JP6007142B2 - 優れた接着性能を有する極性オレフィン系多元共重合体 - Google Patents
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Description
そこで、極性の高い異種材料との接着性を向上させるために、有機過酸化物を用いて極性基含有モノマーをグラフトする方法が広く行われているが、この方法では、グラフト化反応と並行してオレフィン系樹脂双方の分子間架橋、及びオレフィン系樹脂の分子鎖切断などが発生するため、グラフト変性物にオレフィン系樹脂の優れた物性が維持されないという問題が発生している。
また、接着性改良手段として共重合手法による極性官能基導入が検討されているが、従来、オレフィンと極性官能基を有するコモノマー(極性コモノマー)とを共重合する手段はラジカル重合法に限定されていた(特許文献1及び特許文献2)。その共重合体中には多くの分岐構造を有し、低弾性率かつ機械物性の低いコポリマーしか得ることができず、その応用範囲は限定的であった。
これまでに、極性コモノマーとして、アクリル酸エステル(特許文献3〜8)、アクリロニトリル(非特許文献1)、ビニルエーテル(非特許文献2)などが報告されている。ノルボルネン骨格を有する極性コモノマーを用いた共重合もまた報告されている(非特許文献3)が、本願発明者による評価の結果、それらの性能は不十分であった(特に接着性において、本願の実施例参照)。なお、ノルボルネン極性コモノマーによる多元共重合体の製法も報告されているが(特許文献9)、ラジカル重合触媒による、オレフィン含量の低い、アクリレート系共重合体の製造に限られている。
その結果、モノマー成分として特異な極性コモノマーを含む多元モノマーを選択し、そのうちの極性モノマー成分として、ノルボルネン骨格を有する極性コモノマーを含む多元共重合体が、上記の課題を解決することを見い出して、発明を完成するに至った。
また、特定構造の錯体を重合触媒に用いることで、上記の多元共重合体が容易に得られることをも見い出し、製法としての発明をも創生するに至った。
ここで、[1]における、特定構造を有する多元系極性オレフィン共重合体が、基本発明[1]として構成され、[2]以下の各発明は、基本発明に付随的な要件を加え、或いはその実施の態様を示すものである。そして、[12]〜[15]の発明は、本発明の特定構造を有する多元系極性オレフィン共重合体の製法に係り付加的な要件を規定している。なお、全発明単位をまとめて発明群と称す。
[3]ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって求められる重量平均分子量(Mw)が20,000〜1,000,000の範囲であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の多元系極性オレフィン共重合体。
[4]13C−NMRにより算出されるメチル分岐度が、コポリマー1,000炭素当たり5.0以下であることを特徴とする、[1]〜[3]における多元系極性オレフィン共重合体。
[5]X1は一種の非極性モノマーであることを特徴とする、[1]〜[4]における多元系極性オレフィン共重合体。
[6]Z1において、T1、T2が、T1及びT2で連結して環状構造を形成した酸無水物基であることを特徴とする、[1]〜[5]における多元系極性オレフィン共重合体。
[8]Z2を必須モノマー単位として含み、Z2において、T3が炭素数2〜10のエステル基であることを特徴とする、[1]〜[7]における多元系極性オレフィン共重合体。
[9]共重合体中の、モノマーZ1とモノマーZ2とのモル比が0.001〜10.000であることを特徴とする、[1]〜[8]における多元系極性オレフィン共重合体。
[10]ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比が1.5〜3.5の範囲であることを特徴とする、[1]〜[9]における多元系極性オレフィン共重合体。
[11]融点が50℃〜140℃であることを特徴とする、[1]〜[10]における多元系極性オレフィン共重合体。
[13]遷移金属触媒が、パラジウム金属にトリアリールホスフィン又はトリアリールアルシン化合物が配位した遷移金属触媒であることを特徴とする、[12]における多元系極性オレフィン共重合体。
[14]トリアリールホスフィン又はトリアリールアルシン化合物が、少なくとも一つは二級又は三級のアルキル基で置換されたフェニル基を有することを特徴とする、[13]における多元系極性オレフィン共重合体。
[15]キレート性配位子を有する第5〜10族の遷移金属触媒の存在下に重合されることを特徴とする、[1]〜[11]のいずれかにおける多元系極性オレフィン共重合体の製造方法。
(1)非極性モノマーX1
本発明に用いられる非極性モノマーX1は、エチレン及び/又は炭素数3〜10のα−オレフィンから選ばれる。
好ましい具体例として、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンが挙げられ、特に好ましい具体例として、エチレンが挙げられる。また、X1は、一種類を使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
二種の組み合わせとしては、エチレン/プロピレン、エチレン/1−ブテン、エチレン/1−ヘキセン、エチレン/1−オクテン、プロピレン/1−ブテン、プロピレン/1−ヘキセン、プロピレン/1−オクテンなどが挙げられる。好ましくは、エチレンを含む組み合わせが挙げられる。
三種の組み合わせとしては、エチレン/プロピレン/1−ブテン、エチレン/プロピレン/1−ヘキセン、エチレン/プロピレン/1−オクテン、プロピレン/1−ブテン/ヘキセン、プロピレン/1−ブテン/1−オクテンなどが挙げられる。好ましくは、エチレンを含む組み合わせが挙げられる。
本発明に用いられるモノマーZ1は、一般式(1)で表される化合物から選ばれる極性コモノマーである。
以下において、Z1、Z2において、T1、T2、T3について詳細に説明する。炭素数1〜20の炭化水素基であるT1、T2は、好ましくは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数の2〜20アルケニル基、炭素数6〜20のアリール基が挙げられる。
好ましい具体例は、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシ−n−プロピル基、2−ヒドロキシ−n−プロピル基、3−ヒドロキシ−n−プロピル基、1−ヒドロキシ−イソプロピル基、2−ヒドロキシ−イソプロピル基、2,2’−ジヒドロキシ−イソプロピル基、1−ヒドロキシ−n−ブチル基、2−ヒドロキシ−n−ブチル基、3−ヒドロキシ−n−ブチル基、4−ヒドロキシ−n−ブチル基、1−ヒドロキシ−1−メチル−プロピル基、1−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル基、2−ヒドロキシ−1−メチル−プロピル基、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル基、3−ヒドロキシ−1−メチル−プロピル基、3−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル基、3−ヒドロキシ−3−メチル−プロピル基であり、これらのうちで好ましくは、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基であり、特に好ましくは、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基である。
更に好ましくはメトキシ基又はエトキシ基で置換された炭素数2〜6の炭化水素基であり、具体的には、1−(メトキシメチル)エチル基、1−(エトキシメチル)エチル基、1−(フェノキシメチル)エチル基、1−(メトキシエチル)エチル基、1−(エトキシエチル)エチル基、ジ(メトキシメチル)メチル基、ジ(エトキシメチル)メチル基、ジ(フェノキシメチル)メチル基が挙げられる。
特に好ましくは、1−(メトキシメチル)エチル基、1−(エトキシメチル)エチル基である。
モノマーとして不飽和ジカルボン酸無水物を用いた共重合体は、含有するジカルボン酸無水物基が空気中の水分と反応して開環し、一部がジカルボン酸となる場合がある。本発明の主旨を逸脱しない範囲においてならば、ジカルボン酸無水物基が開環していても良い。
(1)共重合体の種類
本発明の共重合体は、X1、Z1、任意にZ2から選ばれる3種以上のモノマー単位を含む共重合体である。
具体的には、エチレン/プロピレン/ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、エチレン/1−ブテン/ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、エチレン/1−ペンテン/ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、エチレン/1−ヘキセン/ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、エチレン/1−オクテン/ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、エチレン/1−デセン/ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、エチレン/3−メチル−1−ブテン/ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、エチレン/4−メチル−1−ペンテン/ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、エチレン/アクリル酸メチル/ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、エチレン/アクリル酸エチル/ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、エチレン/アクリル酸n−ブチル/ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、エチレン/アクリル酸イソブチル/ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、エチレン/アクリル酸t−ブチル/ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、エチレン/アクリル酸グリシジル/ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、エチレン/アクリル酸(4−グリシジロキシブチル)/ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、エチレン/アクリル酸ヒドロキシエチル/ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物などが挙げられる。
本発明における共重合体は、共重合体中のZ1及びZ2のモノマーに由来する構造単位量が0.001〜10.000mol%であることが好ましい。これらのうちで特に、0.010〜5.000mol%の範囲で選択されることが好ましい。また、共重合体中の、モノマーZ1と、モノマーZ2とのモル比が0.001〜10.000の範囲であることが好ましい。このうちで更に好ましくは0.001〜1.000の範囲であり、特に好ましくは0.001〜0.500の範囲である。
本発明における共重合体は、分子鎖内部に含まれるZ1及びZ2のモノマーに由来する構造単位量が、分子鎖末端に含まれるZ1及びZ2のモノマーに由来する構造単位量よりも多いことが好ましい。
この極性モノマー構造単位量の制御においては、モノマーZ1、Z2のモル比は、重合時に添加するモノマーZ1、Z2の量比や、遷移金属触媒の選択や、重合時の圧力や温度で制御することが可能である。
本発明における共重合体は、13C−NMRにより算出されるメチル分岐度が、コポリマー1,000炭素当たり5.0以下であることが好ましい。このうちで特に好ましくは、コポリマー1,000炭素あたり3.0以下である。メチル分岐がこの数値を満たすと弾性率が高く、成形体の機械強度も高くなる。
このメチル分岐度は、使用する遷移金属触媒の選択や、重合温度で制御することが可能である。共重合体のメチル分岐度を低下させる具体的手段として、重合温度の低下が有効である。例えば、これらの因子を調節して、目的とするコポリマー領域に制御することができる。
本発明における共重合体は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって求められる重量平均分子量(Mw)が20,000〜1,000,000であることが好ましい。このうちで更に好ましくは45,000〜500,000の範囲であり、特に好ましくは50,000〜300,000の範囲である。
本発明における共重合体の分子量が上述の条件を満たすと、積層体の成形を始めとして各種加工性が十分となり、さらに、前述の極性モノマー構造単位量と両立することで接着強度により優れた材料を提供することができる。分子量及び分子量分布は、遷移金属触媒の選択や、重合時の圧力や温度で制御することが可能である。
この融点は、使用する遷移金属触媒の選択や重合時に添加するモノマー量で制御することが可能である。
(1)遷移金属触媒
本発明の極性基含有オレフィン共重合体の製造方法の一例として、キレート性配位子を有する第5〜10族の遷移金属化合物を触媒として用い、重合する方法がある。
好ましい遷移金属の具体例として、バナジウム原子、ニオビウム原子、タンタル原子、クロム原子、モリブデン原子、タングステン原子、マンガン原子、鉄原子、ルテニウム原子、コバルト原子、ロジウム原子、ニッケル原子、パラジウム原子などが挙げられる。これらの中で好ましくは、バナジウム原子、鉄原子、コバルト原子、ニッケル原子、パラジウム原子であり、特に好ましくは、ニッケル原子、パラジウム原子である。これらの金属は、単一であっても複数を併用してもよい。
0−260913号公報を参照)。ホスフィンフェノラート系触媒は、本発明の実施例においても使用され、置換基を有していてもよいアリール基を有するリン系リガンドが、ニッケル又はパラジウム金属に配位した触媒であり(例えば、特開2010−20264
7号公報を参照)、特に、トリアリールホスフィン又はトリアリールアルシン化合物が、少なくとも一つは二級又は三級のアルキル基で置換されたフェニル基を有することが好ましい(例えば、特開2010−150246号公報を参照)。
本発明の重合触媒は、単独で用いてもよく、また担体に担持して用いることもできる。使用可能な担体としては、本発明の主旨を損なわない限りにおいて、任意の担体を用いることができる。
一般に、無機酸化物やポリマ−担体が好適に使用できる。具体的には、SiO2、Al2O3、MgO、ZrO2、TiO2、B2O3、CaO、ZnO、BaO、ThO2など又はこれらの混合物が挙げられ、SiO2−Al2O3、SiO2−V2O5、SiO2−TiO2、SiO2−MgO、SiO2−Cr2O3などの混合酸化物も使用することができ、無機ケイ酸塩、ポリエチレン担体、ポリプロピレン担体、ポリスチレン担体、ポリアクリル酸担体、ポリメタクリル酸担体、ポリアクリル酸エステル担体、ポリエステル担体、ポリアミド担体、ポリイミド担体などが使用可能である。
これらの担体については、粒径、粒径分布、細孔容積、比表面積などに特に制限はなく、任意のものが使用可能である。
本発明における共重合反応は、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素溶媒や液化α−オレフィンなどの液体、また、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、安息香酸メチル、アセトン、メチルエチルケトン、ホルミルアミド、アセトニトリル、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなどのような極性溶媒の存在下或いは非存在下に行われる。また、ここで記載した液体化合物の混合物を溶媒として使用してもよい。なお、高い重合活性や高い分子量を得るうえでは、上述の炭化水素溶媒がより好ましい。
具体的には、モノメチルエーテルハイドロキノンや、2,6−ジ−t−ブチル4−メチルフェノール(BHT)、トリメチルアルミニウムとBHTとの反応生成物、4価チタンのアルコキサイドとBHTとの反応生成物などが使用可能である。
また、添加剤として、無機及び又は有機フィラーを使用し、これらのフィラーの存在下で重合を行ってもよい。
また、重合様式としては、バッチ重合、セミバッチ重合、連続重合のいずれの様式でもよい。
即ち、共重合温度は、通常−20℃から290℃、好ましくは0℃から250℃、共重合圧力は、0.1MPaから100MPa、好ましくは、0.3MPaから90MPa、共重合時間は、0.1分から10時間、好ましくは、0.5分から7時間、更に好ましくは1分から6時間の範囲から選ぶことができる。
本発明において、共重合は、一般に不活性ガス雰囲気下で行われる。例えば、窒素、アルゴン雰囲気が使用でき、窒素雰囲気が好ましく使用される。なお、少量の酸素や空気の混入があってもよい。
連鎖移動剤を使用する場合には、従来公知の連鎖移動剤を用いることができる。例えば、水素、メタルアルキルなどを使用することができる。
(1)添加剤
本発明の多元共重合体には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、顔料、架橋剤、発泡剤、核剤、難燃剤、充填材などの添加剤を配合しても良い。
本発明の多元共重合体は、例えば射出成形、押出成形、ブロー成形、発泡成形など成形法により、射出成形品、フィルム及び積層フィルム、シート及び積層シート、繊維、中空成形品、発泡シートなどの成形品にすることができる。なかでも、本発明の多元共重合体は接着性が優れているので、本発明の多元共重合体を含む層と、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、或いはポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂鹸化物(EVOH)などの極性の高い熱可塑性樹脂、アルミニウム、スチールなどの金属材料などのその他の層との積層体とすることもできる。
本発明の極性オレフィン共重合体は、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの各種樹脂の改質材、或いは、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂とポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、液晶樹脂などのエンジニアリングプラスチックとの相溶化剤としても好適に適用される。
また、他の用途としては、鋼管被覆、電線被覆、線材被覆、ドラム缶及びタンクの内壁被覆などの被覆用、或いは難燃剤に使用されるカップリング材などとして使用される。
(1)分子量及び分子量分布(Mw、Mn、Q値)
(測定条件)使用機種:ウォーターズ社製150C 検出器:FOXBORO社製MIRAN1A・IR検出器(測定波長:3.42μm) 測定温度:140℃ 溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB) カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本) 流速:1.0mL/分 注入量:0.2mL
(試料の調製)試料はODCB(0.5mg/mLのBHT(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノ−ル)を含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させた。
(分子量の算出)標準ポリスチレン法により行い、保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行った。使用する標準ポリスチレンは何れも東ソ−社製の銘柄であり、F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000、である。各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成した。較正曲線は最小二乗法で近似して得られる三次式を用いた。分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは以下の数値を用いた。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PE:K=3.92×10−4、α=0.733
PP:K=1.03×10−4、α=0.78
セイコーインスツルメンツ社製DSC6200示差走査熱量測定装置を使用して、シート状にしたサンプル片を5mgアルミパンに詰め、室温から一旦200℃まで昇温速度100℃/分で昇温し、5分間保持した後に、10℃/分で20℃まで降温して結晶化させた後に、10℃/分で200℃まで昇温することにより融解曲線を得た。
融解曲線を得るために行った最後の昇温段階における主吸熱ピークのピークトップ温度を融点Tmとし、該ピークのピーク面積をΔHmとした。
溶媒にはオルトジクロロベンゼン/重ブロモベンゼン(4/1)混合溶媒を使用した。サンプル濃度は150mg/2.4mLとし、NMR試料管に導入してから十分に窒素置換を行った後、130℃のヒートブロック中で溶解させて均一な溶液とした。BrukerAvanceIIICryo−NMR、10mmφクライオプローブを用い、130℃で測定を行った。
測定条件は以下の通りで、1H−NMR:溶媒プレサチュレーション法は、18°パルス、積算256回、13C−NMRは、プロトン完全デカップル条件、90°パルス、積算512回。
〔ii〕1H−NMRスペクトルで、3ppm、3.3〜3.5ppm、4.1ppmの(4−グリシジロキシブチル)アクリレート(4−HBAGE)中で酸素に単結合した3種のメチレンプロトン及び1種のメチンプロトンによるピーク強度の和を2/7倍した値IHBAGEを求めた。4−HBAGEは全量が鎖中孤立型で存在していたため、これが、近似的に主鎖1,000C中の4−HBAGE個数となる。
〔iii〕1H−NMRスペクトルで、3.1ppmのノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(NB−DCA)のカルボニル基に隣接したメチンプロトンから、INB−DCAを求めた。これが、近似的に主鎖1,000Cに対する共重合体中に組み込まれたNB−DC個数(主鎖中孤立型と不飽和末端型との総和)となる。
[iv]ノルボルネン含量の算出は28.5〜31.5ppmのPEメインピーク強度を、1,000に規格化した時のノルボルネンの3本のピーク(33.1、44.8、及び47.3ppm)の強度和を5で割ってINBとした。これが、近似的に主鎖1,00
0Cに対する共重合体中に組み込まれたノルボルネン個数となる。
〔v〕13C−NMRスペクトルで、23.4ppmの1−ヘキセンのメチル基に隣接したメチレン炭素による信号の積分強度、IHexを求めた。これが、近似的に主鎖1,00
0Cに対する共重合体中に組み込まれた1−ヘキセン個数となる。
〔vi〕13C−NMRスペクトルで、20.0ppmのメチル分岐のメチル炭素による信号の積分強度、IMethylを求めた。これが、コポリマー1,000炭素あたりのメチル分岐数となる。
MFRは、JIS K6760に準拠し、190℃、2.16kg荷重で測定した。FR(フローレイト比)は、190℃、10kg荷重の条件で同様に測定したMFRであるMFR10kgとMFRとの比(=MFR10kg/MFR)から算出した。
密度は、JIS K7112に準拠し、MFR測定時に得られるストランドを100℃で1時間熱処理し、更に室温で1時間放置した後に密度勾配管法で測定した。
接着強度は以下の工程を経ることにより測定する。
〔i〕共重合体のプレス板とEVOHフィルムをそれぞれ調製する。
〔ii〕共重合体のプレス板とEVOHフィルムを重ね合わせて熱プレスすることによって積層体を調整する。
〔iii〕積層体の剥離試験を行う。
各工程について、以下に説明する。
共重合体を、寸法:50mm×60mm、厚さ1mmの加熱プレス用モールドに入れ、表面温度180℃の熱プレス機中で5分間予熱後、加圧と減圧を繰り返すことで溶融樹脂中の残留気体を脱気し、更に4.9MPaで加圧し、5分間保持した。その後、表面温度25℃のプレス機に移し替え、4.9MPaの圧力で3分間保持することで冷却し、厚さが約0.9mmの共重合体樹脂板を作製した。
多層Tダイ成形機を用い、中央層がEVOH、両外層がLLDPEの2種3層多層フィルムを成形後、外層のLLDPEを剥離することで、厚さ150μmのEVOHの単層フィルムを調製した。フィルム成形条件は以下の通りである。
成形機:2種3層Tダイ 成形温度:200℃ 層構成:LLDPE/EVOH/LLDPE 膜厚:350μm(100μm/150μm/100μm) 外層:LLDPE(日本ポリエチレン(株)社製 銘柄:ノバテック UF943、MFR=2.0g/10分、密度=0.937/cm3) 中間層:EVOH((株)クラレ製 銘柄:エバール F101B)
上記の樹脂板調製方法によって得られた共重合体の樹脂板と、上記EVOHフィルムの調製方法によって得られたEVOHフィルムを50mm×60mmの寸法に切断したものを重ね合わせ、寸法:50mm×60mm、厚さ1mmの加熱プレス用モールドに入れ、表面温度200℃の熱プレス機を用いて4.9MPaで4分間加圧した。その後、表面温度25℃のプレス機に移し替え、4.9MPaの圧力で3分間保持することで冷却し、極性基含有オレフィン共重合体とEVOHの積層体を調製した。
積層体の調製方法によって得られた積層体を10mm幅に切断し、テンシロン(東洋精機(株)製)引張試験機を用いて、50mm/分の速さでT剥離することで接着強度を測定した。接着強度の単位はgf/10mmで示した。
下記合成例で得られた配位子を用いた。なお、以下の合成例で特に断りのない限り、操作は精製窒素雰囲気下で行い、溶媒は脱水・脱酸素したものを用いた。
(合成例1)配位子(I)の合成
無水ベンゼンスルホン酸(2g,12.6mmol)のテトラヒドロフラン(50mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,10mL,25.3mmol)を0℃でゆっくりと滴下し、室温まで温度を上昇させながら1時間撹拌した。反応液を−78℃まで冷却し、三塩化リン(1.0mL,12.6mmol)を加え、2時間撹拌した(反応液A)。
1−ブロモ−2−シクロヘキシルベンゼン(6g,25.3mmol)のテトラヒドロフラン(50mL)溶液に、t−ブチルリチウムヘキサン溶液(1.6M,31.6mL,50.6mmol)を0℃でゆっくりと滴下し、1時間撹拌した。この溶液を、先ほどの反応液Aに−78℃で滴下し、室温で一晩撹拌した。LC−MS純度50%・水(200mL)を加え、塩酸を加えて酸性にした(PH<3)。塩化メチレン抽出し(1
00mL×3)、硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=50/1)により精製し、白色の目的物を1.0g得た。
1H−NMR (CDCl3,ppm):7.86 (m,1H),7.30 (dt,J=1.2,7.6Hz,1H),7.24−7.15 (m,5H),6.96 (m,21H),6.83 (m, 1H),6.57 (m,2H),3.21 (br,2H), 1.55 (br, 8H), 1.31 (br,4H),1.14 (br,8H) . 31P−NMR (CDCl3, ppm): −28.
7.
無水ベンゼンスルホン酸(2g,12.6mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,10mL,25.3mmol)を0℃でゆっくりと滴下し、室温まで温度を上昇させながら1時間撹拌した。反応液を−78℃まで冷却し、三塩化リン(1.0mL,12.6mmol)を加え、2時間撹拌した(反応液B1)。
マグネシウムをテトラヒドロフラン(20mL)に分散させ、1−ブロモ−2−メトキシベンゼン(2.3g,12.6mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。この溶液を、先ほどの反応液B1に−78℃で滴下し、1時間撹拌した(反応液B2)。
1−ブロモ−2−イソプロピルベンゼン(2.5g,12.6mmol)のジエチルエーテル(20mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,5.0mL,12.6mmol)を−30℃でゆっくりと滴下し、室温で2時間撹拌した。この溶液を、先ほどの反応液B2に−78℃で滴下し、室温で一晩撹拌した。LC−MS純度60%・水(50mL)を加え、塩酸を加えて酸性にした(PH<3)。塩化メチレン抽出し(100mL)、硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去した。メタノールで再結晶化することにより、白色の目的物を1.1g得た。
1H−NMR (CDCl3,ppm): 8.34 (t, J=6.0Hz, 1H), 7.7−7.6 (m, 3H), 7.50 (t, J=6.4Hz, 1H),7.39 (m,1H), 7.23 (m, 1H), 7.1−6.9 (m, 5H),3.75 (s, 3H), 3.05(m,1H), 1.15 (d, J= 6.8Hz,3H), 1.04 (d, J=6.4Hz,3H). 31P−NMR (CDCl3, ppm):−10.5.
[実施例1](エチレン/ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(NB−DCA)/アクリル酸メチル三元共重合)
充分に窒素置換した30mLフラスコに、200μmolのビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムとリンスルホン酸配位子(II)をそれぞれ秤量し、脱水トルエン(1
0mL)を加えた後、これを超音波振動機にて20分間処理することで、触媒スラリーを調製した。次に、内容積2.4Lの誘導撹拌機付ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、アクリル酸メチル(コモノマー濃度0.2mol/L)、ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(コモノマー濃度0.2mol/L)、精製トルエンを精製窒素雰囲気下にオートクレーブ内に導入した(全量800mL)。先に調製した触媒溶液を添加し、重合温度80℃、エチレン圧1MPaで重合を開始した。反応中は温度を一定に保ち、圧力が保持されるように連続的にエチレンを供給した。
重合終了後、エチレンをパージ、オートクレーブを室温まで冷却し、得られたポリマーをアセトン(1L)を用いてポリマーを再沈させ、沈殿したポリマーを濾過した。濾過により得られた固形ポリマーをアセトンで洗浄後、60℃で3時間減圧乾燥することで、最終的にポリマーを回収した。
Vp・3.54×105g/mol/h; Mw・87,000; Mw/Mn(Q値)1.9; Tm・122.6℃; MFR(2kg)1.90/(10kg)12.6
0; 密度・0.9501; コモノマー含量・(ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物)0.07mol%、(アクリル酸メチル)0.72mol%;メチル分岐・0.46
表1に示すコノモマー種、コモノマー濃度、及び重合温度に変更する以外は、実施例1に準じて、共重合体を製造した。重合体の物性評価結果を表2にまとめた。
表1及び表2において、実施例1〜5では、モノマー成分として極性コモノマーを含む多元(三元)共重合体、そのうちの極性モノマー成分として、ノルボルネン骨格を有する極性コモノマーを含む多元共重合体を得られることを明らかにした。
また、接着性評価の結果、本発明は、本発明の三元コモノマーを使用しない、比較例1〜3に対して接着性が格別に向上することを明らかにし、本発明による共重合体の有用性を示した。
かくして、接着性能に格別に優れた、新規な共重合体を提供しうることになり、ポリオレフィン共重合体の産業分野において格別に有用となる。
Claims (15)
- エチレン及び炭素数3〜10のα−オレフィンから選ばれる一種又は二種以上の非極性モノマー(X1)単位と、一般式(1)で表される化合物から選ばれる一種又は二種以上の極性モノマー(Z1)単位と、一般式(2)で表される化合物から選ばれる一種又は二種以上の極性モノマー(Z2)単位とからなることを特徴とする、多元系極性オレフィン共重合体(但し、X1、Z1、Z2として用いるモノマー単位の種類は3種以上である。)。
[モノマーZ1は、一般式(1)からなる群より選ばれることを特徴とし、一般式(1)において、T1、T2は、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、水酸基、水酸基で置換された炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10のアルコキシ基で置換された炭素数2〜20の炭化水素基、炭素数2〜10のエステル基で置換された炭素数3〜20の炭化水素基、炭素数3〜18のシリル基で置換された炭素数4〜20の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリーロキシ基、カルボキシル基、炭素数2〜10のエステル基、炭素数2〜10のアシルオキシ基、アミノ基、炭素数1〜12の置換アミノ基、炭素数3〜18のシリル基、及び、ハロゲンからなる群より選ばれた置換基を示し、少なくとも一方が、水酸基、水酸基で置換された炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10のアルコキシ基で置換された炭素数2〜20の炭化水素基、炭素数2〜10のエステル基で置換された炭素数3〜20の炭化水素基、炭素数3〜18のシリル基で置換された炭素数4〜20の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリーロキシ基、カルボキシル基、炭素数2〜10のエステル基、炭素数2〜10のアシルオキシ基、アミノ基、炭素数1〜12の置換アミノ基、炭素数3〜18のシリル基、及び、ハロゲンからなる群より選ばれた置換基を示す。また、T1及びT2は連結して環状構造を形成してもよい。
モノマーZ2は、一般式(2)からなる群より選ばれることを特徴とし、一般式(2)において、T3は、水酸基で置換された炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10のアルコキシ基で置換された炭素数2〜20の炭化水素基、炭素数2〜10のエステル基で置換された炭素数3〜20の炭化水素基、炭素数3〜18のシリル基で置換された炭素数4〜20の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリーロキシ基、カルボキシル基、炭素数2〜10のエステル基、炭素数2〜10のアシルオキシ基、アミノ基、炭素数1〜12の置換アミノ基、炭素数3〜18のシリル基、及び、ハロゲンからなる群より選ばれた置換基を示す。] - Z1及びZ2に由来するモノマー単位の合計量が0.001〜10.000mol%であることを特徴とする、請求項1に記載の多元系極性オレフィン共重合体。
- ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって求められる重量平均分子量(Mw)が20,000〜1,000,000の範囲であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の多元系極性オレフィン共重合体。
- 13C−NMRにより算出されるメチル分岐度が、コポリマー1,000炭素当たり5.0以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の多元系極性オレフィン共重合体。
- X1は一種の非極性モノマーであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多元系極性オレフィン共重合体
- Z1において、T1、T2が、T1及びT2で連結して環状構造を形成した酸無水物基であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の多元系極性オレフィン共重合体。
- Z1において、T1及びT2が共にカルボキシル基であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の多元系極性オレフィン共重合体。
- Z2において、T3が炭素数2〜10のエステル基であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の多元系極性オレフィン共重合体。
- 共重合体中の、モノマーZ1とモノマーZ2とのモル比が0.001〜10.000であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の多元系極性オレフィン共重合体。
- ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比が1.5〜3.5の範囲であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の多元系極性オレフィン共重合体。
- 融点が50℃〜140℃であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の多元系極性オレフィン共重合体。
- キレート性配位子を有する第5〜10族の遷移金属触媒の存在下に重合されたことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の多元系極性オレフィン共重合体。
- 遷移金属触媒が、パラジウム金属にトリアリールホスフィン又はトリアリールアルシン化合物が配位した遷移金属触媒であることを特徴とする、請求項12に記載の多元系極性オレフィン共重合体。
- トリアリールホスフィン又はトリアリールアルシン化合物が、少なくとも一つは二級又は三級のアルキル基で置換されたフェニル基を有することを特徴とする、請求項13に記載の多元系極性オレフィン共重合体。
- キレート性配位子を有する第5〜10族の遷移金属触媒の存在下に重合されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の多元系極性オレフィン共重合体の製造方法。
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