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JP6043605B2 - 人工関節 - Google Patents
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Description

本発明は、人の関節を補綴するための人工関節に関する。
人の関節を補綴するための、人工肘関節、人工膝関節および人工股関節などの人工関節の関節部分には、樹脂と金属とが一体成形されてなる複合成形体が一般に使用されている。たとえば、特許文献1には、メチレン基を有する樹脂、具体的には超高分子量ポリエチレン(Ultra High Molecular Weight Polyethylene、略称UHMWPE)が樹脂として用いられた人工関節に関する技術が開示されている。
特開2010−180410号公報
従来技術の複合成形体では、樹脂と金属との境界部分において金属に対する樹脂の密着性が必ずしも高くはなく、樹脂が金属から部分的に剥離している場合がある。このように、複合成形体に剥離部分が発生した場合には、その複合成形体は、人工関節における関節部分としての機能を十分に果たせなくなる。その結果、人体内に埋設された人工関節を取り替える必要が生じ、患者にとって大きな負担となる。
本発明の目的は、樹脂と金属とが一体成形されてなる複合成形体において、金属に対して樹脂が高い密着性を有して固着され、剥離部分が発生するのが抑制された複合成形体、複合成形体の製造方法、および該複合成形体を備える人工関節を提供することである。
本発明者らは、樹脂と金属とが一体成形されてなる複合成形体において、剥離部分の分析を行った結果、金属に対する樹脂の密着性が金属の表面粗さと密接に関係があることを見出して本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、分子量が100万以上の超高分子量ポリエチレン樹脂からなる樹脂部と、
前記樹脂部と接触する接触面を有し、該接触面において前記樹脂部が固着され、前記接触面の算術平均粗さが9.3μm以上20μm以下である、金属からなる金属部と、を含み、樹脂と金属とが一体成形されてなる複合成形体、および
前記複合成形体の前記樹脂部における、前記金属部に固着された部分以外の少なくとも一部分に摺動可能に接触する接触部材、を含むことを特徴とする人工関節である。
た本発明は、前記複合形成体は、樹脂部である尺骨プレートと、金属部である尺骨ステムとからなる尺骨コンポーネントであり、前記接触部材は、上腕骨コンポーネントである人工肘関節を構成する人工関節である
本発明によれば、人工関節に用いられる複合成形体は、樹脂と金属とが一体成形されてなり、樹脂部と金属部とを含んで構成されている。樹脂部は、分子量が100万以上の超高分子量ポリエチレン樹脂からなり、金属部は、樹脂部と接触する接触面を有し、該接触面において樹脂部が固着されている。このような構成の本発明の複合成形体において、金属部は、少なくとも前記接触面の算術平均粗さが9.3μm以上20μm以下に設定されているので、金属の接触面における樹脂との接触面積を大きくすることができ、金属に対して樹脂が高い密着性を有して固着されたものとなる。その結果、樹脂と金属との境界部分において、樹脂が金属から部分的に剥離することを抑制することができる。
また人工関節は、関節部分を有し、この関節部分は、前記複合成形体と、接触部材とを含む。接触部材は、複合成形体における、金属部に固着された部分以外の少なくとも一部分に摺動可能に接触して設けられる。本発明の人工関節は、樹脂と金属との境界部分において、樹脂が金属から部分的に剥離することが抑制された複合成形体を含んで構成されているので、人体内に埋設して用いた場合、剥離部分が発生したことが原因で取り替える頻度を低下させることができ、患者への負担を軽減することができる。
た本発明によれば、尺骨プレートと尺骨ステムとの境界部分において、尺骨プレートが尺骨ステムから部分的に剥離することが抑制された尺骨コンポーネントを含んで構成されているので、人工肘関節を人体内に埋設して用いた場合、剥離部分が発生したことが原因で取り替える頻度を低下させることができ、患者への負担を軽減することができる。
本発明の一実施形態に係る複合成形体1の構成を概略的に示す図である。 本発明の一実施形態に係る複合成形体1の製造方法の第1例を示す工程図である。 本発明の一実施形態に係る複合成形体1の製造方法の第2例を示す工程図である。 本発明の一実施形態に係る人工関節の一例である人工肘関節100の構成を概略的に示す図である。 本発明の一実施形態に係る人工関節の一例である人工膝関節200の構成を概略的に示す図である。 本発明の一実施形態に係る人工関節の一例である人工股関節300の構成を概略的に示す図である。
図1は、本発明の一実施形態に係る複合成形体1の構成を概略的に示す図である。本実施形態の複合成形体1は、人の関節を補綴するための人工関節に用いられる、樹脂と金属とが一体成形されてなり、樹脂部2と金属部3とを含んで構成されている。
樹脂部2は、分子量が100万以上、好ましくは100万以上700万以下の超高分子量ポリエチレン(Ultra High Molecular Weight Polyethylene、略称UHMWPE)樹脂からなる。UHMWPEとしては、一般的に市販されているものを用いることができる。
ここで、樹脂部2を構成するUHMWPEの分子量は、135℃でデカヒドロナフタレン(デカリン)溶液の粘度測定により下記式(1)で決定されたものである。
分子量=5.37×10(固有粘度)1.49 …(1)
金属部3は、樹脂部2と接触する接触面3Aを有し、該接触面3Aにおいて樹脂部2が固着されている。金属部3は、金属材料によって構成され、その金属種は特に限定されるものではないけれども、チタン、チタン合金、およびコバルトクロム合金から選ばれる金属からなることが好ましい。
本実施形態の複合成形体1において、金属部3は、少なくとも前記接触面3Aの算術平均粗さ(Ra)が9.3μm以上、好ましくは9.3μm以上20μm以下、より好ましくは9.3μm以上10μm以下に設定されている。ここで、算術平均粗さは、JIS B0601:2001に準拠して測定されたものである。
本実施形態の複合成形体1において、金属部3は、少なくとも前記接触面3Aの算術平均粗さが9.3μm以上に設定されているので、金属部3の接触面3Aにおける樹脂部2との接触面積を大きくすることができ、金属部3に対して樹脂部2が高い密着性を有して固着されたものとなる。その結果、樹脂部2と金属部3との境界部分において、樹脂部2が金属部3から部分的に剥離することを抑制することができる。
なお、金属部3の接触面3Aの算術平均粗さが20μmを超えた場合でも、金属部3に対する樹脂部2の密着性は算術平均粗さが20μmの場合と変化がないので、算術平均粗さの上限値は20μmに設定される。また、金属部3に対する樹脂部2の密着性は、目視により評価することができ、金属部3の接触面3Aの全面にわたって樹脂部2が密着していない部分がない場合に「高い密着性」を有すると判断することができる。
次に、本実施形態の複合成形体1の製造方法について説明する。複合成形体1の製造方法としては、樹脂部2の形成手順が異なる2つの製造方法が挙げられる。
図2は、本発明の一実施形態に係る複合成形体1の製造方法の第1例を示す工程図である。複合成形体1の製造方法の第1例は、表面加工工程s1と、樹脂部形成工程s2とを含む。
表面加工工程s1では、金属部3を構成する金属部材の外表面の少なくとも一部分を、算術平均粗さが9.3μm以上、好ましくは9.3μm以上20μm以下、より好ましくは9.3μm以上10μm以下となるように表面加工する。算術平均粗さが上記の範囲となるように表面加工する方法としては、研磨材を物理的に擦り付けることで金属部材の表面を削っていく機械研磨、機械的な研磨だけではなく化学的な研磨と組合せたCMP研磨、化学反応によって金属部材の表面を研磨する化学研磨、電気化学的な方法で金属部材の表面を研磨する電解研磨などを挙げることができる。
表面加工工程s1において表面加工が施された金属部材は、樹脂部形成工程s2に供せられる。樹脂部形成工程s2では、金属部材の外表面において、表面加工工程s1で表面加工が施された部分に、加圧加熱下で圧縮成形することで、分子量が100万以上、好ましくは100万以上700万以下のUHMWPEからなる樹脂部2を形成する。金属部3を構成する金属部材において表面加工が施された部分が、樹脂部2が固着される接触面3Aとなる。樹脂部形成工程s2は、常温圧縮段階s2−1と、圧力降下温度上昇段階s2−2と、高温高圧維持段階s2−3と、冷却段階s2−4とを含む。
常温圧縮段階s2−1では、成形金型の所定位置に金属部3を構成する金属部材を配置した状態で、UHMWPEからなる樹脂粉末を成形金型に投入し、圧力200〜250MPa(たとえば、225MPa)、温度25℃(常温)で1〜10分間(たとえば、7分間)圧縮(プレス)する。
次に、圧力降下温度上昇段階s2−2では、圧力を常温圧縮段階s2−1で設定された値から20〜35MPa(たとえば、28MPa)に降下させ、温度を25℃から140〜275℃(たとえば、204℃)に上昇させて、10〜40分間(たとえば、25分間)保持する。
次に、高温高圧維持段階s2−3では、温度を圧力降下温度上昇段階s2−2で設定された高温で保持した状態で、圧力を圧力降下温度上昇段階s2−2で設定された値から100〜180MPa(たとえば、140MPa)に上昇させて、1〜10分間(たとえば、5分間)保持する。
次に、冷却段階s2−4では、圧力を高温高圧維持段階s2−3で設定された値で保持した状態で、10〜50分間(たとえば、30分間)かけて、温度を高温高圧維持段階s2−3で設定された値から25℃(常温)まで徐々に冷却する。
このようにして、樹脂部2と金属部3とを含んで構成される複合成形体1を製造することができる。本実施形態の複合成形体1の製造方法では、金属部3を構成する金属部材の外表面における樹脂部2が形成される部分に、算術平均粗さが9.3μm以上、好ましくは9.3μm以上20μm以下、より好ましくは9.3μm以上10μm以下となるように表面加工工程s1で表面加工を施すので、金属部3に対して樹脂部2を高い密着性を有して固着させることができる。その結果、樹脂部2が金属部3から部分的に剥離することが抑制された複合成形体1を得ることができる。
図3は、本発明の一実施形態に係る複合成形体1の製造方法の第2例を示す工程図である。複合成形体1の製造方法の第2例は、表面加工工程a1と、樹脂部形成工程a2とを含む。
表面加工工程a1では、金属部3を構成する金属部材の外表面の少なくとも一部分を、算術平均粗さが9.3μm以上、好ましくは9.3μm以上20μm以下、より好ましくは9.3μm以上10μm以下となるように表面加工する。算術平均粗さが上記の範囲となるように表面加工する方法としては、前述の複合成形体1の製造方法の第1例における表面加工工程s1と同様に、機械研磨、CMP研磨、化学研磨、電解研磨などを挙げることができる。
表面加工工程a1において表面加工が施された金属部材は、樹脂部形成工程a2に供せられる。樹脂部形成工程a2では、金属部材の外表面において、表面加工工程a1で表面加工が施された部分に、加圧加熱下で圧縮成形することで、分子量が100万以上、好ましくは100万以上700万以下のUHMWPEからなる樹脂部2を形成する。金属部3を構成する金属部材において表面加工が施された部分が、樹脂部2が固着される接触面3Aとなる。樹脂部形成工程a2は、予備成形品作製段階a2−1と、加圧加熱段階a2−2と、温度降下圧力上昇段階a2−3と、冷却段階a2−4とを含む。
予備成形品作製段階a2−1では、成形金型の所定位置に金属部3を構成する金属部材を配置した状態で、UHMWPEからなる樹脂粉末を成形金型に投入し、圧力0.5〜4MPa(たとえば、0.98MPa)、温度140〜180℃(たとえば、160℃)の加圧加熱下で10〜50分間(たとえば、30分間)圧縮(プレス)する。その後、圧力を維持した状態で、10〜50分間(たとえば、30分間)かけて、温度を25℃(常温)まで徐々に冷却して、予備成形品を作製する。
次に、加圧加熱段階a2−2では、予備成形品作製段階a2−1で作製された予備形成品を加圧加熱下で圧縮成形する。この加圧加熱段階a2−2では、圧力0.1〜1MPa(たとえば、0.5MPa)、温度140〜200℃(たとえば、180℃)の加圧加熱下で30〜90分間(たとえば、55分間)圧縮(プレス)する。
次に、温度降下圧力上昇段階a2−3では、温度を加圧加熱段階a2−2で設定された値から120〜150℃に降下させ、圧力を加圧加熱段階a2−2で設定された値から0.98〜4MPa(たとえば、2MPa)に上昇させる。
次に、冷却段階a2−4では、圧力を温度降下圧力上昇段階a2−3で設定された値で保持した状態で、10〜50分間(たとえば、30分間)かけて、温度を温度降下圧力上昇段階a2−3で設定された値から25℃(常温)まで徐々に冷却する。
このようにして、樹脂部2と金属部3とを含んで構成される複合成形体1を製造することができる。本実施形態の複合成形体1の製造方法では、金属部3を構成する金属部材の外表面における樹脂部2が形成される部分に、算術平均粗さが9.3μm以上、好ましくは9.3μm以上20μm以下、より好ましくは9.3μm以上10μm以下となるように表面加工工程a1で表面加工を施すので、金属部3に対して樹脂部2を高い密着性を有して固着させることができる。その結果、樹脂部2が金属部3から部分的に剥離することが抑制された複合成形体1を得ることができる。
次に、本実施形態の複合成形体1を人工関節に適用した例について、図4〜6を参照しながら説明する。複合成形体1は、たとえば、人工肘関節、人工膝関節、人工股関節などの人工関節の関節部分に用いることができる。
図4は、本発明の一実施形態に係る人工関節の一例である人工肘関節100の構成を概略的に示す図である。本実施形態の人工肘関節100は、非ヒンジタイプの人工肘関節であり、尺骨の近位部に固定される尺骨コンポーネント11と、上腕骨の遠位部に固定される上腕骨コンポーネント41とから構成されており、これらは分離した状態でそれぞれの骨端部に固定される。
尺骨コンポーネント11は、複合成形体1に相当する。この尺骨コンポーネント11は、複合成形体1の樹脂部2に相当する尺骨プレート21と、複合成形体1の金属部3に相当し、尺骨プレート21を尺骨に固定する尺骨ステム31とから構成されている。
尺骨プレート21は、環状部材の一部を半径方向に切り取ったような形状をしており、内面が上腕骨コンポーネント41と接触する摺動面214になっている。尺骨プレート21の摺動面214は、幅方向の両側の縁部から中央方向に向かって盛り上がって、円周方向に延びる突状部分213を形成している。
尺骨プレート21は、UHMWPEから成形されたトレイ基材211を有しており、このトレイ基材211の摺動面214に高分子膜212を被覆するようにしてもよい。高分子膜212は、たとえば、ホスホリルコリン基を有する化合物からなり、詳細には、ホスホリルコリン基を有する高分子鎖が表面に配列した構造になっている。このような構造は、生体膜の構造に類似している。ホスホリルコリン基を有する高分子膜212をトレイ基材211の摺動面214に被覆することによって、摺動特性を向上して耐摩耗性を改善することができる。
高分子膜212の膜厚は、10〜200nmであることが好ましい。高分子膜212の膜厚が10nm未満であると、耐摩耗性が不足して短期間で耐久性が劣化するので好ましくない。また、高分子膜212の膜厚が200nmより厚いと、高分子膜212の均質性が低下する傾向がみられ、部分的に皮膜が薄いまたは被膜がない部分が生じて、その部分から高分子膜212が剥離しまたはトレイ基材211が摩耗して、耐摩耗性が低下するので好ましくない。
また、トレイ基材211の摺動面214に高分子膜212を固定する方法としては、たとえば、紫外線を用いたグラフト重合によって、摺動面214にホスホリルコリン基を有する重合性モノマーを結合させることにより高分子膜212を固定することができる。この固定方法は、トレイ基材211を構成する樹脂材料の強度などの性能を劣化させることなく、摺動面214のみを修飾することができ、かつ結合部分が化学的に安定し、さらに、多量のホスホリルコリン基をトレイ基材211の摺動面214に形成して高分子膜212の密度を高めることができる。
高分子膜212の形成には、ホスホリルコリン基を有する重合性モノマーを用いるが、特に、一端にホスホリルコリン基を、他端にトレイ基材211を構成する樹脂材料とグラフト重合可能な官能基を有するモノマーを選択することにより、トレイ基材211の摺動面214に高分子膜212をグラフト結合させることができる。
高分子膜212を形成するときに用いる重合性モノマーとしては、たとえば、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、2−アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、4−メタクリロイルオキシブチルホスホリルコリン、6−メタクリロイルオキシヘキシルホスホリルコリン、ω−メタクリロイルオキシエチレンホスホリルコリン、4−スチリルオキシブチルホスホリルコリンなどがある。特に、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンが好ましい。
なお、高分子膜212は、ホスホリルコリン基を有する単一の重合性モノマーから構成した単独重合体のみならず、ホスホリルコリン基を有するモノマーと、たとえば他のビニル化合物モノマーとから成る共重合体から形成することもできる。これにより、高分子膜212に機械的強度向上などの機能を付加することもできる。
尺骨ステム31は、チタン、チタン合金、およびコバルトクロム合金から選ばれる金属からなる。尺骨ステム31は、尺骨プレート21を尺骨に固定するためのものであり、尺骨プレート21と接触する接触面31Aを有し、該接触面31Aにおいて尺骨プレート21が固着される。そして、尺骨ステム31では、少なくとも接触面31Aの算術平均粗さが9.3μm以上、好ましくは9.3μm以上20μm以下、より好ましくは9.3μm以上10μm以下に設定されている。
尺骨プレート21と尺骨ステム31とからなる尺骨コンポーネント11において、尺骨ステム31は、少なくとも接触面31Aの算術平均粗さが9.3μm以上に設定されているので、尺骨ステム31の接触面31Aにおける尺骨プレート21との接触面積を大きくすることができ、尺骨ステム31に対して尺骨プレート21が高い密着性を有して固着されたものとなる。その結果、尺骨プレート21と尺骨ステム31との境界部分において、尺骨プレート21が尺骨ステム31から部分的に剥離することを抑制することができる。
人工肘関節100は、尺骨プレート21と尺骨ステム31との境界部分において、尺骨プレート21が尺骨ステム31から部分的に剥離することが抑制された尺骨コンポーネント11を含んで構成されているので、人体内に埋設して用いた場合、剥離部分が発生したことが原因で取り替える頻度を低下させることができ、患者への負担を軽減することができる。
人工肘関節100の上腕骨コンポーネント41は、尺骨コンポーネント11の尺骨プレート21における、尺骨ステム31に固着された部分以外の少なくとも一部分に摺動可能に接触する接触部材として機能する。この上腕骨コンポーネント41は、金属またはセラミックスから成形されており、部分的に切り欠いたほぼ円筒状の形状になっている。上腕骨コンポーネント41の外面は、真ん中が僅かにくびれて滑車41Aを成している。上腕骨コンポーネント41の滑車41Aと、尺骨プレート21の突状部分213とが嵌め合うことにより、前後に屈伸可能な人工肘関節100が形成される。
図5は、本発明の一実施形態に係る人工関節の一例である人工膝関節200の構成を概略的に示す図である。本実施形態の人工膝関節200は、非ヒンジタイプの人工膝関節であり、脛骨の近位部に固定される脛骨コンポーネント12と、大腿骨の遠位部に固定される大腿骨コンポーネント42とから構成されており、これらは分離した状態でそれぞれの骨端部に固定される。
脛骨コンポーネント12は、複合成形体1に相当する。この脛骨コンポーネント12は、複合成形体1の樹脂部2に相当する脛骨プレート22と、複合成形体1の金属部3に相当し、脛骨プレート22を脛骨に固定する脛骨トレイ32とから構成されている。
脛骨プレート22は、その上面に、前方向(膝頭側の方向)Aから後ろ方向(膝裏側の方向)Pに延びる曲面状の凹みが形成されており、この凹みが、後述の大腿骨コンポーネント42の2つの曲面状突出部42Aと当接する摺動面223になっている。
脛骨プレート22は、UHMWPEから成形されたトレイ基材221を有しており、このトレイ基材221の摺動面223に高分子膜222を被覆するようにしてもよい。高分子膜222は、前述の尺骨プレート21に形成された高分子膜212と同様に、摺動面223にグラフト結合されたホスホリルコリン基含有高分子鎖から形成されている。
脛骨トレイ32は、チタン、チタン合金、およびコバルトクロム合金から選ばれる金属からなる。脛骨トレイ32は、脛骨プレート22を脛骨に固定するためのものであり、脛骨プレート22と接触する接触面32Aを有し、該接触面32Aにおいて脛骨プレート22が固着される。そして、脛骨トレイ32では、少なくとも接触面32Aの算術平均粗さが9.3μm以上、好ましくは9.3μm以上20μm以下、より好ましくは9.3μm以上10μm以下に設定されている。
脛骨プレート22と脛骨トレイ32とからなる脛骨コンポーネント12において、脛骨トレイ32は、少なくとも接触面32Aの算術平均粗さが9.3μm以上に設定されているので、脛骨トレイ32の接触面32Aにおける脛骨プレート22との接触面積を大きくすることができ、脛骨トレイ32に対して脛骨プレート22が高い密着性を有して固着されたものとなる。その結果、脛骨プレート22と脛骨トレイ32との境界部分において、脛骨プレート22が脛骨トレイ32から部分的に剥離することを抑制することができる。
人工膝関節200は、脛骨プレート22と脛骨トレイ32との境界部分において、脛骨プレート22が脛骨トレイ32から部分的に剥離することが抑制された脛骨コンポーネント12を含んで構成されているので、人体内に埋設して用いた場合、剥離部分が発生したことが原因で取り替える頻度を低下させることができ、患者への負担を軽減することができる。
人工膝関節200の大腿骨コンポーネント42は、脛骨コンポーネント12の脛骨プレート22における、脛骨トレイ32に固着された部分以外の少なくとも一部分に摺動可能に接触する接触部材として機能する。この大腿骨コンポーネント42は、金属またはセラミックスから成形されており、その下面側に、前方向Aから後ろ方向Pに弧を描いて延びる2つの曲面状突出部42A(内側顆と外側顆とに対応)を備えている。
人工膝関節200は、大腿骨コンポーネント42の曲面状突出部42Aと、脛骨プレート22の摺動面223とが摺動することにより、前後方向に屈伸可能になっている。
図6は、本発明の一実施形態に係る人工関節の一例である人工股関節300の構成を概略的に示す図である。本実施形態の人工股関節300は、バイポーラタイプの人工股関節であり、寛骨の臼蓋に固定されるアウターヘッド13と、大腿骨の近位端に固定される大腿骨ステム43とから構成されている。
アウターヘッド13は、複合成形体1に相当する。このアウターヘッド13は、後述の大腿骨ステム43の骨頭43Aを受容するものであり、複合成形体1の樹脂部2に相当するライナー23と、複合成形体1の金属部3に相当するアウターシェル33とから構成されている。
ライナー23は、半球状の中空部材であるアウターシェル33の内周面に沿って設けられる、UHMWPEから成形されたライナー基材231を有しており、このライナー基材231の摺動面233に高分子膜232を被覆するようにしてもよい。高分子膜232は、前述の尺骨プレート21に形成された高分子膜212と同様に、摺動面233にグラフト結合されたホスホリルコリン基含有高分子鎖から形成されている。
アウターシェル33は、半球状の中空部材であり、チタン、チタン合金、およびコバルトクロム合金から選ばれる金属からなる。アウターシェル33は、ライナー23を大腿骨ステム43の骨頭43Aに固定するためのものであり、ライナー23と接触する接触面33Aを有し、該接触面33Aにおいてライナー23が固着される。そして、アウターシェル33では、少なくとも接触面33Aの算術平均粗さが9.3μm以上、好ましくは9.3μm以上20μm以下、より好ましくは9.3μm以上10μm以下に設定されている。
ライナー23とアウターシェル33とからなるアウターヘッド13において、アウターシェル33は、少なくとも接触面33Aの算術平均粗さが9.3μm以上に設定されているので、アウターシェル33の接触面33Aにおけるライナー23との接触面積を大きくすることができ、アウターシェル33に対してライナー23が高い密着性を有して固着されたものとなる。その結果、ライナー23とアウターシェル33との境界部分において、ライナー23がアウターシェル33から部分的に剥離することを抑制することができる。
人工股関節300は、ライナー23とアウターシェル33との境界部分において、ライナー23がアウターシェル33から部分的に剥離することが抑制されたアウターヘッド13を含んで構成されているので、人体内に埋設して用いた場合、剥離部分が発生したことが原因で取り替える頻度を低下させることができ、患者への負担を軽減することができる。
人工股関節300の大腿骨ステム43は、アウターヘッド13のライナー23における、アウターシェル33に固着された部分以外の少なくとも一部分に摺動可能に接触する接触部材として機能する。この大腿骨ステム43は、金属またはセラミックスから成形されており、ボール状の骨頭43Aとステム本体43Bとからなる。骨頭43Aは、ステム本体43Bの近位部に固定されている。
人工股関節300は、ライナー基材231の摺動面233に大腿骨ステム43の骨頭43Aを嵌め込んで摺動させることにより、股関節として機能する。
1 複合成形体
2 樹脂部
3 金属部
3A 接触面
11 尺骨コンポーネント
12 脛骨コンポーネント
13 アウターヘッド
21 尺骨プレート
22 脛骨プレート
23 ライナー
31 尺骨ステム
32 脛骨トレイ
33 アウターシェル
41 上腕骨コンポーネント
42 大腿骨コンポーネント
43 大腿骨ステム
100 人工肘関節
200 人工膝関節
300 人工股関節

Claims (2)

  1. 子量が100万以上の超高分子量ポリエチレン樹脂からなる樹脂部と、
    前記樹脂部と接触する接触面を有し、該接触面において前記樹脂部が固着され、前記接触面の算術平均粗さが9.3μm以上20μm以下である、金属からなる金属部と、を含み、樹脂と金属とが一体成形されてなる複合成形体、および
    前記複合成形体の前記樹脂部における、前記金属部に固着された部分以外の少なくとも一部分に摺動可能に接触する接触部材、を含むことを特徴とする人工関節
  2. 前記複合形成体は、樹脂部である尺骨プレートと、金属部である尺骨ステムとからなる尺骨コンポーネントであり、前記接触部材は、上腕骨コンポーネントである人工肘関節を構成する請求項1記載の人工関節。
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