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JP6042839B2 - 交通標識投影システム - Google Patents
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Description

本発明は、交通標識投影システムに関するものである。
一般道路や高速道路等の有料道路には、車両の安全な走行や事故防止等を目的として、数多くの交通標識が設置されている。交通標識は、道路の傍らから立設された支柱に円形状や三角形状の板材を取付け、板面に制限速度等を表示した看板型の「道路標識」と、道路面に「止まれ」や「駐車禁止」などの文字、或いは車線を区画する区画線などの図形を白色や黄色の塗料で直接ペイントした「道路標示」と、交差点や有料道路の料金ゲートに設置され、車両の進行の可否を緑や赤の信号で表示する「信号標識」とに大別することができる。
ここで、道路標示は、車両が走行する道路面に文字や図形が直接ペイントされたものであるため、タイヤ等との摩擦によって文字や図形が剥がれ落ちたり、タイヤ痕によって汚れたりすることがあった。その結果、道路標示の視認性が経年的に低下することがあった。また、寒冷地では、積雪で道路面が覆われることによって、車線を区画する区画線の視認性が低下し、対向車線にはみ出したり道路脇に寄り過ぎたりなど、安全な走行に支障をきたすことがあった。一方、看板型の道路標識の場合、板材の表面に文字や図形が直接ペイントされたものであるため、塗料の剥がれや汚損などの経年劣化によって視認性が低下するおそれがあった。
更に、有料道路の料金所付近、インターチェンジ、ジャンクション等、複数の道路が合流・分岐する箇所では、道路標識や道路標示が数多く設置されていることがあり、上記のように視認性が低下した道路標識や道路標示の場合、ドライバーが必要な情報を見落とすおそれがあった。
また、料金所には複数の料金ゲートが並設され、朝夕の時間帯や平日・休日等の交通量の違いに応じて、有料道路へ進入する方向、或いは有料道路から流出する方向の切替えを行っている。この場合、一般的に料金ゲートの上方に設置された赤や緑の色、或いは「○」や「×」の図形による信号標識によって料金ゲートへの進入の可否が示されているが、天候や時間帯などによって、視認性が低下することがあった。このような信号標識の視認性の低下は、一般道路の交差点付近においても多く発生している。
従って、交通標識の視認性が高められた、経年劣化のないシステムの開発が要請されている。
更に、従来の道路標示や看板型の道路標識の場合、それぞれ道路面や板材の表面に文字や図形が直接ペイントされたものであるため、標示内容を変更することができなかった。そのため、例えば、事故や渋滞の発生状況、行先の気象状況など、リアルタイムで変化する情報を、ドライバーに対して提供することができるシステムの開発が要請されている。
そこで、本発明は上記実情に鑑み、標示の視認性が良好で経年劣化がなく、且つ、標示内容を変更可能な交通標識投影システムの提供を、課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本発明の交通標識投影システムは、「レーザを照射して交通標識の標識パターンを投影面に投影する標識投影部と、スポットライトの光を照射して前記標識パターンの背景となる背景パターンを、前記標識パターンに重ね合わせて前記投影面に投影する背景投影部と、前記標識パターンの標識データ及び前記背景パターンの背景データを複数の交通標識に対応させて記憶したデータ記憶部、及び、前記標識データを前記標識投影部に送信すると共に前記背景データを前記背景投影部に送信するデータ送信部を有するシステム制御部とを具備する」ものである。
ここで、標識投影部とは、レーザを照射することで、文字や図形から構成される交通標識を標識パターンとして投影するものであり、単色のレーザを照射可能なレーザ照射装置、或いはRGBレーザのような多色のレーザを照射可能なレーザ照射装置を用いることができる。ここで、RGBレーザは、赤・緑・青の三原色のレーザをそれぞれ照射可能な三種のレーザダイオードを備えたものであり、個々のレーザダイオードから照射されるレーザの照射出力を変化させることにより、照射するレーザを種々の色にすることができる。そのため、三原色以外の黄色や黒色等、従来の交通標識に使用されている色を再現して投影することができる。ここで、レーザは非常に指向性の強い光であるため、照射した文字や図形を散乱させることなく投影面に投影することができる。従って、このように高い視認性を有しているレーザは、交通標識を投影してドライバーにその内容を把握させるために好適である。ここで、レーザは、非常に小さな点として照射されるものである。そのため、RGBレーザ等のレーザ照射装置は、備えられたミラー等によってレーザの照射角度を変化させることにより、1秒間に数千から数万の点で投影面を走査することで、人間の網膜の残像現象を利用して、投影された交通標識の標識パターンを視認させる。
一方、背景投影部は、例えば、ハロゲンライトを光源とするスポットライトを有している。ここで、投影面の色は必ずしも一定ではない。例えば、道路面に投影する場合、アスファルト舗装によって一般的に薄灰色、或いは濃灰色を呈しているものの、道路面上の汚れ、降雨による濡れ、夜間における光量の不足、積雪等によって、道路面の色は同一場所であっても一定ではない。そこで、背景投影部によって背景パターンを投影することにより、背景パターンの上に標識パターンを明瞭に投影することが可能となり、視認性が良好となる。なお、背景投影部のスポットライトは、光の照射方向を制限する遮光機能を備えるものであってもよく、かかる遮光機能により、背景パターンを、例えば、台形状や四角形状に調整することができる。
一方、システム制御部とは、標識パターン及び背景パターンを投影するための制御を行うためのものであり、標識パターン用の標識データ及び背景パターン用の背景データを複数の交通標識に対応させて記憶すると共に、記憶された標識データ及び背景データをそれぞれ標識投影部及び背景投影部に分離して送信するものである。ここで、システム制御部は、例えば、上記処理を行うための投影操作用のソフトウェアがインストールされた汎用のパーソナルコンピュータと、RGBレーザ等を制御するレーザ制御機器とを組み合わせたものを使用することができる。
従って、本構成の交通標識投影システムによれば、レーザによって交通標識の標識パターンが投影面に投影される。更に、背景パターンが標識パターンに重ね合わせて投影されるため、例えば、投影面が濡れている、夜間である等の状況にレーザの視認性が大きく影響されることがなく、投影された標識パターンを安定して視認させることができる。また、標識パターン及び背景パターンは投影されるものであるため、摩擦等によって劣化することがなく、投影面が積雪で覆われた場合であっても積雪面に対して投影することができる。なお、夜間や積雪等の投影面の状態に応じて、投影する標識パターン及び背景パターンのそれぞれの色や明るさ等を調整することにより、良好な視認性を保つことができる。更に、システム制御部によって投影される標識パターン及び背景パターンを任意に変更することができるため、事故の発生状況や気象状況等の情報をリアルタイムで投影面に標示することができる。ここで、「投影面」としては、道路面、不透光性の板材の正面、透光性を有する板材の背面、建築物や塀・橋脚など構造体の壁面、を例示することができる。
更に、本発明の交通標識投影システムは、上記構成に加え、「前記スポットライトは、赤色光を照射可能な赤色スポットライトと、緑色光を照射可能な緑色スポットライトとを備え、前記背景投影部は、前記データ送信部から送信された前記背景データを受信し、受信した前記背景データに基づいて前記赤色スポットライト及び前記緑色スポットライトの照射出力を調整する調光ユニットを備える」ものであっても構わない。
本構成の交通標識投影システムでは、背景パターンを投影するスポットライトが赤色スポットライト及び緑色スポットライトから構成される。そのため、投影面全体が赤色または緑色の単色光からなる背景パターンを投影することが可能である。ここで、一般的な交通標識において、赤色は「危険」、「停止」、「進入禁止」等の何らかの規制を示すものであり、一方、緑色は「進め」、「進入可」等の安全な状態を示すものである。そのため、これらの色で表示された背景パターンを有する交通標識は、ドライバーにとってその表示内容を経験的、感覚的に理解しやすい。そのため、標識パターン及び背景パターンを遠方から視認したドライバーは、おおよその内容を予測、或いは把握しながら、標識パターン及び背景パターンの投影位置に近づくことになるため、余裕を持った運転操作により安全に走行することができる。
本発明の交通標識投影システムは、上記構成に加え、「前記システム制御部は、前記標識投影部及び前記背景投影部と電気的に接続された投影制御部と、前記投影制御部と離間した位置に設置された投影操作部とを有し、前記投影操作部は、前記データ記憶部と、前記データ記憶部に記憶された前記標識データ及び前記背景データを、通信ネットワークを介して前記投影制御部まで送信する操作側通信部とを有し、前記投影制御部は、送信された前記標識データ及び前記背景データを受信する制御側通信部と、受信した前記標識データを前記標識投影部に送信すると共に前記背景データを前記背景投影部に送信する前記データ送信部とを有する」ものであっても構わない。
本構成の交通標識投影システムでは、システム制御部は投影操作部と投影制御部とを具備し、互いが通信ネットワークを介して接続されている。これにより、例えば、高速道路等の有料道路を管理する管理センターや、料金所から離間した位置に設けられた管理棟に投影操作部を設置し、一方、実際に道路面に標識パターン及び背景パターンを投影するインターチェンジやジャンクションの合流・分岐付近、或いは料金所の料金ゲートに投影制御部を設置することにより、投影場所から離れた場所からであっても、遠隔操作で標識パターン及び背景パターンの投影、及び、投影される標識の切替えを行うことができる。なお、通信ネットワークは、光通信ケーブル等を用いた有線方式のものであっても、無線LAN機器等を用いた無線方式のものであっても構わない。例えば、有料道路等の料金所と当該料金所を管理する管理棟とのように、投影制御部と投影操作部との間の距離が比較的短いものであれば、無線方式の通信ネットワークを採用することが特に好適である。
本発明の交通標識投影システムは、上記構成において、「前記投影面は道路面であり、前記標識パターン及び前記背景パターンは、料金ゲートへの車両の進入の可否を表示するものである」ものであっても構わない。
本構成の交通標識投影システムでは、料金ゲートへの進入の可否を示す信号標識の一種として、標識パターン及び背景パターンが使用される。これにより、料金ゲートにおける信号標識の視認性が高く、特に料金所の料金ゲート付近で発生する車両の誤進入による事故を防ぐことが可能となる。
本発明の交通標識投影システムは、上記構成に替えて、「透光性を有する表示用板材を更に具備し、前記標識投影部及び前記背景投影部は、それぞれ前記レーザ及び前記スポットライトの光を、前記投影面としての前記表示用板材の背面に照射する」ものとすることもできる。
本構成では、表示用板材の背面にレーザやスポットライトの光を照射し、表示用板材を透過した標識パターン及び背景パターンを視認させる。従って、標識投影部及び背景投影部は、それぞれ視認させるべき交通標識を反転させた場合の標識データ及び背景データに基づき、標識パターン及び背景パターンを投影する。なお、「表示用板材」としては、透光性を有するが透明ではない樹脂製やガラス製の平板を使用することができ、光の拡散や反射を調整するための層、自然光を吸収させるための層などを設けても良い。
本発明の交通標識投影システムによれば、看板型の標識を、経年劣化のおそれがなく、視認性が良好な標識とすることができる。また、標示する内容を変更することが可能であるため、事故の発生や天候による交通規制など、突発的な事態に応じた情報をリアルタイムで提供することができる。また、車載式の標識とすれば、事故の発生現場や工事現場などに移動して、その現場に応じた情報を提供することができる。
以上のように、本発明によれば、標示の視認性が良好で経年劣化がなく、且つ、標示内容を変更可能な交通標識投影システムを、提供することができる。
本発明の第一実施形態の交通標識投影システムの概略構成を示す上方から視た模式図である。 図1の交通標識投影システムの概略構成を示す側方から視た模式図である。 図1の交通標識投影システムの機能的構成を示すブロック図である。 道路面に投影される標識パターン及び背景パターンの一例を示す(a)進行禁止、及び(b)進行可の説明図である。 道路面に投影される標識パターン及び背景パターンの別例を示す(a)制限速度、及び(b)転回禁止の説明図である。 本発明の第二実施形態の交通標識投影システムの概略構成図である。 図6の交通標識投影システムの機能的構成を示すブロック図である。 車載式の標識の標識パターン及び背景パターンの一例を示す説明図である。 第二実施形態の変形例の交通標識投影システムの概略構成図である。 (a)〜(d)何れも本発明の第三実施形態の交通標識投影システムの概略構成図である。 (a)他の実施形態の交通標識投影システムによる投影の説明図、及び、図11(a)の交通標識投影システムの概略構成図である。
以下、本発明の第一実施形態である交通標識投影システム1(以下、単に「投影システム1」と称す)について、図1乃至図5に基づいて説明する。ここで、本実施形態の投影システム1は、有料道路に進入する際、及び有料道路から流出する際に通過する料金所2付近に設置され、並設された複数の料金ゲート3のそれぞれにおいて、車両の進行方向を示す標識パターン4を道路面Rに投影するものである。ここで、投影システム1における標識パターン4は、料金ゲート3の手前数十mの道路面Rに投影されるものであり、「道路標示」及び「信号標識」の双方の機能を有する交通標識である。
本実施形態の投影システム1は、図1乃至図5に示すように、レーザLを照射して交通標識の標識パターン4を道路面Rに投影する標識投影部5と、スポットライトの光を照射して標識パターン4の背景となる背景パターン6を、標識パターン4に重ね合わせて道路面Rに投影する背景投影部7と、標識パターン4の標識データ14及び背景パターン6の背景データ15を複数の交通標識に対応させて記憶したデータ記憶部16、及び標識データ14を標識投影部5に送信すると共に背景データ15を背景投影部7に送信するデータ送信部19を有するシステム制御部10と、を具備している。また、システム制御部10は、標識投影部5及び背景投影部7と電気的に接続された投影制御部8と、投影制御部8と離間した位置に設置され、投影制御部8と無線通信ネットワークNを介して接続された投影操作部9とを有している。ここで、無線通信ネットワークNが、本発明における「通信ネットワーク」に相当する。
より具体的に説明すると、標識投影部5は、レーザLを道路面Rに対して斜め上方から照射するために、各料金ゲート3の上部(図2参照)に、レーザ投影面を道路面Rに向けた状態で設置されている。標識投影部5としては、赤、緑、青の三色のレーザLをそれぞれ照射可能な三つのレーザダイオードを備えたRGBレーザからなるレーザ照射装置を用いている。このレーザダイオードから照射される指向性の強いレーザLのそれぞれの照射出力を調整することにより、道路面Rに任意の色に調整された標識パターン4を投影することができる。なお、本実施形態では標識投影部5として、赤色635nm/300mW、緑色532nm/300mW、青色450nm/1000mWの波長及び最大出力の各レーザLを出力可能なものを使用している。これにより、料金ゲート3から数十m前方の位置に標識パターン4を照射することができる。更に、標識投影部5は、レーザ照射機器の国際的な団体であるILDA(International Laser Display Association)によって規格化されたILDAケーブルによって、投影制御部8と接続されている。従って、ILDA規格に沿った出力制御の可能な投影制御部8及び標識投影部5を用いることにより、高い互換性を有している。
一方、背景投影部7は、道路面Rに対して斜め上方から赤色の光を照射可能な赤色スポットライト11と、道路面Rに対して斜め上方から緑色の光を照射可能な緑色スポットライト12と、赤色スポットライト11及び緑色スポットライト12と接続され、それぞれのスポットライト11,12の点灯及び消灯を制御すると共に、スポットライト11,12の照射光量を0%から100%の間で制御する調光ユニット13とを具備している。ここで、一対の赤色スポットライト11及び緑色スポットライト12は、図示のように、ゲートの上部に設置された標識投影部5を左右(図1における紙面上下方向に相当)から挟み込んだ状態で並設されている。また、赤色スポットライト11及び緑色スポットライト12は、それぞれ750W出力のハロゲンライトを光源として使用しており、赤色及び緑色の背景パターン6をそれぞれ照射するために、ハロゲンライトの周囲にカラーフィルタ(図示しない)が被せられている。更に、赤色スポットライト11及び緑色スポットライト12は、光の一部を遮る複数の遮光板等からなる遮光機能を有しており、道路面Rに投影する背景パターン6の形状を本実施形態では四角形状にしている(図4参照)。背景投影部7は、標識投影部5と同様にそれぞれの料金ゲート3毎に設置され、各調光ユニット13は、照明機器を制御する際の統一規格であるDMX規格に則ったDMXケーブルを介して投影制御部8と接続されている。
また、システム制御部10は、道路面Rに投影する標識パターン4に係る標識データ14、及び背景パターン6に係る背景データ15を、それぞれ複数の交通標識に対応させて記憶したデータ記憶部16、操作者の入力に基づきデータ記憶部16から標識データ14及び背景データ15を抽出するデータ抽出部21、及び、抽出された標識データ14及び背景データ15を無線通信ネットワークNを介して投影制御部8に送信する操作側通信部17を有する投影操作部9と、投影操作部9から離間して設置されていると共に、各料金ゲート3毎に設置された複数の標識投影部5及び背景投影部7(調光ユニット13)とそれぞれ接続され、無線通信ネットワークNを通じて投影操作部9から送信された標識データ14及び背景データ15を受信する制御側通信部18、及び、受信した標識データ14を標識投影部5に、背景データ15を背景投影部7にそれぞれ送信するデータ送信部19を有する投影制御部8とを具備している。
投影制御部8は、複数の料金ゲート3が並設された料金所2側に設置され、一方、投影操作部9は料金所2から離れた場所に建てられた管理棟22内に設置されている。また、投影制御部8は、一台で複数の標識投影部5及び背景投影部7に標識データ14及び背景データ15を送信し、それぞれを制御する機能を有している。そして、投影制御部8と接続された無線ルータ20を通じて、投影操作部9と無線通信ネットワークNが構築されている。一方、投影操作部9は、記憶装置、記憶装置に記憶されたプログラムに従い処理を行う中央処理装置を有する汎用のパーソナルコンピュータを有し、記憶装置に本実施形態の投影システム1における投影制御部8、背景投影部7、及び標識投影部5等の構成を制御するための操作制御用ソフトウェアがインストールされている。これにより、道路面Rに投影する標識パターン4及び背景パターン6を、料金所2から離れた管理棟22から遠隔操作により投影し、また、投影される交通標識を切替えることができる。
上記構成の投影システム1により、料金所2の料金ゲート3の手前位置の道路面Rに、例えば、図4(a)及び図4(b)のような、標識パターン4及び背景パターン6を投影することができる。具体的に説明すると、管理棟22に設置された投影操作部9にインストールされた操作制御用ソフトウェアを操作員が起動し、入力により投影対象の交通標識の標識データ14及び背景データ15をデータ記憶部16から抽出した後、操作側通信部17を通じて投影制御部8に標識データ14及び背景データ15を送信する。ここで、標識データ14及び背景データ15の送信に併せて、投影を行う料金ゲート3を特定するゲート識別記号(図示しない)等のデータも、同時に投影制御部8に送信される。これにより、料金所2から離れた管理棟22から、投影する標識パターン4を遠隔操作によって指示することができる。また、複数の料金ゲート3に対して個々に投影する標識パターン4を選択することができるため、標識パターン4の投影を一カ所で集中管理することができる。
一方、投影制御部8は、無線通信ネットワークNを介して、投影操作部9から送信された標識データ14及び背景データ15を受信するとともに、投影対象として特定された料金ゲート3に設置された標識投影部5に標識データ14を、背景投影部7の調光ユニット13に背景データ15を、それぞれデータ送信部19を介して分離して送信する。これにより、標識データ14を受信した標識投影部5から交通標識を示す標識パターン4が道路面Rに対して投影される。同時に、背景データ15を受信した調光ユニット13によって、赤色スポットライト11または緑色スポットライト12の点灯・消灯、及び照射光量の制御が行われた背景パターン6が、標識パターン4と重ね合わされて道路面Rに投影される。その結果、進行方向(図1における紙面右方向から左方向)に沿って移動する車両のドライバーは、道路面Rに標示された標識パターン4及び背景パターン6を視認することができる。
ここで、図4(a)は、料金ゲート3への進入を禁止する“進入禁止”を示すものであり、看板型の道路標識と同じく“○”の中に長棒が入った図形の標識パターン4が標識投影部5から投影されている。また、調光ユニット13によって、赤色スポットライト11を点灯し、その照射光量の出力を100%にする一方で、緑色スポットライト12を消灯し、照射光量の出力を0%にする制御を行っている。これにより、料金ゲート3の手前に、赤色の背景パターン6に重ね合わされた“○”と長棒の図形からなる標識パターン4が標示される。従って、料金ゲート3に進入しようとする車両を運転するドライバーは、料金ゲート3から離れた場所からであっても、赤色の背景パターン6を始めに視認することで、何らかの規制があることを感覚的に察知し、例えば、ブレーキを踏んで減速するような操作を行うことができる。そして、背景パターン6に重ね合わせて投影された進入禁止を示す図形からなる標識パターン4を視認することで、改めて料金ゲート3が進入禁止であることを確認し、進入可能な料金ゲート3に移動することができる。
一方、図4(b)は、料金ゲート3への進入を認める“進入可”を示すものであり、複数の矢型の図形が並列した標識パターン4が標識投影部5から投影されている。また、調光ユニット13によって、緑色スポットライト12を点灯し、その照射光量の出力を100%にする一方で、赤色スポットライト11を消灯し、照射光量の出力を0%にする制御を行っている。これにより、料金ゲート3の手前に、緑色の背景パターン6に重ね合わされた複数の矢型からなる標識パターン4が標示される。これにより、料金ゲート3に進入しようとする車両を運転するドライバーは、料金ゲート3から離れた場所からであっても、緑色の背景パターン6を始めに視認することで、感覚的に進入可であることを察知しながら料金ゲート3に近づき、背景パターン6に重ね合わせて投影された標識パターン4を視認することで、改めて料金ゲート3が進入可であることを確認し、料金ゲート3を通過することができる。
これにより、道路面Rに投影された標識パターン4及び背景パターン6によって料金ゲート3への進入の可否を示すことができ、ドライバーは視線を大きく動かすことなく、道路に標示された情報を認識することができる。更に、標識パターン4は、道路面Rに投影された背景パターン6と重ね合わせて投影されるため、夜間の暗い道路面R、濡れた道路面R、或いは雪で覆われた道路面Rなど、道路面Rの状態が異なっていても、標識パターン4の視認性が損なわれることがない。また、レーザLの投影による表示であるため、従来の道路標示とは異なり、塗装が剥がれるなど経年劣化により視認性が損なわれることがない。更に、投影操作部9からの操作によって、道路面Rに投影する標識パターン4や背景パターン6を速やかに切替えることができる。そのため、上述したように、料金ゲート3の手前の位置で道路面Rに投影を行う場合、車両の進入を許可する料金ゲート3の数を、朝夕の交通量の増減等に応じて適宜変更することができる。また、投影される表示の変更により、事故や渋滞の情報など車両を運転する際に有用な情報を、ドライバーに対して逐次提供することが可能となる。なお、投影する標識パターン4は、予め投影操作部9のデータ記憶部16に記憶されているものであっても、操作制御用ソフトウェアを用いて適宜作成されるものであっても良い。
加えて、背景パターン6の色を赤色及び緑色に切替えて投影することができるため、車両を運転するドライバーにとって信号標識と同じ感覚で、何らかの規制の有無を遠方から認識させることができるため、標示される交通標識の内容が理解しやすい。
次に、第二実施形態の投影システム1bについて、図6乃至図8を用いて説明する。ここでは、本発明を車載式の交通標識に適用した場合を例示する。なお、第一実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
投影システム1bは、透光性を有する表示用板材Bと、レーザを表示用板材Bの背面B1に照射して交通標識の標識パターンを投影する標識投影部5と、スポットライトの光を表示用板材Bの背面B1に照射して、標識パターンの背景となる背景パターンを標識パターンに重ね合わせて投影する背景投影部7と、標識投影部5及び背景投影部7の制御を行うシステム制御部10とを具備している。また、第一実施形態と同様に、スポットライトは赤色スポットライト11と緑色スポットライト12を備え、背景投影部7は調光ユニット13を備えている。
より詳細には、表示用板材Bは乳白色のアクリル樹脂製であり、正面B2を車両Tの後方に向けた状態で、荷台の後部に立設されている。標識投影部5は、荷台の前部において、レーザの照射方向を表示用板材Bの背面B1に向けて、配置されている。背景投影部7も同じく荷台の前部において、スポットライトの光の照射方向を表示用板材Bの背面B1に向けて、配置されている。なお、表示用板材Bの背面B1が、本発明の「投影面」に相当する。
システム制御部10は、ハード構成として、記憶装置と、記憶装置に記憶されたプログラムに従って処理を行う中央処理装置を備えた汎用のパーソナルコンピュータで構成されており、標識投影部5及び背景投影部7等を制御するための操作制御用ソフトウェアが記憶装置にインストールされている。システム制御部10は、標識投影部5及び背景投影部7に近接させて車両Tの荷台に設置され、標識投影部5及び背景投影部7と電気的に接続されている。
また、システム制御部10は、機能的構成として、標識パターンの標識データ14及び背景パターンの背景データ15を複数の交通標識に対応させて記憶したデータ記憶部16、操作者の入力に基づきデータ記憶部16から標識データ14及び背景データ15を抽出するデータ抽出部21、及び、抽出された標識データ14を標識投影部5に送信すると共に抽出された背景データ15を背景投影部7に送信するデータ送信部19を有している。ここで、標識データ14及び背景データ15は、表示用板材Bを透過した光を正面B2側から見たときに、認識させるべき交通標識を反転させた標識に対応させたデータである。
上記構成により、投影対象の交通標識を選択する操作者の入力に基づき、選択された交通標識に対応した標識データ14及び背景データ15がデータ記憶部16から抽出され、それぞれ標識投影部5及び背景投影部7に送信される。そして、標識データ14に基づいた標識パターンのレーザが、標識投影部5によって表示用板材Bの背面B1に向かって照射されると共に、背景データ15に基づいた背景パターンのスポットライトの光が、調光ユニット13によって調整された上で背景投影部7によって表示用板材Bの背面B1に向かって照射される。これにより、表示用板材Bを透過した標識パターン及び背景パターンによる交通標識を、車両Tの後方から(表示用板材Bの正面B2側から)視認することができる。
従って、本実施形態の投影システム1bによれば、看板型の標識を、経年劣化のおそれがなく、視認性が良好な標識とすることができる。また、標識データ14及び背景データ15の選択により、標示する内容を容易に変更することが可能であるため、事故の発生や天候による交通規制など、突発的な事態に応じた情報をリアルタイムに提供することができる。加えて、本実施形態は車載式の標識であるため、例えば、事故の発生現場に移動して、図8に例示する「事故通行止 ここで出よ」のような、その場に応じた情報を表示することができる。
次に、第三実施形態の投影システム1cについて、図10を用いて説明する。なお、第一実施形態及び第二実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し詳細な説明は省略する。
投影システム1cは、不透光性の表示用板材Pと、レーザを表示用板材Pの正面P1に照射して交通標識の標識パターンを投影する標識投影部5と、スポットライトの光を表示用板材Pの正面P1に照射し、標識パターンの背景となる背景パターンを、標識パターンに重ね合わせて投影する背景投影部7と、標識投影部5及び背景投影部7の制御を行うシステム制御部とを具備している。なお、表示用板材Pの正面P1が、本発明の「投影面」に相当する。
投影システム1cが第二実施形態の投影システム1bと相違する点は、標識パターン及び背景パターンを、表示用板材Pの正面P1に照射する点である。ここで、投影システム1cのハード構成及び機能的構成は、投影システム1bの構成として上述したものとほぼ同様とすることができるが、データ記憶部16に記憶されている標識データ14及び背景データ15は、表示用板材Pの正面P1に投影した光を正面側から見たときに、認識させるべき交通標識に対応させたデータである。また、投影システム1cでは、スポットライトの色は特に限定されず、例えば、行き先を案内する一般的な道路標識の背景に多用されている青色や、高速道路を案内する一般的な道路標識の背景に多用されている緑色とすることができる。なお、複数色のスポットライトを備えることができ、それぞれの色のスポットライトの照射出力を調整する調光ユニット13を備えていてもよい。
投影システム1cは、看板式の交通標識に本発明を適用した例である。標識パターン及び背景パターンを表示用板材Pの正面P1に投影するために、標識投影部5及び背景投影部7を表示用板材Pの前方に設置し、表示用板材Pの下方からレーザ及びスポットライトの光を照射したり(図10(a)参照)、表示用板材Pの上方からレーザ及びスポットライトの光を照射したり(図10(b)参照)することができる。或いは、レーザ及びスポットライトの光を反射させるミラーMを使用し、表示用板材Pの下方に配置した標識投影部5及び背景投影部7からレーザ及びスポットライトの光を照射してミラーMで反射させたり(図10(c)参照)、表示用板材Pの上方に配置した標識投影部5及び背景投影部7からレーザ及びスポットライトの光を照射してミラーMで反射させたり(図10(d)参照)することができる。
以上、本発明について好適な実施形態の投影システム1,1b,1cの例を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
例えば、第一実施形態の投影システム1において、有料道路の料金所2付近に設置するものを示したが、これに限定されるものではなく、交差点付近に設置し、信号標識に代替させ、或いは信号標識を補助するために使用するものであってもよい。更に、車両の進行の可否を示す標識パターン(図4(a),(b))を例示したが、これに限定されるものではなく、制限速度の標示(図5(a)参照)、転回禁止の標示(図5(b)参照)、或いは、行先を表す案内標識や車線を区画する区画線など、種々の交通標識を標識パターン4として標示するものであっても構わない。
また、第一実施形態及び第二実施形態の投影システム1,1bでは、背景パターン6を投影するために、赤色スポットライト11及び緑色スポットライト12を用いるものを示したが、これらの色に限定されるものではなく、標識パターン4の視認性を高めることができるものであれば、任意の色に設定することができる。更に、投影面の状況等によっては、背景投影部7による背景パターン6の照射出力を0%に制御するものであってもよい。すなわち、投影面がレーザLの照射に適したものであり、背景パターン6を投影しなくても良好な視認性を得られるものであれば、スポットライトの照射出力を0%、或いは、限りなく0%に近づけても構わない。
更に、第一実施形態の投影システム1において、一台の投影制御部8を用いて複数の標識投影部5及び背景投影部7を制御するものを示したが、これに限定されるものではなく、それぞれの標識投影部5及び背景投影部7毎に投影制御部8を設置するものであっても構わない。また、料金ゲート3に対して一方側で、標識パターン4及び背景パターン6を投影するものを示したが、これに限定されるものではなく、一つの料金ゲート3に対して二組の標識投影部5及び背景投影部7を設置し、料金ゲート3から双方向に向かって投影するものであってもよい。
また、第一実施形態の投影システム1において、料金所2から離れた管理棟22に投影操作部9を設置するものを示したが、これに限定されるものではなく、例えば、有料道路の状況を集中的に管理する道路管理センター等の施設に投影操作部9を設置し、複数の料金所2とインターネット回線等を通じて接続し、個々の料金ゲート3に投影する標識パターン4及び背景パターン6を一括して管理するものであってもよい。これにより、例えば、大規模な事故や災害が発生した場合に、各地で情報を一斉に切替えて道路面Rに標示することができる。
加えて、第二実施形態の投影システム1bでは、車両Tの荷台にシステム制御部10が設置される場合を例示したが、これに限定されず、例えば車両Tの内部にシステム制御部10を設置し、標識投影部5及び背景投影部7と無線通信を行う構成とすることができる。
また、第二実施形態の投影システム1b及び第三実施形態の投影システム1cは何れも、表示用板材B,Pに近接して投影制御部を配置すると共に、投影制御部から離隔した位置に投影操作部を設け、通信ネットワークを介して通信することにより、交通標識の選択や変更を遠隔操作する構成とすることもできる。
更に、第二実施形態の投影システム1bでは、看板型の標識が車載式(移動式)である場合を例示したが、これに限定されず、図9に示すように、道路など設置面に固定される看板型の標識に、本発明の投影システムを適用することができる。これは、透光性を有する表示用板材Bを看板とし、表示用板材Bの背後のスペースに標識投影部5、背景投影部7、及びシステム制御部10を配置し、表示用板材Bの背面B1に標識パターン4及び背景パターン6を投影するものである。
加えて、上記の実施形態とは異なり、投影面を建築物や構造物の壁面とすることができる。例えば、図11(a),(b)に例示するように、道路を跨ぐ陸橋に標識投影部5及び背景投影部7を配置し、陸橋の壁面Wに標識パターン4及び背景パターン6を投影することができる。
1,1b,1c 投影システム(交通標識投影システム)
4 標識パターン
5 標識投影部
6 背景パターン
7 背景投影部
8 投影制御部
9 投影操作部
10 システム制御部
11 赤色スポットライト(スポットライト)
12 緑色スポットライト(スポットライト)
13 調光ユニット
14 標識データ
15 背景データ
16 データ記憶部
17 操作側通信部
18 制御側通信部
19 データ送信部
L レーザ
N 無線通信ネットワーク(通信ネットワーク)
R 道路面(投影面)
B1 表示用板材Bの背面(投影面)
P1 表示用板材Pの正面(投影面)
W 壁面(投影面)

Claims (5)

  1. レーザを照射して交通標識の標識パターンを投影面に投影する標識投影部と、
    スポットライトの光を照射して前記標識パターンの背景となる背景パターンを、前記標識パターンに重ね合わせて前記投影面に投影する背景投影部と、
    前記標識パターンの標識データ及び前記背景パターンの背景データを複数の交通標識に対応させて記憶したデータ記憶部、及び、前記標識データを前記標識投影部に送信すると共に前記背景データを前記背景投影部に送信するデータ送信部を有するシステム制御部と
    を具備することを特徴とする交通標識投影システム。
  2. 前記スポットライトは、
    赤色光を照射可能な赤色スポットライトと、
    緑色光を照射可能な緑色スポットライトとを備え、
    前記背景投影部は、
    前記データ送信部から送信された前記背景データを受信し、受信した前記背景データに基づいて前記赤色スポットライト及び前記緑色スポットライトの照射出力を調整する調光ユニットを備える
    ことを特徴とする請求項1に記載の交通標識投影システム。
  3. 前記システム制御部は、
    前記標識投影部及び前記背景投影部と電気的に接続された投影制御部と、
    前記投影制御部と離間した位置に設置された投影操作部とを有し、
    前記投影操作部は、
    前記データ記憶部と、
    前記データ記憶部に記憶された前記標識データ及び前記背景データを、通信ネットワークを介して前記投影制御部まで送信する操作側通信部とを有し、
    前記投影制御部は、
    送信された前記標識データ及び前記背景データを受信する制御側通信部と、
    受信した前記標識データを前記標識投影部に送信すると共に前記背景データを前記背景投影部に送信する前記データ送信部とを有する
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の交通標識投影システム。
  4. 前記投影面は道路面であり、
    前記標識パターン及び前記背景パターンは、料金ゲートへの車両の進入の可否を表示するものである
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の交通標識投影システム。
  5. 透光性を有する表示用板材を更に具備し、
    前記標識投影部及び前記背景投影部は、それぞれ前記レーザ及び前記スポットライトの光を、前記投影面としての前記表示用板材の背面に照射する
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の交通標識投影システム。
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