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JP6072975B2 - 台車装置 - Google Patents
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Description

本発明は、電動モーターなどの駆動装置と駆動装置によって駆動される一対の車輪を有し、搬送用途などに使用される台車装置に関する。
例えば、ホテルや病院などの施設において提供される食品などの被搬送物を搬送する台車装置(電動アシスト台車、移動式カート)としては、電動モーターによる動力を用いて人力を補助するアシスト機能を有する台車装置が知られている。
このような台車装置としては、一つの電動モーターと、差動歯車を組み合わせることによって、電動モーターの駆動力を一対の車輪に分配する形態のものが知られている(例えば特許文献1参照)。この形態は、台車装置の左右旋回(曲進)は、操作者によって行う必要があるが、単一の電動モーターによって走行が可能であるため、例えば、二つの電動モーターと各々の電動モーターに接続された車輪を有する2モーター式の台車装置と比較して、より低コストでの製造が可能となる。
特開2008−114630号公報
しかしながら、特許文献1に記載されているような台車装置の場合、直進走行時の速度を維持したまま左右旋回させようとすると、差動歯車によって外側の車輪が過度に増速し、操作性が損なわれることがある。即ち、電動モーターの回転数が一定のままで台車装置を旋回させると、外側の車輪が不用意に増速してしまう。
本発明は、より低コストで、電動モーターによる安定的な前進後退、及び左右旋回を行うことができる台車装置を提供することを目的とする。
本発明の第一の態様によれば、台車装置は、進行方向に直交する幅方向に離間して配置されて、互いに独立した回転数で回転可能な一対の車輪を有する台車本体と、回転駆動する出力軸を有する駆動装置と、前記出力軸の回転数に応じた出力を前記一対の車輪に分配して前記車輪を回転させる差動装置と、前記一対の車輪に対応して設けられて、前記車輪をそれぞれ制動可能な一対の制動装置と、前記一対の制動装置のいずれかを制動させることで、前記台車本体を曲進走行させる曲進操作部と、前記出力軸の回転数を設定された値に制御する制御装置と、前記一対の車輪の回転数をそれぞれ検出可能な回転数検出部と、を備え、前記制御装置は、前記台車本体が直進走行から曲進走行に遷移した際に、前記回転数検出部から入力される前記一対の車輪の回転数に基づいて、前記台車本体の前記曲進走行時の操作点の進行速度が、前記曲進走行に遷移する前の直進走行時の進行速度と等しくなるように、前記出力軸の回転数を設定する回転数設定部を有する
このような構成によれば、一つの駆動装置の駆動力を差動装置を用いて左右の車輪に分配し、左右の車輪のいずれかを制動することで台車本体を曲進させる構成であるため、より低コストで、安定的な前進後退、及び左右旋回を行うことができる台車装置を提供することができる。
また、制御装置は曲進走行の際に出力軸の回転数を低下させるため、曲進時における外側の車輪の過度な増速を抑制することができる。
さらに、一対の車輪の速度に応じて出力軸の回転数が設定されるため、より確実に曲進走行時の速度を制御することができる。
このような構成によれば、一対の車輪の速度に応じて出力軸の回転数が設定されるため、より確実に曲進走行時の速度を制御することができる。
上記台車装置において、前記台車本体の進行方向の端部に設けられて、前記進行方向に加えられる操作量に応じて操作信号を出力する直進操作部をさらに備え、前記制御装置は、前記直進操作部から入力される前記操作信号に基づいて前記台車本体の直進走行時の目標速度を設定する目標速度設定部をさらに有し、前記回転数設定部は、前記目標速度に基づいて直進走行時の前記出力軸の回転数を設定してもよい。
このような構成によれば、直進操作部の操作量によって駆動装置の駆動力が調整されるため、容易に直進走行時の速度を制御することができる。
上記台車装置において、前記直進操作部は、前記操作量に応じて操作力が大きくなる操作抵抗部を有し、前記目標速度設定部が前記操作力に応じた速度となるように前記目標速度を設定してもよい。
このような構成によれば、操作者は、台車装置が操作力に応じた自然な速度で移動していると感じるため、操作性をより向上させることができる。
上記台車装置において、前記直進操作部は、前記台車本体の幅方向に亘って設けられて、前記台車本体に対して進行方向に回動するハンドル本体であり、前記曲進操作部は、前記ハンドル本体に対して幅方向にスライド可能に設けられて、幅方向一方側にスライド移動することで一方の前記車輪を制動し、幅方向他方側にスライド移動することで他方側の前記車輪を制動するハンドルカバー部である構成としてもよい。
また、台車装置は、進行方向に直交する幅方向に離間して配置されて、互いに独立した回転数で回転可能な一対の車輪を有する台車本体と、回転駆動する出力軸を有する駆動装置と、前記出力軸の回転数に応じた出力を前記一対の車輪に分配して前記車輪を回転させる差動装置と、前記一対の車輪に対応して設けられて、前記車輪をそれぞれ制動可能な一対の制動装置と、前記一対の制動装置のいずれかを制動させることで、前記台車本体を曲進走行させる曲進操作部と、前記出力軸の回転数を設定された値に制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記台車本体が直進走行から曲進走行に遷移した際に、前記出力軸の回転数を直進走行時よりも小さい値に設定する回転数設定部を有し、前記台車本体の進行方向の端部に設けられて、前記進行方向に加えられる操作量に応じて操作信号を出力する直進操作部をさらに備え、前記制御装置は、前記直進操作部から入力される前記操作信号に基づいて前記台車本体の直進走行時の目標速度を設定する目標速度設定部をさらに有し、前記回転数設定部は、前記目標速度に基づいて直進走行時の前記出力軸の回転数を設定し、前記直進操作部は、前記台車本体の幅方向に亘って設けられて、前記台車本体に対して進行方向に回動するハンドル本体であって、前記曲進操作部は、前記ハンドル本体に対して幅方向にスライド可能に設けられて、幅方向一方側にスライド移動することで一方の前記車輪を制動し、幅方向他方側にスライド移動することで他方側の前記車輪を制動するハンドルカバー部である構成としてもよい。
このような構成によれば、一つのハンドルで前進後退、左右旋回の操作が可能となるため、操作者はより直観的に台車装置を操作することができる。
上記台車装置において、前記差動装置は、前記一対の車輪に接続された一対のサイドギヤと、前記一対のサイドギヤと噛み合うピニオンギヤと、前記ピニオンギヤを支持するケーシングと、前記ケーシングに一体的に設けられ、前記出力軸の回転に応じて回転するリングギヤと、を有する構成としてもよい。
本発明によれば、一つの駆動装置の駆動力を差動装置を用いて左右の車輪に分配し、左右の車輪のいずれかを制動することで台車本体を曲進させる構成であるため、より低コストで、安定的な前進後退、及び左右旋回を行うことができる台車装置を提供することができる。
本発明の実施形態の台車装置を模式的に示す斜視図である。 本発明の実施形態のハンドルの構成を説明する側面図である。 本発明の実施形態の台車装置の概略構成を説明する平面図である 本発明の実施形態の差動装置の構成を説明する概略平面図である。 本発明の実施形態の台車装置の運動モデルについて説明する図である。 本発明の実施形態の台車装置の制御装置を説明する制御系統図である。 本発明の実施形態台車装置の物理モデルを示す図である。
以下、本発明の実施形態の台車装置1について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の実施形態の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際の台車装置1の寸法関係とは異なる場合がある。
図1は、本発明の実施形態の台車装置1を模式的に示す斜視図である。図1に示すように、台車装置1は、進行方向に直交する幅方向Wに離間する一対の車輪3(図1には片側のみ示す)を有する台車本体2と、台車装置1を操作するためのハンドル4と、を有している。
本実施形態の台車装置1は、電動モーター(駆動装置)の駆動力を用いて操作者をアシストする、所謂パワーアシストカートである。
なお、図1に示すX方向は台車装置1の長手方向Xを示している。図1に示すW方向は台車装置1の幅方向Wを示している。また、図1に示す矢印Tは台車装置1の進行方向Tの前方を指している。
台車本体2は、例えば、内部を収納部とした箱型のものを採用することができる。台車本体2には扉8を取り付けることができる。
一対の車輪3は、台車本体2の幅方向Wに離間して配置されて、互いに独立した回転数で回転可能である。一対の車輪3は、左右で速度差を付けることで、左右の旋回が可能である。一対の車輪3は、台車本体2の長手方向Xの略中央に配置されている。台車本体2の長手方向Xの両端部近傍であって、幅方向Wの両端部近傍には、キャスター9が取り付けられている。
また、台車本体2の下部には、後述する電動モーター16(図3参照)などを配置するための駆動部収容部10が設けられている。駆動部収容部10には、操作者のハンドル4操作、及び車輪3の角速度(回転速度)に応じて電動モーター16の回転数を制御するための制御装置5(図3参照)が収容されている。
ハンドル4は、台車本体2の進行方向Tの前方側に取り付けられている。ハンドル4は、台車本体2の幅方向Wに亘って延びる円弧棒状(弓状)のハンドル本体12と、ハンドル本体12に対してスライド可能に取り付けられているハンドルカバー部13と、を有している。ハンドル本体12の両端は、台車本体2の前面に回動自在に取り付けられている。具体的には、ハンドル本体12は、ハンドル本体12の両端の取り付け位置の高さが同じとなるように取り付けられている。
ハンドル本体12は、例えば、ねじりコイルばねのような付勢部材(図示せず)によって、常に中央部分(ハンドルカバー部13の取り付け位置)が鉛直方向上方を向くように付勢されている。ハンドル本体12の付勢部材は、操作量に比例して抵抗が増し、操作力が大きくなるような操作抵抗部として機能する。これにより、ハンドル本体12は、操作者による操作がない状態で台車本体2に密着し、操作者が付勢部材の付勢力に逆らって操作することによって中央部分を進行方向Tの前方に倒すことができる。
ハンドルカバー部13は、円弧状に曲げられた円筒形状の部材であり、ハンドル本体12の中央部近傍に、ハンドル本体12の周面を覆うように取り付けられている。通常、ハンドル4を操作する際は、操作者は、ハンドル4のハンドルカバー部13を把持する。ハンドルカバー部13は、所定の付勢部材によって、ハンドル本体12の中央部に向かう方向に付勢されている。換言すれば、ハンドルカバー部13は、操作者による操作がない状態で、ハンドル本体12の中央部に位置し、操作者が付勢部材の付勢力に逆らって操作することによって、幅方向Wの左右のいずれかにスライドさせることができるように構成されている。
ハンドルカバー部13は、後述する一対の制動装置20(図3参照)と接続されている。即ち、ハンドルカバー部13は、ハンドルカバー部13をハンドル本体12に沿ってスライドさせることで、制動装置20を操作することができる制動装置20のインターフェースとして機能する。
操作者は、ハンドル本体12の操作と、ハンドルカバー部13の操作を同時に行うことができる。即ち、ハンドルカバー部13を把持してハンドル本体12を傾ける動作を行いながら、ハンドルカバー部13をスライドさせることができる。
図2に示すように、ハンドル4には、ハンドル4の回転角度θ(操作量)を検出するためのハンドル角度検出装置14を有している。ハンドル角度検出装置14としては、ポテンショメータを採用することができる。ハンドル角度検出装置14と制御装置5とは、電気的に接続されており、ハンドル角度検出装置14によって検出されたハンドル4の回転角度θが、制御装置5に入力される。具体的には、ポテンショメータから出力される電圧(アナログ値)が、アナログ−デジタル変換回路(A/D変換回路)を介して回転角度θ(デジタル値)に変換され、制御装置5に入力される。
本実施形態の台車装置1において、ハンドル本体12は、進行方向Tに加えられる操作量に応じて操作信号を出力する直進操作部6として機能する。即ち、直進操作部6を進行方向Tに倒すことにより、台車本体2を任意の速度で直進させることができるように構成されている。ハンドル4の操作量による台車本体2の速度の決定方法については後述する。
図3は、本実施形態の台車装置1の概略構成を説明する平面図である。図3に示すように、台車装置1は、単一の電動モーター16と、電動モーター16の出力軸17の回転数に応じた出力(駆動力)を一対の車輪3に分配して車輪3を回転させる差動装置19と、一対の車輪3を制動する一対の制動装置20と、を有している。一対の車輪3は、車軸15を介して差動装置19と接続されている。
差動装置19は、台車本体2の略中央(長手方向Xの中心、かつ、幅方向Wの中心)に配置されている。
電動モーター16としては、例えば、減速機と一体となったギアードモーターを採用することができる。
電動モーター16は回転駆動する出力軸17を有しており、この出力軸17には、駆動歯車18が取り付けられている。駆動歯車18は、差動装置19のリングギヤ30と噛み合うように配置されている。
制動装置20は、一対の車輪3に対応して設けられており、一対の車輪3をそれぞれ制動可能なブレーキである。制動装置20は、車輪3とともに回転する一対のブレーキローター22と、ブレーキローター22を挟み込む位置に配置されている一対のブレーキキャリパー23と、ブレーキキャリパー23とハンドル4のハンドルカバー部13とを接続するホース24と、を有している油圧ブレーキである。
制動装置20は、ハンドルカバー部13をハンドル4の中央部から幅方向Wの左方向(幅方向一方側)にスライド移動させた場合に、左側の車輪3を制動させ、ハンドルカバー部13をハンドル4の中央部から幅方向Wの右方向(幅方向他方側)にスライド移動させた場合に、左側の車輪3を制動するように構成されている。具体的には、ハンドルカバー部13に加えられた力がマスターシリンダー(図示せず)を介して油圧に変換され、ホース24を介してブレーキキャリパー23を作動させる。
なお、制動装置20としては、ハンドルカバー部13の動きに応じて車輪3を制動させることができれば油圧ブレーキに限らず、他の形態の制動装置の採用も可能である。例えば、制動装置20としては、ハンドルカバー部13の動きをワイヤーなどを用いてブレーキキャリパー23に伝達する、機械式ブレーキの採用も可能である。また、制動装置20としては、電磁石の作用を利用してブレーキキャリパー23を作動させる電磁ブレーキの採用も可能である。
本実施形態の台車装置1においては、ハンドル4のハンドルカバー部13は、一対の車輪3のいずれかを選択的に制動させることで、台車本体2を曲進走行させる曲進操作部7として機能する。即ち、台車本体2の走行中に、曲進操作部7を構成するハンドルカバー部13を幅方向Wの例えば右方向にスライドさせて右側の車輪3を制動することにより、台車本体2を右方向に曲げることができる。換言すれば、本実施形態の台車装置1は、制動装置20を用いて左右の車輪3に速度差を作ることによって、台車本体2の左右旋回を行う。
また、一対の車輪3のそれぞれには、一対の車輪3の角速度(回転数)を検出可能な回転数検出装置25(回転数検出部)が設けられている。回転数検出装置25は、ロータリーエンコーダを採用することができる。一対の回転数検出装置25は、制御装置5と電気的に接続されている。即ち、回転数検出装置25によって検出された、車輪3の回転信号が制御装置5に送信され、車輪3の角速度が算出される。
次に、本実施形態の差動装置19の構成について説明する。図4に示すように、差動装置19は、対向する一対のサイドギヤ27と、一対のサイドギヤ27と噛み合うピニオンギヤ28とピニオンギヤ28を支持するケーシング29と、ケーシング29に一体的に設けられ、電動モーター16の駆動力によって回転する駆動歯車18と噛み合うリングギヤ30と、を有している差動歯車(ディファレンシャルギヤ)である。
一対の車軸15は、サイドギヤ27に取り付けられている。即ち、サイドギヤ27の回転に伴い、車軸15を介して車輪3が回転するように構成されている。
次に、台車装置1の制御装置5を設計するために用いる台車装置1の運動モデル、及び差動装置19の特性について説明する。図5は、本実施形態の台車装置1の運動モデルについて説明する図である。図5において、
Vop:操作点P(ハンドル)の進行方向速度[m/s]
Vopx:Vopのx方向に働く速度[m/s]
Vopy:Vopのy方向に働く速度[m/s]
Vc:台車本体の進行方向速度[m/s]
h:車軸から操作点Pまでの距離[m]
ω:台車本体2の旋回時の角速度[rad/s]
2d:車輪間距離[m]
:右側車輪の速度[m/s]
:左側車輪の速度[m/s]
である。なお、図5におけるx方向は台車装置1の長手方向Xに対応し、y方向は台車装置1の幅方向Wに対応する。なお、以下の説明において、台車本体2(台車装置1)の速度とは、操作点Pの進行方向速度Vopを指すものとする。
ここで、台車本体2の速度Vopのx及びy成分であるVopx,Vopyは、以下の数式(1),(2)にて算出することができる。
Vopx=Vc=(V+V)/2 ・・・ (1)
Vopy=hω ・・・ (2)
また、車輪3の直径:r、右側車輪の角速度:ω、左側車輪の角速度:ωとすると、V、Vは、以下の数式(3),(4)にて算出することができる。
=rω ・・・ (3)
=rω ・・・ (4)
また、台車本体2の旋回時の角速度ωは、以下の数式(5)にて算出される。
ω=(V−V)/2d ・・・ (5)
ここで、数式(2),(5)より、Vopyは、以下の数式(6)で表すことができる。
Vopy=hω=(h/2d)・(V−V) ・・・ (6)
次に、差動装置19の特性について説明する。
リングギヤ30の角速度:ω[rad/s]とすると、リングギヤ30の角速度ωと車輪3の角速度ω,ωの関係は、以下の数式(7),(8)で表すことができる。
ω = ω+Δω ・・・ (7)
ω = ω−Δω ・・・ (8)
よって、リングギヤ30の角速度ωは、以下の数式(9)にて算出される。
ω=(ω+ω)/2 ・・・ (9)
次に、制御系統図を用いて、本実施形態の台車装置1の制御装置5について説明する。図6は、本実施形態の台車装置1の制御装置5を説明する制御系統図である。図6に示すように、制御装置5は、台車本体2の目標速度を決定する目標速度設定部32と、目標速度及び一対の車輪3の角速度ω,ωに基づいて電動モーター16の回転数ωを決定する回転数設定部33と、モーター駆動部34と、を有している。
ここで、本実施形態の台車装置1の制御の概略を説明する。制御装置5は、ハンドル4の回転角度θ、及び左右の車輪3の角速度ω,ωを入力値として、最適な電動モーター16の回転数ωを出力する装置である。
より詳細には、制御装置5の目標速度設定部32は、ハンドル4の回転角度θを基に、台車本体2の目標速度を算出し、回転数設定部33は、目標速度に基づいて電動モーター16の回転数ωを決定する。電動モーター16は、モーター駆動部34を介して決定された回転数ωで回転し、この回転出力が差動装置19を介して左右の車輪3に分配される。
次に、制御装置5を構成する、目標速度設定部32、回転数設定部33、及びモーター駆動部34について詳細に説明する。
目標速度設定部32は、ハンドル4の回転角度θによって算出されたハンドル4の操作力に基づいて台車本体2の目標速度Vを決定する。
まず、目標速度設定部32は、ハンドル角度検出装置14によって検出されたハンドル4の回転角度θに基づいて操作力f算出する。
ハンドルの長さ:L、ハンドルの回転角度:θ、ねじりコイルばね(操作抵抗部)のバネ定数:κ、とすると、操作力:f[N]は、以下の数式(10)にて算出することができる。
= κθ/L ・・・ (10)
次に、操作力fに基づいて、目標速度Vを決定する。図7は、台車装置1の物理モデルを示す図である。ここで、台車装置1の慣性質量係数:M[kg]、粘性摩擦係数:D[N・s・m−1]、操作者による操作力:f[N]とすると、以下の状態方程式(11)を導出することができる。
Figure 0006072975
目標速度Vは、サンプリングタイム:ΔTとして一次近似で計算すると、以下の数式(12)を用いて算出することができる。
Figure 0006072975
即ち、本実施形態の目標速度設定部32は、ハンドル4の回転角度θから操作者がハンドル4に加えた操作力fを算出し、その操作力fに見合った目標速度Vを算出する。この目標速度Vにて台車装置1が移動することによって、操作者は、台車装置1が操作力に応じた自然な速度で移動していると感じることができる。
次に、目標速度Vに基づいて電動モーター16の回転数ωを決定する方法、即ち回転数設定部33による電動モーター16の回転数ωの制御方法について説明する。
まず、概略から説明すると、回転数設定部33は、目標速度設定部32によって決定された台車本体2の目標速度Vを参照し、この目標速度Vの大きさと一致するように台車本体2の速度Vopを制御する。この制御は、左右の車輪3の角速度ω,ω(一対の車輪3の速度V,V)を参照して行われる。
即ち、制動装置20の操作によって変動した一対の車輪3の速度差を参照した後、左右の車輪3の速度比を一定に保ちながら、電動モーター16の出力を加減することによって行われる。これにより、旋回方向を変えることなく速度の調整が行われる。
以下、左右の車輪3の角速度ω,ω、及び目標速度Vから、電動モーター16の回転数ωを決定するための数式について説明する。
図5を参照すると、VopとVopxとVopyの関係は、以下の数式(13)で表すことができる。
Vop=Vopx+Vopy ・・・ (13)
また、差動装置19のリングギヤ30の角速度ωは、数式(3),(4),(9)より、以下の数式(14)のように変形することができる。
ω=(ω+ω)/2=(V+V)/2r=Vopx/r・・・(14)
また、数式(6),(13)より、以下の数式(15)を導くことができる。
Vopx=Vop−Vopy
=Vop−(h(V−V)/2d) ・・・ (15)
これより、車両速度Vopxは、以下の数式(16)で求めることができる。
Figure 0006072975
ここで、数式(14)より、リングギヤ30の角速度ωは、以下の数式(17)によって求めることができる。
Figure 0006072975
ここで、リングギヤ30の角速度ωと電動モーター16の回転数ωとは比例関係にあるため、ω=α・ω(α:比例係数)とすることができる。さらに、数式(3),(4)より、電動モーター16の回転数ωは、以下の数式(18)によって算出することができる。
Figure 0006072975
即ち、数式(18)のVopを目標速度Vとするとともに、車輪3の角速度ω,ωを入力することによって、目標速度V、車輪3の角速度ω,ωである場合の、電動モーターの回転数ω(出力軸17の回転数)を算出することができる。
そして、制御装置5の回転数設定部33は、数式(18)を参照して、操作点Pの進行方向速度Vopが、操作力fにより求められる目標速度Vの大きさと一致するように電動モーター16の回転数を制御する。即ち、台車本体2が直進走行から曲進走行に遷移する際に、一対の車輪3に速度差が付いた場合においても、操作者の所望する目標速度Vを一定に保つように、電動モーター16の回転数ωを直進走行時よりも小さい値に設定する。
なお、回転数設定部33は、進行方向速度Vopを目標速度Vの大きさと一致するように回転数ωを設定するのみならず、進行方向速度Vopを目標速度V以下に設定するようにしてもよい。
モーター駆動部34は、回転数設定部33によって決定された回転数ωに応じて電動モーター16を駆動させるドライバ回路である。ドライバ回路としては、例えばPWM制御を用いた回路を採用することができる。
上記実施形態によれば、一つの電動モーター16の駆動力を差動装置19を用いて左右の車輪3に分配し、左右の車輪3のいずれかを制動することで台車本体2を曲進させる構成であるため、より低コストで、安定的な前進後退、及び左右旋回を行うことができる台車装置1を提供することができる。
また、制御装置5は曲進走行の際に電動モーター16の回転数ωを低下させるため、曲進時における外側の車輪3の過度な増速を抑制することができる。
また、制御装置5は、一対の車輪3の回転数を検出する回転数検出装置25を備え、回転数設定部33は、台車本体2の曲進走行時の進行速度が、曲進走行に遷移する前の直進走行時の進行速度以下となるように、電動モーター16の回転数ωを設定する。これにより、一対の車輪3の速度に応じて電動モーター16の回転数ωが設定されるため、より確実に曲進走行時の速度を制御することができる。
また、ハンドル4の操作量によって電動モーター16の駆動力が調整されるため、容易に直進走行時の速度を制御することができる。
また、ハンドル4には、ねじりコイルばね等の付勢部材が設けられ、操作量に比例して操作力が大きくなるように構成されており、制御装置5は、台車本体2が操作力に応じた速度となるように目標速度Vを決定する。これにより、操作者は、台車装置1が操作力に応じた自然な速度で移動していると感じることができる。
また、ハンドル4は、直進方向に回動可能なハンドル本体12と、幅方向に操作可能なハンドルカバー部13とを有し、ハンドル本体12により車両本体2の目標速度Vを制御し、ハンドルカバー部13により制動装置20を制御する構成となっている。これにより、一つのハンドル4で前進後退、左右旋回の操作が可能となるため、操作者はより直観的に台車装置1を操作することができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、クレームの範囲によってのみ限定される。
例えば、上記実施形態においては、駆動装置として電動モーター16を用いたが、コンピューター制御により所望の回転数に制御できる駆動装置であればこれに限ることはない。
また、上記実施形態においては、台車装置1の進行方向Tへの直進機能のみ記載したが、これに限ることはなく、台車装置1の後退機能も同様の実現することができる。
また、ハンドル4については、上記実施形態に記載した形状のものに限ることはない。例えば、棒状のレバー形状を用いてもよく、この棒状のハンドルを進行方向及び幅方向に倒す形態としてもよい。
また、上記実施形態におけるハンドルカバー部13に相当する、制動装置20を操作するためのインターフェース(曲進操作部7)は、ハンドル本体12から独立して配置してもよい。例えば、ハンドル本体12とは別に、一対のブレーキレバーを設ける構成としてもよい。
また、上記実施形態では、電動モーター16の回転数ωを低減するための入力として左右の車輪3に設けられた回転数検出装置25を用いたがこれに限ることはない。例えば、ジャイロセンサなどの台車本体2の角速度(遠心力)を検知可能なセンサを用いて、台車本体2の幅方向の向きが変化した際に電動モーター16の回転数ωを低減する構成としてもよい。即ち、台車本体2の曲進走行を検知した際に、電動モーター16の回転数ωを低減する構成であればよい。
さらに、上記実施形態では、一対の車輪3の角速度ω,ωに基づいて目標速度Vを設定し、この目標速度Vに基づいて進行速度Vopを設定して回転数ωを低減したが、角速度ω,ωの差を検知した段階で、回転数ωを低減する構成としてもよい。
1 台車装置
2 台車本体
3 車輪
4 ハンドル
5 制御装置
6 直進操作部
7 曲進操作部
8 扉
9 キャスター
10 駆動部収容部
12 ハンドル本体
13 ハンドルカバー部
14 ハンドル角度検出装置
15 車軸
16 電動モーター(駆動装置)
17 出力軸
18 駆動歯車
19 差動装置
20 制動装置
22 ブレーキローター
23 ブレーキキャリパー
24 ホース
25 回転数検出装置(回転数検出部)
27 サイドギヤ
28 ピニオンギヤ
29 ケーシング
30 リングギヤ
32 目標速度設定部
33 回転数設定部
34 モーター駆動部
X 長手方向
P 操作点
T 進行方向
W 幅方向
θ 回転角度

Claims (6)

  1. 進行方向に直交する幅方向に離間して配置されて、互いに独立した回転数で回転可能な一対の車輪を有する台車本体と、
    回転駆動する出力軸を有する駆動装置と、
    前記出力軸の回転数に応じた出力を前記一対の車輪に分配して前記車輪を回転させる差動装置と、
    前記一対の車輪に対応して設けられて、前記車輪をそれぞれ制動可能な一対の制動装置と、
    前記一対の制動装置のいずれかを制動させることで、前記台車本体を曲進走行させる曲進操作部と、
    前記出力軸の回転数を設定された値に制御する制御装置と、
    前記一対の車輪の回転数をそれぞれ検出可能な回転数検出部と、を備え、
    前記制御装置は、
    前記台車本体が直進走行から曲進走行に遷移した際に、前記回転数検出部から入力される前記一対の車輪の回転数に基づいて、前記台車本体の前記曲進走行時の操作点の進行速度が、前記曲進走行に遷移する前の直進走行時の進行速度と等しくなるように、前記出力軸の回転数を設定する回転数設定部を有する台車装置。
  2. 前記台車本体の進行方向の端部に設けられて、前記進行方向に加えられる操作量に応じて操作信号を出力する直進操作部をさらに備え、
    前記制御装置は、
    前記直進操作部から入力される前記操作信号に基づいて前記台車本体の直進走行時の目標速度を設定する目標速度設定部をさらに有し、
    前記回転数設定部は、前記目標速度に基づいて直進走行時の前記出力軸の回転数を設定する請求項に記載の台車装置。
  3. 前記直進操作部は、前記台車本体の幅方向に亘って設けられて、前記台車本体に対して進行方向に回動するハンドル本体であって、
    前記曲進操作部は、前記ハンドル本体に対して幅方向にスライド可能に設けられて、幅方向一方側にスライド移動することで一方の前記車輪を制動し、幅方向他方側にスライド移動することで他方側の前記車輪を制動するハンドルカバー部である請求項に記載の台車装置。
  4. 進行方向に直交する幅方向に離間して配置されて、互いに独立した回転数で回転可能な一対の車輪を有する台車本体と、
    回転駆動する出力軸を有する駆動装置と、
    前記出力軸の回転数に応じた出力を前記一対の車輪に分配して前記車輪を回転させる差動装置と、
    前記一対の車輪に対応して設けられて、前記車輪をそれぞれ制動可能な一対の制動装置と、
    前記一対の制動装置のいずれかを制動させることで、前記台車本体を曲進走行させる曲進操作部と、
    前記出力軸の回転数を設定された値に制御する制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、前記台車本体が直進走行から曲進走行に遷移した際に、前記出力軸の回転数を直進走行時よりも小さい値に設定する回転数設定部を有し、
    前記台車本体の進行方向の端部に設けられて、前記進行方向に加えられる操作量に応じて操作信号を出力する直進操作部をさらに備え、
    前記制御装置は、
    前記直進操作部から入力される前記操作信号に基づいて前記台車本体の直進走行時の目標速度を設定する目標速度設定部をさらに有し、
    前記回転数設定部は、前記目標速度に基づいて直進走行時の前記出力軸の回転数を設定し、
    前記直進操作部は、前記台車本体の幅方向に亘って設けられて、前記台車本体に対して進行方向に回動するハンドル本体であって、
    前記曲進操作部は、前記ハンドル本体に対して幅方向にスライド可能に設けられて、幅方向一方側にスライド移動することで一方の前記車輪を制動し、幅方向他方側にスライド移動することで他方側の前記車輪を制動するハンドルカバー部である台車装置。
  5. 前記直進操作部は、前記操作量に応じて操作力が大きくなる操作抵抗部を有し、
    前記目標速度設定部が前記操作力に応じた速度となるように前記目標速度を設定する請求項2から4のいずれか一項に記載の台車装置。
  6. 前記差動装置は、
    前記一対の車輪に接続された一対のサイドギヤと、
    前記一対のサイドギヤと噛み合うピニオンギヤと、
    前記ピニオンギヤを支持するケーシングと、
    前記ケーシングに一体的に設けられ、前記出力軸の回転に応じて回転するリングギヤと、を有する請求項1から請求項のいずれか一項に記載の台車装置。
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