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JP6071589B2 - 被検体情報取得装置 - Google Patents
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Description

本発明は、被検体情報取得装置に関する。
医療分野では、エックス線、超音波、MRI(核磁気共鳴法)を用いたイメージング装置が使われている。医療分野ではまた、レーザーなどの光源から照射した光を生体などの被検体内に伝播させ、その伝播光等を検知することで生体内の情報を得る光イメージング装置の研究が進められている。このような光イメージング技術の一つとして、光音響イメージング技術が提案されている。
光源からのパルス光が被検体に照射されると、光のエネルギーを吸収した生体組織から音響波が発生する現象は、光音響効果と呼ばれる。光音響イメージングとは、光音響効果により発生した音響波を複数の個所で検出し、それらの信号を解析処理し、被検体内部の光学特性値に関連した情報を可視化する技術である。これにより、被検体内の光学特性値分布、特に光エネルギー吸収密度分布を得ることができる。
また、生体内部にある乳がん等の病変部への光音響イメージング技術の適用も検討されている。この場合、光は生体中で強く散乱され、深さ方向で大きく減衰する。そこで非特許文献1では、測定時に乳房を圧迫して厚みを減らしている。
一方、音を収束させたりパルス光を集光させたりすることで、光音響イメージングの分解能を上げる、光音響顕微鏡の開発も進められている。非特許文献2では、フォーカストランスデューサを用いて超音波を収束させ、さらに超音波の焦点に光を集光させることで、超音波の焦点での収束スポット径程度の分解能が得られている。
S. Manohar et al., "Region-of-interest breast studies usingthe Twente Photoacoustic Mammoscope (PAM)", Proc. Of SPIE Vol. 6437 643702-1 Nature Protocols vol.2 No.4 797-804(2007); H.F. Zang et al.
光音響イメージングにおいて、得られた光音響像の正確な位置合わせが必要な場合がある。たとえば、臨床において、光音響像を見ながら病変部の摘出を行う場合や、穿刺を行うときに、病変部の正確な位置を特定する場合である。また、被検体中での光音響用分子プローブなどの薬物動態をモニターする際においても、病変部の位置やプローブの集積位置などの正確な情報が必要となる。
しかし、非特許文献1や非特許文献2において、そのような正確な位置合わせに関する記述はされていない。そのため、従来の光音響イメージング装置では、光音響像と実際の被検体イメージとの正確な位置合わせを行い、被検体の測定箇所や病変部等を正確に特定することは難しかった。
このような正確な位置合わせを行うには、スキャン範囲と実際の被検体の位置との位置合わせが行えるようなマーカー(以降、アライメントマークと呼ぶ)が有効である。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、光音響イメージングにおいて、装置を複雑化させることなく、光音響画像と実際の被検体位置との正確な位置合わせを行うことにある。
本発明は、以下の構成を採用する。すなわち、
光源からの光を照射する光出射部と、
被検体と前記光出射部との間に配置された、光を透過する部材と、
前記部材に配置された光吸収体と、
前記光出射部から光を照射された前記被検体および前記光吸収体から生じる音響波を受信して電気信号に変換する探触子と、
前記電気信号を用いて、前記被検体内および前記光吸収体の画像データを生成する信号処理部と、
を有することを特徴とする被検体情報取得装置である。
本発明によれば、光音響イメージングにおいて、装置を複雑化させることなく、光音響画像と実際の被検体位置との正確な位置合わせを行うことができる。
実施形態1での生体情報イメージング装置の構成を示す図。 グリッド状の光吸収体を示す図。 光吸収体のパターンの例を示す図。 実施形態2での生体情報イメージング装置の構成を示す図。 実施形態3での画像表示を説明するための図。 実施形態3での処理を示すフローチャート。 実施形態4での生体情報イメージング装置の構成を示す図。 実施形態4での画像表示を説明するための図。 実施形態4での具体的な処理を説明するための図。
以下に図面を参照しつつ、本発明の好適な実施の形態について説明する。ただし、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状およびそれらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
本発明において、音響波とは、音波、超音波、光音響波、光超音波と呼ばれる弾性波を含む。本発明の被検体情報取得装置とは、被検体に光(電磁波)を照射することにより被検体内で発生した音響波を受信して、被検体内の特性情報を取得する光音響効果を利用した装置である。
被検体情報取得装置における被検体情報とは、光照射によって生じた音響波の初期音圧、あるいは、その初期音圧から導かれる光エネルギー吸収密度や吸収係数、または、組織を構成する物質の濃度等を反映した特性情報である。物質の濃度とは、例えば酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの濃度や、酸素飽和度などである。特性情報は、数値データではなく、被検体内の各位置の分布情報であっても良い。つまり、初期音圧分布、吸収係数分布や酸素飽和度分布などを画像データとして生成しても良い。
以下の説明では、被検体情報取得装置の一例として、生体である被検体内の特性情報を画像化する生体情報イメージング装置について説明する。ただし本発明の測定対象は生体
に限定されるものではない。また、被検体情報取得装置は画像表示装置を有さず、画像データを生成して外部に送信する構成であっても良い。
<実施形態1>
図1に、本実施形態における生体情報イメージング装置の構成例を示す。装置は、被検体である生体10を保持するための光透過性部材11と保持部材12を備える。装置はまた、生体10に照射光13を照射する、光出射部18および19を備える。装置はまた、音響波を検出し電気信号に変換する探触子15を備える。装置はまた、画像データを生成する信号処理部16を備える。また、画像表示部17は、信号処理部による処理結果を表示する画像表示装置である。
図2(a)は、被検体とは反対側から光透過性部材11を見た図である。光透過性部材11には、生体10と接しない側の面に、グリッド状に光吸収体21が備わっている。光吸収体21は照射光13を吸収して光音響波を生じるアライメントマークである。
光吸収体21の材料として、ここでは黒色のインクを用いている。しかし、光吸収体はこれに限られず、生体10に照射する照射光13を吸収し、光音響波を生じるものであれば使用できる。また、光透過性部材11に光吸収体21を配置する手段としては印刷が好適であるが、その他の固定手法を用いても良い。
探触子15は、光吸収体21や生体内の光吸収体14(血液、腫瘍など)から生じた光音響波を検出し、電気信号に変換する。信号処理部は、光吸収体14,21に由来する電気信号を解析して画像再構成を行い、ユーザに画像を表示するための元データである画像データを生成する。
得られた画像データは画像表示部17に表示される。この際、投影線上の最大値を画素値とする最大値投影法(Maximum Intensity Projection:以降MIPと呼ぶ)が好適である。これにより、生体の光音響画像上にグリッドが重なった像が表示される。ただし、両方の光吸収体に由来する画像データを同時に重畳して表示可能となる方法であれば、MIP以外の方法でも構わない。
図2(b)は表示されるMIP画像である。モニター22には、光吸収体21を示すグリッド状の光音響像23と、生体内の光吸収体14を示す光音響像24が重ね合わさっている。このグリッドをアライメントマークとすることで、光音響画像と実際の被検体位置との正確な位置合わせを行うことが可能となる。
また、画像表示部17は、画像データと、事前に取得した被検体と光吸収体のキャプチャー画像とを同時に表示することが好ましい。そのために光音響イメージング装置が撮像手段を備えても良いし、外部からキャプチャー画像を受信する構成としても良い。前者の場合は撮像手段が画像取得部となり、後者の場合は通信システムが画像取得部となる。
表示された光音響画像上からグリッドのみを消したい場合は、画像再構成によって得られた画像データにおいて、グリッド位置の画像データを消去してからMIP表示すればよい。もしくは、光吸収体21から生じる光音響波は、生体10から生じる光音響波より時間的に遅れて探触子15に到達するため、前記電気信号において時間的に遅い信号をカットしてから画像再構成を行えばよい。
アライメントマークである光吸収体21の配置パターンはグリッド状に限られない。図3に、配置パターンの例を示す。
図3(a)は光透過性部材11上に点状の光吸収体31が等間隔に配置されている例である。点状の光音響像と生体内の光吸収体14を示す光音響像の位置関係から、簡易に被検体中の光吸収体14の位置を特定することができる。
図3(b)は光透過性部材11上にグリッド状の光吸収体32が配置され、さらにグリッドの交差点には各々の位置に対応する数字(符号33)が配置された例である。これらは印刷により配置することができる。このように数字を配置することにより、スキャン範囲が広い場合でも、位置の特定が容易になる。
図3(c)は、想定される生体の輪郭に対応するように、あらかじめ光透過性部材11上に光吸収体34が印刷された例である。これにより、生体保持位置とスキャン範囲との位置関係を光音響画像上で対比できる。
これらのパターン以外にも、各々の被検体に対応した光吸収体21のパターンを使用することが可能である。また、スケール表示などを印刷した光吸収体21を用いることも可能である。また、光吸収体21は、必ずしも光透過性部材11の全体に渡って配置されずとも良い。光吸収体21を、光透過性部材11のうち、被検体の測定領域に対応する範囲内のみに配置したり、被検体を光透過性部材に正射影した範囲内のみに配置したりすれば足りる。
光吸収体21は、光透過性部材11の両面のうち、被検体とは反対の面に備わっていることが好ましい。ただし、被検体と同じ面や、光透過性部材11内に備わっていても構わない。光透過性部材11と被検体とが接する面上に光吸収体21を配置する場合、光吸収体21としては水に難溶性を示すものが好ましい。
光透過性部材11は光の透過性が高く、光に対する耐久性が高いものが好ましい。このような材料として例えばガラスやアクリルを使用することが可能である。光透過性部材として平板状の部材を利用すれば、被検体表面の形状を安定させ、画像再構成を容易にすることができる。
保持部材12は、光の透過性が高く、光に対する耐久性が高いものが好ましい。さらに音響波の減衰が小さく、音響インピーダンスが生体に近いものが好ましい。このような材料として例えばポリメチルペンテンを使用することが可能である。
また保持部材12と生体10の間や、保持部材12と探触子15の間には、音響波の反射を抑えるための音響結合媒体を使うことが望ましい。例えばインピーダンスマッチングジェルなどを用いることが可能である。
以降、装置構成を詳細に説明する。説明中、生体10に関して、探触子15が配置された保持部材12側を探触子側と呼び、光透過性部材11側を非探触子側と呼ぶことにする。
照射光13は、生体10を構成する成分のうち特定の成分に吸収される特性の波長の光を用いる。本実施形態において、照射光13は探触子側の光出射部19と非探触子側の光出射部18の両側から照射しているが、光出射部18からのみ照射することも可能である。また、光出射部19からの照射において探触子の両側から照射しているが、探触子15の前面に位置する生体10の表面に光が照射されればよく、例えば探触子の片側から照射しても良い。
光出射部18や19として、光源から発する光を生体に導く、光バンドルファイバーやミラーのようなライトガイドを利用できる。あるいは光出射部18に光源を配置しても良い。照射光13はパルス光が好ましく、パルス幅が数ナノから数百ナノ秒オーダーのものが特に好ましい。
照射光13を発生する光源としてはレーザーが好ましい。レーザーとしては、固体レーザー、ガスレーザー、色素レーザー、半導体レーザーなど様々なレーザーを使用できる。また、レーザーの代わりに発光ダイオードなどを用いても良い。発振する波長を変換可能
な色素やOPO(Optical Parametric Oscillators)もしくはチタンサファイヤレーザーを用いれば、光学特性値分布の波長による違いを測定することも可能になる。
使用する光源の波長に関しては、生体内において吸収が少ない700nmから1100nmの領域が好ましい。しかし上記の波長領域よりも範囲の広い、例えば400nmから1600nmの波長領域、さらにはテラヘルツ波、マイクロ波、ラジオ波領域の使用も可能である。
また、照射光13の光源は生体10の表面に沿って走査することも可能である。
探触子15としては、圧電現象を用いたトランスデューサー、光の共振を用いたトランスデューサー、容量の変化を用いたトランスデューサーなど音響波信号を検知できるものであれば、どのような音波検出器を用いてもよい。なお、探触子15は、光源13と同様に被検体10の表面に沿って走査するような構成であってもよい。両者が同期して被検体上を走査することで、広い範囲を測定できる。
また、本実施形態では、受信素子が2次元アレイ状に配置されたアレイ型の探触子15を配置させた場合を示しているが、このような配置に限らず、複数の個所で音響波が検知可能に構成されていればよい。すなわち、複数の個所で音響波を検知できれば同じ効果が得られるため、1個の受信素子を持つ探触子(シングルトランスデューサー)を保持部材12の表面上で走査しても良い。
なお、探触子15から得られた電気信号が小さい場合は増幅器を用いて、信号強度を増幅することが好ましい。
信号処理部16は、探触子15より得られた電気信号に基づいて、生体内の光吸収体14の位置や大きさ、あるいは光吸収係数あるいは光エネルギー堆積量分布などの光学特性値分布と、光透過性部材11上の光吸収体22の光学特性値分布を計算する。
得られた複数位置での電気信号から光学特性値分布を得るための再構成アルゴリズムとしては、ユニバーサルバックプロジェクションや整相加算などが考えられる。これらのアルゴリズムを用いる際に、本実施形態では、生体10と探触子15の間に位置する保持部材12による音響波の屈折や音速の変化を考慮する必要がある。
なお、信号処理部16は音響波の強さとその時間変化を記憶し、それを演算手段により、光学特性値分布のデータに変換できるものであればどのようなものを用いてもよい。
なお、複数の波長の光を用いた場合は、それぞれの波長に関して、生体内の光学係数を算出し、それらの値を、生体組織を構成する物質(グルコース、コラーゲン、酸化・還元ヘモグロビンなど)固有の波長依存性と比較する。これによって、生体を構成する物質の濃度分布を画像化することも可能である。
画像表示部17は、画像データと、事前に取得した被検体と光吸収体のキャプチャー画像とを同時に表示することが好ましい。また、キャプチャー画像は画像データを算出したのちに取得しても良い。画像表示部17は装置の構成要素であっても良いし、装置と接続された外部の構成要素であっても良い。
このような生体情報イメージング装置を用いることで、装置を複雑化させることなく、簡易に光音響画像と実際の被検体位置との正確な位置合わせを行うことが可能となる。
<実施形態2>
図4に、本実施形態における生体情報イメージング装置の構成例を示す。実施形態1との相違点は、装置が光透過性部材11と保持部材12の代わりに容器状の保持部50、5
1を備え、保持部51内部に探触子15を具備している点である。図1に示した装置と共通する構成要素には同一の符号を付して、異なる部分のみを以下に説明する。
本実施形態では容器状の保持部40、41を用いることにより、生体10をフィルムによって保持することができる。生体10と探触子15の間の部材をフィルム状にすることで、保持部による音響波の多重反射が抑制されるため、高精細なイメージングが可能となる。
また、多重反射が起こりにくいため、探触子側にアライメントマークとなる光吸収体を配置することが可能となる。図1の探触子側の保持部材12にアライメントマークとなる光吸収体を配置することも可能である。ただしその場合、光吸収体から生じる光音響波が保持部材12中で多重反射し、生体内の画像を劣化させてしまう。
保持部40と41は生体10を挟み込むように保持する。保持部40の底面(生体と接する面)は、光透過性のフィルム42である。本実施形態では、このフィルム42が、本発明の光を透過する部材と考えられる。保持部41の底面(生体と接する面)も、光透過性のフィルム43である。光透過性のフィルム43は音を透過するものが好ましく、例えばポリエチレンフィルムなどを使用できる。保持部41の容器の中は、水やひまし油などの音響結合媒体44で満たされている。
光透過性のフィルム43には、図2や図3に示したような、アライメントマークとなる光吸収体21が備わっている。光吸収体21は照射光13を吸収し、光音響波を生じる。光吸収体21は、黒色のインクなどの材料を、印刷などの手法でフィルムに固定して作製できる。
照射光、探触子、信号処理部や画像表示部、信号処理方法や画像表示方法については、実施形態1と同様のものを使用することができるので、詳しい説明を省略する。また、本実施形態において、保持部40は光透過性の板状部材を用いることも可能である。
さらに、本実施形態では光透過性のフィルム43上に光吸収体が備わっているが、光透過性のフィルム42上に光吸収体を備えることによっても同様の効果が得られる。
このような実施形態に示された生体情報イメージング装置を用いることで、装置を複雑化させることなく、簡易に光音響画像と実際の被検体位置との正確な位置合わせを行うことが可能となる。
<実施形態3>
実施形態3における生体情報イメージング装置の全体的な構成や、照射光、探触子、信号処理部や画像表示部については、上記の各実施形態と同様のものを使用できるので、詳しい説明は省略する。以後、図1を用いて説明する。
図5(a)は、被検体とは反対側から光透過性部材11を見た図である。グリッド状の光吸収体51が配置されている。図2に示したものと共通する構成要素には同一の符号を付して、詳しい説明を省略する。
光源は、波長可変のものを用いる。例えばチタンサファイヤレーザーやOPOレーザーを使用できる。また、波長を切り替えるための制御手段を備える。異なる波長の光を発する複数のレーザーを切り替えて使用しても良い。生体内の光吸収体14によって吸収される光波長域と、光吸収体51において吸収される光波長域とが異なるように、光吸収体51の材質や照射光の波長を設定する。
本実施形態のフローチャートを図6に示す。
ステップS601において、光源が、保持された生体10に、生体内の光吸収体14が
吸収する第1の波長(λ1)の照射光13を照射する。
ステップS602において、探触子15が、光吸収体14から生じる光音響波を検出し電気信号に変換する。
ステップS603において、信号処理部16が、電気信号から、光学特性値分布情報などの第1の画像データを生成する。この第1の画像データを表示すると、図5(b)のように、生体内の光吸収体の光音響像52が画像化される。
ステップS604において、照射光13の波長を、光透過性部材11上の光吸収体51が吸収する第2の波長(λ2)に切り替えて、照射光13を照射する。
ステップS605において、探触子15が、光吸収体51から生じる光音響波を検出し電気信号に変換する。
ステップS606において、信号処理部16が、電気信号から、光学特性値分布情報などの第2の画像データを生成する。この第2の画像データを表示すると、図5(c)に示すように、透過性部材11上の光吸収体の光音響像53が画像化される。
ステップS607において、第1の画像データと第2の画像データが重ね合わせ表示される。これにより、図6(d)に示すように、モニター54に、光透過性部材11上の光吸収体51を示すグリッド状の光音響像53と、生体内の光吸収体14を示す光音響像52が重ね合わさったMIP画像として表示される。
また、画像表示部17は、画像データと、事前に取得した被検体と光吸収体のキャプチャー画像とを同時に表示することが好ましい。このとき表示されるグリッドをアライメントマークとすることで、光音響画像と実際の被検体とを正確に位置合わせできるようになる(S608)。
また本実施形態では、生体内の画像を生成する際に、1つの波長(λ1)のみを用いた。しかし、複数の波長を用いることで、生体内の物質の濃度分布や酸素飽和度を画像化できる。逆に、光透過性部材上の光吸収体として、生体内の光吸収体が吸収する波長と同程度の波長領域の光を吸収するものを用いても良い。
このような生体情報イメージング装置を用いることで、装置を複雑化させることなく、簡易に光音響画像と実際の被検体位置との正確な位置合わせを行うことが可能となる。
<実施形態4>
図7に、本実施形態における生体情報イメージング装置の構成例を示す。この装置は、腫瘍や血管疾患などの診断や化学治療の経過観察などのため、生体内の光学特性値や、生体組織を構成する物質の濃度分布を、高分解能に画像化できる。
測定対象である被検体は、生体70である。生体70を配置する被検体保持台701を備えることが好ましい。装置は、光出射部71、水槽72を備える。光出射部71からは照射光74が照射される。装置は、照射光を生体内に集光する光学部品75を備えることが好ましい。水槽72内には音響結合媒体79が配置されている。また、水槽72の底面は光透過性のフィルム73である。光透過性のフィルム73はアライメントマークとなる光吸収体を備える。
装置はまた、生体内や生体外の光吸収体に光が照射されたときに発生する光音響波を検出し電気信号に変換する、フォーカス型超音波探触子76を備える。照射光の集光位置とフォーカス型超音波探触子76の焦点位置は合うように配置する。
また、上記実施形態と同様に、信号処理部77と画像表示部78を備える。
図8(a)は、光透過性部材であるフィルム81(図7の符号73に相当)を、生体8
0(図7の符号70に相当)と接する面とは反対側から、すなわち上面から見た図である。光透過性フィルム81には、グリッド状にアライメントマークとなる光吸収体82が備わっている。光吸収体82は照射光13を吸収して光音響波を生じるものであり、例えば印刷により固定された黒色インクが利用できる。
フォーカス型探触子76は、超音波を収束させるように設計された1個の受信素子を持つ探触子(シングルトランスデューサー)であり、光吸収体82と血液などの生体内の光吸収体83から生じた光音響波を検出し、電気信号に変換する。フォーカス型探触子76と、照射光74の照射位置とを同期させてスキャンすることで、生体を2次元的に測定できる。図8(a)では、実線で囲まれた範囲84を2次元スキャンしている。
2次元スキャン結果を表示する際、投影線上の最大値を画素値とする最大値投影法(Maximum Intensity Projection:以降MIPと呼ぶ)を利用できる。これにより、生体の光音響画像上にグリッドが重なった像が表示される。なお、生体内の光吸収体をアラインメントマークと同時に表示できる方法であれば、MIP以外の方法でも構わない。
図8(b)は表示されるMIP画像である。モニター85には光吸収体82を示すグリッド状の光音響像86と、生体内の光吸収体83を示す光音響像87が重ね合わさって表示される。
画像表示部17は、画像データと、事前に取得した被検体と光吸収体のキャプチャー画像とを同時に表示することが好ましい。
図8(c)は、光透過性フィルム81にアライメントマークとなる光吸収体が存在しない、従来の光音響顕微鏡装置である。この装置を用いて光音響イメージングを行うと、図8(d)のような光音響画像が得られる。しかし、生体において血管のような光吸収体83は皮下にあり目視しにくいため、アラインメントマークなしでは、正確な位置合わせやスキャン範囲の同定が困難である。
一方、本実施形態では、グリッド状の光音響像86をアライメントマークとすることで、光音響画像と実際の被検体位置との正確な位置合わせが可能となる。
表示された光音響画像上からグリッドのみを消したい場合は、得られた画像データにおいて、グリッド位置のデータを入れずにMIP表示すればよい。もしくは、光吸収体82から生じる光音響波は、生体から生じる光音響波より時間的に先にフォーカス型探触子76に到達するため、前記電気信号において時間的に早い信号をカットしてから画像データに変換すればよい。
光吸収体82の形状はグリッド状に限られず、アライメントマークとして働くものであればよい。また、光吸収体82は水に不溶なものが好ましい。
光透過性フィルム81は光の透過性が高く、光に対する耐久性が高いものが好ましい。このような材料として例えばポリエチレンフィルムを使用することが可能である。
光出射部71として、光源から発するパルス光を導くライトガイド(例えば光ファイバー)を使用できる。また光出射部71に光源を配置しても良い。
また水槽72中の音響結合媒体79は、生体とフォーカス型探触子76を音響的にマッチングさせるものであれば良く、例えば水を利用できる。
フォーカス型探触子76は音を収束するための音響レンズを備えることが好ましい。しかし、音が収束できるものであれば良く、例えば受信面が凹面型に形成された探触子を用いることもできる。
探触子としては、圧電現象を用いたトランスデューサー、光の共振を用いたトランスデ
ューサー、容量の変化を用いたトランスデューサーなど音響波信号を検知できるものであれば、どのような音波検出器を用いてもよい。また、探触子は高周波数の超音波を受信できるものが好ましい。さらに、広帯域であることが好ましい。
フォーカス型探触子76として、シングルトランスデューサーではなく、受信素子がアレイ状に配置された探触子を用いても良い。この場合、各々の受信素子に収音レンズ等を備える必要がある。
なお、フォーカス型探触子76から得られた電気信号が小さい場合は増幅器を用いて、信号強度を増幅することが好ましい。
信号処理部77は、フォーカス型探触子76より得られた電気信号に基づいて、生体内の吸収体の位置や大きさ、あるいは光吸収係数あるいは光エネルギー堆積量分布などの光学特性値分布を計算する。また、光透過性フィルム81上の光吸収体82の光学特性値分布を計算する。
複数位置での電気信号から光学特性値分布を得るための画像処理としては、ヒルベルト変換を用いた包絡線検波を行った後に、音の到達時間の時間軸を音のフォーカス方向の空間軸に変換して、三次元位置データすることが考えられる。
図9を用いて、本実施形態における具体的な処理を説明する。
生体としては、ヌードマウスを用いた。
フォーカス型探触子はPZTから成る、中心周波数50MHzのものを用い、レンズ面から8mmの位置に音の焦点が結ばれるように設計した音響レンズをPZTの全面に配置する。また、水槽内には音響マッチングのために水を満たす。
図9(a)は、光音響測定前に、光透過性部材であるフィルム90を被検体とは反対側から撮影したキャプチャー画像である。図9(a)において、ポリエチレンフィルムである光透過性フィルム90上には、黒色のインクにより光吸収体91がグリッド状に印刷されている。
光源としてはYAGレーザーを用いる。出射するパルス光の繰り返し周波数は10Hz、パルス幅は10nsであり、波長は532nmとする。YAGレーザーで発するパルス光は、コア径550μmの光ファイバーを用いて生体へ出射する。
また、音の焦点位置に光を集めるための光学部品として、アルミニウムのミラーとアキシコンレンズを用いる。
光音響測定は、ステッピグモーターを用いて探触子と光照射位置を走査しながら行われる。スキャンピッチはX方向とY方向共に50μmとし、それぞれ100ステップ走査することで、実線92で囲まれた5mm×5mmの範囲が測定される。
図9(b)が、測定結果をMIP表示したものである。マウスの血管像93と光吸収体91のグリッド像94が重なって表示されている。
そして、事前にキャプチャーした図9(a)と図9(b)とを比較することにより、光音響像における血管位置と、実際の生体位置との正確な位置合わせを容易に行うことができる。
一方、図9(c)は光透過性フィルム上に光吸収体をもたない従来の装置におけるキャプチャー画像である。この装置による測定結果を画像化したものが図9(d)である。見て分かるように、音響像における血管位置と実際の生体位置との正確な位置合わせを行うことが困難である。
このように、本発明に係る生体情報イメージング装置によれば、装置を複雑化させることなく、簡易に光音響画像と実際の被検体位置との正確な位置合わせが可能となる。
以上述べたように、本発明によれば、腫瘍や血管疾患などの診断や化学治療の経過観察などのため、生体内の光学特性値分布及び、それらの情報から得られる生体組織を構成する物質の濃度分布の画像化が可能となる。本発明は医療用画像診断機器として利用可能である。
さらに、非生体物質を対象とした非破壊検査などへの応用も可能である。
11:光透過性部材,21:光吸収体,16:探触子,16:信号処理部,18,19:光出射部

Claims (15)

  1. 光源からの光を照射する光出射部と、
    被検体と前記光出射部との間に配置された、光を透過する部材と、
    前記部材に配置された光吸収体と、
    前記光出射部から光を照射された前記被検体および前記光吸収体から生じる音響波を受信して電気信号に変換する探触子と、
    前記電気信号を用いて、前記被検体内および前記光吸収体の画像データを生成する信号処理部と、
    を有することを特徴とする被検体情報取得装置。
  2. 前記信号処理部は、前記被検体内および前記光吸収体の画像データを、画像表示装置に最大値投影法により表示可能となるように生成する
    ことを特徴とする請求項1に記載の被検体情報取得装置。
  3. 前記光吸収体は、前記部材のうち、前記被検体の測定領域に対応する範囲内に配置される
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の被検体情報取得装置。
  4. 前記光吸収体は、前記部材のうち、前記被検体を前記部材に正射影した範囲内に配置される
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の被検体情報取得装置。
  5. 前記被検体および前記光吸収体のキャプチャー画像を取得する画像取得部をさらに有し、
    前記信号処理部は、前記画像データとともに前記キャプチャー画像を画像表示装置に表示させる
    ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  6. 前記光源は、複数の波長の光を照射できるものである
    ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  7. 前記光吸収体は、前記部材のうち前記被検体と接しない側に配置される
    ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  8. 前記光吸収体は、水に難溶性である
    ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  9. 前記光吸収体は、前記部材に印刷されたものである
    ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  10. 前記光吸収体は、前記部材上にグリッド状に配置される
    ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  11. 前記光吸収体は、前記部材上に点状に等間隔に配置される
    ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  12. 前記光吸収体は、前記部材上に、想定される被検体の輪郭に対応するように配置されることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  13. 前記部材は、平板状である
    ことを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  14. 前記部材は、ガラスまたはアクリルで構成される
    ことを特徴とする請求項13に記載の被検体情報取得装置。
  15. 前記部材は、フィルム状である
    ことを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
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