算で1.5〜3.0kg添加して汚染土壌を固化し、固化した汚染土壌を除去する方法である。
前記汚染土壌は、例えば、放射セシウム、放射性ヨウ素およびプルトニウム等の放射性物質、セレン、ヒ素、クロムおよび鉛等の重金属、並びに、フッ素等の各種有害物質により汚染された土壌が挙げられる。
また、前記スラリーの水/固化材比(質量比)が2.5未満ではスラリーの土壌に対する浸透性が十分でなく、4.5を超えると固化強度が低下する場合がある。該値は、好ましくは2.6〜4.4、より好ましくは2.7〜4.3、さらに好ましくは2.8〜4.2、特に好ましくは3.0〜4.0である。
また、前記スラリーの汚染土壌に対する添加量が、汚染土壌1m2当たり酸化マグネシウム換算で1.5kg未満では土壌への浸透量(浸透深さ)が十分でなく、また、固化強度が低く、3.0kgを超えるとコストが高くなって経済的でない。該添加量は、放射性物質等の有害物質が存在する土壌の深さを事前に調査し、除く必要のある深さに応じて調整する。
また、本発明の固化方法の対象となる汚染土壌は、好ましくは乾燥密度が0.8〜1.2g/cm3、かつ含水比(水/土壌の質量比を百分率で示す。)が100%以下である。乾燥密度や含水比が前記範囲にあれば、前記スラリーの浸透性は高くなる。また、前記土壌の種類は特に限定されず、例えば、砂質土、粘性土、ローム、有機質土等が挙げられる。
固化材のスラリーを土壌へ散布等した後は、十分な固化強度を得るために一定期間養生することが好ましい。該養生期間は、前記固化促進剤の有無やその含有量にも依るが、好ましくは1日以上、より好ましくは3日以上、さらに好ましくは5日以上、特に好ましくは7日以上である。
本発明の固化材が土壌中に浸透する深さは3〜6cm程度であるから、固化した汚染土壌(表土)を除去する方法として該汚染土壌を削り取る方法が挙げられ、削り取りに用いる装置は、バックホウ、ワイパー、ロータリーカッター、ターフストリッパー、またはスキマー等が挙げられる。
酸化マグネシウムを50質量%以上含む本発明の固化材は白色である。固化材の色調をハンターL、a、b表色系で示すと、好ましくはL値が70以上、a値が5以下、およびb値が20以下であり、より好ましくはL値が80以上、a値が3以下、およびb値が15以下である。したがって、本発明の固化材が浸透して固化した表土はほぼ白色を呈しているため、削り取るべき層が容易に視認でき過剰な削り取りを防止することができる。したがって、除染対象が農地である場合、本発明の汚染土壌の固化方法を用いれば作土層を多く残して削り取ることができるため、除染等を行った後の土壌の作物生産性の低下を抑えることができる。
1.固化材の浸透深さと土ぼこりの発生状況
炭酸マグネシウムを850℃で2時間焼成して軽焼マグネシアを得た。該軽焼マグネシアは、表1に示す粒度分布を有し、酸化マグネシウムの含有率は92質量%であり、L値は85、a値は1.9、およびb値は10.4であった。
次に、該軽焼マグネシアを用いて表1に示す水/固化材比のスラリーを調製した後、表1に示す量(酸化マグネシウム換算)のスラリーを、放射性セシウムが表面から深さ3cmまでの範囲に存在する農地に散布した。
散布面にシートを被せて7日養生した後、農地を掘削して固化材の浸透深さ(土壌の縦断面の白色部分の深さ)を数点測定しその平均を求めた。その結果を表1に示す。
これに対し、比較例1〜5の浸透深さは2.5cm以下であり、該比較例では放射性セシウムが存在する層の一部しか固化することができなかった。
また、実施例1〜6において固化した表層をバックホウを用いて削り取ったところ、土ぼこりは発生しなかった。
Claims (3)
- 水/固化材比(質量比)が2.5〜4.5である下記固化材のスラリーを、汚染土壌1m2当たり酸化マグネシウム換算で1.5〜3.0kg添加して汚染土壌を固化し、固化した汚染土壌を除去することを特徴とする汚染土壌の処理方法。
固化材:酸化マグネシウムを50質量%以上含み、粒度の累積分布において、累積体積が20%となる粒径d 20 が7μm以下、累積体積が50%となる粒径d 50 が22μm以下、および累積体積が80%となる粒径d 80 が40μm以下である - さらに、前記固化材のd50/d20が1.3〜6.0および/またはd80/d50が1.3〜5.0である、請求項1に記載の汚染土壌の処理方法。
- 前記汚染土壌が放射性セシウムによって汚染された土壌である請求項1または2に記載の汚染土壌の処理方法。
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