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JP6008736B2 - 半導体膜、半導体膜の製造方法、太陽電池、発光ダイオード、薄膜トランジスタおよび電子デバイス - Google Patents
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JP6008736B2 - 半導体膜、半導体膜の製造方法、太陽電池、発光ダイオード、薄膜トランジスタおよび電子デバイス - Google Patents

半導体膜、半導体膜の製造方法、太陽電池、発光ダイオード、薄膜トランジスタおよび電子デバイス Download PDF

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Description

本発明は、半導体膜、半導体膜の製造方法、太陽電池、発光ダイオード、薄膜トランジスタおよび電子デバイスに関する。
近年、第三世代太陽電池と呼ばれる高効率太陽電池の研究が盛んである。その中でもコロイド量子ドットを用いた太陽電池は、例えば、マルチエキシトン生成効果により量子効率を高められる事が報告されており、注目を集めている(例えば、非特許文献1参照)。しかし、コロイド量子ドットを用いた太陽電池(量子ドット太陽電池とも称される)では、変換効率が最大でも7%程度であり、更なる変換効率の向上が求められている。
このような量子ドット太陽電池では、量子ドットの集合体からなる半導体膜が光電変換層を担っていることから、量子ドットの集合体からなる半導体膜自体の研究も盛んに行われている。
例えば、炭化水素基数が6以上の比較的長い配位子を用いた半導体ナノ粒子が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
量子ドットの集合体からなる半導体膜の特性を改善する手法としては、量子ドット(例えば2nm〜10nm程度)に結合している配位子分子をより短い配位子分子に置換する事で、電気伝導性が向上することが報告されている(例えば、非特許文献2参照)。非特許文献2では、PbSeの量子ドットの周囲のオレイン酸(分子鎖長2nm〜3nm程度)をエタンジチオール(分子鎖長1nm以下)に置換する事によって量子ドット同士が近接化し、電気伝導性が向上することが報告されている。
特許第4425470号
S.Geyerら著、「Charge transport in mixed CdSe and CdTe colloidal nancrystal films」、Physical Review B(2010) J. M. Lutherら著。「Structural, Optical,and Electrical Properties of Self−Assembled Films of PbSe Nanocrystals Treated with 1,2−Ethanedithiol」、ACS Nano (2008)
しかし、特許文献1に記載される半導体膜は、配位子が大きく、半導体量子ドット同士の近接化が不十分であるため、光電変換特性に優れない。また、非特許文献1で用いられているブチルアミン、または、非特許文献2で用いられているエタンジチオールを配位子として用いた場合でも、例えば、非特許文献1によれば、最大でも数百nA程度の光電流値しか得ることができていない。また、配位子としてエタンジチオールを用いると、半導体膜の膜剥がれが生じ易い。
本発明は、高い光電流値が得られ、かつ、膜剥がれが抑制される半導体膜およびその製造方法を提供することを課題とし、かかる課題を解決することを目的とする。
また、高い光電流値が得られ、かつ膜剥がれが抑制される太陽電池、発光ダイオード、薄膜トランジスタ、及び電子デバイスを提供することを課題とし、かかる課題を解決することを目的とする。
上記目的を達成するため、以下の発明が提供される。
<1> PbS、PbSe、またはInSbを含む半導体量子ドットの集合体と、
半導体量子ドット中の金属原子に対して3脚型で配位する下記一般式(A)で表される配位子と、
を有する半導体膜。


(式(A)中、X、X及びXはそれぞれ独立にSH又は 表し、p、q及びrはそれぞれ独立に1以上4以下の整数を表す。)
半導体量子ドットはPbSを含む>に記載の半導体膜。
p、q及びrはそれぞれ独立に1以上2以下の整数を表す又は<2>に記載の半導体膜。
> 配位子が、トリス(2−アミノエチル)アミン又はその誘導体である<1>〜<のいずれか1項に記載の半導体膜。
> 半導体量子ドットは、平均粒径が2nm以上15nm以下である<1>〜<>のいずれか1項に記載の半導体膜。
> 基板上に、PbS、PbSe、またはInSbを含む半導体量子ドット、半導体量子ドットに配位した第1の配位子、及び第1の溶媒を含有する半導体量子ドット分散液を付与して半導体量子ドットの集合体を形成する半導体量子ドット集合体形成工程と、
第1の配位子よりも分子鎖長が短く、かつ、前記半導体量子ドット中の金属原子に3脚型で配位する下記一般式(A)で表される第2の配位子、及び第2の溶媒を含有する配位子溶液を、半導体量子ドットの集合体に付与して半導体量子ドットに配位している第1の配位子を第2の配位子に交換する配位子交換工程と、
を有する半導体膜の製造方法。


(式(A)中、X、X及びXはそれぞれ独立にSH又は 表し、p、q及びrはそれぞれ独立に1以上4以下の整数を表す。)
半導体量子ドットはPbSを含む>に記載の半導体膜の製造方法。
p、q及びrはそれぞれ独立に1以上2以下の整数を表す又は<7>に記載の半導体膜の製造方法。
> 第2の配位子が、トリス(2−アミノエチル)アミン又はその誘導体である<>〜<>のいずれか1項に記載の半導体膜の製造方法。
10> 半導体量子ドットは、平均粒径が2nm以上15nm以下である<>〜<>のいずれか1項に記載の半導体膜の製造方法。
11> <1>〜<>のいずれか1項に記載の半導体膜を備える太陽電池。
12> <1>〜<>のいずれか1項に記載の半導体膜を備える発光ダイオード。
13> <1>〜<>のいずれか1項に記載の半導体膜を備える薄膜トランジスタ。
14> <1>〜<>のいずれか1項に記載の半導体膜を備える電子デバイス。
本発明によれば、高い光電流値が得られ、かつ膜剥れが抑制される半導体膜およびその製造方法が提供される。
また、本発明によれば、高い光電流値が得られ、かつ膜剥れが抑制される太陽電池、発光ダイオード、薄膜トランジスタ、及び電子デバイスが提供される。
本発明の半導体膜を適用したpn接合型太陽電池の構成の一例を示す概略図である。 実施例で用いたくし型電極基板を示す概略図である。 実施例で作製した半導体膜(評価用デバイス)にモノクロ光を照射する方法を示す概略図である。
以下、本発明について、詳細に説明する。
<半導体膜>
本発明の半導体膜は、金属原子を含む半導体量子ドットの集合体と、半導体量子ドットに配位し、SH、NH及びOHから選ばれる一種類以上の官能基を合計で3つ以上有する3級アミン並びにその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の配位子(以下、「特定配位子」と称する場合がある。)と、を有して構成されている。
本発明の半導体膜は、配位性の官能基であるSH、NH、OHが、量子ドットの金属原子と3脚型(3座)以上で配位する事によって、量子ドット表面のダングリングボンド(dangling bond)を強く補償し、且つ量子ドット同士の近接化度を高める事で、膜剥がれが抑制され、且つ電気伝導性が高い半導体膜となると考えられる。
半導体量子ドットは、金属原子を含んで構成される半導体粒子であり、粒径が数nm〜数十nmとなるナノサイズの粒子である。
本発明の半導体膜の製造方法の詳細は後述するが、本発明の半導体膜は、例えば、第1の配位子が配位している半導体量子ドットの集合体に、特定配位子として、第1の配位子よりも分子鎖長が短く、かつ、SH、NH及びOHから選択される一種類以上の官能基を合計で3つ以上有する3級アミンまたはその誘導体である第2の配位子を付与することにより得ることができる。
以下、本発明の半導体膜を構成する各要素の詳細を説明する。
〔特定配位子〕
本発明の半導体膜において半導体量子ドットに配位する特定配位子は、SH、NH及びOHから選ばれる一種類以上の官能基を合計で3つ以上有する3級アミン並びにその誘導体からなる群より選ばれる配位子である。
また、アルコール溶媒との混和性や石英基板との密着性の観点から、特定配位子に含まれるSH、NH及びOHのうち、OHを有することが好ましい。
特定配位子は、具体的には、下記一般式(A)で表される配位子が好ましい。
式(A)中、X、X及びXはそれぞれ独立にSH、NH又はOHを表し、p、q及びrはそれぞれ独立に1以上4以下の整数を表す。
特定配位子が上記のような分子構造を有する事によって、末端のSH,NH,OH基が量子ドット表面のダングリングボンドを有する金属原子と配位結合し、3脚型の多座配位の金属錯体が形成されやすくなる。そのため配位子と金属原子の錯安定度定数logβが高くなりやすく、金属原子と配位子の結合力が高まるほか、量子ドット同士の間隔も近接化しやすくなり、結果的に高い電気伝導性を得やすくなると考えられる。
量子ドット同士の近接化の観点から、(CH)p、(CH)q及び(CH)rで表されるアルキレン基における炭素数は、それぞれ3以下が好ましく、2以下がより好ましい。また、(CH)p、(CH)q及び(CH)rの少なくとも1つに、さらに原子数10以下の置換基を有していてもよく、置換基がある場合は、置換基の原子数は7以下であることが望ましく、(CH)p、(CH)q及び(CH)rは全て置換基が無いことがより望ましい。
特定配位子と金属原子の錯安定度定数logβは8以上であると特に配位力が高まり、ダングリングボンドの低減と量子ドットの近接化による電気伝導特性の向上が期待できる。
一般式(A)中、(CH)p、(CH)q及び(CH)rで表されるアルキレン基に存在してもよい原子数10以下の置換基としては、炭素数1〜3のアルキル基〔メチル基、エチル基、プロピル基、及びイソプロピル基〕、炭素数2〜3のアルケニル基〔エテニル基およびプロペニル基〕、炭素数2〜4のアルキニル基〔エチニル基、プロピニル基等〕、シクロプロピル基、炭素数1〜2のアルコキシ基〔メトキシ基およびエトキシ基〕、炭素数2〜3のアシル基〔アセチル基、及びプロピオニル基〕、炭素数2〜3のアルコキシカルボニル基〔メトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基〕、炭素数2のアシルオキシ基〔アセチルオキシ基〕、炭素数2のアシルアミノ基〔アセチルアミノ基〕、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基〔ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基〕、アルデヒド基〔−COH〕、ヒドロキシ基〔−OH〕、カルボキシ基〔−COOH〕、スルホ基〔−SOH〕、ホスホ基〔−OPO(OH)〕、アミノ基〔−NH〕、カルバモイル基〔−CONH〕、シアノ基〔−CN〕、イソシアネート基〔−N=C=O〕、チオール基〔−SH〕、ニトロ基〔−NO〕、ニトロキシ基〔−ONO〕、イソチオシアネート基〔−NCS〕、シアネート基〔−OCN〕、チオシアネート基〔−SCN〕、アセトキシ基〔OCOCH〕、アセトアミド基〔NHCOCH〕、ホルミル基〔−CHO〕、ホルミルオキシ基〔−OCHO〕、ホルムアミド基〔−NHCHO〕、スルファミノ基〔−NHSOH〕、スルフィノ基〔−SOH〕、スルファモイル基〔−SONH〕、ホスホノ基〔−PO〕、アセチル基〔−COCH〕、ハロゲン原子〔フッ素原子、塩素原子、臭素原子等〕、アルカリ金属原子〔リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子等〕等が挙げられる。
本発明において特定配位子は、トリス(2−アミノエチル)アミン又はトリス(2−アミノエチル)アミン誘導体のいずれかである事が望ましい。上記いずれかの配位子の場合、従来のエタンジチオールをリガンドとした場合と比較して高い光電流が得られる。
〔金属原子を含む半導体量子ドットの集合体〕
本発明の半導体膜は、半導体量子ドットの集合体を有する。また、半導体量子ドットは、少なくとも1種の金属原子を有する。
半導体量子ドットの集合体とは、多数(例えば、1μm四方当たり100個以上)の半導体量子ドットが互いに近接して配置された形態をいう。
なお、本発明における「半導体」とは、比抵抗値が10−2Ωcm以上10Ωcm以下であることを意味する。
半導体量子ドットは、金属原子を有する半導体粒子である。なお、本発明において、金属原子には、Si原子に代表される半金属原子も含む。
半導体量子ドットを構成する半導体量子ドット材料としては、例えば一般的な半導体結晶〔a)IV族半導体、b)IV−IV族、III−V族、またはII−VI族の化合物半導体、c)II族、III族、IV族、V族、および、VI族元素の内3つ以上の組み合わせからなる化合物半導体〕のナノ粒子(0.5nm以上100nm未満大の粒子)が挙げられる。具体的には、PbS、PbSe、InN、InAs、Ge、InAs、InGaAs、CuInS、CuInSe、CuInGaSe、InSb、Si、InP等の比較的バンドギャップの狭い半導体材料が挙げられる。
半導体量子ドットは、半導体量子ドット材料を少なくとも1種類含んでいればよい。
また、半導体量子ドット材料は、バルクとしてのバンドギャップが1.5eV以下であることが望ましい。このような比較的バンドギャップの狭い半導体材料を用いることによって、本発明の半導体膜を、例えば、太陽電池の光電変換層に用いた場合には、高い変換効率を実現することが可能である。
半導体量子ドットは、半導体量子ドット材料を核(コア)とし、半導体量子ドット材料を被覆化合物で覆ったコアシェル構造であってもよい。被覆化合物としては、ZnS,ZnSe、ZnTe、ZnCdS等が挙げられる。
半導体量子ドット材料は、以上の中でも、半導体量子ドットの合成のし易さから、PbS、またはPbSeであることが望ましい。環境負荷が小さいという観点からは、InNを用いることも望ましい。
さらに、本発明の半導体膜を太陽電池用途に適用する場合は、半導体量子ドットは、マルチエキシトン生成効果と呼ばれる多励起子生成効果による光電変換効率の増強を見据えて、更にバンドギャップが狭いことが好ましい。具体的には、1.0eV以下であることが望ましい。
バンドギャップをより狭くし、マルチエキシトン生成効果を増強する観点から、半導体量子ドット材料は、PbS、PbSe、またはInSbであることが好ましい。
半導体量子ドットの平均粒径は、2nm〜15nmであることが望ましい。なお、半導体量子ドットの平均粒径は、半導体量子ドット10個の平均粒径をいう。半導体量子ドットの粒径の測定には、透過型電子顕微鏡を用いればよい。
一般的に半導体量子ドットは、数nm〜数十nmまでの様々な大きさの粒子を含む。半導体量子ドットでは内在する電子のボーア半径以下の大きさまで量子ドットの平均粒径を小さくすると、量子サイズ効果により半導体量子ドットのバンドギャップが変化する現象が生じる。例えばII−VI族半導体では、比較的ボーア半径が大きく、PbSでは18nm程度であると言われている。またIII−V族半導体であるInPでは、ボーア半径は10nm〜14nm程度であると言われている。
従って、例えば半導体量子ドットの平均粒径が、15nm以下であれば、量子サイズ効果によるバンドギャップの制御が可能となる。
特に、本発明の半導体膜を、太陽電池に応用する場合は、半導体量子ドット材料にかかわらず、量子サイズ効果によって、バンドギャップを最適な値へ調整することが重要となる。しかし、半導体量子ドットの平均粒径が小さくなればなるほどバンドギャップが増大するため、半導体量子ドットの平均粒径は10nm以下であれば、より大きなバンドギャップの変化が期待できる。半導体量子ドットが結果としてナローギャップ半導体であっても、太陽光のスペクトルに最適なバンドギャップに調整することが容易となる事から、量子ドットのサイズは10nm以下であることがより望ましい。また、半導体量子ドットの平均粒径が小さく、量子閉じ込めが顕著な場合は、マルチエキシトン生成効果の増強が期待できるというメリットもある。
一方、半導体量子ドットの平均粒径は、2nm以上であることが好ましい。半導体量子ドットの平均粒径を2nm以上とすることで、量子閉じ込めの効果が強くなりすぎず、バンドギャップを最適値とし易い。また、半導体量子ドットの平均粒径を2nm以上とすることで、半導体量子ドットの合成において、半導体量子ドットの結晶成長を制御し易くすることができる。
本発明の半導体膜の厚みは、特に制限されないが、高い電気伝導性を得る観点から、10nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましい。また、キャリア濃度が過剰になる恐れがある事、製造し易さの観点からは、半導体膜の厚みは、300nm以下であることが好ましい。
<半導体膜の製造方法>
本発明の半導体膜を製造する方法は特に制限されるものではないが、半導体量子ドット同士の間隔をより短くし、半導体量子ドットを緻密に配置する観点から、以下に説明する本発明の半導体膜の製造方法により製造することが好ましい。
本発明の半導体膜の製造方法は、基板上に、金属原子を含む半導体量子ドット、半導体量子ドットに配位した第1の配位子、及び第1の溶媒を含有する半導体量子ドット分散液を付与して半導体量子ドットの集合体を形成する半導体量子ドット集合体形成工程と、第1の配位子よりも分子鎖長が短く、かつ、SH、NH及びOHから選択される一種類以上の官能基を合計で3つ以上有する3級アミンまたはその誘導体である第2の配位子、並びに第2の溶媒を含有する配位子溶液を、半導体量子ドットの集合体に付与して半導体量子ドットに配位している第1の配位子を第2の配位子に交換する配位子交換工程と、を有する。
通常は溶液中に分散する半導体量子ドットでは、比較的長い分子鎖長の配位子(第1の配位子)を有している事が一般的である。半導体量子ドットの配位子を交換する手法としては、長い分子鎖長のリガンド分子を有するまま基板上に分散液を塗布して膜形成した後、交換したい配位子(第2の配位子)を含む溶液を塗布、あるいは基板を溶液に浸漬する事によって、膜の状態で配位子交換処理を進行させる方法がある。このような手法を用いた場合には、液の状態では非常に長い分子鎖を有しているために、量子ドット同士が凝集することが無い状態で半導体膜の形成が可能となる。
一般的に、結合の強さが高いほうが従来の長分子鎖配位子を置換する上でより効率的であり、より高い電気伝導性を得る事が可能となる。また、上記の特定配位子は、半導体量子ドット材料が変わった場合、量子ドットへのリガンド分子の修飾のしやすさである錯安定度定数logβの値は変動するが、交換用の第2の配位子(特定配位子)として、分子鎖長が比較的短く、且つ、配位しやすいものを用いることで、種々の量子ドット材料に適用可能である。
また原理的に100%全ての配位子を交換することは困難であり、また全ての配位子を交換しなくても十分な特性が得られるため、量子ドットの配位子の内、一部分に上記特定配位子が修飾されていれば良い。
本発明の半導体膜の製造方法では、半導体量子ドット集合体形成工程および配位子交換工程を繰り返し行ってもよいし、さらに、半導体量子ドット分散液を乾燥する分散液乾燥工程、配位子溶液を乾燥する溶液乾燥工程、基板上の半導体量子ドット集合体を洗浄する洗浄工程等を有していてもよい。半導体量子ドット集合体形成工程と、配位子交換工程を繰り返す事によって、半導体膜が積層される形となり、任意の膜厚の半導体膜を得る事が可能となる。
本発明の半導体膜の製造方法では、半導体量子ドット集合体形成工程において、半導体量子ドット分散液を基板上に付与することにより、基板上に半導体量子ドットの集合体を形成する。このとき、半導体量子ドットは、第2の配位子よりも分子鎖長が長い第1の配位子により第1の溶媒に分散されているため、半導体量子ドットは、凝集したバルク状となりにくい。従って、半導体量子ドット分散液が基板上に付与されることで、半導体量子ドットの集合体は、半導体量子ドット1つ1つが配列した構成とすることができる。
次いで、配位子交換工程により、半導体量子ドットの集合体に特定配位子の溶液を付与することで、半導体量子ドットに配位している第1の配位子と、第2の配位子との配位子交換がなされる。ここで、第2の配位子は、第1の配位子よりも分子鎖長が短く、かつ、SH、NH及びOHから選択される一種類以上の官能基を合計で3つ以上有する3級アミンまたはその誘導体であり、既述の特定配位子である。
配位子交換により、特定配位子を構成するSH、NH、OHが半導体量子ドットが有する金属原子に配位する。
配位子交換工程により、半導体量子ドットには、第1の配位子に代わって、第1の配位子よりも分子鎖長が短い第2の配位子(特定配位子)を構成するSH、NH、OHが配位し、半導体量子ドットと配位結合を結ぶため、半導体量子ドット同士を近接化し易いと考えられる。半導体量子ドットが近接化することにより、半導体量子ドットの集合体の電気伝導性が高まり、高い光電流値を有する半導体膜とすることができると考えられる。
さらに、3脚型の多座配位の結合様式をとるため、量子ドット同士の近接度が極めて大きくなり、結果として半導体量子ドットの集合体が強固な半導体膜となり、基板上から剥がれ難くなると考えられる。
以下、各工程について具体的に説明する。
〔半導体量子ドット集合体形成工程〕
半導体量子ドット集合体形成工程では、半導体量子ドット、半導体量子ドットに配位した第1の配位子、及び第1の溶媒を含有する半導体量子ドット分散液を基板上に付与して半導体量子ドットの集合体を形成する。
半導体量子ドット分散液は、基板表面に塗布してもよいし、基板上に設けられた他の層に塗布してもよい。
基板上に設けられた他の層としては、基板と半導体量子ドットの集合体との密着を向上させるための接着層、透明導電層等が挙げられる。
−半導体量子ドット分散液−
半導体量子ドット分散液は、金属原子を有する半導体量子ドット、第1の配位子、および第1の溶媒を含有する。
半導体量子ドット分散液は、本発明の効果を損なわない限度において、更に他の成分を含有していてもよい。
(半導体量子ドット)
半導体量子ドット分散液において金属原子を含む半導体量子ドットの詳細は既述のとおりであり、好ましい態様も同様である。
なお、半導体量子ドット分散液中の半導体量子ドットの含有量は、1mg/ml〜100mg/mlであることが好ましく、5mg/ml〜40mg/mlであることがより好ましい。
半導体量子ドット分散液中の半導体量子ドットの含有量が、1mg/ml以上であることで、基板上の半導体量子ドット密度が高くなり、良好な膜が得られ易い。一方、半導体量子ドットの含有量が、100mg/ml以下であることで、半導体量子ドット分散液を一回の付与したときに得られる膜の膜厚が大きくなりにくくなる。そのため、膜中の半導体量子ドットに配位する第1の配位子の配位子交換を十分に行うことができる。
(第1の配位子)
半導体量子ドット分散液が含有する第1の配位子は、半導体量子ドットに配位する配位子として働くと共に、立体障害となり易い分子構造を有しており、第1の溶媒中に半導体量子ドットを分散させる分散剤としての役割も果たす。
第1の配位子は、第2の配位子よりも分子鎖長が長い。分子鎖長の長短は、分子中に枝分かれ構造がある場合は、主鎖の長さで判断する。第2の配位子(特定配位子)は、既述のように、SH、NH及びOHから選択される一種類以上の官能基を合計で3つ以上有する3級アミンまたはその誘導体であり、半導体量子ドットを、有機溶媒系に分散させる配位子としては適さない。ここで分散とは、粒子の沈降や濁りがない状態であることを言う。
第1の配位子は、半導体量子ドットの分散を向上する観点から、主鎖の炭素数が少なくとも6以上の配位子であることが望ましく、主鎖の炭素数が10以上の配位子であることがより望ましい。
第1の配位子は、具体的には、飽和化合物でも、不飽和化合物のいずれでもよく、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エルカ酸、オレイルアミン、ドデシルアミン、ドデカンチオール、1,2−ヘキサデカンチオール、トリオクチルホスフィンオキシド、臭化セトリモニウム等が挙げられる。
第1の配位子は、半導体膜形成時に、膜中に残存し難いものが好ましい。
第1の配位子は、半導体量子ドットに分散安定性を持たせつつ、半導体膜に残存し難い観点から、以上の中でも、オレイン酸およびオレイルアミンの少なくとも一方が好ましい。
半導体量子ドット分散液中の第1の配位子の含有量は、半導体量子ドット分散液の全体積に対し、10mmol/l〜200mmol/lであることが望ましい。
(第1の溶媒)
半導体量子ドット分散液が含有する第1の溶媒は、特に制限されないが、半導体量子ドットを溶解し難く、第1の配位子を溶解し易い溶媒であることが好ましい。第1の溶媒は、有機溶剤が好ましく、具体的には、アルカン〔n−ヘキサン、n−オクタン等〕、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。
第1の溶媒は、1種のみであってもよいし、2種以上を混合した混合溶媒であってもよい。
第1の溶媒は、以上の中でも、形成される半導体膜中に残存し難い溶媒が好ましい。比較的沸点が低い溶媒であれば、最終的に半導体膜を得たときに、残留有機物の含有量を抑えることができる。
さらに、基板への濡れ性が良いものが当然好ましい。たとえば、ガラス基板上へ塗布する場合には、ヘキサン、オクタン等のアルカンがより好ましい。
半導体量子ドット分散液中の第1の溶媒の含有量は、半導体量子ドット分散液全質量に対し、90質量%〜98質量%であることが好ましい。
−基板−
半導体量子ドット分散液は、基板上に付与される。
基板の形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。基板の構造は単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。基板としては、例えば、ガラス、YSZ(Yttria−Stabilized Zirconia;イットリウム安定化ジルコニウム)等の無機材料、樹脂、樹脂複合材料等からなる基板を用いることができる。中でも軽量である点、可撓性を有する点から、樹脂または樹脂複合材料からなる基板が好ましい。
樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、アリルジグリコールカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリベンズアゾール、ポリフェニレンサルファイド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素樹脂、液晶ポリマー、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アイオノマー樹脂、シアネート樹脂、架橋フマル酸ジエステル、環状ポリオレフィン、芳香族エーテル、マレイミドーオレフィン、セルロース、エピスルフィド化合物等の合成樹脂が挙げられる。
無機材料および樹脂の複合材料としては、樹脂と、次の無機材料との複合プラスチック材料が挙げられる。すなわち、樹脂と酸化珪素粒子との複合プラスチック材料、樹脂と金属ナノ粒子との複合プラスチック材料、樹脂と無機酸化物ナノ粒子との複合プラスチック材料、樹脂と無機窒化物ナノ粒子との複合プラスチック材料、樹脂とカーボン繊維との複合プラスチック材料、樹脂とカーボンナノチューブとの複合プラスチック材料、樹脂とガラスフェレークとの複合プラスチック材料、樹脂とガラスファイバーとの複合プラスチック材料、樹脂とガラスビーズとの複合プラスチック材料、樹脂と粘土鉱物との複合プラスチック材料、樹脂と雲母派生結晶構造を有する粒子との複合プラスチック材料、樹脂と薄いガラスとの間に少なくとも1回の接合界面を有する積層プラスチック材料、無機層と有機層を交互に積層することで、少なくとも1回以上の接合界面を有するバリア性能を有する複合材料等が挙げられる。
ステンレス基板またはステンレスと異種金属とを積層した金属多層基板、アルミニウム基板または表面に酸化処理(例えば陽極酸化処理)を施すことで表面の絶縁性を向上させた酸化皮膜付きのアルミニウム基板等を用いてもよい。
なお、樹脂または樹脂複合材料からなる基板(樹脂基板または樹脂複合材料基板)は、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、加工性、低通気性、および低吸湿性等に優れていることが好ましい。樹脂基板および樹脂複合材料基板は、水分、酸素等の透過を防止するためのガスバリア層や、樹脂基板の平坦性や下部電極との密着性を向上するためのアンダーコート層等を備えていてもよい。
また基板上に、下部電極、絶縁膜等を備えていてもよく、その場合には基板上の下部電極や絶縁膜上に半導体量子ドット分散液が付与される。
基板の厚みに特に制限はないが、50μm〜1000μmが好ましく、50μm〜500μmであることがより好ましい。基板の厚みが50μm以上であると、基板自体の平坦性が向上し、基板の厚みが1000μm以下であると、基板自体の可撓性が向上し、半導体膜をフレキシブル半導体デバイスとして使用することがより容易となる。
半導体量子ドット分散液を基板上に付与する手法は、特に限定はなく、半導体量子ドット分散液を基板上に塗布する方法、基板を半導体量子ドット分散液に浸漬する方法等が挙げられる。
半導体量子ドット分散液を基板上に塗布する方法としては、より具体的には、スピンコート法、ディップ法、インクジェット法、ディスペンサー法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法、スプレーコート法等の液相法を用いることができる。
特に、インクジェット法、ディスペンサー法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、及び、凹版印刷法は、基板上の任意の位置に塗布膜を形成することができ、且つ、成膜後のパターンニング工程が不要なことから、プロセスコストを低減することができる。
〔配位子交換工程〕
配位子交換工程では、半導体量子ドット集合体形成工程によって基板上に形成された半導体量子ドットの集合体に、第1の配位子よりも分子鎖長が短く、かつ、SH、NH及びOHから選択される一種類以上の官能基を合計で3つ以上有する3級アミンまたはその誘導体である第2の配位子、並びに第2の溶媒を含有する配位子溶液を付与して、半導体量子ドットに配位している第1の配位子を第2の配位子(特定配位子)に交換する。
第1の配位子が、特定配位子に交換されると、特定配位子を構成するSH、NH、OHの3つ以上の官能基が、半導体量子ドットが有する金属原子に配位する。
−配位子溶液−
配位子溶液は、第2の配位子(特定配位子)と、第2の溶媒とを、少なくとも含有する。
配位子溶液は、本発明の効果を損なわない限度において、更に他の成分を含有していてもよい。
(第2の配位子)
第2の配位子は、既述の特定配位子であり、第1の配位子よりも分子鎖長が短いものを用いる。配位子の分子鎖長の長短の判断手法は、第1の配位子の説明において記載したとおりである。
また、特定配位子の詳細も、既述のとおりである。
配位子溶液が含有する第2の溶媒としてアルコールを用いる場合は、第2の配位子は分子中にヒドロキシ基(OH)を有することが好ましい。第2の配位子が分子構造内にヒドロキシ基を有することで、アルコールとの混和性を高めることができ、配位子交換を効率的に行うことができる。
配位子溶液中の第2の配位子の含有量は、配位子溶液全体積に対し、5mmol/l〜200mmol/lであることが好ましく、10mmol〜100mmol/lであることがより好ましい。
(第2の溶媒)
配位子溶液が含有する第2の溶媒は特に制限されないが、第2の配位子を溶解し易い溶媒であることが好ましい。
このような溶媒としては、誘電率が高い有機溶媒が好ましく、エタノール、アセトン、メタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ブタノール、プロパノール等が挙げられる。
第2の溶媒は、1種のみであってもよいし、2種以上を混合した混合溶媒であってもよい。
第2の溶媒は、以上の中でも、形成される半導体膜中に残存し難い溶媒が好ましい。乾燥し易く、洗浄により除去し易いとの観点から、低沸点のアルコール、または、アルカンが好ましく、メタノール、エタノール、n−ヘキサン、またはn−オクタンがより好ましい。
また、第2の溶媒は、第1の溶媒とは交じり合わないことが好ましく、例えば、第1の溶媒として、ヘキサン、オクタン等のアルカンを用いた場合は、第2の溶媒は、メタノール、アセトン等の極性溶媒を用いることが好ましい。
なお、配位子溶液中の第2の溶媒の含有量は、配位子溶液全質量から特定配位子の含有量を差し引いた残部である。
配位子溶液を、半導体量子ドットの集合体に付与する方法は、半導体量子ドット分散液を基板上に付与する手法と同様であり、好ましい態様も同様である。
半導体量子ドット集合体形成工程と、配位子交換工程とは、繰り返し行ってもよい。半導体量子ドット集合体形成工程と、配位子交換工程とを繰り返し行うことで、特定配位子が配位した半導体量子ドットの集合体を有する半導体膜の電気伝導度を高め、半導体膜の厚みを厚くすることができる。
半導体量子ドット集合体形成工程、および、配位子交換工程の繰り返しは、それぞれの工程を別途独立に繰り返してもよいが、半導体量子ドット集合体形成工程を行ってから配位子交換工程を行うサイクルを繰り返すことが好ましい。半導体量子ドット集合体形成工程と配位子交換工程とのセットで繰り返すことで、配位子交換のムラを抑制し易くなる。
なお、半導体量子ドット集合体形成工程および配位子交換工程を繰り返して行う場合は、1サイクルごとに十分に膜乾燥を行うことが好ましい。
半導体量子ドット集合体の配位子交換における第2の配位子への交換率が高いほど、半導体膜の光電流値が大きくなることが期待される。
なお、半導体量子ドットの、第1の配位子と第2の配位子(特定配位子)との配位子交換は、半導体量子ドット集合体の少なくとも一部において行われていれば足り、100%(個数)が特定配位子に取って代わっていなくてもよい。
〔洗浄工程〕
さらに、本発明の半導体膜の製造方法は、基板上の半導体量子ドット集合体を洗浄する洗浄工程を有していてもよい。
洗浄工程を有することで、過剰な配位子および半導体量子ドットから脱離した配位子を除去することができる。また、残存した溶媒、その他不純物を除去することができる。半導体量子ドット集合体の洗浄は、半導体量子ドットの集合体上に、第1の溶媒および第2の溶媒の少なくとも一方を注いだり、半導体量子ドット集合体または半導体膜が形成された基板を、第1の溶媒および第2の溶媒の少なくとも一方に浸漬すればよい。
洗浄工程による洗浄は、半導体量子ドット集合体形成工程の後に行ってもよいし、配位子交換工程の後に行ってもよい。また、半導体量子ドット集合体形成工程と配位子交換工程とのセットの繰り返しの後に行ってもよい。
〔乾燥工程〕
本発明の半導体膜の製造方法は、乾燥工程を有していてもよい。
乾燥工程は、半導体量子ドット集合体形成工程の後に、半導体量子ドット集合体に残存する溶媒を乾燥する分散液乾燥工程であってもよいし、配位子交換工程の後に、配位子溶液を乾燥する溶液乾燥工程であってもよい。また、半導体量子ドット集合体形成工程と配位子交換工程とのセットの繰り返しの後に行う総合的な工程であってもよい。
以上説明した各工程を経ることによって、基板上に半導体膜が製造される。
得られた半導体膜は、半導体量子ドット同士の近接度が極めて高く、電気伝導性が高く、高い光電流値が得られる。また、特定配位子は、錯安定度定数が高いため半導体量子ドットと特定配位子とによって構成される本発明の半導体膜は配位結合が安定しており、膜強度にも優れ、膜剥がれも抑制される。
<電子デバイス>
本発明の半導体膜の用途は限定されないが、本発明の半導体膜は光電変換特性を有し、剥離が生じ難いため、半導体膜又は光電変換膜を有する各種電子デバイスに好適に適用することができる。
具体的には、本発明の半導体膜は、太陽電池の光電変換膜、発光ダイオード(LED)、薄膜トランジスタの半導体層(活性層)、間接型放射線撮像装置の光電変膜、可視〜赤外領域の光検出器等に好適に適用することができる。
<太陽電池>
本発明の半導体膜、または、本発明の半導体膜の製造方法により製造された半導体膜を備えた電子デバイスの一例として、太陽電池について説明する。
例えば、本発明の半導体膜を含むp型半導体層と、n型半導体層とを備えるpn接合を有する半導体膜デバイスを用いて、pn接合型太陽電池とすることができる。
pn接合型太陽電池のより具体的な実施形態としては、例えば、透明基板上に形成された透明導電膜上にp型半導体層およびn型半導体層が隣接して設けられ、p型半導体層およびn型半導体層の上に金属電極を形成する形態が挙げられる。
pn接合型太陽電池の一例を、図1を用いて説明する。
図1に、本発明の実施形態に係るpn接合型太陽電池100の模式断面図を示す。pn接合型太陽電池100は、透明基板10と、透明基板10上に設けられた透明導電膜12と、透明導電膜12上に本発明の半導体膜で構成されたp型半導体層14と、p型半導体層14上に、n型半導体層16と、n型半導体層16上に設けられた金属電極18とが積層されて構成される。
p型半導体層14とn型半導体層16とが隣接して積層されることで、pn接合型の太陽電池とすることができる。
透明基板10としては、透明であれば、本発明の半導体膜の製造方法で用いる基板と同じ材料を用いることができる。具体的には、ガラス基板、樹脂基板等が挙げられる。
透明導電膜12としては、In:Sn(ITO)、SnO:Sb、SnO:F、ZnO:Al、ZnO:F、CdSnO等により構成される膜が挙げられる。
p型半導体層14は、既述のように、本発明の半導体膜を用いる。
n型半導体層16としては金属酸化物が好ましい。具体的には、Ti、Zn、Sn、Inの少なくとも一つを含む金属の酸化物が挙げられ、より具体的には、TiO、ZnO、SnO、IGZO等が挙げられる。n型半導体層は、製造コストの観点から、p型半導体層と同様に、湿式法(液相法ともいう)で形成されることが好ましい。
金属電極18としては、Pt、Al、Cu、Ti、Ni等を使用することができる。
以下に実施例を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。尚、本実施例において、「実施例3及び7」を「参考例3及び7」と読み替えるものとする。
<半導体膜デバイスの作製>
〔半導体量子ドット分散液1の調製〕
まず、PbS粒子をトルエンに分散したPbS粒子分散液を用意した。PbS粒子分散液は、Evident technology社製のPbSコアエヴィドット(公称粒径3.3nm、20mg/ml、溶媒トルエン)を用いた。
次いで、遠沈管に、PbS粒子分散液2mlを取り、38μlのオレイン酸を添加した後、さらに20mlのトルエンを加えて分散液の濃度を薄めた。その後、PbS粒子分散液について超音波分散を行い、PbS粒子分散液をよく攪拌させた。次に、PbS粒子分散液にエタノール40mlを加えて、更に超音波分散を行い、10000rpm、10分、3℃の条件で遠心分離を行った。遠沈管中の上澄みを廃棄した後、遠沈管にオクタンを20ml加えて超音波分散を行い、沈殿した量子ドットをオクタンによく分散させた。得られた分散物について、ロータリーエバポレーター(35hpa、40℃)を用いて、溶液の濃縮を行い、結果としておよそ10mg/ml濃度の半導体量子ドット分散液1(オクタン溶媒)を4ml程度得た。
半導体量子ドット分散液1に含まれるPbS粒子の粒径をSTEM(Scanning Transmission Electron Microscope;走査透過型電子顕微鏡)で測定し、画像確認ソフトで解析したところ、平均粒径は3.2nmであった。
〔半導体量子ドット分散液2の調製〕
まず、InP粒子を合成し、オレイルアミンが配位したInP粒子のオクタン分散液を調製した。
−オレイルアミン修飾InP粒子のオクタン分散液の調製−
グローブボックス中、Nガス雰囲気下で、三つ口丸底フラスコに、1−オクタデセン30ml、オレイルアミン1.81ml、無水塩化インジウム0.60g、トリスジメチルアミノホスフィン0.49ml、およびマグネット撹拌子を入れた。次いで、三つ口丸底フラスコを三方弁付きの栓で密閉した状態でグローブボックスから取り出し、マグネットスターラー付きアルミブロック恒温槽にセットした。その後、三方弁を操作してフラスコ内にNガスを通気し、マグネット撹拌子で混合物を激しく撹拌しながら、アルミブロック恒温槽の加熱を開始した。アルミブロック恒温槽の温度は、約30分で150℃まで昇温し、そのまま5時間保持した。その後、加熱を停止して、三つ口丸底フラスコを、送風ファンを用いて室温まで冷却した。
三つ口丸底フラスコ内から生成物を取り出し、遠心分離機を用いた遠心分離により未反応物と副生成物を除去した。良溶媒として超脱水トルエンを用い、貧溶媒として脱水エタノールを用いて、生成物(InP粒子)を精製した。具体的には、生成物を良溶媒に溶解し、InP粒子溶解物を貧溶媒に再分散し、得られたInP粒子分散液を遠心分離する処理を繰り返した。なお、再分散には超音波洗浄機を用いた。InP粒子分散液の遠心分離を繰り返した後、InP粒子分散液中に残った脱水エタノールは、ロータリーエバポレーターを用いて減圧蒸留して取り除いた。最後にオクタンに、抽出したInP粒子を分散させたオレイルアミン修飾InP粒子濃度が1mg/mlのオクタン分散液(半導体量子ドット分散液2)を得た。
得られたInP粒子をSTEMで観察したところ、平均粒径が約4nmの粒子であった。
〔配位子溶液の調製〕
表1の「交換用配位子」欄に示す化合物を1mmol取り分け、10mlのメタノールに溶かし、0.1mol/l濃度の配位子溶液を調製した。配位子溶液中の配位子の溶解を促進するため、超音波照射し、可能な限り配位子の溶け残りがないようにした。
〔基板〕
基板は、石英ガラス上に、図2に示す65対のくし型白金電極を有する基板を準備した。くし型白金電極は、BAS社製のくし型電極(型番012126、電極間隔5μm)を用いた。
〔半導体膜の製造〕
(1)半導体量子ドット集合体形成工程
調製した半導体量子ドット分散液1を基板に滴下後、2500rpmでスピンコートし、半導体量子ドット集合体膜を得た。
(2)配位子交換工程
さらに、半導体量子ドット集合体膜の上に、表1に示す配位子のメタノール溶液〔配位子溶液〕を滴下した後、2500rpmでスピンコートし、半導体膜を得た。
(3)洗浄工程1
次いで、配位子溶液の溶媒であるメタノールだけを半導体膜上に滴下し、スピンコートした。
(4)洗浄工程2
さらに、洗浄工程1による洗浄後の半導体膜に、オクタン溶媒だけを滴下し、スピンコートした。
(1)〜(4)の一連の工程を15サイクル繰り返すことで、PbS量子ドットの集合体からなり、配位子交換が施された厚み100nmの半導体膜を得た。
以上のようにして、基板上に半導体膜を有する半導体膜デバイスを作製した。
実施例および比較例で用いた配位子溶液に含まれる交換用配位子は、表1に示すとおりである。表1の「p,q,r」の欄において、数値が1つ記載されている場合は、前記一般式(A)において、p、q、rが全て同じ数であることを意味する。
半導体量子ドット集合体形成工程において上記量子ドット分散液1(PbS)だけを、前記量子ドット分散液2(InP)に変更し、InP量子ドットからなる半導体量子ドット集合体膜を得た。
<半導体膜の評価>
得られた半導体膜デバイスの半導体膜について、種々の評価を行った。
1.電気伝導性
作製した半導体膜デバイスについて半導体パラメータアナライザーを用いることで、半導体膜の電気伝導性の評価を行った。
まず、半導体膜デバイスに光を照射しない状態で電極への印加電圧を−5〜5Vの間で掃引し、暗状態でのI−V特性を取得した。+5Vのバイアスを印加した状態での電流値を暗電流の値Idとして採用した。
次に、半導体膜デバイスにモノクロ光(照射強度1013フォトン)を照射した状態での光電流値を評価した。なお、半導体膜デバイスへのモノクロ光の照射には、図3に示す装置を用いて行った。モノクロ光の波長は280nm〜700nmの間で系統的に変化させた。280nmの波長の光を照射した場合の暗電流からの電流の増加分を光電流値Ipとした。
評価結果を、表1および表2に示す。
2.基板からの膜剥がれ
実施例および比較例の半導体膜デバイスについて、目視により、半導体膜の膜剥がれを評価した。膜剥がれの有無を表1および表2に示す。
表1に示すように、配位子交換によりPbSに一般式(A)で表されるリガンド分子を修飾させる事によって、エタンジチオール修飾の半導体膜(比較例4)に対して高い光電流値・暗電流が得られる事が分かった。また、エタンジチオール修飾の半導体膜については肉眼で顕著な膜剥がれが生じているのに対し、実施例のリガンド分子の場合には膜剥がれが認められず高いラフネスが実現された。
また同じくアミン系であるエチレンジアミンの場合(比較例5)には、光電流値、暗電流、ともに著しく低くなる事が分かった。従ってこの結果は、同じくアミン基を複数個有するジアミンの場合には良好な電気伝導特性が得られない事を示唆している。要因としてlogβがあまり高くなく、リガンドの配位があまり進行していないことが可能性として考えられる。そのためオレイン酸がリガンド分子として残り、量子ドット間のキャリアの輸送を阻害していると思われる。
また4級アンモニウムであるCTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)を用いた場合(比較例6)にも高い電気伝導性が得られなかった。
上記のように半導体量子ドットに特定のリガンドを修飾させた半導体膜を作製することによって高い光電流と電気伝導性が実現できる事が示された。
また、表2に示す、量子ドット材料をInPとした場合の実施例から、InP系においても本発明の特定配位子を配位させた量子ドット膜では比較例に対して高い電気伝導性が得られる事が明らかとなり、本発明で得られた知見は量子ドット材料が変わっていても適用できる事が分かる。
14 p型半導体層
16 n型半導体層
100 pn接合型太陽電池

Claims (14)

  1. PbS、PbSe、またはInSbを含む半導体量子ドットの集合体と、
    前記半導体量子ドット中の金属原子に対して3脚型で配位する下記一般式(A)で表される配位子と、
    を有する半導体膜。


    (式(A)中、X、X及びXはそれぞれ独立にSH又は 表し、p、q及びrはそれぞれ独立に1以上4以下の整数を表す。)
  2. 前記半導体量子ドットはPbSを含む請求項に記載の半導体膜。
  3. 前記p、q及びrはそれぞれ独立に1以上2以下の整数を表す請求項1又は請求項2に記載の半導体膜。
  4. 前記配位子が、トリス(2−アミノエチル)アミン又はその誘導体である請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の半導体膜。
  5. 前記半導体量子ドットは、平均粒径が2nm以上15nm以下である請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の半導体膜。
  6. 基板上に、PbS、PbSe、またはInSbを含む半導体量子ドット、前記半導体量子ドットに配位した第1の配位子、及び第1の溶媒を含有する半導体量子ドット分散液を付与して半導体量子ドットの集合体を形成する半導体量子ドット集合体形成工程と、
    前記第1の配位子よりも分子鎖長が短く、かつ、前記半導体量子ドット中の金属原子に3脚型で配位する下記一般式(A)で表される第2の配位子、及び第2の溶媒を含有する配位子溶液を、前記半導体量子ドットの集合体に付与して前記半導体量子ドットに配位している前記第1の配位子を前記第2の配位子に交換する配位子交換工程と、
    を有する半導体膜の製造方法。


    (式(A)中、X、X及びXはそれぞれ独立にSH又は 表し、p、q及びrはそれぞれ独立に1以上4以下の整数を表す。)
  7. 前記半導体量子ドットはPbSを含む請求項に記載の半導体膜の製造方法。
  8. 前記p、q及びrはそれぞれ独立に1以上2以下の整数を表す請求項6又は請求項7に記載の半導体膜の製造方法。
  9. 前記第2の配位子が、トリス(2−アミノエチル)アミン又はその誘導体である請求項〜請求項のいずれか項に記載の半導体膜の製造方法。
  10. 前記半導体量子ドットは、平均粒径が2nm以上15nm以下である請求項〜請求項のいずれか1項に記載の半導体膜の製造方法。
  11. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の半導体膜を備える太陽電池。
  12. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の半導体膜を備える発光ダイオード。
  13. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の半導体膜を備える薄膜トランジスタ。
  14. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の半導体膜を備える電子デバイス。
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