JP6048413B2 - 畜肉練り製品およびその製造方法 - Google Patents
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Description
しかし近年、健康志向の高まりから、高血圧や心臓病の原因となり得る食塩の添加量を減らした低塩食品のニーズが増えてきている。そのため、様々な低塩食品が開発されてきているが、低塩食品を製造するにあたり塩味が低下してしまうことが大きな課題として捉えられており、あらゆる食品において塩味代替技術の開発が進められている。畜肉練り製品においてもその傾向は同じで食塩添加量を減らす試みがなされているが、塩味のみならず結着性の低下が大きな課題となるため、物性面での食塩の機能を代替する技術が強く望まれていた。
物性面での食塩の機能を代替する方法としては知見が少ないが、トランスグルタミナーゼとタンパク加水分解物を併用するという技術(特開平10−117729号公報)が開示されている。低塩にもかかわらず硬さや弾力などの物性面での強度が顕著に付与され好ましい効果が見られるが、しなやかさや歩留りに若干の課題が残されており、食塩の機能を完全には代替しておらず、更なる機能の向上が期待されている。
一方、塩味増強技術は多数開示されており、アルギニンを用いた技術も幾つか知られている。タンパク酵素分解物とアルギニンを併用する方法(WO2009−119503)、グルタミン酸含有ジペプチドとアルギニンを併用する方法(WO2009−113563)などが開示されているが、いずれも物性に関する記述はない。
アルギニンが食肉製品の物性を向上させるという知見も幾つか存在し、アルギニンなどの塩基性アミノ酸を単独で用いる方法(特公昭57−021969号公報)、アルギニンとタンパク加水分解物などを併用する方法(特開平7−155138号公報)、アルギニンなどの塩基性アミノ酸と油脂および乳化剤からなる乳化液を用いる方法(特開2002−199859号公報)などが開示されているが、いずれにおいても食塩による結着性向上機能との比較は行っていない。
本発明者等は、鋭意研究を行った結果、アルギニンまたはその塩を用いて畜肉練り製品を製造することにより上記目的を達成しうることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は以下の通りである。
(1)原料肉100gあたりアルギニン換算で0.0001g〜10gのアルギニン又はその塩を添加することを特徴とする、食塩含量0.01%〜0.9%の畜肉練り製品の製造方法。
(2)原料肉100gあたりアルギニン換算で0.0001g〜10gのアルギニン又はその塩を用いることを特徴とする、食塩無添加の畜肉練り製品の製造方法。
(3)つなぎを使用せず、原料肉100gあたりアルギニン換算で0.0001g〜10gのアルギニンまたはその塩を用いることを特徴とする、つなぎ不使用の畜肉練り製品の製造方法。
(4)畜肉練り製品の食塩含量が0.00%〜0.9%である、(3)記載の畜肉練り製品の製造方法。
(5)(1)乃至(4)記載の方法で製造された畜肉練り製品。
(6)原料肉100gあたりアルギニン換算で0.0001g〜10gのアルギニン又はその塩を添加することを特徴とする、食塩含量0.01%〜0.9%の畜肉練り製品の歩留り向上方法又は物性向上方法。
本発明により、歩留りや物性の改善された低塩畜肉練り製品およびその製造方法を提供することができる。
本発明による畜肉練り製品の製造方法には、アルギニン又はその塩を用いる。アルギニン又はその塩の例としては、アルギニン、アルギニングルタミン酸塩、アルギニン塩酸塩、アルギニン酢酸塩、アルギニン酪酸塩、アルギニン硫酸塩などが挙げられ、その他いかなる塩でもよく、それらの組み合わせでも構わない。L体、D体、それらの混合物でもよい。また、本発明で用いるアルギニンもしくはその塩は、醗酵法、抽出法などいかなる方法で製造されたものでも構わない。尚、味の素(株)より市販されているL−アルギニンがその一例である。
本発明の畜肉練り製品としては、ハンバーグ、荒挽きソーセージ、ミートボール、ギョーザなどの荒挽き練り製品や、絹挽きソーセージ、チョップドハムなどの絹挽き練り製品が挙げられる。また、これらの冷凍品も含まれる。畜肉練り製品にアルギニン又はその塩を用いる場合は、製造時のどの段階で添加し、作用させても構わないが、結着性を効率的に向上させるためには荒挽き練り製品の混練時または絹挽き練り製品のカッティング時、もしくはそれ以前の工程で添加するのが望ましい。更に、アルギニン又はその塩を、食塩、糖類、香辛料、酵素等他の食品原料、食品添加物と併用しても構わない。ただし、本発明における食塩の添加量は、原料肉100gあたり0.00%〜2%、好ましくは0.00%〜0.9%、より好ましくは0.00%〜0.7%である。畜肉原料としては、豚、牛、鶏、羊、山羊、馬、らくだ、鳩、鴨、アヒル、鶉、アルパカなどいかなる動物由来の原料でもよく、生、乾燥、加熱品などいかなる状態、品質でも構わない。
畜肉練り製品の製造において、アルギニン又はその塩を添加し、畜肉原料に作用させる場合、アルギニン又はその塩の添加量は、アルギニン換算で畜肉原料100gに対して0.0001g〜10g、好ましくは0.001g〜5gの範囲が適正である。尚、アルギニン換算とは、アルギニン塩の重量にアルギニンの分子量を乗じ、アルギニン塩の分子量で除した値を意味する。例えば、アルギニン塩酸塩(分子量210.66)の場合、アルギニン塩酸塩1gのアルギニン換算は、1g×174.20÷210.66=0.83gとなる。さらに、澱粉、加工澱粉、デキストリン等の賦形剤、畜肉エキス等の調味料、植物蛋白、グルテン、卵白、ゼラチン、カゼイン等の蛋白質、蛋白加水分解物、蛋白部分分解物、乳化剤、クエン酸塩、重合リン酸塩等のキレート剤、グルタチオン、システイン等の還元剤、アルギン酸、かんすい、色素、酸味料、香料等その他の食品添加物等を混合してもよい。
本発明において、つなぎ不使用の畜肉練り製品とは、パン粉、麩、コーンミール、小麦粉、異種タンパク(卵白等の卵タンパク、大豆タンパク、乳タンパク、小麦タンパク、血液タンパク等)、異種タンパク分解物、澱粉(生澱粉、加工澱粉、α化澱粉、湿熱処理澱粉、油脂加工澱粉等)、澱粉分解物、増粘多糖類等のつなぎを使用しないで製造された畜肉練り製品を意味する。
アルギニン又はその塩を用いることにより、もしくはアルギニン又はその塩と食塩を混合することにより、つなぎ不使用でも、歩留りや物性の良好な畜肉練り製品を製造することができる。
図2は、本発明の実施例2に係る豚ゲルの歩留りおよび破断距離を示す図である。
図3は、本発明の実施例3に係る豚ゲルの歩留りおよび破断距離を示す図である。
図4は、本発明の実施例4に係る豚ゲルの歩留りおよび破断距離を示す図である。
図5は、本発明の実施例5に係る豚ゲルの歩留りおよび破断距離を示す図である。
図6は、本発明の実施例6に係るハンバーグの焼成歩留りを示す図である。
蒸留水と混合されたペースト状の肉は、脱気した後ビニール製のケーシングチューブ「クレハロンフィルム47mm×270mm」(呉羽化学工業社製)に詰め、クリッパーにて結搾した。ケーシングチューブに詰めたペースト肉の重量を測定した。ケーシングチューブに詰めた肉は、5℃にて1時間静置した後、プログラムインキュベーター「恒温恒湿槽LH21−13P」(ナガノ科学機械製作所社製)を用いて55℃にて1時間、75℃にて1時間加熱し、豚肉の加熱ゲルを得た。得られた加熱ゲルを豚ゲルと称した。豚ゲルは、5℃にて12時間保存した後、1時間室温にて静置した。豚ゲルのケーシングを開き、豚ゲル表面に付着した水分をペーパータオルにて拭き取った後、重量を測定した。加熱前のペースト状の肉の重量と比較することで、加熱歩留りを算出した(単位は%)。豚ゲルは、2cm幅にカットし、1本の豚ゲルから5つの円筒状の豚ゲル片を得た。2cm幅の円筒状の豚ゲル片は、曲面に対してプランジャーが挿入される方向にセットし、テクスチャーアナライザー「TA.XT.plus」(Stable Micro Systems社製)に供した。プランジャーはステンレス製の直径7mmの球体を使用し、テストスピードは1mm/secとした。破断点におけるプランジャーの挿入距離を破断距離(単位はmm)とし、各試験区5つのデータの平均値を求め、破断距離の実測値とした。以上により得られた加熱歩留りおよび破断距離の値を、図1に示す。尚、上述の通り畜肉練り製品における食塩の重要な機能として結着性の向上が挙げられ、それにより弾力やしなやかさ、保水性が向上するが、当試験における加熱歩留りは保水性と相関があり、破断距離はしなやかさと相関がある。従って、これらの指標は、畜肉練り製品における食塩の機能を示していることとなる。
アルギニンの添加量が0.0001%〜10%であり、食塩の添加量が0.01%〜0.9%である領域の全ての試験区において、歩留り、破断距離ともに、相乗効果が確認された。以上より、アルギニンを畜肉原料100gあたり0.0001g〜10g添加することを特徴とする食塩含量0.01%〜0.9%の畜肉練り製品において、歩留りおよび破断距離においてこれらが相乗的な効果を発揮することが示唆された。
Claims (5)
- 原料肉100gあたりアルギニン換算で0.0001g〜10gのアルギニン又はその塩を添加することを特徴とする、食塩含量0.01%〜0.9%の畜肉練り製品の製造方法。
- 原料肉100gあたりアルギニン換算で0.0001g〜10gのアルギニン又はその塩を用いることを特徴とする、食塩無添加の畜肉練り製品の製造方法。
- つなぎを使用せず、原料肉100gあたりアルギニン換算で0.0001g〜10gのアルギニンまたはその塩を用いることを特徴とする、つなぎ不使用の畜肉練り製品の製造方法。
- 畜肉練り製品の食塩含量が0.00%〜0.9%である、請求項3に記載の畜肉練り製品の製造方法。
- 原料肉100gあたりアルギニン換算で0.0001g〜10gのアルギニン又はその塩を添加することを特徴とする、食塩含量0.01%〜0.9%の畜肉練り製品の歩留り向上方法又は結着性向上方法。
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