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JP6023693B2 - トナー及びその製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、トナー及びその製造方法に関する。
電子写真方式を採用した画像形成に関する技術領域においては、例えば、定着ローラーを用いた加熱及び加圧により、紙のような記録媒体にトナーを定着させている。この定着に関し、定着時の省エネルギー化及び定着装置の小型化が求められている。そのため、記録媒体に対して従来よりも低温で良好に定着することが可能なトナーが望まれている。
また、近年では、様々な技術分野において地球温暖化に配慮した取り組みがなされており、トナーに含有される結着樹脂として植物由来の原料(バイオマス)を利用することが知られている。
例えば、特許文献1では、バイオマスを含む結晶性ポリエステル樹脂を結着樹脂として含有するトナーが記載されている。
特開2009−162957号公報
しかし、特許文献1に記載のトナーは、環境への負荷が依然として高く、また低温定着性が不十分であるため、改善の余地を残している。
本発明は上記のような従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、環境への負荷が低減され、かつ低温定着性に優れるトナーを提供することである。
上記のような課題を解決するため、本発明は以下を要旨とする。すなわち、本発明のトナーは、複数のトナー粒子を含み、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定された分子量分布のピークトップが8000以上12000以下の範囲にあり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定された質量平均分子量が40000以上65000以下である。複数のトナー粒子の各々は結着樹脂を含有する。上記結着樹脂が、非晶性ポリエステル樹脂と、融点が100℃以上120℃以下である結晶性ポリエステル樹脂とを含む。上記結着樹脂中の上記結晶性ポリエステル樹脂の含有量が10質量%以上40質量%以下である。本発明のトナーは、粉砕トナーである。上記非晶性ポリエステル樹脂は、植物由来の1,2−プロパンジオールを含み2,3−ブタンジオールを含まないアルコール成分と、2価又は3価以上のカルボン酸成分との共重合体である。上記非晶性ポリエステル樹脂の融点に対する上記非晶性ポリエステル樹脂の軟化点の比率が1.1以上4.0以下である。上記結晶性ポリエステル樹脂の融点に対する上記結晶性ポリエステル樹脂の軟化点の比率が0.9以上1.1未満である。本発明のトナーの放射性炭素同位体 14 Cの濃度が26.9pMC以上である。
本発明によれば、環境への負荷が低減され、かつ低温定着性に優れるトナーを提供することができる。
非晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂の軟化点Tm、並びに非晶性ポリエステル樹脂の融点mpを読み取る方法を説明する図である。 非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点Tgを測定する方法を説明する図である。 結晶性ポリエステル樹脂の融点mpを測定する方法を説明する図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内で適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
本実施形態のトナーは、複数のトナー粒子を含む。複数のトナー粒子の各々は結着樹脂を含有する。結着樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂とを含む。非晶性ポリエステル樹脂は植物由来の1,2−プロパンジオールをアルコール成分として含む。
(非晶性ポリエステル樹脂)
本実施形態において、非晶性ポリエステル樹脂は、アルコール成分として植物由来の1,2−プロパンジオールを必須成分として含む。つまり、非晶性ポリエステル樹脂は植物由来の1,2−プロパンジオールを必須成分として含むアルコール成分と、2価又は3価以上のカルボン酸成分との共重合体である。植物由来の1,2−プロパンジオールをアルコール成分として含む。このような非晶性ポリエステル樹脂を結着樹脂として使用することで、環境への負荷が低く、低温定着性に優れるトナーを得ることができる。
本明細書及び特許請求の範囲において、非晶性ポリエステル樹脂は、以下のようなポリエステル樹脂であると定義することができる。すなわち、ポリエステル樹脂の融点mpに対するポリエステル樹脂の軟化点Tmの比率(軟化点Tm/融点mp)が、1.1以上4.0以下であると、このポリエステル樹脂は非晶性ポリエステル樹脂であると定義される。
非晶性ポリエステル樹脂の軟化点Tmは130℃以上150℃以下が好ましい。非晶性ポリエステル樹脂の軟化点Tmが150℃以下である場合は、高速定着時においても十分な定着性を達成できる。なお、非晶性ポリエステル樹脂の軟化点Tmの測定には、高架式フローテスター(例えば、株式会社島津製作所製「CFT−500D」)を用いることができる。具体的には、測定試料を高架式フローテスターにセットし、所定の条件(ダイス細孔経1mm、プランジャー荷重20kg/cm2、昇温速度6℃/分)で、1cm3の試料を溶融流出させてS字カーブ(つまり、温度(℃)/ストローク(mm)に関するS字カーブ)を得る。このS字カーブの最初のショルダーにおける温度が軟化点である。
また、非晶性ポリエステル樹脂の融点mpの測定にも、上記のような高架式フローテスターを用いることができる。具体的には、上述のようにして得られたS字カーブから結着樹脂の融点mpを読み取る。
図1を参照して、非晶性ポリエステル樹脂の融点mpの読み取り方を詳細に説明する。図1において、ストロークの最大値をS1とし、S1の温度より低温側のベースラインのストローク値をS2とする。S字カーブ中のストロークの値が、(S1+S2)/2となる温度を測定試料の融点mpとする。
非晶性ポリエステル樹脂の融点mpは、32.5℃以上136℃以下が好ましい。非晶性ポリエステル樹脂の融点mpが136℃以下である場合は、高速定着時においても十分な定着性を達成できる。
非晶性ポリエステル樹脂は、アルコール成分として、植物由来の1,2−プロパンジオールのみを実質的に含むことが好ましい。本明細書及び特許請求の範囲において、「植物由来の1,2−プロパンジオールのみを実質的に含む」とは、アルコール成分における植物由来の1,2−プロパンジオールの含有量が60質量%以上であることを意味する。この含有量が75質量%以上であることがより好ましく、100質量%が特に好ましい。
植物由来の1,2−プロパンジオールを製造する方法は特に限定されず、化学合成、発酵法、又はこれらの方法が組合せられた方法を用いて製造される。
植物由来の1,2−プロパンジオールを製造するための植物バイオマスの種類は特に限定されない。植物バイオマスから1,2−プロパンジオールを製造する方法の具体例としては、植物油脂の酸又は塩基を用いる化学的加水分解法、或いは酵素又は微生物を用いる生物的加水分解法が挙げられる。植物油脂としては、例えば、ヤシ油、パーム油、ひまし油又はカカオ油が挙げられる。
植物由来の1,2−プロパンジオールを製造するための具体的な方法としては、以下の方法が挙げられる。すなわち、植物油脂を加水分解し、得られた反応物からグリセリンを精製し、触媒(例えば、水素化分解触媒)の存在下でグリセリンを得る。そして、得られたグリセリンと水素とを反応させて、植物由来の1,2−プロパンジオールを得る方法が挙げられる。また、発酵法を採用することにより、グルコースのような糖類を含む基質からグリセリンを製造することができる。
(その他のアルコール成分)
非晶性ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分は、本発明の目的を阻害しない範囲で、植物由来の1,2−プロパンジオール以外の2価又は3価以上のアルコール成分(その他のアルコール成分)を含んでいてもよい。その他のアルコール成分の具体例としては、ジオール類(1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリテトラメチレングリコール)、ビスフェノール類(ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、又はポリオキシプロピレン化ビスフェノールA)、3価以上のアルコール類(ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン、又はグリセリン)が挙げられる。その他のアルコール成分は、1,3−プロパンジオール、又はグリセリンが好ましい。また、その他のアルコール成分も植物由来であることが好ましい。
(カルボン酸成分)
非晶性ポリエステル樹脂を構成する2価又は3価以上のカルボン酸成分としては、例えば、2価カルボン酸(マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、又はアルキル若しくはアルケニルコハク酸(例えば、n−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、又はイソドデセニルコハク酸))、3価以上のカルボン酸(1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、又はエンポール三量体酸)が挙げられる。これらのカルボン酸成分は、エステル形成性誘導体(例えば、酸ハライド、酸無水物、又は低級アルキルエステル)として用いてもよい。ここで、「低級アルキル」とは、炭素原子数1から6のアルキル基を意味する。
非晶性ポリエステル樹脂の製造方法は、特に限定されず、公知のポリエステル樹脂を製造する方法から適宜選択できる。非晶性ポリエステル樹脂の製造方法としては、例えば、植物由来の1,2−プロパンジオールを含むアルコール成分とカルボン酸成分とを反応容器に入れ、触媒の存在下、重縮合反応を行う方法が挙げられる。重縮合反応温度は、例えば、200℃以上250℃以下である。重縮合反応中には、副生する揮発性成分(例えば、水)を除去し重縮合反応を促進するために、反応容器を減圧することができる。重縮合反応のための触媒としては、スズ、チタン、アンチモン、マンガン、ニッケル、亜鉛、鉛、鉄、マグネシウム、カルシウム、又はゲルマニウムのような金属;これらの金属を含有する化合物が挙げられる。
結着樹脂は、ポリエステル樹脂(つまり、非晶性ポリエステル樹脂又は後述の結晶性ポリエステル樹脂)以外の熱可塑性樹脂(例えば、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ビニルエーテル樹脂、N−ビニル樹脂、又はスチレン−ブタジエン樹脂)を含有してもよい。
本実施形態のトナーにおいて、結着樹脂中の非晶性ポリエステル樹脂の含有量は、60質量%以上90質量%以下であることが好ましく、70質量%以上85質量%以下であることがより好ましい。非晶性ポリエステル樹脂の含有量が60質量%以上である場合は、粉砕性及び耐高温オフセット性を向上させることができる。
非晶性ポリエスエル樹脂のガラス転移点Tgは、低温定着性を向上させ、トナー粒子同士の凝集を抑制するために、55℃以上65℃以下が好ましい。非晶性ポリエスエル樹脂のガラス転移点Tgは、示差走査熱量計(DSC)を用い、非晶性ポリエスエル樹脂の比熱の変化点から求めることができる。より具体的には、測定装置として示差走査熱量計(例えば、セイコーインスツル株式会社製「DSC−6200」)を用い、非晶性ポリエスエル樹脂の吸熱曲線を測定することでガラス転移点Tgを求めることができる。非晶性ポリエスエル樹脂のガラス転移点Tgの別の求め方として、測定試料10mgをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを使用し、測定温度範囲25℃以上200℃以下かつ昇温速度10℃/分の条件で、図2に示すような非晶性ポリエスエル樹脂の吸熱曲線を得、この吸熱曲線に基づいて非晶性ポリエスエル樹脂のガラス転移点Tgを求める方法が挙げられる。
植物由来の1,2-プロパンジオールは、一般的にトナー製造用のポリエステル樹脂の製造に使用されているアルコール成分(例えば、ビスフェノールA)と比較すると、分子量が非常に小さい。そのため、同程度の分子量を有するものであれば、植物由来の1,2−プロパンジオールの重合度は、一般的に使用されるアルコール成分の重合度よりも大きくなる。また、1,2-プロパンジオールは、ビスフェノールAが有するベンゼン環構造のような剛直な構造を有しない。したがって、1,2−プロパンジオールの骨格は柔軟である。そのため、1,2−プロパンジオールは一般的なアルコール成分と比べると粉砕性に優れるが、耐熱保存性に劣る。そのため、植物由来の1,2−プロパンジオールを含有するポリエステル樹脂のみを結着樹脂として使用したトナーにおいては、一般に、優れた低温定着性と耐熱保存性とを同時に達成することは困難である。
(結晶性ポリエステル樹脂)
上記のような問題を解決するため、本実施形態のトナーに含まれるトナー粒子は、結着樹脂中に植物由来の1,2−プロパンジオールを含有するポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂とを含む。
結晶性ポリエステル樹脂は、一定温度に達すると急激に溶融することでトナーの軟化を促進する効果があるため、トナーの低温定着性を向上させることが可能である。しかしながら、結晶性ポリエステル樹脂を用い、かつ粉砕法を採用してトナーを製造する場合には、結晶性ポリエステル樹脂が非常に硬いため、結晶性ポリエステル樹脂を多く添加することができなかったり、結着樹脂中の結晶性ポリエステル樹脂の分散状態によっては、耐熱保存性又は帯電性を悪化してしまったりする。
本発明者らは、上記の問題を踏まえて本目的を達成するために鋭意検討を行った。その結果、植物由来の1,2-プロパンジオールをアルコール成分として含有する非晶性ポリエステル樹脂を結着樹脂に用いた場合に、結晶性ポリエステル樹脂を併用することに到達した。それにより、粉砕法でも容易に製造可能であり、低温定着性と耐熱保存性とを両立し得る、環境に対する負荷が低いトナーを提供できることを見出した。
結晶性ポリエステル樹脂は、以下のようなポリエステル樹脂であると定義することができる。すなわち、ポリエステル樹脂の融点mpに対するポリエステル樹脂の軟化点Tmの比率が0.9以上1.1未満であるポリエステル樹脂であれば、結晶性ポリエステル樹脂であると定義される。上記の比率は、好ましくは、0.98以上1.05以下である。結晶性ポリエステル樹脂は、融点mpに対する軟化点Tmの比率が1.1以上4.0以下である非晶性ポリエステル樹脂と区別される。
結晶性ポリエステル樹脂の軟化点Tmは、90℃以上132℃未満であることが好ましく、94.5℃以上126.5℃未満であることがより好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の軟化点Tmが132℃以下である場合は、高速定着時においても定着性に優れるトナーを得ることができる。なお、結晶性ポリエステル樹脂の軟化点Tmは、上記の非晶性ポリエステル樹脂の軟化点Tmの測定方法と同様の手法により測定できる。
結晶性ポリエステル樹脂の融点mpは100℃以上120℃以下であることが好ましく、105℃以上115℃以下であることがより好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の融点mpが100℃以上である場合は、冷却時の結晶化が十分であるため、耐熱保存性、耐高温オフセット性、及び粉砕性に優れるトナーを得ることができる。結晶性ポリエステル樹脂の融点mpが120℃以下である場合は、低温定着性及び粉砕性を向上させる効果に優れるトナーを得ることができる。なお、結晶性ポリエステル樹脂の融点mpは、例えば、示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC6220」)を用いて測定できる。具体的には、アルミ皿に10mg以上12mg以下のトナーを入れ測定部にセットする。30℃をスタートに170℃まで10℃/分で昇温させる。このとき、図3に示すような融解熱曲線が得られる。この融解熱曲線における比熱の変化点から結晶性ポリエステル樹脂の融点mpを求めることができる。
結着樹脂中の結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、10質量%以上40質量%以下であり、15質量%以上30質量%以下が好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の含有量が10質量%以上であると、低温定着性に優れるトナーを得ることができる。一方、結晶性ポリエステル樹脂の含有量が40質量%以下であると、粉砕性及び耐高温オフセット性が向上されたトナーを得ることができる。
なお、環境に対する負荷が低いトナーとは、廃棄時に発生する温室効果ガス(二酸化炭素)が削減されたトナーである。そして、トナー中に含有される炭素中のバイオマス由来の炭素の割合が高いほど温室効果ガス削減には効果がある。一般的には、トナー中に含有される炭素中のバイオマス由来の炭素の割合が10%未満である場合は、環境に対する負荷を低減する効果に乏しいとされる。また、トナー中に含有される炭素中のバイオマス由来の炭素の割合が25%以上である場合は、環境に対する負荷を低減する効果があると認識される。なぜなら、カーボンニュートラルの観点から特に好ましいプラスチック製品として、製品に含まれる炭素中のバイオマス由来の炭素の割合が25%以上であるプラスチック製品に対して、バイオマスプラマーク(日本バイオプラスチック協会認証)が与えられるからである。
バイオマス成分の含有量の指標として放射性炭素同位体14Cの濃度が知られている。これは炭素を含む石油化学製品の炭素元素成分中で、どの程度の炭素が植物由来の炭素であるかを規定するものである。なお、石油化学製品の炭素元素中における14Cの濃度は、ASTM−D6866に従って測定できる。
大気中に存在する二酸化炭素のうち、放射性炭素同位体14Cを含む二酸化炭素の濃度は、大気中において一定に保たれている。一方、植物は大気中の放射性炭素同位体14Cを含む二酸化炭素を光合成の過程において取り込むことで、自らの有機成分における炭素中の14Cの濃度が、大気中における放射性炭素同位体14Cを含む二酸化炭素の濃度と同じ比率となっており、その濃度は107.5pMC(percent Modern Carbon)である。また、動物における炭素も、植物に含まれる炭素に由来するため、動物の有機成分における炭素中の放射性炭素同位体14Cの濃度も、植物と同様である。
ここで、トナー中に含まれる放射性炭素同位体14Cの濃度をXpMCとすると、下記式(1)に従ってトナー中の炭素のうちのバイオマス由来の炭素の比率を求めることができる。
<式(1)>
バイオマス由来の炭素の比率(%)=(X/107.5)×100 (1)
そして、トナーに含まれる炭素中のバイオマス由来の炭素の割合が25%以上となるように、上記式(1)からトナー中の14Cの濃度Xを求めると、26.9pMC以上となる。
つまり、本実施形態のトナー中の放射性炭素同位体14Cの濃度は、環境汚染を効果的に抑制するために、26.9pMC以上であることが好ましく、53.8pMC以上であることがより好ましい。
本実施形態のトナーは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定された分子量分布において、ピークトップが8000以上12000以下の範囲にあり、9000以上10000以下の範囲にあることが好ましい。GPCにより測定された分子量においてピークトップが8000以上の範囲にあると、耐熱保存性及び高温オフセットを抑制する効果が顕著になる。一方、ピークトップが12000以下の範囲にあると、耐熱保存性、低温定着性及び粉砕性に優れるトナーを得ることができる。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーとしては、東ソー株式会社製の「HLC−8220GPC」を用いることができる。具体的には、分子量分布はテトラヒドロフラン(THF)を溶媒として、以下のように測定される。
まず、測定試料は以下のようにして作製される。トナー10mgとTHF5mlとを混合する。そして、室温にて2時間放置した後、十分に振とうし、THFとトナーとを混合して混合物を得る。その後、得られた混合物をサンプル処理フィルター(株式会社エコパック トムシック製「TITAN2−30PTFE」、メッシュサイズ:0.45μm)にてろ過し、このフィルターを通過させたものをGPCの試料(THF試料溶液)とする。
次いで、GPC測定装置中で、40℃のヒートチャンバ内でカラムを安定させる。そして、40℃のカラムに溶媒としてのTHFを1ml/分の流速で流し、THF試料溶液を約150μl注入して分子量分布を測定する。
本実施形態のトナーについて、GPCを用いて測定された質量平均分子量Mwは、40000以上65000以下であり、55000以上62000以下であることが好ましい。トナーの質量平均分子量Mwが40000以上であると、耐熱保存性及び耐高温オフセット性に優れる。トナーの質量平均分子量Mwが65000以下であると、低温定着性及び粉砕性に優れる。
トナーの質量平均分子量Mwは、例えば、トナーの有する分子量分布を、単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出される。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、分子量が52〜107程度のものを用いる。検量線作成用の標準ポリスチレン試料の市販品としては、例えば、東ソー株式会社製又は昭和電工株式会社製の試料が挙げられる。そして、トナーの分子量測定においては、数種類(例えば、少なくとも8点程度)の標準ポリスチレン試料を用いる。検出器としては、例えば、RI(屈折率)検出器を用いる。
(着色剤)
トナー粒子は、着色剤を含有することができる。着色剤としては、トナー粒子の色に合わせて、公知の顔料又は染料を用いることができる。黒色着色剤としては、カーボンブラックが挙げられる。また、例えば、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された着色剤も、黒色着色剤として利用できる。
トナー粒子がカラートナーである場合、用いられる着色剤としては、例えば、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、又はシアン着色剤が挙げられる。
イエロー着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、又はアリルアミド化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、又は194)、ネフトールイエローS、ハンザイエローG、又はC.I.バットイエローが挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、又はペリレン化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、又は254)が挙げられる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、銅フタロシアニン誘導体、アントラキノン化合物、又は塩基染料レーキ化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、又は66)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、又はC.I.アシッドブルーが挙げられる。
着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して1質量部以上20質量部以下が好ましく、3質量部以上10質量部以下がより好ましい。
(離型剤)
トナー粒子は、定着性及び耐オフセット性を向上させるために、離型剤を含有してもよい。離型剤の例としては、脂肪族炭化水素系ワックス(低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、又はフィッシャートロプシュワックス)、脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物(酸化ポリエチレンワックス、又は酸化ポリエチレンワックスのブロック共重合体)、植物系ワックス(キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、又はライスワックス)、動物系ワックス(みつろう、ラノリン、又は鯨ろう)、鉱物系ワックス(オゾケライト、セレシン、又はベトロラクタム)、脂肪酸エステルを主成分とするワックス類(モンタン酸エステルワックス又はカスターワックス)、又は脂肪酸エステルを一部若しくは全部を脱酸化したワックス(脱酸カルナバワックス)が挙げられる。
離型剤の含有量は、トナー粒子の定着性及び耐オフセット性の向上のために、結着樹脂100質量部に対して1質量部以上30質量部以下が好ましく、5質量部以上20質量部以下がより好ましい。
帯電立ち上がり特性を向上させ、耐久性及び安定性に優れたトナーを得るために、トナー粒子は電荷制御剤を含有してもよい。帯電立ち上がり特性とは、所定の帯電レベルに短時間で帯電可能か否かの指標である。
(磁性粉)
トナー粒子は、必要に応じて磁性粉を含有してもよい。磁性粉を含むトナー粒子を含む本実施形態のトナーは、磁性1成分現像剤として使用される。好適な磁性粉としては、鉄(フェライト又はマグネタイト)、強磁性金属(コバルト又はニッケル)、鉄及び/又は強磁性金属を含む合金、鉄及び/又は強磁性金属を含む化合物、熱処理のような強磁性化処理を施された強磁性合金、又は二酸化クロムが挙げられる。
磁性粉の粒子径は、0.1μm以上1.0μm以下が好ましく、0.1μm以上0.5μm以下がより好ましい。磁性粉の粒子径が0.1μm以上1.0μm以下である場合は、結着樹脂中に磁性粉を均一に分散させやすい。
本実施形態のトナーを1成分現像剤として使用する場合、磁性粉の使用量は、トナー全量100質量部に対して35質量部以上60質量部以下が好ましく、40質量部以上60質量部以下がより好ましい。
本実施形態のトナーに含まれるトナー粒子の表面には、シェル層が形成されていてもよい。シェル層を構成する樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂が挙げられる。
トナー粒子の表面は、流動性及び取扱性を向上させるために、外添剤を用いて処理されていてもよい。外添剤を用いるトナー粒子の処理方法は、具体的には、外添剤の粒子が、外添処理される前のトナー粒子(トナー母粒子)に埋め込まれないように処理条件を調整し、ヘンシェルミキサーやナウターミキサーのような混合機を用いて、外添剤による処理が行われる。
本発明のトナーは、キャリアと混合して2成分現像剤として使用することもできる。2成分現像剤を調製する場合、磁性キャリアを用いることが好ましい。
[トナーの製造方法]
本実施形態のトナーの製造方法は、複数のトナー粒子を含むトナーの製造方法である。本実施形態の製造方法は、結着樹脂を含む混合物を得る工程(混合工程)と、混合物を溶融混練して溶融混練物を得る工程(溶融混練工程)と、溶融混練物を粉砕して粉砕物を得る工程(粉砕工程)とを包含する。結着樹脂が、植物由来の1,2−プロパンジオールをアルコール成分として含む非晶性ポリエステル樹脂と、結晶性ポリエステル樹脂とを含む。
混合工程においては、上記の非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂とを含む結着樹脂と任意の成分(例えば、着色剤、電荷制御剤又は離型剤のような成分)とを混合して、混合物を得る。
溶融混練工程においては、混合工程にて得られた混合物を溶融混練して、溶融混練物を得る。溶融混練装置は特に限定されず、熱可塑性樹脂の溶融混練に使用される装置から適宜選択でき、その具体例としては、一軸又は二軸の押出機のような装置が挙げられる。
粉砕工程においては、溶融混練工程において得られた溶融混練物を公知の手法で粉砕し、粉砕物として所望の粒径を有する複数のトナー粒子を得る。粉砕工程を実行した後に、得られた粉砕物を公知の手法で分級してもよい。粉砕後分級されたトナー粒子の平均粒子径は、5μm以上10μm以下であることが好ましい。
本実施形態のトナーの製造方法においては、上記のような、いわゆる粉砕法が採用される。結晶性ポリエステル樹脂を用いてトナーを製造する際に粉砕法を採用すると、結晶性ポリエステル樹脂の硬度が高いため作業性に劣る。しかしながら、本実施例のトナーの製造方法においては、粉砕性に優れる植物由来の1,2-プロパンジオールをアルコール成分に使用した非晶性ポリエステル樹脂を用いているため、粉砕法を用いて製造される場合であっても、粉砕性に優れる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例により限定されない。
[植物由来の1,2−プロパンジオールの調製]
まず、植物油脂であるパーム油を加水分解してグリセリンを得た。具体的には、パーム油に対して、このパーム油を完全に鹸化するのに必要な量の2倍の量の10%水酸化ナトリウム水溶液を添加した。そして、150℃に加熱して植物油脂を完全に鹸化させた。鹸化後の反応液からグリセリン水溶液を分離し、次いで蒸留した。蒸留後のグリセリンに対して活性炭処理を行い、精製されたグリセリンを得た。
そして、得られたグリセリンから、1,2−プロパンジオールを調製した。まず、還流冷却器を有する反応器に、エチレングリコール200gと硝酸第二銅三水和物76gとを加えた。これを80℃で2時間加熱撹拌した後、テトラエトキシシラン52gを滴下し、80℃で2時間加熱撹拌した。その後、18gの水を滴下し、80℃で3時間加熱撹拌し沈澱物を得た。得られた沈殿物を約120℃で乾燥させ、400℃で2時間空気中にて焼成し、銅/シリカ触媒(銅含有量:50質量%)を得た。得られた3gの銅/シリカ触媒に、テトラアンミン白金(II)硝酸塩[Pt(NH34(NO32]29.8mgの水溶液を添加し、ロータリーエバポレーターで乾燥乾固させた。得られた固体を120℃で乾燥させ、400℃で2時間、空気中で焼成し、銅−白金/シリカ触媒(Cu/Pt/Si=50/0.5/17、質量比)(銅含有量:50質量%)を得た。
次いで、撹拌機付きの500mLの鉄製オートクレーブに、2gの銅−白金/シリカ触媒と200gのグリセリンとを加え、水素置換した。その後、このオートクレーブを230℃に加熱し、オートクレーブ内に水素を5L/分(温度:25℃、雰囲気:H2)の速度で導入し、2MPaの圧力下で7時間反応させ反応液を得た。得られた反応液を常法に従って精製し、植物由来の1,2−プロパンジオールを調製した。
[非晶性ポリエステル樹脂の合成]
(非晶性ポリエステル樹脂H1)
攪拌機(アズワン株式会社製「SM―104」)、窒素導入管、熱電対、脱水管、及び精留塔を備えた容量5リットルの4つ口フラスコを反応容器として用いた。この反応容器に、アルコール成分として上記のようにして調製した植物由来の1,2−プロパンジオール1142gと、カルボン酸成分としてテレフタル酸1743gと、縮合触媒としてジオクタン酸スズ(II)4gとを加えた。窒素雰囲気下、230℃かつ大気圧下で、水を除去しながら15時間反応させた。その後、反応容器内を8.3kPaに減圧して、1時間反応を行った。次いで、反応容器の内温を180℃まで下げた後、反応容器に無水トリメリット酸288gを加えた。その後、10℃/時間の昇温速度で、反応容器の内温を210℃まで上げた。次いで、大気圧下に同温度で10時間反応させた。そして、反応容器内を20kPaまで減圧し、約1時間反応を行った。反応終了後、反応容器の内容物を取り出し、冷却して非晶性ポリエステル樹脂H1を合成した。非晶性ポリエステル樹脂H1の軟化点Tmは142℃であり、融点mpは65℃であり、融点mpに対する軟化点Tmの比率は、2.2であった。
(非晶性ポリエステル樹脂H2)
ポリエステル樹脂H1の合成に用いた4つ口フラスコを反応容器として用いた。この反応容器に、アルコール成分として上記のようにして調製した植物由来の1,2−プロパンジオール1142gと、カルボン酸としてテレフタル酸1992gと、縮合触媒としてジオクタン酸スズ(II)6gとを加えた。窒素雰囲気下、230℃かつ大気圧下で、水を除去しながら12時間反応させた。その後、反応容器内を20kPaに減圧して、1時間反応を行った。反応終了後、反応容器の内容物を取り出し、冷却して非晶性ポリエステル樹脂H2を合成した。非晶性ポリエステル樹脂H2の軟化点Tmは130℃であり、融点mpは58℃であり、融点mpに対する軟化点Tmの比率は2.2であった。
(非晶性ポリエステル樹脂H3)
表1に示したように、植物由来の1,2−プロパンジオール、テレフタル酸、及び無水トリメリット酸の配合量を変更するとともに、ジオクタン酸スズ(II)の添加量を8gとした以外は、非晶性ポリエステル樹脂H1の合成と同様の操作を行って、非晶性ポリエステル樹脂H3を合成した。非晶性ポリエステル樹脂H3の軟化点Tmは147℃であり、融点mpは60℃であり、融点mpに対する軟化点Tmの比率は、2.5であった。
(非晶性ポリエステル樹脂H4)
表1に示したように、植物由来の1,2−プロパンジオール、テレフタル酸、及び無水トリメリット酸の配合量を変更するとともに、大気圧下の反応時間を15時間とし、減圧下の反応時間を2時間とした以外は、非晶性ポリエステル樹脂H1の合成と同様の操作を行って、非晶性ポリエステル樹脂H4を合成した。非晶性ポリエステル樹脂H4の軟化点Tmは135℃であり、融点mpは68℃であり、融点mpに対する軟化点Tmの比率は、2.0であった。
[結晶性ポリエステル樹脂の合成]
(結晶性ポリエステル樹脂C1)
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した容量5リットルの四つ口フラスコを反応容器として用いた。この反応容器に、1,6−ヘキサンジオール1320gと、1,10−デカンジカルボン酸2300gと、縮合触媒として酸化ジブチル錫4gと、ハイドロキノン3gとを投入し、200℃かつ常圧下で、生成する水を留去しながら、5時間反応させた。次いで、5mmHg以上20mmHgの減圧下で反応を約1時間継続し、反応を終了させた。反応終了後、反応容器の内容物を取り出し、冷却して結晶性ポリエステル樹脂C1を合成した。結晶性ポリエステル樹脂C1の軟化点Tmは102℃であり、融点mpは108℃であり、融点mpに対する軟化点Tmの比率は0.9であった。
(結晶性ポリエステル樹脂C2)
表1に示したように、アルコール成分及び酸成分の種類と配合量とを変更した以外は、結晶性ポリエステル樹脂C1の合成と同様の操作を行って、結晶性ポリエステル樹脂C2を合成した。結晶性ポリエステル樹脂C2の軟化点Tmは91.9℃であり、融点mpは94℃であり、融点mpに対する軟化点Tmの比率は0.9であった。
(結晶性ポリエステル樹脂C3)
表1に示したように、アルコール成分及び酸成分の種類と配合量とを変更するとともに、反応時間を8時間とした以外は、結晶性ポリエステル樹脂C1の合成と同様の操作を行って結晶性ポリエステル樹脂C3を合成した。結晶性ポリエステル樹脂C3の軟化点Tmは103.9℃であり、融点mpは100℃であり、融点mpに対する軟化点Tmの比率は1.0であった。
(結晶性ポリエスエル樹脂C4)
表1に示したように、アルコール成分及び酸成分の種類と配合量とを変更した以外は、結晶性ポリエステル樹脂C1の合成と同様の操作を行って、結晶性ポリエステル樹脂C4を合成した。結晶性ポリエステル樹脂C4の軟化点Tmは115.1℃であり、融点mpは120℃であり、融点mpに対する軟化点Tmの比率は1.0であった。
(結晶性ポリエステル樹脂C5)
表1に示したように、アルコール成分及び酸成分の種類と配合量とを変更するとともに反応時間を8時間とした以外は、結晶性ポリエステル樹脂C4の合成と同様の操作を行って、結晶性ポリエステル樹脂C5を合成した。結晶性ポリエステル樹脂C5の軟化点Tmは128.1℃であり、融点mpは127℃であり、融点mpに対する軟化点Tmの比率は1.0であった。
Figure 0006023693
なお、表1中「−」は配合していないことを示す。
実施例
(トナーAの製造)
結着樹脂として、85質量%の非晶性ポリエステル樹脂H1と、15質量%の結晶性ポリエステル樹脂C1とからなる混合樹脂を用いた。この混合樹脂100質量部に対して、ワックス(離型剤、日油株式会社製「WEP−3」)7質量部と、4級アンモニウム塩化合物(電荷制御剤、オリヱント化学工業株式会社製「ボントロンP−51」)1.5質量部と、カーボンブラック(着色剤、三菱化学株式会社製「MA−100」)7質量部とを、ヘンシェルミキサー(日本コークス株式会社製「20B」)を用いて混合して混合物を得た(混合工程)。
得られた混合物を、二軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて、材料供給速度6kg/hr、軸回転数160rpm、及びシリンダー温度120℃の条件で溶融混練した後、冷却して混練物を得た(溶融混練工程)。得られた混練物を粉砕機(株式会社東亜機械製作所製「ロートプレックス16/8型」)で粗粉砕した後、粉砕機(フロイントターボ株式会社製「ターボミルRS」)で微粉砕した(粉砕工程)。得られた微粉砕品をエルボージェット(日鉄鉱業株式会社製「EJ−LABO型式EJ−L−3」)で分級して、体積平均粒子径7μmのトナー母粒子を得た。
得られたトナー母粒子100質量部に対して、外添剤として、疎水性シリカ微粒子(日本アエロジル株式会社製「RA−200H」)1.2質量部及び酸化チタン(チタン工業株式会社製「EC−100」)0.8質量部を加え、ヘンシェルミキサー(日本コークス株式会社製「10B」)を用いて、回転数3000rpm、ジャケット制御温度20℃で2分間混合して、外添処理されたトナーAを得た。
(トナーB〜トナーQの製造)
表2又は表3に示すように、非晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂の種類と添加量とを変更した以外は、トナーAの製造と同様の操作を行って、トナーB〜トナーQを製造した。
トナーA〜トナーQの評価は、以下のような方法に従って行った。
[耐熱保存性]
トナー10gをガラス瓶に秤量し、55℃に設定された恒温器内に100時間静置した。その後、140メッシュ(目開き:106μm)の篩に恒温器内に保存されたトナー10gを載せて、パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)を用い、振動レベル2m/mの条件で、篩に振動を30秒間与えてトナーの篩別を行った。篩別後、篩に残ったトナーの質量T(g)を秤量し、下記式に従ってメッシュ上のトナー残率を算出した。
トナーの凝集度(%)=(T/10)×100
以下の評価基準に従って耐熱保存性を評価した。
○(良い):メッシュ上のトナー残率が20%以下であった。
△(普通):メッシュ上のトナー残率が20%を超え、30%以下であった。
×(不良):メッシュ上のトナー残率が30%を超えた。
[低温定着性]
低温定着性の評価には2成分現像剤を用いた。2成分現像剤の調製は以下のようにして行った。カラープリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−C5300DN」)用のキャリアと、実施例にて得られたトナーとを、トナーの割合が2成分現像剤中10質量%となるように配合し、プラスチックボトルに封入した。次いで、ボールミルを用いてプラスチックボトルを100rpmの回転数で30分間回転させ、プラスチックボトル内のキャリアとトナーとを均一に撹拌混合し、2成分現像剤を得た。
評価機として、プリンターの改造機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−5200DN」の定着装置を取り外したもの)を評価機として用いた。この評価機のブラック用現像装置に、上記のように調製した2成分現像剤を充填し、さらに評価機のブラック用トナーコンテナに、実施例にて得られたトナーを充填した。この評価機を用いて、トナー載り量1.3g/cm2の未定着のベタ画像(2.5cm×2.5cm)を、記録媒体(mondi社製「CC90」)に形成した。
そして、所定の温度に設定された評価用定着装置を用い、線速105mm/秒の条件で、得られた未定着画像を記録媒体に定着させた。評価用定着装置として、定着温度を調節でき、さらに独立して駆動できるように改造されたプリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−5200DN」)用の定着装置を用いた。定着後の記録媒体を、画像が形成された部分が内側となるように半分に折り曲げ、底面が布帛で被覆された真鍮製の重り(質量:1kg)を用いて、重りの自重のみが折り目に負荷されるようにして、折り目上を5往復摩擦した。折り曲げ部のトナーの剥がれが1mm以内であれば合格と判定し、1mmを超えるものを不合格と判定した。定着温度を145℃から5℃刻みで下げて評価を行い、トナーの剥がれが合格と判定される最低の定着温度を、最低定着温度とした。以下の評価基準に従って低温定着性を評価した。
○(良い):最低定着温度が120℃以下であった。
△(普通):最低定着温度が120℃を超えて、130℃以下であった。
×(不良):最低定着温度が130℃を超えた。
[耐高温オフセット性]
低温定着性評価にて用いた評価機と同様の評価機を用いて、トナー載り量1.3g/cm2の未定着ベタ画像(2.5cm×2.5cm)を、記録媒体(王子製紙株式会社製の上質コピー用紙)に形成した。得られた未定着画像を、所定の温度に設定された評価用定着装置を用いて、線速105mm/秒の条件で定着させた。定着温度を180℃から5℃刻みで昇温し、オフセットが発生しなかった最高温度を高温オフセット未発生温度とした。以下の評価基準に従って耐高温オフセット性を評価した。
○(良い):高温オフセット未発生温度が200℃以上であった。
△(普通):高温オフセット未発生温度が185℃以上200℃未満であった。
×(不良):高温オフセット未発生温度が185℃未満であった。
[粉砕性]
得られたトナーの溶融混練物(溶融混練工程における溶融混練物)を20g計量し、攪拌機(アズワン株式会社製「SAMPLE MILL」)に投入した。スピードを9のメモリに合わせて1分間攪拌し、粉砕物を得た。得られた粉砕物を目開き250μmのメッシュの上に載せた。パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)を用い、振動レベル2m/mの条件で、篩に振動を30秒間与えてトナーの篩別を行った。篩別後、篩に残ったトナーの質量T(g)を秤量し、下記式に従ってメッシュ上のトナー残率を算出した。
メッシュ上のトナー残率(%)=(T/10)×100
粉砕性の評価は、下記の基準に従って評価した。
○(良い):メッシュ上のトナー残率が30%以下であった。
△(普通):メッシュ上のトナー残率が30%を超え、50%以下であった。
×(不良):メッシュ上のトナー残率が50%を超えた。
トナーA〜トナーQの評価結果を、表2又は表3に示す。
Figure 0006023693
Figure 0006023693
なお、表2及び表3中、結着樹脂組成の単位は「質量%」である。「−」は配合していないことを示す。
本実施形態のトナーは、環境への負荷が低いものであり、分子量分布のトップピーク、質量平均分子量Mw、並びに用いた結晶性ポリエステル樹脂の融点mp及び含有量が所定の範囲であったため、耐熱保存性、低温定着性、耐高温オフセット性、及び粉砕性のいずれにも優れていた。
本実施形態のトナーは、耐熱保存性、低温定着性、耐高温オフセット性、及び粉砕性に優れるため、画像形成に好適に用いられる。

Claims (3)

  1. 複数のトナー粒子を含むトナーであって、
    前記トナーにおいては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定された分子量分布のピークトップが8000以上12000以下の範囲にあり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定された質量平均分子量が40000以上65000以下であり、
    前記複数のトナー粒子の各々が結着樹脂を含有し、
    前記結着樹脂が
    晶性ポリエステル樹脂と、
    融点が100℃以上120℃以下である結晶性ポリエステル樹脂と
    を含み、
    前記結着樹脂中の前記結晶性ポリエステル樹脂の含有量が10質量%以上40質量%以下であり、
    前記トナーは、粉砕トナーであり、
    前記非晶性ポリエステル樹脂は、植物由来の1,2−プロパンジオールを含み2,3−ブタンジオールを含まないアルコール成分と、2価又は3価以上のカルボン酸成分との共重合体であり、
    前記非晶性ポリエステル樹脂の融点に対する前記非晶性ポリエステル樹脂の軟化点の比率が1.1以上4.0以下であり、
    前記結晶性ポリエステル樹脂の融点に対する前記結晶性ポリエステル樹脂の軟化点の比率が0.9以上1.1未満であり
    放射性炭素同位体 14 Cの濃度が26.9pMC以上である、トナー。
  2. 前記非晶性ポリエステル樹脂の融点に対する前記非晶性ポリエステル樹脂の軟化点の前記比率が2.0以上2.5以下であり、
    前記結晶性ポリエステル樹脂の融点に対する前記結晶性ポリエステル樹脂の軟化点の前記比率が0.9以上1.0以下である、請求項1に記載のトナー。
  3. 請求項1又は2に記載のトナーの製造方法であって、
    結着樹脂を含む混合物を得る工程と、
    前記混合物を溶融混練して、溶融混練物を得る工程と、
    前記溶融混練物を粉砕して、粉砕物を得る工程と
    を含む、トナーの製造方法
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