JP6023693B2 - トナー及びその製造方法 - Google Patents
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本実施形態において、非晶性ポリエステル樹脂は、アルコール成分として植物由来の1,2−プロパンジオールを必須成分として含む。つまり、非晶性ポリエステル樹脂は植物由来の1,2−プロパンジオールを必須成分として含むアルコール成分と、2価又は3価以上のカルボン酸成分との共重合体である。植物由来の1,2−プロパンジオールをアルコール成分として含む。このような非晶性ポリエステル樹脂を結着樹脂として使用することで、環境への負荷が低く、低温定着性に優れるトナーを得ることができる。
非晶性ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分は、本発明の目的を阻害しない範囲で、植物由来の1,2−プロパンジオール以外の2価又は3価以上のアルコール成分(その他のアルコール成分)を含んでいてもよい。その他のアルコール成分の具体例としては、ジオール類(1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリテトラメチレングリコール)、ビスフェノール類(ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、又はポリオキシプロピレン化ビスフェノールA)、3価以上のアルコール類(ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン、又はグリセリン)が挙げられる。その他のアルコール成分は、1,3−プロパンジオール、又はグリセリンが好ましい。また、その他のアルコール成分も植物由来であることが好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂を構成する2価又は3価以上のカルボン酸成分としては、例えば、2価カルボン酸(マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、又はアルキル若しくはアルケニルコハク酸(例えば、n−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、又はイソドデセニルコハク酸))、3価以上のカルボン酸(1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、又はエンポール三量体酸)が挙げられる。これらのカルボン酸成分は、エステル形成性誘導体(例えば、酸ハライド、酸無水物、又は低級アルキルエステル)として用いてもよい。ここで、「低級アルキル」とは、炭素原子数1から6のアルキル基を意味する。
上記のような問題を解決するため、本実施形態のトナーに含まれるトナー粒子は、結着樹脂中に植物由来の1,2−プロパンジオールを含有するポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂とを含む。
<式(1)>
バイオマス由来の炭素の比率(%)=(X/107.5)×100 (1)
トナー粒子は、着色剤を含有することができる。着色剤としては、トナー粒子の色に合わせて、公知の顔料又は染料を用いることができる。黒色着色剤としては、カーボンブラックが挙げられる。また、例えば、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された着色剤も、黒色着色剤として利用できる。
トナー粒子は、定着性及び耐オフセット性を向上させるために、離型剤を含有してもよい。離型剤の例としては、脂肪族炭化水素系ワックス(低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、又はフィッシャートロプシュワックス)、脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物(酸化ポリエチレンワックス、又は酸化ポリエチレンワックスのブロック共重合体)、植物系ワックス(キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、又はライスワックス)、動物系ワックス(みつろう、ラノリン、又は鯨ろう)、鉱物系ワックス(オゾケライト、セレシン、又はベトロラクタム)、脂肪酸エステルを主成分とするワックス類(モンタン酸エステルワックス又はカスターワックス)、又は脂肪酸エステルを一部若しくは全部を脱酸化したワックス(脱酸カルナバワックス)が挙げられる。
トナー粒子は、必要に応じて磁性粉を含有してもよい。磁性粉を含むトナー粒子を含む本実施形態のトナーは、磁性1成分現像剤として使用される。好適な磁性粉としては、鉄(フェライト又はマグネタイト)、強磁性金属(コバルト又はニッケル)、鉄及び/又は強磁性金属を含む合金、鉄及び/又は強磁性金属を含む化合物、熱処理のような強磁性化処理を施された強磁性合金、又は二酸化クロムが挙げられる。
本実施形態のトナーの製造方法は、複数のトナー粒子を含むトナーの製造方法である。本実施形態の製造方法は、結着樹脂を含む混合物を得る工程(混合工程)と、混合物を溶融混練して溶融混練物を得る工程(溶融混練工程)と、溶融混練物を粉砕して粉砕物を得る工程(粉砕工程)とを包含する。結着樹脂が、植物由来の1,2−プロパンジオールをアルコール成分として含む非晶性ポリエステル樹脂と、結晶性ポリエステル樹脂とを含む。
まず、植物油脂であるパーム油を加水分解してグリセリンを得た。具体的には、パーム油に対して、このパーム油を完全に鹸化するのに必要な量の2倍の量の10%水酸化ナトリウム水溶液を添加した。そして、150℃に加熱して植物油脂を完全に鹸化させた。鹸化後の反応液からグリセリン水溶液を分離し、次いで蒸留した。蒸留後のグリセリンに対して活性炭処理を行い、精製されたグリセリンを得た。
(非晶性ポリエステル樹脂H1)
攪拌機(アズワン株式会社製「SM―104」)、窒素導入管、熱電対、脱水管、及び精留塔を備えた容量5リットルの4つ口フラスコを反応容器として用いた。この反応容器に、アルコール成分として上記のようにして調製した植物由来の1,2−プロパンジオール1142gと、カルボン酸成分としてテレフタル酸1743gと、縮合触媒としてジオクタン酸スズ(II)4gとを加えた。窒素雰囲気下、230℃かつ大気圧下で、水を除去しながら15時間反応させた。その後、反応容器内を8.3kPaに減圧して、1時間反応を行った。次いで、反応容器の内温を180℃まで下げた後、反応容器に無水トリメリット酸288gを加えた。その後、10℃/時間の昇温速度で、反応容器の内温を210℃まで上げた。次いで、大気圧下に同温度で10時間反応させた。そして、反応容器内を20kPaまで減圧し、約1時間反応を行った。反応終了後、反応容器の内容物を取り出し、冷却して非晶性ポリエステル樹脂H1を合成した。非晶性ポリエステル樹脂H1の軟化点Tmは142℃であり、融点mpは65℃であり、融点mpに対する軟化点Tmの比率は、2.2であった。
ポリエステル樹脂H1の合成に用いた4つ口フラスコを反応容器として用いた。この反応容器に、アルコール成分として上記のようにして調製した植物由来の1,2−プロパンジオール1142gと、カルボン酸としてテレフタル酸1992gと、縮合触媒としてジオクタン酸スズ(II)6gとを加えた。窒素雰囲気下、230℃かつ大気圧下で、水を除去しながら12時間反応させた。その後、反応容器内を20kPaに減圧して、1時間反応を行った。反応終了後、反応容器の内容物を取り出し、冷却して非晶性ポリエステル樹脂H2を合成した。非晶性ポリエステル樹脂H2の軟化点Tmは130℃であり、融点mpは58℃であり、融点mpに対する軟化点Tmの比率は2.2であった。
表1に示したように、植物由来の1,2−プロパンジオール、テレフタル酸、及び無水トリメリット酸の配合量を変更するとともに、ジオクタン酸スズ(II)の添加量を8gとした以外は、非晶性ポリエステル樹脂H1の合成と同様の操作を行って、非晶性ポリエステル樹脂H3を合成した。非晶性ポリエステル樹脂H3の軟化点Tmは147℃であり、融点mpは60℃であり、融点mpに対する軟化点Tmの比率は、2.5であった。
表1に示したように、植物由来の1,2−プロパンジオール、テレフタル酸、及び無水トリメリット酸の配合量を変更するとともに、大気圧下の反応時間を15時間とし、減圧下の反応時間を2時間とした以外は、非晶性ポリエステル樹脂H1の合成と同様の操作を行って、非晶性ポリエステル樹脂H4を合成した。非晶性ポリエステル樹脂H4の軟化点Tmは135℃であり、融点mpは68℃であり、融点mpに対する軟化点Tmの比率は、2.0であった。
(結晶性ポリエステル樹脂C1)
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した容量5リットルの四つ口フラスコを反応容器として用いた。この反応容器に、1,6−ヘキサンジオール1320gと、1,10−デカンジカルボン酸2300gと、縮合触媒として酸化ジブチル錫4gと、ハイドロキノン3gとを投入し、200℃かつ常圧下で、生成する水を留去しながら、5時間反応させた。次いで、5mmHg以上20mmHgの減圧下で反応を約1時間継続し、反応を終了させた。反応終了後、反応容器の内容物を取り出し、冷却して結晶性ポリエステル樹脂C1を合成した。結晶性ポリエステル樹脂C1の軟化点Tmは102℃であり、融点mpは108℃であり、融点mpに対する軟化点Tmの比率は0.9であった。
表1に示したように、アルコール成分及び酸成分の種類と配合量とを変更した以外は、結晶性ポリエステル樹脂C1の合成と同様の操作を行って、結晶性ポリエステル樹脂C2を合成した。結晶性ポリエステル樹脂C2の軟化点Tmは91.9℃であり、融点mpは94℃であり、融点mpに対する軟化点Tmの比率は0.9であった。
表1に示したように、アルコール成分及び酸成分の種類と配合量とを変更するとともに、反応時間を8時間とした以外は、結晶性ポリエステル樹脂C1の合成と同様の操作を行って結晶性ポリエステル樹脂C3を合成した。結晶性ポリエステル樹脂C3の軟化点Tmは103.9℃であり、融点mpは100℃であり、融点mpに対する軟化点Tmの比率は1.0であった。
表1に示したように、アルコール成分及び酸成分の種類と配合量とを変更した以外は、結晶性ポリエステル樹脂C1の合成と同様の操作を行って、結晶性ポリエステル樹脂C4を合成した。結晶性ポリエステル樹脂C4の軟化点Tmは115.1℃であり、融点mpは120℃であり、融点mpに対する軟化点Tmの比率は1.0であった。
表1に示したように、アルコール成分及び酸成分の種類と配合量とを変更するとともに反応時間を8時間とした以外は、結晶性ポリエステル樹脂C4の合成と同様の操作を行って、結晶性ポリエステル樹脂C5を合成した。結晶性ポリエステル樹脂C5の軟化点Tmは128.1℃であり、融点mpは127℃であり、融点mpに対する軟化点Tmの比率は1.0であった。
(トナーAの製造)
結着樹脂として、85質量%の非晶性ポリエステル樹脂H1と、15質量%の結晶性ポリエステル樹脂C1とからなる混合樹脂を用いた。この混合樹脂100質量部に対して、ワックス(離型剤、日油株式会社製「WEP−3」)7質量部と、4級アンモニウム塩化合物(電荷制御剤、オリヱント化学工業株式会社製「ボントロンP−51」)1.5質量部と、カーボンブラック(着色剤、三菱化学株式会社製「MA−100」)7質量部とを、ヘンシェルミキサー(日本コークス株式会社製「20B」)を用いて混合して混合物を得た(混合工程)。
表2又は表3に示すように、非晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂の種類と添加量とを変更した以外は、トナーAの製造と同様の操作を行って、トナーB〜トナーQを製造した。
トナー10gをガラス瓶に秤量し、55℃に設定された恒温器内に100時間静置した。その後、140メッシュ(目開き:106μm)の篩に恒温器内に保存されたトナー10gを載せて、パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)を用い、振動レベル2m/mの条件で、篩に振動を30秒間与えてトナーの篩別を行った。篩別後、篩に残ったトナーの質量T(g)を秤量し、下記式に従ってメッシュ上のトナー残率を算出した。
トナーの凝集度(%)=(T/10)×100
以下の評価基準に従って耐熱保存性を評価した。
○(良い):メッシュ上のトナー残率が20%以下であった。
△(普通):メッシュ上のトナー残率が20%を超え、30%以下であった。
×(不良):メッシュ上のトナー残率が30%を超えた。
低温定着性の評価には2成分現像剤を用いた。2成分現像剤の調製は以下のようにして行った。カラープリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−C5300DN」)用のキャリアと、実施例にて得られたトナーとを、トナーの割合が2成分現像剤中10質量%となるように配合し、プラスチックボトルに封入した。次いで、ボールミルを用いてプラスチックボトルを100rpmの回転数で30分間回転させ、プラスチックボトル内のキャリアとトナーとを均一に撹拌混合し、2成分現像剤を得た。
○(良い):最低定着温度が120℃以下であった。
△(普通):最低定着温度が120℃を超えて、130℃以下であった。
×(不良):最低定着温度が130℃を超えた。
低温定着性評価にて用いた評価機と同様の評価機を用いて、トナー載り量1.3g/cm2の未定着ベタ画像(2.5cm×2.5cm)を、記録媒体(王子製紙株式会社製の上質コピー用紙)に形成した。得られた未定着画像を、所定の温度に設定された評価用定着装置を用いて、線速105mm/秒の条件で定着させた。定着温度を180℃から5℃刻みで昇温し、オフセットが発生しなかった最高温度を高温オフセット未発生温度とした。以下の評価基準に従って耐高温オフセット性を評価した。
○(良い):高温オフセット未発生温度が200℃以上であった。
△(普通):高温オフセット未発生温度が185℃以上200℃未満であった。
×(不良):高温オフセット未発生温度が185℃未満であった。
得られたトナーの溶融混練物(溶融混練工程における溶融混練物)を20g計量し、攪拌機(アズワン株式会社製「SAMPLE MILL」)に投入した。スピードを9のメモリに合わせて1分間攪拌し、粉砕物を得た。得られた粉砕物を目開き250μmのメッシュの上に載せた。パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)を用い、振動レベル2m/mの条件で、篩に振動を30秒間与えてトナーの篩別を行った。篩別後、篩に残ったトナーの質量T(g)を秤量し、下記式に従ってメッシュ上のトナー残率を算出した。
メッシュ上のトナー残率(%)=(T/10)×100
粉砕性の評価は、下記の基準に従って評価した。
○(良い):メッシュ上のトナー残率が30%以下であった。
△(普通):メッシュ上のトナー残率が30%を超え、50%以下であった。
×(不良):メッシュ上のトナー残率が50%を超えた。
Claims (3)
- 複数のトナー粒子を含むトナーであって、
前記トナーにおいては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定された分子量分布のピークトップが8000以上12000以下の範囲にあり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定された質量平均分子量が40000以上65000以下であり、
前記複数のトナー粒子の各々が結着樹脂を含有し、
前記結着樹脂が、
非晶性ポリエステル樹脂と、
融点が100℃以上120℃以下である結晶性ポリエステル樹脂と
を含み、
前記結着樹脂中の前記結晶性ポリエステル樹脂の含有量が10質量%以上40質量%以下であり、
前記トナーは、粉砕トナーであり、
前記非晶性ポリエステル樹脂は、植物由来の1,2−プロパンジオールを含み2,3−ブタンジオールを含まないアルコール成分と、2価又は3価以上のカルボン酸成分との共重合体であり、
前記非晶性ポリエステル樹脂の融点に対する前記非晶性ポリエステル樹脂の軟化点の比率が1.1以上4.0以下であり、
前記結晶性ポリエステル樹脂の融点に対する前記結晶性ポリエステル樹脂の軟化点の比率が0.9以上1.1未満であり、
放射性炭素同位体 14 Cの濃度が26.9pMC以上である、トナー。 - 前記非晶性ポリエステル樹脂の融点に対する前記非晶性ポリエステル樹脂の軟化点の前記比率が2.0以上2.5以下であり、
前記結晶性ポリエステル樹脂の融点に対する前記結晶性ポリエステル樹脂の軟化点の前記比率が0.9以上1.0以下である、請求項1に記載のトナー。 - 請求項1又は2に記載のトナーの製造方法であって、
結着樹脂を含む混合物を得る工程と、
前記混合物を溶融混練して、溶融混練物を得る工程と、
前記溶融混練物を粉砕して、粉砕物を得る工程と
を含む、トナーの製造方法。
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