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JP6070621B2 - 残留ショット粒の除去装置及び除去方法 - Google Patents
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本発明は、磁性体鋼材の表面に付着しているショット粒を除去する残留ショット粒の除去装置及び除去方法に関する。
厚板等の磁性体鋼材では残留磁化が発生することがある。残留磁化が発生する要因には、熱処理むらや圧延後の残留応力によるもの等の他に、磁性体鋼材の表面に施されたショットブラスト加工によるものがある。ショットブラスト加工とは、投射材と呼ばれるショット粒をワーク表面に衝突させることによってワークを加工する加工方法のことである。
ショットブラスト加工によって残留磁化が発生した場合、残留磁化を管理することも重要であるが、残留磁化によって磁性体鋼材の表面に付着したショット粒(以下、残留ショット粒と表記)を効率よく除去することが求められる。これは、残留ショット粒が塗装工程等の後工程に悪影響を及ぼすことがあるためである。
このような背景から、特許文献1には、回転ブラシを移動させることにより残留ショット粒を除去する方法が記載されている。また、特許文献2には、電磁石機能を有するブラシを用いてショット粒を回収する、又はショット粒が飛散する底部に電磁石を設けてショット粒を回収する方法が記載されている。また、特許文献3には、内部に永久磁石を有するドラムとドラム表面に取り付けたスクレーパとを用いてショット粒を回収する方法が記載されている。また、交流脱磁装置を利用して外部磁場を印加することによって残留ショット粒を落下させる方法も知られている。
特開2009−154278号公報 特開平7−237125号公報 特開平3−16681号公報
しかしながら、特許文献1記載の方法によれば、回転ブラシの回転機構や移動機構が必要になるために、装置を小型化することが困難になる。また、特許文献2及び特許文献3記載の方法は、散逸したショット粒を回収する方法であり、磁性体鋼材表面に付着した残留ショット粒を除去する方法ではない。
一方、交流脱磁装置を利用して残留ショット粒を落下させる方法によれば、磁性体鋼材表面に印加する外部磁場の周波数及び磁化電流を調整することによって残留ショット粒を除去することができる。しかしながら、交流脱磁装置がショットライン付近に無い場合やショット粒の除去に適した周波数及び磁化電流による動作が不可能である場合には、交流脱磁装置を利用して残留ショット粒を落下させることができない。また、本来、交流脱磁装置は磁性体鋼材全体を脱磁するものであるため、無駄な使用電力量が多くなる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、装置を大型化することなく、磁性体鋼材の表面に付着しているショット粒を効率よく除去可能な残留ショット粒の除去装置及び除去方法を提供することにある。
本発明に係る残留ショット粒の除去装置は、残留磁化によって磁性体鋼材表面に付着しているショット粒を除去する残留ショット粒の除去装置であって、着磁面が前記磁性体鋼材表面に対して平行になるように磁性体鋼材表面に対向配置された永久磁石と、前記磁性体鋼材表面と前記永久磁石の着磁面との間に配置された、前記着磁面に接触し、且つ、前記着磁面より大きい面積を有する磁性体鋼板と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る残留ショット粒の除去装置は、上記発明において、極性が異なる前記永久磁石が前記磁性体鋼材の搬送方向に沿って複数配置され、前記磁性体鋼板は永久磁石毎に設けられていることを特徴とする。
本発明に係る残留ショット粒の除去装置は、上記発明において、前記磁性体鋼材表面と前記磁性体鋼板との間に配置された、前記磁性体鋼材表面から除去されたショット粒が前記磁性体鋼板表面に落下することを防止するカバー部材を備えることを特徴とする。
本発明に係る残留ショット粒の除去方法は、本発明に係る残留ショット粒の除去装置と、磁性体鋼材と、を所定の相対速度で移動させながら、残留磁化によって前記磁性体鋼材表面に付着しているショット粒を除去する残留ショット粒の除去方法であって、前記残留ショット粒の除去装置が前記磁性体鋼材の搬送方向に与える磁場分布が、磁束の値が前記磁性体鋼材表面から前記ショット粒を除去できる磁束の所定値である区間を含み、前記所定の相対速度は、前記磁束の所定値が少なくとも前記ショット粒が前記磁性体鋼材表面に再付着しない時間維持される速度であることを特徴とする。
本発明に係る残留ショット粒の除去装置及び除去方法によれば、装置を大型化することなく、磁性体鋼材の表面に付着しているショット粒を効率よく除去することができる。
図1は、交流脱磁装置を利用して磁性体鋼材表面に付着している残留ショット粒を除去する場合の磁化電流の一例を示す図である。 図2は、磁性体鋼材の搬送方向に沿って永久磁石を1列配置した場合、2列配置した場合、及び2列配置された永久磁石と磁性体鋼材との間に磁性体鋼板を配置した場合における磁性体鋼材の搬送方向における外部磁場の強さの一例を示す図である。 図3は、本発明の一実施形態である残留ショット粒の除去装置の構成を示す模式図である。 図4は、図3に示す永久磁石の構成例を示す平面図である。
〔本発明の概念〕
始めに、図1,図2を参照して、本発明の概念について説明する。
外部磁場を利用して磁性体鋼材の表面に付着している残留ショット粒を除去する上で重要なことは、外部磁場を印加した後の磁性体鋼材表面の残留磁化の大きさ及び変化率である。以下に示す表1に磁性体鋼材表面の残留磁化(表面磁束)の大きさとショット粒の残留状況との関係を示す。表1に示すように、磁性体鋼材表面の残留磁化の大きさが数十[G]以下である場合、磁性体鋼材表面にショット粒は残留しない。従って、磁性体鋼材表面に付着している残留ショット粒を除去するためには、外部磁場を印加することによって磁性体鋼材表面の残留磁化の大きさを数十[G]以下にする必要がある。
Figure 0006070621
一方、外部磁場を利用して磁性体鋼材の表面に付着している残留ショット粒を除去するためには、外部磁場を印加することにより磁性体鋼材表面の残留磁化の大きさが数十[G]以下になっている状態が所定時間以上継続する必要がある。例えば交流脱磁装置を利用して磁性体鋼材表面に外部磁場を印加する場合、磁化電流の大きさが十分であっても、磁化電流の周波数が高いと残留ショット粒を除去できない場合がある。これは、残留磁化が小さくなっている時間が短いために、極性が反転して磁性体鋼材表面が磁化され、残留ショット粒が磁性体鋼材表面に再び付着してしまうためである。
従って、交流脱磁装置を利用して磁性体鋼材表面に付着している残留ショット粒を除去する場合には、磁化電流の大きさ及びその周波数を調整する必要がある。図1は、交流脱磁装置を利用して磁性体鋼材表面に付着している残留ショット粒を除去する場合の磁化電流の一例を示す図である。図1に示すように、交流脱磁装置を利用して磁性体鋼材表面に付着している残留ショット粒を除去する場合、外部磁場の大きさが磁性体鋼材の磁化のレベルの範囲ΔG内にある時間Δtを長くするために、磁化電流の大きさ及びその周波数は一般的な脱磁時における磁化電流の大きさ及びその周波数より小さくする必要がある。例えば、磁化電流の大きさ及びその周波数をそれぞれ20〜30[A]及び5〜10[Hz]に設定する必要がある。
しかしながら、交流脱磁装置が残留ショット粒の除去に適した磁化電流の大きさ及び周波数による動作ができない場合には、交流脱磁装置を利用して磁性体鋼材の表面に付着している残留ショット粒を除去することはできない。また、磁性体鋼材の搬送速度が速い場合には、外部磁場の大きさが磁性体鋼材の残留磁化の範囲ΔG内にある時間Δtが短くなるために、磁性体鋼材の表面に付着している残留ショット粒を除去することができなくなる。
そこで、本発明では、交流脱磁装置ではなく永久磁石を利用して、磁性体鋼材の搬送方向の外部磁場の変化を緩やかにし、外部磁場が磁性体鋼材の表面に作用する磁性体鋼材の搬送方向の距離を長くすることにより、外部磁場の大きさが磁性体鋼材の残留磁化の範囲ΔG内にある時間Δtを長くするようにした。より具体的には、本発明では、磁性体鋼材表面から所定距離離間させて永久磁石を設置すると共に、磁性体鋼材表面に作用する外部磁場の空間分布が磁性体鋼材の搬送方向に沿って緩やかになるように磁性体鋼板と永久磁石との間に永久磁石の着磁面より広い面積を有する磁性体鋼板を配置した。
図2は、磁性体鋼材の搬送方向に沿って永久磁石を1列配置した場合(ケース1)、2列配置した場合(ケース2)、及び2列配置された永久磁石と磁性体鋼材との間に磁性体鋼板を配置した場合(ケース3)における磁性体鋼材の搬送方向における外部磁場の強さの一例を示す図である。なお、本例では、磁性体鋼材と永久磁石との間の距離は80[mm]、搬送方向の磁石間の距離は300[mm]以上とし、磁性体鋼板として厚さ10[mm]のSS400鋼板を用いた。
図2に示すように、磁性体鋼材の残留磁化を打ち消すために50[G](=0.005[T])〜100[G](=0.01[T])程度の外部磁場が必要であるとして、外部磁場の強さがこの範囲内に入る磁性体鋼材の搬送方向の距離を計算すると、ケース1の場合は130[mm](距離T1)、ケース2の場合は120[mm](距離T2)、及びケース3の場合は217[mm](距離T3)となった。
以上のことから、磁性体鋼材と永久磁石との間に永久磁石の着磁面より広い面積を有する磁性体鋼板を配置することによって、磁性体鋼材の搬送方向の外部磁場の変化が緩やかになり、外部磁場が磁性体鋼材表面に作用する磁性体鋼材の搬送方向の距離が長くなることが確認された。結果、外部磁場の大きさが磁性体鋼材の残留磁化の範囲ΔG内にある時間Δtが長くなり、磁性体鋼材の表面から残留ショット粒を効率よく除去することができる。
〔装置構成〕
以下、図3,図4を参照して、上記本発明の概念に基づき想倒された本発明の一実施形態である残留ショット粒の除去装置の構成について説明する。
図3は、本発明の一実施形態である残留ショット粒の除去装置の構成を示す模式図である。図4は、図3に示す永久磁石の構成例を示す平面図である。
図3に示すように、本発明の一実施形態である残留ショット粒の除去装置は、図中矢印方向に搬送される磁性体鋼材Sの表面に付着している残留ショット粒Pを除去するための装置であり、永久磁石1a,1b、磁性体鋼板2、及びカバー3を主な構成要素として備えている。ここで、残留ショット粒Pは、ショットブラスト加工に用いられる直径0.5〜1.5mm程度の磁性体の粒子によって形成されている。
永久磁石1a,1bは、磁性体鋼材Sを搬送する搬送ロール間に設けられ、磁性体鋼材Sの搬送方向に沿って着磁面が磁性体鋼材S表面に対して平行になるように磁性体鋼材Sの表面に対向配置されている。永久磁石1aは、永久磁石1bの極性とは反対の極性を有している。永久磁石1a,1bは、対向する磁性体鋼材Sの表面に外部磁場を印加する。
極性が異なる永久磁石を磁性体鋼材Sの搬送方向に複数配置することによって、磁性体鋼材Sの残留磁化の極性が変化した場合であっても、反対の極性を有する外部磁場を磁性体鋼材Sの表面に印加し、磁性体鋼材Sの表面に付着している残留ショット粒を除去することができる。磁性体鋼材Sの表面に印加する外部磁場の大きさは、永久磁石1a,1bの表面磁束密度や大きさを変えたり、永久磁石1a,1bと磁性体鋼材S表面との間の距離を変えたりすることによって、調整できる。
なお、永久磁石1aと永久磁石1bとが磁気回路を形成することによって、磁性体鋼材Sを磁化する効率が落ちることを抑制するために、永久磁石1aと永久磁石1bとは磁性体鋼材Sの搬送方向に沿って所定距離離間して配置することが望ましい。例えば磁性体鋼材Sと表面磁束5000[G]程度の永久磁石1a,1bとの間の距離が80[mm]である場合には、永久磁石1aと永久磁石1bとは磁性体鋼材Sの搬送方向に沿って300[mm]以上離間して配置することが望ましい。
また、永久磁石1a,1bは、図4(a)や図4(b)に示すように磁性体鋼材Sの幅方向に沿って配列された複数の永久磁石列によって構成されていてもよいし、図4(c)に示すように磁性体鋼材Sの幅方向に伸びる板状の永久磁石によって構成されていてもよい。永久磁石1a,1bの配置は、永久磁石の表面磁束密度、残留ショット粒Pを除去するために必要な磁化レベル、及び残留ショットPを除去したい磁性体鋼材S表面の位置に応じて変更することができる。
磁性体鋼板2は、永久磁石1a,1bと磁性体鋼材Sとの間に配置されている。磁性体鋼板2は、永久磁石1a,1bの着磁面より磁性体鋼材Sの搬送方向に広い板状の磁性体鋼板によって形成され、永久磁石1a,1bの着磁面に接触している。磁性体鋼板2は、永久磁石1a,1bが磁性体鋼板Sの表面に印加する外部磁場の空間部分を磁性体鋼材Sの搬送方向に沿って緩やかにする機能を有している。
カバー3は、磁性体鋼板2と磁性体鋼材Sの表面との間に配置されている。カバー3は、樹脂材料等の非磁性体によって形成されている。カバー3は、磁性体鋼材Sの表面から除去された残留ショット粒Pが磁性体鋼板2上に落下することを防ぐ機能を有している。
以上の説明から明らかなように、本発明の一実施形態である残留ショット粒の除去装置は、残留磁化によって磁性体鋼材Sの表面に付着している残留ショット粒Pを除去する残留ショット粒の除去装置であって、着磁面が磁性体鋼材Sの表面に対して平行になるように磁性体鋼材Sの表面に対向配置された永久磁石1a,1bと、磁性体鋼材Sの表面と永久磁石1a,1bの着磁面との間に配置された、着磁面に接触し、且つ、着磁面より大きい面積を有する磁性体鋼板2と、を備えている。これにより、装置を大型化することなく、磁性体鋼材Sの表面に付着している残留ショット粒Pを効率よく除去すること。
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例、及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
1,1a,1b 永久磁石
2 磁性体鋼板
3 カバー(非磁性体)
P 残留ショット粒
S 磁性体鋼材

Claims (3)

  1. 残留磁化によって磁性体鋼材表面に付着しているショット粒を除去する残留ショット粒の除去装置であって、
    着磁面が前記磁性体鋼材表面に対して平行になるように磁性体鋼材表面に対向配置された永久磁石と、
    前記磁性体鋼材表面と前記永久磁石の着磁面との間に配置された、前記着磁面に接触し、且つ、前記着磁面より大きい面積を有する磁性体鋼板と、を備え、
    極性が異なる前記永久磁石が前記磁性体鋼材の搬送方向に沿って複数配置され、前記磁性体鋼板は永久磁石毎に設けられていることを特徴とする残留ショット粒の除去装置。
  2. 前記磁性体鋼材表面と前記磁性体鋼板との間に配置された、前記磁性体鋼材表面から除去されたショット粒が前記磁性体鋼板表面に落下することを防止するカバー部材を備えることを特徴とする請求項に記載の残留ショット粒の除去装置。
  3. 請求項1又は2に記載の残留ショット粒の除去装置と、磁性体鋼材と、を所定の相対速度で移動させながら、残留磁化によって前記磁性体鋼材表面に付着しているショット粒を除去する残留ショット粒の除去方法であって、
    前記残留ショット粒の除去装置が前記磁性体鋼材の搬送方向に与える磁場分布が、磁束の値が前記磁性体鋼材表面から前記ショット粒を除去できる磁束の所定値である区間を含み、
    前記所定の相対速度は、前記磁束の所定値が少なくとも前記ショット粒が前記磁性体鋼材表面に再付着しない時間維持される速度である
    ことを特徴とする残留ショット粒の除去方法。
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