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JP6016359B2 - 制震建築構造物の構築方法およびそのための制震部材 - Google Patents
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本発明は、建築構造物を制震構造に構築する制震建築構造物の構築方法およびそのための制震部材に関するものである。
建物等の建築構造物を制震構造にする場合、大別してアクティブ系の制震構造とパッシブ系の制震構造とがあることが知られている。コストやメンテナンスを考慮すると、パッシブ系制震構造のダンパ設置方式が費用対効果で有利であり採用されることが多い。パッシブ系の制震ダンパには、粘性ダンパ、粘弾性ダンパ、オイルダンパ、鋼材ダンパ、摩擦ダンパなど多くの制震装置が開発されている。
たとえば、粘弾性ダンパの公知例として特許文献1には、梁側に固着されたフレームと壁側に固着された補助フレームとの間に、電圧に応じて粘弾性が可変なエネルギ吸収体を設置し、通常時には電圧制御装置を介してフレームと補助フレームと間に電圧印加して、粘弾性ダンパにより壁を剛支持させておき、振動センサが振動を検知するとフレームと補助フレーム間の電圧を上下することによりエネルギー吸収体を振動吸収に最適な粘弾性に調整する制震装置が記載されている。
また、制震装置を柱梁で囲まれたフレームの中に設置する従来の設置方法として、図11(a)〜(e)に示すように多くの形式がある。すなわち、図11(a)、(b)は、筋交い、シアリンクをフレーム中に直接接合するもの、図11(c)、(d)は間柱型、接合部型でフレーム中に間接接合するもの、図11(e)は増幅機構型である。また、図11の形式以外にも耐震補強手段として、外部構面に設置する方法も提案されている。
特開平6−66044号公報
上述の従来の設置方法は、架構のうち、柱梁で囲まれた1つのフレームの中に設置する方法であるため、建物内において使用可能な空間が制限されるという問題が発生してしまう。また、特許文献1のような制震装置は、電圧に応じて粘弾性が可変なエネルギー吸収体や電圧制御装置や振動センサが必要で、特定の材料が必須となり、また、構成が複雑化してしまう。
本発明は、上述のような従来技術の問題に鑑み、特定の材料を用いた制震装置を使用せず、建築構造物内の空間使用に制限がない制震建築構造物の構築方法およびそのための制震部材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本実施形態による制震建築構造物の構築方法は、鉛直方向に延びてかつ中央に水平方向に膨らむように突き出た形状を有する中央部と、その上下端に位置する取付部とを有する制震部材を複数用い、前記各制震部材を、建築構造物の外部または前記外部における柱と梁との接合部に対し、前記建築構造物の上下層に渡って前記取付部で取り付け、かつ、前記中央部が前記建築構造物の外側に膨らむように取り付け、前記各制震部材は、それぞれ単独で変形をし前記建築構造物の層間変位によるせん断力を負担することを特徴とする。
この制震建築構造物の構築方法によれば、制震部材を、建築構造物の外部またはその外部における柱と梁との接合部に対し、建築構造物の上下層に渡って取付部で取り付けるので、建築構造物内部において空間使用に制限が生じない。また、制震部材は、水平方向に膨らむように突き出た中央部と、その上下端の取付部とを有する簡単な構造で地震時などにおいて安定したエネルギー吸収が可能であり、また、入手の容易な一般の鋼材から構成可能であるので、特定の材料は不要である。
上記制震建築構造物の構築方法において前記中央部に対する前記取付部の剛性および/または耐力を調整することで前記制震部材が変形時に負担するせん断力を調整することが好ましい。
また、前記制震部材を、前記接合部における梁の突き出し部の先端面、または、側面に取り付けるようにできる。また、前記制震部材を前記建築構造物の各層、2層または3層ごとに取り付けるようにできる。
また、前記制震部材を少なくとも前記建築構造物の周囲の対向する二面に取り付けることが好ましい。また、前記制震部材を前記建築構造物の周囲の各面の中央に取り付けるようにしてもよい。
本実施形態による制震部材は、上述の制震建築構造物の構築方法に用いることを特徴とする。
この制震部材によれば、水平方向に膨らむように突き出た中央部と、その上下端の取付部とを有する簡単な構造により地震時などにおいて安定したエネルギー吸収が可能であり、また、特定の材料ではない入手の容易な一般の鋼材から構成可能である。
本発明の制震建築構造物の構築方法によれば、特定の材料を用いた制震装置を使用せず、建築構造物内の空間使用に制限が生じない。このため、建築構造物の内部空間の設計自由度が向上する。
本発明の制震部材によれば、特定の材料ではない一般の鋼材から構成可能であるため、材料コストがかさまない。
本実施形態による制震部材の第1例を示す斜視図である。 本実施形態による制震部材の第2例を示す斜視図である。 図1,図2の制震部材を建物に用いた場合の履歴性状(水平変位とせん断力との関係)を示す図である。 本実施形態において図1または図2の制震部材を建物の両側に配置した例を示す斜視図である。 本実施形態において図1または図2の制震部材を建物の中央部に配置した例を示す斜視図である。 本実施形態において図1または図2の制震部材を建物の両側に2層ごとに配置した例を示す斜視図である。 図4〜図6における制震部材の取り付け例を示す要部側面図である。 14階建物における制震部材の有無による地震時(地震波BCJ-L2(最大加速度355.66cm/s2))の応答性状をあらわす地震応答解析結果を示し、各階ごとの層間変形角を示す図である。 図8と同じく観測地震波Elcentro-NS(最大加速度341.7cm/s2)の場合の地震応答解析結果を示し、各階ごとの層間変形角を示す図である。 図7の梁が柱から突き出た突き出し部を有する場合を示す要部側面図(a)および図5における2つの制震部材の取り付け例を説明するために図10(a)の方向bから見た図(b)である。 制震装置を柱梁で囲まれたフレームの中に設置する従来の設置方法(a)〜(e)を説明するための図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
最初に、本実施形態による制震部材について図1〜図3を参照して説明する。図1は本実施形態による制震部材の第1例を示す斜視図である。図2は同じく制震部材の第2例を示す斜視図である。図3は図1,図2の制震部材を建物に用いた場合の履歴性状(水平変位とせん断力との関係)を示す図である。
図1の制震部材1(第1例)は、全体に縦方向に延びた細長い形状を有し、中央に位置し横方向に膨らむように突き出た形状を有する中央部2と、その上下端に位置する取付部3,4とを有する。
中央部2はまっすぐに延びた細長い形状を有し、取付部3,4は各端部に位置する取付面3a,4aを有する。制震部材1は建築構造物に取付面3a,4aで取り付けられるが、取付面3a,4aから取付部3,4が斜め下方、斜め上方に突き出るように延びて中央部2につながっている。これにより、制震部材1は、まっすぐに延びた中央部2が取付面3a,4aを基準にして横方向に突き出して膨らんだループ形状となっている。
上述のように、制震部材1は、建築構造物に取付部3,4の取付面3a,4aで取り付けられたとき、中央部2が鉛直方向に延びるとともに水平方向に突き出る形状となっている。制震部材1は、中央部2および取付部3,4が基本的に同一の厚さ・幅に構成され、材料としては一般のJIS規格品の鋼材を使用することができる。
次に、別の形状の制震部材について説明する。図2の制震部材11(第2例)は、中央部12が図1と同様にまっすぐに細長い形状を有しているが、取付部13,14が中央部12と比べて幅広に構成されている点が図1と異なる。制震部材11は、幅広の取付部13,14で剛性が高くなっており、取付部13,14が中央部12よりも変形し難くなっている。制震部材11は、図1と同様に、まっすぐに延びた中央部12が取付面13a,14aを基準にして横方向に突き出して膨らんだループ形状となっている。
図1,図2の制震部材1,11は紡錘形のループ形状に構成されることで、安定したエネルギー吸収が可能である。制震部材1,11は、建物の層間変位によるせん断力を負担し、その変形量によって負担せん断力が変化する。負担せん断力は、制震部材1,11の鋼材サイズによって決定することができる。
また、制震部材の中央部の鋼材サイズが同じ場合、上下の取付部の剛性および/または耐力を調整することによって、制震部材全体のせん断力に対する変形能力を調整することができ、制震部材の負担せん断力を調整することが可能である。
上述の制震部材1,11を建物の外部または構面の適当な箇所に設置することにより制震建物を構築することができるが、たとえば、制震部材として階高3,500mmの建物に寸法H-200×200×8×12の建築構造用圧延鋼材(SN400)を用いた場合の履歴性状(水平変位とせん断力との関係)は図3のようになる。図3からわかるように、取付部の剛性を増した制震部材11の方が、取付部の剛性を増やさない制震部材1よりもせん断力が同一の水平変位に対し大きくなる。このように、中央部に対する取付部の剛性の調整により負担せん断力の調整が可能である。
次に、本実施形態において制震部材の建物への設置方法・設置位置について図4〜図6を参照して説明する。図4は、本実施形態において図1または図2の制震部材を建物の両側に配置した例を示す斜視図である。図5は、同じく建物の中央部に配置した例を示す斜視図である。図6は、同じく建物の両側に2層ごとに配置した例を示す斜視図である。
図4に示す例は、柱Cと梁Bとによる鉄骨構造からなる建物BUの外部の四面において、柱Cと梁Bとの接合部10に図1の制震部材1(または図2の制震部材11)を中央部2が鉛直方向に延びるように建物BUの上下層に渡って取り付けることで建物BUを制震構造としたものである。
図5に示す例は、同じく建物BUの外部の四面の中央部において接合部10に図1の制震部材1(または図2の制震部材11)を中央部2が鉛直方向に延びるように建物BUの上下層に渡って取り付けることで建物BUを制震構造としたものである。図5では、各接合部10に2つの制震部材1を配置する構造となっている。
図6に示す例は、同じく建物BUの外部の四面において接合部10に図1の制震部材1(または図2の制震部材11)を中央部2が鉛直方向に延びるように建物BUの2層ごとに取り付けることで建物BUを制震構造としたものである。
なお、制震部材1を建物BUの3層ごとに取り付けてもよい。また、制震部材1を2層あるいは3層ごとに取り付ける場合、互い違いに取り付けるようにしてもよい。
図4〜図6の制震建物によれば、制震部材を建物の構面内部ではなく、建物の外部に取り付けることで、建物を制震化しても、建物内の空間使用に制限が生じないので、建物の内部空間の設計自由度が向上する。また、制震部材の構成材料として、入手の容易な一般の鋼材を使用可能であるので、特定の材料は不要で、材料コストがかさまず、コスト面でも有利である。
また、本実施形態の制震建物の構築方法によれば、制震部材を建物の外部に取り付けるので、建物内部における施工が不要となり、このため、新築の建物のみならず、既存の建物にも適用可能で、既存の建物の制震化を図ることができる。
なお、図4,図5では、制震部材を全ての階に設置しているが、設置する箇所は設計により必要となるダンパー量を得られるようになればよい。
図7に図4〜図6における制震部材の取り付け例を示す。図7のように、取付部3の取付面3aの上下に平面部3bを設け、柱Cと梁Bとの接合部10において取付面3aを当てて平面部3bにボルトBTを貫通させて締め付けることで、制震部材1を建物の接合部10に取り付けることができる。他方の取付部4においても同様の構成とすることができる。なお、図7の取り付け例は一例であって、他の取り付け方法・手段であってもよいことはもちろんである。
図7では、柱Cと梁Bとの接合部10に制震部材を取り付けたが、これに限定されず、接合部の近傍であってもよく、また、たとえば、柱と梁との接合部から梁が突き出ている場合、この突き出た梁に制震部材を取り付けるようにしてもよい。この場合について図10を参照して説明する。
図10は、図7の梁が柱から突き出た突き出し部を有する場合を示す要部側面図(a)および図5における2つの制震部材の取り付け例を説明するために図10(a)の方向bから見た図(b)である。
図10(a)のように、梁Bが柱Cから突き出た突き出し部BPを有する場合、突き出し部BPの突き出した先端面B1に、図7と同様にして、制震部材1を取り付けてもよい。
また、図5のように各接合部10に2つの制震部材1を配置する構造の場合、図10(a)の梁Bの突き出し部BPの側面B2(図のハッチングで示す)を利用して制震部材1を取り付けることができる。すなわち、図10(b)に示すように、梁Bの突き出し部BPの両側面B2,B3に対し、図7と同様にして2つの制震部材1の取付面3aを当ててボルトBTを貫通させて締め付けることで、各制震部材1を梁Bの突き出し部BPに取り付けることができる。図10(b)では、各制震部材1が梁Bを挟んで互いに対向するように位置し、各中央部2が180度反対方向に突き出ている。
次に、本実施形態の制震建物の制震効果に関し、地震時の応答性状について制震部材のない場合と比較して図8,図9を参照し説明する。図8は、14階建物における制震部材の有無による地震時(地震波BCJ-L2(最大加速度355.66cm/s2))の応答性状をあらわす地震応答解析結果を示し、各階ごとの層間変形角を示す図である。図9は、同じく観測地震波Elcentro-NS(最大加速度341.7cm/s2)の場合の地震応答解析結果を示し、各階ごとの層間変形角を示す図である。
図8,図9の地震応答解析結果に示されるように、ほとんどの階において、制震部材がある場合の方がない場合よりも層間変形角が小さくなっており、本実施形態による制震部材の取り付けによる制震効果が得られていることがわかる。
以上のように本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。たとえば、図1,図2の制震部材1,11は、全体形状が、”〕”のような形となっているが、本発明は、この形状に限定されず、たとえば、“)”や“〉”のような形であってもよい。すなわち、制震部材の全体形状が略弧状や中央で折れ曲がる形状であってもよい。
また、本実施形態の制震部材において負担せん断力の調整のために、中央部に対し取付部の幅を広くして剛性を大きくしたが、これに限定されず、取付部の厚さを厚くしてもよく、また、幅および厚さの両方を調整してもよい。さらに、取付部の耐力を大きくするようにしてもよく、取付部を耐力の大きな鋼材から構成し、中央部に溶接等により取り付けてもよい。
また、本実施形態ではビルやマンション等の建物に本発明による構築方法を適用したが、本発明はこれに限定されず、建築構造物一般に適用可能である。
1,11 制震部材 2,12 中央部 3,4 取付部 13,14 取付部 10 接合部 3a,4a,13a,14a 取付面 B 梁 C 柱 BU 建物(建築構造物)

Claims (7)

  1. 鉛直方向に延びてかつ中央に水平方向に膨らむように突き出た形状を有する中央部と、その上下端に位置する取付部とを有する制震部材を複数用い、
    前記各制震部材を、建築構造物の外部または前記外部における柱と梁との接合部に対し、前記建築構造物の上下層に渡って前記取付部で取り付け、かつ、前記中央部が前記建築構造物の外側に膨らむように取り付け、
    前記各制震部材は、それぞれ単独で変形をし前記建築構造物の層間変位によるせん断力を負担することを特徴とする制震建築構造物の構築方法。
  2. 前記取付部の前記中央部に対する剛性および/または耐力を調整することで前記制震部材が変形時に負担するせん断力を調整する請求項1に記載の制震建築構造物の構築方法。
  3. 前記制震部材を、前記接合部における梁の突き出し部の先端面、または、側面に取り付ける請求項1または2に記載の制震建築構造物の構築方法。
  4. 前記制震部材を前記建築構造物の各層、2層または3層ごとに取り付ける請求項1乃至3のいずれか1項に記載の制震建築構造物の構築方法。
  5. 前記制震部材を少なくとも前記建築構造物の周囲の対向する二面に取り付ける請求項1乃至4のいずれか1項に記載の制震建築構造物の構築方法。
  6. 前記制震部材を前記建築構造物の周囲の各面の中央に取り付ける請求項1乃至5のいずれか1項に記載の制震建築構造物の構築方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の制震建築構造物の構築方法に用いることを特徴とする制震部材。
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