JP6018915B2 - 28位がヒドロキシメチル基またはカルボキシル基である五環系トリテルペン化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
(b) 配列番号2〜8のいずれかに示すアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列を含むタンパク質
(c) 配列番号2〜8のいずれかに示すアミノ酸配列と70%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質
(5) 五環系トリテルペンがオレアナン型、ウルサン型またはルパン型トリテルペンである、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のタンパク質。
(b) 配列番号2〜8のいずれかに示すアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、五環系トリテルペンの28位のメチル基をヒドロキシメチル基またはカルボキシル基に変換する活性を有するタンパク質をコードするDNA
(c) 配列番号2〜8のいずれかに示すアミノ酸配列と70%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、五環系トリテルペンの28位のメチル基をヒドロキシメチル基またはカルボキシル基に変換する活性を有するタンパク質をコードするDNA
(d) 配列番号10〜16のいずれかに示す塩基配列を含むDNA
(e) 配列番号10〜16のいずれかに示す塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、五環系トリテルペンの28位のメチル基をヒドロキシメチル基またはカルボキシル基に変換する活性を有するタンパク質をコードするDNA
(f) 配列番号10〜16のいずれかに示す塩基配列と70%以上の配列同一性を有する塩基配列を含み、かつ、五環系トリテルペンの28位のメチル基をヒドロキシメチル基またはカルボキシル基に変換する活性を有するタンパク質をコードするDNA
(8) 上記(7)記載の組換え体DNAを含む形質転換体。
(b) 配列番号4、6〜8のいずれかに示すアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、五環系トリテルペンの28位のメチル基をヒドロキシメチル基またはカルボキシル基に変換する活性を有するタンパク質をコードするDNA
(c) 配列番号4、6〜8のいずれかに示すアミノ酸配列と70%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、五環系トリテルペンの28位のメチル基をヒドロキシメチル基またはカルボキシル基に変換する活性を有するタンパク質をコードするDNA
(d) 配列番号12、14〜16のいずれかに示す塩基配列を含むDNA
(e) 配列番号12、14〜16のいずれかに示す塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、五環系トリテルペンの28位のメチル基をヒドロキシメチル基またはカルボキシル基に変換する活性を有するタンパク質をコードするDNA
(f) 配列番号12、14〜16のいずれかに示す塩基配列と70%以上の配列同一性を有する塩基配列を含み、かつ、五環系トリテルペンの28位のメチル基をヒドロキシメチル基またはカルボキシル基に変換する活性を有するタンパク質をコードするDNA
本発明の五環系トリテルペンの28位のメチル基をヒドロキシル基またはカルボキシル基に変換する酵素活性を有するタンパク質により、有用な生理活性を示す、28位がヒドロキシメチル基またはカルボキシル基である五環系トリテルペン化合物、とりわけオレアノール酸、ウルソール酸、ベツリン酸、およびそれらの置換誘導体を大量かつ安価に生産できる。本発明によれば、五環系トリテルペン化合物の28位のメチル基をカルボキシル基に変換する活性を有する酵素タンパク質とそれをコードするDNAの活性発現の調整を行うことができ、該遺伝子の活性が増強された植物および微生物を作製する方法、オレアノール酸などの28位にヒドロキシメチル基またはカルボキシル基を有する五環系トリテルペンの生産が変更された植物が提供される。本発明により上記五環系トリテルペン化合物、とりわけオレアノール酸、ウルソール酸、ベツリン酸、およびそれらの置換誘導体の過剰発現に特徴がある植物の作出が可能である。
本発明の酵素タンパク質は、五環系トリテルペン化合物の28位メチル基をヒドロキシメチル基またはカルボキシル基に変換する酵素活性を有するタンパク質であり、オレアナン型、ウルサン型又はルパン型などの五環系トリテルペン化合物の28位メチル基をヒドロキシメチル基またはカルボキシル基に変換する能力を有するタンパク質である(図1、11及び13)。本明細書では、そのような変換能を、「28位酸化酵素活性」、そのような変換能を有する酵素タンパク質を「28位酸化酵素」と言う。
本明細書中で使用する「DNA」という用語は、ゲノムDNA、遺伝子、cDNAおよび化学修飾DNAを包含するものとする。
(a) 配列番号2〜8のいずれかに示すアミノ酸配列を含むタンパク質;
(b) 配列番号2〜8のいずれかに示すに示すアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、28位酸化酵素活性を有するタンパク質;
(c) 配列番号2〜8のいずれかに示すアミノ酸配列と70%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、28位酸化酵素活性を有するタンパク質;
のいずれかからなる群から選択されるタンパク質をコードする。
(d) 配列番号10〜16のいずれかに示す塩基配列を含むDNA;
(e) 配列番号10〜16のいずれかに示す塩基配列を含むDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、28位酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA;
(f) 配列番号10〜16のいずれかに示す塩基配列と70%以上の配列同一性を有する塩基配列を含み、かつ、28位酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA;
(g) 配列番号10〜16のいずれかに示す塩基配列において縮重配列を含むDNA;
のいずれかからなる群から選択される。
本発明のDNAは、それを発現可能にするために、制御配列を含む適切なベクターに挿入される。このようにして得られた組換え体DNAが組換えベクターである。
本発明の形質転換体は、本発明の組換えベクターを保持する形質転換体である。形質転換体は、28位酸化酵素をコードするDNAを挿入した組換えベクターを、目的DNAが発現し得るように宿主細胞中に導入することにより得ることができる。
本発明のタンパク質は、モレキュラー・クローニング第2版、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー等に記載された方法等を用い、例えば以下の方法により、本発明のタンパク質をコードするDNAを宿主細胞中で発現させて、製造することができる。本発明のタンパク質をコードするDNAをもとにして、必要に応じて、本発明のタンパク質をコードする部分を含む適当な長さのDNA断片を調製する。また、該タンパク質をコードする部分の塩基配列を、宿主の発現に最適なコドンとなるように、塩基を置換することにより、該タンパク質の生産率を向上させることができる。
本発明は、無細胞系で、あるいは細胞又は植物を用いて、外因性の28位酸化酵素活性を有するタンパク質存在下または28位酸化酵素をコードするDNAの発現下で、αアミリン、βアミリン、ルペオールなどの五環系トリテルペン化合物の28位のメチル基をヒドロキシメチル基またはカルボキシル基に変換する方法を提供する。
無細胞系では、上記形質転換体の培養液から28位酸化酵素を含有する無細胞抽出液を調製し、その一部を、αアミリン、βアミリン、ルペオール、またはそれらの置換誘導体などの五環系トリテルペン化合物を含有するバッファーに加えて変換反応を行うことによって、28位がヒドロキシメチル化またはカルボキシル化された五環系トリテルペン化合物を製造することができる。
形質転換体または微生物の培養物もしくは培養物の処理物を酵素源として用いる28位にヒドロキシメチル基またはカルボキシル基を有する五環系トリテルペンの製造法としては、本発明のタンパク質を生産する能力を有する形質転換体の培養物もしくは培養物の処理物を酵素源に用い、該酵素源、および五環系トリテルペンを水性媒体中に存在せしめ、該媒体中に28位ヒドロキシメチル基またはカルボキシル基を有する五環系トリテルペンを生成、蓄積させ、該媒体から28位ヒドロキシメチル基またはカルボキシル基を有する五環系トリテルペンを採取する製造法をあげることができる。
本発明による28位がヒドロキシメチル基またはカルボキシル基である五環系トリテルペン化合物の製造方法においては、植物において28位酸化酵素遺伝子の突然変異、一塩基多型(SNP)等の多型、または遺伝子発現変異の存在を検出し、そのような変異や多型をもつ該遺伝子のなかから、28位酸化酵素活性が高く28位がヒドロキシメチル基またはカルボキシル基である五環系トリテルペン化合物の生産性を高める変異型遺伝子を選抜することができる。そのような変異は、28位酸化酵素遺伝子を有する、かつ、五環系トリテルペン化合物生産能をもつ植物において、放射線、UV照射、変異原等の化学処理などの人工的突然変異処理、あるいは自然突然変異、によって誘導することができる。
以下、本発明を、実施例を示してより詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
タルウマゴヤシの遺伝子共発現解析データベース(http://bioinfo.noble.org/gene-atlas/v2/correlation_search_form.php、Version: V2 (July 2009)# of Experiments: 64, # of GeneChips: 156)を利用して、β-アミリン合成酵素遺伝子(プローブID = Mtr.32384.1.S1_s_at)と共発現係数0.8以上を示す遺伝子配列プローブ221見つかった。このうちプローブ配列の相同性を検索していったところ、シトクロームP450モノオキシゲナーゼ遺伝子断片を示すものとして、CYP93E2(プローブID = Mtr.8618.1.S1_at、共発現係数0.791)とCYP716A12(プローブID = Mtr.43018.1.S1_at、共発現係数0.8566)をβ-アミリン合成酵素遺伝子と共発現をしている可能性のあるP450遺伝子として見出し以下の解析を進めた。ただし、より高い共発現計数を持つプローブID=Mtr.37298.1.S1_at(共発現係数0.9441)はCYP72クランに属すると考え解析を行わなかった。
タルウマゴヤシ、エコタイプR108-1を人工気象器内(23℃、日長16時間)で育成し、発芽後4週間目の植物の葉、茎、根からそれぞれトータルRNAを調製した。得られたトータルRNAを1μg用いて、SMART RACE cDNA amplification kit (Clontech社)を用いて添付のプロトコルに従いファーストストランドcDNA合成を行った。
実施例2で作製した3種のファーストストランドcDNA各2μlを鋳型として、CYP716A12(GenBankアクセション番号、ABC59076)のポリペプチド(479アミノ酸)のN末端とC末端に相当する箇所のオリゴDNA、すなわち配列番号19(caccATGGAGCCTAATTTCTATCTCTCCCT)と配列番号20(TTAAGCTTTGTGTGGATAAAGGCGA)、をプライマーに用い、アニール温度58℃でPCR(30サイクル、TOYOBO社製 KOD plus ver.2 polymeraseを使用)を行った。なお、pENTRTM/D-TOPO(登録商標)エントリーベクター(Invitrogen社)へのクローニングの際に必要であることから、配列番号19のプライマーには、5’末端に4塩基(cacc)が人工的に付加されている。PCRの結果、いずれのファーストストランドcDNAを鋳型に用いた場合にも、約1.5kbのDNA断片が同程度増幅された。茎由来のファーストストランドcDNAから増幅されたDNA断片をpENTRTM/D-TOPOエントリーベクターにクローニングし、得られた3個の独立クローンについてポリヌクレオチド配列を決定した。これにより得られた配列は、配列番号10であり、それから推定されるポリペプチド配列(配列番号2)は、GenBankに登録されているABC59076のアミノ酸配列に対して99%の同一性を有していた。
マメ科のモデル植物としてEST及びゲノム解析が進んでいるミヤコグサ(Lotus japonicus)を用いて、β-アミリン合成酵素(OSC1)遺伝子の酵母発現ベクターを構築した。ミヤコグサOSC1遺伝子cDNA導入プラスミド(Sawai et al. (2006) Plant Sci 170: 247-257)をKpnI、XbaIで消化し、OSC1 cDNA領域を切り出した。pAUR123(TaKaRa社)も同様にKpnI、XbaIで消化し、DNA ligation Kit Ver. 2.1(TaKaRa社)で両者をライゲーションし、pAUR123-OSC1を得た。pAUR123-OSC1のPADH1からTADH1領域を配列番号21(GGATGATCCACTAGTGGATCCTCTAGCTCCCTAACATGTAGGTGG)及び配列番号22(TAATGCAGGGCCGCAGGATCCGTGTGGAAGAACGATTACAACAGG)の両プライマーを用いて、KOD-Plus-DNAポリメラーゼ(TOYOBO社)により94℃で2分間処理した後、(94℃20秒間→55℃40秒間→68℃90秒間)×20サイクルからなるPCRを行った。その後、68℃で2分間保温した。また、pYES3/CT(Invitrogen社)の1番から960番塩基(PGAL1からCYC1TT)を除く領域を配列番号23(TGCGGCCCTGCATTAATGAATCGGCCAACG)及び配列番号24(ACTAGTGGATCATCCCCACGCGCCCTGTAG)の両プライマーを用いてKOD-Plus- DNAポリメラーゼ(TOYOBO社)により前記と同様にPCRを行った。両PCR産物をIn-Fusion Dry-Down PCR Cloning Kit(clontech社)を用いて結合し、ミヤコグサOSC1酵母発現ベクターpYES3-ADH-OSC1を得た。
ミヤコグサESTデータベース(かずさDNA研究所)を検索し、シロイヌナズナチトクロームP450還元酵素とアミノ酸レベルで70%以上の相同性を有する核酸配列を選抜した。全長コード領域を含むと思われるESTクローン(accession no. AV778635)をかずさDNA研究所より入手し、DNA配列を決定した(以下、LjCPR1とする)。LjCPR1導入プラスミド(pBluescript SK (-))を鋳型にして、配列番号25(GGGCGGCCGCACTAGTATCGATGGAAGAATCAAGCTCCATGAAG)及び配列番号26(TTAATTAATCACCATACATCACGCAAATAC)の両プライマーを用い、KOD-Plus- DNAポリメラーゼ(TOYOBO社)により94℃で2分間処理した後、(94℃20秒間→60℃40秒間→68℃120秒間)×15サイクルからなるPCRを行った。その後、68℃で2分間保温した。PCR産物をTAget Clone -Plus-(TOYOBO社)を用いて、pT7Blue T-vector(Novagen社)とライゲーションした。塩基配列を確認後、NotI、PacIで消化し、また酵母発現用ベクターpESC-LEU(Stratagene社)も同様にNotI, PacIで消化した。その後、DNA ligation Kit Ver. 2.1(TaKaRa社)を用いて両者をライゲーションし、LjCPR1の酵母発現ベクターpESC-LjCPR1を得た。次に、pAM-PAT-GWベクター(Max Planck InstituteのBekir Ulker博士とImre E. Somssich博士より贈与)を制限酵素XhoI及びSpeIで二重消化し、Gateway conversion cassette(Invitrogen社)を含むDNA断片を切り出した。得られたDNA断片を、pESC-LjCPR1をSalIとNheIの二重消化して得られる2つの断片のうち大きい断片と連結することによってpELC-MCS2-GWを構築した。pELC-MCS2-GWの構築には、大腸菌DB3.1株(Invitrogen社)を使用した。
実施例2で作製した、配列番号9に示すポリヌクレオチドを有するプラスミド(エントリークローン)とpELC-MCS2-GWとを混合し、Gateway LR Clonase II Enzyme Mix(Invitrogen社)を用いて塩基配列特異的な組み換え反応(attL x attR反応)により、配列番号9で示すDNA断片をpELC-MCS2-GWに移し替えることでLjCPR1と配列番号9に示す遺伝子の同時発現ベクターpELC-CYP93E2を得た。
実施例3で作製した、配列番号10に示すポリヌクレオチドを有するプラスミド(エントリークローン)とpELC-MCS2-GWとを混合し、Gateway LR Clonase II Enzyme Mix(Invitrogen社)を用いて塩基配列特異的な組み換え反応(attL x attR反応)により、配列番号10で示すDNA断片をpELC-MCS2-GWに移し替えることでLjCPR1と配列番号10に示す遺伝子の同時発現ベクターpELC-CYP716A12を得た。
INVSc1株(Invitrogen社)(MATa his3D1 leu2 trp1-289 ura3-52 MATAlpha his3D1 leu2 trp1-289 ura3-52)の形質転換は、Frozen-EZ Yeast Transformation II(Zymo Research社)を用いて行った。最初に、酵母INVSc1株をpYES3-ADH-OSC1で形質転換し、続いて、得られた形質転換酵母をpELC-CYP93E2あるいはコントロールとしてpESC-LjCPR1で形質転換した。
実施例8と同様に、酵母INVSc1株をpYES3-ADH-OSC1で形質転換し、続いて、得られた形質転換酵母をpELC-CYP716A12で形質転換した。
pYES3-ADH-OSC1、pELC-CYP93E2の2つのベクターを保持する酵母を5mlのSC-Trp/Leu培地30℃、135rpm、1日間培養した。培養した酵母を3000g、10分間遠心することにより集菌し、ガラクトース(20mg/ml)、塩化ヘミン(13μg/ml)を添加した10mlのSC-Trp/Leu-グルコース培地に懸濁し、30℃、135rpm、2日間培養した。酵母培養液に5mlの酢酸エチルを加え混合した後、酢酸エチル抽出物を回収した。この操作を3回繰り返した。酢酸エチル抽出物を減圧下で濃縮した。pYES3-ADH-OSC1、pESC-LjCPR1の2つのベクターを保持する酵母についても同様に、培養、抽出を行なった。酢酸エチル区は溶媒を乾燥除去した後、N−メチル−N−トリメチルシリルトリフルオロアセトアミドを加え、80℃で30分間加熱し、トリメチルシリルエーテル体に誘導体化しGC-MS分析の試料とした。変換物の同定は標品をGCの保持時間ならびにMSスペクトルを比較することで決定した。
pYES3-ADH-OSC1、pELC-CYP716A12の2つのベクターを保持する酵母について、実施例10に示した方法により培養、抽出ならびに、抽出物の分析を行なった。pYES3-ADH-OSC1及びpELC-CYP716A12の2つのベクターを保持する酵母の抽出物(図3、OSC1/LjCPR1/CYP716A12と示したGCチャート)からは、β-アミリン(点線矢印)に加えて、特異的な2本のピーク(ピーク1とピーク2)が検出された。その内、ピーク2のマススペクトルはオレアノール酸の標品のマススペクトルと非常に良く一致した。これにより、ピーク2は、オレアノール酸に相当することが判明した。ピーク1はマススペクトルパターンから、β-アミリンの28位が水酸化されたエリトリジオールであった。
実施例3において作製した、配列番号10に示すポリヌクレオチドを有するプラスミド(エントリークローン)とデスティネーションベクターpYES-DESTTM52(Invitrogen社)を混合し、Gateway LR Clonase II Enzyme Mix(Invitrogen社)を用いて塩基配列特異的な組み換え反応(GATEWAYTM attL × attR反応)により、配列番号10で示すDNA断片をpYES-DESTTM52に移し替えることで配列番号10に示す遺伝子の酵母発現ベクターpDEST52-CYP716A12を得た。次に、実施例10において作製した、pYES3-ADH-OSC1とpELC-CYP93E2の2つのベクターを保持する酵母にpDEST52-CYP716A12、又は空ベクターに相当するpYES2(Invitrogen社)で形質転換した。
pYES3-ADH-OSC1、pELC-CYP93E2、pDEST52-CYP716A12の3つのベクターを保持する酵母を5mlのSC-Trp/Leu/Ura培地30℃、135rpm、1日間培養した。培養した酵母を3000g、10分間遠心することにより集菌し、ガラクトース(20mg/ml)、塩化ヘミン(13μg/ml)を添加した10mlのSC-Trp/Leu/Ura-グルコース培地に懸濁し、30℃、135rpm、2日間培養した。酵母培養液に5mlの酢酸エチルを加え混合した後、酢酸エチル抽出物を回収した。この操作を3回繰り返した。酢酸エチル抽出物を減圧下で濃縮した。pYES3-ADH-OSC1、pELC-CYP93E2、pYES2の3つのベクターを保持するコントロールの酵母についても同様に、培養、抽出を行なった。酢酸エチル区は溶媒を乾燥除去した後、N−メチル−N−トリメチルシリルトリフルオロアセトアミドを加え、80℃で30分間加熱し、トリメチルシリルエーテル体に誘導体化しGC-MS分析の試料とした。
本発明のオレアナン型トリテルペンの28位のメチル基を酸化する活性を有する酵素が、タルウマゴヤシに限定されないことを検証するために、相同性検索により、数種の植物の公開ESTデータベースに登録されている塩基配列の中から、CYP716A12の全長コード領域と高い塩基配列同一性を示すポリヌクレオチド配列を探索した。
実施例14で得た配列のうち、オレアノール酸を含むことが報告されているブドウ(CasadoとHeredia1、J. Exp. Bot.,50, 175-182, 1999)、ビート(Connolly、Phytochemistry, 37, 1994, 1667-1670)、オリーブ(Bianchiら、Phytochemistry, 32, 1992, 49-52)と、ウルソール酸を蓄積することが知られているコーヒー(Jagerら、Molecules 2009, 14, 2016-2031)から全長配列を取得を試みた。
実施例15で作製した、各4つのプラスミド(pTOPO-PSGrape, pTOPO-PSBeet, pTOPO-PSOlive, pTOPO-PSCoffee)とpELC-MCS2-GWとをそれぞれ混合し、Gateway LR Clonase II Enzyme Mix(Invitrogen社)を用いて塩基配列特異的な組み換え反応(attL x attR反応)により、それぞれをpELC-MCS2-GWに移し替えることでLjCPR1とそれぞれの遺伝子の同時発現ベクターpELC-Grape, pELCBeet, pELC-Olive, pELC-Coffeeを得た。実施例8と同様に、酵母INVSc1株をpYES3-ADH-OSC1で形質転換し、続いて、得られた形質転換酵母をpELC-Grape、pELCBeet、pELC-Olive、またはpELC-Coffeeで形質転換した。
pYES3-ADH-OSC1、pELC-CYP716A12の2つのベクターを保持する酵母について、実施例10に示した方法により培養、抽出ならびに、抽出物の分析を行なった。pYES3-ADH-OSC1とpELC-Grape、pYES3-ADH-OSC1とpELC-Beet、pYES3-ADH-OSC1とpELC-Olive、pYES3-ADH-OSC1とpELC-Coffeeの各々2つのベクターを保持する4種の酵母の抽出物(図6〜図9、OSC1/LjCPR1/Grape、OSC1/LjCPR1/Beet、OSC1/LjCPR1/Olive、OSC1/LjCPR1/Coffeeと示したGCチャート)からは、β-アミリン(点線矢印)に加えて、特異的な2本のピーク(ピーク1とピーク2)が検出された。その内、ピーク2のマススペクトルはオレアノール酸の標品のマススペクトルと非常に良く一致し、ピーク2はオレアノール酸に相当することが判明した。ピーク1はマススペクトルパターンから、β-アミリンの28位が水酸化されたエリトリジオールであった。
ブドウ品種「キャンベル ベリーA」の葉と果皮(CTAB)を用いて全RNAを抽出した。cDNAはSuperScript IIIファーストストランド合成システム(インビトロジェン)で合成した。ブドウのオレアノール酸合成酵素遺伝子である配列番号13に基づいてプライマー(CACTTTCTGGCTAGCTTGCCG(配列番号37):U919とCATGAATATCTCATCTTTTG(配列番号38):U920)を作製しRT-PCR(条件:95℃5分、(95℃30秒、55℃30秒、72℃3分)を25回、72℃5分)を行った。ブドウにおいてオレアノール酸は果皮に対して葉ではその含量が1/10以下であることが知られている(GRNCAREVICとRADLER (1971) A review of the surface lipids of grapes and their importance in the drying process. Am. J. Enol. Vitic. 22 : 80-86.)。図10に示すように果皮では葉に対してのオレアノール酸合成酵素遺伝子の発現が高いことがわかった。このようにオレアノール酸含量の高い組織の同定が遺伝子の発現解析で可能であり、オレアノール酸化合物と組成との相関を解析することで、組織含量の増加のみならず、品種評価、QTLなどの遺伝子解析が可能になり、遺伝子発現マーカーを作製することができることが示された。
最初に、ウラルカンゾウ由来ルペオール合成酵素(GuLUS1)遺伝子の導入に使用したpYES3/CT(AUR)-Gateway-1ベクターを以下に示す方法により作製した。
実施例8と同様に、酵母INVSc1株をpYES3-ADH-LUSで形質転換し、続いて、得られた形質転換酵母をpELC-CYP716A12, pELC-Grape, pELC-Beet, pELC-Olive, pELC-Coffeeで形質転換し、GuLUSとCYP716A12、GuLUSとブドウ、ビート、オリーブ、コーヒーから得られたCYP716A12の相同遺伝子を同時発現する形質転換酵母を得た。これらの2つのベクターを保持する酵母について、実施例10に示した方法により培養、抽出ならびに、抽出物の分析を行なった。pYES3-ADH-LUS及びpELC-CYP716A12の2つのベクターを保持する酵母の抽出物(図12、LUS/CPR/CYP716A12と示したGCチャート)からは、ルペオール(点線矢印)に加えて、特異的な2本のピーク(ピーク1、ピーク2)が検出された。その内、ピーク1のマススペクトルはベツリンの標品のマススペクトルと非常に良く一致した。これにより、ピーク1は、ベツリンに相当することが判明した。また、ピーク2のマススペクトルはベツリン酸の標品のマススペクトルと非常に良く一致した。これにより、ピーク2は、ベツリン酸に相当することが判明した。
αアミリンのみを生成する遺伝子は知られていない。しかし我々はSaimaruらの報告(Chem. Pharm. Bull. 55 :784-788 (2007))から、当該遺伝子は、主にαアミリンを生成することを読み取り本遺伝子を使うこととした。(実施例15)で得られた得られたファーストストランドcDNAを鋳型として、同論文からN末端とC末端に相当する箇所をプライマー配列番号47(U921:caccATGTGGAAGCTTAAGATTGCTG)と配列番号48(U922: TTACAGGCTTTGAGATGACCA)、で、アニール温度55℃でPCR(30サイクル、タカラバイオ社製 PrimeSTAR HS DNA Polymeraseを使用)によって遺伝子を増幅した。これをpENTRTM/D-TOPOエントリーベクター(Invitrogen社)へクローニングした。得られた8個の独立クローンについてポリヌクレオチド配列を決定した。これにより得られた配列は、配列番号49であり、それから推定されるポリペプチド配列(配列番号50)は、同論文のアミノ酸配列に対しては99.7%の同一性を有していた。
実施例8と同様に、酵母INVSc1株をpYES3-ADH-OEA, pELC-Grape, pELC-Beet, pELC-Olive, pELC-Coffeeで形質転換し、続いて、得られた形質転換酵母をpELC-CYP716A12で形質転換し、OeOEAとCYP716A12、GuLUSとブドウ、ビート、オリーブ、コーヒーから得られたCYP716A12の相同遺伝子を同時発現する形質転換酵母を得た。これらの2つのベクターを保持する酵母について、実施例10に示した方法により培養、抽出ならびに、抽出物の分析を行なった。pYES-ADH-OeOEA及びpELC-CYP716A12の2つのベクターを保持する酵母の抽出物(図18、CPR/aAS/CYP716A12と示したGCチャート)からは、αアミリン(点線矢印)に加えて、特異的な2本のピーク(ピーク1、ピーク2)が検出された。その内、ピーク1のマススペクトルはウバオールの標品のマススペクトルと非常に良く一致した。これにより、ピーク1は、ウバオールに相当することが判明した。また、ピーク2のマススペクトルはウルソール酸の標品のマススペクトルと非常に良く一致した。これにより、ピーク2は、ウルソール酸に相当することが判明した。
実施例18のとおりブドウではオレアノール酸は果皮に多く含まれている。果皮のESTデータベースとして前述のDCFI(Release 7.0 (April 17, 2010))にはGreen Grape Skin Triplex2 Library (326 EST) 、Ripe Grape Skin Triplex2 Library (588 EST)、Green Grape Berry Skins Lambda Triplex2 Library (226 EST)、Ripe Grape Berry Skins Lambda Triplex2 Library (79 EST)が登録されている。この中からはP450として考えられる遺伝子断片、さらにはCYP716A16に相同な遺伝子は見出すことはできなかった。
Claims (9)
- 形質転換体の培養物または該培養物の処理物を酵素源に用い、該酵素源、および基質としての五環系トリテルペンまたはその誘導体を水性媒体中に存在せしめ、該媒体中に28位にヒドロキシメチル基またはカルボキシル基を有する五環系トリテルペンまたはその誘導体を生成、蓄積させ、該媒体から28位にヒドロキシメチル基またはカルボキシル基を有する五環系トリテルペンまたはその誘導体を採取する、28位にメチル基またはカルボキシル基を有する五環系トリテルペンまたはその誘導体の製造法であって、
該形質転換体が、以下の(a)〜(e):
(a) 配列番号2〜8のいずれかに示すアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするDNA;
(b) 配列番号2〜8のいずれかに示すアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、五環系トリテルペンの28位のメチル基をヒドロキシメチル基またはカルボキシル基に変換する活性を有するタンパク質をコードするDNA;
(c) 配列番号2〜8のいずれかに示すアミノ酸配列と70%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、五環系トリテルペンの28位のメチル基をヒドロキシメチル基またはカルボキシル基に変換する活性を有するタンパク質をコードするP450のDNA;
(d) 配列番号10〜16のいずれかに示す塩基配列を含むDNA;および
(e) 配列番号10〜16のいずれかに示す塩基配列と70%以上の配列同一性を有する塩基配列を含み、かつ、五環系トリテルペンの28位のメチル基をヒドロキシメチル基またはカルボキシル基に変換する活性を有するタンパク質をコードするP450のDNA、
からなる群から選択されるDNAを含有する組換え体DNAを含む形質転換体であり、
該誘導体は、五環系トリテルペン化合物の、1位、2位、11位、12位、29位および30位から選択される1つ以上の水素原子が、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水酸基、アセトキシ、プロパノイルオキシ、ホルミル、アセチル、プロピオニル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、アミノ基、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、アミド基、アセタミド、オキソ基、シアノ基、ニトロ基、メチルチオ、エチルチオ、メシルおよび/またはエチルスルホニルで置換されており、ならびに/あるいは28位カルボキシル基がアルキルエステル化またはアルキル−もしくはジアルキル−アミド化されており、1位、2位、11位、12位、29位および30位が水酸基で置換されている場合と28位がヒドロキシメチル基またはカルボキシル基である場合、該水酸基、該ヒドロキシメチル基および該カルボキシル基から選択される1つ以上にブドウ糖が付加されていてもよい、製造法。 - 形質転換体が微生物または植物を宿主として得られる形質転換体である、請求項1記載の製造法。
- 微生物が酵母である、請求項2記載の製造法。
- 培養物の処理物が、培養物の濃縮物、培養物の乾燥物、培養物を遠心分離して得られる菌体、該菌体の乾燥物、該菌体の凍結乾燥物、該菌体の界面活性剤処理物、該菌体の超音波処理物、該菌体の機械的摩砕処理物、該菌体の溶媒処理物、該菌体の酵素処理物、該菌体の蛋白質分画物、該菌体の固定化物あるいは該菌体より抽出して得られる酵素標品であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の製造法。
- タンパク質および基質としての五環系トリテルペンまたはその誘導体を水性媒体中に存在せしめ、該媒体中に28位にヒドロキシメチル基またはカルボキシル基を有する五環系トリテルペンまたはその誘導体を生成、蓄積させ、該媒体から28位にヒドロキシメチル基またはカルボキシル基を有する五環系トリテルペンまたはその誘導体を採取する、28位にヒドロキシメチル基またはカルボキシル基を有する五環系トリテルペンまたはその誘導体の製造法であって、
該タンパク質が、以下の(a)〜(c):
(a) 配列番号2〜8のいずれかに示すアミノ酸配列を含むタンパク質;
(b) 配列番号2〜8のいずれかに示すアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、五環系トリテルペンの28位のメチル基をヒドロキシメチル基またはカルボキシル基に変換する活性を有するタンパク質;および
(c) 配列番号2〜8のいずれかに示すアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、五環系トリテルペンの28位のメチル基をヒドロキシメチル基またはカルボキシル基に変換する活性を有するタンパク質、
からなる群から選択されるタンパク質であり、
該誘導体は、五環系トリテルペン化合物の、1位、2位、11位、12位、29位および30位から選択される1つ以上の水素原子が、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水酸基、アセトキシ、プロパノイルオキシ、ホルミル、アセチル、プロピオニル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、アミノ基、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、アミド基、アセタミド、オキソ基、シアノ基、ニトロ基、メチルチオ、エチルチオ、メシルおよび/またはエチルスルホニルで置換されており、ならびに/あるいは28位カルボキシル基がアルキルエステル化またはアルキル−もしくはジアルキル−アミド化されており、1位、2位、11位、12位、29位および30位が水酸基で置換されている場合と28位がヒドロキシメチル基またはカルボキシル基である場合、該水酸基、該ヒドロキシメチル基および該カルボキシル基から選択される1つ以上にブドウ糖が付加されていてもよい、製造法。 - 基質としての五環系トリテルペンが、βアミリン、αアミリン又はルペオールである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造法。
- 以下の(a)〜(e)からなる群から選択されるDNA:
(a) 配列番号6〜8のいずれかに示すアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA;
(b) 配列番号6〜8のいずれかに示すアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、五環系トリテルペンの28位のメチル基をヒドロキシメチル基またはカルボキシル基に変換するタルウマゴヤシの遺伝子よりも高い活性を有するタンパク質をコードするDNA;
(c) 配列番号6〜8のいずれかに示すアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、五環系トリテルペンの28位のメチル基をヒドロキシメチル基またはカルボキシル基に変換するタルウマゴヤシの遺伝子よりも高い活性を有するタンパク質をコードするDNA;
(d) 配列番号14〜16のいずれかに示す塩基配列からなるDNA;および
(e) 配列番号14〜16のいずれかに示す塩基配列と90%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつ、五環系トリテルペンの28位のメチル基をヒドロキシメチル基またはカルボキシル基に変換するタルウマゴヤシの遺伝子よりも高い活性を有するタンパク質をコードするDNA。 - 以下の(a)〜(c)からなる群から選択されるタンパク質:
(a) 配列番号6〜8のいずれかに示すアミノ酸配列からなるタンパク質;
(b) 配列番号6〜8のいずれかに示すアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、五環系トリテルペンの28位のメチル基をヒドロキシメチル基またはカルボキシル基に変換するタルウマゴヤシの遺伝子よりも高い活性を有するタンパク質;および
(c) 配列番号6〜8のいずれかに示すアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、五環系トリテルペンの28位のメチル基をヒドロキシメチル基またはカルボキシル基に変換するタルウマゴヤシの遺伝子よりも高い活性を有するタンパク質。 - 請求項8に記載のタンパク質を含む、五環系トリテルペンの28位のメチル基のヒドロキシメチル基またはカルボキシル基への変換用組成物。
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