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JP6026120B2 - 二次電池の内部抵抗演算装置及びその内部抵抗演算方法、二次電池の異常検出装置及びその異常検出方法、並びに二次電池の劣化推定装置及びその劣化推定方法 - Google Patents
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JP6026120B2 - 二次電池の内部抵抗演算装置及びその内部抵抗演算方法、二次電池の異常検出装置及びその異常検出方法、並びに二次電池の劣化推定装置及びその劣化推定方法 - Google Patents

二次電池の内部抵抗演算装置及びその内部抵抗演算方法、二次電池の異常検出装置及びその異常検出方法、並びに二次電池の劣化推定装置及びその劣化推定方法 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、二次電池の内部抵抗演算装置及びその内部抵抗演算方法、二次電池の異常検出装置及びその異常検出方法、並びに二次電池の劣化推定装置及びその劣化推定方法に関する。
二次電池の内部状態を把握する一指標として、電池の内部抵抗がある。内部抵抗の算出方法として様々な提案がなされている。
例えば、第1に、電流変化量のパラメータと、電圧変化量及びインピーダンス変化量に基づくパラメータとを直線近似し、近似した直線の傾きから電池のインピーダンスを算出する方法がある。
第2に、周波数フィルタを用いて電流及び電圧変化を高周波成分と低周波成分とに分離し、拡散抵抗に相当する低周波成分を除いた高周波成分のみを抽出して内部抵抗を算出する方法がある。
第3に、電流及び電圧変化をそれぞれフーリエ変換し、周波数毎の信号強度を求めて、それらの周波数成分の比から内部抵抗を算出する方法がある。この方法は、複数の異なる周波数成分から内部抵抗を算出し、二次電池を等価回路で表した場合の回路定数を推定するものである。
特開2006−250905号公報 特開2005−106616号公報 特開2005−221487号公報
上述した第1〜第3の方法は、充放電電流と電池電圧の変化から内部抵抗を推定するものである。しかし、第1の方法では、電流及び電圧変化の周波数成分が考慮されていない。
これに対して、第2及び第3の方法では、周波数解析などを利用して特定の周波数から内部抵抗を算出している。しかしながら、これらの方法においては、充放電時の電流と電圧の変化の相関が高い特定の周波数においては内部抵抗値を精度良く算出することが可能であるが、それ以外の周波数ではその精度が悪くなる可能性があった。
これは、周波数によっては充放電時の電流と電圧との相関性が低い場合があるためと考えられる。また、蓄電池システムの各種センサによる計測タイミングのずれが生じると、電流と電圧の変化分の相関にも影響を与えるため、高周波成分ではその影響が顕著に表れることも要因の一つとして挙げられる。
本発明の実施形態は、上記課題に鑑みてなされたものであり、内部抵抗値の算出精度を向上できる二次電池の内部抵抗演算装置及びその内部抵抗演算方法を提供することを目的とする。
また、本発明の他の実施形態は、内部抵抗値の算出に基づき、二次電池の異常を検出できる二次電池の異常検出装置及びその異常検出方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明の他の実施形態は、内部抵抗値の算出に基づき、二次電池の劣化を推定できる二次電池の劣化推定装置及びその劣化推定方法を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明の第1の実施形態に係る内部抵抗演算装置は、二次電池を構成する各電池セルの正極端子と負極端子間に接続され、端子間電圧を測定する電圧測定部と、電流経路に挿入され、前記電池セルへの充放電電流を測定する電流測定部と、前記電圧測定部及び前記電流測定部における測定を制御する制御部と、当該制御部に接続され、前記電圧測定部及び前記電流測定部からの各測定値からウェーブレット変換を行い、周波数毎に電流及び電圧のウェーブレット係数を求め、これらの比率から二次電池の内部抵抗を演算する演算部と、を備え、前記演算部は、前記電流及び電圧のウェーブレット係数の相関である決定係数が所定の値以上の高い周波数を特定し、当該周波数における前記ウェーブレット係数の比率から二次電池の内部抵抗を算出することを特徴とする。
また、本発明の第2の実施形態に係る二次電池の異常検出装置は、前記二次電池の内部抵抗演算装置の前記制御部に、前記演算部により演算された二次電池の各内部抵抗値から所定の統計処理を用いて電池セルの異常を判定する異常セル判定部を接続したことを特徴とする。
さらに、本発明の第3の実施形態に係る二次電池の劣化推定装置は、前記二次電池の内部抵抗演算装置において、前記制御部に、予め記録された基準となる内部抵抗値と前記演算部により算出された二次電池の内部抵抗の測定結果とを比較して劣化度合を推定する劣化推定部を接続したことを特徴とする。
また、前記のような第1〜第3の実施形態で実行される方法も本発明の実施形態の1つである。
二次電池の等価回路モデルの一例を示す概略図。 従来のV−I特性の直線回帰方法を用いた内部抵抗値の分布状態を示すグラフ。 電流と電圧の相関が低い周波数成分(レベルj=1)での(W)(a,b)と(W)(a,b)との関係の一例を示すグラフ。 電流と電圧の相関が高い周波数成分(レベルj=5)での(W)(a,b)と(W)(a,b)との関係の一例を示すグラフ。 周波数(レベルj)とサンプリングデータの相関(決定係数R)との関係についての一例を示すグラフ。 周波数(レベルj)とサンプリングデータの相関(決定係数R)との関係についての他の例を示すグラフ。 本発明の第1の実施形態に係る内部抵抗演算装置の構成を示す概略図。 第1の実施形態における内部抵抗を計算する処理手順を示すフローチャート。 第1の実施形態における内部抵抗演算方法により計算した内部抵抗値の分布状態を示すグラフ。 本発明の第2の実施形態に係る二次電池の異常検出装置の構成を示す概略図。 第2の実施形態における二次電池の異常を検出する処理手順を示すフローチャート。 本発明の第3の実施形態に係る二次電池の劣化推定装置の構成を示す概略図。 通常電池と劣化電池の内部抵抗をレベル別にプロットした例を示すグラフ。
以下に説明する本発明の各実施形態では、電流波形と電圧波形をウェーブレット変換により解析し、それぞれの信号強度の相関が高い周波数において内部抵抗を算出する手法を用いている。以下、各実施形態で用いる手法の原理について説明する。
(従来のV−I特性の直線回帰方法)
電池電圧Vと電池電流IのV−I特性の直線回帰方法については、従来例の第1の方法等で既に公知になっている。この方法において、例えば、図1に示す二次電池の等価回路を用いるものとする。ここで、RΩ、R1〜n、C1〜nはそれぞれ、電解質抵抗、電荷移動抵抗、電気二重層容量である。この場合、二次電池の内部抵抗は、電荷移動抵抗R1〜n及び電気二重層容量C1〜nについてそれぞれ同じ添字番号同士を一対ずつ並列に組み合わせ、さらに電解質抵抗RΩと共に直列に組み合わせたものとして表わされる。
図2は、図1に示した電池の等価回路における直流成分RΩ、交流成分(CnとRnによるインピーダンス)の合成抵抗をさまざまな合成比率でプロットしたものである。図2に示すV−I特性のグラフにおいて、各プロットから直線を近似し、この直線の傾きから内部抵抗が求められる。しかしながら、この手法では、測定時の充放電周波数に応じて回帰直線の傾きは異なるため、領域Aで示すように内部抵抗値の分布領域が広くなり、内部抵抗値の推定精度が低下してしまう。
これに対して、電圧値と電流値のウェーブレット係数の関係を直線回帰する方法では、充放電波形に対して周波数毎の内部抵抗値を演算することができる。以下、ウェーブレット変換を用いた内部抵抗演算方法について説明する。
(ウェーブレット変換を用いた内部抵抗演算方法)
波形f(t)のウェーブレット変換WΨfは、式(1)により求めることができる。
Figure 0006026120
また、Ψa,b(t)はアナライジング・ウェーブレットと呼ばれ、ダイレーション(拡大縮小)のパラメータを実数a、t軸上でのシフトのパラメータを実数bとし、式(2)のように定義される。
Figure 0006026120
Ψ(t)としては、さまざまなものが提案されており、適宜選択可能である。式(3)に例としてガボールウェーブレットの定義を示す。
Figure 0006026120
ここで、ω0は振動の中心周波数である。
計測された電流波形をi(t)、電圧波形をv(t)とすると、それぞれのウェーブレット変換は式(4)、式(5)のようになり、この変換結果はウェーブレット係数と呼ばれる。
Figure 0006026120
Figure 0006026120
すると、式(6)によって、同一のダイレーションa、シフトbの電流、電圧のウェーブレット係数の比から、内部抵抗を計算することができる。
Figure 0006026120
このとき、ダイレーションaが周波数に相当し、ダイレーションaが定まれば内部抵抗はシフトbによらず一定であると考えられる。そこで、特定のダイレーションaに対してシフトbを変化させて、(WΨ )(a,b)と(WΨ )(a,b)の関係を最小二乗法を用いて直線近似すると、その傾きから周波数毎の内部抵抗値R(a)が算出できる。ここで、直線近似の精度を表す決定係数Rを算出する。(WΨ )(a,b)と(WΨ )(a,b)の分散および共分散をそれぞれνwi、νwv、νwviとすると、νwi、νwv、νwviは、それぞれ式(7)〜(9)で求められる。
Figure 0006026120
Figure 0006026120
Figure 0006026120
これより、(WΨ )(a,b)と(WΨ )(a,b)の関係を直線近似した時の決定係数Rは以下の式で求められる。
Figure 0006026120
(周波数による電圧値及び電流値のウェーブレット係数の相関性)
周波数毎に算出された電圧値と電流値のウェーブレット係数から決定係数Rを算出し、これらの相関を求めることができる。
例えば、決定係数Rが低くなる周波数(レベルj=1)では、図3に示すように、電圧値及び電流値のウェーブレット係数の相関が低い。このため、これらの比から内部抵抗値を算出すると精度が低下してしまう。
これに対して、決定係数Rが高くなる周波数(レベルj=5)では、図4に示すように、電圧値及び電流値のウェーブレット係数の相関が高く、内部抵抗値を精度良く算出することができる。
また、図5に、ウェーブレット変換を行なった周波数(レベルj)とサンプリングデータの相関(決定係数R)の関係についての一例を示す。この結果より、レベルjが5のときに相関性(決定係数R)が最大となっていることが分かる。このように、電流と電圧の相関が高い周波数を特定し、その周波数成分で内部抵抗値を算出することにより、内部抵抗の算出精度を向上させることができる。
さらに、図6に、ウェーブレット変換を行なった周波数(レベルj)とサンプリングデータの相関(決定係数R)の関係についての他の例を示す。このように、解析対象の電流波形及び電圧波形が変わると、その周波数成分に依存して決定係数Rが最大となる周波数が変わる場合がある。また、内部抵抗を算出する周波数によりその内部抵抗値も異なるため、周波数毎に区別した算出を行なう。
以上説明したように、ウェーブレット変換により算出された充放電電流と電圧それぞれのウェーブレット係数を最小二乗法により直線近似し、この時の決定係数R(最小二乗法における残差であり、計測値に対する近似直線の適合具合を表す)が高い周波数を特定し、その周波数成分で内部抵抗値を算出することにより、内部抵抗の算出精度を向上させることができる。
以下、上述したウェーブレット変換方法を用いた各実施形態について図面を参照して具体的に説明する。
[第1の実施形態]
(内部抵抗演算装置の構成)
図7に、本発明の第1の実施形態に係る内部抵抗演算装置の構成を示す。この内部抵抗演算装置10は、二次電池を構成する電池セル1を複数個直列に接続した組電池2と、各電池セル1の正極端子と負極端子間に接続され端子間電圧を測定する電圧測定部3と、電流経路に挿入され電池セル1への充放電電流を測定する電流測定部4と、電池セル1の近傍に配置され電池セル1の温度を測定する温度測定部5と、を備えている。
また、内部抵抗演算装置10は、電圧測定部3、電流測定部4、温度測定部5の測定条件を制御し、これらの部位からの各測定値を処理する制御部6と、制御部6に接続され各測定値等を記録する記録部7と、制御部6に接続され各測定値からウェーブレット変換を行い内部抵抗を演算する演算部8と、制御部6に接続され二次電池外部と通信を行う通信インターフェイス9と、を具備している。
この内部抵抗演算装置10における電池セル1の等価回路は、図1のように示すことができる。すなわち、二次電池の内部抵抗は、電荷移動抵抗R1〜n及び電気二重層容量C1〜nについてそれぞれ同じ添字番号同士を一対ずつ並列に組み合わせ、さらに電解質抵抗RΩと共に直列に組み合わせたものとして表わされる。
この内部抵抗演算装置10を用いて、ウェーブレット変換により内部抵抗を計算する処理の手順について、離散ウェーブレット変換を使った場合を例にして説明する。
(内部抵抗を計算する処理手順)
図8は、ウェーブレット変換により内部抵抗を計算する処理手順を示すフローチャートである。まず、処理の開始により、演算部8による演算に必要なパラメータの初期設定を行う(ステップS101)。ステップS101の初期設定のパラメータとしては、電圧及び電流のサンプリング間隔Δt、内部抵抗を算出する区間(充電時、放電時、充放電時)、サンプリング数N、演算に使用するウェーブレットを定義する情報などがある。
次に、電圧測定部3及び電流測定部4により、それぞれ電流及び電圧の測定を実施する(ステップS102)。制御部6は、電圧測定部3および電流測定部4からサンプリング時間Δt毎に電圧値と電流値を取得する。さらに、制御部6は、充放電状態が初期設定で内部抵抗の算出区間とした状態かどうかを判断する(ステップS103)。対象となる区間であった場合(ステップS103でYes)、制御部6は、測定したデータにタイムスタンプ(計測時刻データ)を付与して記録部7に記録させる(ステップS104)。対象となる区間外であった場合(ステップS103でNo)は、再度、電流及び電圧の測定を実施する(ステップS102)。
次に、制御部6は、計測したデータ数が、内部抵抗の算出に必要なデータ数Nに達したかどうかを判断する(ステップS105)。未達の場合(ステップS105のNo)は、ステップS102から処理を繰り返す。これに対して、必要なデータ数を取得できた場合(ステップS105のYes)は、S106以降のウェーブレット変換処理に進む。
ウェーブレット変換処理では、まず、演算部8において、レベルと呼ばれる周波数に相当するパラメータjの初期値を1とする(ステップS106)。次に、演算部8は、記録部7に記録されたデータをもとに、電流及び電圧のウェーブレット変換を行う(ステップS107)。離散ウェーブレット変換では、式(2)において、a=2、b=2kとして、式(11)のように離散化する。
Figure 0006026120
ここで、Ψ(t)は式(12)で定義され、式(12)に含まれるφ(t)は式(13)で定義される。
Figure 0006026120
Figure 0006026120
上記式(12)、式(13)で記載されたp、qは、ウェーブレットを表す数列であり、式(14)の関係がある。
Figure 0006026120
ここで、ウェーブレット数列としては、ハール(Haar)やドベシィ(Daubechies)のウェーブレットなどを利用することができる。
式(4)、式(5)と同様に、電流波形をi(t)、電圧波形v(t)を離散ウェーブレット変換すると式(15)、式(16)のようになる。
Figure 0006026120
Figure 0006026120
次に、演算部8は、レベルjにおける式(15)、式(16)で算出された電流および電圧のウェーブレット係数の関係を最小二乗法により直線近似し、その時の相関を表す決定係数Rを算出する(ステップS108)。さらに、演算部8は、ステップ108で求めた直線近似の傾きから、レベルjにおける内部抵抗を算出する(ステップS109)。
続いて、演算部8は、ステップS110において、レベルを1つ増やし、ウェーブレット変換(ステップS107)、決定係数Rの算出(ステップS108)、及び内部抵抗計算(ステップS109)の各処理を実施する。次に、レベルjが式(17)の条件を満たしているか否かを判定し(ステップS111)、満たしていない場合(ステップS111のNo)はループ処理を継続し、満たしている場合(ステップS111のYes)はループ処理を終了する。
Figure 0006026120
さらに、制御部6は、各レベル別に得られた内部抵抗値を記録部7に記録する(ステップS112)。上述したように、各レベルにおける電流と電圧の相関(決定係数R)が高い所で、内部抵抗値の算出精度が高くなる。相関を示す決定係数の明確な基準は存在しないが、一般的に決定係数が0.8以上であれば精度が良いとされている。このように、精度良く算出された内部抵抗値を周波数毎に区別し、記録部7に記録する。
さらに、二次電池の状態を監視することを目的として、制御部6は、記録部7に記録された内部抵抗値を通信インターフェイス9経由で外部へ通知しても良い。
(効果)
(1)これまで内部抵抗の計測は実運用中の蓄電システムから二次電池を切り離してしか計測できなかったが、本実施形態によれば、実運用中の充放電電流波形及び電圧波形をウェーブレット変換し、ウェーブレット係数の比から内部抵抗を演算することにより、蓄電システムから切り離すことなく行なうことができる。
(2)ウェーブレット変換を用いることで、時間−周波数解析が可能となり、充放電電流とセル電圧の相関が高い周波数における内部抵抗の算出や、周波数毎の内部抵抗の解析が可能となる。
(3)ウェーブレット変換により算出された充放電電流と電圧それぞれのウェーブレット係数を最小二乗法により直線近似し、この時の決定係数Rが高い周波数において内部抵抗値を特定することにより、内部抵抗の算出精度を向上させることが可能になる。
即ち、従来のV−I特性の直線回帰方法により算出した内部抵抗値の分布は図2の領域Aに示すようにばらつきの大きいものとなるが、本実施形態により算出した内部抵抗値の分布は図9の領域Bに示すように、ばらつきの少ない(領域Bの面積<領域Aの面積)ものとなる。
(4)また、本実施形態によれば、蓄電池システムを構成する二次電池セルの内部抵抗を特定の充放電運転により算出する必要がなく、交流インピーダンス法のように周波数解析装置などの特殊な計測装置を用いる必要もない。
[第2の実施形態]
(内部抵抗値の算出結果を用いた二次電池の異常検出)
二次電池の異常を検出するには、電池セル毎の内部抵抗値を継続的に監視し、その上昇率などを統計的に処理する方法が考えられる。このため、電池の内部状態を示す内部抵抗値を精度良く算出する必要がある。以下に、第1の実施形態で説明した内部抵抗値の算出方法を用いた二次電池の異常検出装置について説明する。
(二次電池の異常検出装置の構成)
図10に、本発明の第2の実施形態に係る二次電池の異常検出装置の構成を示す。なお、第1の実施形態と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
この異常検出装置20は、第1の実施形態の内部抵抗演算装置10の制御部6に、所定の統計処理を用いて電池セルの異常を判定する異常セル判定部11を接続したものである。
(二次電池の異常を検出するための処理手順)
図11は、異常検出装置20を用いて二次電池の異常を検出する処理手順を示すフローチャートである。
まず、組電池2内の各電池セル1に対して内部抵抗の算出を行なうため、電圧測定部3および電流測定部4、温度測定部5により、各電池セル1の電圧値と充放電電流値、電池温度を一定周期毎に測定する(ステップS201)。制御部6は、測定した計測データに時刻情報を付与して記録部7に記録する(ステップS202)。
次に、制御部6は、電池のSOC(State Of Charge:充放電状態)を充放電電流の積算から算出する(ステップS203)。電池SOCは、充放電電流の積算だけでなく、電池の開回路電圧から算出することも考えられる。
さらに、内部抵抗を算出するためのサンプリングデータを収集するため、一定期間、セル電圧、充放電電流、温度の計測、及び電池SOCの算出を繰り返す(ステップS204)。内部抵抗の算出に必要なサンプリング数を満たす一定期間に達した場合(ステップS204のYes)、次のステップに進む。一方、未達の場合(ステップS204のNo)は、ステップS201から処理を繰り返す。
次に、制御部6は、サンプリングデータの測定期間内で、温度測定部5で計測された電池温度、及び制御部6で算出された電池SOCの変化量が規定範囲内に収まっていることを確認する(ステップS205)。変化量が規定範囲を超えた場合(ステップS205のNo)は、この測定期間の間に内部抵抗値が大きく変化しているものと見なし、算出された内部抵抗値を電池セルの異常検出に使用しない。
一方、変化量が規定範囲内に収まっている場合(ステップS205のYes)は、演算部8は、レベルj=1において、測定した充放電電流値と各電池セルの電圧値のデータ列をウェーブレット変換し、ウェーブレット係数を算出する(ステップS206)。
次に、演算部8は、レベルjにおける式(15)および式(16)で算出された電流およびセル電圧のウェーブレット係数の関係を直線近似し、その時の決定係数Rを算出する(ステップS207)。さらに、直線近似の傾きからレベルjにおける内部抵抗値を算出する(ステップS208)。続いて、スケーリング関数による近似のレベルjを1増やし(ステップS209)、さらにレベルjが式(17)の条件を満たすか否かを判定(ステップS210)し、満たしている場合(ステップS210のYes)、次のステップに進む。一方、未達の場合(ステップS210のNo)は、ステップS206から処理を繰り返す。
続いて、制御部6は、電流とセル電圧の計測時における電池温度、電池SOC、及び、ステップS207及びステップS208でレベル別に算出された内部抵抗値の中で、ある一定以上の決定係数をもつ内部抵抗値を記録部7に記録する(ステップS211)。次に、制御部6は、定周期(例えば、1日単位など)で全電池セル1の内部抵抗の算出までの処理(ステップS201〜ステップS211)を一定期間繰り返す(ステップS212)。内部抵抗の比較に充分な算出データが取得できた場合(ステップS212のYes)、次に説明する統計処理を用いた電池セル1の異常検出手法を実施する(ステップS213)。
このステップでは、まず、演算部8が上記の同一測定条件(電池温度、電池SOC)において、電池セル1の内部抵抗値を一定周期毎に算出し、充放電サイクルや経過時間に対する内部抵抗値の上昇率を算出する。これを内部抵抗上昇率X(ΔR/Δt、i:セル番号)と定義する。
次に、異常セル判定部11は、電池セル1毎の内部抵抗上昇率に対して棄却検定を用いた統計的処理を行なうことにより、特に大きな上昇率を示す電池セルが異常なセルかどうかの判定を行なう。棄却検定方法の一つとして、Smirnov−Grubbs検定が知られており、以下の手順で棄却検定を行なうことができる。
(1)標本の数をn、標本データ(ここでは、内部抵抗上昇率)をX,X,・・・Xとする。
(2)標本平均をX’、不偏分散をUとする。
(3)最大の測定値Xについて式(18)によるTiを算出する。
Figure 0006026120
(4)上記Tiと、有意水準αの有意点Tn(α)を比較することによって、棄却検定を行なう。
Ti<Tn(α)の時、Tiは棄却されない。
Ti≧Tn(α)の時、Tiは棄却される。
Tn(α)は、tα/nを自由度n−2のt分布の上側100α/n(%)とした時、式(19)により求められる。
Figure 0006026120
以上説明した手法により、特に大きな内部抵抗の上昇率を示す電池セル1が異常なセルかどうかの判定を行なうことができる。
(効果)
(1)本実施形態によれば、電池セル1毎の内部抵抗を継続監視し、算出された個々のセル内部抵抗値を統計処理することにより、二次電池の異常を検出することができる。これにより、二次電池を用いた蓄電池システムにおいて、電池製造時には検出できないような経年劣化などによる二次電池の異常を早期に検出することができる。
(2)特異な内部抵抗を示す電池セル1を検出することで、電池の劣化傾向の把握や充放電電力予測が可能となる。これにより、二次電池の効率的な運用、メンテナンスやリユース、リサイクルの方針を決めることが可能となる。
(3)通信インターフェイス9を用いて二次電池の内部抵抗や異常情報を上位の監視装置に通知することにより、蓄電池システムの異常や性能低下などを監視することができる。
[第3の実施形態]
以下に、第1の実施形態で説明した内部抵抗値の算出方法を用いた、第3の実施形態に係る二次電池の劣化推定装置について説明する。
(二次電池の劣化推定装置の構成)
図12に、本発明の第3の実施形態に係る二次電池の劣化推定装置の構成を示す。なお、第1の実施形態と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態の劣化推定装置30は、第1の実施形態の内部抵抗演算装置10の制御部6に、二次電池の内部抵抗の測定結果と予め記録させた内部抵抗値とを比較して劣化度合を推定する劣化推定部21を接続したものである。
図13に示すように、BOL(Begin Of Life:寿命初期)の二次電池(通常電池)と劣化した二次電池とではその内部抵抗値が異なり、また周波数(レベル)によってその差も変わる。このため、本実施形態では、基準となる電池温度やSOC(充電状態)において予め劣化度合が分かっている二次電池を用いて周波数に応じた内部抵抗を測定しておき、記録部7に劣化度・周波数別に内部抵抗値テーブルとして記録しておく。
次に、第1の実施形態による二次電池の内部抵抗算出方法により個々の電池セル1の内部抵抗を演算部8が周波数毎に算出し、この算出結果を劣化推定部21が記録部7に記録された内部抵抗値テーブルと比較する。
具体的には、まず、記録部7に、BOL(Begin Of Life:寿命初期)の二次電池の内部抵抗値について、基準となる電池の温度とSOC(充電状態)での特性データを周波数別に内部抵抗値テーブルとして記録しておく。次に、演算部8により演算された内部抵抗値を現在の電池温度とSOC(充電状態)から基準の電池状態(標準温度、標準充電状態)の内部抵抗値に換算(補正)する。さらに、この換算された内部抵抗値と、内部抵抗値テーブルとして記録された寿命初期の内部抵抗値との比率から、二次電池の劣化状態を推定する。
(効果)
本実施形態によれば、第1の実施形態による二次電池の内部抵抗算出方法により周波数毎に算出した個々の電池セル1の内部抵抗の結果と、予め劣化度・周波数別に記録部7に記録された内部抵抗値テーブルとを比較することによって、二次電池の劣化状態を精度良く把握することが可能になる。
[他の実施形態]
(1)上記の各実施形態では、二次電池の状態を監視することを目的として、内部抵抗値を外部に送信するための通信インターフェイス9を設けたが、省略することもできる。
(2)第2の実施形態では、異常セルの検出方法として、電池セル1毎の内部抵抗の上昇率を比較する方法を用いたが、それ以外にも、ある時点での電池セル1同士の内部抵抗値そのものを比較しても良い。
(3)第3の実施形態では、演算された内部抵抗値を基準の電池状態(標準温度、標準充電状態)に換算(補正)し、内部抵抗値テーブルの値と比較して劣化状態を推定したが、換算(補正)後の内部抵抗値の上昇比率から、二次電池の劣化状態を推定することもできる。
(4)第2の実施形態に係る異常検出装置20と第3の実施形態に係る劣化推定装置30とを組み合わせても良い。この場合は、異常検出装置20の異常セル判定部11と劣化推定装置30の劣化推定部21とを一装置内に共存させることができる。また、異常セル判定部11に劣化推定部21の機能も持たせたり、逆に、劣化推定部21に異常セル判定部11の機能を持たせたりしても良い。
(5)以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…電池セル
2…組電池
3…電圧測定部
4…電流測定部
5…温度測定部
6…制御部
7…記録部
8…演算部
9…通信インターフェイス
10…内部抵抗演算装置
11…異常セル判定部
20…異常検出装置
21…劣化推定部
30…劣化推定装置

Claims (12)

  1. 二次電池を構成する各電池セルの正極端子と負極端子間に接続され、端子間電圧を測定する電圧測定部と、
    電流経路に挿入され、前記電池セルへの充放電電流を測定する電流測定部と、
    前記電圧測定部及び前記電流測定部における測定を制御する制御部と、
    当該制御部に接続され、前記電圧測定部及び前記電流測定部からの各測定値からウェーブレット変換を行い、周波数毎に電流及び電圧のウェーブレット係数を求め、これらの比率から二次電池の内部抵抗を演算する演算部と、
    を備え
    前記演算部は、前記電流及び電圧のウェーブレット係数の相関である決定係数が所定の値以上の高い周波数を特定し、当該周波数における前記ウェーブレット係数の比率から二次電池の内部抵抗を算出することを特徴とする二次電池の内部抵抗演算装置。
  2. 前記所定の値は、0.8であることを特徴とする請求項1記載の二次電池の内部抵抗演算装置。
  3. 前記演算部は、前記電圧測定部及び前記電流測定部においてそれぞれ所定のサンプリング時間間隔で計測されたN個の測定値を用い、前記ウェーブレット変換として離散ウェーブレット変換を用いるものであることを特徴とする請求項1又は2記載の二次電池の内部抵抗演算装置。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の二次電池の内部抵抗演算装置の前記制御部に、前記演算部により演算された二次電池の各内部抵抗値から所定の統計処理を用いて電池セルの異常を判定する異常セル判定部を接続したことを特徴とする二次電池の異常検出装置。
  5. 前記統計処理として棄却検定を用いたことを特徴とする請求項4記載の二次電池の異常検出装置。
  6. 前記制御部に、前記異常セル判定部により検出された二次電池の異常情報を外部装置に通知する通信インターフェイスを接続したことを特徴とする請求項4又は5記載の二次電池の異常検出装置。
  7. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の二次電池の内部抵抗演算装置において、前記制御部に、予め記録された基準となる内部抵抗値と前記演算部により算出された二次電池の内部抵抗の測定結果とを比較して劣化度合を推定する劣化推定部を接続したことを特徴とする二次電池の劣化推定装置。
  8. 前記電池セルの温度を測定する温度測定部が設けられ、
    前記劣化推定部は、寿命初期の二次電池の内部抵抗値について基準となる電池の温度と充電状態での特性データを予め記録した内部抵抗値テーブルの値と、前記演算部により算出された内部抵抗値を、前記温度測定部により測定した前記電池セルの温度と充電状態とから基準となる電池状態の内部抵抗値に換算した補正値とを対比し、これらの比率から、二次電池の劣化状態を推定することを特徴とする請求項7記載の二次電池の劣化推定装置。
  9. 前記劣化推定部は、前記演算部により算出された内部抵抗値を基準となる電池状態の内部抵抗値に換算した場合の上昇比率から二次電池の劣化状態を推定することを特徴とする請求項7記載の二次電池の劣化推定装置。
  10. 二次電池の構成する各電池セルにおける電流測定値及び電圧測定値をそれぞれウェーブレット変換し、各周波数において電流及び電圧のウェーブレット係数を求め、前記電流及び電圧のウェーブレット係数の相関である決定係数が所定の値以上の高い周波数を特定し、当該周波数におけるウェーブレット係数の比率から二次電池の内部抵抗を算出することを特徴とする二次電池の内部抵抗演算方法。
  11. 請求項10記載の二次電池の内部抵抗演算方法により演算された各内部抵抗値から棄却検定を用いて電池セルの異常を判定することを特徴とする二次電池の異常検出方法。
  12. 予め記録された寿命初期段階の二次電池の内部抵抗値と、請求項10記載の二次電池の内部抵抗演算方法により演算された各内部抵抗値とを比較して劣化度合を推定することを特徴とする二次電池の劣化推定方法。
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