JP6007866B2 - 蛍光x線分析装置を用いた定量分析方法 - Google Patents
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Description
当該定性分析の手段として、ICP発光分光分析装置(本発明において「ICP/OES」と記載する場合がある。)やXRFによる定性分析が一般的に行われる。そして、両装置を用いた定性分析操作自体は、一試料当り数分間から数10分間程度で実施することができる。
一方、XRFは、前述のような希釈操作を必要とせず、プラスチック薄膜を張ったプラスチック容器に被測定溶液の試料を入れるだけで前処理が終了する。その為、当該前処理に要する時間は数分間から数10分間程度であって、非常に簡便である(非文献特許1参照)。
当該定量分析の手段としても、ICP/OESやXRFを用いた定量分析が一般的に行われる。そして両装置共に、多元素の定量分析を、一測定試料当り数分間程度の短時間で実施できる。
一方、XRFで定量分析を実施しようとする場合、被測定溶液中における所望成分の濃度が低いと、前述のようなプラスチック薄膜を張ったプラスチック容器に被測定溶液を入れて測定しようとしても、XRFの測定感度が低いために正確な定量分析が行えない可能性がある。
このような事態に対応する為、被測定溶液中における所望の含有成分を濃縮することが可能な媒体に、被測定溶液を滴下して測定する前処理操作手法がある。そして、当該前処理操作に要する時間は、数分間から数10分間程度なので非常に簡便である(非文献特許1参照)。
その結果、媒体に被測定溶液を滴下する量は、数十μL程度の少量しか滴下することができないので、一般的にプッシュボタン式液体用微量体積計(本発明において「マイクロピペット」と記載する場合がある。)を使用して被測定溶液の一定容量を分取することとなる。しかし、作業者のマイクロピペットの操作習熟度が未熟な場合には、分取誤差が大きくなり、結果として正確な測定が行えない可能性があることを知見した。
そして例えば、被測定溶液がそのまま最終製品であるような、厳密な濃度管理が必要となる場合は、前述のような分取誤差が原因となって正確な測定が行えず、厳密な品質管理が行えない可能性があることを知見したものである。
当該状況の下で、被測定溶液中の所望の含有成分の含有量を、ばらつきが小さく高精度かつ、正確に、低コストで測定する方法の開発の必要がある。
本発明はこのような状況を解決するためになされたものであり、被測定溶液中の所望の含有成分の含有量を、ばらつきを小さく高精度かつ、正確に、低コストで測定する方法の提供を課題とするものである。
そして、XRFによる被測定溶液中の含有成分の測定方法と、被測定溶液中に含有されない成分であってその添加量が正確に測定されている成分(本発明において「内部標準成分」と記載する場合がある。)を当該被測定溶液中に添加して混合溶液とし、XRFにより当該混合溶液中における含有成分および内部標準成分の濃度を測定する方法とを、組み合わせる構成に想到し本発明を完成した。
被測定対象の溶液中に含有される所定成分の濃度を、蛍光X線分析装置を用いて定量分析する方法であって、
前記被測定対象の溶液の密度を測定する操作と、
前記被測定対象の溶液を秤量する操作と、
前記被測定対象の溶液中に含有されない成分を内部標準成分とし、当該内部標準成分を含む溶液を秤量する操作と、
前記秤量された被測定対象の溶液中へ、前記秤量された内部標準成分を含む溶液を添加して混合溶液とする操作と、
前記混合溶液を、そのまま、または、所望の割合で希釈した後、ろ紙中にて乾燥させ、当該ろ紙と伴に蛍光X線分析装置へ装填する操作と、
前記蛍光X線分析装置を用いて、前記所定成分と、前記内部標準成分との強度比を求め、予め作成した、前記所定成分と前記内部標準成分との強度比と、前記所定成分と前記内部標準成分との濃度比との検量線を用いて、前記所定成分と、前記内部標準成分との濃度比を求める操作と、
前記所定成分と前記内部標準成分との濃度比と、前記被測定対象の溶液の密度とから、前記被測定対象の溶液中に含有される所定成分の濃度を求めることを特徴とする蛍光X線分析装置を用いた定量分析方法である。
第2の発明は、
前記所定成分がNi、Co、Mnから選択される1種以上の成分であることを特徴とする第1の発明に記載の蛍光X線分析装置を用いた定量分析方法である。
第3の発明は、
前記内部標準成分がCuであることを特徴とする第2の発明に記載の蛍光X線分析装置を用いた定量分析方法である。
具体的には、被測定対象の溶液へ、前記被測定対象の溶液中に含有されない成分を内部標準成分として添加して混合溶液とし、前記混合溶液をXRFへ装填する。そして、当該XRFを用いて、前記所定成分と、前記内部標準成分との強度比を求め、予め作成した、前記所定成分と前記内部標準成分との強度比と、前記所定成分と前記内部標準成分との濃度比との検量線を用いて、前記所定成分と、前記内部標準成分との濃度比を求める。そして、当該濃度比と、前記被測定対象の溶液の密度とから、前記被測定対象の溶液中に含有される所定成分の濃度(体積分率)を求める定量分析方法である。
以下、(1)被測定対象の溶液中に含有される所定成分、(2)内部標準成分、(3)混合溶液の調製、(4)混合溶液のXRFへの装填、(5)検量線とその作成、(6)所定成分の濃度測定、(7)本発明の効果確認試験の順に説明する。
被測定対象の溶液中に含有される所定成分としては、実用的にはNa(Z=11)以上の原子番号を持つ元素であれば良い。
勿論、本発明は、被測定溶液中に含有される所定成分が、それぞれのXRFによる測定強度が同じような挙動でばらつき、かつ、十分な測定感度が得られるものであれば、Ni,Co,Mn以外の成分へ適用可能である。
内部標準成分としては、前記被測定対象の溶液中に含有されない成分を選択する。例えば所定成分として、Ni、Co、Mn含有する被測定溶液に対する内部標準成分であれば、例えばCuを選択することができる。勿論、Cu以外の成分を内部標準成分として測定することも可能である。
そして、秤量された前記被測定対象の溶液へ、前記被測定対象の溶液中に含有されない成分を内部標準成分として添加して混合溶液を得る。ここで、本発明においては、当該混合溶液を得るまでの操作において、液体容量の測定操作を行わず、液体重量、粉体重量を秤量操作で行うものである。
これは、上述したように、被測定溶液の一定容量を分取するような操作において、作業者のマイクロピペットの操作習熟度が未熟な場合には、分取誤差が大きくなり、結果として正確な測定が行えない可能性があるからである。これに対し、液体重量、粉体重量を秤量する操作であれば、誤差が小さく厳密な管理が、容易に可能になることを知見したことによる。
そこで、当該混合溶液をXRFに装填する際、当該混合溶液の所定容量をそのまま、または、所望の割合で希釈した後、適宜な媒体中へ注ぎ、乾燥させて、当該媒体と伴にXRFへ装填することが出来る。当該XRFに装填された媒体中においても、前記所定成分と内部標準成分との比率自体は厳密に保たれているからである。尚、当該媒体としては、コストや操作性の観点から、ろ紙が好ましい。
前記希釈の比率は、混合溶液中に含有される所定成分と内部標準成分との濃度の値から、適宜、決定すれば良い。
前記XRFより、混合溶液中に含有される所定成分と内部標準成分とのX線の強度比が測定される。
一方、予め、混合溶液中に含有される所定成分と内部標準成分とにおける、濃度比とX線の強度比との検量線を作成しておく。
勿論、当該検量線を作成する為の標準試料調製操作においても、液体容量の測定操作を行わず、液体重量、粉体重量を秤量操作で行って、調製することが好ましい。
以上の操作により、精度の高い検量線を作成することが出来る。
前記XRFより測定された、混合溶液中に含有される所定成分と内部標準成分とのX線の強度比と、前記予め作成された検量線とから、所定成分と内部標準成分との濃度比を求める。
ここで、内部標準成分の濃度は既知量であることから、当該所定成分と前記内部標準成分との濃度比と、前記被測定対象の溶液の密度とから、前記被測定対象の溶液中に含有される所定成分の濃度(体積分率)を求めることが出来る。
Ni,Co,Mnを含有している被測定溶液の一定量を秤量することで、正確な重量で秤取った。次に、内部標準成分として、Cu溶液の一定量を秤量することで、正確な重量で秤取った。次に、純水の一定量容量を加え混合溶液を得た。
当該混合溶液を、5枚のろ紙にそれぞれ一定量滴下し、当該ろ紙を乾燥させた。当該5枚のろ紙をそれぞれXRFに装填し、Ni,Co,MnおよびCuの強度を測定した。
表1にNiとCu、表2にCoとCu、表3にMnとCuのXRFによる測定結果を示す。
1)XRFで分析する、所望の含有成分を含む被測定溶液へ、その添加量が正確に測定されている内部標準成分を添加して混合溶液を調製し、当該混合溶液中における所望の含有成分と、内部標準成分との強度を測定、
2)所望の含有成分の測定強度と、内部標準成分の測定強度との比(本発明において「強度比」と記載する場合がある。)を計算、という手順をとる。
当該手順により、例え、XRFの測定環境等の変化に伴い、XRFの測定強度がばらついたとしても、含有成分と内部標準成分とは同様の挙動をもって、ばらつくことになる。従って、当該XRFの測定強度ばらつきに拘わらず、強度比は常に一定となる。この結果、ばらつきが小さく高精度かつ、正確な測定が可能となった。
この結果、ばらつきが小さく高精度かつ、正確な測定が低コストで実施可能となった。
但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
ポリスチレン製試験管へ、所定成分としてNi,Co,Mnを含有する被測定溶液0.5mLを精密天秤で0.1mgの桁まで正確に秤量して秤取った。
内部標準成分としてCuを選択し、前記ポリスチレン製試験管へ、Cu濃度が20g/Lの内部標準溶液1mLを精密天秤で0.1mgの桁まで正確に秤量して秤取った。
さらに、前記ポリスチレン製試験管へ、純水1mLをマイクロピペットで添加して密栓し攪拌し混合溶液を得た。
前記乾燥させたろ紙をXRFに装填し、Ni,Co,MnおよびCuのX線強度を測定した。そして、NiとCu、CoとCu、MnとCu、のそれぞれのX線強度比を計算した。
これは、被測定溶液中の含有成分であるNi,Co,Mnと、内部標準成分であるCuとの強度をXRFで測定する際、Ni,Co,MnおよびCuの各強度が、ばらつくことがあったとしても、前記4成分が同様の挙動をもってばらつくので、NiとCu、CoとCu、MnとCuとのそれぞれの強度比は、一定の値を保つからであると考えられる。
この結果、ばらつきが小さくかつ、従来の方法による分析値とよく一致する測定結果が得られた。
以上の結果より、本発明によれば、被測定溶液中の所定の含有成分の含有量を、ばらつきが小さく高精度かつ、正確に、低コストで測定出来ることが確認出来た。
まず、実施例1に係る測定内容と結果、計算内容と結果、および、略記号を表5に示す。
まず、濃度比CR1(Ni/Cu)の求め方を説明する。
予め、値付けされたXRF検量線用の標準溶液を、当該標準溶液中のNi濃度が段階的になるよう濃度を調整して、複数(本実施例においては、5点)のXRF測定用の検量線標準試料溶液を調製した。
XRFを用いて、当該XRF測定用の検量線標準試料溶液のNiおよびCuの強度を測定し、その強度比(Ni/Cu)を計算してその値をxとした。一方、予め、計算で求めたXRF測定用の検量線標準試料溶液中の濃度比(Ni/Cu)の値をyとした。
得られた複数のx、yの値をグラフにプロットして検量線を作成し、y=ax+bの関係式を得た。得られた検量線の一例を図1に示す。
Ni濃度=CR1×IS1×(D1×1000)/S1
であることから、各数値を代入すると、
0.023863×1.0474×(1.3711×1000)/0.6789=
50.48
を求めることが出来る。
以下、同様に、各成分の濃度を計算することが出来る。
(Ni/Cu)=(C2×S2)/(D2×1000)×(1/IS2)
但し、C2:標準試料溶液のNi濃度(g/L)
S2:標準試料溶液のはかり取り量(g)
IS2:内部標準溶液(Cu濃度:20g/L)のはかり取り量(g)
D2:標準試料溶液の密度(g/cm3)
実施例1と同様の被測定溶液へ内部標準成分を加えることなく、マイクロピペットで分定量採取し、ろ紙へ20μL滴下し、当該ろ紙を乾燥させた。
前記乾燥させたろ紙をXRFに装填し、Ni,Co,MnのX線強度を測定した。
そして、当該X線強度の測定値と、予め作成した検量線、および、別途、密度計により測定した被測定溶液の密度値より、Ni,Co,Mnの各濃度(容量分率)の定量分析を行った。分析結果を表6に示す。
さらに、表6にも、実施例1にて説明した従来の方法に係るICP/OESを用いて定量分析結果を記載した。
これは、被測定溶液をマイクロピペットにより分取する際の、ばらつきや偏りによるものと考えられる。また、被測定溶液中に含有されるNi,Co,Mnの強度をXRFで測定した際における、強度のばらつきが、そのまま濃度のばらつきに反映された結果であると考えられる。
まず、比較例1に係る測定内容と結果、計算内容と結果、および、略記号を表7に示す。
XRFを用いて、当該XRF測定用の検量線標準試料溶液のNi強度を測定し、得られた強度をxとした。一方、予め、計算で求めたXRF測定用の検量線標準試料溶液中のNi濃度の値をyとした。
得られた複数のx、yの値をグラフにプロットして検量線を作成し、y=ax+bの関係式を得た。得られた検量線の一例を図2に示す。
Ni濃度=C3×(D3×1000)/S3
であることから、各数値を代入すると、
0.024737×(1.3711×1000)/0.6789=49.96
を求めることが出来る。
以下、同様に、各成分の濃度を計算することが出来る。
Ni濃度(g)=(C4×S4)/(D4×1000)
但し、C4:標準試料溶液のNi濃度(g/L)
S4:標準試料溶液のはかり取り量(g)
D4:標準試料溶液の密度(g/cm3)
Claims (3)
- 被測定対象の溶液中に含有される所定成分の濃度を、蛍光X線分析装置を用いて定量分析する方法であって、
前記被測定対象の溶液の密度を測定する操作と、
前記被測定対象の溶液を秤量する操作と、
前記被測定対象の溶液中に含有されない成分を内部標準成分とし、当該内部標準成分を含む溶液を秤量する操作と、
前記秤量された被測定対象の溶液中へ、前記秤量された内部標準成分を含む溶液を添加して混合溶液とする操作と、
前記混合溶液を、そのまま、または、所望の割合で希釈した後、ろ紙中にて乾燥させ、当該ろ紙と伴に蛍光X線分析装置へ装填する操作と、
前記蛍光X線分析装置を用いて、前記所定成分と、前記内部標準成分との強度比を求め、予め作成した、前記所定成分と前記内部標準成分との強度比と、前記所定成分と前記内部標準成分との濃度比との検量線を用いて、前記所定成分と、前記内部標準成分との濃度比を求める操作と、
前記所定成分と前記内部標準成分との濃度比と、前記被測定対象の溶液の密度とから、前記被測定対象の溶液中に含有される所定成分の濃度を求めることを特徴とする蛍光X線分析装置を用いた定量分析方法。 - 前記所定成分がNi、Co、Mnから選択される1種以上の成分であることを特徴とする請求項1に記載の蛍光X線分析装置を用いた定量分析方法。
- 前記内部標準成分がCuであることを特徴とする請求項2に記載の蛍光X線分析装置を用いた定量分析方法。
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