「第1実施形態」
本発明に係る第1実施形態の緩衝器を図1〜図5を参照して以下に説明する。
図1に示すように、第1実施形態の緩衝器は、液体あるいは気体等の作動流体が封入されるシリンダ11を有している。このシリンダ11は、図示は略すが一端側(図1の上側)が開口し他端側(図1の下側)が閉塞する有底筒状をなしている。シリンダ11内には、ピストン12が摺動可能に嵌装されている。
シリンダ11には、一端側(図1の上側)がシリンダ11の外部へと延出されるピストンロッド13の他端側が挿入されており、ピストン12は、このピストンロッド13の他端部にナット14によって連結されている。なお、ピストンロッド13の一端側は、図示は略すが、シリンダ11の一端開口部に装着されたロッドガイドおよびオイルシールに挿通されて外部へと延出されている。ピストン12は、シリンダ11の内部を、ピストンロッド13が延出する側(図1の上側)のロッド室18と、シリンダ11の図示略の底部側(図1の下側)のボトム室19との2室に画成している。
ピストンロッド13は、主軸部25と、シリンダ11内側の端部にあって主軸部25より小径の取付軸部26とを有しており、これにより、主軸部25には取付軸部26側の端部に軸直交方向に沿う段差部27が形成されている。取付軸部26には、主軸部25とは反対側の所定範囲に上記したナット14を螺合させるオネジ28が形成されている。
ピストン12は、略円板状のピストン本体(バルブ本体)31と、ピストン本体31の外周面に装着されて、シリンダ11内を摺接する円環状の摺接部材32と、ピストン本体31のボトム室19側に配置されるリテーナ(バルブ本体)33とを有している。なお、ピストン本体31およびリテーナ33はそれぞれ焼結により成形される。
ピストン本体31には、その径方向の中央にピストンロッド13が挿通される挿通孔35が軸方向に貫通するように形成されており、この挿通孔35のボトム室19側の開口部には、軸方向および径方向に凹む位置決め凹部36が周方向に部分的に形成されている。また、ピストン本体31には、そのロッド室18側の端部に、径方向の挿通孔35の外側にて軸方向に突出する環状の内側シート40と、径方向の内側シート40よりも外側にて軸方向に突出する環状の外側シート41とが形成されている。
ピストン本体31には、ロッド室18側に内側シート40と外側シート41との間に開口して軸方向に貫通する通路穴43が、周方向に間隔をあけて複数カ所(図1では断面とした関係上1カ所のみ図示)形成されている。また、ピストン本体31には、ロッド室18側に外側シート41よりも外側に開口して軸方向に貫通する通路穴44が、周方向に間隔をあけて複数カ所(図1では断面とした関係上1カ所のみ図示)形成されている。通路穴43と通路穴44とはピストン本体31の周方向に交互に配置されている。
リテーナ33には、その径方向の中央にピストンロッド13が挿通される挿通孔51が軸方向に貫通するように形成されており、この挿通孔51のピストン本体31側の開口部の径方向の外側には、軸方向に突出する位置決め凸部52が周方向に部分的に形成されている。また、リテーナ33には、ピストン本体31側に、挿通孔51と外周部との間から外周部に抜けるようにして軸方向に凹む通路切欠部53が周方向に間隔をあけて複数カ所(図1では断面とした関係上1カ所のみ図示)形成されている。また、リテーナ33には、ピストン本体31側に、挿通孔51と外周部との間で軸方向に凹む通路凹部54が周方向に間隔をあけて複数カ所(図1では断面とした関係上1カ所のみ図示)形成されている。通路切欠部53と通路凹部54とはピストン本体31の周方向に交互に配置されている。
リテーナ33には、ピストン本体31とは反対側に、径方向の挿通孔51の外側にてリテーナ33の軸方向に突出する内側シート57と、径方向の内側シート57よりも外側にてリテーナ33の軸方向に突出する中間シート(中間突出部)58と、径方向の中間シート58よりも外側にてリテーナ33の軸方向に突出する外側シート(外側突出部)59とが形成されている。また、リテーナ33には、ピストン本体31とは反対側に、中間シート58と内側シート57との間からリテーナ33の軸方向に突出されるディスク支持部60が形成されている。つまり、中間シート58及び外側シート59は突出部を連続的に環状配置したものである。
リテーナ33には、一端が通路凹部54に開口し、他端が内側シート57と中間シート58との間に開口して軸方向に貫通する通路穴61が、すべての通路凹部54の底面の位置に形成されている。
リテーナ33は、ピストン本体31に対し径方向位置を合わせて、位置決め凸部52を位置決め凹部36に嵌合させると、通路切欠部53が周方向の位置を通路穴43に一致させることになり、通路凹部54が周方向の位置を通路穴44に一致させることになる。これにより、通路切欠部53と通路穴43とが連通し、通路凹部54と通路穴44とが連通する。通路切欠部53と通路穴43とが、内側シート40と外側シート41との間の室62とともに、ロッド室18とボトム室19とを連通可能であって常時ボトム室19に連通する通路63を構成する。通路穴44と通路凹部54と通路穴61とが、内側シート57と中間シート58との間の室65とともに、ロッド室18とボトム室19とを連通可能であって常時ロッド室18に連通する通路66を構成する。
図2に示すように、内側シート57は挿通孔51を囲む環状をなしており、詳しくは挿通孔51と中心を一致させた円環状をなしている。中間シート58は内側シート57を囲む環状をなしており、詳しくは内側シート57と中心を一致させた円環状をなしている。外側シート59は中間シート58を囲む環状をなしており、詳しくは中間シート58と中心を一致させた円環状をなしている。
ディスク支持部60は、複数(具体的には5カ所)設けられており、リテーナ33の周方向において、隣り合うもの同士の間に通路66の通路穴61が配置されるようにして等間隔で配置されている。言い換えれば、通路66の通路穴61は、複数(具体的には5カ所)設けられており、リテーナ33の周方向において、隣り合うもの同士の間にディスク支持部60が配置されるようにして等間隔で配置されている。ディスク支持部60は、円弧状をなしており、内側シート57を囲む環状の位置に配置され、詳しくは内側シート57と中心を一致させた円環状の位置に配置されている。よって、ディスク支持部60は、複数のものが、中間シート58と内側シート57との間にて不連続に環状配置されている。
図1に示すように、ピストン12のピストン本体31の軸方向のロッド室18側には、軸方向のピストン本体31側から順に、スペーサ70、ディスク71、スペーサ72、規制部材73が設けられている。また、リテーナ33の軸方向のピストン本体31とは反対側には、リテーナ33側から順に、第1ディスク75、第2ディスク77、スペーサ78、規制部材79が設けられている。
スペーサ70の径方向の中央には挿通孔90が、ディスク71の径方向の中央には挿通孔91が、スペーサ72の径方向の中央には挿通孔92が、規制部材73の径方向の中央には挿通孔93が、それぞれ軸方向に貫通して形成されている。また、第1ディスク75の径方向の中央には挿通孔95が、第2ディスク77の径方向の中央には挿通孔97が、スペーサ78の径方向の中央には挿通孔98が、規制部材79の径方向の中央には挿通孔99が、それぞれ軸方向に貫通して形成されている。
そして、ピストンロッド13の取付軸部26が、規制部材73の挿通孔93、スペーサ72の挿通孔92、ディスク71の挿通孔91、スペーサ70の挿通孔90、ピストン本体31の挿通孔35、リテーナ33の挿通孔51、第1ディスク75の挿通孔95、第2ディスク77の挿通孔97、スペーサ78の挿通孔98、規制部材79の挿通孔99に、この順に挿通されて、この状態で取付軸部26のオネジ28にナット14が螺合される。すると、これら規制部材73、スペーサ72、ディスク71、スペーサ70、ピストン本体31、リテーナ33、第1ディスク75、第2ディスク77、スペーサ78および規制部材79は、いずれも取付軸部26で径方向移動が規制されて積層されることになり、この積層状態でピストンロッド13の段差部27とナット14とにそれぞれ挟持される。このとき、ディスク71、第1ディスク75および第2ディスク77は、それぞれの内周側のみがピストンロッド13に対し軸方向移動不可にクランプされる。
スペーサ70は、その外径が内側シート40のシート面40aの外径よりも若干大径となっている。ディスク71は、複数枚(具体的には四枚)の同径円板状の単体ディスク100が積層されて構成されており、その外径が外側シート41のシート面41aの外径よりも若干大径となっている。ピストンロッド13への組み付け前の自然状態において、単体ディスク100は、表裏面それぞれが軸方向の一定位置に位置する平坦な形状つまり平板状をなしており、よってディスク71も同様に平坦な形状つまり平板状をなしている。スペーサ72は、その外径が内側シート40のシート面40aの外径よりも若干小径となっている。規制部材73は、その外径が外側シート41のシート面41aの内径よりも若干小径となっている。
ピストン本体31のロッド室18側に形成された内側シート40および外側シート41の突出方向の先端高さ位置は、突出方向を正方向とした場合に、内側シート40の突出方向の先端高さ位置よりも外側シート41の突出方向の先端高さ位置の方が若干高くなっている。つまり、内側シート40の突出方向先端のシート面40aの突出方向の高さ位置よりも外側シート41の突出方向先端のシート面41aの突出方向の高さ位置の方が高くなっている。より具体的には、内側シート40の突出方向のシート面40aに当接するスペーサ70の高さ位置よりも、外側シート41のシート面41aの突出方向の高さ位置の方が高くなっている。
ディスク71は、内側シート40のシート面40aに当接するスペーサ70に押し付けられるようにピストンロッド13に組み付けられており、ロッド室18およびボトム室19に圧力差がない非作動状態にあるとき、ピストン本体31の外側シート41のシート面41aに着座してピストン本体31およびリテーナ33に設けられた通路63を閉じている。そして、ピストンロッド13がシリンダ11への進入量を増やす縮み側に移動したときに、ピストンロッド13とともに移動するピストン12によってボトム室19の圧力がロッド室18の圧力よりも高められると、ディスク71は、外側シート41から離座して通路63を開く。これにより、ボトム室19からロッド室18に、通路63を介してディスク71と外側シート41との開弁量に応じた流量で作動流体が流れる。つまり、通路63には、ピストンロッド13が縮み側に移動しこれと一体にピストン12がシリンダ11内を摺動すると、この摺動により作動流体がボトム室19からロッド室18に向け流れることになる。
上記通路63がその内部を貫通するピストン本体31およびリテーナ33と、ピストン本体31に通路63の開口部を囲むように突出される環状の外側シート41と、ピストン本体31のディスク71を一体に保持する内側シート40と、通路63のロッド室18側を開閉するディスク71とが、通路63の一部に設けられて作動流体の流れを抑制して減衰力を発生する縮み側の減衰力発生機構101を構成している。
図3に示すように、第1ディスク75は、複数枚(具体的には二枚)の同径円板状の単体ディスク104が積層されて構成されており、その外径が、外側シート59の着座するシート面59aの外径よりも大径となっている。ピストンロッド13への組み付け前の自然状態において、単体ディスク104は、表裏面それぞれが軸方向の一定位置に位置する平坦な形状つまり平板状をなしており、よって、第1ディスク75も同様に平坦な形状つまり平板状をなしている。第1ディスク75の最もリテーナ33側の単体ディスク104の外周部には、軸方向に貫通し外周縁部に抜ける形状のディスク切欠部105が形成されている。また、この最もリテーナ33側の単体ディスク104には、外周部の外周縁部よりも内側にディスク通路穴106が形成されている。
第2ディスク77は、複数枚(具体的には四枚)の同径円板状の単体ディスク114が積層されて構成されており、その外径が、第1ディスク75の外径より小径かつ第1ディスク75が着座する外側シート59のシート面59aの内径よりも小径で、第1ディスク75が着座する中間シート58のシート面58aの外径よりも大径となっている。ピストンロッド13への組み付け前の自然状態において、単体ディスク114は、表裏面それぞれが軸方向の一定位置に位置する平坦な形状つまり平板状をなしており、よって、第2ディスク77も同様に平坦な形状つまり平板状をなしている。
スペーサ78は、その外径が内側シート57のシート面57aの外径と略同径の円環状をなしている。規制部材79は、その外径が中間シート58のシート面58aの内径と略同径の円環状をなしている。
内側シート57、中間シート58、外側シート59およびディスク支持部60のそれぞれの突出方向の先端高さ位置は、突出方向(図3の下方向)を正方向とした場合に、内側シート57の突出方向の先端高さ位置よりも中間シート58の突出方向の先端高さ位置の方が高く、外側シート59の突出方向の先端高さ位置は中間シート58の突出方向の先端高さ位置に対し同等以上となっている。また、ディスク支持部60の突出方向の先端高さ位置は、内側シート57の突出方向の先端高さ位置よりも高く、中間シート58の突出方向の先端高さ位置よりも低くなっている。
言い換えれば、内側シート57の突出方向先端のシート面57aの突出方向の高さ位置よりも、中間シート58の突出方向先端のシート面58aの高さ位置の方が高く、外側シート59の突出方向先端のシート面59aの突出方向の高さ位置は中間シート58の突出方向先端のシート面58aの突出方向の高さ位置と同等以上になっている。また、内側シート57の突出方向先端のシート面57aの突出方向の高さ位置よりもディスク支持部60の突出方向先端のシート面60aの突出方向の高さ位置の方が高く、ディスク支持部60の突出方向先端のシート面60aの突出方向の高さ位置よりも中間シート58の突出方向先端のシート面58aの突出方向の高さ位置の方が高くなっている。
ここで、内側シート57、中間シート58、外側シート59およびディスク支持部60の突出方向の先端高さ位置は、これらに載置される平板状の第1ディスク75を以下の形状に弾性変形させるように設定される。
まず、図4(a),(b)に各シートの高さの設定方法を説明するための模式図を示す。図4(a)に模式的に示すように、ディスク支持部60を、内側シート57に押し付けられ中間シート58に載置されただけの状態の第1ディスク75の径方向の同位置よりも突出方向の先端高さ位置が高くなるように設定する。つまり、内側シート57および中間シート58のみを設けて第1ディスク75を内側シート57のシート面57aに押し付け中間シート58のシート面58aに載置させただけの状態とした場合に、この状態でディスク支持部60が配置されるべき径方向位置の第1ディスク75の高さ位置を求める。そして、この高さ位置よりも、高い位置にシート面60aを配置するようにディスク支持部60の位置を設定する。内側シート57と、内側シート57よりも突出方向の先端高さ位置が高い中間シート58だけを設けると、第1ディスク75は、内側シート57と中間シート58の間で、ディスクのばね作用により中間シート58等の突出方向とは反対向きに凸状をなすように撓み、中間シート58よりも外周側の第1ディスク75の端部は中間シート58の突出方向の先端高さ位置よりも高いところに位置にするようになる。このとき、第1ディスク75は円板状であるため、第1ディスク75の外周側の端部は平らに戻ろうとする。但し、外側シート59に当接することはない。ここで、載置させただけの状態とは、第1ディスク75を内側シート57のシート面57aに押し付けただけの状態、つまり、第1ディスク75上からディスク支持部60、中間シート58に対して力を付与していない状態をいう。
そして、上記の位置にディスク支持部60を設けると、図4(b)に模式的に示すように、第1ディスク75は、内側シート57と中間シート58との間部分が、ディスク支持部60等の突出方向に押し上げられる。それに伴って、第1ディスク75は、内側シート57とディスク支持部60との間部分がディスク支持部60等の突出方向とは反対向きに凸状をなすように撓み、ディスク支持部60よりも外側部分が平らに戻ろうとするものの、内側シート57に当接していることから、ディスク支持部60と中間シート58との間部分および中間シート58よりも外側部分が、中間シート58等の突出方向に凸状をなすように撓む。
つまり、第1ディスク75は、内側シート57に押し付けられ中間シート58およびディスク支持部60に載置されただけの状態では、これらによって内側シート57とディスク支持部60との間に軸方向のリテーナ33側(図4(b)の下側)に凸状に撓む環状の撓み部111’が形成され、ディスク支持部60と外側シート59が配置されるべき径方向位置との間にリテーナ33から離間する側(図4(b)の上側)に凸状に撓む円環状の撓み部112’が形成され、撓み部112’の径方向外側に、径方向外側ほど軸方向のリテーナ33側(図4(b)の下側)に近づく撓み部113’が形成されるように、弾性変形させられる。
次に、外側シート59を、上記のように内側シート57に押し付けられ中間シート58およびディスク支持部60に載置されただけの状態の第1ディスク75の径方向の同位置よりも突出方向の先端高さ位置が高くなるように設定する。つまり、内側シート57、中間シート58およびディスク支持部60のみを設けて第1ディスク75を内側シート57のシート面57aに押し付け中間シート58のシート面58aおよびディスク支持部60のシート面60aに載置させただけの状態とした場合に、この状態で外側シート59が配置されるべき径方向位置の第1ディスク75の高さ位置を求める。そして、この高さ位置と同等または、突出方向の高い位置にシート面59aを配置するように外側シート59の位置を設定する。よって、この位置に外側シート59を設けると、第1ディスク75は、外側シート59のシート面59aへの当接部分が、外側シート59等の突出方向に押し上げられる。なお、このように外側シート59で押し上げられた状態でも、第1ディスク75が、中間シート58およびディスク支持部60の両方への載置状態は維持されるように外側シート59のシート面59aの高さ位置を設定する。
なお、例えば、ディスク支持部60を内側シート57と中間シート58との径方向の中央位置に配置し、内側シート57のシート面57aから中間シート58のシート面58aまでの高さH1を1とすると、内側シート57のシート面57aからディスク支持部60のシート面60aまでの高さH2は、0.3〜0.5とするのが良い。これは、0.3より小さいと第1ディスク75にディスク支持部60が当接しない可能性があり、0.5より高いと第1ディスク75が中間シート58のシート面58aに当接しない可能性があるためである。
第1ディスク75は、図3に示すようにピストンロッド13に他の部品とともに組み付けられると、内側シート57に押し付けられて、外側シート59、中間シート58およびディスク支持部60に載置されることになる。この状態で、第1ディスク75は、外側シート59で外周側が押し上げられるとともに、そのリテーナ33とは反対側に第2ディスク77が載置されてこの第2ディスク77から付勢力を受ける。よって、第1ディスク75には、上記した外側シート59および第2ディスク77がない場合の撓み部111’よりも撓みが小さくなった第1撓み部111が、内側シート57とディスク支持部60との間に、軸方向のリテーナ33側に凸状に撓んで形成される。また、撓み部112’よりも撓みが小さくなった第2撓み部112が、ディスク支持部60と外側シート59との間に、軸方向のリテーナ33から離間する側に凸状に撓んで環状に形成される。さらに、撓み部113’よりも撓みが小さくなった第3撓み部113が、中間シート58と外側シート59との間の第2撓み部112の外側に、外側ほど軸方向のリテーナ33側に近づくように環状に形成される。
なお、ディスク支持部60のシート面60aの突出方向の高さ位置を、内側シート57のシート面57aと中間シート58のシート面58aとを結ぶ接線の径方向同位置の高さ位置に対して高くするとともに、外側シート59のシート面59aの突出方向の高さ位置を、内側シート57のシート面57aと中間シート58のシート面58aとを結ぶ接線の延長線の径方向同位置の高さ位置に対して低くして、上記のように第1ディスク75を第1撓み部111、第2撓み部112および第3撓み部113を有する形状に弾性変形させても良い。
また、外側シート59および中間シート58の高さ位置等を調整することにより、図4(c)に示すように、第2撓み部112の外側に、軸方向のリテーナ33側に凸状に撓む環状の撓み部110が形成されることになる。その結果、第2撓み部112は、少なくとも外側シート59よりディスク支持部60側に形成される。
図1に示すように、第1ディスク75は、ピストンロッド13に組み付けられ且つロッド室18およびボトム室19に圧力差がない非作動状態にあるとき、上記したようにリテーナ33の内側シート57のシート面57aに密着し、ディスク支持部60のシート面60a、中間シート58のシート面58a、および外側シート59のシート面59aに当接することになる。
第2ディスク77は、第1ディスク75に載置され、その中間シート58よりも径方向内側部分に倣って径方向外側ほど軸方向のピストン本体31とは反対側に位置するように弾性変形している。よって、第2ディスク77は、第1ディスク75を中間シート58に向けて押圧する。この状態でも、第2ディスク77は、その外径がリテーナ33の中間シート58のシート面58aの外径よりも若干大径で外側シート59のシート面59aの内径よりも小径となっている。なお、第2ディスク77は、第1ディスク75を中間シート58に向けて押圧することができれば良く、その外径がリテーナ33の中間シート58のシート面58aの外径以下であっても良い。
図3に示すように、非作動状態にあるとき、第1ディスク75の外側シート59に当接する単体ディスク104に形成されたディスク通路穴106は、中間シート58との当接位置を径方向内側から径方向外側に越えるように形成されている。つまり、このディスク通路穴106は、第1ディスク75が中間シート58に当接した状態にあるとき、中間シート58および外側シート59の間の室120と通路66の室65とを連通させる連通路121を構成している。言い換えれば、ディスク通路穴106によって室120と通路66とが常時連通している。なお、ディスク通路穴106を設けずに、図3に二点鎖線で示すように、リテーナ33に通路凹部54と室120とを連通させることで通路66を常に室120に連通させる通路穴122を設けて、室120と通路66とを連通させる連通路を形成しても良い。
また、非作動状態にあるとき、第1ディスク75の外側シート59に当接する単体ディスク104に形成されたディスク切欠部105は、外側シート59との当接位置を径方向内側から径方向外側に越えており、よって、中間シート58および外側シート59の間の室120を常にボトム室19に連通させている。つまり、このディスク切欠部105は、第1ディスク75が外側シート59に当接した状態にあるとき、通路66つまりロッド室18を連通路121を介してボトム室19に連通させる固定オリフィス125を構成している。
ここで、ピストンロッド13に組み付けられた第1ディスク75が中間シート58および外側シート59の両方に当接した状態において、ディスク切欠部105で形成される固定オリフィス125の流路面積よりも、ディスク通路穴106で形成される連通路121の流路面積の方が大きくなっている。なお、ディスク切欠部105を設けず、外側シート59にシート面59aを含んで切り欠くシート切欠部を形成して、固定オリフィスを形成しても良い。
非作動状態にあるとき、第1ディスク75は、リテーナ33の中間シート58と外側シート59とディスク支持部60とに当接して通路66を閉じている。なお、この状態でも、図1に示すように、通路66、連通路121および固定オリフィス125を介してロッド室18とボトム室19とが連通している。そして、この非作動状態から、ピストンロッド13がシリンダ11からの突出量を増やす伸び側に移動すると、ピストンロッド13とともに移動するピストン12によってロッド室18の圧力がボトム室19側の圧力よりも高められる。
このとき、図5に示すように、ピストン12の移動速度であるピストン速度が遅い所定範囲0〜V1にあると、第1ディスク75は、上記した内側シート57と中間シート58と外側シート59とディスク支持部60との位置関係により生じる自身の第2撓み部112および第3撓み部113の弾性変形の弾性力によって、中間シート58に当接するとともに外側シート59に当接した状態が維持される。すると、通路66、連通路121および固定オリフィス125を介して固定オリフィス125の一定の流路面積でロッド室18から作動流体がボトム室19側へ流れる。これにより、オリフィス特性(減衰力がピストン速度の2乗にほぼ比例する)の図5に示す0〜f1の減衰力を発生させることになる。
また、ピストン速度が中間の所定範囲V1〜V2にあると、第1ディスク75は、第2ディスク77の付勢力により中間シート58への当接状態を維持したまま、自身の第2撓み部112および第3撓み部113の弾性変形により生じる弾性力に抗して中間シート58のシート面58aの外周部を起点として変形して外周側が外側シート59から離れる。すると、通路66および連通路121を介して、固定オリフィス125よりも広く第1ディスク75と外側シート59との開弁量に応じて広くなる流路面積でロッド室18から作動流体がボトム室19側へ流れる。これにより、ピストン速度が中速の状態で、外側シート59と第1ディスク75との開弁量に応じた第1段目のバルブ特性(減衰力がピストン速度にほぼ比例する)の図5に示すf1〜f2の減衰力を発生させることになる。
なお、上記した内側シート57と中間シート58と外側シート59とディスク支持部60との位置関係により、第1ディスク75の中間シート58よりも外側部分が外側シート59から離れるのに必要な力を小さく設定すれば、第1段目のバルブ特性の最小減衰力f1を0近くとすることができ、第1ディスク75の中間シート58よりも外側部分が外側シート59から離れるのに必要な力を大きく設定すれば、それに応じて最小減衰力f1を大きくすることができる。また、第1ディスク75の弾性力(単体ディスク104の枚数や板厚等)を増やしても、最小減衰力f1を大きくすることができる。また、中間シート58を跨ぐ連通路121の面積を変えることで第1段目のバルブ特性の傾きを変えることができる。
さらに、ピストン速度が速い所定範囲V2以上にあると、第1ディスク75は、自身の弾性変形により生じる弾性力および第2ディスク77の付勢力に抗して内側シート57のシート面57aの外周部を起点として変形して中間シート58からも離れる。すると、通路66を介して、連通路121よりも広く第1ディスク75と中間シート58との開弁量に応じて広くなる流路面積でロッド室18から作動流体がボトム室19側へ流れる。これにより、中間シート58と第1ディスク75との開弁量に応じた第2段目のバルブ特性の図5に示すf2以上の減衰力を発生させることになる。
なお、第2段目のバルブ特性は、第1段目のバルブ特性よりも、ピストン速度に対する減衰力の増加率が低くなっている。第2段目のバルブ特性の最小減衰力f2は、中間シート58と内側シート57との段差量、第2ディスク77の弾性力(単体ディスク114の板厚や枚数等)によって変更することができる。
以上により、ピストン本体31およびリテーナ33に設けられた通路66には、ピストンロッド13が伸び側に移動しこれと一体にピストン12がシリンダ11内を摺動すると、この摺動により作動流体がロッド室18からボトム室19に向け流れることになる。
そして、上記通路66がその内部を貫通するピストン本体31およびリテーナ33と、リテーナ33に突出される環状の外側シート59と、リテーナ33の外側シート59の内側に突出される環状の内側シート57と、リテーナ33の外側シート59と内側シート57との間に通路66の開口部を囲むように突出される環状の中間シート58と、中間シート58と内側シート57との間に突出され、突出方向の先端高さ位置が内側シート57よりも高く且つ中間シート58よりも低く、連続または不連続に環状配置されるディスク支持部60と、外側シート59、内側シート57、中間シート58およびディスク支持部60に載置される第1ディスク75と、第1ディスク75に載置される第2ディスク77と、中間シート58および外側シート59の間の室120および通路66を連通する連通路121とが、通路66の一部に設けられて作動流体の流れを抑制して減衰力を発生する伸び側の減衰力発生機構131を構成している。
上記した特許文献1に記載の緩衝器は、外側シートと中間シートと内側シートのうちの中間シートの高さを内側シートおよび外側シートよりも低くして、内側シートに密着するようにクランプされたディスクを、この中間シートにバネで押し付けることにより、ディスクにセット荷重を与えるようになっている。この構造では、ディスクの外周シートへのセット荷重が高くなり開弁点が高くなってしまうため、バルブ特性が適正であるとは言えない。つまり、中間シートよりも外側シートを高くして上記した複数段階の減衰力特性を得るものにおいては、内側シート、中間シートおよび外側シートを有する部材を例えば焼結により製造すると、製造上のバラツキ(公差)により、内側シート、中間シートおよび外側シートの高さ関係がずれる可能性がある。内側シート、中間シートおよび外側シートの高さ関係がずれると、ディスクが中間シートと外側シートとに同時に当接することができず、隙間ができて作動流体が漏れ、所望の減衰力特性を得られない可能性がある。このため、特許文献1のように、中間シートを内側シートおよび外側シートよりも低くして、バネでディスクを押し付けて中間シートおよび外側シートの両方に当接させる。しかしながら、ディスクをバネで押圧して外側シートおよびこれより高さの低い中間シートに当接させる構造であると、外側シートへのディスクのセット荷重が高くなり開弁点が高くなってしまう。
また、特許文献2に記載の緩衝器は、内側シートよりも中間シートの高さを高くするとともに、これらを繋ぐようにディスク支持部を設け、中間シートよりも外側シートの高さを高くしている。そして、内側シートに密着するようにディスクをクランプすることで、ディスクを、ディスク支持部、中間シートおよび外側シートに倣って弾性変形させてその弾性力によりセット荷重を発生させるようになっている。この場合、ディスクは、外周側が軸方向においてピストンから離れるように反って弾性変形しており、開弁方向が変形を増大する方向であるため、外側シートへのディスクのセット荷重が高くなり開弁点が高くなってしまう。
これに対して、第1実施形態の緩衝器によれば、ディスク支持部60が、内側シート57に押し付けられ中間シート58に載置されただけの状態の第1ディスク75の径方向の同位置よりも突出方向の先端高さ位置が高くされるとともに、外側シート59が、内側シート57に押し付けられ中間シート58およびディスク支持部60に載置されただけの状態の第1ディスク75の径方向の同位置よりも突出方向の先端高さ位置が高くされている。これにより、第1ディスク75は内側シート57とディスク支持部60との間にリテーナ33側に凸状に撓む第1撓み部111が形成され、ディスク支持部60と外側シート59との間にリテーナ33から離間する側に凸状に撓む第2撓み部112が形成されるように弾性変形することになる。そして、第1ディスク75が上記のように弾性変形させられてその弾性力によって第2撓み部112の外周側の第3撓み部113で外側シート59に当接する。このように、第1ディスク75が、ディスク支持部60と外側シート59との間にリテーナ33から離間する側に凸状に撓む第2撓み部112を有する形状に弾性変形して外側シート59に当接しているため、外側シート59からの離間方向が平坦な自然状態に戻ろうとする方向と一致することになる。よって、製造上のバラツキ(公差)を吸収するようにしてもセット荷重を低く抑えることができる。したがって、第1ディスク75が外側シート59から離れやすくなり、開弁点が高くなることを抑制できるため、バルブ特性の適正化を図ることが可能となる。
また、ディスク枚数を多くする必要もなく、突起付きのディスクやコイルスプリングを使用する必要もないため、コストを低減することができるとともに、軸方向長を短くできる。
また、ディスク支持部60が、第1ディスク75を、中間シート58と外側シート59とに良好に当接させることになるため、安定した減衰力が得られる。
また、内側シート57と中間シート58との間の段差hを大きく確保することができ、中速での安定した減衰力が得られる。
また、ディスク支持部60が、リテーナ33の周方向に隣り合う通路66同士の間に配設されているため、リテーナ33の径方向の大型化ひいては緩衝器の径方向の大型化を抑えることができる。
また、第1ディスク75には、第1ディスク75よりも小径の第2ディスク77が載置されているため、第1ディスク75が外側シート59から離れても中間シート58に当接させておくことができる。よって、上記したように第1段目および第2段目のバルブ特性を得ることができる。
また、第1ディスク75には、中間シート58と外側シート59との間に、第2撓み部112の外側でリテーナ33に近づく第3撓み部113が形成されているため、製造上のバラツキを吸収しつつセット荷重を低く抑える効果が高まる。
「第2実施形態」
次に、第2実施形態を主に図6および図7に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第2実施形態においては、第2ディスク77を二枚の単体ディスク114で構成し、第2ディスク77とスペーサ78との間に、これらに積層されて設けられる第3ディスク155を有している。第3ディスク155にも、第2ディスク77と同様、径方向中央に挿通孔156が形成されており、この挿通孔156にピストンロッド13の取付軸部26が挿通されている。
第3ディスク155は、複数枚(具体的には二枚)の同径円板状の単体ディスク157が積層されて構成されており、その外径が、ディスク支持部60のシート面60aの外径よりも大径かつ中間シート58のシート面58aの内径よりも小径となっている。ピストンロッド13への組み付け前の自然状態において、単体ディスク157は、表裏面それぞれが軸方向の一定位置に位置する平坦な形状つまり平板状をなしており、よって、第3ディスク155も同様に平坦な形状つまり平板状をなしている。
非作動状態にあるとき、第3ディスク155は、第2ディスク77に当接しており、第2ディスク77と同様、第1ディスク75のディスク支持部60よりも径方向内側部分に倣って径方向外側ほど軸方向のピストン本体31とは反対側に位置するように弾性変形している。この状態でも、第3ディスク155は、その外径がリテーナ33のディスク支持部60のシート面60aの外径よりも若干大径で中間シート58のシート面58aの内径よりも小径となっている。
図6に示す非作動状態から、ピストンロッド13がシリンダ11からの突出量を増やす伸び側に移動すると、ピストンロッド13とともに移動するピストン12によってロッド室18の圧力がボトム室19側の圧力よりも高められる。
このとき、図7に示すように、ピストン速度が遅い所定範囲0〜V1にあると、第1実施形態と同様に、第1ディスク75が外側シート59に当接した状態が維持され、通路66、連通路121および固定オリフィス125を介して固定オリフィス125の一定の流路面積でロッド室18から作動流体がボトム室19側へ流れ、オリフィス特性の図7に示す0〜f1の減衰力を発生させる。
また、ピストン速度が中間の所定範囲V1〜V2にあっても、第1実施形態と同様に、第1ディスク75が中間シート58への当接状態を維持したまま、中間シート58のシート面58aの外周部を起点として変形して外周側が外側シート59から離れ、通路66および連通路121を介して、第1ディスク75と外側シート59との開弁量に応じて広くなる流路面積でロッド室18から作動流体がボトム室19側へ流れ、外側シート59と第1ディスク75との開弁量に応じた第1段目のバルブ特性の図7に示すf1〜f2の減衰力を発生させる。
さらに、ピストン速度が中間であって上記よりも速い所定範囲V2〜V3にあると、第1ディスク75は、ディスク支持部60への当接状態を維持したまま、第2ディスク77の付勢力に抗してディスク支持部60のシート面60aの外周部を起点として変形して中間シート58からも離れる。すると、通路66を介して、連通路121よりも広く第1ディスク75と中間シート58との開弁量に応じて広くなる流路面積でロッド室18から作動流体がボトム室19側へ流れる。これにより、中間シート58と第1ディスク75との開弁量に応じた第2段目のバルブ特性の図7に示すf2〜f3の減衰力を発生させる。第2段目のバルブ特性は、第1段目のバルブ特性よりも、ピストン速度に対する減衰力の増加率が低くなっている。
さらに、ピストン速度が大きい所定範囲V3以上にあると、第1ディスク75は、第2ディスク77および第3ディスク155の付勢力に抗して内側シート57のシート面57aの外周部を起点に変形してディスク支持部60から離れ、中間シート58からさらに離れる。すると、通路66を介して、連通路121よりも広く第1ディスク75と中間シート58との開弁量に応じて広くなる流路面積でロッド室18から作動流体がボトム室19側へ流れる。これにより、中間シート58と第1ディスク75との開弁量に応じた第3段目のバルブ特性の図7に示すf3以上の減衰力を発生させる。第3段目のバルブ特性は、第2段目のバルブ特性よりも、ピストン速度に対する減衰力の増加率が低くなっている。
このような構成の第2実施形態によれば、リテーナ33の中間シート58と内側シート57との間にディスク支持部60を設けるとともに中間シート58よりも小径且つディスク支持部60よりも大径の第3ディスク155を第2ディスク77に積層させたため、多段階のバルブ特性の減衰力特性を得ることができる。
なお、上記第1,第2実施形態は、中間シート58および外側シート59がいずれも円形シートの場合を例にとり説明したが、中間シート58および外側シート59の少なくとも一方を円形以外の花びら形等の異形シートとしても良い。
また、中間シート58を同心円状に複数設けてもよい。
また、上記第1,第2実施形態は、ピストンの伸び側の減衰力発生機構に本発明を適用する例を示したが、これに限らず、ピストンの縮み側の減衰力発生機構に本発明を適用することも可能である。
また、上記第1,第2実施形態は、ピストン本体31にこれとは別体のリテーナ33を設け、このリテーナ33に、内側シート57、中間シート58、外側シート59およびディスク支持部60と、ロッド室18に常時連通する通路66とを設ける場合を例にとり説明したが、ピストン本体31にこれらを設けても良い。この場合、これらに加えて、ボトム室19に常時連通する通路63をピストン本体31に設ける必要がある。
例えば、図8に示すように、通路穴122(図1のロッド室18を常に室120に連通させる図3に示す通路穴122)を設ける場合に、中間シート58の周方向の一部の位置から径方向外側に突出するように複数の外側シート構成部160を形成して、これら外側シート構成部160と中間シート58との間に、通路穴122を設ける。そして、外側シート構成部160の周方向に隣り合うもの同士の間に通路63(図1のボトム室19に常時連通する通路63)を設ける。この場合、外側シート59は、複数の外側シート構成部160と、周方向に隣り合う外側シート構成部160同士の間の中間シート58とで構成されて花びら形の環状をなす。そして、中間シート58は、外側シート59と内側シート57との間に、外側シート59を構成しない一部が配置される。中間シート58の周方向の外側シート構成部160と合う位置には径方向に貫通する通路溝161が形成されており、図3に示す第1ディスク75の単体ディスク104のディスク通路穴106を省略可能としている。
「第3実施形態」
次に、第3実施形態を主に図9〜図14に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
図9に示すように、第3実施形態の緩衝器は、ピストンロッド13にナット14により連結されてシリンダ11内を摺動するピストン212が、焼結により一体成形される略円板状のピストン本体(バルブ本体)231と、ピストン本体231の外周面に装着されて、シリンダ11内を摺接する円環状の摺接部材232とを有している。なお、ピストン212に第1実施形態のようなリテーナは設けられていない。
ピストン本体231は軸方向両側が共通の形状をなしている。ピストン本体231は、軸方向一側が伸び側の減衰力発生機構を構成しており、他側が縮み側の減衰力発生機構を構成している。このため、これらを区別する必要がある場合、伸び側の減衰力発生機構200およびその構成の各符号に(A)を、縮み側の減衰力発生機構200およびその構成の各符号に(B)を、それぞれ付けて区別する。
第3実施形態のピストン本体231には、その中心軸上に直線状の挿通孔235が貫通するように形成されている。ピストン本体231の軸方向の両端部には、それぞれ、径方向の挿通孔235の外側にて軸方向に突出する環状の内側シート257と、径方向の内側シート257よりも外側にて軸方向に突出する環状の外側シート201とが形成されている。内側シート257の突出先端のシート面257aは、ピストン本体231の軸方向の高さ位置が一定であり、ピストン本体231の軸直交方向に沿っている。外側シート201の突出先端のシート面201aも、ピストン本体231の軸方向の高さ位置が一定であり、ピストン本体231の軸直交方向に沿っている。
内側シート257は、挿通孔235を囲む環状をなしており、詳しくは、挿通孔235と中心を一致させた円環状をなしている。図10に示すように、外側シート201は、内側シート257を囲む環状をなしており、径が内側シート257よりも大きい複数(具体的には4カ所)の円弧状の中間突出部258と、径が中間突出部258よりも大きい複数(具体的には4カ所)の円弧状の外側突出部259とを有している。中間突出部258は、挿通孔235と中心を一致させた円弧状をなしており、複数が同一円上にて等間隔で不連続に環状配置されている。外側突出部259も、挿通孔235と中心を一致させた円弧状をなしており、複数が同一円上にて等間隔で不連続に環状配置されている。中間突出部258および外側突出部259は、ピストン本体231の周方向に交互に形成されている。外側突出部259には径方向に貫通する切欠部305がシート面201aから軸方向に凹んで形成されている。
ピストン本体231の周方向にて隣り合う中間突出部258および外側突出部259の相互近接側の端部同士は、ピストン本体231の径方向に沿う連結突出部202によって連結されている。これにより、外側シート201は、円形ではない異形の環状をなしており、花びら形をなしている。なお、ピストン本体231は、軸方向一側の外側シート201の外側突出部259と軸方向他側の外側シート201の中間突出部258とが円周方向の位置を合わせており、軸方向一側の外側シート201の中間突出部258と軸方向他側の外側シート201の外側突出部259とが円周方向の位置を合わせている。
ピストン本体231には、その軸方向に平行をなして直線状に貫通する通路穴243が周方向に間隔をあけて複数カ所(具体的には8カ所)形成されている。通路穴243は、軸方向一側がピストン本体231の周方向に長い円弧形状をなす入口穴部203となっており、軸方向他側が、入口穴部203よりも狭い円形状をなす出口穴部204となっている。複数の通路穴243は、いずれも、入口穴部203が、ピストン本体231の周方向における中間突出部258の中央位置かつピストン本体231の径方向における中間突出部258の外側位置に配置されている。また、複数の通路穴243は、いずれも、出口穴部204が、ピストン本体231の周方向における外側突出部259の中央位置かつピストン本体231の径方向における外側突出部259の内側位置に配置されている。通路穴243は、周方向の位置が合う軸方向両側の中間突出部258および外側突出部259の組のすべてに対して形成されており、よって、同形状の通路穴243が、ピストン本体231の周方向において交互に逆向きとなるように配置されている。ピストン本体231の軸方向において出口穴部204を揃えた複数の通路穴243と、図9に示すように出口穴部204を囲む外側シート201よりも内側の室262とが一つの通路263を構成しており、よって、ピストン本体231には、このような通路263が軸方向に反対向きに二カ所形成されている。
ピストン本体231には、その径方向における中間突出部258と内側シート257との間から軸方向に突出する複数(具体的には4カ所)のディスク支持部260が形成されている。図10に示すように、ディスク支持部260は、挿通孔235と中心を一致させた円弧状をなしており、複数のものが同一円上に不連続に環状配置されている。ディスク支持部260は、内側シート257を囲むように等間隔で配置されている。
このようなピストン本体231は、図9に示すように、挿通孔235にピストンロッド13の取付軸部26を挿通させた状態でピストンロッド13に取り付けられて、シリンダ11内に配置されることになる。この状態で、入口穴部203(A)をロッド室18に向ける通路穴243(A)を有する通路263(A)が、ロッド室18とボトム室19とを連通可能であって常時ロッド室18に連通することになり、伸び側の減衰力発生機構200(A)を構成する。また、入口穴部203(B)をボトム室19に向ける通路穴243(B)を有する通路263(B)が、ロッド室18とボトム室19とを連通可能であって常時ボトム室19に連通することになり、縮み側の減衰力発生機構200(B)を構成する。
ピストン本体231の軸方向のボトム室19側には、軸方向のピストン本体31側から順に、伸び側の減衰力発生機構200(A)を構成するディスク275(A)、スペーサ278(A)、規制部材279(A)が設けられている。ピストン本体231の軸方向のロッド室18側にも、同様に、縮み側の減衰力発生機構200(B)を構成するディスク275(B)、スペーサ278(B)、規制部材279(B)が設けられている。ディスク275の径方向の中央には挿通孔295が、スペーサ278の径方向の中央には挿通孔298が、規制部材279の径方向の中央には挿通孔299が、それぞれ軸方向に貫通して形成されている。
そして、ピストンロッド13の取付軸部26が、規制部材279(B)の挿通孔299、スペーサ278(B)の挿通孔298、ディスク275(B)の挿通孔295、ピストン本体231の挿通孔235、ディスク275(A)の挿通孔295、スペーサ278(A)の挿通孔298、規制部材279(A)の挿通孔299に、この順に挿通されて、この状態で取付軸部26のオネジ28にナット14が螺合される。すると、これら規制部材279(B)、スペーサ278(B)、ディスク275(B)、ピストン本体231、ディスク275(A)、スペーサ278(A)、規制部材279(A)が、いずれも取付軸部26で径方向移動が規制されて積層されることになり、この積層状態でピストンロッド13の段差部27とナット14とに挟持される。このとき、ディスク275(A),(B)は、それぞれの内周側のみがピストンロッド13に対し軸方向移動不可にクランプされる。
ディスク275は、複数枚(具体的には四枚)の同径円板状の単体ディスク304が積層されて構成されており、その外径が、外側シート201のシート面201aの外側突出部259を構成する部分の外径よりも大径となっている。ピストンロッド13への組み付け前の自然状態において、単体ディスク304は、表裏面それぞれが軸方向の一定位置に位置する平坦な形状つまり平板状をなしており、よって、ディスク275も同様に平坦な形状つまり平板状をなしている。
スペーサ278は、その外径が内側シート257のシート面257aの外径と略同径の円環状をなしている。規制部材279は、その外径が外側シート201のシート面201aの中間突出部258を形成する部分の径と略同径の円環状をなしている。
第3実施形態において、内側シート257、外側シート201の中間突出部258、外側シート201の外側突出部259およびディスク支持部260の突出方向の先端高さ位置の関係は、第1実施形態の内側シート57、中間シート58、外側シート59およびディスク支持部60の突出方向の先端高さ位置の関係と同様になっている。その際に、内側シート257が内側シート57に、外側シート201の中間突出部258が中間シート58に、外側シート201の外側突出部259が外側シート59に、ディスク支持部260がディスク支持部60に、それぞれ対応する。
具体的に、外側シート201およびディスク支持部260のそれぞれの突出方向の先端高さ位置は、突出方向を正方向とした場合に、内側シート257の突出方向の先端高さ位置よりも中間突出部258および外側突出部259を含む外側シート201の突出方向の先端高さ位置の方が高くなっている。また、ディスク支持部260の突出方向の先端高さ位置は、内側シート257の突出方向の先端高さ位置よりも高く、外側シート201の突出方向の先端高さ位置よりも低くなっている。
言い換えれば、内側シート257の突出方向先端のシート面257aの突出方向の高さ位置よりも、中間突出部258および外側突出部259を含む外側シート201の突出方向先端のシート面201aの高さ位置の方が高くなっている。また、内側シート257の突出方向先端のシート面257aの突出方向の高さ位置よりもディスク支持部260の突出方向先端のシート面260aの突出方向の高さ位置の方が高く、ディスク支持部260の突出方向先端のシート面260aの突出方向の高さ位置よりも外側シート201のシート面201aの突出方向の高さ位置の方が高くなっている。
ここで、内側シート257、外側シート201の中間突出部258、外側シート201の外側突出部259およびディスク支持部260の突出方向の先端高さ位置は、これらに載置される平板状のディスク275を以下の形状に弾性変形させるように設定される。
まず、内側シート257、外側シート201の中間突出部258およびディスク支持部260について、図11(a),(b)に示すように、第1実施形態の内側シート57、中間シート58およびディスク支持部60と同様に設定する。つまり、図11(a)に示すように、内側シート257および中間突出部258のみを設けてディスク275を内側シート257のシート面257aに押し付けた状態でディスク支持部260が配置されるべき径方向位置のディスク275の高さ位置を求め、この高さ位置よりも、高い位置にシート面260aを配置するようにディスク支持部260の位置を設定する。
上記の位置にディスク支持部260を設けると、図11(b)に示すように、ディスク275は、内側シート257とディスク支持部260との間に軸方向のピストン本体231側(図11(b)の下側)に凸状に撓む環状の撓み部311’が形成され、ディスク支持部260と外側突出部259が配置されるべき径方向位置との間にピストン本体231から離間する側(図11(b)の上側)に凸状に撓む円環状の撓み部312’が形成され、撓み部312’の径方向外側に、径方向外側ほど軸方向のピストン本体231側(図11(b)の下側)に近づく撓み部313’が形成されるように、弾性変形させられる。
次に、外側シート201の外側突出部259を、上記のように内側シート257に押し付けられ中間突出部258およびディスク支持部260に載置されただけの状態のディスク275の径方向の同位置よりも突出方向の先端高さ位置が高くなるように設定する。すると、ディスク275には、上記した外側突出部259がない場合の撓み部311’よりも撓みが若干小さくなった第1撓み部311が、内側シート257とディスク支持部260との間に、軸方向のピストン本体231側に凸状に撓んで形成される。また、撓み部312’よりも撓みが若干小さくなった第2撓み部312が、ディスク支持部260と外側突出部259との間に、軸方向のピストン本体231から離間する側に凸状に撓んで環状に形成される。
ここで、外側シート201の外側突出部259および中間突出部258の高さ位置等を調整することにより、外側シート201に連結突出部202がないと仮定すると、図11(c)に示すように、第2撓み部312の外側に、軸方向のピストン本体231側に凸状に撓む環状の撓み部314が形成されることになる。外側シート201に連結突出部202があることで、ディスク275は、少なくとも外側シート201に当接する部分の撓み部314が平坦な形状をなすことになり、その結果、第2撓み部312は、少なくとも外側シート201の中間突出部258よりディスク支持部260側に形成される。
ディスク275は、図9に示すようにピストンロッド13に他の部品とともに組み付けられると、内側シート257に押し付けられて、外側シート201の外側突出部259、外側シート201の連結突出部202、外側シート201の中間突出部258およびディスク支持部260に載置されることになる。この状態で、ディスク275は、外側シート201で外周側が押し上げられる。よって、ディスク275には、内側シート257とディスク支持部260との間に軸方向のピストン本体231側に凸状に撓む環状の第1撓み部311が形成され、ディスク支持部260と外側シート201の中間突出部258との間にピストン本体231から離間する側に凸状に撓む円環状の第2撓み部312が形成されるように、弾性変形させられる。
図9に示すように、ディスク275は、ピストンロッド13に組み付けられ且つロッド室18およびボトム室19に圧力差がない非作動状態にあるとき、上記したようにピストン本体231の内側シート257のシート面257aに密着し、ディスク支持部260のシート面260a、外側シート201のシート面201aに当接することになる。
非作動状態にあるとき、外側シート201の外側突出部259に形成された切欠部305は、ディスク275が外側突出部259を含む外側シート201に当接していても、外側突出部259を径方向内側から径方向外側に貫通している。よって、ボトム室19側のディスク275(A)では、これに当接する外側シート201(A)と内側シート257(A)との間の室262(A)を、切欠部305(A)で、ボトム室19に連通させている。つまり、この切欠部305(A)は、ディスク275(A)が外側シート201(A)に着座した状態にあっても、通路263(A)つまりロッド室18をボトム室19に連通させる固定オリフィス325(A)を構成している。同様に、ロッド室18側のディスク275(B)では、これに当接する外側シート201(B)と内側シート257(B)との間の室262(B)を、切欠部305(B)で、ロッド室18に連通させている。つまり、この切欠部305(B)は、ディスク275(B)が外側シート201(B)に着座した状態にあっても、通路263(B)つまりボトム室19をロッド室18に連通させる固定オリフィス325(B)を構成している。なお、外側シート201に切欠部305を設けず、ディスク275に切欠部を形成して、固定オリフィスを形成しても良い。
非作動状態にあるとき、ディスク275(A)は、ピストン本体231の外側シート201(A)とディスク支持部260(A)とに当接して通路263(A)を閉じている。なお、この状態でも、通路263(A)および固定オリフィス325(A)を介してロッド室18とボトム室19とが連通している。そして、この非作動状態から、ピストンロッド13がシリンダ11からの突出量を増やす伸び側に移動すると、ピストンロッド13とともに移動するピストン212によってロッド室18の圧力がボトム室19側の圧力よりも高められる。その結果、ピストン本体231に設けられた通路263(A)を介して作動流体がロッド室18からボトム室19に向け流れることになる。
このとき、図12に示すように、ピストン212の移動速度であるピストン速度が遅い所定範囲0〜V11にあると、ディスク275(A)は、外側シート201(A)に当接した状態が維持される。すると、通路263(A)および固定オリフィス325(A)を介して固定オリフィス325(A)の一定の流路面積でロッド室18から作動流体がボトム室19側へ流れる。これにより、オリフィス特性(減衰力がピストン速度の2乗にほぼ比例する)の図12に示す0〜f11の減衰力を発生させることになる。
また、ピストン速度が速い所定範囲V11以上にあると、ディスク275(A)は、自身の弾性変形により生じる弾性力に抗して外側シート201(A)から離れる。すると、通路263(A)を介して、ディスク275(A)と外側シート201(A)との開弁量に応じて広くなる流路面積でロッド室18から作動流体がボトム室19側へ流れる。これにより、外側シート201(A)とディスク275(A)との開弁量に応じたバルブ特性の図12に示すf11以上の減衰力を発生させることになる。
以上により、ピストン本体231に設けられた通路263(A)には、ピストンロッド13が伸び側に移動しこれと一体にピストン212がシリンダ11内を摺動すると、この摺動により作動流体がロッド室18からボトム室19に向け流れることになる。
上記通路263(A)がその内部を貫通するピストン本体231と、ピストン本体231のボトム室19側に突出される、外側シート201(A)、内側シート257(A)およびディスク支持部260(A)と、これらに載置されるボトム室19側のディスク275(A)とが、通路263(A)の一部に設けられて作動流体の流れを抑制して減衰力を発生する伸び側の減衰力発生機構200(A)を構成している。
また、非作動状態にあるとき、ディスク275(B)は、ピストン本体231の外側シート201(B)とディスク支持部260(B)とに当接して通路263(B)を閉じている。なお、この状態でも、通路263(B)および固定オリフィス325(B)を介してロッド室18とボトム室19とが連通している。そして、この非作動状態から、ピストンロッド13がシリンダ11への進入量を増やす縮み側に移動すると、ピストンロッド13とともに移動するピストン212によってボトム室19の圧力がロッド室18側の圧力よりも高められる。その結果、ピストン本体231に設けられた通路263(B)を介して作動流体がボトム室19からロッド室18に向け流れることになる。その際に、上記と同様、ピストン速度が遅い場合、固定オリフィス325(B)の一定の流路面積でボトム室19から作動流体がロッド室18側へ流れる。また、ピストン速度が速い場合、ディスク275(B)が、外側シート201(B)から離れ、通路263(B)を介して、ディスク275(B)と外側シート201(B)との開弁量に応じて広くなる流路面積でボトム室19から作動流体がロッド室18側へ流れる。
上記通路263(B)がその内部を貫通するピストン本体231と、ピストン本体231のロッド室18側に突出される、外側シート201(B)、内側シート257(B)およびディスク支持部260(B)と、これらに載置されるロッド室18側のディスク275(B)とが、通路263(B)の一部に設けられて作動流体の流れを抑制して減衰力を発生する伸び側の減衰力発生機構200(B)を構成している。
第3実施形態の緩衝器によれば、ディスク支持部260が、内側シート257に押し付けられ中間突出部258に載置されただけの状態のディスク275の径方向の同位置よりも突出方向の先端高さ位置が高くされるとともに、外側突出部259が、内側シート257に押し付けられ中間突出部258およびディスク支持部260に載置されただけの状態のディスク275の径方向の同位置よりも突出方向の先端高さ位置が高くされている。これにより、ディスク275は内側シート257とディスク支持部260との間にピストン本体231側に凸状に撓む第1撓み部311が形成され、ディスク支持部260と外側突出部259との間にピストン本体231から離間する側に凸状に撓む第2撓み部312が形成されるように弾性変形することになる。そして、ディスク275が上記のように弾性変形させられてその弾性力によって第2撓み部312の外周側で外側突出部259に当接する。このように、ディスク275が、ディスク支持部260と外側突出部259との間にピストン本体231から離間する側に凸状に撓む第2撓み部312を有する形状に弾性変形して外側突出部259に当接しているため、外側突出部259からの離間方向が第2撓み部312が平坦な自然状態に戻ろうとする方向と一致することになる。よって、製造上のバラツキ(公差)を吸収するようにしてもセット荷重を低く抑えることができる。したがって、ディスク275が外側シート201から離れやすくなり、開弁点が高くなることを抑制できるため、バルブ特性の適正化を図ることが可能となる。
また、ピストン本体231に形成される通路穴243がピストン本体231の軸方向に平行をなしているため、ピストン本体231を焼結で一体成形する場合であっても、通路穴243をこの焼結時に形成することができる。したがって、例えば斜め穴を形成する場合に必要となるドリル加工等が不要となり、製造コストを低減することができる。
異形シートの場合、所望の減衰力を得ようとして外側突出部と内側突出部との間に段差を設けると、ディスクがこの形状に沿わずに隙間ができて、作動流体に漏れが生じてしまう。このため、異形シートを平坦にして、ディスクに突起を付けたり、ディスクの積層枚数を増やしたりすることが行われている。この構造にすると、コストが増大し、また減衰力にバラツキが生じてしまう。これに対し、第3実施形態の緩衝器によれば、外側シート201を平坦にし、ディスク275を平坦な形状とし且つ単体ディスク304の積層枚数を抑えても、所望の減衰力を安定して得ることができる。よって、低コストで安定した減衰力特性が得られる。
なお、第3実施形態のピストン本体231を以下のように変更することも可能である。図13に軸方向の一側を示すように、ピストン本体231の周方向において中間突出部258の位置を外側突出部259に合わせ、周方向に位置が合う外側突出部259および中間突出部258の一端同士を連結突出部202で繋ぎ、他端同士を連結突出部202で繋ぐ。このようにして、通路穴243を個別に囲むように外側シート201を形成する(軸方向の他側も同様に変更)。また、さらに変更して、図14に軸方向の一側を示すように、外側突出部259、連結突出部202,202および中間突出部258が円形に繋がるように外側シート201を形成する(軸方向の他側も同様に変更)。これらの場合も、内側シート257、ディスク支持部260、中間突出部258および外側突出部259の高さ位置を、上記関係を満たすように設定し、ディスク275を上記と同様に変形させるようにする。
また、ディスク275を、例えば大、中、小等、外径の異なる複数の単体ディスクを積層して構成することも可能である。
上記実施形態は、単筒式の緩衝器に本発明を適用する例を示したが、シリンダの外周に、間にリザーバ室を形成する外筒を設ける複筒式の緩衝器に適用することも可能であり、あらゆる緩衝器に用いることができる。例えば複筒式の緩衝器に本発明を適用する場合、リザーバ室とボトム室との間に設けられるボトムバルブの減衰力発生機構に本発明を適用することも可能である。
以上に述べた実施形態は、作動流体が封入されるシリンダと、該シリンダに摺動可能に挿入されて該シリンダの内部を2室に画成するピストンと、該ピストンに連結されて前記シリンダの外部へ延出するピストンロッドと、前記ピストンの摺動により作動流体が流れる複数の通路と、該通路の一部に設けられて作動流体の流れを抑制して減衰力を発生する減衰力発生機構と、を備え、該減衰力発生機構は、前記通路がその内部を貫通するバルブ本体と、該バルブ本体に突出される環状の外側シートと、前記バルブ本体の前記外側シートの内側に突出される内側シートと、前記バルブ本体の前記外側シートと前記内側シートとの間に前記通路の開口部を囲むように突出される環状の中間シートと、前記中間シートと前記内側シートとの間に突出され、突出方向の先端高さ位置が前記内側シートよりも高く且つ前記中間シートよりも低く、連続または不連続に環状配置されるディスク支持部と、前記外側シート、前記内側シート、前記中間シートおよび前記ディスク支持部に着座可能に載置される第1ディスクと、を備え、前記第1ディスクを前記内側シートに押し付け、前記外側シート、前記中間シートおよび前記ディスク支持部に載置させた状態で、前記第1ディスクには、前記内側シートと前記ディスク支持部との間に前記バルブ本体側に凸状に撓む第1撓み部が形成され、前記ディスク支持部と前記外側シートとの間に前記バルブ本体から離間する側に凸状に撓む第2撓み部が形成されることで、前記中間シート及び前記外側シートに着座することを特徴とする。これにより、第1ディスクは、外側シートからの離間方向が平坦な自然状態に戻ろうとする方向と一致することになり、セット荷重を低く抑えることができるため、第1ディスクが外側シートから離れやすくなり、開弁点が高くなることを抑制できる。よって、バルブ特性の適正化を図ることが可能となる。
また、前記ディスク支持部は、複数あって、前記バルブ本体の周方向に隣り合う前記通路同士の間に配設されているため、バルブ本体の径方向の大型化ひいては緩衝器の径方向の大型化を抑えることができる。
また、前記第1ディスクには、該第1ディスクよりも小径の第2ディスクが載置されているため、第1ディスクが外側シートから離れても中間シートに当接させておくことができる。よって、複数段のバルブ特性を得ることができる。
また、前記第1ディスクには、前記中間シートと前記外側シートとの間に、前記第2撓み部の外側で前記バルブ本体に近づく第3撓み部が形成されているため、製造上のバラツキを吸収しつつセット荷重を低く抑える効果が高まる。
また、作動流体が封入されるシリンダと、該シリンダに摺動可能に挿入されて該シリンダの内部を2室に画成するピストンと、該ピストンに連結されて前記シリンダの外部へ延出するピストンロッドと、前記ピストンの摺動により作動流体が流れる複数の通路と、該通路の一部に設けられて作動流体の流れを抑制して減衰力を発生する減衰力発生機構と、を備え、該減衰力発生機構は、前記通路がその内部を貫通するバルブ本体と、該バルブ本体に突出される環状の外側シートと、前記バルブ本体の前記外側シートの内側に突出される内側シートと、前記バルブ本体の前記外側シートと前記内側シートとの間に前記通路の開口部を囲むように突出される環状の中間シートと、前記中間シートと前記内側シートとの間に突出され、連続または不連続に環状配置されるディスク支持部と、前記外側シート、前記内側シート、前記中間シートおよび前記ディスク支持部に載置される第1ディスクと、を備え、前記ディスク支持部は、前記内側シートに押し付けられ前記中間シートに載置されただけの状態の前記第1ディスクの径方向の同位置よりも突出方向の先端高さ位置が高くされ、前記外側シートは、前記内側シートに押し付けられ前記中間シートおよび前記ディスク支持部に載置されただけの状態の前記第1ディスクの径方向の同位置よりも突出方向の先端高さ位置が高くされていることを特徴とする。これにより、第1ディスクは、外側シートからの離間方向が平坦な自然状態に戻ろうとする方向と一致することになり、セット荷重を低く抑えることができるため、第1ディスクが外側シートから離れやすくなり、開弁点が高くなることを抑制できる。よって、バルブ特性の適正化を図ることが可能となる。
また、作動流体が封入されるシリンダと、該シリンダに摺動可能に挿入されて該シリンダの内部を2室に画成するピストンと、該ピストンに連結されて前記シリンダの外部へ延出するピストンロッドと、前記ピストンの摺動により作動流体が流れる複数の通路と、該通路の一部に設けられて作動流体の流れを抑制して減衰力を発生する減衰力発生機構と、を備え、該減衰力発生機構は、前記通路がその内部を貫通するバルブ本体と、該バルブ本体に突出される外側突出部と、前記バルブ本体の前記外側突出部の内側に突出される内側シートと、前記バルブ本体の前記外側突出部と前記内側シートとの間に突出して設けられる中間突出部と、前記中間突出部と前記内側シートとの間に突出され、突出方向の先端高さ位置が前記内側シートよりも高く且つ前記中間突出部よりも低く、連続または不連続に環状配置されるディスク支持部と、前記外側突出部、前記内側シート、前記中間突出部および前記ディスク支持部に着座可能に載置されるディスクと、を備え、前記ディスクを前記内側シートに押し付け、前記外側突出部、前記中間突出部および前記ディスク支持部に載置させた状態で、前記ディスクには、前記内側シートと前記ディスク支持部との間に前記バルブ本体側に凸状に撓む第1撓み部が形成され、前記ディスク支持部と前記外側突出部との間に前記バルブ本体から離間する側に凸状に撓む第2撓み部が形成されることで、前記中間突出部及び前記外側突出部に着座することを特徴とする。これにより、ディスクは、外側シートからの離間方向が平坦な自然状態に戻ろうとする方向と一致することになり、セット荷重を低く抑えることができるため、ディスクが外側シートから離れやすくなり、開弁点が高くなることを抑制できる。よって、バルブ特性の適正化を図ることが可能となる。
また、前記外側突出部は環状に形成され、前記中間突出部は前記通路の開口部を囲むように環状に形成される。