本発明の一実施形態に係る転造装置100を、図面を参照して説明する。
図1などに示す転造装置100は、左ダイス132a及び右ダイス132bを回転させながらワークWに押し当ててワークWの外周面を転造する装置である。ワークWは、例えば、棒状のものであればよく、さらに具体的には、円柱状又は円筒状のものであればよい。なお、この実施の形態では、ワークWの外周面(側面)には、凹凸(外周面に凹部のみを形成したものや外周面に凸部のみを形成したものも凹凸に含む。)からなる歯面がすでに形成されている。つまり、転造装置100は、ワークWの歯面の表面粗さを向上させるバニシング転造を行う装置である。ワークWの歯面の表面粗さを向上させるとは、例えば、左ダイス132a及び右ダイス132bで歯面の表面(凹凸を構成する各面)を押しならして整え、当該歯面の表面を滑らかにすることである。例えば、歯面の断面が図5のような凹凸形状である場合、歯面の表面として、図5の各斜面W1などを滑らかにする。
図1〜図4に示すように(なお、図において断面を表すハッチングは省略した。)、転造装置100は、ベッドSと、第1レールR1と、第2レールR2と、第3レールR3と、加工機構130と、送り装置140と、支持機構150と、リンク機構160と、引込機構170と、制御装置190と、を備える。なお、転造装置100の構造を理解しやすいように、各図では、一部の部材が省略されていることがある。
なお、ワークWの回転軸方向を前後方向とする。図1の紙面の左方向を前とする。右ダイス132bが移動する方向を左右方向とする。図2の紙面の上方向を左方向とする。前後方向及び左右方向に垂直な方向を上下方向とする。図1の紙面の上方向を上方向とする。
ベッドSは、台座である。ベッドS上には、加工機構130、送り装置140、支持機構150、リンク機構160、制御装置190、第1レールR1、第2レールR2などが配置されている。また、ベッドSの側面には、引込機構170などが取り付けられる。
第1レールR1と、第2レールR2とは、平行で左右方向に延び、ベッドSの上面にネジ(ボルトなどを含む。以下、ネジについて同じ。)などによって固定されている。第3レールR3は、左右方向に延び、ベッドSの側面にネジなどによって固定されている。
加工機構130は、左ダイス132aと、左主軸台134aと、右ダイス132bと、右主軸台134bと、を備える。
左ダイス132a及び右ダイス132bは、1つのワークWを転造するための一組のダイスを構成するものであり、それぞれが円柱状の部材である。左ダイス132aの外周面132aa及び右ダイス132bの外周面132baのそれぞれには、互いに対応する、ワークWを転造するための加工面(加工歯ともいう。)が形成されている。左ダイス132a及び右ダイス132bは、ワークWの形状、ワークWの外周面に形成したい凹凸の形状に合わせて交換可能になっている。
左主軸台134aは、内部にサーボモータなどの駆動部(制御装置190によって制御される。)が搭載された左主軸台本体135aと、左主軸台本体135aに回転可能に支持された左主軸136aと、を備える。
左主軸台本体135aは、左主軸136aを前側で回転可能に支持する前側支持部135aaと、左主軸136aを後側で回転可能に支持する後側支持部135abと、を備える。
左主軸136aは、左主軸台本体135aの駆動部によって回転する。例えば、駆動部が発生させる回転力が、左主軸台本体135a内に配置されたギア、ベルトなどを介して左主軸136aに伝達され、左主軸136aは回転する。左主軸136aには、任意の取り付け方法で、左ダイス132aが取り付けられる。左主軸136aと左ダイス132aとは左主軸136aの前後方向に延びる中心軸を回転軸として回転する。
例えば、左主軸136aは左主軸台本体135aに取り外し可能に取り付けられる。また、左ダイス132aの中央には前後方向に貫通する貫通孔132abが設けられる。また、左主軸136aの外周面には凸部136aaが設けられ、貫通孔132abの内面には凹部132acが設けられる。凹部132acに凸部136aaが入り込むように、貫通孔132abに左主軸136aを通すことで、凸部136aaと凹部132acとを係合させる。これによって、左主軸136aの回転と一緒に左ダイス132aが回転するように、左主軸136aに左ダイス132aが取り付けられる。例えば、貫通孔132abを通る左主軸136aに左ダイス132aを、ネジなどを用いて固定して取り付けてもよい。
右主軸台134bは、内部にサーボモータなどの駆動部(制御装置190によって制御される。)が搭載された右主軸台本体135bと、右主軸台本体135bに回転可能に支持された右主軸136bと、右主軸台本体135bの下部にネジなどによって取り付けられた4つのブロック139bと、を備える。
右主軸台本体135bは、右主軸136bを前側で回転可能に支持する前側支持部135baと、右主軸136bを後側で回転可能に支持する後側支持部135bbと、を備える。
右主軸136bは、右主軸台本体135bの駆動部によって回転する。例えば、駆動部が発生させる回転力が、右主軸台本体135b内に配置されたギア、ベルトなどを介して右主軸136bに伝達され、右主軸136bは回転する。右主軸136bには、任意の取り付け方法で、右ダイス132bが取り付けられる。右主軸136bと右ダイス132bとは右主軸136bの前後方向に延びる中心軸を回転軸として回転する。
例えば、右主軸136bは右主軸台本体135bに取り外し可能に取り付けられる。また、右ダイス132bの中央には前後方向に貫通する貫通孔132bbが設けられる。また、右主軸136bの外周面には凸部136baが設けられ、貫通孔132bbの内面には凹部132bcが設けられる。凹部132bcに凸部136baが入り込むように、貫通孔132bbに右主軸136bを通すことで、右主軸136bと右ダイス132bとを係合させる。これによって、右主軸136bの回転と一緒に右ダイス132bが回転するように、右主軸136bに右ダイス132bが取り付けられる。例えば、貫通孔132bbを通る右主軸136bに右ダイス132bを、ネジなどを用いて固定して取り付けてもよい。
なお、左ダイス132aの回転と右ダイス132bの回転とを同期させるため、転造時には、手動又は自動で、左ダイス132aの凹凸の位相と右ダイス132bの凹凸の位相とを合わせ、転造ができるようにしておく。
4つのブロック139bのうちの2つは第1レールR1に対応して設けられている。他の2つは第2レールR2に対応して設けられている。4つのブロック139bの下面中央それぞれには左右方向に延びる溝状の凹部が設けられる。4つのブロック139bのうちの2つのブロックの凹部には、第1レールR1が入り込み、残りの2つのブロックの凹部には第2レールR2が入り込む。これによって、第1レールR1と第2レールR2との上に、右主軸台134bが配置され、各ブロック139bと第1レールR1又は第2レールR2とが係合する。この係合によって、右主軸台134bは、第1レールR1及び第2レールR2上を脱線せずに滑るように移動する。第1レールR1及び第2レールR2は左右方向に延びているので、右主軸台134bは、左右方向に移動する。なお、右主軸台134bは、送り装置140によって移動する。
なお、左主軸台134aは、ベッドSに対して移動できないようにネジなどによって固定される。このため、右主軸台134bが移動することによって、左ダイス132aと、右ダイス132bと、の距離が調整される。なお、左ダイス132aと、右ダイス132bと、は同期して同じ方向に回転する。
送り装置140は、右主軸台134bを左右方向に移動させるものであればよい。例えば、送り装置140は、モータと、当該モータによって回転するボールネジ141と、を備える。ボールネジ141の一端は、右主軸台134b内部に入り込み、ボールネジ141の当該一端側の部分に右主軸台134b内に配置されたナットなどの取付部材が取り付けられる。モータによって回転するボールネジ141の回転運動によって、ナットなどの取付部材が左右方向に移動し、取付部材の移動に伴って右主軸台134bが左方向又は右方向に移動する。
支持機構150は、支持台座151と、2つのブロック152と、固定部材153と、棒状部材154と、前側センタ部155と、後側センタ部157と、レール接続部158と、を備える。
支持台座151は、支持機構150の台座であり、下面に2つのブロック152がネジなどによって取り付けられる。2つのブロック152のうちの1つは、第1レールR1に対応して設けられ、他の1つは第2レールR2に対応しても設けられる。各ブロック152は、ブロック139bと同様に下部に左右方向に延びる溝状の凹部152aが設けられる。2つのブロック152のうちの一方の凹部152aには第1レールR1が入り込み、他方の凹部152aには第2レールR2が入り込む。これにより、各ブロック152と第1レールR1又は第2レールR2とが係合し、支持台座151は、第1レールR1及び第2レールR2上を脱線せずに滑るように移動する。第1レールR1及び第2レールR2は左右方向に延びているので、支持台座151は、左右方向に移動する。
支持台座151の上面には複数の固定部材153がネジなどによって固定される。また、複数の固定部材153それぞれには、前後方向に貫通する貫通孔が設けられ、この貫通孔に棒状部材154が通される。棒状部材154は、各固定部材153の貫通孔に嵌合して固定されるか、貫通孔を通った状態でネジなどによって各固定部材153に固定される。棒状部材154は、固定部材153によって、支持台座151の上面と離間した状態で支持される。
棒状部材154は、棒状の部材であり、前後方向に沿って延びる。また、棒状部材154は、支持台座151に対して不動である。
前側センタ部155は、棒状部材154に固定される固定部155aと、シリンダ155bと、シリンダ155bに前後方向に移動可能に収容されたピストン155cと、前側の一端がピストン155cと接続して前後方向に移動可能な棒状部材155dと、棒状部材155dが前後方向に移動可能なように内部を通る筒状部材155eと、棒状部材155dの後側の一端に接続される前側センタ155fと、シリンダ155bに流体を供給する流体制御装置155gと、流体の第1供給/排出路155hと、流体の第2供給/排出路155iと、固定部155aに取り付けられてシリンダ155bを支持する支持部材155jを備える。流体制御装置155gは、制御装置190によって制御される。
固定部155aには前後方向に貫通する第1の貫通孔が設けられ、当該第1の貫通孔に棒状部材154が通り、嵌合やネジ留めなどによって、固定部155aは棒状部材154に固定される。また、固定部155aには第2の貫通孔が設けられており、第2の貫通孔には筒状部材155eが嵌合やネジ留めなどによって固定される。筒状部材155eの内部には、棒状部材155dが前後方向に移動可能に通っている。
シリンダ155bは、固定部155aよりも前側に配置されている。シリンダ155bは、前後方向に沿って延びる。シリンダ155bは、ピストン155cを収容する。第1供給/排出路155hは、ピストン155cで区切られた前側の空間と連通する。第2供給/排出路155iは、ピストン155cで区切られた後側の空間と連通する。第1供給/排出路155h及び第2供給/排出路155iには流体が流れる。第1供給/排出路155h及び第2供給/排出路155iには、流体の供給を制御する流体制御装置155gが接続される。
棒状部材155dの一端(前側の一端)には、ピストン155cが取り付けられており、他端(後側の一端)には、前側センタ155fが取り付けられている。取り付けは、螺合、嵌合、ネジなどで行えばよい。
流体制御装置155gは、制御部190に制御され、第1供給/排出路155hを介してシリンダ155bの後側の空間に流体を供給する。これによって、ピストン155cは、前方に移動する。この移動により棒状部材155dが前方に移動し、前側センタ155fを前方に移動させる。なお、このとき、前側の空間の流体は第2供給/排出路155iを介して流体制御装置155gに排出される。
流体制御装置155gは、制御部190に制御され、第2供給/排出路155iを介してシリンダ155bの前側の空間に流体を供給する。これによって、ピストン155cは、後方に移動する。この移動により棒状部材155dが後方に移動し、前側センタ155fを後方に移動させる。なお、このとき、後側の空間の流体は第1供給/排出路155hを介して流体制御装置155gに排出される。
このように、流体制御装置155gから第2供給/排出路155i又は第1供給/排出路155hを介してシリンダ155bに流体を供給することによって、前側センタ155fを後方向又は前方向のいずれかに移動させることができる。
後側センタ部157は、棒状部材154に固定される固定部157aと、固定部157aに、螺合、嵌合、ネジなどによって取り付けられた後側センタ157fと、を備える。
固定部157aには前後方向に貫通する貫通孔が設けられ、当該貫通孔に棒状部材154が通り、嵌合やネジ留めなどによって、固定部157aは棒状部材154に固定される。固定部157aには、後側センタ157fが嵌合やネジ留めなどによって固定される。
上記のような構成によって、前側センタ155fと後側センタ157fとは、対向する。前側センタ155fと後側センタ157fとによってワークWが挟まれ、ワークWは支持台座151などから離間した状態で支持される。例えば、ワークWが円柱状のときには、ワークWの上面及び下面(前方向に向く面及び後方向に向く面)には、円錐状の凹部が設けられる。前側センタ155fと後側センタ157fとは、それぞれ、先端が前記凹部に合わせた円錐状に形成されている。これによって、前側センタ155fの先端がワークWの上面の凹部に入り込み、後側センタ157fの先端がワークWの下面の凹部に入り込み、前側センタ155fとワークWの上面の凹部、及び、後側センタ157fとワークWの下面の凹部がそれぞれ嵌り合うことでワークWが回転可能に支持される。ワークWが円筒状のときには、例えば、前側センタ155fの先端と後側センタ157fの先端とが、ワークWの円筒内部に入り込むようにして、ワークWが回転可能に支持されればよい。
前側センタ155fは、上述のように、前後方向に移動する。前側センタ155fが後側に移動することによって、前側センタ155fと後側センタ157fとの距離が縮まり、ワークWがクランプされる。なお、このとき、流体制御装置155gにより、流体の供給圧力を高めることによって、ワークWのクランプ力を高め、ワークWを強固にクランプできる。前側センタ155fが前側に移動することによって、前側センタ155fと後側センタ157fとの距離が大きくなり、ワークWがアンクランプされる。
支持機構150は、ワークWを回転可能に支持する。ワークWの回転軸は、ワークWの中心軸である。左ダイス132aの回転軸(中心軸)、右ダイス132bの回転軸(中心軸)、ワークWの回転軸(中心軸)は、それぞれ平行であり、同一の水平面内に位置するようになる。
レール接続部158は、支持台座151の下面にネジなどによって固定されるブラケット158aと、ブラケット158aにネジなどによって固定されるブロック158bと、を備える。ブロック158bは、第3レールR3に対応して設けられる。ブロック158bには、左右方向に延びる溝状の凹部158baが設けられ、この凹部158baに第3レールR3が入り込む。これによって、レール接続部158は、第3レールR3に案内され、左右方向に移動する。つまり、支持機構150は、第1レールR1及び第2レールR2の他、第3レールR3によっても案内されて、左右方向に移動可能なっている。
リンク機構160は、右主軸台134bの移動と支持機構150の移動とをリンクさせる機構である。リンク機構160は、左主軸台本体135aの右側に向く面にネジなどによって取り付けられた左側取付部160aと、ピン160bと、一端が左側取付部160aにピン160bなどによって回転可能に取り付けられた左側リンク部材160cと、右主軸台本体135bの左側に向く面にネジなどによって取り付けられた右側取付部160dと、ピン160eと、一端が右側取付部160dにピン160eなどによって回転可能に取り付けられた右側リンク部材160fと、を備える。
左側リンク部材160cは、所定方向に長尺な断面四角の棒状部材である。左側取付部160aと左側リンク部材160cの一端とには、連通する貫通孔が設けられており、ここにピン160bが挿入される。このような構成によって、左側リンク部材160cは、このピン160bを軸として動くことができる。
右側リンク部材160fは、所定方向に長尺な断面四角の棒状部材である。右側取付部160dと右側リンク部材160fの一端とには、連通する貫通孔が設けられており、ここにピン160eが挿入される。このような構成によって、右側リンク部材160fは、このピン160eを軸として動くことができる。
リンク機構160は、さらに、連結ピン160gを備える。連結ピン160gは、頭160gaが円柱状の部材となっている。連結ピン160gは、左側リンク部材160cの他端と右側リンク部材160fの他端とを連結する。左側リンク部材160cの他端と右側リンク部材160fの他端とには、連通する貫通孔が設けられるとともに、互いに組み合わさる凹凸部が設けられている。このような構成によって、左側リンク部材160cと右側リンク部材160fとは、連結ピン160gを中心として、左側リンク部材160cと右側リンク部材160fとによって成す角θ(例えば、連結ピン160gを頂点とした、左側リンク部材160cの中心軸と右側リンク部材160fの中心軸とによって成す角θ)が変化するように、動くことができる。
左側リンク部材160cと右側リンク部材160fとは同じ長さになっている。特に、ピン160bから連結ピン160gに至る距離と、ピン160eから連結ピン160gに至る距離とは、同じ距離になっている。
リンク機構160は、さらに、支持台座151の下面にネジなどによって取り付けられたブロック160hを備える。ブロック160hには、前後方向に延びる溝状の凹部160haを備える。凹部160haには、連結ピン160gの頭160gaが入り込む。連結ピン160gの頭160gaは、凹部160haの内部を前後方向に移動可能となっている。なお、凹部160haの左右方向の長さ(溝の幅)は、頭160gaよりも大きく、凹部160haには、隙間Dが設けられる。
右主軸台134bを左方向に移動させると、左側リンク部材160cと右側リンク部材160fとは、角θが小さくなるように動く。これによって、連結ピン160gは、後方向かつ左方向に向かって動く。なお、連結ピン160gの左方向に沿った移動距離は、右主軸台134bの左方向に沿った移動距離の半分になる。
連結ピン160gが後方向かつ左方向に向かって動くことで、凹部160haの内面(左側の内面)を頭160gaによって左方向に押し、ブロック160hを左方向に移動させる。この移動にともない、支持台座151も左方向に移動するので、ワークWも左方向に移動することになる。このようにして、リンク機構160によって、右主軸台134bを左方向に移動させると、支持機構150とともにワークWも左方向に移動する。ワークWの移動距離は、右主軸台134bの移動距離の半分なるので、右主軸台134bが移動しても、ワークWは、常に、左ダイス132aと右ダイス132bとの間の真ん中に位置することになる。つまり、ワークWの回転軸は、左ダイス132aの回転軸と右ダイス132bの回転軸との間の中央に位置することになる。なお、凹部160haは、右主軸台134bを左方向に移動させるときに、ワークWの回転軸が左ダイス132aの回転軸と右ダイス132bの回転軸との間の中央に位置するように配置される。
右主軸台134bを右方向に移動させると、左側リンク部材160cと右側リンク部材160fとは、角θが大きくなるように動く。これによって、連結ピン160gは、前方向かつ右方向に向かって動く。なお、連結ピン160gの右方向に沿った移動距離は、右主軸台134bの右方向に沿った移動距離の半分になる。
連結ピン160gが前方向かつ右方向に向かって動くことで、凹部160haの内面(右側の内面)を頭160gaによって右方向に押し、ブロック160hを右方向に移動させる。この移動にともない、支持台座151も右方向に移動するので、ワークWも右方向に移動することになる。このようにして、リンク機構160によって、右主軸台134bを右方向に移動させると、支持機構150とともにワークWも右方向に移動する。ワークWの移動距離は、右主軸台134bの移動距離の半分なるので、右主軸台134bが移動しても、ワークWは、常に、左ダイス132aと右ダイス132bとの間の略真ん中(隙間Dだけずれる)に位置することになる。つまり、ワークWの回転軸は、左ダイス132aの回転軸と右ダイス132bの回転軸との間の略中央に位置することになる。
引込機構170は、ピストン170aと、一端がピストン170aに取り付けられた棒状部材170bと、左右方向にピストン170aを移動可能に収容するシリンダ170cと、シリンダ170cに流体を供給する流体制御装置170d(制御装置190によって制御される)と、流体が流れる第1流路170eと、流体が流れる第2流路170fと、棒状部材170bの他端とブラケット158aとをネジなどで連結する連結部材170gと、を備える。また、引込機構170は、シリンダ170cをベッドSに取り付けて支持する支持部材170hを有する。
流体制御装置170dがシリンダ170cに流体を供給することで、ピストン170aを左右方向に移動させる。これによって、引込機構170の棒状部材170bは移動する。棒状部材170bの他端とブラケット158aとが連結部材170gによって連結されており、ブラケット158aは支持機構150に固定されているので、引込機構170は棒状部材170bを介して支持機構150を左右方向に移動させることができる。例えば、シリンダ170c内のピストン170aによって区切られる右側の空間に第2流路170fを介して流体を供給することで(左側の空間の流体は第1流路170eを介して流体制御装置170dに排出される。)、ピストン170aを左方向に移動させ、支持機構150を左方向に移動させる。このようにして、引込機構170は、支持機構150を左方向に引き込む。例えば、シリンダ170c内のピストン170aによって区切られる左側の空間に第1流路170eを介して流体を供給することで(右側の空間の流体は第2流路170fを介して流体制御装置170dに排出される。)、ピストン170aを右方向に移動させ、支持機構150を右方向に移動させる。このようにして、引込機構170は、支持機構150を右方向に移動させる。
引込機構170のピストン170aを左方向に移動させ、支持機構150を引き込んで左方向に移動させると、隙間Dは狭くなるが連結ピン160gがブロック160hの凹部160haの内面(右側の内面)を押さないので、支持機構150のみが移動する。これによって、支持機構150が引き込まれるとき、支持機構150は、隙間Dを利用して移動し、リンク機構160、左ダイス132a、右ダイス132bなどとは独立して移動することになる。なお、引込機構170のピストン170aを右方向に移動させ、支持機構150を右方向に移動させると、隙間Dが広くなって、連結ピン160gがブロック160hの凹部160haの内面(左側の内面)に当たる。この状態になると、ワークWの回転軸は、左ダイス132aの回転軸と右ダイス132bの回転軸との間の中央に位置する。
支持機構150は、ワークWを支持する。このため、支持機構150を移動させるということは、ワークWを移動させることでもある。ワークWや右ダイス132bの移動方向は、左ダイス132aの回転軸(中心軸)と、右ダイス132bの回転軸(中心軸)と、ワークWの回転軸と、に直交する方向になる。
引込機構170は、支持機構150の位置(つまり、ワークWの位置)を制御装置190によって検出するのに用いられる検出用機構も有している。
例えば、検出用機構として、棒状部材170bに複数の磁性目盛(リニアスケール)を設け、シリンダ170cの所定箇所(例えば、右側の所定箇所)に磁性目盛を読み取る磁気センサを設ける。このような検出用機構が設けられたシリンダ170cは、所謂計測シリンダである。磁気センサは、磁性目盛の磁気を電気信号に変換して制御装置190に出力する。棒状部材170bに設ける複数の磁性目盛は、それぞれ、磁気が異なるものとし、磁気センサは、最近傍の磁性目盛の磁気を電気信号(磁気に応じて異なる信号)に変換して制御装置190に出力する。制御装置190は、入力された電気信号がいずれの磁性目盛の磁気を示すものであるかを特定することで、棒状部材170bの位置(例えば、棒状部材170bの移動後の位置)を検出することができる。上述のように、棒状部材170bの移動によって支持機構150も移動する。このため、棒状部材170bの位置(移動位置)を検出することは、支持機構150の位置(つまり、ワークWの位置)を検出することでもある。このように、制御装置190は、棒状部材170bの位置の検出によって、ワークWの位置を検出する。
また、棒状部材170bに設ける複数の磁性目盛は、それぞれ、同じ磁気のものとし、磁気センサは、棒状部材170bの左右方向の移動に伴って順次近づく複数の磁性目盛それぞれの磁気を順次電気信号に変換して出力するようにしてもよい。制御装置190は、電気信号の入力回数に応じて、棒状部材170bの移動距離を検出することができる。例えば、棒状部材170の初期位置を設定しておけば、制御装置190は、移動距離の検出によって、棒状部材170bの位置、つまり、ワークWの位置を検出することができる。
また、検出用機構として、棒状部材170bやピストン170aに、磁性体を設け、シリンダ170c内に、所定間隔で複数の磁気センサを設けるようにしてもよい。このような検出用機構が設けられたシリンダ170c(及びピストン170a)は、所謂計測シリンダである。ここでは、当該複数の磁気センサが、棒状部材170bの位置を検出する目盛となる。複数の磁気センサそれぞれは、磁性体が近傍にあるときに当該近傍の磁性体の磁気を電気信号に変換して出力する。制御装置190は、いずれの磁気センサ(又は複数の磁気センサ)から電気信号が出力されたかを特定することによって、棒状部材170bの位置、つまり、ワークWの位置を検出することができる。
以上のようにして、制御装置190は、検出用機構の利用によって(例えば、検出用機構からの信号に基づいて)、ワークWの位置を検出できる。なお、ワークWの位置の検出は、他の方法で行っても、検出方法に応じた構成で、引込機構170が形成されればよい。
制御装置190は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Ramdom Access Memory)、CPU(Central prosessing Unit)を含むコンピュータなどから構成され、転造装置100全体を制御する。また、制御装置190は、操作部や表示部なども備える。
例えば、制御装置190は、送り装置140(モータなど)を制御して、右主軸台134bなどを左右方向に移動させる。また、制御装置190は、流体制御装置155gを制御して、前側センタ155fを前後方向に移動させ、ワークWをクランプ又はアンクランプする。また、制御装置190は、流体制御装置155gを制御して、前側センタ155fを後方向に移動させる推進力を大きくし、ワークWのクランプ力を高める。制御装置190は、左主軸台134aの駆動部及び右主軸台134bの駆動部を制御して、左ダイス132a及び右ダイス132bを回転させる。また、制御装置190は、流体制御装置170dを制御して、支持機構150を左右方向に移動させる。また、制御装置190には、引込機構170からワークWの位置を検出するための信号(上記磁気センサからの電気信号など)が入力される。
次に、転造装置100の動作などを説明する。
転造装置100は、転造加工前にワークWを左ダイス132aに近づけ、両者の噛み合いが適切であるかを確認してから、転造を開始する。例えば、ワークWを左ダイス132aに近づけたときに、ワークWの凹凸の凸部と左ダイス132aの加工面の凸部とが当たった場合(図5(B)の状態)、ワークWの凹凸と左ダイス132aの加工面とが噛み合っていないので、ワークWの転造が正しくできない。この実施の形態では、ワークWの凹凸と左ダイス132aの加工面とが適切に噛み合っているかを確認してから転造を開始する。なお、図5(B)では、図が見やすいように、ワークWの凹凸と、左ダイス132aの加工面の凹凸とが離れた状態になっているが、実際には、ワークWの凸の頂部と、左ダイス132aの加工面の凹凸の頂部とは、接した状態になる。
以下、このような動作の詳細を説明する。
まず、ワークWの凹凸と左ダイス132aの加工面とが適切に噛み合っていると判別できるワークWの位置(支持機構150の位置)の範囲を設定するための動作を説明する。
例えば、ユーザは、試験用のワークWを用意する。制御装置190は、制御装置190の操作部へのユーザによる操作(以下、単にユーザによる操作という。)などを契機として、流体制御装置155gを制御し、前側センタ155fを後方向に移動させ、ユーザが用意したワークWを支持機構150によってクランプさせる。その後、ユーザによる操作などを契機として、制御装置190は、送り装置140を制御して、右主軸台134bを左方向に所定距離だけ移動させる。右主軸台134bが移動すると、この移動にともなって、リンク機構160により、支持機構150(ワークW)も移動する。右主軸台134bの移動後の位置は、ワークWの転造を開始するための転造初期位置であり、当該位置は予め設定されている。転造初期位置は、ワークWと左ダイス132aの加工面とが噛み合いを開始する直前の位置であり、ワークWと左ダイス132aとの間の隙間が所定の長さ(予め決定しておけばよい。)になっている位置である。なお、支持機構150がリンク機構160によって移動するときには、制御装置190は、当該移動への影響を少なくするために、流体制御装置170dを制御して、シリンダ170cに流体がない状態にし(又は流体の出入りを自由にし)、支持機構150に余計な力が掛からないようにしてもよい。
その後、ユーザは、左ダイス132aの加工面とワークWの外周面の凹凸との噛み合わせが適切になるように、左ダイス132a及び右ダイス132bを回転させたり、ワークWを回転させたりする。この作業は、制御装置190を操作したり、手動で行ったりする。このようにして、ワークWと左ダイス132aとの位置合わせを行う。
次に、ユーザによる操作などを契機として、制御装置190は、流体制御装置170dを制御して、支持機構150を左方向に移動させ、ワークWが左ダイス132aの加工面に突き当たるまで(ワークWが左方向に移動できなくなるまで)、支持機構150を左側に引き込む。このとき、上述のように、隙間Dは狭くなるが連結ピン160g(頭160ga)がブロック160hの凹部160haの内面(右側の内面)を押さないので、支持機構150のみが移動する。ワークWと左ダイス132aとの位置合わせが行われているので、ワークWが左ダイス132aの加工面に突き当たったとき、ワークWの凹凸が左ダイス132aの加工面に適切に噛み合わさった状態(つまり、ワークWの凹凸と加工面の凹凸とが適切に噛み合わさった状態)になる(図5(A)の状態)。なお、図5(A)では、図が見やすいように、ワークWの凹凸と、左ダイス132aの加工面の凹凸とが離れた状態になっているが、実際には、ワークWの凹凸を構成する面(斜面W1など)と、左ダイス132aの加工面の凹凸を構成する面(斜面Z1など)と、は、その大部分が接した状態になる。このような状態が、ワークWが左ダイス132aの加工面に突き当たったときの、ワークWの凹凸と左ダイス132aの加工面(加工面の凹凸)とが適切に噛み合わさった状態となる。凹部160haの幅は、引込装置170が、支持機構150を右主軸台134bなどとは独立して、十分な距離だけ引き込めるような幅にするとよい(つまり、隙間Dを十分に取る)。
ワークWが左ダイス132aの加工面に突き当たったかどうかの判別は、ユーザによる目視によって行ってもよいし、制御装置190の処理によって行ってもよい。例えば、ユーザは、目視によってワークWがもう左方向に移動しないと確認したときに、ワークWが左ダイス132aの加工面に突き当たったとして、制御装置190の操作部を操作して当該引き込みを終了させてもよい。また、例えば、制御装置190は、支持機構150を左方向に移動させている期間において、上述のように、引込機構170の検出用機構(棒状部材170b(ワークW)の位置を検出するための機構)の磁気センサからの信号などに基づいて、ワークWの位置を検出し、検出した当該ワークWの位置が動かなくなったときに、ワークWが左ダイス132aの加工面に突き当たったとして、当該引き込みを終了させてもよい。
制御装置190には、ワークWが左ダイス132aの加工面に突き当たったタイミングにおけるワークWの位置を検出する。この検出は、上述のように、引込機構170における検出用機構を利用して行われる。制御装置190は、検出した位置を設定位置(例えば、ワークWの中心軸の位置であり、例えば、図5(A)の状態における中心軸の位置を設定位置とする)としてRAMなどに保持する。さらに、制御装置190は、設定位置を基準とした設定公差(例えば、図5(A)の設定位置を中心とした所定幅の範囲)をRAMなどに保持する。ワークWの凹凸は、同じ種類のワークWであっても微妙に異なる。また、同じワークWの凹凸でも微妙な振れ(歪み)などがある。また、左ダイス132aの加工面にも微妙な振れ(歪み)などがある。このため、ワークWの凹凸と左ダイス132aの加工面とが適切に噛み合わさった(転造可能なように噛み合わさった)としても、当該ワークWの位置は設定位置からずれることがある。設定公差は、ワークWの凹凸が左ダイス132aの加工面に適切に噛み合わさった状態(転造可能な噛み合わせ状態)であると許容できるワークWの位置の範囲(ワークWの転造を開始可能な範囲)として設定される。例えば、設定位置を、左右方向をX軸(左方向を正)としたX座標=X1の位置とする。なお、当該位置は、ワークWの回転軸の他、外周面の位置などとしてもよい。そして、例えば、設定位置から所定距離(M1)だけ右方向に移動させた第1位置(X座標=X1−M1)と、設定位置から所定距離(M1であってもよいし、M1とは異なる距離であってもよい。)だけ左方向に移動させた第2位置(X座標=X1+M1)と、を両端の位置とする範囲(X1−M1〜X1+M1の範囲)を設定公差とする。第1位置は、ワークWの凹凸と左ダイス132aの加工面とが適切に噛み合わさったと許容できる、左ダイス132aから最も遠いワークWの位置(例えば、ワークWの中心軸の位置であり、左ダイス132aの中心軸から最も遠い位置)であり、第2位置は、ワークWの凹凸と左ダイス132aの加工面とが適切に噛み合わさったと許容できる、左ダイス132aから最も近いワークWの位置(例えば、ワークWの中心軸の位置であり、左ダイス132aの中心軸に最も近い位置)である。なお、設定公差は、第1位置のみから規定されるものであってもよい。つまり、設定公差は、第1位置よりも左ダイス132aに近い位置の範囲から構成されてもよい。例えば、設定公差を、X1−M1以上の値のX座標の範囲とする。このような場合、後述のワークWの転造前において、左ダイス132aに突き当てたワークWの位置が、第1位置よりも左ダイス132aに近い位置であれば、そのワークWの位置が設定公差内であることになる。
このようにして、ワークWの凹凸と左ダイス132aの加工面とが適切に噛み合っていると判別できるワークWの位置の範囲が設定される。
次に、ワークWの量産のためにワークWの転造を行うときの転造装置100の動作を説明する。この動作は、ユーザによる操作などを契機として、開始される。また、右主軸台134bは、加工原点位置(加工開始時における位置)にあるものとする。加工原点位置は予め設定されている。
例えば、ユーザは、ワークWを用意する。制御装置190は、ユーザによる操作などを契機として、流体制御装置155gを制御し、前側センタ155fを後方向に移動させ、ワークWをクランプさせる。その後、ユーザによる操作などを契機として、制御装置190は、送り装置140(モータなど)を制御して、右主軸台134bを左方向に転造初期位置まで移動させる。なお、このとき、制御装置190は、左主軸台134aの駆動部及び右主軸台134bの駆動部を制御して、左ダイス132a及び右ダイス132bを同じ速度、同じ方向に低速で回転させる。なお、右主軸台134bを転造初期位置まで移動した場合の支持機構150の位置を支持機構初期位置ともいう。
右主軸台134bを転造初期位置まで移動させると、制御装置190は、流体制御装置170dを制御して、支持機構150を左方向に移動させ、ワークWが左ダイス132aの加工面に突き当たるまで、支持機構150を左側に引き込む。このとき、上述のように、隙間Dは狭くなるが連結ピン160g(頭160ga)がブロック160hの凹部160haの内面(右側の内面)を押さないので、支持機構150のみが移動する。制御装置190は、上述と同様、ワークWの位置を検出し、検出した当該ワークWの位置が動かなくなったときに、ワークWが左ダイス132aの加工面に突き当たったと判別して、当該引き込みを終了する。なお、ワークWが左ダイス132aの加工面に突き当たっても、左ダイス132aと右ダイス132bとの回転は続けられる。このため、ワークWが左ダイス132aの加工面に突き当たった場合、ワークも左ダイス132aとともに回転する。
制御装置190には、ワークWが左ダイス132aの加工面に突き当たったタイミングにおけるワークWの位置を検出する。この検出は、上述のように、引込機構170における検出用機構を利用して行われる。そして、制御装置190は、検出した位置が、設定公差内であるかを判別し、設定公差内でない場合には(例えば、図5(B)の状態)、流体制御装置170dを制御して、支持機構150を、一旦右方向に移動させ、支持機構初期位置に移動させる。その後、制御装置190は、流体制御装置170dを制御して、支持機構150を再度左方向に移動させ、ワークWが左ダイス132aの加工面に突き当たるまで、支持機構150を左側に引き込む。なお、左ダイス132aと右ダイス132bとは回転し続けているため、再度の引き込みによって、左ダイス132aとワークWとの突き当たる面は前回の引き込み時とは異なる部分になる。制御装置190は、ワークWが左ダイス132aの加工面に突き当たったタイミングにおけるワークWの位置を再度検出し、この検出した位置が、設定公差内であるかを判別する。制御装置190は、検出した位置が設定公差内となるまで、このような処理を繰り返す。
検出した位置が、設定公差内である場合には(例えば、図5(A)の状態)、ワークWの凹凸が左ダイス132aの加工面に適切に噛み合わさった状態であると許容できるので、つまり、転造を開始できるので、制御装置190は、転造開始可能と判別して、転造を開始する。
制御装置190は、まず、左主軸台134aの駆動部及び右主軸台134bの駆動部を制御して、左ダイス132a及び右ダイス132bを高速(転造に必要な回転速度)で同期させながら回転させる。このとき、左ダイス132aとワークWとは、噛み合った状態にあるので、左ダイス132aの回転によってワークWも回転する(連れ回りする)。この状態で、制御装置190は、送り装置140(モータなど)を制御して、右主軸台134bを左方向に徐々に移動させて、右ダイス132bをワークWに押しつけ(右ダイス132bと左ダイス132aとは、加工面の位相が予め調整されているので、右ダイス132bの加工面とワークWの凹凸とは噛み合った状態になる)、転造による加工を実行する。なお、制御装置190は、転造時において、転造への影響を少なくするために、流体制御装置170dを制御して、シリンダ170cから流体を抜き(又は流体の出入りを自由にし)、支持機構150に余計な力が掛からないようにしてもよい。転造加工後、制御装置190は、送り装置140(モータ)を制御して、右主軸台134bを右方向に加工原点位置まで移動させる。
上記一連の工程を繰り返すことによって、ワークWを量産できる。
この実施の形態では、上記構成によって、ワークWの凹凸と左ダイス132aの加工面との噛み合わせを確認するために、支持機構150を左ダイス132aの回転軸とワークWの回転軸とに直交する直交方向に移動させて当該ワークWを左ダイス132aに近づける引込機構170が設けられ、支持機構150は、引込機構170によって、左ダイス132a及び右ダイス132bとは独立して前記直交方向に沿って移動するようにしたので、ワークWの凹凸と左ダイス132aの加工面との噛み合わせをワークWの位置で確認でき、従来のようなワークWの凹凸と左ダイス132aの加工面との噛み合わせの確認のためのセンシング部材やセンサの位置などをワークWの形状などによって変更する必要がなく、当該噛み合わせの確認を簡単に行える。特に、ワークWの移動方向が、噛み合わせの確認時と転造時とで同じであるので(さらに、ワークWの移動方向が右ダイス132bの移動方向と同じであるので)、当該噛み合わせの確認を簡単に行える。
また、この実施の形態では、上記構成によって、右ダイス132bを左ダイス132aに近づけることに伴って、支持機構150を左ダイス132aに近づけるリンク機構160を設け、リンク機構160は、右ダイス132bの移動に伴って左ダイス132a側に近づく連結ピン160gと、支持機構150とともに移動可能であって、左ダイス132a側に近づく連結ピン160gに押されて移動することで支持機構150を左ダイス132a側に近づける第2部材と、を備える。そして、支持機構150が引込機構170によって前記直交方向に沿って移動するときに、連結ピン160gによって押される面が連結ピン160gから離れることが可能なようにブロック160hは構成され、支持機構150は、連結ピン160gによって押される面(凹部160haの左側の内面)が連結ピン160gから離れることで、左ダイス132a及び右ダイス132bとは独立して前記直交方向に沿って移動可能となっている。このような構成によって、リンク機構160を利用してワークWの凹凸と左ダイス132aの加工面との噛み合わせの確認ができる。また、このような構成によって、簡単な構成で噛み合わせの確認ができる。
また、この実施の形態では、上記構成によって、ブロック160hは、連結ピン160gが入り込む凹部160haを備え、凹部160haは、第1内面(凹部160haの左側の内面)と、第1内面に対向する第2内面(凹部160haの右側の内面)と、を備え、第1内面が、右ダイス132b側に近づく連結ピン160gによって押され、連結ピン160gによって第1内面が押された状態において、第2内面と連結ピン160gとの間に隙間Dが形成される。このような構成によって、リンク機構160を利用してワークWの凹凸と左ダイス132aの加工面との噛み合わせの確認ができる。また、このような構成によって、簡単な構成で噛み合わせの確認ができる。
また、この実施の形態では、上記構成によって、引込機構170によって移動するワークWの位置を検出する検出手段(ここでは、引込機構170の検出用機構によって検出する制御装置190)と、前記検出手段が検出した前記位置が、前記第1ダイスから所定距離内の位置の範囲であって予め設定された所定範囲内(ここでは、X1−M1〜X1+M1の範囲の設定公差内、又は、X1−M1以上の範囲の設定公差内)にあるときに、前記ワークの転造を開始可能と判別する制御手段(ここでは、左ダイス132aに突き当てたワークWの位置が設定公差内であった場合に転造を開始可能と判定する制御装置190)と、をさらに備える。これによって、制御手段による噛み合わせの確認が行われるので、ワークWの凹凸と左ダイス132aの加工面との噛み合わせの確認が容易になり、転造を効率良くできる。また、上記実施の形態では、制御手段は、前記検出手段が検出した前記位置が、前記第1ダイスから所定距離内の位置の範囲であって予め設定された所定範囲内の位置になるまでワークWを左ダイス132aに突き当てることなどを繰り返し、前記検出手段が検出した前記位置が所定範囲内の位置になったときに、転造を開始するので、噛み合わせの確認から転造まで自動化でき、転造を効率良く行える。前記所定範囲は、ユーザによる操作などによって、適宜変更可能であってもよい。
また、この実施の形態では、引込機構170(特に、検出用機構)をワークWの加工スペース(例えば、2つのダイス、2つのセンタ、ベッドSに囲まれた領域)の外に配置されている(ここでは、転造スペースがベッドSの上にあるのに対し、引込機構170は側面にある)ので、引込機構170がワークの転造の邪魔にならず、ワークWの転造時に使用される油(例えば、工作油など)を原因とした引込機構170の汚れを減らすこと(無くすことも含む。)ができる。
また、この実施の形態では、左ダイス132aを回転させながら、ワークWと左ダイス132aとの距離を近づけたり、離したりするので、ワークWの凹凸と左ダイス132aの加工面との噛み合わせの確認の自動化が可能になっており、ワークWの凹凸と左ダイス132aの加工面との噛み合わせの確認が容易で転造を効率良くできる。特に、左ダイス132aを低速(転造時よりも低速で、噛み合わせの確認のために必要な所定の速度であればよい。)で回転させるので、噛み合わせの確認時においてワークWが傷つき難くなる。さらに、左ダイス132aを回転させながらワークWを突き当てるので、当該突き当て時にワークWの凹凸と左ダイス132aの加工面との噛み合わせが多少ずれていたとしても、左ダイス132aの加工面に合わせてワークWが回転し、ワークWの凹凸と左ダイス132aの加工面との噛み合わせが良くなることがある。このため、ワークWの凹凸と左ダイス132aの加工面との噛み合わせの調整がし易くなっている。
さらに、制御装置190が不揮発性メモリを備えるようにしてもよい。そして、制御装置190は、前記の設定公差を、形状の異なる複数種類のワーク毎に不揮発性メモリに記憶するようにすれば、形状の異なる複数種類のワークそれぞれの加工時において、設定公差の設定などが不要になり、転造の段取りの工程を少なくすることができる。なお、デジタリスイッチなどによって、設定公差を記憶するようにしてもよい。さらに、この実施の形態では、センサの位置を手動で変更するなどの従来必要であった工程を無くすことができ、ワークWの凹凸と左ダイス132aの加工面との噛み合わせの確認の精度も安定する。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上記実施の形態を変更(構成要素の削除等を含む)できる。以下に変形例を記載するが、下記の変形例の構成の少なくとも一部同士を組み合わせてもよい。
例えば、左ダイス132aと右ダイス132bとの両者が左右方向に移動可能としてもよい。この場合、図7のように、左主軸台本体135aの下部にネジなどによって取り付けられた4つのブロック139a(ブロック139bと同様のもの)を設ければよい。また、この場合には、図7のように、左主軸台本体135a用の送り装置140をさらに設けるとともに、リンク機構160を省略してもよい。このような場合、支持機構150の位置の調整(特に、ワークWの回転軸が左ダイス132aの回転軸と右ダイス132bの回転軸との間の真ん中に位置するように支持機構150の位置を調整すること)、ワークWを左ダイス132a(右ダイス132bであってもよい。)に近づける(突き当てる)ことは、引込機構170によって行われる。このような構成であっても、上記実施の形態と同様の効果が適宜得られる。ワークWを左ダイス132a(又は右ダイス132b)に突き当てたときの位置が設定公差内なったときには、上記実施形態と同様に、左ダイス132a(又は右ダイス132b)とワークWとを連れ回りさせ、そこに、突き当てていない方のダイスである右ダイス132b(又は左ダイス132a)を押し当てて転造するとよい。また、転造への影響を少なくするために、流体制御装置170dを制御して、シリンダ170cから流体を抜き(又は流体の出入りを自由にし)、支持機構150に余計な力が掛からないようにしてもよい。このような変形例では、ワークWの移動方向(噛み合わせ確認時の移動方向)が一方のダイスの移動方向と同じになるので(両方のダイスの移動方向と平行かつ同一平面内にあるので)、当該噛み合わせの確認が簡単となっている。
制御装置190は、NC装置であってもよく、ベッドS上に設けられるものとしてもよいし、ベッドSから離れた位置に設置されて制御対象と有線または無線で接続されるものとしてもよい。
上記の実施の形態では、検出用機構が引込機構170内部(特にシリンダ170c内部)に設けられているが、当該検出用機構は、引込機構170外部やシリンダ170c外部に設けても良い。例えば、シリンダ170c外部にリニアスケールを設け、当該リニアスケールを用いてワークWの位置を検出するようにしてもよい。位置の検出は、制御装置190ではなく、検出用機構側で行ってもよい。シリンダ170cを計測シリンダなどにして、ワークWの位置を検出した方が転造装置100の製造コストを抑えることができる。
設定位置及び設定公差で用いられるワークWの位置は、ワークWの移動距離(例えば、支持機構150が支持機構初期位置にあるときのワークWの位置(ワーク初期位置)を基準とした距離)によって示すようにしてもよい。この場合、例えば、左右方向をX軸とした場合の、ワークWの位置のX座標からワーク初期位置のX座標を減じた値を移動距離として検出し、この移動距離をワークWの位置として、設定公差(この場合の設定公差は、移動距離に応じて設定される。)と比較するようにしてもよい。ワークWの位置は、ワークWの位置を特定できるような情報であれば、どのような情報としてもよい。
引込機構170は、支持機構150を移動させるものであればよく、例えば、ワークWの凹凸と左ダイス132aの加工面との噛み合わせの確認のために、支持機構150を引き込むのではなく押すことによって移動させてもよい。
上記実施の形態では、各種シリンダを用いて各種装置を移動させていたが、モータなどによって各種装置のうちの少なくとも1つを移動させるようにしてもよい。また、送り装置140は、引込機構170などと同様に流体によって左主軸台本体135a又は右主軸台本体135bを移動させる構造であってもよい。
上記実施形態では、引込機構170により、ワークWを左ダイス132aに突き当たるまで移動させていたが、ワークWを左ダイス132aに突き当たるまで移動させなくてもよい。例えば、制御装置190は、ワークWを左方向に移動させているときの位置を順次検出し、当該位置が設定公差内になった場合に、ワークWの移動を終了して、転造可能と判別してもよい。なお、引込機構170により、ワークWを左ダイス132aに突き当たるまで移動させた場合の方が、構成などを単純化できる。
また、制御装置190は、引込装置170が任意の位置(ワークWの凹凸と左ダイス132aの加工面との噛み合わせが適切であると許容できる位置であって、ワークWと左ダイス132aとの位置合わせした状態でワークWを左ダイス132aに突き当てた位置を基準とした所定の位置(上記設定公差と同様に設定された位置範囲)など)までワークWを左ダイス132aに近づけることができた場合に、転造可能であると判別してもよい。例えば、引込装置170は、ワークWの引き込み量を制御装置190に出力し、制御装置190は、入力された当該引き込み量(ワークWの位置によって特定してもよい。)が所定値に達したときに、転造可能であると判別してもよい。
右ダイス132bの代わりに左ダイス132aを移動させてもよい。さらに、ワークWの凹凸と左ダイス132aの加工面との噛み合わせの確認のために支持機構150を移動させる方向は、左ダイス132aに近づく方向ではなく、右ダイス132bに近づく方向であってもよい。
リンク機構160の構成は、上記に限られない。左ダイス132aと右ダイス132bとの距離に応じて支持機構150を移動させるものであればよい。リンク機構160は、左ダイス132aと右ダイス132bとが近づくことに応じて移動する第1部材(上記では連結ピン160g)と、当該移動する第1部材によって押される第1の面(上記では凹部160haの左側の面)を有し、当該移動する第1部材により押されることで支持機構150とともに移動する第2部材(上記ではブロック160h)と、を有すものであればよい。例えば、第2部材は、左ダイス132aと右ダイス132bとが遠ざかることに応じて移動する第1部材に押される第2の面(上記では凹部160haの右側の面であり、右主軸台134bの右方向への移動によって連結ピン160gに押されて、支持機構150を右方向に移動させる面)を有さなくてもよい。具体的には、例えば、凹部160haは、溝状のものではなく、切欠き状のもの(凹部160haの底面がブロック160hの側面まで達する形状)であってもよい。第2の面を設けない場合、リンク機構160を介して支持機構150を右方向に移動させることが出来ないので、代わりに、引込装置170などによって、支持機構150を右方向に移動させればよい。第2部材は、第1部材を基準として第1の面と反対側に隙間Dなどの空間を形成するようにして、支持機構150が引込機構170によって引き込まれることを邪魔しない部材であればよい。なお、第2部材が第1の面と第2の面とを有することによって、支持機構150をリンク機構160によって左方向及び右方向に移動させることができるので、有用である。