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JP6067977B2 - 光線遮蔽性再生セルロース繊維、その製造方法及び繊維構造物 - Google Patents
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光線遮蔽性再生セルロース繊維、その製造方法及び繊維構造物 Download PDF

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Description

本発明は、光線遮蔽性再生セルロース繊維、その製造方法及び繊維構造物に関する。詳しくは、特定の酸化チタン系粒子を含有する光線遮蔽性再生セルロース繊維、その製造方法及び繊維構造物に関する。
再生セルロース繊維は、ビスコース法、銅アンモニア法、溶剤紡糸法等様々な方法で製造されることが知られている。レーヨン繊維等の再生セルロース繊維は基質がセルロースであるため、肌にも環境にもやさしい。
近年、衣料用繊維や産業機材用繊維に赤外線等の輻射線遮蔽性や赤外線反射機能を持たせることが提案されている。例えば、特許文献1には、太陽光線、熱線等の輻射線に対する遮蔽性を付与するため、酸化亜鉛又は酸化亜鉛を主体とするセラミック粉末をポリエステル等の繊維中に練り込むことが提案されている。また、特許文献2には、赤外線を反射させるため、特定の粒径の酸化チタン粒子をポリエステル等の合成繊維に練り込むことが提案されている。
しかし、特許文献1で提案されているセラミック粉末中の酸化亜鉛は、レーヨン繊維の紡糸工程中に紡糸浴中に溶出してしまい、レーヨン繊維に練りこむことが困難である。また、特許文献2では赤外線反射機能を高めるために導電性の金属酸化物膜で酸化チタン粒子の表面を被覆しているが、コストが高くなるという問題がある。
特開平5−117910号公報 特開2008−75184号公報
本発明は、上記従来の問題を解決するため、再生セルロース繊維本来の物性を維持しつつ優れた光線遮蔽性を有する光線遮蔽性再生セルロース繊維、その製造方法及び繊維構造物を提供する。
本発明の遮熱性再生セルロース繊維は、繊維内に酸化チタン系粒子を含む再生セルロース繊維であって、上記酸化チタン系粒子は、亜鉛成分とアルミニウム成分を含み、ルチル型の結晶形を有する酸化チタンを主成分とする近赤外線反射性且つ近赤外線遮蔽性粒子であり、上記遮熱性再生セルロース繊維は、高周波プラズマ発光分析装置(ICP)により測定される元素分析において、全元素を100%としたとき、0.002〜0.015%の亜鉛成分と、0.004〜0.025%のアルミニウム成分を含むことを特徴とする。
本発明の遮熱性再生セルロース繊維の製造方法は、0.1〜1.0質量%の亜鉛成分と、0.5〜3.0質量%のアルミニウム成分を含み、ルチル型の結晶形を有する酸化チタンを主成分とする酸化チタン系粒子と、保護剤を含む水分散液を調製し、上記保護剤はポリカルボン酸型界面活性剤であり、セルロースを含むビスコース原液に上記水分散液を混合して紡糸用ビスコース液を調製し、上記紡糸用ビスコース液をノズルより押し出して紡糸し、凝固再生して再生セルロース繊維とすることを特徴とする。
本発明の繊維構造物は、上記の光線遮蔽性再生セルロース繊維を含むものである。
本発明は、再生セルロース繊維に、亜鉛成分とアルミニウム成分を含み、ルチル型の結晶形を有する酸化チタンを主成分とする酸化チタン系粒子を含ませることにより、優れた近赤外線遮蔽性を有する光線遮蔽性再生セルロース繊維及びそれを用いた繊維構造物を提供できる。また、本発明は、可視光及び紫外線に対しても高い遮蔽性を有する光線遮蔽性再生セルロース繊維及びそれを用いた繊維構造物を提供できる。また、本発明は、優れた染着性を有し、繊維物性も通常のレーヨン繊維とほぼ変わらない光線遮蔽性再生セルロース繊維及びそれを用いた繊維構造物を提供できる。また、本発明は、優れた近赤外線遮蔽性などの光線遮蔽性を有することにより遮熱性にも優れる光線遮蔽性再生セルロース繊維及びそれを用いた繊維構造物を提供できる。
本発明の製造方法によれば、セルロースを含むビスコース原液に、亜鉛成分とアルミニウム成分を含み、ルチル型の結晶形を有する酸化チタンを主成分とする酸化チタン系粒子と、メタリン酸塩及びカルボン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一つの保護剤を含む水分散液を混合して調製した紡糸用ビスコース液を用いることにより、亜鉛成分とアルミニウム成分を含み、ルチル型の結晶形を有する酸化チタンを主成分とする酸化チタン系粒子を再生セルロース繊維に均一に存在させることができる。これにより、近赤外線、可視光及び紫外線に対して優れた遮蔽性を有する光線遮蔽性再生セルロース繊維を提供することができる。
本発明の繊維構造物は、再生セルロース繊維本来の肌に優しい性質を有しつつ、近赤外線等の太陽光線を遮蔽する機能により、衣服内の温度が大きく上昇することを抑制することができる。
図1Aは本発明の一実施例における光線遮蔽性再生セルロース繊維の断面を示す走査型電子顕微鏡(倍率1000倍)であり、図1Bは同繊維の側面を示す走査型電子顕微鏡(倍率1000倍)である。 図2は本発明における遮熱性試験Iの試験方法を示す説明図である。 図3は本発明における遮熱性試験IIの試験方法を示す説明図である。 図4は実施例1(繊維A)、実施例2(繊維B)、比較例1(繊維C)及び比較例2(繊維D)の波長250〜2500nmの領域における光線透過率を示すグラフである。 図5は実施例1(繊維A)、実施例2(繊維B)、比較例1(繊維C)及び比較例2(繊維D)の波長250〜2500nmの領域における光線反射率を示すグラフである。 図6は遮熱性試験Iにおける温度変化を示すグラフである。 図7は遮熱性試験IIにおける温度変化を示すグラフである。 図8は遮熱性試験IIにおける温度変化を示すグラフである。 図9は反応染色後の遮熱性試験Iにおける温度変化を示すグラフである。
本発明者は、亜鉛成分とアルミニウム成分を含み、ルチル型の結晶形を有する酸化チタンを主成分とする特定の酸化チタン系粒子を繊維中に含ませることにより再生セルロース繊維に、優れた近赤外線遮蔽機能を付与することを見出し、本発明に至った。
(光線遮蔽性再生セルロース繊維)
本発明の光線遮蔽性再生セルロース繊維は、再生セルロース繊維内に、亜鉛成分とアルミニウム成分を含み、ルチル型の結晶形を有する酸化チタンを主成分とする酸化チタン系粒子(以下において、ルチル型酸化チタン系粒子とも記す。)を含んでいる。通常、繊維のつや消しに多く使われる酸化チタンはアナターゼ型の結晶形を有する。ルチル型の結晶形を有する酸化チタンとアナターゼ型の結晶形を有する酸化チタンは、結晶構造が異なるため、ルチル型の結晶形を有する酸化チタンの方が、硬度が高く、比重も重い。このため、ルチル型の結晶形を有する酸化チタンがアナターゼ型の結晶形を有する酸化チタンよりも照射された光を効果的、効率的に散乱、遮蔽できるものと考えられる。また、屈折率を見てみると、ルチル型の結晶形を有する酸化チタンは2.7、アナターゼ型の結晶形を有する酸化チタンは2.5、酸化亜鉛は1.9であり、ルチル型の結晶形を有する酸化チタンが特に、入射光を散乱させる傾向にある。また、ルチル型の結晶形を有する酸化チタンはアナターゼ型の結晶形を有する酸化チタンと比べて、光触媒効果がないため、繊維に練り込んだ際、繊維の脆化が引き起こされにくい利点がある。また、上記ルチル型酸化チタン系粒子は、紫外線を吸収する作用を有する亜鉛成分(例えば酸化亜鉛)や、紫外線を反射する作用を有するアルミニウム成分(例えば水酸化アルミニウム)を含んでいるため、本発明の光線遮蔽性再生セルロース繊維は、優れた紫外線遮蔽性を有する。即ち、本発明の光線遮蔽性再生セルロース繊維は、亜鉛成分とアルミニウム成分を含み、ルチル型の結晶形を有する酸化チタンを主成分とする酸化チタン系粒子を含むことにより、優れた紫外線遮蔽性を有しつつ、格段の熱線(近赤外線)遮蔽性を有する。
上記ルチル型酸化チタン系粒子は、近赤外線遮蔽性等の光線遮蔽性に優れるという観点から、ルチル型の結晶形を有する酸化チタンを80質量%以上含むことが好ましく、より好ましくは、90質量%以上含み、さらにより好ましくは100質量%である。また、上記ルチル型酸化チタン系粒子は、0.5〜3.0質量%のアルミニウム成分と、0.1〜1.0質量%の亜鉛成分を含み、より好ましくは、0.7〜2.0質量%のアルミニウム成分と、0.1〜0.8質量%の亜鉛成分を含む。より好ましくは、1.0〜1.5質量%のアルミニウム成分と、0.15〜0.5質量%の亜鉛成分を含む。アルミニウム成分及び亜鉛成分が上記範囲内にあると、近赤外線領域だけでなく、紫外線領域においても優れた遮蔽効果を有する。酸化チタン系粒子における亜鉛成分及びアルミニウム成分は、蛍光X線分析により測定することができる。上記アルミニウム成分は水酸化アルミニウムであり、亜鉛成分は酸化亜鉛であることが好ましい。
上記ルチル型酸化チタン系粒子は、平均二次粒子径が0.5〜1.5μmであることが好ましく、より好ましくは0.55〜1.2μmであり、さらに好ましくは0.6〜1μmであり、さらにより好ましくは0.65〜0.80μmである。この範囲内にあると、紫外線、可視光線及び近赤外線に対する光線遮蔽性が高い。また、上記ルチル型酸化チタン系粒子は、粒度分布において、粒子径1μm以上の粒子が15〜40%であることが好ましい。粒子径1μm以上の粒子がこの範囲内にあると、近赤外線遮蔽効果が高い。より好ましくは、粒子径1μm以上の粒子が20〜35%であり、さらに好ましくは、粒子径1μm以上の粒子が24〜30%である。また、上記ルチル型酸化チタン系粒子は、粒度分布において、粒子径0.5μm以下の粒子が15〜45%であることが好ましい。この範囲内であると、紫外線及び可視光線遮蔽効果が高い。より好ましくは、粒子径0.5μm以下の粒子が20〜35%であり、さらに好ましくは、粒子径0.5μm以下の粒子が24〜30%である。ここで、粒度分布は、レーザー回折光散乱法による粒度分布である。また、ここで、平均二次粒子径は、レーザー回折光散乱式粒度分析測定法で測定した粒度分布により算出した体積累積平均粒子径d50をいう。繊維へ練り込まれた酸化チタン系粒子は、繊維内部にほぼ均等に分散しており、繊維側面からでも光学顕微鏡等を使えば確認できる。本発明の光線遮蔽性再生セルロース繊維においては、原料ビスコースにルチル型酸化チタン系粒子を混合して調製した紡糸用ビスコース液を紡糸することで、ルチル型酸化チタン系粒子を繊維内に含ませているため、ルチル型酸化チタン系粒子は、紡糸用ビスコース液中で微分散された状態のままか、それに近い状態で繊維内に存在する。即ち、原料のルチル型酸化チタン系粒子の粒子径と、光線遮蔽性再生セルロース繊維中のルチル型酸化チタン系粒子の粒子径はほぼ同一である。なお、本発明の光線遮蔽性再生セルロース繊維中のルチル型酸化チタン系粒子の平均粒子径は、マイクロスコープ(VHX-500F、キーエンス製)を用い、倍率3500倍で透過光により側面観察を行い、任意の視野において30点の粒子径を計測し、その平均値を算出することで確認できる。或いは、酸化チタン系粒子の添加量が多い場合は、レーヨン繊維をスライドガラスとカバーガラスに挟みこみ、60%硫酸を流してレーヨン繊維のみを溶解させて、残留物をマイクロスコープ等で確認できる。
上記光線遮蔽性再生セルロース繊維は、上記ルチル型酸化チタン系粒子をセルロースに対して1〜20質量%含むことが好ましく、より好ましくは1〜15質量%含む。この範囲であれば、高い近赤外線遮蔽効果等の優れた光線遮蔽効果が得られる。
上記光線遮蔽性再生セルロース繊維において、全元素を100%としたとき、チタン成分の元素比率が0.6〜5%であることが好ましく、より好ましくは0.7〜3%であり、さらに好ましくは0.7〜2.5%である。この範囲であれば、高い近赤外線遮蔽効果等の優れた光線遮蔽効果が得られる。また、上記光線遮蔽性再生セルロース繊維において、全元素を100%としたとき、アルミニウム成分の元素比率は0.004〜0.025%であり、好ましくは0.004〜0.02%であり、より好ましくは0.005〜0.015である。この範囲であれば、高い紫外線遮蔽効果等の優れた光線遮蔽効果が得られる。また、上記光線遮蔽性再生セルロース繊維において、全元素を100%としたとき、亜鉛成分の元素比率は0.002〜0.015%であり、好ましくは0.002〜0.01%であり、より好ましくは0.002〜0.008%である。この範囲であれば、高い紫外線遮蔽効果等の優れた光線遮蔽効果が得られる。本発明において、元素比率は、高周波プラズマ発光分析装置(ICP)を用いた元素分析により測定したものである。
上記光線遮蔽性再生セルロース繊維は、光線遮蔽性に優れるという観点から、原綿100質量%の水流交絡不織布(目付80g/m2)にしたときの近赤外線透過率が25%以下、可視光線透過率が30%以下、紫外線透過率が25%以下であることが好ましい。より好ましくは、近赤外線透過率が25%以下、可視光線透過率が28%以下、紫外線透過率が10%以下である。
紫外線は波長250〜380nm、可視光線は波長380〜780nm、近赤外線は波長780〜2500nmの範囲で示す。紫外線透過率、可視光線透過率及び近赤外線透過率は、繊維の光線遮蔽性を示す指標である。透過率が低いほど、光線遮蔽性が高いことになる。
上記光線遮蔽性再生セルロース繊維は、近赤外線遮蔽性が高いため、遮熱性に優れる。通常、近赤外線を熱として感じるため、近赤外線遮蔽性が高いことにより、近赤外線による温度上昇を抑制することができる。
上記光線遮蔽性再生セルロース繊維は、繊度が0.3〜6.0dtexであることが好ましい。より好ましくは0.6〜4.0dtexであり、さらに好ましくは0.9〜3.3dtexである。繊度が0.3dtex未満であると、延伸時に単繊維切れが発生しやすい傾向にある。繊度が6.0dtexを越えると、衣料用途には向かなくなる恐れがある。なお、衣料用途でない場合は6.0dtexを越える太繊度の繊維でも使用できる。
上記光線遮蔽性再生セルロース繊維は、長繊維状又は短繊維状の形態で提供され、繊維構造物を形成することが好ましい。上記長繊維状としては、例えば、トウ、フィラメント、不織布等が挙げられ、上記短繊維状としては、例えば、湿式抄紙用原綿、エアレイド不織布用原綿、カード用原綿等が挙げられる。上記繊維構造物としては、例えば、トウ、フィラメント、紡績糸、中綿(詰め綿)、紙、不織布、織物、編物等が挙げられ、編物、織物及び不織布からなる群から選ばれる一種の布帛であることがより好ましい。
以下、図面を用いて説明する。図1Aは本発明の一実施例における光線遮蔽性再生セルロース繊維(繊維A)の断面を示す走査型電子顕微鏡(倍率1000倍)であり、図1Bは同繊維(繊維A)の側面を示す走査型電子顕微鏡(倍率1000倍)である。図1A〜図1Bから本発明の光線遮蔽性再生セルロース繊維において、ルチル型酸化チタン系粒子はセルロース中に微分散されていることが分かる。
(光線遮蔽性再生セルロース繊維の製造方法)
次に、本発明の光線遮蔽性再生セルロース繊維の製造方法について説明する。特に限定されないが、上記ルチル型酸化チタン系粒子を含む水分散液を調製し、セルロースを含むビスコース原液に、上記水分散液を混合して紡糸用ビスコース液を調製し、上記紡糸用ビスコース液をノズルより押し出して紡糸し、凝固再生することにより、ルチル型酸化チタン系粒子を微分散した状態で再生セルロース繊維に含ませた光線遮蔽性再生セルロース繊維を製造することが好ましい。
上記ルチル型酸化チタン系粒子をビスコース中に均一に分散させるとともに、上記ルチル型酸化チタン系粒子に含まれているアルミニウム成分及び亜鉛成分の脱落を防止するため、上記水分散液は、さらに保護剤(脱落防止剤)を含む。上記保護剤としては、ビスコース中及び強酸の紡糸浴中でルチル型酸化チタン系粒子の一成分であるアルミニウム成分及び/又は亜鉛成分が紡糸浴へ脱落するのを防ぐことができるものを用いることができる。ビスコース中における分散性と脱落防止作用をより高めるという観点から、上記保護剤としては、好ましくはメタリン酸塩及びカルボン酸塩からなる群から選ばれる一種以上の化合物を用いる。上記メタリン酸塩としては、特に限定されないが、例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム等が挙げられる。また、上記カルボン酸塩としては、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤が好適であり、例えば、三洋化成工業株式会社製の「キャリボンB」、「キャリボンL−400」、「キャリボンAR−33」、「サンスパールPS−8」及び「グランアップPC−121」、花王株式会社製の「ポイズ520」及び「ホモゲノールL−18」、竹本油脂株式会社製の「UTC−124」、並びに第一工業製薬株式会社製の「シャロールAN−103P」及び「シャロールAN−144P」等を用いることができる。上記保護剤の中でも、ビスコース中における分散性と脱落防止作用をより高めるという観点から、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤が特に好ましい。
上記保護剤の添加量は、保護剤の種類にもよるが、上記ルチル型酸化チタン系粒子に対して0.1〜70質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%であり、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。上記の範囲であれば、上記ルチル型酸化チタン系粒子のビスコース中での分散性を良好に保ちつつ、ルチル型酸化チタン系粒子、特にルチル型酸化チタン系粒子に含まれている亜鉛成分とアルミニウム成分が酸によって脱落することを防止できる。
上記ルチル型酸化チタン系粒子は、平均二次粒子径が0.5〜1.5μmであることが好ましく、より好ましくは0.55〜1.2μmであり、さらに好ましくは0.6〜1μmであり、さらにより好ましくは、0.65〜0.80μmである。この範囲内にあると、紫外線、可視光線及び近赤外線に対する光線遮蔽性が高い。また、上記ルチル型酸化チタン系粒子は、粒度分布において、粒子径1μm以上の粒子が15〜40%であることが好ましい。粒子径1μm以上の粒子がこの範囲内にあると、近赤外線遮蔽効果が高い。より好ましくは、粒子径1μm以上の粒子が20〜35%であり、さらに好ましくは、粒子径1μm以上の粒子が24〜30%である。また、上記ルチル型酸化チタン系粒子は、粒度分布において、粒子径0.5μm以下の粒子が15〜45%であることが好ましい。この範囲内であると、紫外線及び可視光線遮蔽効果が高い。より好ましくは、粒子径0.5μm以下の粒子が20〜35%であり、さらに好ましくは、粒子径0.5μm以下の粒子が24〜30%である。ここで、粒度分布は、レーザー回折光散乱法による粒度分布である。また、ここで、平均二次粒子径は、レーザー回折光散乱式粒度分析測定法で測定した粒度分布により算出した体積累積平均粒子径d50をいう。
上記ルチル型酸化チタン系粒子において、粒子の粒径が大きければ繊維強度に与える影響は強く、繊維強度は低下し易く、また歩留まりは高い傾向にある。一方粒子の粒径が小さければ、添加量が増えても繊維強度に与える影響は比較的弱く繊維強度が低下しにくく、また歩留まりが低い傾向にある。
原料ビスコースとしては、セルロースを7〜10質量%、水酸化ナトリウムを5〜8質量%、二硫化炭素を2〜3.5質量%含むビスコース原液を調製して用いるとよい。このとき、必要に応じて、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、二酸化チタン等の添加剤を使用することもできる。原料ビスコースの温度は19〜23℃に保持するのが好ましい。セルロースを含むビスコース原液(原料ビスコース)に、上記ルチル型酸化チタン系粒子を含む水分散液を混合して紡糸用ビスコース液を調製する。
上記ルチル型酸化チタン系粒子の原料ビスコースへの添加量は、セルロースに対して1〜20質量%であることが好ましい。より好ましくは1〜15質量%である。上記ルチル型酸化チタン系粒子の添加量が低いと、光線遮蔽効果が発現しにくい傾向がある。一方、上記ルチル型酸化チタン系粒子の添加量が高いと、繊維強度が弱くなる傾向がある。また、上記ルチル型酸化チタン系粒子の添加量が高いと、衣料用途を想定した繊度では繊維化が難しい傾向がある。なお、上記ルチル型酸化チタン系粒子の原料ビスコースへの添加量は、得ようとする繊維の繊度、性能により調整することができる。例えば、衣料用途であれば、繊維の繊度が1〜3dtexであることが好ましく、その場合、ルチル型酸化チタン系粒子の添加量は、セルロースに対して1〜10質量%であることが好ましい。
紡糸浴(ミューラー浴)としては、硫酸を95〜130g/L、硫酸亜鉛を10〜17g/L、硫酸ナトリウム(芒硝)を290〜370g/L含む強酸性浴を用いることが好ましい。より好ましい硫酸濃度は、100〜120g/Lである。また、紡糸浴は、温度が45〜60℃であることが好ましい。
上記光線遮蔽性再生セルロース繊維は、通常の円形ノズルを用いて製造することができる。もちろん異形ノズルを用いることもできる。紡糸ノズルとしては、目的とする生産量にもよるが、直径0.05〜0.12mmであり、ホール数が1000〜20000である円形ノズルを用いることが好ましい。上記紡糸ノズルを用いて、紡糸用ビスコース液を紡糸浴中に押し出して紡糸し、凝固再生させる。紡糸速度は35〜70m/分の範囲が好ましい。また、延伸率は39〜50%が好ましい。ここで延伸率とは、延伸前の長さを100%としたとき、延伸後の長さが何%伸びたかを示すものである。倍率で示すと、延伸前が1、延伸後は1.39〜1.50倍となる。
上記のようにして得られたレーヨン繊維糸条を所定の長さにカットし、精練処理を行う。精練工程は、通常の方法で、熱水処理、水硫化処理、漂白、酸洗い及び油剤付与の順で行うとよい。その後、必要に応じて圧縮ローラーや真空吸引等の方法で余分な油剤、水分を繊維から除去した後、乾燥処理を施す。
(繊維構造物)
本発明の繊維構造物は、上記光線遮蔽性再生セルロース繊維を10質量%以上含むことが好ましく、より好ましくは20質量%以上含み、さらに好ましくは30質量%以上含む。上記繊維構造物は、特に限定されないが、例えば、紡績糸、不織布、織物又は編物であることが好ましく、編物、織物及び不織布からなる群から選ばれる一種の布帛であることがより好ましい。
上記繊維構造物が紡績糸である場合、上記光線遮蔽性再生セルロース繊維のみで構成されていてもよく、他の繊維と混紡、複合してもよい。他の繊維としては、上記光線遮蔽性再生セルロース繊維以外の他の再生セルロース繊維、コットン、麻、ウール、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維等が挙げられる。このような紡績糸は、例えば織物や編物に加工されて衣料等に用いることができる。
上記繊維構造物が織物や編物である場合、上記光線遮蔽性再生セルロース繊維のみで構成されていてもよく、他の繊維を含んでもよい。他の繊維としては、上記光線遮蔽性再生セルロース繊維以外の他の再生セルロース繊維、コットン、麻、ウール、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維等が挙げられる。織物や編物の組織は特に限定されない。例えば、編物では、丸編み、横編み、経編み(トリコット)が、織物では、平織、綾織、繻子織が、本発明の風合い効果がよく発揮できることから好ましい繊維構造物の形態である。
上記繊維構造物が不織布である場合、上記光線遮蔽性再生セルロース繊維のみで構成されていてもよく、他の繊維と混綿してもよい。他の繊維としては、上記光線遮蔽性再生セルロース繊維以外の他の再生セルロース繊維、コットン、麻、ウール、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維等が挙げられる。不織布の形態としては、例えば、湿式不織布(湿式抄紙)、エアレイド不織布、水流交絡不織布、ニードルパンチ不織布等が挙げられる。
上記繊維構造物は光線遮熱性を有する光線遮蔽性再生セルロース繊維を含むため、遮熱性に優れ、衣料製品に用いると、衣服間又は衣服と肌との間の温度上昇を抑えることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
実施例で用いた測定方法及び評価方法を説明する。
<平均二次粒子径>
粒度分布測定機(日機装株式会社製「FRA9220」)を用い、レーザー回折光散乱式粒度分析測定法で粒度分布を測定し、体積累積平均粒子径d50を算出し、平均二次粒子径とした。
<粒子の元素含有量測定>
蛍光X線分析を用いて測定した。蛍光X線分析は、島津製作所製の蛍光X線分析装置“LAB CENTER XRF−1700”を用いて、FP法による理論計算により測定した。この測定装置の概略と測定条件は、次のとおりである。
(i)測定装置の概略
測定元素範囲 4Be〜92U
X線管 4kw薄窓,Rhターゲット
分光素子 LiF,PET,Ge,TAP,SX
1次X線フィルタ 4種自動交換(Al,Ti,Ni,Zr)
視野制限絞り 5種自動交換(直径1,3,10,20,30mmφ)
検出器 シンチレーションカウンタ(重元素)、プロポーショナルカウンタ(軽元素)
(ii)測定条件
管電圧−管電流 40kw−95mA
粒子の粉体を直径30mmφ、厚さ8mmの円盤状に成形して測定した。
<繊維の元素分析>
繊維の元素分析は、高周波プラズマ発光分析装置(ICP)を用いて行った。
<繊維物性>
繊度及び乾湿強伸度の測定は、JIS L 1015に準じた試験で行った。
<染着性>
染着率は、JIS L 1015 8.31に準じて測定した。
<透過率及び反射率測定>
島津製作所製の紫外可視近赤外分光高度計UV−3600、マルチパーパス大型試料室MPC−3100を用い、紫外線、可視光線及び近赤外線の平均反射率、平均透過率を測定し、それぞれ、紫外線、可視光線及び近赤外線の反射率、透過率とした。試料としては、レーヨン繊維100質量%(目付80g/m2)の水流交絡不織布を作製して用いた。波長範囲は、紫外線250〜380nm、可視光線380〜780nm、近赤外線780〜2500nmとした。
<紫外線遮蔽効果>
試料の紫外線透過率を、レギュラーレーヨン繊維(比較例2)の紫外線透過率と比較し、以下の基準で紫外線遮蔽効果を評価した。
有 レギュラーレーヨン繊維に比べて透過率が減少
無 レギュラーレーヨン繊維に比べて透過率が上昇
<近赤外線遮蔽効果>
試料の近赤外線透過率を、レギュラーレーヨン繊維(比較例2)の近赤外線透過率と比較し、以下の基準で近赤外線遮蔽効果を評価した。
有 レギュラーレーヨン繊維に比べて透過率が減少
無 レギュラーレーヨン繊維に比べて透過率が上昇
<生産性>
生産性を以下のような基準で評価した。
A 問題なく生産可能
B 可紡性にやや問題有
C 繊維化に難有り
<水流交絡不織布>
上記測定方法で試料として用いる水流交絡不織布を以下のように作製した。まず、カードウェブを作製した。次に、カードウェブの片面に対して、孔径0.13mmφ、孔ピッチ1mm間隔で配列されたノズルから3MPaの水圧で柱状水流を噴射し、さらに同じ面に対して5MPaの水圧で柱状水流を噴射し、裏返して5MPaの水圧で柱状水流を噴射して、水流交絡不織布を作製した。
(実施例1)
[ビスコース原液条件]
ルチル型酸化チタン系粒子(テイカ株式会社製「JR−1000」、アルミニウム成分の含有量1.24質量%、亜鉛成分の含有量0.302質量%、ルチル型の結晶形を有する酸化チタンの含有量90質量%以上、平均粒子径0.701μm、1μm以上の粒子27%、0.5μm以下の粒子が26%)とポリカルボン酸型界面活性剤(保護剤)を、それぞれ、20質量%及び0.2質量%になるように水に添加した後、卓上型ホモミキサー(プライミクス株式会社製「T.K.MHOMOMIXER MARKII」)で撹拌、分散して酸化チタン系粒子の
水分散液を調製した。得られた酸化チタン系粒子の水分散液を酸化チタン系粒子がセルロースに対して1.8質量%となるようにビスコース原液中に添加し、混合機にて攪拌混合を行い、紡糸用ビスコース液を調製した。ビスコース原液としては、セルロースを8.5質量%、水酸化ナトリウムを5.7質量%、二硫化炭素を2.7質量%含むものを用いた。
[紡糸条件]
得られた紡糸用ビスコース液を、2浴緊張紡糸法により、紡糸速度50m/分、延伸50%で紡糸して、繊度1.4dtexの繊維を得た。第1浴(紡糸浴)としては、硫酸110g/L、硫酸亜鉛15g/L、硫酸ナトリウム350g/Lを含むミューラー浴(50℃)を用いた。また、ビスコースを吐出する紡糸口金には、孔径0.07mmのホールを4000個有するノズルを用いた。紡糸中、単糸切れ等の不都合は生じず、ビスコースの紡糸性は良好であった。
[精練条件]
得られたビスコースレーヨンの糸条を、38mmにカットし、精練処理を行った。精練工程は、熱水処理後に水洗を行い、その後圧縮ローラーで余分な水分を繊維から落とした後、水硫化ソーダにて処理し、水洗後、圧縮ローラーで水分を落とした。次いで次亜塩素酸ソーダにて処理後、硫酸にて処理し、水洗、圧縮ローラーにて水分を落とし、油剤処理後、圧縮ローラーにて水分を落とし、乾燥処理(60℃、7時間)を施して、繊維Aを得た。
(実施例2)
酸化チタン系粒子がセルロースに対して10質量%となるようにし、繊度を1.7dtexになるようにした以外は、実施例1と同様にして繊維Bを得た。
(比較例1)
アナターゼ型の結晶形を有する酸化チタン(Huntsman製「TIOXIDE A−HR」、平均二次粒子径0.51μm、1μm以上の粒子15%、0.5μm以下の粒子48%)15質量%と、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.1質量%を水に添加した後、卓上型ホモミキサー(プライミクス株式会社製「T.K.MHOMOMIXER MARKII」)で撹拌、
分散して酸化チタン系粒子の分散液を調製した。得られた酸化チタン系粒子の分散液を酸化チタン系粒子がセルロースに対して1.8質量%となるようにビスコース原液中に添加し、混合機にて攪拌混合を行い、紡糸用ビスコース液を調製した。上記にようにして得られた紡糸用ビスコース液を用いた以外は、実施例1と同様にして繊維Cを得た。
(比較例2)
紡糸用ビスコース液としてビスコース原液のみを用いた以外は、実施例1と同様にして繊維D(レギュラーレーヨン繊維)を得た。
繊維A〜Dの元素分析、繊維物性、染着性、透過率及び反射率の測定・評価を上記のように行い、その結果を下記表1に示した。
図4及び図5に、それぞれ、実施例1(繊維A)、実施例2(繊維B)、比較例1(繊維C)及び比較例2(繊維D)の波長250〜2500nmの領域における光線透過率及び光線反射率を示した。
表1の結果から、本発明の光線遮蔽性再生セルロース繊維は、レギュラーレーヨン繊維(繊維D)とほぼ変わらない繊維物性を有しており、染着性にも優れることが分かった。また、表1及び図4の結果によると、本発明の光線遮蔽性再生セルロース繊維は、紫外線領域、可視光線領域及び近赤外線領域を含む波長250〜2500nmの光線領域において、レギュラーレーヨン繊維(繊維D)及び繊維C(比較例1)に比べて、透過率が低く、近赤外線を含む全ての光線に対して優れた光線遮蔽性を有することが分かった。また、表1及び図5の結果によると、本発明の光線遮蔽性再生セルロース繊維は、可視光線領域及び近赤外線領域において、レギュラーレーヨン繊維に比べて、反射率が高く、可視光及び近赤外線を効果的に散乱していることが分かった。
(実施例3)
実施例1で得られたレーヨン繊維(繊維A)30質量%と、ポリエステル繊維(つや消し無し、帝人ファイバー製「ブライトポリエステル」、繊度1.7dtex、繊維長51mm)70質量%を混綿し、カードウェブを作製した。次に、カードウェブの片面に対して、孔径0.13mmφ、孔ピッチ1mm間隔で配列されたノズルから3MPaの水圧で柱状水流を噴射し、さらに同じ面に対して5MPaの水圧で柱状水流を噴射し、裏返して5MPaの水圧で柱状水流を噴射して、目付が120g/m2の水流交絡不織布を作製した。
(実施例4)
実施例1で得られたレーヨン繊維(繊維A)50質量%と、ポリエステル繊維50質量%を混綿し、カードウェブを作製した以外は、実施例3と同様にして、目付が120g/m2の水流交絡不織布を作製した。
(比較例3)
比較例2で得られた繊維D(レギュラーレーヨン繊維)30質量%と、ポリエステル繊維70質量%を混綿し、カードウェブを作製した以外は、実施例3と同様にして、目付が120g/m2の水流交絡不織布を作製した。
実施例3〜4の水流交絡不織布と、比較例3の水流交絡不織布を用いて下記のとおり遮熱性試験Iを行い、その結果を図6に示した。
<遮熱性試験I>
図2は、遮熱性試験Iの試験方法を示す説明図である。この試験装置は一般財団法人日本化学繊維検査協会に置かれている。発泡スチロール製の試料台1の上に温度センサー2と、黒画用紙3をこの順番に置き、黒画用紙3の約5mm上に試料5を試料押さえ4で保持した。試料台1の上面からL=50cmの高さの位置の照射ランプ6(岩崎電気株式会社製、商品名「アイランプ・スポット」、PRS500W、100V)を試料5側から照射し、裏面の黒画用紙中央の温度を温度センサー2で経時的に測定した。照射時間15分間、試験室の温度20℃±2℃とする。
遮熱性試験Iで測定した結果に基づいて、実施例3、4と比較例3の温度差を算出し、その結果を上記表1に示した。また、下記の基準で遮熱性を評価した。なお、評価がA又はBである場合は、遮熱性を有することを意味する。
A 温度差が1.0℃以上
B 温度差が0.5℃以上1.0℃未満
C 温度差が0.5℃未満
図6及び表1の結果から分かるように、実施例3の水流交絡不織布は、比較例3の水流交絡不織布に比べて、温度が1.2℃抑制された。また、実施例4の水流交絡不織布は、比較例3の水流交絡不織布に比べて、温度が4.8℃抑制された。本発明の実施例品が遮熱性に優れることが確認できた。
(実施例5)
実施例1で得られたレーヨン繊維(繊維A)100質量%でカードウェブを作製した。次に、カードウェブの片面に対して、孔径0.13mmφ、孔ピッチ1mm間隔で配列されたノズルから3MPaの水圧で柱状水流を噴射し、さらに同じ面に対して5MPaの水圧で柱状水流を噴射し、裏返して5MPaの水圧で柱状水流を噴射して、目付が120g/m2の水流交絡不織布を作製した。
(比較例4)
比較例1で得られたレーヨン繊維(繊維C)100質量%でカードウェブを作製した以外は、実施例5と同様にして、目付が120g/m2の水流交絡不織布を作製した。
(比較例5)
比較例2で得られたレーヨン繊維(繊維D)100質量%でカードウェブを作製した以外は、実施例5と同様にして、目付が120g/m2の水流交絡不織布を作製した。
実施例3、5の水流交絡不織布と、比較例3、4、5の水流交絡不織布を用いて下記のとおり遮熱性試験IIを行い、その結果を図7〜図8に示した。
<遮熱性試験II>
図3は、遮熱性試験IIの試験方法を示す説明図である。まず、図3Aに示しているように、黒画用紙11と試料12ではさまれた空間を発泡スチロール13(厚み1cm)で囲い、縦(W1)10cm、横(W2)10cm、厚み(H)1cmの衣服内気候の疑似的な模型14を作製した。次に、図3Bに示しているように、試料12側から照射ランプ15(岩崎電気株式会社製、商品名「アイランプ・スポット」、PRS500W、100V)を照射し、黒画用紙11側の温度変化を温度センサー16(FLIR製「T−335」サーモグラフカメラ、)で記録した。照射距離L30cm、照射時間15分間、試験室の温度20℃±2℃、湿度65%RHとした。
遮熱性試験IIで測定した結果に基づいて、混綿の水流交絡不織布である実施例3と比較例3の温度差、レーヨン100質量%の水流交絡不織布である実施例5と比較例4、比較例5の温度差を算出し、その結果を上記表1に示した。
図7及び表1の結果から分かるように、比較例4の水流交絡不織布(繊維C)は、比較例5の水流交絡不織布(繊維D)に比べて温度が0.6℃しか抑制されていないが、実施例5の水流交絡不織布(繊維A)は、比較例5の水流交絡不織布(繊維D)に比べて温度が5.4℃抑制されていた。また、図8及び表1の結果から分かるように、実施例3の水流交絡不織布(繊維A)は、比較例3の水流交絡不織布(繊維D)に比べて、温度が2.0℃抑制された。本発明の実施例品が遮熱性に優れることが確認できた。
<反応染色後の遮熱性試験I>
実施例5の水流交絡不織布(繊維A)及び比較例5の水流交絡不織布(繊維D)を反応性染料で染色してその染色品の遮熱性能を遮熱性試験Iで評価した。その結果を図9に示した。実施例5の水流交絡不織布(繊維A)は比較例5の水流交絡不織布(繊維D)に比べて、反応染色後でも温度が1.9℃抑制され、有意差のある温度低下が認められた。本発明の実施例品は染色後にも遮熱性に優れることが確認できた。
本発明の光線遮蔽性再生セルロース繊維は及びそれを含む繊維構造物は、光線遮蔽性に優れるとともに遮熱性に優れていることが確認された。
本発明の光線遮蔽性再生セルロース繊維は、例えば、トウ、フィラメント、紡績糸、中綿(詰め綿)、紙、不織布、織編物等の繊維構造物に用いることができる。また、本発明の繊維構造物は、下着、中着、外着等の夏用衣類製品、壁紙等の建築資材、障子紙等の抄紙用途、カーテン、ブライド等の寝具等に有用である。
1 試料台
2、16 温度センサー
3、11 黒画用紙
4、 試料押さえ
5、12 試料
6、15 照射ランプ
13 発泡スチロール
14 衣服内気候の疑似的な模型

Claims (9)

  1. 繊維内に酸化チタン系粒子を含む遮熱性再生セルロース繊維であって、
    前記酸化チタン系粒子は、亜鉛成分とアルミニウム成分を含み、ルチル型の結晶形を有する酸化チタンを主成分とする近赤外線反射性且つ近赤外線遮蔽性粒子であり、
    前記遮熱性再生セルロース繊維は、高周波プラズマ発光分析装置により測定される元素分析において、全元素を100%としたとき、0.002〜0.015%の亜鉛成分と、0.004〜0.025%のアルミニウム成分を含むことを特徴とする遮熱性再生セルロース繊維。
  2. 前記遮熱性再生セルロース繊維は、高周波プラズマ発光分析装置により測定される元素分析において、全元素を100%としたとき、チタン成分の元素比率が0.6〜5%である請求項1に記載の遮熱性再生セルロース繊維。
  3. 前記遮熱性再生セルロース繊維において、前記酸化チタン系粒子がセルロースに対して1〜20質量%の範囲で含まれている請求項1又は2に記載の遮熱性再生セルロース繊維。
  4. 前記遮熱性再生セルロース繊維の原綿100質量%の水流交絡不織布(目付80g/m2)にしたときの近赤外線透過率が25%以下、可視光線透過率が30%以下、紫外線透過率が25%以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の遮熱性再生セルロース繊維。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の遮熱性再生セルロース繊維の製造方法であって、
    0.1〜1.0質量%の亜鉛成分と、0.5〜3.0質量%のアルミニウム成分を含み、ルチル型の結晶形を有する酸化チタンを主成分とする酸化チタン系粒子と、保護剤を含む水分散液を調製し、前記保護剤はポリカルボン酸型界面活性剤であり、
    セルロースを含むビスコース原液に前記水分散液を混合して紡糸用ビスコース液を調製し、
    前記紡糸用ビスコース液をノズルより押し出して紡糸し、凝固再生して再生セルロース繊維とすることを特徴とする遮熱性再生セルロース繊維の製造方法。
  6. 前記酸化チタン系粒子は、平均二次粒子径が0.5〜1.5μmである請求項5に記載の遮熱性再生セルロース繊維の製造方法。
  7. 前記酸化チタン系粒子のビスコース原液への添加量は、ビスコース中のセルロースに対して1〜20質量%である請求項5又は6に記載の遮熱性再生セルロース繊維の製造方法。
  8. 前記水分散液において、前記保護剤の添加量は酸化チタン系粒子100質量%に対して0.1〜70質量%である請求項5〜7のいずれか1項に記載の遮熱性再生セルロース繊維の製造方法。
  9. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の遮熱性再生セルロース繊維を含む繊維構造物。
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