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JP6012415B2 - 酒酔い軽減剤 - Google Patents
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Description

本発明は酒酔い軽減剤に関し、特に、多量の飲酒による酩酊又は泥酔度合いを軽減させる酒酔い軽減剤に関する。
飲酒により体内に摂取されたアルコールは肝細胞内のミトコンドリアにより代謝され、肝毒性の強いアセトアルデヒドに分解され、次いでアセトアルデヒドは速やかに酢酸に分解される。酢酸は、肝臓から血中に放出され、末梢組織のエネルギー源としてTCA回路に入り、最終的には、二酸化炭素と水に分解される。
アルコールが吸収されることによる生体への影響に対して、これまでに軽減効果が期待される食品素材・成分が多数報告されている。ヒト又は動物の生体によるアルコールの吸収を低減するための食用組成物を酒酔い軽減剤という。酒酔い軽減剤は、血中のアルコールやアセトアルデヒド濃度低下のデータをもって効果があるとするものが多数である。酒酔い軽減剤を使用して、実際に多量のアルコールを摂取した影響による酩酊又は泥酔度合いの軽減を調べた例はほとんどない。
例えば、特許文献1には、肝臓の機能構造を回復させる手助けをして、血液および組織からのアルコールの排除を加速することができ、慢性アルコール酩酊および関連症候群に関連する神経心理学的障害を緩和するメタドキシン組成物が開示されている。
非特許文献1には、マウスにエタノールを2g/kgで投与し、血中アセトアルデヒド濃度の上昇が抑制されたとあるが、血中エタノール濃度は約1.6mg/ml程度で有り、軽度〜中程度の酩酊度を呈する状態に過ぎず、また、動物の行動等も調べておらず、アルコールによる影響の軽減効果の有無については言及されていない。
非特許文献2では、お酒に弱いタイプを対象に、アルコール投与による悪酔いに対する改善効果を調べ、胃部の不快感、吐き気が軽減されたとあるが、アルコール投与量が0.5g/kg程度、血中エタノール濃度も0.4〜0.8mg/mlの間で、軽度の酩酊を呈する程度の飲酒量での評価であり、強度酩酊以上における改善効果は検討されていない。
非特許文献3には、トマトジュースとアルコールを同時に摂取すると、酔いの回りが緩やかになり、飲酒後の酔い覚めも早まる可能性があること、及びその原因として、トマトの水溶性成分には、生体内でアルコール及びアセトアルデヒドを代謝する酵素の活性を高める傾向が見られ、特に、肝臓中のLDHの活性が有意に高まることが記載されている。
特表2010−531872公報
「マウス急性アルコール中毒モデルの血中エタノールおよび代謝物濃度に及ぼす肝臓水解物の効果」、岸本ら、薬理と治療、39(2):p199−207、2011 「「西条柿エキス」のアルコール代謝促進および悪酔い軽減効果」、小池田ら、診療と新薬、44:p57−65、2007 「トマトが飲酒後の血中アルコール濃度を低下させることをヒトで確認」http://www.kagome.co.jp/company/news/2012/05/001371.html
本発明は上記従来の問題を解決するものであり、その目的とするところは、多量の飲酒を行なった際の酩酊又は泥酔度合いを軽減させることができる酒酔い軽減剤を提供することにある。
本発明は、酒酔い軽減剤の調製における、トマトの不溶性成分の使用を提供する。
ある一形態においては、前記トマトの不溶性成分が、トマト原料から水溶性成分を除去して得られる残渣である。
ある一形態においては、前記トマトの不溶性成分が、トマト原料から水溶性成分及び脂溶性成分を除去して得られる残渣である。
ある一形態においては、前記トマト原料が、トマト果実、乾燥トマト粉末及びトマト果実を搾汁した後の絞り粕からなる群から選択される少なくとも一つである。
ある一形態においては、前記トマト原料からの脂溶性成分の除去は、エタノール及び酢酸エチルからなる群から選択される少なくとも一種を使用して抽出することにより行われる。
また、本発明は、トマトの不溶性成分を含む酒酔い軽減剤を提供する。
本発明の酒酔い軽減剤は、多量の飲酒を行なった際の酩酊又は泥酔度合いを軽減させることできる。また、本発明の酒酔い軽減剤は食用組成物として、日常的に容易にそして安全に摂取できる。
ラットのアルコール投与による自発運動量の低下に対するトマト素材の軽減効果を示したグラフである。 ラットのアルコール投与による自発運動量の低下に対する食物繊維の軽減効果を示したグラフである。 アルコール投与ラットの自発運動量とトマト素材摂取量の関係を示したグラフである。
本発明でいうトマトは、従来から食用に用いられる品種のトマトである。トマトには、例えば、いわゆるピンク系トマト及び赤系トマトが含まれる。トマトは生食可能になった状態の果実をいう。生食可能になった状態のトマトの果実は、好ましくは完熟期の果実である。
トマトの品種としては、例えば、「桃太郎」(商品名)、ファーストトマト、ミニトマト、プラムトマト、「絹子姫」(商品名)、シンディースイート、シンディオレンジ、ごほうび、サンロード、秀麗、パルト、マイロック、りんか409、ルネッサンス、麗夏、麗容及びろくさんまる等の生食用トマト、サンマルツァーノ、チコー3号、くりこま、ふりこま、ハイピール、カゴメ77、KGM952及びKGM993等の加工用トマト、愛知トマト、ジューンピンク及びポンテローザ等の生食加工兼用トマト等が挙げられる。
不溶性とは、液体に溶解しないことを意味する。液体には、水及び有機溶媒が含まれる。ここでいう有機溶媒はトマトに含まれる脂溶性成分を溶解することができる有機溶媒を意味する。有機溶媒の具体例には、アルコール系溶媒として、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等、エステル系溶媒として、酢酸エチル、アセト酢酸エチル、ギ酸イソアミル、ケイ皮酸メチル等、ケトン系溶媒として、アセトフェノン、イオノン、メチル‐β‐ナフチルケトン、ケトン類等、エーテル系溶媒として、1,8‐シネオール、エチルパニリン、バニリン、エーテル類、フェノールエーテル類等が挙げられる。好ましい有機溶媒はエタノール、酢酸エチルである。
不溶性成分には非水溶性食物繊維が含まれる。食物繊維とは、食物の成分のうち、人の体内で消化酵素によって消化されない難消化性成分をいう。
トマトの不溶性成分は、具体的には、トマト原料から水溶性成分を除去して得られる残渣である。トマトの不溶性成分は、更に脂溶性成分を除去したものであることが好ましい。トマト原料としては、トマト果実、乾燥トマト粉末、トマトの絞り粕等が挙げられる。トマト果実は加熱した後のものであってもよい。中でも、トマト原料として、トマトの絞り粕が好ましい。トマトの絞り粕とは、ジュースなどの製造工程で副生するものであり、トマトを搾汁した後、果汁等の液体成分をろ過して取り除いた残渣である。
トマトの絞り粕はジュースなどの製造工程で大量に発生し、入手が容易である。そして、トマトの絞り粕は食品の製造副産物であるため、原料段階での品質検査および製造工程管理が厳しく行なわれていることから衛生品質に優れ安全である。
トマト原料は、必要に応じて、洗浄、破砕及び搾汁して、できるだけ液体成分を除去する。但し、液体成分を完全に除去する必要はない。その後、液体成分が除去されたトマト原料は、水溶性成分を除去する工程及び要すれば脂溶性成分を除去する工程に供される。水溶性成分を除去する工程及び脂溶性成分を除去する工程はどちらを先に行ってもよい。しかし、作業効率の観点からは、水溶性成分を除去する工程を先に行うことが好ましい。
トマト原料から水溶性成分を除去する工程は、例えば、トマトの絞り粕又は乾燥トマト等の液体成分ができるだけ除去されたトマト原料を水に投入して撹拌し、次いで水溶性成分を含んだ液部を固体部から分離することにより行う。液部と固体部との分離は、ろ過及び遠心分離等の通常使用される方法を用いて行う。
トマト原料から脂溶性成分を取り除く工程は、例えば、トマトの絞り粕又は乾燥トマト等の液体成分ができるだけ除去されたトマト原料を上記有機溶媒に投入して撹拌し、脂溶性成分を含んだ液部を固体部から分離することにより行う。液部と固体部との分離は、ろ過及び遠心分離等の通常使用される方法を用いて行う。
得られたトマトの不溶性成分は酒酔い軽減剤として使用することができる。トマトは食品であり、トマトの不溶性成分は無害である。従って、トマトの不溶性成分を酒酔い軽減剤としてヒトに摂取させる場合、摂取量は目的に応じて適量を決定すればよい。
一例として、トマトの不溶性成分は、体重を基準にして約0.1g/kg以上の量を摂取させる。トマトの不溶性成分の摂取量が体重を基準にして0.1g/kg未満であると、多量の飲酒を行った際の酩酊又は泥酔度合を軽減させる効果は低くなる。尚、摂取量の下限例である0.1g/kgを体重60kgのヒトの摂取量に換算すると、6gとなる。
本発明の酒酔い軽減剤は飲酒前、飲酒中又は飲酒後に摂取して良い。本発明の酒酔い軽減剤は、効果に優れ、飲酒後に摂取した場合でも酩酊又は泥酔度合の軽減効果を発揮するのが特徴である。
本発明の酒酔い軽減剤では、トマトの不溶性成分と共に、本発明の効果を阻害しない範囲で糖類及び賦形剤等の添加剤、又は液体成分等を併用して良い。本発明の酒酔い軽減剤は食品または飲料の形態に調製してよい。食品としては、サプリメントと云われる形態が好ましく、錠剤や顆粒など形状が好ましい。飲料としては、ドリンク剤等の形態に調整するのが一般的である。アルコール飲料に混合してもよい。これら、食品または飲料は、慣用された方法により製造すればよい。例えば以下のような方法で製造することができる。
顆粒とする際は、賦形剤、甘味料などの添加剤と一緒に流動造粒機や転動造粒機などで製造することができる。錠剤とする際は、顆粒とした後、賦形剤、甘味料、滑沢剤などの添加剤を加えて混合し、ロータリー式打錠機、単発打錠機などで圧縮成型することにより、錠剤を製造することができる。
飲料とする際は、水に添加して攪拌し、飲料原液を調製し、容器に充填して製造することができる。なお、必要に応じて加熱殺菌など行う。また、本発明の効果を阻害しない範囲で糖類や香料等の添加剤を加えても良い。
賦形剤としては、例えば、デンプン(トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、コムギデンプン、コメデンプン等)、ラクトースコロイダルシリカ、結晶セルロース、無水ケイ酸、無水リン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、沈降炭酸カルシウム、結晶セルロース、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、デキストリン、カルメロースカルシウム等が挙げられる。これらの担体は、単独または2種以上を併用して用いても良い。前記結晶セルロースとしては、微結晶セルロースを含む。
甘味料としては、例えば、糖、糖アルコールが挙げられ、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ラクトース、マルトース、スクロース、白糖(精製白糖を含む。)、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、マルチトール、アスパルテーム、エリスリトール、キシリトール等が挙げられ、これらを単独または2種以上を併用して用いても良い。
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウムやステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルク、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、植物油脂等が挙げられる。滑沢剤は、打錠する前に顆粒に加え混合する方法、あるいは打錠時に杵または臼に直接付着させる方法の何れの方法で添加しても良い。
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
[酩酊、泥酔状態の評価方法]
軽度の酔いから酩酊、泥酔状態に至るまでのあらゆる酔いの状態を調べることができる自発運動量測定を用いて評価を行なった(スーパーメックス(PAT.P)、室町機械株式会社製を使用)。アルコール投与によるマウスの自発運動量の変化は、適度なアルコール量では増加し、多量になってくると量依存的に抑制されることが知られている(伊豆ら、動物心理学研究、58(1)、2008)。
ラットに対し、ヒトでいう強度酩酊期から泥酔期となる血中エタノール濃度(塚本ら、medicina、2005)に達する投与量である4g/kgのエタノールを強制胃内投与した。その30分後に被験物を水に溶解あるいは懸濁させて強制胃内投与し、その後のラットの自発運動量を経時的に調べた。被験物としては、実施例及び比較例として以下に示す素材を採用した。
その具体的な方法としては、7週齢以上の雄性F344ラットを7時間絶食し、30%(v/v)のエタノール水溶液を8.45ml/kgで30分間の間隔をあけて2回強制胃内投与し(トータルのエタノール投与量:4g/kg)、その30分後に様々な素材を強制胃内投与し、暗期の状態で自発運動量測定システムに設置し、餌を摂取できるように給餌した後、15時間(12時間後に明期に変わり、積算自発運動量がプラトーになってくる)までの自発運動量を30分間隔で連続的に測定し、結果は積算値で表した。なお、エタノール未投与群とエタノールのみ4g/kg投与群を比較として調べた。
(実施例1)
生トマトをまるごと粉末化したトマト乾燥粉末(品種:ルネッサンス、石川ファーム社製)2.367gに蒸留水40mlを加えてボルテックスにて2分間激しく攪拌し、遠心処理(3000rpm、10分)し、上清の水性画分と残渣を分離した。得られたトマト残渣に蒸留水10mlを加えて懸濁液とした。16.9ml/kgの懸濁液を強制胃内投与した。本処理により得た残渣の重量は、トマト乾燥粉末中の食物繊維含有量と等しい15.7%であり、その投与量は、トマト乾燥粉末4g/kg分に相当する0.63g/kgとなった。
(比較例1)
実施例1の操作でトマト残渣から分離した水性画分を体積が10mlになるまで減圧蒸留して濃縮した。16.9ml/kgの濃縮液を強制胃内投与した。
(実施例2)
実施例1と同様の操作を行ってトマト残渣を得た。得られたトマト残渣を500mlのエタノール中に入れ、1時間攪拌した後、ろ過した残渣を、次は500mlの酢酸エチルに入れ、5時間攪拌した後、再度ろ過して得た残渣を一晩乾燥し、抽出処理したトマト残渣を得た。得られたトマト残渣に蒸留水10mlを加えて懸濁液とした。16.9ml/kgの懸濁液を強制胃内投与した。その投与量は、トマト乾燥粉末4g/kg分に相当する0.63g/kgとなった。
実施例1、比較例1及び実施例2の結果を図1に示す。この結果から、トマト残渣には酩酊又は泥酔度合の軽減効果が認められ、その効果は、抽出処理したトマト残渣では増強されること、及びトマトの水性画分では殆ど認められないことが確認された。
(比較例2)
トマトには水溶性食物繊維としてペクチンが含まれ、不溶性食物繊維としてセルロース、ヘミセルロース、リグニン等が含まれることが知られている(Herranz J et al. Journal of Food Sciences, 46, p1927-1981)。そこで、ペクチン(カーギル社製HMペクチン)、セルロース(光洋商会社製 エンデュランス MMC VE‐050)を用い、上記試験例1と同様の方法で、アルコール投与15時間後のラットの自発運動量の積算値を調べた。
ペクチン、セルロースは、3.74%になるよう蒸留水で懸濁させた液を0.63g/kgになるよう16.9ml/kgで強制胃内投与した。
比較例2の結果を図2に示す。この結果から、食物繊維であるペクチン、セルロースには酩酊又は泥酔度合の軽減効果が認められないか、認められても弱いことが確認された。
(実施例3)
トマト残渣の有効量を検討するため、実施例2と同じ方法で、抽出処理したトマト残渣を製造し、投与量を0.3g/kg、0.1g/kg、0.05g/kg及び0.025g/kgとした際のラットの自発運動量を調べた。
実施例3の結果を図3に示す。抽出処理したトマト残渣による酩酊又は泥酔度合の軽減効果は、0.1g/kg以上の投与量で発揮されることが確認された。
アルコール4g/kg投与による血中エタノール濃度は3mg/ml付近であり、ヒトで換算するとビール大瓶5本程度の飲酒量の結果である。体重60kgのヒトの場合、抽出処理したトマト残渣を6g以上摂取しておくと酩酊又は泥酔度合の軽減効果が得られると考えられる。
飲酒による多量のアルコール摂取後の酩酊及び泥酔状態を顕著に軽減させることできるため、転倒等による障害の防止が期待され、本発明の酒酔い軽減剤は、食品または飲料として利用できる。

Claims (6)

  1. 酒酔い軽減剤の調製における、トマトの不溶性成分の使用であって、
    該トマトの不溶性成分が、トマト原料から水溶性成分及び脂溶性成分を除去して得られる残渣である使用。
  2. 前記トマト原料が、トマト果実、乾燥トマト粉末及びトマトの絞り粕からなる群から選択される少なくとも一つである請求項1に記載の使用。
  3. 前記トマト原料からの脂溶性成分の除去は、エタノール及び酢酸エチルからなる群から選択される少なくとも一種の有機溶媒を使用して抽出することにより行われる請求項1又は2に記載の使用。
  4. トマトの不溶性成分を含む酒酔い軽減剤であって、
    該トマトの不溶性成分が、トマト原料中の非水溶性かつ非脂溶性の成分である酒酔い軽減剤
  5. 前記トマト原料が、トマト果実、乾燥トマト粉末及びトマトの絞り粕からなる群から選択される少なくとも一つである請求項4に記載の酒酔い軽減剤。
  6. 前記非水溶性かつ非脂溶性の成分がエタノール及び酢酸エチルからなる群から選択される少なくとも一種の有機溶媒に溶解しない成分である請求項4又は5に記載の酒酔い軽減剤。
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