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JP6032113B2 - 車両 - Google Patents
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Description

本発明は、複数の駆動源を備える車両に関する。
特開2010−111193号公報(特許文献1)には、駆動源としてモータおよびエンジンを備える車両において、モータを駆動するインバータの温度が高い場合にはモータトルクを制限するとともに、モータトルク制限による駆動力の不足分をエンジントルクを増大させることで補って車両停止状態を維持することが開示されている。
特開2010−111193号公報 特開2007−185069号公報
しかしながら、特許文献1に開示された車両においては、インバータ温度が高い場合には、そうでない場合よりもエンジンが過剰に使用される。そのため、ユーザに違和感を与えてしまったり、エンジンの耐久性が低下したりするおそれがある。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、第1駆動源および第2駆動源を備える車両において、第1駆動源の出力制限中であっても、第2駆動源が過剰に使用されることを抑制することである。
この発明に係る車両は、第1駆動源および第2駆動源を含み、第1駆動源および第2駆動源の少なくとも一方の動力を駆動輪に伝達可能に構成された駆動装置と、駆動装置を制御可能に構成された制御装置とを備える。制御装置は、所定の車両挙動制御を行なう際に、第1駆動源の出力を所定値未満に制限する制限制御の実行中である場合は、制限制御の実行前よりも駆動装置の出力の保証範囲を緩和する緩和制御を実行するとともに、緩和後の保証範囲を第1駆動源の出力で満たすことができないときは第2駆動源の出力で不足分を補う。
好ましくは、第2駆動源は、内燃機関を含む。制御装置は、制限制御の実行中である場合でかつ内燃機関を始動させる場合に、緩和制御を実行する。
好ましくは、第1駆動源は、回転電機である。車両挙動制御は、車両走行中に内燃機関を始動させる時に、内燃機関の始動によって生じる反力を相殺するための力を回転電機から発生させることによって駆動装置の出力を保証範囲以内にするための反力制御である。
緩和制御は、反力制御による保証範囲の幅を広げる制御である。
好ましくは、車両挙動制御は、車両の後退を防止するための後退防止駆動力を下限値以上にするための後退防止制御である。緩和制御は、後退防止制御による下限値を低下させる制御である。
好ましくは、車両挙動制御は、駆動装置の回転抵抗によって駆動輪に作用する制動力を下限値以上にするための制動制御である。緩和制御は、制動制御による下限値を低下させる制御である。
好ましくは、第2駆動源は、内燃機関を含む。制御装置は、緩和制御を実行する場合、内燃機関の始動時の保証範囲の緩和量を、内燃機関の非始動時の保証範囲の緩和量よりも大きくする。
本発明によれば、第1駆動源および第2駆動源を備える車両において、第1駆動源の出力制限中であっても、第2駆動源が過剰に使用されることを抑制することができる。
車両の全体ブロック図である。 動力分割機構の共線図を示す図である。 ECUの処理内容を示すフロー図(その1)である。 後退防止駆動力下限値の設定に用いられるマップを示す図(その1)である。 ECUの処理内容を示すフロー図(その2)である。 ECUの処理内容を示すフロー図(その3)である。 後退防止駆動力下限値の設定に用いられるマップを示す図(その2)である。 ECUの処理内容を示すフロー図(その4)である。 エンジンブレーキ力下限値の設定に用いられるマップを示す図である。 ECUの処理内容を示すフロー図(その5)である。 エンジン始動時の許容駆動力範囲の設定に用いられるマップを示す図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
[実施の形態1]
図1は、本実施の形態による車両1の全体ブロック図である。車両1は、エンジン100と、第1モータジェネレータ(以下「第1MG」という)200と、動力分割機構300と、第2モータジェネレータ(以下「第2MG」という)400と、プロペラ軸(出力軸)560と、駆動輪82と、PCU(Power Control Unit)600と、バッテリ700と、SMR(System Main Relay)710と、ECU(Electronic Control Unit)1000と、を備える。
エンジン100は、燃料を燃焼させて動力を出力する内燃機関である。エンジン100の動力は動力分割機構300に入力される。
動力分割機構300は、エンジン100から入力された動力を、出力軸560への動力と第1MG200への動力とに分割する。
動力分割機構300は、サンギヤ(S)310と、リングギヤ(R)320と、サンギヤ(S)310とリングギヤ(R)320とに噛合するピニオンギヤ(P)340と、ピニオンギヤ(P)340を自転かつ公転自在に保持しているキャリア(C)330とを有する遊星歯車機構である。
キャリア(C)330はエンジン100のクランクシャフトに連結される。サンギヤ(S)310は第1MG200のロータに連結される。リングギヤ(R)320は出力軸560に連結される。
第1MG200および第2MG400は、交流の回転電機であって、電動機(モータ)としても発電機(ジェネレータ)としても機能する。第2MG400のロータは、出力軸560に連結される。
出力軸560は、第2MG400の動力、および動力分割機構300を介して伝達されるエンジン100の動力の少なくとも一方によって回転する。出力軸560の回転力は減速機81を介して左右の駆動輪82に伝達される。これにより、車両1が走行される。すなわち、車両1は、第2MG400およびエンジン100の少なくとも一方の動力で走行可能なハイブリッド車両である。
図2は、動力分割機構300の共線図を示す。動力分割機構300が上述のように構成されることによって、サンギヤ(S)310の回転速度(=第1MG200の回転速度Nm1)、キャリア(C)330の回転速度(=エンジン100の回転速度Ne)、リングギヤ(R)320の回転速度(=第2MG400の回転速度Nm2、すなわち車速V)は、動力分割機構300の共線図上で直線で結ばれる関係(いずれか2つの回転速度が決まれば残りの回転速度も決まる関係)になる。
エンジン100は、動力分割機構300を介して出力軸560に連結される。そのため、エンジン100の出力トルク(以下「エンジントルクTe」という)を出力軸560へ伝達するためには、第1MG200の出力トルク(以下「第1MGトルクTm1」という)をエンジントルクTeの反力を受け持つ方向(負方向)に作用させる必要がある。エンジン100から動力分割機構300を介して出力軸560へ伝達されるトルク(以下「エンジン直行トルクTep」という)は、第1MGトルクTm1を用いると、下記の式(1)で示される。
Tep=−Tm1×(1/ρ) …(1)
上記の式(1)からわかるように、エンジン直行トルクTepは、反力を受け持つ第1MGトルクTm1を制御することで調整可能である。なお、「ρ」は、動力分割機構300におけるギヤ比である。
一方、第2MG400は出力軸560に直結されている。そのため、第2MG400の出力トルク(以下「第2MGトルクTm2」という)は直接的に出力軸560に伝達される。
したがって、駆動装置(エンジン100、第1MG200および第2MG400)から出力軸560に伝達されるトルク(以下「車両駆動トルクTp」ともいう)は、第2MGトルクTm2とエンジン直行トルクTepとの合計値となる。
図1に戻って、PCU600は、昇圧コンバータと、インバータとを含む。昇圧コンバータは、バッテリ700とインバータとの間に配置され、両者の間で電圧変換を行なう。インバータは、第1MG200および第2MG400(以下、両者を区別することなく単に「MG」ともいう)とコンバータとの間に配置され、両者の間で電力変換を行なう。PCU600は、バッテリ700から供給される直流電力を、MGを駆動可能な電圧の交流電力に変換する。これにより、MGが駆動される。また、PCU600は、MGによって発電される交流電力を、バッテリ700を充電可能な電圧の直流電力に変換する。これにより、バッテリ700が充電される。
バッテリ700は、MGを駆動するための直流電力を蓄える二次電池である。バッテリ700は、代表的にはニッケル水素やリチウムイオンを含んで構成される。なお、バッテリ700に代えて、大容量のキャパシタも採用可能である。
SMR710は、バッテリ700とPCU600を含む電気システムとの接続状態を切り替えるためのリレーである。
車両1には、エンジン回転速度センサ10、出力軸回転速度センサ15、レゾルバ21,22、アクセルポジションセンサ31が備えられる。エンジン回転速度センサ10は、エンジン100の回転速度Neを検出する。出力軸回転速度センサ15は、出力軸560の回転速度Npを車速Vとして検出する。レゾルバ21,22は、それぞれ第1MG200の回転速度Nm1、第2MG400の回転速度Nm2を検出する。アクセルポジションセンサ31は、ユーザによるアクセルペダルの操作量Aを検出する。これらの各センサは検出結果をECU1000に出力する。
さらに、車両1には、スタートスイッチ35が備えられる。スタートスイッチ35は、システム起動要求およびシステム停止要求をユーザが入力するため装置である。システム起動要求とは、車両1の制御システム(以下、単に「車両システム」という)を起動状態(以下「Ready−ON状態」という)にさせるための要求である。システム停止要求とは、車両システムを停止状態(以下「Ready−OFF状態」という)にさせるための要求である。スタートスイッチ35は、システム起動要求が入力された場合はシステム起動要求信号RonをECU1000に出力し、システム停止要求が入力された場合はシステム停止要求信号RoffをECU1000に出力する。
さらに、車両1には、勾配センサ36が備えられる。勾配センサ36は、路面勾配を検出し、検出結果をECU1000に出力する。
さらに、車両1には、監視ユニット37が備えられる。監視ユニット37は、バッテリ700の電圧、電流、温度などを監視し、監視結果をECU1000に出力する。
さらに、車両1には、コーションランプ(警告灯)38が備えられる。コーションランプ38は、後述する「モータ出力制限」の実行中に、ECU1000によって点灯される。コーションランプ38の点灯(以下、単に「コーション点灯」という)により、ユーザはモータ出力制限が実行中であることを認識することができる。なお、他の方法(たとえば音声や映像)でモータ出力制限が実行中であることをユーザに警告するようにしてもよい。
さらに、車両1には、温度センサ41〜44が備えられる。温度センサ41は、第1MG200の温度THm1を検出する。温度センサ42は、第2MG400の温度THm2を検出する。温度センサ43は、PCU600内のインバータ温度THiを検出する。温度センサ44は、PCU600内の昇圧コンバータ温度THcを検出する。これらの各温度センサ41〜44は、検出結果をECU1000に出力する。
ECU1000は、図示しないCPU(Central Processing Unit)およびメモリを内蔵し、当該メモリに記憶された情報や各センサからの情報に基づいて所定の演算処理を実行する。ECU1000は、演算処理の結果に基づいて車両1に搭載される各機器を制御する。
ECU1000は、第2MG400の出力を制限すべき条件(以下「モータ出力制限条件」という)の成立時には、第2MG400の出力上限値をモータ出力制限条件の非成立時よりも低下させる「モータ出力制限」を実行する。なお、モータ出力制限条件には、たとえば、第2MG400の温度THm2がしきい温度を超えたという条件が含まれる。モータ出力制限条件については後述の実施の形態2などで詳述する。
さらに、ECU1000は、車両1の挙動を制御するための処理(以下「車両挙動制御」ともいう)として、「後退防止制御」、「エンジンブレーキ制御」、「走行中エンジン始動時の反力制御」などの制御を行なう。
「後退防止制御」は、登坂路等においてユーザの意図に反して車両が移動する(このような現象を「ずり下がり」とも言うが、以下では単に「後退」と記載する)ことを防止するための制御である。ECU1000は、たとえば勾配が所定値を超える登坂路を車両1が走行する場合、後退を防止するための駆動力の下限値(以下「後退防止駆動力下限値」という)を車速Vに応じて算出し、実際の車両駆動力が後退防止駆動力下限値以上の範囲になることを保証するように駆動装置(エンジン100、第1MG200および第2MG400)を制御する。
「エンジンブレーキ制御」は、エンジンブレーキ力を発生させるための制御である。本実施の形態において、「エンジンブレーキ力」とは、駆動装置(エンジン100、第1MG200および第2MG400)の回転抵抗によって駆動輪82に作用する制動力をいう。したがって、本実施の形態における「エンジンブレーキ力」は、エンジン100のフリクションによる通常のエンジンブレーキ力と、第2MG400による回生ブレーキ力との合計である。すなわち、第2MG400による回生ブレーキは、エンジン100によるものではないが、本実施の形態における「エンジンブレーキ制御」の対象である。ECU1000は、ユーザがエンジンブレーキを要求した場合(たとえば走行中にユーザがアクセルペダルを踏むのを止めた場合)に、エンジンブレーキ力の下限値(以下「エンジンブレーキ力下限値」という)を車速Vに応じて算出し、駆動装置による実際のエンジンブレーキ力がエンジンブレーキ力下限値以上になることを保証するように駆動装置を制御する。
「走行中エンジン始動時の反力制御」は、車両走行中にエンジン100を始動させる時に、エンジン始動(クランキングや燃料の点火開始など)によって出力軸560に作用する力を相殺するための力を第2MG400から発生させることによって、エンジン始動時の駆動力変動を抑制するための制御である。
たとえば、Ready−OFF状態での車両走行中にシステム起動要求(Ready−ON要求)があった場合、ECU1000は、まず、第1MG200から正方向のクランキング力を発生させてエンジン100をクランキングする。このクランキングにより出力軸560には負方向の反力が作用するため、ECU1000は、この反力を相殺するための力を第2MG400から発生させる。また、ECU1000は、クランキングによってエンジン100の回転速度Neが所定の目標回転速度に達すると、エンジン100への燃料供給および点火を開始する。この点火開始によって生じる駆動力変動を抑制するための力を第2MG400から発生させる。
ECU1000は、走行中エンジン始動時に許容可能な車両駆動力の範囲(以下「走行中エンジン始動時の許容駆動力範囲」という)を車速Vに応じて算出し、実際の車両駆動力が算出された許容駆動力範囲内に収まることを保証するように駆動装置(エンジン100、第1MG200および第2MG400)を制御する。
以上のような構成を有する車両1において、ECU1000は、上述のモータ出力制限中に、制限後のモータ出力(第2MG400の出力)で必要な駆動力を満たすことができないときには、エンジン100の出力によって不足分を補う。そのため、モータ出力制限中であっても、必要な駆動力を実現することができる。
その一方で、モータ出力制限中は、エンジン100がモータ出力非制限中(通常時)とは異なる動作をすることになる。そのため、エンジン100の回転速度Neの変動などでユーザに違和感を与えてしまったり、エンジン100の過剰作動による過熱や劣化を生じさせてしまったりすることが懸念される。
そこで、本実施の形態によるECU1000は、上述の車両挙動制御を行なう際に、モータ出力制限中である場合は、モータ出力制限前よりも駆動装置の出力(車両駆動力あるいは車両制動力)の保証範囲を緩和する「保証緩和制御」を実行する。そして、緩和後の保証範囲をモータ出力で満たすことができないときに、エンジン100の出力で不足分を補う。なお、本明細書において、「保証範囲」とは駆動装置の出力の制御範囲を意味し、「保証範囲を緩和する」とは、駆動装置の出力の制御範囲の幅を広げる、あるいは駆動装置の出力の制御下限値を低下させることによって、駆動装置の出力の制限を緩和することを意味する。
本実施の形態では、保証緩和制御による緩和対象を「後退防止駆動力下限値」とする場合を例示的に説明する。
図3は、ECU1000が行なう保証緩和制御の処理内容を示すフロー図である。
ステップ(以下、ステップを「S」と略す)10にて、ECU1000は、モータ出力制限中であるか否かを判定する。
モータ出力制限中である場合(S10にてYES)、ECU1000は、コーション点灯中であるか否か(すなわちモータ出力制限中である旨がユーザに警告されているか否か)を判定する(S11)。
モータ出力制限中でない場合(S10にてNO)あるいはコーション点灯中でない場合(S11にてNO)、ECU1000は、後退防止駆動力下限値を「FDb」に設定する(S13)。
一方、モータ出力制限中であり(S10にてYES)かつコーション点灯中である場合(S11にてYES)、ECU1000は、後退防止駆動力下限値をFDbよりも低い「FDa」に設定する(S12)。
図4は、後退防止駆動力下限値の設定に用いられるマップを例示した図である。図4に示すように、後退防止駆動力下限値FDa,FDbは、どちらも、車速Vが所定速度V1を超える範囲では「0」に設定され、車速Vが所定速度V1未満の範囲では車速Vが低いほど大きい値に設定される。そして、同じ車速Vに対して、モータ出力制限中の後退防止駆動力下限値FDaは、モータ出力非制限中(モータ出力制限前)の後退防止駆動力下限値FDbよりも低い値に設定される。すなわち、モータ出力制限中は、モータ出力制限前よりも、後退防止制御による車両駆動力の保証範囲が緩和される。
図3に戻って、S12またはS13で後退防止駆動力下限値を設定した後、ECU1000は、設定された後退防止駆動力下限値をモータ出力で保証可能であるか否か(すなわち後退防止駆動力下限値以上の車両駆動力をモータ出力で満たすことができるか否か)を判定する(S14)。
後退防止駆動力下限値をモータ出力で保証可能である場合(S14にてYES)、ECU1000は、モータ出力で後退防止駆動力下限値を保証する(S15)。すなわち、ECU1000は、実際の車両駆動力が設定された後退防止駆動力下限値以上になることを保証するように、第2MG400を制御する。
一方、後退防止駆動力下限値をモータ出力で保証可能でない場合(S14にてYES)、ECU1000は、モータ出力で不足する分をエンジン直行トルクTepで補って後退防止駆動力下限値を保証する(S16)。
以上のように、本実施の形態によるECU1000は、モータ出力制限中は、モータ出力制限前よりも、後退防止駆動力下限値を低下させる(後退防止制御による車両駆動力の保証範囲を緩和する)。そして、低下後の後退防止駆動力下限値をモータ出力で満たすことができないときは、エンジン100の出力で不足分を補う。これにより、モータ出力制限中であっても、必要な駆動力を保証しつつ、エンジンの出力を必要最小限に抑えることができる。そのため、エンジン回転速度の過剰変動や過熱を抑制することができる。
<実施の形態1の変形例1>
図5は、保証緩和制御の変形例1を示すフロー図である。
本変形例1による図5のフロー図は、上述の実施の形態1による図3のフロー図に対して、S20の処理を追加したものである。なお、本変形例においては、説明の便宜上、S11の処理についての説明は省略する。S11の処理そのものを省略してもよい。
実施の形態1による図3のフロー図では、ECU1000は、モータ出力制限中である場合(S10にてYES)に、後退防止駆動力下限値を低下させた(S12)。
これに対し、本変形例による図5のフロー図では、ECU1000は、モータ出力制限中である場合(S10にてYES)に、エンジン始動時であるか否かを判定する(S20)。
そして、モータ出力制限中でない場合(S10にてNO)、あるいはエンジン始動時でない場合(S20にてNO)、ECU1000は、前述の図4のマップを用いて、後退防止駆動力下限値を「FDb」に設定する(S13)。
一方、モータ出力制限中であり(S10にてYES)かつエンジン100の始動時である場合(S20にてYES)、ECU1000は、前述の図4のマップを用いて、後退防止駆動力下限値をFDbよりも低い「FDa」に低下させる(S12)。
このように、本変形例1においては、エンジン始動時に保証駆動力を低下させることで、エンジンの始動に費やされるトルクを優先的に確保することができる。そのため、安定したエンジン始動が可能となり、エンジン始動性を向上させることができる。
<実施の形態1の変形例2>
図6は、保証緩和制御の変形例2を示すフロー図である。なお、図6に示したステップのうち、前述の図5に示したステップと同じ番号を付しているステップについては、既に説明したため詳細な説明はここでは繰り返さない。なお、本変形例においても、説明の便宜上、S11の処理についての説明は省略する。S11の処理そのものを省略してもよい。
ECU1000は、モータ出力制限中でない場合(S10にてNO)、後退防止駆動力下限値を「FDb」に設定する(S34)。
ECU1000は、モータ出力制限中である(S10にてYES)が、エンジン始動時ではない場合(S20にてNO)、後退防止駆動力下限値をFDbよりも低い「FDa1」に設定する(S33)。
ECU1000は、モータ出力制限中であり(S10にてYES)、かつエンジン始動時である場合(S20にてYES)、後退防止駆動力下限値をFDa1よりもさらに低い「FDa2」に設定する(S32)。
図7は、本変形例2において後退防止駆動力下限値の設定に用いられるマップを例示した図である。図7に示すように、後退防止駆動力下限値FDa1,FDa2,FDbは、いずれも、車速Vが所定速度V2を超える範囲では「0」に設定され、車速Vが所定速度V2未満の範囲では車速Vが低いほど大きい値に設定される。そして、同じ車速Vに対して、後退防止駆動力下限値FDa1は後退防止駆動力下限値FDbよりも低い値に設定され、後退防止駆動力下限値FDa2は後退防止駆動力下限値FDa1よりもさらに低い値に設定される。
すなわち、モータ出力制限中は、モータ出力制限前よりも、後退防止制御による車両駆動力の保証範囲が緩和される。さらに、モータ出力制限中において、エンジン始動時であれば、エンジン非始動時よりもその保証範囲がさらに緩和される。
このように、本変形例2においては、モータ出力制限中に保証駆動力を低下させることに加えて、エンジン始動時の保証駆動力の低下量(緩和量)を、エンジン非始動時の保証駆動力の低下量(緩和量)よりも大きくする。これにより、エンジンの出力を必要最小限に抑えつつ、さらに安定したエンジン始動が可能になる。
[実施の形態2]
上述の実施の形態1では、保証緩和制御による緩和対象を「後退防止駆動力下限値」とした。
これに対し、本実施の形態2では、「保証緩和制御」によって緩和される保証駆動力の対象を「エンジンブレーキ力下限値」とする。その他の構造、機能、処理は、前述の実施の形態1と同じであるため、ここでの詳細な説明は繰返さない。
図8は、本実施の形態2によるECU1000が行なう保証緩和制御の処理内容を示すフロー図である。なお、図8において、前述の図6に示した処理と同じ処理については同じステップ番号を付してある。それらについての処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
S40にて、ECU1000は、モータ出力制限条件が成立しているか否かを判定する。たとえば、ECU1000は、下記の条件A,B,C,Dの少なくともいずれかの条件が成立している場合に、モータ出力制限条件が成立していると判定する。
(条件A)バッテリ700の蓄電量が所定の制御上限値よりも高い(すなわちバッテリ700への充電を制限する必要がある)。
(条件B)第2MG400の温度THm2がしきい温度よりも高い。
(条件C)インバータ温度THiがしきい温度よりも高い。
(条件D)昇圧コンバータ温度THcがしきい温度よりも高い。
なお、モータ出力制限条件は、上記の条件に限定されるものではない。たとえば、第2MG400と駆動輪82との間に変速機が備えられる構成である場合には、その変速機の温度がしきい温度よりも高いという条件を加えるようにしてもよい。
ECU1000は、モータ出力制限条件が成立していない場合(S40にてNO)あるいはコーション点灯中でない場合(S11にてNO)、エンジンブレーキ力下限値を「FBb」に設定する(S44)。
ECU1000は、モータ出力制限条件が成立している場合(S40にてYES)で、かつエンジン始動時ではない場合(S20にてNO)、エンジンブレーキ力下限値をFBbよりも低い「FBa1」に設定する(S43)。
ECU1000は、モータ出力制限条件が成立している場合(S40にてYES)で、かつエンジン始動時である場合(S20にてYES)、エンジンブレーキ力下限値をFBa1よりもさらに低い「FBa2」に設定する(S42)。
図9は、S42〜S44でエンジンブレーキ力下限値の設定に用いられるマップを例示した図である。図9に示すように、エンジンブレーキ力下限値FBa1,FBa2,FBbは、いずれも、車速Vが所定速度V3未満の範囲では「0」に設定され、車速Vが所定速度V3を超える範囲では車速Vが高いほど大きい値に設定される。そして、同じ車速Vに対して、エンジンブレーキ力下限値FBa1はエンジンブレーキ力下限値FBbよりも低い値に設定され、エンジンブレーキ力下限値FBa2はエンジンブレーキ力下限値FBa1よりもさらに低い値に設定される。
すなわち、モータ出力制限中は、モータ出力制限前よりも、エンジンブレーキ制御による制動力の保証範囲が緩和される。さらに、モータ出力制限中において、エンジン始動時であれば、エンジン非始動時よりもその保証範囲がさらに緩和される。
図8に戻って、S42〜S44でエンジンブレーキ力下限値を設定した後、ECU1000は、設定されたエンジンブレーキ力下限値をモータ出力(第2MG400による回生ブレーキ力)で保証可能であるか否かを判定する(S45)。
エンジンブレーキ力下限値をモータ出力で保証可能である場合(S45にてYES)、ECU1000は、モータ出力でエンジンブレーキ力下限値を保証する(S46)。すなわち、ECU1000は、実エンジンブレーキが設定されたエンジンブレーキ力下限値以上になることを保証するように、第2MG400による回生ブレーキ力を制御する。
一方、エンジンブレーキ力下限値をモータ出力で保証可能でない場合(S45にてNO)、ECU1000は、モータ出力で不足する分をエンジン直行トルクTep(エンジン100によるエンジンブレーキ力)で補ってエンジンブレーキ力下限値を保証する(S47)。
以上のように、本実施の形態によるECU1000は、モータ出力制限中は、モータ出力制限前よりも、エンジンブレーキ力下限値を低下させる(エンジンブレーキの保証範囲を緩和する)。そして、低下後のエンジンブレーキ力下限値をモータ出力(第2MG400による回生ブレーキ力)で満たすことができないときは、エンジン出力(エンジン100によるエンジンブレーキ力)で不足分を補う。これにより、モータ出力制限中であっても、必要な制動力を保証しつつ、エンジン出力を必要最小限に抑えることができる。
[実施の形態3]
上述の実施の形態1では、保証緩和制御による緩和対象を「後退防止駆動力下限値」とした。
これに対し、本実施の形態3では、保証緩和制御による緩和対象を「走行中のエンジン始動時の許容駆動力範囲」とする。その他の構造、機能、処理は、前述の実施の形態1と同じであるため、ここでの詳細な説明は繰返さない。
図10は、本実施の形態3によるECU1000が行なう保証緩和制御の処理内容を示すフロー図である。
S50にて、ECU1000は、モータ出力制限条件が成立しているか否かを判定する。たとえば、ECU1000は、下記の条件A’,B,C,Dの少なくともいずれかの条件が成立している場合に、モータ出力制限条件が成立していると判定する。
(条件A’)バッテリ700の蓄電量が所定の制御下限値よりも低い(すなわちバッテリ700からの放電を制限する必要がある)。
(条件B)第2MG400の温度THm2がしきい温度よりも高い。
(条件C)インバータ温度THiがしきい温度よりも高い。
(条件D)昇圧コンバータ温度THcがしきい温度よりも高い。
なお、モータ出力制限条件は、上記の条件に限定されるものではない。たとえば、第2MG400と駆動輪との間に変速機が備えられる構成である場合には、その変速機の温度がしきい温度よりも高いという条件を加えるようにしてもよい。
モータ出力制限条件が成立している場合(S50にてYES)、ECU1000は、走行中エンジン始動時であるか否かを判定する(S51)。たとえば、ECU1000は、Ready−OFF状態での車両走行中にシステム起動要求(Ready−ON要求)があった場合に、走行中エンジン始動時であると判定する。
モータ出力制限条件が成立していない場合(S50にてNO)あるいは走行中エンジン始動時でない場合(S51にてNO)、ECU1000は、エンジン始動時の許容駆動力範囲を「β」(下限値βmin〜上限値βmax)とする(S53)。
一方、モータ出力制限条件が成立している場合(S50にてYES)かつ走行中エンジン始動時である場合(S51にてYES)、ECU1000は、エンジン始動時の許容駆動力範囲をβよりも緩和された「α」(下限値αmin〜上限値αmax)とする(S52)。
図11は、S52またはS53でエンジン始動時の許容駆動力範囲の設定に用いられるマップを例示した図である。なお、図11においては、駆動力が正の値で示され、ブレーキ力が負の値で示されている。
図11に示すように、エンジン始動時の許容駆動力範囲α,βは、どちらも車速Vが高いほど広げられる(保証範囲が緩和される)。そして、同じ車速Vに対して、モータ出力制限中かつ走行中のエンジン始動時の許容駆動力範囲αは、通常時(モータ出力制限前)のエンジン始動時の許容駆動力範囲βよりも広げられる(保証範囲が緩和される)。
図10に戻って、S52またはS53でエンジン始動時の許容駆動力範囲を設定した後、ECU1000は、設定されたエンジン始動時の許容駆動力範囲をモータ出力で保証可能であるか否かを判定する(S54)。
エンジン始動時の許容駆動力範囲をモータ出力で保証可能である場合(S54にてYES)、ECU1000は、モータ出力でエンジン始動時の許容駆動力範囲を保証する(S55)。
一方、エンジン始動時の許容駆動力範囲をモータ出力で保証可能でない場合(S54にてNO)、ECU1000は、モータ出力で不足する分をエンジン直行トルクTepで補ってエンジン始動時の許容駆動力範囲を保証する(S56)。
以上のように、本実施の形態によるECU1000は、モータ出力制限中である場合、走行中のエンジン始動時の許容駆動力範囲を通常時よりも広げて緩和する。そして、緩和後の許容駆動力範囲をモータ出力(第2MG400の出力)で満たすことができないときは、エンジン100の出力で不足分を補う。これにより、モータ出力制限中であっても、走行中エンジン始動時の駆動力変動を極力抑制しつつ、エンジンの出力を必要最小限に抑えることができる。
なお、上述した実施の形態およびその変形例については、技術的に矛盾が生じない範囲で、適宜組合せることも可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 車両、10 エンジン回転速度センサ、15 出力軸回転速度センサ、21,22 レゾルバ、31 アクセルポジションセンサ、35 スタートスイッチ、36 勾配センサ、37 監視ユニット、38 コーションランプ、41〜44 温度センサ、56,560 出力軸、81 減速機、82 駆動輪、100 エンジン、200 第1MG、300 動力分割機構、400 第2MG、600 PCU、700 バッテリ。

Claims (6)

  1. 第1駆動源および第2駆動源を含み、前記第1駆動源および前記第2駆動源の少なくとも一方の動力を駆動輪に伝達可能に構成された駆動装置と、
    前記駆動装置を制御可能に構成された制御装置とを備え、
    前記制御装置は、所定の車両挙動制御を行なう際に、前記第1駆動源の出力を所定値未満に制限する制限制御の実行中である場合は、前記制限制御の実行前よりも前記駆動装置の出力の制御下限値を低下させることによって前記駆動装置の出力の制限を緩和する緩和制御を実行するとともに、緩和後の前記制御下限値を前記第1駆動源の出力で満たすことができないときは前記第2駆動源の出力で不足分を補う、車両。
  2. 前記第2駆動源は、内燃機関を含み、
    前記制御装置は、前記制限制御の実行中である場合でかつ前記内燃機関を始動させる場合に、前記緩和制御を実行する、請求項1に記載の車両。
  3. 前記第1駆動源は、回転電機であり、
    前記車両挙動制御は、車両走行中に前記内燃機関を始動させる時に、前記内燃機関の始動によって生じる反力を相殺するための力を前記回転電機から発生させることによって前記駆動装置の出力を制御範囲以内にするための反力制御であり、
    前記緩和制御は、前記反力制御による前記制御範囲の幅を広げる制御である、請求項2に記載の車両。
  4. 前記車両挙動制御は、前記車両の後退を防止するための後退防止駆動力を下限値以上にするための後退防止制御であり、
    前記緩和制御は、前記後退防止制御による前記下限値を低下させる制御である、請求項1〜3のいずれかに記載の車両。
  5. 前記車両挙動制御は、前記駆動装置の回転抵抗によって前記駆動輪に作用する制動力を下限値以上にするための制動制御であり、
    前記緩和制御は、前記制動制御による前記下限値を低下させる制御である、請求項1〜3のいずれかに記載の車両。
  6. 前記第2駆動源は、内燃機関を含み、
    前記制御装置は、前記緩和制御を実行する場合、前記内燃機関の始動時の前記制御下限値の変更量を、前記内燃機関の非始動時の前記制御下限値の変更量よりも大きくする、請求項1に記載の車両。
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