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JP6037693B2 - 荷電粒子線装置 - Google Patents
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Description

本発明は、走査電子顕微鏡等の荷電粒子線装置に係り、特に試料、或いはビームの理想光軸に対して、ビームを傾斜して照射する荷電粒子線装置に関する。
3次元デバイスの歩留まり向上のため、電子線を用いた検査装置及び測定装置には、高精度な三次元観察機能が求められている。電子顕微鏡を使った三次元観察には、ステージを傾斜して画像を取得する方法が用いられてきた。しかしながら、ステージやカラムを傾斜させるには機械的動作が必要であり、スループットや傾斜角度の再現性が劣化する問題があった。ステージを傾斜させることなくデバイスの3次元測定を行うには、偏向器を用いてビームを傾斜する方法が考えられる。
しかしながら、偏向器でビーム傾斜(偏向)をすると、偏向コマ収差と軸外色収差が発生してビーム径が増大する。ビーム偏向時に発生する偏向コマ収差と軸外色収差を0にするには、対物レンズで発生する各収差に対し同量逆符号の収差を別の光学要素で作り出す必要があり、以下の方法が知られている。
特許文献1には、対物レンズ界内に2段の偏向器を設置して、逆向きにビームを偏向させることでレンズ前半部と後半部で発生する軸外色収差を互いに打ち消す方法が示されている。
特許文献2には、ビームを偏向して視野移動(イメージシフト)した時、対物レンズよりも電子源側の光軸上に配置されたウィーンフィルタで色分散を発生することで、イメージシフト時に対物レンズで発生する任意方向の軸外色収差を補正する技術が開示されている。
特許文献3には、電磁多極子を用いて色分散を発生させる事で、ビーム傾斜時に発生する軸外色収差を補正する方法について示されている。更に補正ユニットに6極子場を追加する事で、軸外色収差と偏向コマ収差を同時に打ち消す方法について示されている。
特許文献4には、対物レンズよりも電子源側に設置された収差補正器の物点を動かすことなくビームを傾斜することで、ビーム傾斜時に発生する色収差および球面収差を収差補正器によって補正する方法が示されている。
特許文献5には、励磁電流を変化させた時の位置ずれを0にするよう光学条件を設定する事で軸外色収差を0にする光学条件に調整する方法について示されている。
特開2000−348658号公報(対応米国特許USP6,452,175) WO01/33603号公報(対応米国特許USP6,864,482) 特開2001−15055号公報(対応米国特許USP6,614,026) 特開2006−54074号公報(対応米国特許USP7,223,983) 特開2006−12664号公報(対応米国特許USP7,355,174)
特許文献1の補正法によれば、ビーム傾斜時に発生する補正を行う場合、傾斜角、軸外色収差量、偏向コマ収差量の3つの大きさを(対物レンズの形状と)対物レンズ中に設置された2つの偏向器の強度で制御する。従って、軸ずれや、対物レンズの組み立て誤差等、理想的な補正状態から外れる別の要素が入った場合に変動する収差の補正条件への対応が困難である。また、傾斜角と発生収差の分離が困難である。
特許文献2に開示の手法は、は、光軸に垂直な平面内で電場と磁場が直交するEXB(ウィーンフィルタ)を使って一次電子線に分散を発生させて、ビーム傾斜時に対物レンズで発生する軸外色収差を補正する方法である。従って、本方式で大角度傾斜(傾斜角度10度以上)を行うと偏向コマ収差が顕在化し分解能が劣化する可能性がある。また、特許文献2の手法では偏向色収差が補正できない。
更に、特許文献3に開示の手法によれば、ビーム傾斜時に発生する軸外色収差と偏向コマ収差の両方の収差を補正することが可能である。本技術で上記2つの収差を補正する場合、分散を発生させるために設置した電磁多極子に新たに6極子場を重畳する。そのため、補正ユニットの形状と電極制御用の電源数が増加し、制御が複雑になる。(一例として、特許文献3の実施例にある構成を基に補正ユニットに必要な極子数の見積もりを行う。この時、電磁双極子、電磁4極子、6極子場を重畳するため、補正ユニットには2,4,6の最小公倍数に等しい12個の極子が必要となる。)
また、特許文献4に開示の手法には、軸上収差補正器を用いてビーム傾斜時に発生する収差を補正する方法が示されている。本方式では軸上収差の延長としてビーム傾斜を考えており、全方位に対しての収差補正が可能であるが、補正ユニットの多段化と多極子化を避けることができない。
特許文献3、4の開示によれば、軸外色収差と偏向コマ収差を補正することができるが補正ユニットに6極子以上の高次極子場が必要であり、制御の複雑化が避けられない。そのため、光学系の構成と制御が複雑化し、電源数が増大する。
また、特許文献5に開示の手法では、軸外色収差と偏向コマ収差を併せて補正することができるが、比較的大きな傾斜角でのビーム傾斜に対応できない場合がある。
以下に、比較的簡易な構成で軸外色収差と偏向コマ収差を併せて補正することを目的とする荷電粒子線装置を提案する。
上記目的を達成するための一態様として、荷電粒子源より放出される荷電粒子ビームを集束して試料に照射する対物レンズと、前記荷電粒子源と当該対物レンズとの間に配置される前記荷電粒子ビームを傾斜させる傾斜用偏向器を備えた荷電粒子線装置であって、前記傾斜用偏向器による偏向によって生ずる分散を抑制する分散を発生する電磁4極子を含む第1の光学素子を有し、当該第1の光学素子に入射する前記荷電粒子ビームを偏向する偏向器、或いは当該第1の光学素子が発生する分散とは異なる分散を前記荷電粒子ビームに生じさせる電磁4極子からなる第2の光学素子を備えた荷電粒子線装置を提案する。
上記構成によれば、簡単な構成で軸外色収差と、偏向コマ収差の抑制が可能な荷電粒子線装置の提供が可能となる。
ウィーンフィルタを含む収差補正ユニットを搭載した走査電子顕微鏡の第一の実施例を示す図である。 ウィーンフィルタの断面図である。 ウィーンフィルタ通過時に発生する分散の説明図である。 ビームチルト時の光学条件設定工程を示すフローチャートである。 ビーム傾斜光学系の制御部の説明図である。 歪み補正工程を示すフローチャートである。 ウィーンフィルタを含む収差補正ユニットを搭載した走査電子顕微鏡の第三の実施例を示す図である。 ウィーンフィルタを含む収差補正ユニットを搭載した走査電子顕微鏡の第四の実施例を示す図である。 ウィーンフィルタを含む収差補正ユニットを搭載した走査電子顕微鏡の第五の実施例を示す図である。
本実施例では、収差補正ユニットを4極子場以下の極子場の組み合わせで構成する。具体的には、偏向器(双極子場)と電磁双極子場と電磁4極子場を重畳したウィーンフィルタ(若しくは2段のウィーンフィルタの組み合わせ)でビーム傾斜時に発生する軸外色収差と偏向コマ収差を補正する。本補正器は、ウィーンフィルタの電磁界強度と偏向器の励磁量(若しくは、2段のウィーンフィルタの強度)を変える事で、補正器で発生する軸外色収差と偏向コマ収差をそれぞれ調整する事が出来る。その結果、補正時の調整が容易となる。
走査電子顕微鏡のビーム傾斜光学系の概略図を図1に示す。電子源01(荷電粒子源)から放出された一次電子12(電子ビーム)は、コンデンサレンズ02に点P1に収束される。対物絞り03によって放射角度が制限された一次電子12は、更にコンデンサレンズ04に収束され、収差補正ユニット14に入射する。また、図1に例示する光学系では、対物レンズ09の上段にビーム傾斜のための偏向器08を備える。偏向器08によって、対物レンズ09の電子ビームの理想光軸(電子ビームを偏向しないときの電子ビームの通過軌道)から電子ビームを離軸するように偏向することによって、理想光軸から所定の相対角をもってビームを照射することができる。
偏向器08の上に二段偏向器06と電磁4極子(ウィーンフィルタ07)から成る収差補正ユニット11が設置されている。以下に収差補正ユニットの具体的な動作方法に沿って原理を説明する。
電子源から射出された電子ビームはコンデンサレンズ02で点P1に収束された後、対物絞り03を通過する。その後コンデンサレンズ04で点P2に収束される。点P2に収束された一次電子は収差補正部11に突入し、電子のエネルギー幅に応じた分散とコマ収差を発生させる。その後、偏向器08によって所望のビーム傾斜角で試料にランディングする軌道に修正され、試料10に所望の傾斜角度でランディングする。ここで、収差補正ユニット11で発生させた分散とコマ収差を使って、ビームを傾斜したために対物レンズ09で発生する軸外色収差と偏向コマ収差を補正する。以下に収差補正部11での偏向器とウィーンフィルタの動作と発生収差についての説明を示す。
ウィーンフィルタ07の形状を図2に示す。図2はウィーンフィルタを光軸13に垂直な断面に投影した概略図である。図2に示すように、ウィーンフィルタ07は4つの電磁極51,52,53,54からなる。それぞれの電磁極にはコイルが巻かれており、各電磁極の電極及びコイルに電圧及び電流を印加することで、静電界E1,E2,静磁界B1,B2を生成出来る。ここで、E1(B1)は電気(磁気)双極子界、E2(B2)は電気(磁気)4極子界である。ウィーンフィルタ動作時には、光軸に垂直な平面内でE1,B1が直交するように場を生成する。本実施例ではX軸方向に電界E1,Y軸方向に磁界B1をとった場合について示す。生成した電磁界(E1,B1)中を一次電子12が通過する場合を考える。一次電子12の速度をvとする。一次電子12がウィーンフィルタ内を直進する条件は下式で与えられる。
ここで、一次電子12のエネルギーが低い時(v<E1/B1)、一次電子12は電界E1の方向に偏向作用を受けて曲げられ、一次電子12のエネルギーが高い時(v>E1/B1)には逆方向に曲げられる。その結果、ウィーンフィルタ内で分散が発生する。また、この時同時に電界(X軸)方向にレンズ作用が発生する。X軸方向に発生したレンズ作用によって、P2で収束された一次電子線12の内、電界(X軸)方向に広がる成分は収束作用を受け、磁界(Y軸)方向に広がる成分は直進する。その結果、X軸方向の収束点とY軸方向の収束点が異なる位置にできる。このようにして発生したX方向の収束点とY方向の収束点の違いは4極子場を重畳することで修正できる。ウィーンフィルタのレンズ作用によって発生したX方向集束点とY方向集束点のずれを修正するために与える4極子場強度は下式で表わされる。
ここで、eは素電荷、mは電子質量である。式(2)で与えられる4極子場を追加したために発生する色収差を0にする条件について考える。
本実施例によるビーム傾斜光学系は、収差補正部12で発生させた分散を用いてビーム傾斜時に対物レンズで発生する軸外色収差を補正する。収差補正部12で分散のみを発生させるには、式(2)で与える電磁4極子界より発生する色収差を0にする必要がある。電磁4極子界より発生する色収差が0になる条件を式(3)に示す。
式(1)は特定の速度の一次電子12がウィーンフィルタ内を直進する条件、式(2)はウィーンフィルタに双極子場E1,B1を加えたことで発生するX方向集束点とY方向集束点のずれを修正するために印加する4極子場強度(E2,B2)の条件、式(3)は4極子場を加えたときに発生する色収差を0にするための電気4極子場E2と磁気4極子場B2の関係式である。本発明による収差補正ユニット11内のウィーンフィルタ07に重畳する電磁界は式(1)、式(2)、式(3)を満たすように定める。
次に偏向コマ収差の発生方法について示す。本発明によるビーム傾斜光学系の収差補正ユニット11には、ビーム傾斜時に発生する偏向コマ収差を補正するため、二段偏向器06が設置されている。一次電子12は二段偏向器06によって位置ずれΔrp2(理想光軸からの離軸量)が与えられ、ウィーンフィルタ07に突入する。この時ウィーンフィルタでは分散と2次収差及び3次収差が発生する。発生する収差は、分散、コマ収差、像面湾曲収差、非点収差、歪の5つに分類できる。
分散はウィーンフィルタ07のZ方向の長さと電磁界強度で調整でき、コマ収差は二段偏向器06で与える離軸量によって調整する。像面湾曲収差はコンデンサレンズ04の励磁量で調整し、非点収差はウィーンフィルタ07の4極子場強度若しくはスティグメータ05によって調整する。歪収差はウィーンフィルタから射出される一次電子12の位置ずれと角度ずれを与えられ、ウィーンフィルタ07から射出された電子の位置ずれと角度ずれは、偏向器08を使い調整する。以上の動作を行うことで、収差補正部11で発生する収差は分散と偏向コマ収差のみとなり、これらの収差を使って、ビーム傾斜時に対物レンズで発生する軸外色収差と偏向コマ収差を補正できる。
本方式でY軸方向に分散とコマ収差を発生させたい場合にはE1,E2,B1,B2の方向を90度回転させれば良く、本方式による収差補正ユニットを使用することで、X軸方向とY軸方向にビームを傾斜させた際に発生する収差を独立に発生できる。
以下、より詳細に図面を用いて実施例を説明する。第一の実施例の構成を図1にフローチャートを図4、チルト光学系制御部110の詳細を図5に示す。ステップ001でチルト光学系制御部110より、コンデンサレンズ制御部101と対物レンズ制御部105、試料電位設定部106に各レンズの励磁条件及び試料電位を引き渡し設定する。(本実施例では、コンデンサレンズ04の励磁量として、P2をウィーンフィルタ入口に設定する条件を使って説明するが、開き角や電流量を調整するためにP2を別の場所に設定をしても同様の原理で収差補正部11より、補正用の収差を発生させる事が出来る。)
ステップ002でビームの傾斜角度を決定する。この時偏向器制御部104より、傾斜角度に応じて偏向コイル8を動作させるための電流を印加する。
ステップ003で、設定した傾斜角度と式(1)〜式(3)を基に対物レンズで発生する軸外色収差を補正するための分散を発生させる条件をウィーンフィルタ条件設定部203で演算し、ウィーンフィルタに印加するE1,E2,B1,B2の値を決定する。
ステップ004でウィーンフィルタに電磁界を印加した事で発生するフォーカスずれをコンデンサレンズ04若しくは対物レンズ09の強度の変更で調整し、非点収差をスティグマコイル05若しくはウィーンフィルタ07に印加した4極子場強度E2,B2を変更する事で調整する。
ステップ005で特許文献5に開示されている方法若しくは電子源01の電圧を変化させたときの取得画像の位置ずれを最小とするようにウィーンフィルタに印加する電磁界(E1,E2,B1,B2)を調整する。これにより、対物レンズで発生する軸外色収差とウィーンフィルタで発生した分散の和が0になる条件を確認する。確認後設定したウィーンフィルタの印加電磁界の条件をウィーンフィルタ動作条件記録部212に保存する。
ステップ006で二段偏向器06の上段と下段の偏向器に同量異符号の励磁電流を与えて電子線12を平行移動する事でウィーンフィルタ突入位置のずれΔrp2の原点を定義する。与える。そウィーンフィルタ突入位置のずれΔrp2を与えた場合、ウィ−ンフィルタ内でΔrp2に応じた幾何収差、像面湾曲、非点収差、コマ収差、歪収差が発生する。ここで、Δrp2の原点はウィーンフィルタ07に印加する4極子場(E2,B2)の中心にとることが望ましく、4極子場の中心は式(3)を満たすようにE2,B2の強度を変化させたときの位置ずれが0になる位置に定義する。位置ずれが0と定義される条件での偏向器06の励磁条件を偏向器動作条件記録部213に保存する。
ステップ007、ステップ006で設定したΔrp2を基準に新たにΔrp2を与える。その結果、ウィ−ンフィルタ内でΔrp2に応じた幾何収差、像面湾曲、非点収差、コマ収差、歪収差が発生する。新たに与えたΔrp2を与えるための励磁条件を偏向器動作条件記録部213に保存する。
ステップ008ではステップ007で発生した像面収差と非点収差をコンデンサレンズ04のレンズ強度及びスティグマコイル05を使って調整する。調整後の各レンズ及びスティグマコイルの設定値をレンズ動作条件記録部211に保存する。
ステップ009では収差補正ユニット11で発生する歪収差を二段偏向器08で補正する。補正方法の詳細は第二の実施例で示す。ステップ010で、ステップ009で決定した歪収差の補正量を偏向コイル08に重畳してビーム傾斜を行う。ステップ011でビーム傾斜時のSEM画像を取得する。
ステップ012でビームの傾斜画像を取得し、画像の鮮鋭度から所望の鮮鋭度が得られたか判断する。所望の鮮鋭度が得られなかった場合にはステップ007に戻り新たなΔrp2を与える。
本実施例において、ビーム傾斜時に動作条件記録部(211,212,213)に記録された動作条件を使用する事で、ビーム傾斜時に発生する調整手順を簡略化する事が出来る。
第二の実施例として補正ユニットで発生する歪収差の補正方法について示す。本実施例のフローチャートを図6に示す。ステップ101でウィーンフィルタの予備調整を行う。具体的には、第一の実施例のステップ006に示す手順を使い、4極子場の中心は式(3)を満たすようにE2,B2の強度を変化させたときの位置ずれが0になるようにΔrp2を設定する。更に、ウィーンフィルタに電磁界を印加していない時とウィーンフィルタに電磁界を印加した時の一次電子到着点のずれを0にするように入射角度の調整を行い、調整後のウィーンフィルタの動作条件及び偏向器06の動作条件をウィーンフィルタ動作条件記録部212と偏向器動作条件記録部213に記録する。
ステップ102で一次電子12の到着点の基準を示すSEM画像を取得する。ステップ103で偏向器06にウィーンフィルタ突入位置のずれΔrp2を与える。
ステップ104でΔrp2を与えたときに発生する像面湾曲をコンデンサレンズ04(若しくは対物レンズ09)のレンズ強度の変更により調整し、非点収差をスティグマコイル05の強度を変更することで調整し、調整後の条件をレンズ動作条件記録部211に記録する。
ステップ105で偏向器Δrp2を与えたときのSEM画像を取得する。ステップ106で歪収差測定部内の位置ずれ演算部221でステップ102で取得した基準画像からの位置ずれ量を算出し、位置ずれ量記録部222に偏向器06でΔrp2を与えたときに発生する位置ずれ量を記録する。
ステップ107で位置ずれ量記録部222にある位置ずれ量を補正するために偏向器08に与える励磁量を求め、偏向器動作条件記録部213に記録する。
ステップ108でΔrp2を変更し、所望の量のデータを取得するまでステップ103からステップ107を繰り返す。
ステップ109でウィーンフィルタに重畳する電磁界強度を変え、所望のデータ量に達するまでステップ101からステップ108を繰り返し各補正条件でのレンズ動作条件、ウィーンフィルタ動作条件、偏向器動作条件を取得する。
本実施例で取得した動作条件に沿って収差補正部11及び偏向器08を動作させることで、収差補正部11で発生する分散の大きさをウィーンフィルタ07に印加する電磁界強度で調整し、偏向器06で与える突入位置のずれΔrp2により、発生するコマ収差量を調整できる。
また、SEM本体の調整時に本実施例の手順を実施する事で、収差補正時の各レンズ及び偏向器のパラメータをテーブル化できる。テーブル化した補正条件に沿ってレンズ動作条件、ウィーンフィルタ動作条件、偏向器動作条件を設定すれば、ビーム傾斜時の各光学パラメータの設定手順を簡略化できる。
前述の2つの実施例で説明した収差補正ユニット11は、ウィーンフィルタ07を形成する電磁界強度で分散の発生量を制御し、偏向器06でウィーンフィルタへの突入位置の変化を与える事でコマ収差量を制御する事が特徴である。本方式では、突入位置を変化させた事で収差補正ユニット11から放出される一次電子12の射出位置と角度が変化する。そのため、射出位置及び角度の変化を偏向器08で補正する必要があり、制御が複雑化する。
第3の実施例として偏向器06の代わりにウィーンフィルタをもう一段追加することで、ウィーンフィルタ07への突入位置の変化Δrp2を与えることなく、分散とコマ収差を同時に発生できるビーム傾斜光学系について示す。
図7に本実施例によるビーム傾斜光学系の構成図を示す。第一及び第二の実施例に示したビーム傾斜光学系の収差補正ユニット11は偏向器とウィーンフィルタの組み合わせで構成されているのに対し、本実施例による収差補正ユニット14は2段のウィーンフィルタで構成されることが特徴である。
収差補正ユニット11と収差補正ユニット14の特徴について説明する。収差補正ユニット(11,14)内に設置されたウィーンフィルタ07を一次電子12が通過するとき、分散と共に2次収差の開口成分(∝α*2、∝αα*)が発生する。これらの収差は試料面上でコマ収差と同じ働きをする。このため、収差補正ユニット11は2次収差の開口成分とウィーンフィルタへの突入位置Δrp2に依存して発生するコマ収差の和を収差補正ユニット11が発生させるコマ収差として扱い、偏向器06でΔrp2の制御により収差ユニット11で発生するコマ収差量を調整する。これに対し、本実施例で説明する収差補正ユニット14は分散とコマ収差の発生量が異なるウィーンフィルタ(2台)を使い、それぞれのウィーンフィルタに印加する電圧条件の調整により収差補正部14で発生する分散とコマ収差の大きさを調整する事が特徴となる。
ここで、コマ収差と分散の調整方法について説明する。物点P2で集束した一次電子軌道は光路中のレンズ作用が小さい場合、物点からの距離に応じて広がる。ウィーンフィルタの一般的特性として、上述の一次電子12の広がりが大きい位置にウィーンフィルタを設置すると大きな分散と開口2次収差が発生する。また、発生する分散ΔWdcと2次開口収差ΔW2の比率(=ΔW2/ΔWdc)はウィーンフィルタ内での一次電子の広がりに応じて増加する。従って、一次電子の広がりが異なる場所にウィーンフィルタを設置すれば、発生する分散と2次収差の異なる光学要素が成立する。
図7に示した第3の実施例説明図を使って本方式の説明を行う。図7ではウィーンフィルタ07の上端部で一次電子12が集束されている。このときの集束点の位置をP2とする。P2で集束した一次電子12はウィーンフィルタ07のレンズ作用を受けながら広がりウィーンフィルタ15に突入する。このような場合、ウィーンフィルタ07とウィーンフィルタ15のフィルタ内部での一次電子12の広がりを比較するとウィーンフィルタ15内での電子の広がりのほうが大きい。従って、ウィーンフィルタ15で発生する収差の比率(=ΔW2/ΔWdc)はウィーンフィルタ07よりも大きくなる。ここで、ウィーンフィルタ07で発生した2次開口収差を打ち消すようにウィーンフィルタ12の印加電磁界強度を調整する。ウィーンフィルタ07で発生した開口2次収差とウィーンフィルタ15で発生する開口2次収差が打ち消しあうため、収差補正ユニット14は2次収差は発生せず分散のみが発生する。上記実施例では収差補正部14で2次収差が発生しない条件で動作させた場合について述べたが、原理的には、ウィーンフィルタ07とウィーンフィルタ15に印加する電磁界強度を調整により、収差補正ユニット14で発生する分散と開口2次収差量を調整できる。
図8に第4の実施例としてウィーンフィルタの中心を通すための二段偏向器06を備えたビーム傾斜光学系の概略図を示す。本実施例に示すビーム傾斜光学系の収差補正原理は第3の実施例と同じでウィーンフィルタ07とウィーンフィルタ15に印加する電磁界強度を調整により、収差補正ユニット14で発生する分散と開口2次収差量を調整できる。更に、偏向器06を追加したため、収差補正ユニット14への突入位置のずれΔrp2を0にすることができる。その結果、収差補正ユニット14で発生する収差は分散とコマ収差のみとなり、ビーム傾斜時に発生する収差の補正条件を収差補正部14に入力した時に発生する射出電子の位置ずれ角度ずれの問題が解消される。
第5の実施例として複数の収差補正部を組み合わせた場合について示す。第5の実施例によるビーム傾斜光学系の概略図を図9に示す。
本実施例の収差補正ユニット11及び14は、収差補正ユニットで発生させる分散とコマ収差を独立に可変できる特徴がある。従って、回転対象レンズと偏向器の組み合わせで軸外色収差と偏向コマ収差を補正するビーム傾斜光学系に追加適用する事で、軸ずれや、対物レンズの組み立て誤差等、理想的な補正状態から外れる別の要素が入った時の補正条件の変化への対応が容易になる。
上記実施例によれば、例えば電磁双極子場と4極子場の組み合わせでビーム傾斜時に発生する軸外色収差と偏向コマ収差を補正できる。補正ユニットの構造が簡易な事から、平易な調整でビームの傾斜画像を取得できる。
1 電子源、
2 コンデンサレンズ、
3 対物絞り、
4 コンデンサレンズ、
5 スティグマコイル、
6 偏向器、
7 ウィーンフィルタ、
8 偏向器、
9 対物レンズ、
10 試料、
11 収差補正ユニット、
12 一次電子、
13 光軸、
14 収差補正ユニット、
15 ウィーンフィルタ
51 ウィーンフィルタ構成極子1、
52 ウィーンフィルタ構成極子2、
53 ウィーンフィルタ構成極子3、
54 ウィーンフィルタ構成極子4、
101 コンデンサレンズ制御部、
102 偏向器制御部、
103 ウィーンフィルタ制御部、
104 偏向器制御部、
105 対物レンズ制御部、
106 試料電位制御部

Claims (6)

  1. 荷電粒子源より放出される荷電粒子ビームを集束して試料に照射する対物レンズと、前記荷電粒子源と当該対物レンズとの間に配置される前記荷電粒子ビームを傾斜させる傾斜用偏向器を備えた荷電粒子線装置において、
    前記傾斜用偏向器による偏向によって生ずる分散を抑制する分散を発生する電磁4極子を含む第1の光学素子を有し、当該第1の光学素子に入射する前記荷電粒子ビームを、理想光軸から離間させて入射させるように前記荷電粒子ビームを偏向する2段偏向器を含む第2の光学素子を備えたことを特徴とする荷電粒子線装置。
  2. 請求項1において、
    前記第1の光学素子はウィーンフィルタであることを特徴とする荷電粒子線装置。
  3. 請求項2において、
    記ウィーンフィルタは、電磁双極子場と4極子場を同一個所で生成するウィーンフィルタであることを特徴とする荷電粒子線装置。
  4. 請求項2において、
    前記傾斜用偏向器による前記荷電粒子ビームの傾斜時に、前記ウィーンフィルタに印加する電磁界強度、前記ウィーンフィルタ上方に設置された偏向器、及び傾斜用偏向器への励磁強度を制御するための制御部を備えたことを特徴とする荷電粒子線装置。
  5. 荷電粒子源より放出される荷電粒子ビームを集束して試料に照射する対物レンズと、前記荷電粒子源と当該対物レンズとの間に配置される前記荷電粒子ビームを傾斜させる傾斜用偏向器を備えた荷電粒子線装置において、
    前記傾斜用偏向器による偏向によって生ずる分散を抑制する分散を発生する電磁4極子を含む第1のウィーンフィルタと、当該第1のウィーンフィルタのレンズ作用を受けて広がった前記荷電粒子ビームが入射する第2のウィーンフィルタを備えたことを特徴とする荷電粒子線装置。
  6. 請求項において、
    前記第1のウィーンフィルタと前記第2のウィーンフィルタの上方に、2段の偏向器を配置したことを特徴とする荷電粒子線装置。
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