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JP6059062B2 - 金属含有膜の製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、金属含有膜の製造方法に関する。
従来、金属イオンの有する種々の機能が注目され、活用されている。例えば、マイクロ孔やメソ孔を有する薄膜に銀イオンを導入した分離膜を用いて、プロパンなどのパラフィンとプロピレンなどのオレフィンとを分離することが提案されている(非特許文献1参照)。また、ポルフィリン化合物のコバルト錯体を高分子重合体中に分散せしめてなる膜を用いて、空気から酸素を透過濃縮することが提案されている(特許文献1参照)。
ところで、こうした膜は、自立膜として用いられることもあるが、多孔質基材表面に形成されて用いられることが多い。多孔質基材表面に膜を形成する方法としては、例えば、多孔質基材表面に、スルホン化ポリアリールエーテルポリマー溶液を付着させ、0〜120℃の温度で0〜3000フィート/分の風速で通風することにより、スルホン化ポリアリールエーテルの被膜を形成することなどが提案されている(特許文献2参照)。また、多孔質基材表面に、シリカゾルを接触させて付着させ、露点が−70〜0℃の風を送風してシリカゾルを乾燥させ、その後焼成することにより、シリカ膜を形成することなどが提案されている(特許文献3参照)。
特公平6−98278号公報 特開昭63−248409号公報 国際公開第WO2011/118252号
Microporous and Mesoporous Materials, 78 (2005) 235-243
しかしながら、多孔質基材表面に金属イオンを含む膜を形成する際、特許文献2,3のように、液体を含む原料を付着させて乾燥させる方法を適用すると、原料に含まれる金属イオンが液体とともに多孔質基材側に拡散するなどして、膜内の金属イオン濃度が低下してしまうことがあった。また、この場合、膜内の金属イオン濃度が低いために膜の機能を十分に発揮できないことがあった。このため、膜内の金属イオン濃度の低下を抑制することが望まれていた。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、金属イオン及び液体を含む原料を用いて多孔質基材表面に金属含有膜を製造する際、膜内の金属イオン濃度の低下を抑制することができるものを提供することを主目的とする。
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の金属含有膜の製造方法は、
金属イオン及び液体を含む原料を用い、多孔質基材表面に前記金属イオンを含む機能膜を形成する形成工程と、
前記機能膜の膜面側から前記機能膜の乾燥を促進する促進処理を行い、前記機能膜内の液体含有量が前記乾燥開始後1〜4時間の間に前記乾燥前の20質量%となるように前記機能膜の乾燥を行う乾燥工程と、を含むものである。
この金属含有膜の製造方法では、金属イオン及び液体を含む原料を用いて金属イオンを含む機能膜を形成し、機能膜の膜面側から乾燥を促進する促進処理を行いながら所定の速度で乾燥を行う。この金属含有膜の製造方法では、膜内の金属イオン濃度の低下を抑制することができるし、金属イオン濃度のばらつきが小さい。この理由は、以下のように推察される。例えば、乾燥の速度が十分に速いため、乾燥途中に金属イオンを含む液体が多孔質基材側へ拡散してしまうことを抑制でき、結果として膜内の金属イオン濃度の低下を抑制することができるものと考えられる。また、乾燥の速度が速すぎないため、乾燥ムラができにくく、結果として金属イオン濃度のばらつきを抑制できるものと考えられる。
本発明の金属含有膜の製造方法において、前記促進処理は、前記膜面に対して概平行に流れる風を前記膜面に送風する処理であるものとしてもよい。膜面に送風する処理であれば、比較的容易に乾燥を促進することができる。
本発明の金属含有膜の製造方法において、前記機能膜は、前記金属イオンを担持可能な担持部と、該担持部に結合した無機骨格及び/又は有機骨格と、をさらに含むものとしてもよい。こうしたものでは、担持部に金属イオンが担持されるため、金属イオンを含む液体が多孔質基材側へより拡散しにくく、また金属イオンの安定性が向上し変化を抑制できると考えられるからである。こうした製造方法において、前記形成工程では、前記金属イオンを担持可能な前記担持部と、該担持部に結合した前記無機骨格及び/又は前記有機骨格と、を備えた膜骨格を形成し、該膜骨格に前記金属イオン及び前記液体を含む金属イオン導入液を接触させて前記機能膜を形成するものとしてもよい。こうすれば、担持部と、この担持部に結合した無機骨格及び/又は有機骨格とをさらに含む機能膜の形成を、比較的容易に行うことができる。
本発明の金属含有膜の製造方法において、前記乾燥前の前記液体は、60質量%以上の水を含むものとしてもよい。
本発明の金属含有膜の製造方法において、前記多孔質基材は、流体の流路となる1以上のセルを形成する多孔質の隔壁部を備えた構造体であり、前記形成工程では前記隔壁部の内表面に前記機能膜を形成するものとしてもよい。
本発明の金属含有膜の製造方法において、前記金属イオンは、金属種として、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、コバルト、鉄及びアルカリ金属のうち1種以上を含むものとしてもよい。
構造体10の構成の概略の一例を示す説明図。 構造体10の製造方法を概念的に示す説明図。 乾燥時間と膜内含水率との関係を示すグラフ。 各実施例の膜内銀濃度のばらつきを示すグラフ。
本発明の金属含有膜の製造方法の一実施形態を、図面を用いて説明する。この実施形態では、分離膜として機能する金属含有膜を備え、混合流体の濃縮・分離などを行う膜エレメントとして用いられる構造体を製造する。図1は、構造体10の構成の概略の一例を示す説明図である。図2は、構造体10の製造方法を概念的に示す説明図である。
ここではまず、構造体10について説明する。
構造体10は、図1に示すように、混合流体の流路となる複数のセル12を形成する多孔質の隔壁部14と、隔壁部14の内表面15aに設けられた機能層16と、隔壁部14の端面15bに設けられたシール部18とを備えている。この構造体10では、機能層16は、混合流体を分離する分離膜として機能する。具体的には、入口側からセル12へ入った混合流体のうち、機能層16を通過可能な流体は機能層16が形成された多孔質の隔壁部14を通過して濃縮され、濃縮流体として構造体10の外周面から排出される。一方、機能層16を通過できない流体は、セル12の流路に沿って流通し、分離流体としてセル12の出口側から排出される。なお、混合流体としては、2種以上の気体を含むものとしてもよいし、2種以上の液体を含むものとしてもよい。また、気体と液体とを含むものとしてもよいし、気体と固体(粉体)とを含むものとしてもよいし、液体と固体とを含むものとしてもよいし、気体と液体と固体とを含むものとしてもよい。
この構造体10は、複数のセル12を備えたモノリス構造を有している。その外形は、特に限定されないが、円柱状、楕円柱状、四角柱状、六角柱状などの形状とすることができる。
セル12は、構造体10の軸方向に伸びる流路であり、貫通孔であってもよいし、一方の端部が目封止されていてもよい。また、セル12のうちの一部のセルは、両端が目封止され、隔壁部14に外部空間と連通するスリットが形成されていてもよい。両端が目封止され、隔壁部14にスリットが形成されたセルを有するものでは、機能層16を通過可能な流体がスリットを介して効率よく構造体10の外周面から排出される。セル12の断面形状としては、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形などの多角形の形状や、円形、楕円形などの流線形状、及びそれらの組み合わせとすることができる。このうち、四角形以上の多角形、楕円及び円のうちの1以上であることが好ましい。セル12に鋭角の角が形成されないため、濾過ケークの除去が容易だからである。セル12の開口の最大長さは、例えば、0.5mm以上10mm以下としてもよい。ここで、セル12の開口の最大長さとは、セル12の開口周上の2点を直線で結んだ場合に、その長さが最大となる2点間の長さをいうものとする。
隔壁部14は、主に、機能層16を支持する基材としての役割を果たすものであり、流体の流通を阻害しないよう、多孔質で形成されている。その気孔径は、機械的強度と濾過抵抗のバランスなどを考慮して適宜決定すればよいが、例えば、0.001μm〜数100μm程度とすることができる。なお、気孔径とは、平均細孔径を示すものとし、そのサイズに適した測定方法(例えばガス吸着法、水銀圧入法、SEM観察など)によって測定したものとすればよい。隣合うセル12の間の隔壁部14の厚みは、例えば、1mm以上5mm以下などとすることができる。また、最外周のセル12から外周面までの隔壁部14の厚みは、例えば、1mm以上5mm以下などとすることができる。隔壁部14は、樹脂などの有機材料を含むものとしてもよいし、無機材料を含むものとしてもよい。無機材料を含むものとしては、例えば、コージェライト、Si結合SiC、再結晶SiC、チタン酸アルミニウム、ムライト、窒化珪素、サイアロン、リン酸ジルコニウム、ジルコニア、チタニア、アルミナ及びシリカから選択される1以上の無機材料を含んで形成されているものとしてもよい。このうち、アルミナ及びチタニアが好ましい。原料が入手しやすく、隔壁部14の気孔径の制御が比較的容易であり、耐食性が高い点などにおいて有利だからである。
この隔壁部14は、気孔径の大きな粗粒部14aの表面に気孔径の小さな細粒部14bが形成された二層構造を有しているものとしてもよい。粗粒部14aの気孔径は、機械的強度と濾過抵抗のバランスなどを考慮して適宜決定すればよく、例えば、0.1μm〜数100μm程度とすることができる。細粒部14bの気孔径は、粗粒部14aの気孔径に比して小さいものであればよく、例えば、気孔径が0.001μm〜1μm程度のものとすることができる。こうした二層構造を有するものでは、粗粒部14aを備えることにより、隔壁部14の全体としての気孔径が大きくなるため、濾過抵抗を低減できる。一方、細粒部14bを備えることにより、隔壁部14の表面が平滑になり、機能層16やシール部18を均一に形成できる。なお、粗粒部14aと細粒部14bの材質は、同種のものでもよいし、異種のものでもよい。また、隔壁部14は、二層構造を有するものでなくてもよく、例えば、粗粒部14aと細粒部14bとの間に、中間の気孔径を有する中間層を備えた三層以上の層構造を有するものとしてもよいし、気孔径が連続的に変化するような傾斜材構造を有するものとしてもよいし、単層構造を有するものとしてもよい。
機能層16は、処理対象となる混合流体を分離する分離膜として機能するものである。この機能層16は、隔壁部14の内表面15aに設けられており、例えば、膜状に形成されていてもよいし、粒子層状に形成されていてもよい。この機能層16は、金属イオンを含むものである。金属イオンの種類は特に限定されないが、金属種として金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、コバルト、鉄、アルカリ金属などを含むものであることが好ましく、銀を含むものであることがより好ましい。銀イオンは、不飽和炭化水素の分離に特に適しているからである。金属イオンの濃度は特に限定されるものではないが、走査型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分析装置を用いて機能層16の表面のうち任意の5箇所を測定した場合に、その全てが7Atom%以上20Atom%以下であるものとしてもよく、8Atom%以上16Atom%以下であるものとしてもよい。また、濃度の標準偏差は0以上3.0以下であることが好ましく、0.1以上2.0以下であることがより好ましい。機能層16の厚さは、例えば、0.01μm〜数10μm程度とすることができる。なお、機能層16は、隔壁部14の端面15bにも設けられていてもよい。
この機能層16は、無機骨格及び/又は有機骨格などの膜骨格16aを有するものとしてもよい。こうした膜骨格16aは、金属イオンを担持可能な担持部に結合し、この担持部に金属イオンが担持されているものとしてもよい。無機骨格としては、例えば、ケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウムなどの金属元素が、酸素などを介して結合した鎖状構造や三次元構造の骨格が挙げられる。有機骨格としては、ポリスチレン系、アクリル系、エポキシ系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリウレタン系、ポリスルホン系、ポリエーテル系、ポリエーテルスルホン系などの公知の樹脂が挙げられる。担持部としては、例えば、カルボキシル基やスルホン基、リン酸基、ホスホン酸基、フェノール性水酸基などの陽イオン交換基が挙げられる。
シール部18は、隔壁部14の端面15bからの流体の流入や流出を防ぐためのものであり、隔壁部14の端面15bに設けられている。このシール部18の材質としては、例えば、ガラスやセラミックス、樹脂などのうち緻密質なものを用いることができる。このシール部18は、例えば、原料を含むスラリーを隔壁部14の端面15bに塗布・乾燥し、必要に応じて焼成や硬化処理を行うことにより形成したものとしてもよい。原料を含むスラリーは、ガラス粉末やセラミックス粉末、樹脂粉末などの原料の他、溶媒や、有機結合剤などを含むものとしてもよい。また、シール部18の前駆体を含む前駆体スラリーとしてもよい。塗布方法は、特に限定されず、例えば上述したスラリーをスポンジに含浸させてそのスポンジを隔壁部14の入口側や出口側に押しつけるスタンプにより塗布してもよい。また、上述したスラリーに、隔壁部14の入口側や出口側を浸漬させるディッピングにより塗布してもよい。また、スプレーなどにより塗布してもよい。
次に、構造体10の製造方法について説明する。この製造方法は、隔壁部14を形成する隔壁部形成工程と、隔壁部14の内表面15aに機能層16を形成する形成工程と、機能層16を乾燥する乾燥工程と、を含むものとしてもよい。
[隔壁部形成工程]
隔壁部形成工程では、所定形状の隔壁部14を形成する。ここでは、一例として、図1に示すように、粗粒部14aの表面に細粒部14bが形成された2層構造を有する隔壁部14を形成する場合について説明する。こうした二層構造を有する隔壁部14は、例えば以下のように作製することができる。まず、粗粒部14aを形成する。具体的には、骨材粒子、分散媒の他、必要に応じて界面活性剤などの添加剤を混合し混練して坏土を得て、その坏土を成形し、乾燥し、焼成する方法によって得ることができる。気孔径は、例えば、骨材粒子の平均粒子径を調整することによって制御できる。続いて、粗粒部14aの表面に細粒部14bを形成する。具体的には、骨材粒子、分散媒の他、必要に応じて界面活性剤などの添加剤を混合することによってスラリーを調整し、そのスラリーを、粗粒部14aの表面に成膜し、乾燥し、焼成して形成することができる。
[形成工程]
形成工程では、金属イオン及び液体を含む原料を用いて、隔壁部14の内表面15aに機能層16を形成することができる。金属イオンは、特に限定されるものではないが、金属種として、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、コバルト、鉄及びアルカリ金属のうち1種以上を含むものであることが好ましい。金属イオン及び液体を含む原料は、こうした金属イオンと対をなすアニオンとして、BF4 -や、NO3 -、ClO4 -、CF3SO3 -、CFCO2 -などを含むものとしてもよい。液体の種類は特に限定されるものでなく、アルコール等の各種有機溶媒や、水を含むものとすることができる。このうち、水を含むものであることが好ましく、60質量%以上の水を含むものであることがより好ましく、80質量%以上の水を含むものであることがさらに好ましい。形成工程で形成される機能層16は、金属イオンと液体とを含んでいればよいが、機能層16の骨格となる膜骨格16aをさらに含んでいることが好ましい。
機能層16を形成する方法としては、例えば、図2に示すように、隔壁部14の内表面15aに膜骨格16aを形成し(図2(a)参照)、形成した膜骨格16aに、金属イオン及び液体を含む原料である金属イオン導入液16bを接触させることによって(図2(b)参照)、膜骨格16aと金属イオン導入液16bとを含む機能層16を形成してもよい。膜骨格16aの形成は、例えば、以下のように行うものとしてもよい。まず、膜骨格16aの原料となるゾルを作製する。このゾルは、例えば、陽イオン交換基を有する金属アルコキシド原料を加水分解及び重合させたり、陽イオン交換基を含むポリマー溶液に金属アルコキシドを添加して加水分解及び重合させたりすることにより作製できる。得られたゾルを、隔壁部14の内表面15aに形成し、乾燥させ、焼成する。こうした形成・乾燥・焼成を1回以上繰り返すことで、有機無機複合骨格に結合し金属イオンと結合可能な陽イオン交換基を有する膜骨格16aを形成することができる。続いて、所望の金属イオンを含む金属イオン導入液16bを用いてイオン交換を行うことにより、所望の金属イオンが担持部に担持された機能層16とすることができる。金属イオン導入液16bは、例えば、80質量%以上の液体を含むものとしてもよいし、90質量%以上の液体を含むものとしてもよい。また、金属イオン導入液16bを接触させる時間は、1時間以上100時間以下が好ましい。1時間以上とすれば、担持部に金属イオンが十分に担持されると考えられる一方、100時間以上接触させても、担持部に担持される金属イオンの量は増加しないと考えられるからである。膜骨格16aに金属イオン導入液16bを接触させる方法は、特に限定されず、金属イオン導入液16bに隔壁部14を浸漬させる方法や、セル12内に金属イオン導入液16bを満たして所定時間保持する方法や、セル12の軸方向を鉛直方向に一致させた状態でセル12内に金属イオン導入液16bを流下させる方法や、スプレーする方法など、公知の方法を適用することができる。なお、こうした機能層16を形成する際、あらかじめ膜骨格16aが形成された隔壁部14を準備しておき、それに金属イオン導入液16bを用いてイオン交換を行うことにより、形成してもよい。
機能層16を形成する方法としては、上述した方法のほか、膜骨格材料と金属イオンと液体とを含む混合原料液を、隔壁部14の内表面15aに接触させて形成してもよい。なお、隔壁部14の内表面15aに混合原料液を接触させたりする方法は、膜骨格16aに金属イオン導入液16bを接触させる方法と同様の方法を適用することができる。
[乾燥工程]
乾燥工程では、機能層16の膜面17側から機能層16の乾燥を促進する促進処理を行い、機能層16内の液体含有量が、乾燥開始後1〜4時間の間に乾燥前の20質量%となるように乾燥を行う。つまり、乾燥開始後1時間経過した時点では乾燥前の20質量%以上となり、かつ、乾燥開始後4時間を経過した時点では乾燥前の20質量%以下となるような条件で乾燥を行う。このうち、機能層16内の金属濃度の低下を抑制する観点からは、機能層16内の液体含有量が乾燥開始後1〜3時間の間に乾燥前の20質量%となるようにすることが好ましく、1〜2時間の間に乾燥前の20質量%となるようにすることがより好ましい。一方、機能層16内の金属濃度のばらつきを抑制する観点からは、機能層16内の液体含有量が乾燥開始後2〜4時間の間に乾燥前の20質量%となるようにすることが好ましく、3〜4時間の間に乾燥前の20質量%となるようにすることがより好ましい。
促進処理としては、例えば、機能層16の膜面17に対して概平行に流れる風を膜面17に送風して乾燥する処理が挙げられる(図2(c)参照)。こうした処理であれば、比較的容易に乾燥を促進することができる。促進処理として、機能層16の膜面17に対して概平行に流れる風を膜面17に送風する処理を行う場合、その風速は、5.0m/s以上が好ましく、6.0m/s以上がより好ましい。また、10m/s以下が好ましく、9.0m/s以下がより好ましい。こうした送風条件では、常温で、好適な乾燥を行うことができるからである。風温度は、例えば、10℃以上が好ましい。10℃よりも低い温度の風では、乾燥が促進されにくい。また、例えば、80℃以下が好ましい。80℃よりも高い温度では、膜面にクラックなどが発生することがある。風温度は、このうち、例えば20℃以上としてもよいし、25℃以下や30℃以下としてもよい。風露点は、送風温度より低いことが好ましく、例えば、−70℃以上としてもよいし、70℃以下としてもよい。露点温度を低下させるには、例えば、吸着剤が強力に結合されたハニカム構造の除湿ロータで湿分を吸着させてもよい。なお、促進処理としては、上述したもののほか、送風を行うことなく機能層16の膜面17側の雰囲気の露点を低下させる方法などが挙げられる。
促進処理は、乾燥開始から、機能層16内の液体含有量が乾燥開始前の20質量%以下となるまで行うことが好ましく、10質量%以下となるまで行うことがより好ましく、1質量%以下となるまで行うことがさらに好ましい。こうすれば、機能層16内の液体含有量が、乾燥開始後1〜4時間の間に乾燥前の20質量%となるような乾燥を、より容易に行うことができるからである。
以上説明した構造体10の製造方法によれば、機能層16内の金属イオン濃度の低下を抑制することができるし、金属イオン濃度のばらつきが小さい。この理由は明らかではないが、以下のように推察される。図2(d)のように自然乾燥を行う場合には、隔壁部14が多孔質であるため、毛細管現象などによって、金属イオンを含む液体が隔壁部14側に拡散しやすい。これに対して、実施形態の製造方法では、図2(c)に示すように、所定条件で送風乾燥を行うが、液体が機能層16側から蒸発し、かつ乾燥の速度が十分に速いため、金属イオン導入液16bが隔壁部14側へ拡散してしまうことを抑制でき、結果として機能層16内の金属イオン濃度の低下を抑制することができるものと考えられる。また、乾燥の速度が速すぎないため、乾燥ムラができにくく、結果として機能層16内の金属イオン濃度のばらつきを抑制できるものと考えられる。
また、構造体10は、複数のセル12を備えたモノリス形状であるため、1つのセルを備えたチューブラー形状のものに比して単位体積当たりの機能層の面積が大きく、混合流体の分離効率がよい。こうした構造体10は、分離膜としての機能層16を備えた膜エレメントとして用いることができる。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の隔壁部14が本発明の多孔質基材に相当し、機能層16が機能膜に相当する。なお、この実施形態では、構造体10の製造方法を説明することにより、本発明の金属含有膜の製造方法の一例を明らかにしている。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、構造体10の製造方法は、隔壁部形成工程を含むものとしたが、こうした工程を省略してもよく、例えば、あらかじめ準備した多孔質基材を用いてもよい。
例えば、上述した実施形態では、多孔質基材として、複数のセル12を備えたモノリス形状の構造体10を用いるものとしたが、1つのセルを備えたチューブラー形状の構造体を用いてもよいし、平板状などの構造体を用いてもよい。
以下には、構造体10を具体的に作製した例を実施例として説明する。
[実施例1〜5,比較例1〜3]
1.構造体10の作製
(A)隔壁部14の作製
(A−1)粗粒部14aの作製
骨材粒子として平均粒子径50μmのアルミナ粒子を用い、これに、有機結合剤、水を添加し、混練して坏土を得た。次に、プランジャー押出機を使用して、得られた坏土を押出成形し、外径が30mmφ、長さが160mmであり、流路の直径が2.5mmであるセルを55個有する成形体を得た。そして、得られた成形体を、熱風循環型乾燥機を使用して、100℃で24時間乾燥させ、乾燥させた成形体を、電気炉を用いて、焼成し、粗粒部14aを得た。焼成条件は、温度1500℃ 、焼成時間1時間、昇温速度や降温速度は100℃/時間とした。
(A−2)細粒部形成用スラリーの塗布
骨材粒子として平均粒子径10μm程度のアルミナ粒子を用い、アルミナ粒子30質量%に分散剤を添加して細粒部形成用スラリーを調製した。そして、その細粒部形成用スラリーを、粗粒部14aの表面に塗布した。塗布方法としては、特公昭63−66566号公報に記載の複層フィルタの製造方法(焼成を除く)に従った。
(A−3)焼成
大気雰囲気下、電気炉にて焼成を行い、細粒部14b形成した。焼成条件は1200℃、1時間とし、昇温速度や降温速度は100℃/時間とした。こうして、粗粒部14aと細粒部14bとを有する隔壁部14を得た。なお、細粒部14bは、250μm程度の極めて薄い層として形成されるため、セル12の開口の最大長さ(流路の直径)には影響を与えない。
(A−4)シール部18の形成
シール部18の材料として、平均粒子径10μmのガラス粉末100質量部に、有機結合剤としてメチルセルロース2質量部を添加し、更に、水を加えて、混合することによってシール部形成用スラリーを調製した。そして、そのシール部形成用スラリーをスポンジに均一に含ませ、そのスポンジを押し付けることにより、隔壁部14の端面15bに塗布した。その後、大気雰囲気下、電気炉にて焼成を行いシール部18を形成した。焼成条件は1000℃、1時間とし、昇温速度や降温速度は100℃/時間とした。こうして、隔壁部14の内表面端部15aにシール部18を形成した。
(B)膜骨格16aの形成
(B−1)ゾルの作製
カルボキシエチルシラントリオールナトリウム塩を25質量%含む水溶液8gに、硝酸1gを添加した後に、ウォーターバス中にて、60℃で6時間加熱処理を施すことで、加水分解及び重合を進行させた。
(B−2)形成
得られたゾルを用いて、特開2012−40549号公報の実施例に従って形成を行った。具体的には、まず、シール部18を形成した隔壁部14の外周面をマスキングテープでマスクした。次に、隔壁部14を流下成膜装置に固定した。そして、流下成膜装置のタンクに作製したゾルを溜め、上部からゾルを流し込みセル12内を通過させた。その後上部から風速5m/sの風を送り、余剰なゾルを除去した。
(B−3)乾燥
さらに、特開2012−40549号公報の実施例に従って乾燥を行った。具体的には、ゾルを流し込んでゾルを付着させた隔壁部14のセル12内を、30秒以内に除湿送風機を用いて室温の風を通過させて30分間乾燥させた。なお、風速は、5〜20m/s、風露点は、−70〜0℃とした。
(B−4)焼成
大気雰囲気下、電気炉にて、150℃で2時間保持することにより焼成を行った。
上記(B−2)〜(B−4)の形成・乾燥・焼成を合計6回繰り返して、隔壁部14の内表面15に膜骨格16aを形成した。
(C)金属イオンの導入
(C−1)イオン交換
隔壁部14の外周面をマスキングテープでマスクした。次に、送液ポンプを用いて、隔壁部14の下部(入口側又は出口側)から0.5mol/LのAgBF4水溶液(金属イオン導入液16b)を送液してセル12の上端(出口側又は入口側)まで満たし、その状態で24時間放置した。その後、送液ポンプでAgBF4水溶液を隔壁部14の下部から排出した。
(C−2)乾燥
(B−3)の乾燥に倣って乾燥を行った。このときの乾燥条件は、表1に示す条件とした。
2.膜内含水率(液体含有量)の評価
まず、イオン交換後乾燥前の膜内含水量WF0(g)と乾燥開始後T時間経過後の膜内含水量WFT(g)を以下の式(1)(2)により求めた。
WF0=W0−WE・・・(1)
WFT=WT−WE・・・(2)
W0:イオン交換後乾燥前の質量、WT:イオン交換後T時間乾燥後の質量、WE:乾燥処理後80℃、50時間熱処理し全水分を除去した後の質量。
続いて、乾燥前の膜内含水量に対する、膜形成後T時間乾燥後の膜内含水量の割合を示す膜内含水率WF(質量%)を以下の式(3)により求めた。
WF=(WFT/WF0)×100・・・(3)
3.銀濃度の評価
走査型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分析装置を用いて、機能層16表面の銀原子濃度を測定した。測定は、無作為に選んだ5箇所について倍率は500倍で行い、その平均値と標準偏差を求めた。
4.実験結果
表1は、銀濃度の評価結果を示すものである。また、図3は、乾燥時間と膜内含水率との関係を示すグラフであり、図4は、各実施例の膜内銀濃度のばらつきを示すグラフである。
表1及び図3より、風速以外の乾燥条件がほぼ同程度である場合には、風速を速くするほど、膜内含水率の低下速度が速くなり、膜内含水率の低下速度が速いほど、乾燥後の膜内銀濃度の平均値が高くなることがわかった。
また、表1によれば、膜内含水率が20質量%となるまで送風乾燥し、その後送風をやめて大気中で自然乾燥した実施例5では、乾燥後の膜内銀濃度の平均値は高かった。これに対して、膜内含水率が30質量%となるまで送風乾燥し、その後送風をやめて大気中で自然乾燥した比較例3では、乾燥後の膜内銀濃度の平均値は低かった。このことから、膜内含水率が20質量%以下となるまでは促進処理を行うことが好ましいことがわかった。
また、表1及び図4によれば、比較例1では、膜内含水率の低下が速く、乾燥後の膜内銀濃度の平均値が高かったものの、測定部位ごとの銀濃度のばらつきが大きかった。これは、乾燥が速すぎると、乾燥が不均一になるためと推察された。このことから、機能層16内の膜内含水率が、乾燥開始後1時間以上経過後に乾燥前の20質量%となるような速度で乾燥を行うこと必要があることがわかった。
また、表1及び図4によれば、比較例2では、膜内含水率の低下が遅く、乾燥後の膜内銀濃度の平均値が低かった。これは、銀イオン含有水溶液が隔壁部14の外周面から乾燥したり、銀イオンが膜内部から基材へ移動したためと推察された。このことから、機能層16内の膜内含水率が、乾燥開始後4時間経過以前に乾燥後の20質量%となるような速度で乾燥を行う必要があることがわかった。
本発明は、例えば、流体の濃縮、分離、浄化などを行う技術分野に利用可能である。
10 構造体、12 セル、14 隔壁部、14a 粗粒部、14b 細粒部、15a 内表面、15b 端面、16 機能層、16a 膜骨格、16b 金属イオン導入液、17 膜面、18 シール部。

Claims (10)

  1. 混合流体の濃縮及び/又は分離を行う金属含有膜の製造方法であって、
    金属イオン及び液体を含む原料を用い、多孔質基材表面に前記金属イオンを含む機能膜を形成する形成工程と、
    前記機能膜の膜面側から前記機能膜の乾燥を促進する促進処理を行い、前記機能膜内の液体含有量が前記乾燥開始後1〜4時間の間に前記乾燥前の20質量%となるように前記機能膜の乾燥を行う乾燥工程と、
    を含む金属含有膜の製造方法。
  2. 前記促進処理は、前記膜面に対して平行に流れる風を前記膜面に送風する処理である、請求項1に記載の金属含有膜の製造方法。
  3. 前記機能膜は、前記金属イオンを担持可能な担持部と、該担持部に結合した無機骨格及び/又は有機骨格と、をさらに含む、
    請求項1又は2に記載の金属含有膜の製造方法。
  4. 前記形成工程では、前記金属イオンを担持可能な前記担持部と、該担持部に結合した前記無機骨格及び/又は前記有機骨格と、を備えた膜骨格を形成し、該膜骨格に前記金属イオン及び前記液体を含む金属イオン導入液を接触させて前記機能膜を形成する、
    請求項3に記載の金属含有膜の製造方法。
  5. 前記乾燥前の前記液体は、60質量%以上の水を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属含有膜の製造方法。
  6. 前記多孔質基材は、流体の流路となる1以上のセルを形成する多孔質の隔壁部を備えた構造体であり、
    前記形成工程では前記隔壁部の内表面に前記機能膜を形成する、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属含有膜の製造方法。
  7. 前記金属イオンは、金属種として、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、コバルト、鉄及びアルカリ金属のうち1種以上を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の金属含有膜の製造方法。
  8. 前記乾燥工程では、80℃以下で前記機能膜の乾燥行う、請求項1〜7のいずれか1項に記載の金属含有膜の製造方法。
  9. 前記乾燥工程では、風露点が−70℃以上70℃以下の範囲の条件で送風する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の金属含有膜の製造方法。
  10. 前記機能膜は、ケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウムのうち1以上の金属元素が酸素を介して結合した膜骨格を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の金属含有膜の製造方法。
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