[実施の形態]
本発明の実施の形態について、図1から図9を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係るウインドレギュレータ、及びこのウインドレギュレータが設けられる車両のドアを示す概略図である。図1では、右後席のドアを車両の外側から見た状態を図示している。また、図1では、ドアの輪郭及び窓枠を仮想線(二点鎖線)で示し、かつウインドレギュレータの窓ガラスの内側(車室側)に配置される部分を破線で示している。
このウインドレギュレータ1は、車両のドア9に設けられ、ドア9の窓ガラス90を昇降させる。窓ガラス90は、図略のガラスガイドに案内され、上下方向に移動する。なお、図1では、一例としてウインドレギュレータ1を車両の右後席のドアに用いた場合を図示しているが、車両における他のドアにウインドレギュレータ1を設けることも可能である。
ウインドレギュレータ1は、窓ガラス90の移動方向に沿って配置されるガイドレール20と、ガイドレール20の長手方向に沿って架張されたワイヤ3と、ガイドレール20に案内されて窓ガラス90と共に移動する移動体4とを備えている。移動体4は、ワイヤ3の一部が巻き回されたドラム40(後述する図4に示す)と、ドラム40を回転駆動する駆動力を発生するモータ5と、ドラム40及びモータ5を保持するハウジング6と、ハウジング6に窓ガラス90を結合する結合部材71,72とを有している。移動体4の構成の詳細については後述する。
ガイドレール20の上端部には第1ワイヤ支持部材21が配置され、ガイドレール20の下端部には第2ワイヤ支持部材22が配置されている。第1ワイヤ支持部材21及び第2ワイヤ支持部材22は、ワイヤ3の両端部を支持する一対のワイヤ支持部として機能する。
モータ5は、ウインドレギュレータ1を車幅方向から見た場合に、結合部材71,72と重ならない位置に配置されている。より具体的には、モータ5は、ハウジング6の車両前方側の端部に固定された結合部材72に対して下方にずれた位置に配置されている。これにより、モータ5と結合部材71,72との干渉を回避して、移動体4の車幅方向の厚みが低減されている。
図2は、ウインドレギュレータ1が配置されたドア9の内部を図1のA−A線断面で示す概略図である。
ウインドレギュレータ1は、ドア9の外壁91と内壁92との間に配置されている。内壁92における車室側(外壁91とは反対側)の面は、例えば樹脂からなる図略の内張りによって覆われる。外壁91は、高さ方向の中央部が車幅方向の外側に膨らむように湾曲している。また、窓ガラス90も、外壁91と同様に、高さ方向の中央部が車幅方向の外側に膨らむように湾曲している。ガイドレール20は、この窓ガラス90に沿うように、弓状に湾曲している。
ウインドレギュレータ1は、第1ワイヤ支持部材21及び第2ワイヤ支持部材22が内壁92に固定されている。第1ワイヤ支持部材21は、第1ワイヤ支持部材21を挿通するボルト26(図1に示す)によって内壁92に取り付けられる。ボルト26の先端部は、内壁92を貫通して内壁92の車室側に配置されるナット93に螺合する。また、第2ワイヤ支持部材22は、第2ワイヤ支持部材22を挿通するボルト27(図1に示す)によって内壁92に取り付けられる。ボルト27の先端部は、内壁92を貫通して内壁92の車室側に配置されるナット93に螺合する。
モータ5は、ドア9内において、ガイドレール20よりも車幅方向の外側に配置されている。ガイドレール20と外壁91との間には、移動体4の移動を妨げない幅の空間が形成されている。
次に、ウインドレギュレータ1の各部の構成について、図3乃至図7を参照して詳細に説明する。図3(a)はウインドレギュレータ1を示す全体図、図3(b)はガイドレール20を示す正面図である。図4は、ウインドレギュレータ1の分解斜視図である。図5は、図3(a)のB−B線断面図である。図6は、ガイドレール20の下端部における第2ワイヤ支持部材22及びその周辺を示し、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は(a)のC−C線断面図、(d)は(b)のD−D線断面図、(e)は(b)のE−E線断面図、(f)は(b)のF−F線断面図である。図7は、第1ワイヤ支持部材21を示し、(a)〜(g)は、それぞれ上面図、左側面図、正面図、右側面図、背面図、下面図、及び斜視図である。なお、以下の説明において、「上」又は「下」とは、ウインドレギュレータ1がドア9に取り付けられた状態における「上」又は「下」をいうものとする。
図3(b)に示すように、ガイドレール20には、上端部に貫通孔20aが形成され、下端部には貫通孔20bが形成されている。また、図3(a)及び図4に示すように、ハウジング6は、ドラム40を収容するドラムハウジング61と、後述するウォームギヤ機構50(図5に示す)を収容するギヤハウジング62とからなる。ドラムハウジング61とギヤハウジング62とは、複数のボルト63及びナット64によって相互に締結されている。ドラムハウジング61及びギヤハウジング62は、共に樹脂からなる。より具体的には、ドラムハウジング61は例えばポリアセタール(POM)からなり、ギヤハウジング62は例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)からなる。
図4に示すように、ドラムハウジング61には、ドラム40を収容する収容空間61aが形成されている。また、ドラムハウジング61には、ワイヤ3を収容空間61aに導く第1ガイド溝611及び第2ガイド溝612が形成されている。第1ガイド溝611は、収容空間61aの上方に形成され、第1ワイヤ支持部材21に向かって開口している。第2ガイド溝612は、収容空間61aの下方に形成され、第2ワイヤ支持部材22に向かって開口している。第1ガイド溝611及び第2ガイド溝612は、収容空間61aの中心部よりもガイドレール20側に片寄った位置に形成されている。
また、ドラムハウジング61には、車両の前後方向の両端部に貫通孔613,614が形成されている。この貫通孔613,614をそれぞれ挿通するボルト711,712(図1に示す)によって、ドラムハウジング61に結合部材71,72(図1に示す)が固定される。
ドラム40は円筒状であり、その外周面には螺旋状の溝41が形成されている。また、ドラム40の中心孔42の内周面には、ドラム40の軸方向に延びる内周スプライン42aが形成されている。
ワイヤ3は、第1ワイヤ支持部材21及び第2ワイヤ支持部材22に保持された弾性体としてのバネ23,24(図3(a)に示す)により張力を付与されている。これにより、ワイヤ3は、第1ワイヤ支持部材21と第2ワイヤ支持部材22との間において弛むことなく架張されている。第1ワイヤ支持部材21及び第2ワイヤ支持部材22の構成の詳細については後述する。
ワイヤ3の配策経路を、第1ワイヤ支持部材21側の端部を始点とし、第2ワイヤ支持部材22側の端部を終点として説明すると、第1ワイヤ支持部材21から導出されたワイヤ3は、ガイドレール20に沿って下方に延び、ドラムハウジング61の第1ガイド溝611を経由して収容空間61a内に導かれる。収容空間61a内に導かれたワイヤ3は、ドラム40の溝41に収容されてドラム40の外周面を複数回にわたって周回し、第2ガイド溝612を経由してドラムハウジング61の外部に導出される。第2ガイド溝612から導出されたワイヤ3は、ガイドレール20に沿って下方に延びて第2ワイヤ支持部材22に支持される。
第1ワイヤ支持部材21とドラムハウジング61との間におけるワイヤ3を上部ワイヤ3aとし、第2ワイヤ支持部材22とドラムハウジング61との間におけるワイヤ3を下部ワイヤ3bとすると、ドラム40の回転により、上部ワイヤ3a及び下部ワイヤ3bの長さが変化する。つまり、移動体4の上昇時におけるドラム40の回転方向を正方向とし、移動体4の下降時におけるドラム40の回転方向を逆方向とすると、ドラム40が正方向に回転することにより、上部ワイヤ3aの長さが短くなると共に下部ワイヤ3bの長さが長くなる。また、ドラム40が逆方向に回転することにより、上部ワイヤ3aの長さが長くなると共に下部ワイヤ3bの長さが短くなる。この上部ワイヤ3a及び下部ワイヤ3bの長さの変化に応じて、移動体4がガイドレール20に対して上下方向に移動する。
モータ5は、コネクタ部5aから供給される電流によって回転駆動力を発生する直流モータである。モータ5の回転子には、ギヤハウジング62の筒部620に収容された図略のウォームが一体に回転するように連結されている。図3(a)に示すように、モータ5の回転子及びウォームの回転軸線Oは、ガイドレール20の長手方向に直交する直線に対して角度θだけ傾いている。モータ5は、この回転軸線Oの傾きにより、ギヤハウジング62に固定された基端部5bよりも、ギヤハウジング62側とは反対側の先端部5cが上方に位置している。
モータ5の回転は、ギヤハウジング62に収容されたウォームギヤ機構50(後述)によって減速され、ウォームギヤ機構50の出力軸51(図5に示す)を介してドラム40に伝達される。図5に示すように、出力軸51は、その一端部がギヤハウジング62から突出している。この一端部における出力軸51の外周面には、ドラム40の中心孔42の内周面に形成された内周スプライン42a(図4に示す)に係合する外周スプライン51aが形成されている。
出力軸51は、外周スプライン51aがドラム40の内周スプライン42aにスプライン係合することで、ドラム40と相対回転不能に連結される。また、ギヤハウジング62から突出した出力軸51の中心部には、ドラムハウジング61に軸支される被支持部510が形成されている。被支持部510は、外周スプライン51aが形成された部分よりも細径であり、ドラムハウジング61側に突出している。
ウォームギヤ機構50は、図6に示すように、出力軸51と、モータ5の回転子に連結されたウォーム(図示せず)に噛み合うウォームホイール52と、ゴム等の弾性体からなる複数のダンパ53と、複数のダンパ53を介してウォームホイール52からの回転力を受け、出力軸51と一体に回転するハブ54とを有している。なお、図6では、図面上方が車両アウタ側(ドア9の外壁91側)にあたり、図面下方が車両インナ側(ドア9の内壁92側)にあたる。
出力軸51は、ギヤハウジング62から突出した大径部511と、大径部511よりも小径の小径部512とを一体に有している。ドラム40の内周スプライン42aとスプライン係合する外周スプライン51aは、大径部511の外周面に形成されている。また、小径部512における大径部511とは反対側の端部には、ハブ54とスプライン係合する外周スプライン51bが形成されている。
ウォームホイール52は、中心部に出力軸51を挿通させる挿通孔521aが形成された円板状の底部521と、底部521の外周縁に沿って軸方向に突出して形成された外周壁部522と、外周壁部522の内面から内方に突出した複数の内壁部523とを一体に有している。なお、図6には、複数の内壁部523のうち、1つの内壁部523のみを図示している。
外周壁部522の外周面には、ウォーム歯522aが形成されている。底部521における挿通孔521aの内径は、出力軸51の小径部512の外径よりも大きく形成され、挿通孔521aの内周面と出力軸51の小径部512の外周面との間には、僅かな隙間が形成されている。
ハブ54は、中心部に出力軸51の小径部512を挿通させる挿通孔541aが形成された円盤状の本体部541と、本体部541からウォームホイール52の底部521に向かって突出した複数の突起542とを一体に有している。挿通孔541aの内周面には、出力軸51の小径部512における外周スプライン51bとスプライン係合する内周スプライン541bが形成されている。ハブ54は、出力軸51の小径部512に嵌着されたスナップリング55によって、出力軸51との相対移動が規制されている。
ダンパ53は、ウォームホイール52の内壁部523とハブ54の突起542との間に挟まれて配置されている。ダンパ53は、モータ5のトルクの脈動を吸収し、出力軸51の回転を円滑にする機能を有している。ウォームホイール52とハブ54とは、ダンパ53が弾性変形して圧縮される範囲で相対回転可能である。以上の構成により、ウォームギヤ機構50は、モータ5の回転子の回転を減速し、かつトルクの脈動を抑制して出力軸51に伝達する。
ドラムハウジング61には、収容空間61aを形成する底部615の中心部に貫通孔615aが形成されている。また、底部615における貫通孔615aの周囲には、円筒状の突部615bが形成されている。突部615bの内側には、出力軸51の被支持部510が挿入されている。これにより、被支持部510がドラムハウジング61に軸支され、出力軸51が回転可能に支持されている。
ドラム40の中心孔42の内周面におけるドラムハウジング61の底部615側の端部には、内方に突出する内鍔部43が形成されている。内鍔部43の先端面は、突部615bの外周面に僅かな隙間を介して対向している。これにより、ドラム40が収容空間61a内に回転可能に支持されている。ドラム40の外周面は、底部615と共に収容空間61aを形成する周壁部616に対向している。
また、ドラムハウジング61には、上下方向に延在する突条617が形成されている。突条617は、ドラムハウジング61の本体部610からドア9の内壁92側(車両インナ側)に向かって突出している。ドラムハウジング61は、突条617がガイドレール20と摺動することで、ガイドレール20に案内される。
ガイドレール20は、例えば亜鉛鋼板等の金属板に折り曲げ加工を施すことによって形成されている。ガイドレール20は、その長手方向(上下方向)に延在する平板部200と、平板部200における幅方向の両端部からドラムハウジング61の本体部610に向かって立設された第1側板部201及び第2側板部202と、第1側板部201の先端部から平板部200とは反対側に突出した鍔部203とを一体に有している。ここで、幅方向とは、ガイドレール20の長手方向に直交する短手方向であり、車両の前後方向に相当する方向である。
第1側板部201と第2側板部202との間には、ドラムハウジング61の突条617が配置されている。つまり、ドラムハウジング61は、突条617がガイドレール20の第1側板部201と第2側板部202との間に介在することで、ガイドレール20に対する傾きが規制されている。
次に、図6を参照してガイドレール20の下端部における第2ワイヤ支持部材22の構成について説明する。
第2ワイヤ支持部材22には、ガイドレール20をドア9に対して固定するための固定部材としてのボルト27を挿通させる貫通孔221と、ガイドレール20の下端部を挿通させる挿通孔222と、バネ24を収容する収容孔223と、収容孔223に沿って延在するスリット224と、ゴム等の弾性部材からなるストッパ体25を固定するための固定部225と、が形成されている。
この第2ワイヤ支持部材22は、ボルト27が第2ワイヤ支持部材22の貫通孔221及びガイドレール20の貫通孔20bを挿通することで、ガイドレール20に対して固定されている。本実施の形態では、ガイドレール20が第2ワイヤ支持部材22を上下方向に貫通し、ガイドレール20の先端が第2ワイヤ支持部材22から下方に突出している。また、本実施の形態では、バネ24がばね鋼等の弾性に優れた線状の金属を円筒状に螺旋巻きしたコイルバネからなる。なお、ワイヤ3に張力を付与するための弾性体としては、コイルバネに限らず、板バネ等の種々のバネを用いることができる。また、この弾性体として、ゴムやエラストマーを用いてもよい。
バネ24を収容する収容孔223は、車両の下方に向かって開口している。バネ24は、この開口223aから収容孔223内に収容される。また、収容孔223内には、バネ24と共にピストン部材28が収容される。ピストン部材28は、図6(g)に示すように、バネ24の内側に配置される円筒状の軸部281と、軸部281から外方に張り出した張出部282とを有し、軸部の中心部には貫通孔280が形成されている。貫通孔280は、張出部282側に形成された大径部280aと、大径部280aよりも小径の小径部280bとからなる。
ワイヤ3の端部には、ワイヤエンド31が固定されている。ワイヤエンド31は、例えば金属からなり、ワイヤ3の端部に加締めにより圧着されている。このワイヤエンド31は、ピストン部材28の貫通孔280における大径部280aに収容され、大径部280aと小径部280bとの間の段差面280cに当接する。ワイヤ3は、小径部280bを挿通している。
ピストン部材28の張出部282の外径はバネ24の外径よりも大きく、張出部282はバネ24の一端部に当接する。バネ24の他端部は、収容孔223の底面223bに当接する。つまり、バネ24は、ピストン部材28の張出部282と収容孔223の底面223bとの間に挟まれ、軸方向に圧縮された状態で配置されている。これにより、ピストン部材28は、バネ24から収容孔223の開口223a側に向かって押し付けられている。
ワイヤ3は、ピストン部材28がバネ24によって押し付けられることにより、張力を付与されている。これにより、下部ワイヤ3b(図3(a)に示す)の弛みが抑制されている。
ストッパ体25は、第2ワイヤ支持部材22の固定部225に固定されて、第2ワイヤ支持部材22に設けられている。ストッパ体25は、第2ワイヤ支持部材22の上端面22aから上方に向かって突出している。本実施の形態では、固定部225が、第2ワイヤ支持部材22の上端面22aから下方に向かって形成された凹部からなる。
ストッパ体25は、移動体4が第2ワイヤ支持部材22に向かって下方に移動した際に、ハウジング6のドラムハウジング61に接触することで、移動体4の下方へのさらなる移動を規制する。ストッパ体25は弾性を有しているので、ハウジング6がストッパ体25に接触することにより、移動体4がストロークエンドまで移動した際の衝撃が緩和される。
第2ワイヤ支持部材22は、貫通孔221に挿通されたボルト27によってドア9の内壁92(図2に示す)に固定される。より具体的には、ボルト27はドア9の外壁91側から内壁92側に向かって貫通孔221に挿入され、多角形状のボルト頭部271が貫通孔221内に収容され、かつ軸部272がガイドレール20の貫通孔20bを挿通して第2ワイヤ支持部材22の内壁92に対向する内側端面22bから突出する。ボルト27の軸部272は、第2ワイヤ支持部材22の内側端面22bとの間に内壁92を挟むナット93に螺合する。
第1ワイヤ支持部材21は、ストッパ体25が設けられていない他は、第2ワイヤ支持部材22と同様に構成されている。第1ワイヤ支持部材21には、図7に示すように、ガイドレール20をドア9に対して固定するための固定部材としてのボルト26を挿通させる貫通孔211と、ガイドレール20の上端部を挿通させる挿通孔212と、バネ23を収容する収容孔213と、収容孔213に沿って延在するスリット214とが形成されている。
収容孔213内には、コイルバネからなるバネ23(図3(a)に示す)が収容される。また、収容孔213内には、図6を参照して説明したものと同様のピストン部材28が収容される。またさらに、収容孔213内に収容されるワイヤの端部には、図6を参照して説明したものと同様のワイヤエンド31が固定される。これらの構成により、バネ23が軸方向に圧縮された状態で第1ワイヤ支持部材21の収容孔213内に配置され、ワイヤ3に張力が付与される。これにより、上部ワイヤ3a(図3(a)に示す)の弛みが抑制される。
なお、移動体4がストロークエンドまで上方に移動した際には、窓ガラス90がドア9の窓枠に設けられた図略のガラスランに当接して移動が規制されるので、第1ワイヤ支持部材21にはストッパ体25が不要である。
次に、ウインドレギュレータ1の製造方法(組み付け手順)について説明する。ここでは、第1ワイヤ支持部材21及び第2ワイヤ支持部材22をガイドレール20の長手方向の両端部に固定する組み付け工程の手順について説明する。
第1ワイヤ支持部材21及び第2ワイヤ支持部材22をガイドレール20の長手方向の両端部に固定する工程は、第1ワイヤ支持部材21をガイドレール20の長手方向の一端部(上端部)に固定する第1工程と、第2ワイヤ支持部材22に形成された挿通孔222にガイドレール20の長手方向の他端部(下端部)を挿通させる第2工程と、第2ワイヤ支持部材22に保持されたバネ24を圧縮しながら、第2ワイヤ支持部材22を第1ワイヤ支持部材21から離間する方向に移動させる第3工程と、バネ24が圧縮された状態で、第2ワイヤ支持部材22をガイドレール20に固定する第4工程とを有する。
以下、これら各工程における組み付け手順のより詳細な一具体例について説明する。なお、第1〜第4工程に先立って、予めバネ23,24及び一対のピストン部材28にワイヤ3を挿通させ、かつバネ23,24及び一対のピストン部材28がワイヤ3から抜け出さないように、ワイヤ3の両端部にワイヤエンド31が圧着して固定されているものとする。
(第1工程)
第1工程では、第1ワイヤ支持部材21の挿通孔212にガイドレール20の上端部を挿通させ、第1ワイヤ支持部材21の貫通孔211の位置とガイドレール20の貫通孔20a(図3(b)に示す)との位置を合わせ、これらの貫通孔211及び貫通孔20aにボルト26を挿通させる。これにより、第1ワイヤ支持部材21がガイドレール20の上端部に固定される。また、その後、第1ワイヤ支持部材21のスリット214を介してワイヤ3を第1ワイヤ支持部材21の収容孔213に収容し、さらに収容孔213内にバネ23,ピストン部材28を収容する。
(第2工程)
第2工程では、第2ワイヤ支持部材22の挿通孔222にガイドレール20を上端面22a側から挿入し、挿通孔222にガイドレール20の下端部を挿通させる。その後、第2ワイヤ支持部材22のスリット224を介してワイヤ3を第2ワイヤ支持部材22の収容孔223に収容する。
図8は、第2工程から第3工程に移行する前の段階における第2ワイヤ支持部材22及びその周辺部を示す斜視図である。図8に示す状態では、ワイヤ3が収容孔223を貫通し、ワイヤ3の端部が開口223aから露出している。また、バネ24が収容孔223の開口223aに対向し、ピストン部材28の軸部281がバネ24の内側に収容されている。
(第3工程)
第3工程では、図8に示す状態から第2ワイヤ支持部材22を第1ワイヤ支持部材21から離間する方向に、ガイドレール20の長手方向に平行な矢印Aに沿って移動させ、第2ワイヤ支持部材22の貫通孔221とガイドレール20の貫通孔20bとを連通させる。図9は、第2ワイヤ支持部材22の貫通孔221とガイドレール20の貫通孔20bとが連通し、両貫通孔221,20bの中心が一致した状態を示している。
図8に示す状態から図9に示す状態に移行する過程で、バネ24及びピストン部材28が第2ワイヤ支持部材22の収容孔223に収容され、かつバネ24がピストン部材28の張出部282と収容孔223の底面223bとの間で軸方向に圧縮される。また、第1ワイヤ支持部材21に収容されたバネ23も、バネ24と同時に軸方向に圧縮される。これにより、ワイヤ3に張力が付与される。
(第4工程)
第4工程では、図9に示す状態で、第2ワイヤ支持部材22の貫通孔221及びガイドレール20の貫通孔20bにボルト27を挿通させる。ボルト27は、軸部272におけるボルト頭部271とは反対側の端部から第2ワイヤ支持部材22の貫通孔221に挿入される。ボルト頭部271は貫通孔221内に収容されて回り止めされ、軸部272はガイドレール20の貫通孔20bを挿通して第2ワイヤ支持部材22の内側端面22bから突出する。これにより、第2ワイヤ支持部材22がガイドレール20の下端部に固定される。
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明した実施の形態によれば、以下に述べる作用及び効果が得られる。
(1)バネ23,24は、第2ワイヤ支持部材22をガイドレール20に沿って移動させることで軸方向に圧縮され、ワイヤ3に張力が付与される。これにより、ウインドレギュレータ1の製造が容易となる。つまり、例えば第1ワイヤ支持部材21及び第2ワイヤ支持部材22をガイドレール20の長手方向の両端部に固定した後に、第1ワイヤ支持部材21及び第2ワイヤ支持部材22の収容孔213,223にバネ23,24及びピストン部材28をワイヤ3と共に収容する場合には、ウインドレギュレータ1の組み付け完了状態におけるバネ23,24の軸方向長さ(以下、この長さを「L」とする)よりもさらに軸方向長さが短くなるようにバネ23,24を圧縮しなければならず、組み付けに大きな力が必要となる。これに対し、本実施の形態によれば、組み付け時にバネ23,24の軸方向長さをLよりも短くする必要がなく、組み付けが容易となる。
(2)第3工程において第2ワイヤ支持部材22を第1ワイヤ支持部材21から離間する方向にガイドレール20の長手方向に沿って移動させる際、第2ワイヤ支持部材22の挿通孔222にはガイドレール20が挿通されているので、第2ワイヤ支持部材22のガイドレール20に対する姿勢が安定する。これにより、バネ23,24を圧縮しながら第2ワイヤ支持部材22を移動させる作業を容易かつ確実に行うことができる。
(3)第1ワイヤ支持部材21は貫通孔211にボルト26を挿通させることによりガイドレール20の上端部に固定され、第2ワイヤ支持部材22は貫通孔221にボルト27を挿通させることによりガイドレール20の下端部に固定される。これにより、加締めやネジ留め等の作業を要することなく第1ワイヤ支持部材21及び第2ワイヤ支持部材22をガイドレール20の両端部に固定できるので、この固定作業が容易となる。
(4)ボルト26,27は、第1ワイヤ支持部材21及び第2ワイヤ支持部材22をドア9に固定するために用いることができる。すなわち、ボルト26,27は、第1ワイヤ支持部材21及び第2ワイヤ支持部材22をガイドレール20に固定するために用いられると共に、第1ワイヤ支持部材21及び第2ワイヤ支持部材22をドア9に固定するためにも用いられる。これにより、ウインドレギュレータ1の部品点数を削減でき、かつ組み付け作業も容易となる。
[変形例]
上記実施の形態では、第1ワイヤ支持部材21及び第2ワイヤ支持部材22をボルト26,27によってガイドレール20に固定する場合について説明したが、ボルト26,27に替えてナットによって第1ワイヤ支持部材21及び第2ワイヤ支持部材22をガイドレール20に固定してもよい。
図10(a)は、ナット29によって第2ワイヤ支持部材22をガイドレール20に固定する場合について、その組み付け工程を示す概略図である。図10(b)は、ナット29の斜視図である。図10(c)は、図10(a)のG−G線断面図である。
ナット29は、フランジ付きナットであり、フランジ部291と、ナット部292とを有している。ナット29には、その中心部にフランジ部291及びナット部292を貫通するねじ孔290が形成されている。ナット29は、第2ワイヤ支持部材22の正面側(ドア9に組み付けられた状態における外壁91側)から第2ワイヤ支持部材22の貫通孔221に挿入される。
本変形例では、第2ワイヤ支持部材22の貫通孔221における背面側(ドア9に組み付けられた状態における内壁92側)の内面が多角形状(六角形状)に形成され、正面側の内面は円形状に形成されている。また、ガイドレール20の貫通孔20bも、多角形状(六角形状)に形成されている。
第2ワイヤ支持部材22は、その貫通孔221及びガイドレール20の貫通孔20bにナット29のナット部292が挿通されることでガイドレール20に固定される。この変形例に係る第2ワイヤ支持部材22、ガイドレール20、及びナット29を有するウインドレギュレータ1をドア9に取り付ける際には、ドア9の内壁92側から挿入されるボルトをナット29のねじ孔290に螺合させる。なお、第1ワイヤ支持部材21の固定も、図10(a)〜(c)を参照して説明したものと同様にしてガイドレール20に固定することが可能である。
以上、本発明を実施の形態及び変形例に基づいて説明したが、上記に記載した実施の形態及び変形例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態や変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態では、先にガイドレール20に固定される第1ワイヤ支持部材21がガイドレール20の上端部に配置され、次いでガイドレール20に固定される第2ワイヤ支持部材22がガイドレール20の下端部に配置される場合について説明したが、第1工程で第1ワイヤ支持部材21をガイドレール20の下端部に固定し、第4工程で第2ワイヤ支持部材22をガイドレール20の上端部に固定してもよい。つまり、第1ワイヤ支持部材21及び第2ワイヤ支持部材22は、何れがガイドレール20の上端部又は下端部に固定されてもよい。なお、ストッパ体25は、第1ワイヤ支持部材21及び第2ワイヤ支持部材22のうち、ガイドレール20の下端部に固定される部材に設けられる。