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JP6009874B2 - ゴルフクラブシャフト - Google Patents
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Description

本発明は、ゴルフクラブシャフトに関する。
いわゆるカーボンシャフトが広く普及している。このカーボンシャフトでは、通常、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)が用いられる。この繊維強化樹脂は、比強度及び比剛性に優れる。このカーボンシャフトは、クラブの軽量化に寄与しうる。クラブの軽量化は、飛距離の増大に寄与しうる。
カーボンシャフトには、通常、バイアス層が設けられる。このバイアス層は、捻れ剛性を高めうる。捻れ剛性の向上により、打球の方向安定性が向上しうる。
特開2011−147543号公報(図5、図6、図8等)は、第一のバイアス層、第二のバイアス層及び第三のバイアス層を有するシャフトを開示する。特開2010−63778号公報(図5、図6等)は、第一のバイアス層、第二のバイアス層及び第三のバイアス層を有するシャフトを開示する。特開2009−60983号公報は、少なくとも2組のバイアスセット層を有するシャフトを開示する。特開2007−185253号公報(図2等)は、第一全長層II、第二全長層III及び第三全長層IVを有するシャフトを開示する。特開2004−57642号公報(請求項1、図2等)は、シャフト細径側の最外層に補強プリプレグシートを有するシャフトを開示する。
特開2011−147543号公報 特開2010−63778号公報 特開2009−60983号公報 特開2007−185253号公報 特開2004−57642号公報
カーボンシャフトでは、打撃時に不快な振動及び衝撃が生じやすいことが分かった。カーボンシャフトは軽量である。シャフトが軽い場合、衝撃が大きくなるか、又は、衝撃が減衰しにくい。このため、ゴルファーが不快な振動を感じやすいと考えられる。この振動は、ゴルファーの肘、肩などに負荷を与えうる。
本発明者は、新たな積層構成が、振動の抑制に有効であることを見いだした。
本発明の目的は、振りやすく、振動吸収性に優れたゴルフクラブシャフトの提供にある。
本発明に係るゴルフクラブシャフトでは、シャフト全長がLsとされ、シャフトのチップ端からシャフト重心Gまでの距離がLgとされるとき、Lg/Lsが0.54以上0.65以下である。好ましくは、シャフト重量Wsが50g以上85g以下である。好ましくは、このシャフトは、少なくとも3組のバイアス層ペアを有している。好ましくは、上記3組のうちの1組のバイアス層ペアが、ピッチ系炭素繊維を有するピッチ含有バイアス層ペアである。好ましくは、上記3組のうちの2組のバイアス層ペアが、PAN系炭素繊維を有するPAN含有バイアス層ペアである。
好ましくは、上記ピッチ含有バイアス層ペアの外側及び内側のそれぞれに、上記PAN含有バイアス層ペアが位置している。
好ましくは、上記3組のバイアス層ペアのうちの1組が、バット部分層である。
好ましくは、上記バット部分層が、上記PAN含有バイアス層ペアである。
好ましくは、上記3組のバイアス層ペアのうちの2組が、全長層である。
好ましくは、上記3組のバイアス層ペアが互いに接している。
振りやすさと振動吸収性とが達成されうる。
図1は、本発明の第一実施形態に係るシャフトを備えたゴルフクラブを示す。 図2は、第一実施形態に係るシャフトの展開図である。図2は、実施例1のシャフトの展開図でもある。 図3は、第二実施形態に係るシャフトの展開図である。図3は、実施例2のシャフトの展開図でもある。 図4は、第三実施形態に係るシャフトの展開図である。図4は、実施例3のシャフトの展開図でもある。 図5は、実施例4のシャフトの展開図である。 図6は、実施例5のシャフトの展開図である。 図7は、比較例1のシャフトの展開図である。 図8は、比較例2のシャフトの展開図である。 図9は、比較例3のシャフトの展開図である。 図10は、捻れ剛性GIの測定方法を示す図である。 図11は、面外1次振動数の測定方法を示す図である。 図12は、面外1次振動数の測定で得られる伝達関数の一例を示すグラフである。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
なお本願では、「層」という文言と、「シート」という文言とが用いられる。「層」は、巻回された後における称呼であり、これに対して「シート」は、巻回される前における称呼である。「層」は、「シート」が巻回されることによって形成される。即ち、巻回された「シート」が、「層」を形成する。また、本願では、層とシートとで同じ符号が用いられる。例えば、シートa1によって形成された層は、層a1とされる。
本願において「内側」とは、シャフト半径方向における内側を意味する。本願において「外側」とは、シャフト半径方向における外側を意味する。
本願において、「軸方向」とは、シャフト軸方向を意味する。
軸方向に対する繊維の角度に関して、本願では、角度Af及び絶対角度θaが用いられる。角度Afは、プラス又はマイナスを伴う角度である。絶対角度θaは、角度Afの絶対値である。換言すれば、絶対角度θaとは、軸方向と繊維方向との成す角度の絶対値である。例えば、「絶対角度θaが10°以下」とは、「角度Afが−10度以上+10度以下」であることを意味する。
[第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態に係るゴルフクラブシャフト6を備えたゴルフクラブ2を示す。ゴルフクラブ2は、ヘッド4と、シャフト6と、グリップ8とを備えている。シャフト6の先端部に、ヘッド4が設けられている。シャフト6の後端部に、グリップ8が設けられている。なおヘッド4及びグリップ8は限定されない。ヘッド4として、ウッド型ゴルフクラブヘッド、ハイブリッド型ゴルフクラブヘッド、ユーティリティ型ゴルフクラブヘッド、アイアン型ゴルフクラブヘッド、パターヘッド等が例示される。
本実施形態のヘッド4は、ウッド型ゴルフクラブヘッドである。長いシャフトほど、振動吸収効果が発現しやすい。この観点から、ヘッド4として、ウッド型ゴルフクラブヘッド、ハイブリッド型ゴルフクラブヘッド及びユーティリティ型ゴルフクラブヘッドが好ましい。中空のヘッドは、慣性モーメントが大きい。ヘッドの慣性モーメントが大きいクラブでは、飛距離向上の効果が安定的に得られる。この観点から、ヘッド4は中空であるのが好ましい。
ヘッド4の材質は限定されない。ヘッド4の材質として、チタン、チタン合金、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)、ステンレス鋼、マルエージング鋼、軟鉄等が挙げられる。複数の材質の組み合わせも可能である。例えば、CFRPとチタン合金とが組み合わせられうる。ヘッド重心を下げる観点から、クラウンの少なくとも一部がCFRPであり、ソールの少なくとも一部がチタン合金であるヘッドであってもよい。強度の観点から、フェースの全体がチタン合金であるのが好ましい。
シャフト6は、繊維強化樹脂層の積層体からなる。シャフト6は、管状体である。シャフト6は中空構造を有する。図1が示すように、シャフト6は、チップ端Tpとバット端Btとを有する。チップ端Tpは、ヘッド4の内部に位置している。バット端Btは、グリップ8の内部に位置している。
シャフト6は、いわゆるカーボンシャフトである。好ましくは、シャフト6は、プリプレグシートを硬化させてなる。このプリプレグシートでは、繊維は実質的に一方向に配向している。このように繊維が実質的に一方向に配向したプリプレグは、UDプリプレグとも称される。「UD」とは、ユニディレクションの略である。UDプリプレグ以外のプリプレグが用いられても良い。例えば、プリプレグシートに含まれる繊維が編まれていてもよい。
プリプレグシートは、繊維と樹脂とを有している。この樹脂は、マトリクス樹脂とも称される。典型的には、この繊維は炭素繊維である。典型的には、このマトリクス樹脂は、熱硬化性樹脂である。
シャフト6は、いわゆるシートワインディング製法により製造されている。プリプレグにおいて、マトリクス樹脂は、半硬化状態にある。シャフト6は、プリプレグシートが巻回され且つ硬化されてなる。この硬化とは、半硬化状態のマトリクス樹脂を硬化させることである。この硬化は、加熱により達成される。シャフト6の製造工程には、加熱工程が含まれる。この加熱工程により、プリプレグシートのマトリクス樹脂が硬化する。
図2は、シャフト6を構成するプリプレグシートの展開図(シート構成図)である。シャフト6は、複数枚のシートにより構成されている。図2の実施形態では、シャフト6は、a1からa11までの11枚のシートにより構成されている。本願において、図2等で示される展開図は、巻回の順序を示している。展開図において上側に位置しているシートから順に巻回される。本願の展開図において、図面の左右方向は、シャフト軸方向と一致する。本願の展開図において、図面の右側はシャフトのチップ側であり、図面の左側はシャフトのバット側である。
本願の展開図は、各シートの巻き付け順序のみならず、各シートのシャフト軸方向における配置をも示している。例えば図2において、シートa1の一端はチップ端Tpに位置している。例えば図2において、シートa7及びシートa8の他端はバット端Btに位置している。
シャフト6は、ストレート層とバイアス層とを有する。本願の展開図において、繊維の配向角度が記載されている。「0°」と記載されているシートが、ストレート層を構成している。ストレート層用のシートは、本願においてストレートシートとも称される。
ストレート層は、繊維の配向がシャフトの長手方向(シャフト軸方向)に対して実質的に0°とされた層である。巻き付けの際の誤差等に起因して、繊維の配向はシャフト軸線方向に対して完全に0°とはならない場合がある。通常、ストレート層では、上記絶対角度θaが10°以下である。
図2の実施形態において、ストレートシートは、シートa1、シートa2、シートa9、シートa10及びシートa11である。ストレート層は、シャフトの曲げ剛性及び曲げ強度との相関が高い。
一方、バイアス層は、シャフトの捻れ剛性及び捻れ強度との相関が高い。好ましくは、バイアス層は、繊維の配向が互いに逆方向に傾斜した2枚のシートペアから構成されている。捻れ剛性を高める観点から、バイアス層の絶対角度θaは、好ましくは15°以上であり、より好ましくは25°以上であり、更に好ましくは40°以上である。捻れ剛性を高める観点から、バイアス層の絶対角度θaは、好ましくは60°以下であり、より好ましくは50°以下である。典型的には、バイアス層の絶対角度θaは45°とされる。本実施形態では、この絶対角度θaは45°である。ただし、±10°程度の誤差が許容されうる。
シャフト6において、バイアス層を構成するシートは、シートa3、シートa4、シートa5、シートa6、シートa7及びシートa8である。図2には、シート毎に、上記角度Afが記載されている。角度Afにおけるプラス(+)及びマイナス(−)は、バイアスシートの繊維が互いに逆方向に傾斜していることを示している。本願において、バイアス層用のシートは、単にバイアスシートとも称される。
なお、図2の実施形態では、シートa3が−45度であり且つシートa4が+45度であるが、逆にシートa3が+45度であり且つシートa4が−45度であってもよいことは当然である。
なお、図2の実施形態では採用されていないが、シャフト6は、フープ層を有していても良い。フープ層における上記絶対角度θaは、実質的に90°とされる。ただし、巻き付けの際の誤差等に起因して、繊維の配向はシャフト軸線方向に対して完全に90°とはならない場合がある。通常、フープ層では、上記絶対角度θaが80°以上90°以下である。
図示しないが、使用される前のプリプレグシートは、カバーシートにより挟まれている。通常、カバーシートは、離型紙及び樹脂フィルムである。即ち、使用前のプリプレグシートは、離型紙と樹脂フィルムとで挟まれている。プリプレグシートの一方の面には離型紙が貼られており、プリプレグシートの他方の面には樹脂フィルムが貼られている。以下において、離型紙が貼り付けられている面が「離型紙側の面」とも称され、樹脂フィルムが貼り付けられている面が「フィルム側の面」とも称される。
本願の展開図は、フィルム側の面が表側とされた図である。即ち、本願の展開図において、図面の表側がフィルム側の面であり、図面の裏側が離型紙側の面である。例えば図2では、シートa3の繊維方向とシートa4の繊維方向とは同じであるが、後述される貼り合わせの際にシートa4が裏返される。この結果、シートa3の繊維方向とシートa4の繊維方向とは互いに逆となる。従って、巻回された後の状態では、層a3の繊維方向と層a4の繊維方向とが互いに逆となる。この点を考慮して、図2では、シートa3の繊維方向が「−45°」と表記され、シートa4の繊維方向が「+45°」と表記されている。
プリプレグシートを巻回するには、先ず、樹脂フィルムが剥がされる。樹脂フィルムが剥がされることにより、フィルム側の面が露出する。この露出面は、タック性(粘着性)を有する。このタック性は、マトリクス樹脂に起因する。即ち、このマトリクス樹脂が半硬化状態であるため、粘着性が発現する。次に、この露出したフィルム側の面の縁部(巻き始め縁部ともいう)を、巻回対象物に貼り付ける。マトリクス樹脂の粘着性により、この巻き始め縁部の貼り付けが円滑になされうる。巻回対象物とは、マンドレル、又はマンドレルに他のプリプレグシートが巻き付けられてなる巻回物である。次に、離型紙が剥がされる。次に、巻回対象物が回転されて、プリプレグシートが巻回対象物に巻き付けられる。このように、先に樹脂フィルムが剥がされ、次に巻き始め端部が巻回対象物に貼り付けられ、次に離型紙が剥がされる。即ち、先に樹脂フィルムが剥がされ、巻き始め縁部が巻回対象物に貼り付けられた後に、離型紙が剥がされる。この手順により、シートの皺や巻き付け不良が抑制される。なぜなら、離型紙が貼り付けられたシートは、離型紙に支持されているため、皺となりにくいからである。離型紙は、樹脂フィルムと比較して、曲げ剛性が高い。
図2の実施形態では、バイアスシートペアが用いられる。好ましくは、バイアスシートペアを構成する2枚のバイアスシートは、巻回前に貼り合わされる。
図2の実施形態では、3組のバイアスシートペアが用いられる。第一のバイアスシートペアa34は、シートa3とシートa4とからなる。第二のバイアスシートペアa56は、シートa5とシートa6とからなる。第三のバイアスシートペアa78は、シートa7とシートa8とからなる。本実施形態では、3組のバイアス層ペアの間に、バイアス層以外の層が介在していない。
好ましくは、シートa3とシートa4とで、周方向位置を相違させる。この相違は、例えば、半周分(180°±10°)である。この相違は、貼り合わせの際にシート同士をずらすことによって達成されうる。同様に、好ましくは、シートa5とシートa6とで周方向位置を相違させる。同様に、好ましくは、シートa7とシートa8とで周方向位置を相違させる。
前述の通り、本願では、繊維の配向角度によって、シート及び層が分類される。更に、本願では、シャフト軸方向の長さによって、シート及び層が分類される。
本願において、シャフト軸方向の全体に配置される層が、全長層と称される。本願において、シャフト軸方向の全体に配置されるシートが、全長シートと称される。巻回された全長シートが、全長層を形成する。
一方、本願において、シャフト軸方向において部分的に配置される層が、部分層と称される。本願において、シャフト軸方向において部分的に配置されるシートが、部分シートと称される。巻回された部分シートが、部分層を形成する。
本願では、ストレート層である全長層が、全長ストレート層とも称される。図2の実施形態において、全長ストレート層は、層a9及び層a10である。本実施形態では、全ての全長ストレート層は、最も外側のバイアス層ペアよりも外側に位置する。
本願では、ストレート層である部分層が、部分ストレート層とも称される。図2の実施形態において、部分ストレート層は、層a1、層a2及び層a11である。
本願では、バイアス層である全長層が、全長バイアス層とも称される。図2の実施形態において、全長バイアス層は、層a3、層a4、層a5及び層a6である。
本願では、全長層であるバイアス層ペアが、全長バイアス層ペアとも称される。図2の実施形態において、全長バイアス層ペアは、層a34及び層a56である。
本願では、部分層であるバイアス層ペアが、部分バイアス層ペアとも称される。図2の実施形態において、部分バイアス層ペアは、層a78である。
本願では、フープ層である全長層が、全長フープ層と称される。図2にはフープ層は存在しない。
本願では、バット部分層との文言が用いられる。バット部分層は、部分層の一態様である。バット部分層として、バットストレート層、バットフープ層及びバットバイアス層が挙げられる。
図2の実施形態は、バットバイアス層を有する。このバットバイアス層は、層a7及び層a8である。図2の実施形態は、バットバイアス層ペアを有する。このバットバイアス層ペアは、層a78である。
本実施形態では、図2に示されるシートを用いて、シートワインディング製法により、シャフト6が作製される。
以下に、このシャフト6の製造工程の概略が説明される。
[シャフト製造工程の概略]
(1)裁断工程
裁断工程では、プリプレグシートが所望の形状に裁断される。この工程により、図2に示された各シートが切り出される。
なお、裁断は、裁断機によりなされてもよいし、手作業でなされてもよい。手作業の場合、例えば、カッターナイフが用いられる。
(2)貼り合わせ工程
貼り合わせ工程では、複数のシートが貼り合わされる。本実施形態では、シートa3とシートa4とが貼り合わされ、シートa5とシートa6とが貼り合わされ、シートa7とシートa8とが貼り合わされる。このように、本実施形態では、バイアス層ペアを構成するシート同士が貼り合わされる。
貼り合わせ工程では、加熱又はプレスが用いられてもよい。より好ましくは、加熱とプレスとが併用される。後述する巻回工程において、バイアスシートペアの巻き付け作業中に、シートのズレが生じうる。このズレは、巻き付け精度を低下させる。加熱及びプレスは、シート間の接着力を向上させる。加熱及びプレスは、巻回工程におけるシート間のズレを抑制する。
シート同士の接着力を高める観点から、貼り合わせ工程における加熱温度は、30℃以上が好ましく、35℃以上がより好ましい。この加熱温度が高すぎる場合、マトリクス樹脂の硬化が進行し、シートの粘着性が低下することがある。この粘着性の低下は、バイアスシートペアと巻回対象物との接着性を低下させる。この接着性の低下は、皺の発生を許容することがあり、巻き付け位置のズレを生じさせうる。この観点から、貼り合わせ工程における加熱温度は、60℃以下が好ましく、50℃以下がより好ましく、40℃以下がより好ましい。
シート同士の接着力を高める観点から、貼り合わせ工程における加熱時間は、20秒以上が好ましく、30秒以上がより好ましい。シートの粘着性を維持する観点から、貼り合わせ工程における加熱時間は、300秒以下が好ましい。
シート同士の接着力を高める観点から、貼り合わせ工程におけるプレスの圧力は、300g/cm以上が好ましく、350g/cm以上がより好ましい。プレスの圧力が過大である場合、プリプレグが押し潰される場合がある。この場合、プリプレグの厚みが設計値よりも薄くなる。プリプレグの厚み精度の観点から、貼り合わせ工程におけるプレスの圧力は、600g/cm以下が好ましく、500g/cm以下がより好ましい。
シート同士の接着力を高める観点から、貼り合わせ工程におけるプレスの時間は、20秒以上が好ましく、30秒以上がより好ましい。プリプレグの厚み精度の観点から、貼り合わせ工程におけるプレスの時間は、300秒以下が好ましい。
(3)巻回工程
巻回工程では、マンドレルが用意される。典型的なマンドレルは、金属製である。このマンドレルに、離型剤が塗布される。更に、このマンドレルに、粘着性を有する樹脂が塗布される。この樹脂は、タッキングレジンとも称される。このマンドレルに、裁断されたシートが巻回される。このタッキングレジンにより、シート端部をマンドレルに貼り付けることが容易とされている。
貼り合せに係るシートに関しては、貼り合わされた状態で巻回される。
この巻回工程により、巻回体が得られる。この巻回体は、マンドレルの外側にプリプレグシートが巻き付けられてなる。巻回は、例えば、平面上で巻回対象物を転がすことによりなされる。この巻回は、手作業によりなされてもよいし、機械によりなされてもよい。この機械は、ローリングマシンと称される。
(4)テープラッピング工程
テープラッピング工程では、上記巻回体の外周面にテープが巻き付けられる。このテープは、ラッピングテープとも称される。このラッピングテープは、張力を付与されつつ巻き付けられる。このラッピングテープにより、巻回体に圧力が加えられる。この圧力はボイドを低減させる。
(5)硬化工程
硬化工程では、テープラッピングがなされた後の巻回体が加熱される。この加熱により、マトリクス樹脂が硬化する。この硬化の課程で、マトリクス樹脂が一時的に流動化する。このマトリクス樹脂の流動化により、シート間又はシート内の空気が排出されうる。ラッピングテープの圧力(締め付け力)により、この空気の排出が促進されている。この硬化により、硬化積層体が得られる。
(6)マンドレルの引き抜き工程及びラッピングテープの除去工程
硬化工程の後、マンドレルの引き抜き工程とラッピングテープの除去工程とがなされる。両者の順序は限定されないが、ラッピングテープの除去工程の能率を向上させる観点から、マンドレルの引き抜き工程の後にラッピングテープの除去工程がなされるのが好ましい。
(7)両端カット工程
この工程では、硬化積層体の両端部がカットされる。このカットにより、チップ端Tpの端面及びバット端Btの端面が平坦とされる。なお、本願の展開図は、便宜上、両端カット工程でカットされる部分が除かれて描かれている。実際には、上記裁断工程では、両端カット工程でカットされる部分も含んだ寸法のシートが裁断される。
(8)研磨工程
この工程では、硬化積層体の表面が研磨される。硬化積層体の表面には、ラッピングテープの跡として残された螺旋状の凹凸が存在する。研磨により、このラッピングテープの跡としての凹凸が消滅し、表面が平滑とされる。
(9)塗装工程
研磨工程後の硬化積層体に塗装が施される。
以上の工程により、シャフト6が得られる。
シャフト6は、重心Gを有する。重心Gは、シャフト単体の重心である。このシャフト重心Gが図1に示されている。図1において両矢印Lsで示されるのは、シャフト全長である。図1において両矢印Lgで示されるのは、チップ端Tpからシャフト重心Gまでの距離である。シャフト全長Ls及び距離Lgは、軸方向に沿って測定される。
[Lg/Ls]
本願では、Lg/Lsが考慮される。Lg/Lsが大きくされることで、スイングウェイト(スイングバランス)が軽くなり、振りやすさが向上しうる。また、Lg/Lsが大きくされることで、ヘッド重量を軽くしなくても振りやすさが向上しうる。よって、ヘッド重量の設定の幅が拡がり、ヘッドの設計自由度が向上しうる。この設計自由度の向上は、例えば、ヘッドの低重心化に寄与しうる。これらの観点から、Lg/Lsは、0.54以上が好ましく、0.55以上がより好ましく、0.56以上が更に好ましい。
Lg/Lsが過大である場合、スイングウェイトが通常の値に設定するためには、ヘッド重量を重くする必要が生じる。スイングウェイトが通常であっても、ヘッド重量が過大である場合、振りにくくなる。この観点から、Lg/Lsは、0.65以下が好ましく、0.64以下がより好ましく、0.63以下が更に好ましい。
[シャフト全長Ls]
長いシャフトでは、ピッチ含有バイアス層ペアを長くできるため、振動吸収性の発現に有利である。この観点から、シャフト全長Lsは、41インチ以上が好ましく、42インチ以上がより好ましく、43インチ以上がより好ましく、44インチ以上がより好ましく、45インチ以上が特に好ましい。振りやすさ及びゴルフルールの観点から、シャフト全長Lsは47インチ以下が好ましく、46.5インチ以下がより好ましく、46インチ以下が更に好ましい。
Lg/Lsを調整する手段として、次の(a1)から(a8)が挙げられる。
(a1)バット部分層の巻回数の増減。
(a2)バット部分層の厚みの増減。
(a3)バット部分層の軸方向長さの増減。
(a4)バイアス層の形状(チップ側巻回数及びバット側巻回数の調整)
(a5)チップ部分層の巻回数の増減。
(a6)チップ部分層の厚みの増減。
(a7)チップ部分層の軸方向長さの増減。
(a8)シャフトのテーパー率の増減。
バット部分層の存在により、Lg/Lsの調整が容易とされる。
[シャフト重量Ws]
3組のバイアス層ペアを設けつつ、強度を確保する観点から、シャフト重量Wsは、50g以上が好ましく、52g以上がより好ましく、55g以上がより好ましく、60g以上が更に好ましく、62g以上が更に好ましい。振りやすさの観点から、シャフト重量Wsは、85g以下が好ましく、83g以下がより好ましく、80g以下がより好ましい。
好ましくは、少なくとも3組のバイアス層ペアが設けられている。本実施形態のシャフト6は、3組のバイアス層ペアa34、a56及びa78を有している。軽量化の観点から、バイアス層ペアの数は、5組以下が好ましく、4組以下がより好ましく、3組が最も好ましい。
軽量化の観点から、全長バイアス層ペアの数は、4組以下が好ましく、3組以下がより好ましく、2組が最も好ましい。本実施形態では、全長バイアス層ペアの数は2組である。本実施形態では、全長バイアス層ペアは、ペアa34及びペアa56である。
好ましくは、少なくとも1組のバイアス層ペアが、ピッチ系炭素繊維を有するピッチ含有バイアス層ペアとされる。本実施形態では、バイアス層ペアa56が、ピッチ含有バイアス層ペアである。
ピッチ系カーボン繊維は、分子構造上、力が加わった際に、一時的に、原子間でズレた構造をとることができる。この構造に起因して、振動吸収性が生じうる。ピッチ含有バイアス層ペアを設けることで、振動吸収性が向上する。
また、ピッチ系カーボン繊維では、弾性率を55t/mm以上とすることができる。ピッチ含有バイアス層ペアを用いることで、バイアス層の弾性率の設計自由度が向上する。また、この高い弾性率は、捻れ剛性を高めつつシャフトを軽量化するのに役立つ。
ピッチ含有バイアス層ペアに用いられるピッチ系プリプレグは、ピッチ系炭素繊維を含む。このピッチ系プリプレグの炭素繊維は、ピッチ系炭素繊維のみであってもよいし、ピッチ系以外の炭素繊維を含んでいても良い。本実施形態では、ピッチ系プリプレグとして、ハイブリッドタイププリプレグが用いられている。このハイブリッドタイププリプレグでは、PAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維とが併用されている。具体的には、PAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維とが交互に配列されている。このハイブリッドタイププリプレグは、高強度のPAN系炭素繊維と、振動吸収性があり高弾性のピッチ系炭素繊維とを有するため、これらの特性を併せ持つことができる。
ピッチ含有バイアス層ペアの利点を高める観点から、ピッチ含有バイアス層ペアは、全長層であるのが好ましい。シャフトの全長に亘ってピッチ系炭素繊維が配置されることで、振動が発生するヘッドから、振動が伝わるグリップまで、ピッチ系炭素繊維が存在することになる。よって、発生する振動及び手に伝わる振動が効果的に抑制され、振動吸収性が高まる。本実施形態でも、ピッチ含有バイアス層ペアa34は全長層である。
好ましくは、少なくとも2組のバイアス層ペアが、PAN系炭素繊維を有するPAN含有バイアス層ペアとされる。このPAN含有バイアス層ペアは、PAN系炭素繊維を有するため、強度に優れる。また、PAN系プリプレグは比較的安価である。これらの観点から、PAN含有バイアス層ペアに含まれる炭素繊維は、PAN系炭素繊維のみであるのが好ましい。
好ましくは、少なくとも1組のバイアス層ペアが、バット部分層とされる。この構成により、シャフト重心Gをバット端Bt寄りとすることができ、Lg/Lsを大きくすることが可能となる。また、バット部分層をバイアス層とすることで、バット部分の曲げ剛性が過大となることを防止することができる。これは、手に伝わる不快な振動を抑制するのに役立ちうる。本実施形態では、バイアス層ペアa78がバット部分層である。
少なくとも2組のバイアス層ペアが全長層であるのが好ましい。この構成により、捻れ剛性が効果的に抑制される。また、全長バイアス層ペアを複数とすることで、捻れ剛性及び捻れ剛性分布の設計自由度が向上する。本実施形態では、2組のバイアス層ペア(a34、a56)が設けられている。
好ましくは、1組以上の全長PAN含有バイアス層ペアと、1組以上の全長ピッチ含有バイアス層ペアとが設けられる。この構成により、捻れ剛性及び捻れ剛性分布の設計自由度が一層向上する。本実施形態のシャフト6は、全長ピッチ含有バイアス層ペアa34と、全長PAN含有バイアス層ペアa56とを有している。
好ましくは、3組のバイアス層ペアが互いに接している。本実施形態でも、バイアス層ペアa34と、バイアス層ペアa56と、バイアス層ペアa78とが互いに接している。バイアス層ペア同士が接していることにより、バイアス層ペア同士の相互作用が生じ、この相互作用が振動吸収に寄与すると考えられる。特に、PAN含有バイアス層ペアとピッチ含有バイアス層ペアとが接している場合、PAN含有バイアス層ペアからピッチ含有バイアス層ペアへの振動伝達が効率的となると考えられる。そして、ピッチ含有バイアス層ペアに伝達された振動が、ピッチ系炭素繊維の分子構造に基づき、効率的に吸収されると推測される。
上記バット部分層は、PAN含有バイアス層ペアであってもよいし、ピッチ含有バイアス層ペアであってもよい。本実施形態では、バット部分層a78は、PAN含有バイアス層ペアである。バット部分層にPAN系炭素繊維が用いられることで、バット部分の強度が効果的に高められる。
図3は、第二実施形態に係るシャフトの展開図である。この第二実施形態では、図2の第一実施形態と比較して、バット部分層であるバイアス層ペアb78の巻回数が多い。よって、Lg/Lsがより大きくされうる。
図4は、第三実施形態に係るシャフトの展開図である。この第三実施形態では、バイアス層ペアc34がPAN含有バイアス層ペアであり、バイアス層ペアc56がピッチ含有バイアス層ペアであり、バイアス層ペアc78がPAN含有バイアス層ペアである。このように、本実施形態では、バイアス層ペアが、PAN−ピッチ−PANの順で配置されている。即ち、ピッチ含有バイアス層ペアが、PAN含有バイアス層ペアによって挟まれている。
この第三実施形態では、ピッチ含有バイアス層ペアc56の外側及び内側のそれぞれに、上記PAN含有バイアス層ペアが位置している。即ち、ピッチ含有バイアス層ペアc56の外側にPAN含有バイアス層ペアc78が位置し、ピッチ含有バイアス層ペアc56の内側にPAN含有バイアス層ペアc34が位置している。また、3組のバイアス層ペアc34、c56及びc78が互いに接している。
後述される実施例のデータが示すように、この第三実施形態の構成は、振動吸収性をより一層高めうることが判明した。この理由は不明であるが、外側のPAN含有バイアス層ペアc78からの振動と、内側のPAN含有バイアス層ペアc34からの振動とが、共に、ピッチ含有バイアス層ペアc56に伝達されやすくなるためと推測される。即ち、次の(伝達a)と(伝達b)との両方が効率的となると推測される。
(伝達a)外側のPAN含有バイアス層ペアc78からピッチ含有バイアス層ペアc56への振動伝達
(伝達b)内側のPAN含有バイアス層ペアc34からピッチ含有バイアス層ペアc56への振動伝達
そして、これら(伝達a)と(伝達b)とにより、ピッチ含有バイアス層ペアc56に、振動が効率的に集められると推測される。更に、この集められた振動が、ピッチ炭素繊維の分子構造によって効率的に吸収されると推測される。更に、3組のバイアス層ペアc34、c56及びc78が互いに接しているので、(伝達a)及び(伝達b)が一層向上しうると考えられる。
[ピッチ含有バイアス層ペアの繊維弾性率]
打球の方向安定性を高める観点から、ピッチ含有バイアス層ペアの繊維弾性率は、45t/mm以上が好ましく、50t/mm以上がより好ましい。硬すぎる打球フィーリングを抑制する観点から、ピッチ含有バイアス層ペアの繊維弾性率は、80t/mm以下が好ましく、70t/mm以下がより好ましい。前述したハイブリッドタイププリプレグの場合、この繊維弾性率は、繊維の使用割合を考慮した加重平均値である。
[シャフトトルク]
硬すぎる打球フィーリングを抑制する観点から、シャフトトルクは、2.4°以上が好ましく、2.6°以上がより好ましく、2.8°以上が更に好ましい。打球の方向安定性の観点から、シャフトトルクは、4.4°以下が好ましく、4.2°以下がより好ましく、4.0°以下が更に好ましい。
[捻れ剛性GIb]
本願では、チップ端Tpから890mm隔てた地点におけるGI値がGIbとされる。捻れ剛性GIbが過小である場合、ヘッドスピードの速いゴルファーにおいて、打球フィーリングが柔らかくなりすぎる。この観点から、捻れ剛性GIbは、24N・m以上が好ましく、26N・m以上がより好ましく、29N・m以上が更に好ましい。過度に硬い打球フィーリングを抑制し、捻れ破壊強度を高める観点から、捻れ剛性GIbは、59N・m以下が好ましく、57N・m以下がより好ましく、54N・m以下が更に好ましい。
[捻れ剛性GIt]
本願では、チップ端Tpから90mm隔てた地点におけるGI値がGItとされる。捻れ剛性GItが過小である場合、ヘッドスピードの速いゴルファーにおいて、打球フィーリングが柔らかくなりすぎる。この観点から、捻れ剛性GItは、5.4N・m以上が好ましく、5.9N・m以上がより好ましく、6.4N・m以上が更に好ましい。過度に硬い打球フィーリングを抑制し、捻れ破壊強度を高める観点から、捻れ剛性GItは、8.8N・m以下が好ましく、8.3N・m以下がより好ましく、7.8N・m以下が更に好ましい。
[GIb/GIt]
GIb/GItが過小である場合、ヘッドスピードの速いゴルファーにおいて、打球フィーリングが柔らかくなりすぎる。また、GIb/GItが過小である場合、ボールのつかまりが悪化しやすい。即ち、GIb/GItが過小である場合、インパクトでフェースが開きやすい傾向となる。フェースの開きは飛距離を低下させる。これらの観点から、GIb/GItは、5以上が好ましく、5.5以上がより好ましく、6以上が更に好ましい。設計自由度の限界を考慮すると、GIb/GItは、通常、9以下である。
[バット部分層のバット側の端位置Bp1、距離L1]
図2において符号Bp1で示されているのは、バット部分層のバット側の端位置Bp1である。ゴルファーが握り位置を考慮すると、シャフトのバット端Btの近傍は、クラブ性能への影響が小さい。よって、バット端Btから位置Bp1までの距離L1は、10mm以上、更には20mm以上、更には30mm以上とされてもよい。シャフト重心Gをバット寄りとする観点から、この距離L1は、100mm以下が好ましく、50mm以下がより好ましい。距離L1は、図2の実施形態の如く、0mmでもよい。
[バット部分層のチップ側の端位置Bp2、距離L2]
図2において符号Bp2で示されているのは、バット部分層のチップ側の端位置Bp2である。シャフト重心Gをバット側に位置させる観点から、バット端Btから位置Bp2までの距離L2は、550mm以下が好ましく、540mm以下がより好ましく、535mm以下がより好ましく、530mm以下が更に好ましい。シャフト重心Gをバット側に位置させる観点から、距離L2は、300mm以上が好ましく、350mm以上がより好ましく、400mm以上が更に好ましい。
[グリップ端MI]
シャフトの過度な軽量化は、強度を低下させる。また、ヘッドの過度な軽量化は、反発係数を低下させる。この観点から、クラブのグリップ端MIは、2400×10(g・cm)以上が好ましく、2500×10(g・cm)以上がより好ましい。振りやすさ及びヘッドスピードの観点から、上記グリップ端MIは、3200×10(g・cm)以下が好ましく、3100×10(g・cm)以下がより好ましい。グリップ端MIの測定方法は後述される。
[スイングバランス(14インチ方式)]
ヘッドの過度な軽量化は、反発係数を低下させる。この観点から、スイングバランスは、C9以上が好ましくD0以上がより好ましい。振りやすさ及びヘッドスピードの観点から、上記スイングバランスは、D5以下が好ましく、D4以下がより好ましい。
プリプレグシートのマトリクス樹脂としては、エポキシ樹脂の他、エポキシ樹脂以外の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等も用いられ得る。シャフト強度の観点から、マトリクス樹脂は、エポキシ樹脂が好ましい。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
下記の表1は、実施例及び比較例で使用されたプリプレグの一覧表である。表1においてCFとは炭素繊維を意味する。このうち、E5526D−10Hは、前述したハイブリッドタイププリプレグである。後述される実施例1等において、このE5526D−10Hは、ピッチ含有バイアス層ペアを構成する。
Figure 0006009874

[実施例1]
前述した第一実施形態のシャフト6と同様にして、実施例1のシャフトを得た。実施例1に係るシャフトex1の展開図は、図2に示される通りである。この実施例1で用いられたプリプレグ及びプライ数(巻回数)が、下記の表2に示される。なお、三角形の先端補強プリプレグ(シートa11)におけるプライ数は、チップ端Tpにおけるプライ数を意味する。前述した製造方法により、実施例1のシャフトを得た。このシャフトにヘッド及びグリップを装着し、実施例1のクラブを得た。このヘッドとして、SRIスポーツ社製の商品名「SRIXON Z−TX2 TOUR ロフト9.5°」が用いられた。グリップの重量は50gであった。このシャフト及びクラブの仕様が下記の表10に示される。この実施例1において、距離L1は0mmとされ、距離L2は535mmとされた。
Figure 0006009874

[実施例2]
前述した第二実施形態のシャフトと同様にして、実施例2のシャフトを得た。実施例2に係るシャフトex2の展開図は、図3に示される通りである。この実施例2で用いられたプリプレグ及びプライ数(巻回数)が、下記の表3に示される。その他は実施例1と同様にして、実施例2に係るシャフト及びクラブを得た。このシャフト及びクラブの仕様が下記の表10に示される。この実施例2において、距離L1は0mmとされ、距離L2は535mmとされた。
Figure 0006009874

[実施例3]
前述した第三実施形態のシャフトと同様にして、実施例3のシャフトを得た。実施例3に係るシャフトex3の展開図は、図4に示される通りである。この実施例3で用いられたプリプレグ及びプライ数(巻回数)が、下記の表4に示される。その他は実施例1と同様にして、実施例3に係るシャフト及びクラブを得た。このシャフト及びクラブの仕様が下記の表10に示される。この実施例3において、距離L1は0mmとされ、距離L2は535mmとされた。
Figure 0006009874
[実施例4]
図5は、実施例4のシャフトex4の展開図である。この実施例4で用いられたプリプレグ及びプライ数(巻回数)が、下記の表5に示される。その他は実施例1と同様にして、実施例4に係るシャフト及びクラブを得た。このシャフト及びクラブの仕様が下記の表10に示される。この実施例4において、距離L1は0mmとされ、距離L2は535mmとされた。
Figure 0006009874

[実施例5]
図6は、実施例5のシャフトex5の展開図である。この実施例5で用いられたプリプレグ及びプライ数(巻回数)が、下記の表6に示される。その他は実施例1と同様にして、実施例5に係るシャフト及びクラブを得た。このシャフト及びクラブの仕様が下記の表10に示される。この実施例5において、距離L1は0mmとされ、距離L2は535mmとされた。
Figure 0006009874

[比較例1]
図7は、比較例1のシャフトcx1の展開図である。この比較例1で用いられたプリプレグ及びプライ数(巻回数)が、下記の表7に示される。その他は実施例1と同様にして、比較例1に係るシャフト及びクラブを得た。このシャフト及びクラブの仕様が下記の表11に示される。図7が示すように、この比較例1では、バイアス層ペアが1組のみである。
Figure 0006009874

[比較例2]
図8は、比較例2のシャフトcx2の展開図である。この比較例2で用いられたプリプレグ及びプライ数(巻回数)が、下記の表8に示される。シートgfはフープ層である。その他は実施例1と同様にして、比較例2に係るシャフト及びクラブを得た。このシャフト及びクラブの仕様が下記の表11に示される。図8が示すように、この比較例2では、バイアス層ペアが2組である。このうち1組が全長バイアス層ペアg34であり、他の1組はバットバイアス層ペアg78である。この比較例2において、距離L1は0mmとされ、距離L2は535mmとされた。
Figure 0006009874

[比較例3]
図9は、比較例3cx3のシャフトの展開図である。この比較例3で用いられたプリプレグ及びプライ数(巻回数)が、下記の表9に示される。その他は実施例1と同様にして、比較例3に係るシャフト及びクラブを得た。このシャフト及びクラブの仕様が下記の表11に示される。図9が示すように、この比較例3の積層構成は、2組目のバットバイアス層ペアの品種を除き、実施例3の積層構成と同じである。実施例3では、全長バイアス層ペアc56がピッチ含有バイアス層ペアであるのに対して、この比較例3では、全長バイアス層ペアh56がPAN含有バイアス層ペアである。この比較例3は、3組のバイアス層ペアh34、h56及びh78を有している。しかしこの比較例3は、ピッチ含有バイアス層ペアを有していない。この比較例3において、距離L1は0mmとされ、距離L2は535mmとされた。
Figure 0006009874

Figure 0006009874

Figure 0006009874

なお、全ての実施例及び比較例では、同一のマンドレルが用いられた。
[評価方法]
評価方法は以下の通りである。
[シャフトトルク]
シャフトの後端部をバット治具により回転不能に固定するとともに、シャフトの先端部をトルク付与が可能なチップ治具で把持した。そして、チップTpから40mmの位置に13.9kgf・cmのトルクTrを作用させた。このトルク作用位置でのシャフトの捻れ角(度)が、シャフトトルクとされた。なお、トルクTrを負荷する際のチップ治具の回転速度は130゜/分以下とし、バット治具とチップ治具との間の軸方向長さは825mmとされた。チップ治具又はバット治具の把持によってシャフトが変形する場合、シャフトの内部に芯材などを入れて測定を行った。この測定値が上記表10及び表11に示される。
[バット側の捻れ剛性値GIb]
チップ端Tpから890mm隔てた地点P1におけるGI値が測定された。図10は、この捻れ剛性値GIbの測定方法を示している。第一位置が治具M1にて固定され、この治具M1から200mm隔てた第二位置が治具M2にて保持された。測定地点P1は、上記第一位置と上記第二位置との中点である。この治具M2に1.363(N・m)のトルクTrを与えたときのシャフト6の捩れ角度A(rad)が測定された。捻れ剛性値GIbは次式にて算出された。
GIb(N・m)=M×Tr/A
ただし、Mは測定スパン(m)であり、Trはトルク(N・m)であり、Aは捩れ角度(rad)である。測定スパンMは0.2mであり、トルクTrは1.363(N・mである。この捻れ剛性値GIbの値が上記表10及び表11に示される。
[捻れ剛性GIt]
本願では、チップ端Tpから90mm隔てた地点P1におけるGI値が測定された。測定スパンMが100mmとされ且つ測定地点が変更された他は捻れ剛性値GIbと同様にして、捻れ剛性GItが測定された。この捻れ剛性値GItの値(N・m)が上記表10及び表11に示される。
[面外1次減衰率]
図11は、面外一次振動減衰率の測定方法を示す。この測定では、シャフト6のバット側端部に、紐50が取り付けられる。また、グリップエンドから370mmの地点に、加速度ピックアップ計52が取り付けられる。紐50を用いて、シャフト6が吊り下げられる。この吊り下げられた状態で、加速度ピックアップ計52の反対側(裏側)を、インパクトハンマー54で叩き、加振がなされる。インパクトハンマー54に取り付けられたフォースピックアップ計56により、入力振動Fが計測される。また、加速度ピックアップ計52により、応答振動αが計測される。応答振動αは、アンプ58を介して、周波数解析装置62に入力される。入力振動Fは、アンプ60を介して、周波数解析装置62に入力される。周波数解析装置62として、ヒューレットパッカード社製のダイナミックシングルアナライザー HP3562Aが用いられた。解析で得られた周波数領域での伝達関数を求め、シャフト6のピーク振動数ωnを得た。図12は、この伝達関数の一例を示すグラフである。このグラフを用いて、下式により、振動減衰率(ζ)を求めた。この振動減衰率(ζ)が、面外一次振動減衰率である。この値が表10及び表11に示される。
ζ=(1/2)×(△ω/ωn)
To=Tn×21/2
なお、Tnは、伝達関数のピーク値(最大値)であり、Toは、このTnに√2を掛けた値であり、Δωは、伝達関数がToのときのピーク幅である(図12参照)。
[グリップ端MI]
グリップエンド(クラブの後端)を通り且つシャフト軸方向に対して垂直な回転軸を考える。この回転軸回りのクラブの慣性モーメントMI(g・cm)は、次式によって計算される。この慣性モーメントMIが、本願において、グリップ端MIとも称される。
MI=(T・M・g・H)/4π
ただし、Tは、グリップエンドを中心とした振り子運動の周期(秒)であり、Mはクラブ重量(g)であり、Hはグリップエンドからクラブ重心までの距離(cm)であり、gは重力加速度である。この値が表10及び表11に示される。
[クラブバランス(スイングバランス]
DAININ社製の商品名「BANCER−14」を用いて、14インチ方式のクラブバランスを測定した。この値が表10及び表11に示される。
[飛距離]
ゴルフ歴が10年以上であり且つ月に4回以上ラウンドするゴルファー16名により、実打テストを行った。一人当たり5回打球し、ボールの最終到達点に基づいて飛距離が計測された。16名のデータの平均値が算出された。この平均値が表10及び表11に示される。
[方向安定性]
上記16名のテスターにアンケート調査を行った。打球の方向安定性について、1点から5点まで5段階で評価された。点数が高いほど方向安定性が良好である。16名の評価点の平均値が、表10及び表11に示される。
[振動吸収性]
上記16名のテスターにアンケート調査を行った。振動吸収性について、1点から5点まで5段階で評価された。点数が高いほど振動吸収性が良好である。16名の評価点の平均値が、表10及び表11に示される。
実施例1と比較例1との対比では、トルクが小さく且つシャフト重心Gがバット寄りである実施例1は、飛距離及び方向安定性が向上している。更にシャフト重心Gをバット寄りとした実施例2では、飛距離が一層増大した。実施例2の方向安定性は、実施例1には劣るが、比較例1よりも良好である。実施例3では、面外1次減衰率及び振動吸収性が向上しているが、これは、ピッチ含有バイアス層ペアの外側及び内側にPAN含有バイアス層ペアを配置したためであると考えられる。実施例4及び実施例5は、シャフト重量Wsを変更している。これらは、シャフト重心Gがバット寄りであるために飛距離が良好である。
これらの結果から、本発明の優位性は明らかである。
本発明は、あらゆるゴルフクラブに適用されうる。
2・・・ゴルフクラブ
4・・・ヘッド
6・・・シャフト
8・・・グリップ
a1〜a11・・・シート(層)
b1〜b11・・・シート(層)
c1〜c11・・・シート(層)
d1〜d11・・・シート(層)
e1〜e11・・・シート(層)
f1〜f4、f9〜f11・・・シート(層)
g1〜g4、g7〜g9、gf、g10、g11・・・シート(層)
h1〜h11・・・シート(層)
a34・・・全長バイアス層ペア(ピッチ含有バイアス層ペア)
a56・・・全長バイアス層ペア(PAN含有バイアス層ペア)
a78・・・バットバイアス層ペア(PAN含有バイアス層ペア)
b34・・・全長バイアス層ペア(ピッチ含有バイアス層ペア)
b56・・・全長バイアス層ペア(PAN含有バイアス層ペア)
b78・・・バットバイアス層ペア(PAN含有バイアス層ペア)
c34・・・全長バイアス層ペア(PAN含有バイアス層ペア)
c56・・・全長バイアス層ペア(ピッチ含有バイアス層ペア)
c78・・・バットバイアス層ペア(PAN含有バイアス層ペア)
d34・・・全長バイアス層ペア(ピッチ含有バイアス層ペア)
d56・・・全長バイアス層ペア(PAN含有バイアス層ペア)
d78・・・バットバイアス層ペア(PAN含有バイアス層ペア)
e34・・・全長バイアス層ペア(ピッチ含有バイアス層ペア)
e56・・・全長バイアス層ペア(PAN含有バイアス層ペア)
e78・・・バットバイアス層ペア(PAN含有バイアス層ペア)
f34・・・全長バイアス層ペア(PAN含有バイアス層ペア)
g34・・・全長バイアス層ペア(PAN含有バイアス層ペア)
g78・・・バットバイアス層ペア(PAN含有バイアス層ペア)
h34・・・全長バイアス層ペア(PAN含有バイアス層ペア)
h56・・・全長バイアス層ペア(PAN含有バイアス層ペア)
h78・・・バットバイアス層ペア(PAN含有バイアス層ペア)
Tp・・・シャフトのチップ端
Bt・・・シャフトのバット端

Claims (5)

  1. シャフト全長がLsとされ、シャフトのチップ端からシャフト重心Gまでの距離がLgとされるとき、Lg/Lsが0.54以上0.65以下であり、
    シャフト重量Wsが50g以上85g以下であり、
    少なくとも3組のバイアス層ペアを有しており、
    上記3組のうちの1組のバイアス層ペアが、ピッチ系炭素繊維を有するピッチ含有バイアス層ペアであり、
    上記3組のうちの2組のバイアス層ペアが、PAN系炭素繊維を有するPAN含有バイアス層ペアであり、
    上記ピッチ含有バイアス層ペアの外側及び内側のそれぞれに、上記PAN含有バイアス層ペアが位置しているゴルフクラブシャフト。
  2. 上記3組のバイアス層ペアのうちの1組が、バット部分層である請求項1に記載のゴルフクラブシャフト。
  3. 上記バット部分層が、上記PAN含有バイアス層ペアである請求項に記載のゴルフクラブシャフト。
  4. 上記3組のバイアス層ペアのうちの2組が、全長層である請求項又はに記載のゴルフクラブシャフト。
  5. 上記3組のバイアス層ペアが互いに接している請求項1からのいずれかに記載のゴルフクラブシャフト。
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