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JP6073775B2 - グリオーマ形成阻害作用を有するmicroRNA - Google Patents
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グリオーマ形成阻害作用を有するmicroRNA Download PDF

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本発明は、マイクロRNAを利用した脳腫瘍治療薬に関する。また本発明は、脳腫瘍治療薬を同定するためのマイクロRNAとその利用に関する。
グリオーマ(神経膠腫)は悪性腫瘍の一種であり、日本人における一般的な原発性脳腫瘍である。その中でも悪性グリオーマの治療については、手術での切除を基本とするものの、その悪性度に応じて放射線治療や化学療法を併用している。具体的には、悪性グリオーマはWHOの基準に従って4つの悪性度(グレードI〜VI)に分類され、例えば小児の小脳に発生する毛様性星細胞腫などの最も悪性度の低いWHOグレードIでは手術のみの治療が選択される。また、WHOグレードII以上のグリオーマは手術による切除だけでは再発することが多いため、放射線や抗癌剤による化学療法や免疫療法などが併用される。特にWHOグレードVIのグリオーマは膠芽腫と呼ばれ、脳腫瘍の中でも最も悪性度の高い腫瘍のひとつである。膠芽腫は治療が困難な疾患であり、手術だけでは大半が数ヶ月以内に再発するため、術後の放射線療法や化学療法が必須である。
ところで、脳以外の他の組織の癌や腫瘍であれば外科的療法、放射線療法、化学療法等の治療により癌や腫瘍を取り除き治癒することが可能である。しかし、グリオーマは脳腫瘍であるため、それらのいずれの療法を適用するにしても、湿潤した腫瘍を完全に取り除こうとすれば、正常な細胞および脳自体の機能に多大な損傷を与えることになる。そのため、手術のみによる平均生存期間は短く、術後の残存腫瘍に対して補助療法として放射線治療や化学療法を併用したとしても、その効果は一過性であることが多い。したがって、グリオーマは治療の極めて困難な癌であるため、脳の機能に悪影響が少なく、且つグリオーマの増殖を抑制する治療薬が求められている。
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、脳腫瘍患者における脳の機能に悪影響が少なく、且つ脳腫瘍の増殖を抑制する治療薬を提供することを目的とする。
本発明はまた、上記治療薬に用いられるマイクロRNAを提供することを目的とする。
本発明者らは、ヒトおよびマウスのGIC(glioblastoma−initiating cells)、並びにヒト膠芽細胞腫組織において発現抑制されているマイクロRNA(miRNA、miR)が存在しているという知見を得、このマイクロRNAが腫瘍抑制遺伝子として作用している可能性を得た。また、本発明者らは、このマイクロRNAを過剰発現させるとGICの増殖および運動性を抑制するだけでなく、それらの腫瘍形成を予防するという報告から、このマイクロRNAがグリオーマの増殖を抑制する治療薬となり得る可能性に着目した。
そして、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、このマイクロRNAがその標的タンパク質(PLAT:plasminogen activator,tissue)の発現を抑制することにより、腫瘍形成を間接的に抑制できることを見出した。
具体的には、本発明の第一の主要な観点によれば、miR340またはその前駆体、またはそれらを発現するベクターを有する脳腫瘍治療薬が提供される。
このような構成によれば、患者の脳機能に悪影響を与えることなく、薬剤を投与するだけで脳腫瘍の増殖を抑えることが可能となる。
また、本発明の一実施形態によれば、前記miR340は配列ID番号1で示される配列を有するものである。
また、本発明の他の一実施形態によれば、前記miR340は配列ID番号2で示される配列を有するものである。
さらに、本発明の一実施形態において、前記脳腫瘍はグリオーマである。
また、本発明の他の一実施形態によれば、前記miR340はPLATの発現量を低下させることによって前記脳腫瘍を治療するものである。
また、本発明の第二の主要な観点によれば、上記の治療薬と薬学的に許容可能な担体とを有する、脳腫瘍を治療するための医薬組成物が提供される。
また、本発明の第三の主要な観点によれば、哺乳動物における脳腫瘍を治療するための薬剤を製造するための、miR340またはその前駆体、またはそれらを発現するベクターの使用が提供される。
さらに、本発明の第四の主要な観点によれば、哺乳動物におけるPLATの発現量を低下させるための医薬組成物であって、miR340またはその前駆体、またはそれらを発現するベクターを有するものである、組成物が提供される。
また、本発明の第五の主要な観点によれば、脳腫瘍の治療薬を同定する方法であって、脳腫瘍細胞に試験剤を接触させる工程と、前記脳腫瘍細胞中のmiR340の発現量を測定する工程とを有し、対照細胞と比較して、前記脳腫瘍細胞中のmiR340の発現量の増加が、前記試験剤が脳腫瘍の治療薬であることを示すものである、方法が提供される。
本発明の一実施形態によれば、この方法は、さらに、前記脳腫瘍細胞中のPLATの発現量を測定する工程を有し、対照細胞と比較して、前記脳腫瘍細胞中のPLATの発現量の低下が、前記試験剤が脳腫瘍の治療薬であることを示すものである。
なお、上記した以外の本発明の特徴及び顕著な作用・効果は、次の発明の実施形態の項及び図面を参照することで、当業者にとって明確となる。
図1は、本発明の一実施形態において、miR−340の発現がマウスおよびヒトのGICにおいて減少していることを示すグラフである。 図2は、本発明の一実施形態において、miR−340の過剰発現が細胞増殖、浸潤および遊走を阻害することを示す写真およびグラフである。 図3は、本発明の一実施形態において、miR−340の過剰発現がインビボでの腫瘍形成を阻害することを示す写真およびグラフである。 図4は、本発明の一実施形態において、PLATがmiR−340の標的であることを示す写真およびグラフである。
以下に、本願発明に係る一実施形態および実施例を、図面を参照して説明する。
本願発明に係る一実施形態において、脳腫瘍治療薬にはmiR340またはその前駆体、またはそれらを発現するベクターが用いられる。
ここで、本実施形態において、「miR340」または「miR−340」はマイクロRNA(miRNA、miR)の1種を指す。miRNAは約20〜約25塩基のタンパク質非翻訳RNA(small non−coding RNA)であり、ヒトには約1000種類以上存在することが示唆されている。
miRNAは生体内で様々な遺伝子の発現抑制を行う分子として注目されている。ゲノム上には各miRNA遺伝子の領域が存在し、RNAポリメラーゼIIによって転写され、約数百塩基のmiRNA初期転写産物が形成される。miRNA初期転写産物は核内でDrosha、細胞質内でDicerと呼ばれる2種類のRNase III酵素によってプロセシングされ、成熟miRNAが形成される。成熟miRNAは制御タンパク質複合体(RNA−induced silencing complex:RISC)と協調しつつ、相補的配列をもつ複数のターゲット遺伝子のmRNAと相互作用し、遺伝子の発現を抑制することが知られている。
本願発明に係る治療薬では、「miR340」は脳腫瘍疾患、特にグリオーマを検出するバイオマーカとして、配列ID番号1および2のmiRNAを使用することができる。miRNAによる遺伝子発現調節において、RISCを構成するmiRNAの5’側の8ヌクレオチドがseed sequenceとよばれ、この配列が標的となるmRNAの3’−UTR領域の配列を認識し、結合してタンパク質への翻訳を抑制する。従って、本願発明においては、miR340の全長配列である配列ID番号1および配列ID番号1の5’側の8ヌクレオチドである配列ID番号2も同様に使用することが可能となる。
本願発明に係る治療薬では、miR340は、成熟型(mature form)であってもよく、前駆体(pre−miRNA)の状態であってもよい。
本願発明において、PLATはplasminogen activator,tissueであり、plasminを含めた機能因子の活性化を介して細胞外基質(フィブリン等)の分解、細胞運動能や細胞増殖を亢進し、血栓の融解・細胞移動・癌の転移に働く。
本願発明における分子メカニズムは以下の通りである。すなわち、腫瘍細胞におけるmiR340は腫瘍形成に関連することが予想され、その機能の一部はPLATを介して行われる。具体的には、miR340がPLATの発現を調整し、このPLATが腫瘍形成に関連する。miR340の発現が増加することによりPLATの発現が低下し、腫瘍形成が抑えられると考えられる。
本願発明の薬学的組成物は、薬学的に許容可能な担体と混合された治療薬を含む。また、本発明の薬学的組成物は、リポソームや薬学的に許容される担体によってカプセル化された少なくとも1つの治療薬を含むこともできる。薬学的に許容される担体としては、例えば、水、緩衝用水、生理食塩液、0.4重量%生理食塩水、0.3重量%グリシン、ヒアルロン酸等を挙げることができる。
本願発明の薬学的組成物は、従来の薬学的賦形剤および/または添加剤を含んでもよい。賦形剤としては、例えば、安定剤、抗酸化剤、モル浸透圧調整剤、緩衝剤、pH調整剤等を挙げることができる。また添加剤としては、例えば、生理的に生体適合性を有する緩衝剤(例えば、塩酸トロメタミン)、キレート剤(例えば、DTPAやDTPA‐ビスアミド)、カルシウムキレート錯体(例えば、カルシウムDTPA、CaNaDTPA‐ビスアミド)の添加剤等を挙げることができる。
本願発明において、miRNAの発現を測定するための試料としては、脳腫瘍患者から採取したものであり脳腫瘍細胞を含む可能性がある試料であれば特に限定されない。例えば、血液試料(末梢血、血漿、血清など)、脳脊髄液、尿、リンパ液、唾液、その他の体液を利用することが可能である。また、このような試料はバイオプシーにより採取された病理組織由来の抽出成分も利用することが可能である。また、その試料の採取方法は、試料の種類等に応じて適宜選択することができ、試料からのRNAの調製は、通常の公知の方法により行うことができる。
また、miRNAの発現量は、miRNAと特異的にハイブリダイズするプローブ又はプライマーを用いて、miRNAマイクロアレイ法、ノーザンブロット法、RT−PCR法など公知の遺伝子発現量測定法に従い測定することができる。
このようなプローブ及びプライマーは、miRNAの塩基配列内の少なくとも15塩基長〜全塩基長、好ましくは18塩基長〜全塩基長の連続した塩基配列と特異的にハイブリダイズするように、公知のプローブまたはプライマー設計方法に従って上記各塩基長を有するポリヌクレオチドとして設計される。
当該プローブは、各miRNAと特異的にハイブリダイズするものであれば、完全に相補的である必要はない。かかるポリヌクレオチドとして、好ましくは各miRNAの塩基配列において連続する少なくとも15塩基以上の塩基配列からなるポリヌクレオチドまたはその相補ポリヌクレオチドと比較して、塩基配列において70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上の同一性を有するポリヌクレオチドである。
また、当該プローブ又はプライマーは、miRNAを容易に検出できるように、慣用されている放射性物質、蛍光物質、化学発光物質、または酵素で標識されていてもよい。
本願発明において、上述のようにして測定されたmiRNAの発現量を用いて、脳腫瘍の治療薬を同定することが可能である。この場合、治療薬候補となる試験剤と脳腫瘍細胞とを接触させ、その後miR340の発現量を測定し、miR340の発現量が通常の状態よりも増加している場合には当該試験剤が脳腫瘍の治療薬として利用できる可能性が高いことを示す。
同様に、脳腫瘍細胞のPLATの発現量を測定し、PLATの発現量が通常の状態よりも低下している場合には当該試験剤が脳腫瘍の治療薬として利用できる可能性が高いことを示す。
以下に、実施例を用いて、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実験手法および材料)
以下に、本発明において用いる実験手法および材料について説明する。なお、本実施形態において、以下の実験手法を用いているが、これら以外の実験手法を用いても、同様の結果を得ることができる。
1.細胞培養
7つのヒトグリオーマサンプル(膠芽細胞腫株E1−5、未分化希突起グリオーマ(AO)株、およびびまん性星細胞腫(DA)株)を用いた。腫瘍サンプルは、Papain解離システムを用いて分離され、解離された細胞はヒト塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF;10nM)、ヒト上皮細胞増殖因子(EGF;10nM)、ヘパリン(5μM)、N2サプリメント(Wako)、10μg/mlインスリン(Wako)、GlutaMAX(商標)サプリメント、100ユニット/mlペニシリンG、および100μg/mlストレプトマイシを含む無血清のダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)/Ham’sF−12(Wako)において浮遊培養細胞塊として培養した。GICをポリ−D−リジン(PDL、15μg/ml、Sigma)およびフィブロネクチン(1μg/ml)で培養し、免疫染色用の8ウェルチャンバースライド(Nunc)に播種した。ヒトのグリオーマ細胞株(U251およびU87)、およびマウスGIC NSCL61をHide and Kondo,Cancer Res,2009に記載の方法に従って培養した。ヒト神経幹細胞(H9ヒト胚性幹細胞由来)を培養した。すべての実験において、細胞は37℃、湿度5%CO/95%空気に維持した。
2.マイクロアレイハイブリダイゼーションおよびデータ処理
TRIzol(登録商標) Plus RNA Purification System (Invitrogen)を用いて細胞株およびグリオーマ組織から全RNAを抽出した。マイクロRNAマイクロアレイはAgilent Technologiesによって製造され、microRNA Microarray Kit protocolを用いて100ngの全RNAにラベルし、ハイブリダイズし、Human miRNA Microarray Release 16.0、またはMouse miRNA Microarray Release 16.0に用いた。ハイブリダイゼーションシグナルはDNAマイクロアレイスキャナ(Agilent Technologies)で検出し、スキャンした画像はAgilent feature extraction softwareを使用して分析した。遺伝子発現分析のためトータルRNAを増幅し、Agilent Low Input Quick Amp Labeling Kit one−color(Agilent Technologies)を使用してCyanine 3(Cy3)でラベルした。ラベルしたcRNAを断片化し、Agilent Human GE 8x60K Microarrayにハイブリダイズした。洗浄後、マイクロアレイをAgilent DNAマイクロアレイ・スキャナを用いてスキャンした。スキャンした各特徴の強度を、バックグラウンド除去法を行うAgilentfeature extraction softwareを用いて定量化した。Agilent GeneSpring GX version 11.0.2を用いてノーマリゼーションした。ノーマリゼーション後、ユークリッド距離および平均結合方法(Agilent GeneSpring GX)を用いて、発現遺伝子(DEGs)で、階層的なサンプルのクラスタリングを行った。パスウェイ分析のため、GenMAPP 2.1(http://www.genmapp.org/)およびConPath(登録商標)ナビゲータを使用した。
3.リアルタイムPCR
Isogen(Nippon gene、日本)を用いて細胞株およびグリオーマ組織からトータルRNAを抽出し、MMLV RT(Invitrogen)を用いて逆転写した。miR−340の発現はMiniOpticon Real Time PCR System(BIO―RAD)のTaqMan small RNA assays (Applied Biosystems)を用いて分析した。PLATの発現はMiniOpticon Real Time PCR System(BIO―RAD)のSYBR Green (Roche)を用いて分析した。以下のオリゴヌクレオチドDNAプライマを合成した。
plat用
5’プライマ:5’−CCATTTTGGAAGTTTTCAGG−3’
3’プライマ:5’−GCTTTCATTTTTGTGGTCCT−3’
4.トランスフェクション
miR−340前駆体または対照miRは、miRNA lentiviral particles (pEZX−MR03, Genecopoeia)を用いてグリオーマ細胞に過剰発現させた。グリオーマ細胞は37℃で12時間、組換えウイルスと共に培養し、ピューロマイシン(2μg/ml、Sigma)の存在下で3日間培養した。感染効率はGFP発現によって確認した。miR−340の発現は選抜後、RT−PCRによって確認した。いくつかの実験では、グリオーマ細胞はNucleofector device (Lonza)を用いてmiR−340発現ベクター(pBApoCMV―Neo―miR―340、タカラ)でトランスフェクションし、ネオマイシン(300μg/ml、Sigma)の存在下で10日間培養した。選抜後、細胞をヤギ抗ウサギIgG−Alexa488(1:500;分子プローブ)で免疫標識した後に、ウサギ抗PLAT抗体(1:50、Sigma)で免疫標識し、DAPI(1μg/ml)で対比染色した。
5.細胞増殖
グリオーマ細胞(1x10細胞/ウェル)を対照またはmiR−340発現ベクターによってトランスフェクションし、72時間培養した。1日目、2日目および3日目に細胞を収集し、血球計算器で計数した。BrdU染色はKondo and Raff, EMBO J, 2000に従って行った。
6.細胞浸潤および遊走分析
細胞浸潤および遊走は、それぞれBioCoat Matrigel Invasion Chamber(Becton−Dickinson)およびBioCoat Tumor Invasion System(Becton−Dickinson)を使用して評価した。トランスフェクションされたグリオーマ細胞(5〜10x10)は、DMEM/Ham’s F−12および1mg/mlウシ血清アルブミン(BSA; Sigma)に再懸濁し、ウェルの上部チャンバに置いた。750μlの10%FCS培地を下部チャンバに置いた。12時間の培養の後、上側の膜面上の細胞を機械的に除去した。膜の下側に湿潤または移動した細胞を固定し、0.1%クリスタルバイオレットで染色し、5以上のランダムに選択した領域において顕微鏡で計数した。
7.NOD/SCIDマウスの脳への頭蓋内細胞移植
対照細胞およびmiR−340発現細胞を、5μl(1x10)の培地に懸濁し、10%ペントバルビタールで麻酔した6〜8週間目の雌のNOD/SCIDマウスの脳に注射した。注射部位の定位座標は、ラムダから2mm前方、矢状縫合から2mm外側であり、深さ5mmである。
8.脳固定および組織病理学
解剖したマウス脳は、一晩、4℃で4%パラホルムアルデヒドに固定した。固定の後、脳は、12〜18%スクロース/PBSで凍結防止し、Tissue−Tek OCT化合物(Miles, Elkhart, IN)に埋め込み、またはパラフィンに埋め込んだ。冠状断面(太さ6〜10μm)を大脳皮質から準備し、標準技術に倣ってヘマトキシリン−エオジン(H&E)で染色した。
9.ベクター構造
完全長マウスplatをRT−PCRおよびKOD−Plus−Ver.2ポリメラーゼ(TOYOBO、日本)を用いてヒトグリオーマcDNAから増幅し、pCDNA3−2×FLAG−cベクター(pCDNA3−hPLAT−2×FLAG−c)およびp3×FLAG−CMV10ベクター(p3×FLAG−CMV10−hPLAT)にクローニングした。以下のオリゴヌクレオチドDNAを完全長ヒトplat用に合成した。
5’プライマ:5’−TGAATTCGCCACCATGACAGAATACAAGCTTGTGGTG−3’
3’プライマ:5’−ACTCGAGTCAGGACAGCACACATTTGCAG−3’
ヒトplatをノックダウンするため、それらのヘアピン配列をpsiRNA−h7SKhygro G1発現ベクター(InvivoGen)に挿入し、psiRNA−h7SKhygro−platshを作製した。siRNAターゲット配列は、5’−GAATTCGATGATGACACTT−3’である。ホタルルシフェラーゼ−ヒトPLAT 3’UTR発現ベクターを構築するため、ヒトplat 3’ゲノムDNAをKODおよびDNAポリメラーゼを用いて増幅し、pT7Blue−2ベクター(Novagen)にクローニングした。plat3’UTRゲノムDNAおよびホタルルシフェラーゼcDNAをpcDNA3.1−hygベクターに挿入し、pcDNA3.1−hyg−Luc−PLAT 3’UTRを得た。以下のオリゴヌクレオチドDNAを完全長ヒトplat3’UTR用に合成した。
5’プライマ:5’−CTCTAGACCAGGAACACCCGACTCCTC−3’
3’プライマ:5’−ACTCGAGCAGAAGTCAATTAAGTCCAAAC−3’
クローニングしたcDNAおよびゲノムDNAのヌクレオチド配列は、BigDye Terminator Kit version 3.1(Applied Biosystems)およびABI sequencer model 3130xl(Applied Biosystems)を用いて確認した。
10.ルシフェラーゼアッセイ
E3はpEF−Rluc、pcDNA3.1−hyg−Luc−PLAT3’UTR、およびいずれかの対照ベクター、またはpBApoCMV−Neo−miR−340にトランスフェクトされ、それらのルシフェラーゼ活性を測定した。
11.統計分析
各連続変数の分布は、その平均、標準偏差および範囲によってまとめた。各分類変数の分布は、その頻度およびパーセンテージによってまとめた。連続変数は、マン−ホイットニー試験によって治療群との間で比較した。2つの対グループを比較する場合にマン−ホイットニー試験を行う。カプラン−マイアー曲線は、事象変数に対する未調整の時間を推定するために用いた。ログランク検定は、グループ間の各時間と事象の変数を比較するために用いた。P値0.05未満(両側)を統計学的に有意であるとみなした。すべての統計分析はStatmateを使用して実行した。エラーバーはSDを示す。
(実験結果)
以下に、図面を用いて実験結果について説明する。
図1は、miR−340の発現がマウスおよびヒトのGICにおいて減少していることを示すグラフである。(a)はマウス(左)およびヒト(右)のGIC、対照細胞、AO、DA、およびヒトグリオーマ細胞株(U87およびU251)において発現するmiRNAの階層的クラスタ分析の結果を示す。(b)は通常のNSCと比較した場合のヒトGIC(E1−4、E6)、AO、DA、ヒトグリオーマ細胞株、およびNSCL61のmiR−340発現の変化を表す。(c)はGBM組織と通常の脳組織とのmiR−340発現の相対比率である。3回以上の実験による平均±S.D.である。いずれのグラフにおいても*P<0.05である。
図2はmiR−340の過剰発現が細胞増殖、浸潤および遊走を阻害することを示すグラフである。(a)は対照(上)とmiR−340過剰発現hGIC(下)の蛍光画像である(スケールは200μm)。(b)は対照とmiR−340過剰発現細胞のBrdU陽性細胞の比率を示すグラフであり、5回の実験の平均±S.D.として示した。
(c)はmiR−340過剰発現細胞と対照細胞との相対的な浸潤比率を示すグラフであり、9回の実験の平均±S.D.として示した。(d)はmiR−340過剰発現細胞と対照細胞との相対的な細胞遊走比率を示すグラフであり、9回の実験の平均±S.D.として示した。いずれのグラフにおいても、**P<0.01、***P<0001である。
図3はmiR−340の過剰発現がインビボでの腫瘍形成を阻害することを示すグラフである。(a)はhGIC(E3の対照)およびmiR−340過剰発現細胞(E3のmiR−340)の注入後5週間で切断した脳全体のスライス(左)および注入領域(右)のH&E染色の写真である。スケールは左の写真は1mm、右の写真は100μmである。(b)および(c)は、hGICが注入されたH&Eで染色した脳のスライスにおける湿潤領域(b)と有糸分裂細胞(cの矢印)を示す写真である。スケールは(b)が50μm、(c)が20μmである。(d)はhGIC(黒の点線)およびmiR−340発現細胞(赤の実線)を注射されたマウスの生存曲線である。
図4はPLATがmiR−340の標的であることを示すグラフである。(a)はmiR−340過剰発現GICおよびそれらの親細胞のPLAT(緑)について免疫標識した写真である。すべての核はDAPI(青)で対比染色した。スケールは25μmである。(b)はmiR−340過剰発現hGICと対照細胞との相対的なルシフェラーゼ活性を示すグラフである。4回の実験の平均±S.D.を示す。(c)は対照の脳とGBMにおけるPLAT発現を示すグラフである。3回以上の実験の平均±S.D.を示す。(d)は対照とmiR−340過剰発現細胞との細胞成長を示すグラフである。4回の実験の平均±S.D.として示す。(e)は対照およびPLAT shRNA発現GICのBrdU陽性細胞の比率を示すグラフであり、5回の実験の平均±S.D.として示す。(f)および(g)は、PLAT shRNA発現GICと対照細胞との相対的な湿潤(f)および遊走(g)の比率を示すグラフであり、5回の実験の平均±S.D.として示す。(h)は、グリオーマ発生におけるmiR−340の機能およびPLATの関連を示すスキームである。いずれにおいても、*P<0.05、**P<0.01である。
その他、本発明は、さまざまに変形可能であることは言うまでもなく、上述した一実施形態に限定されず、発明の要旨を変更しない範囲で種々変形可能である。

Claims (5)

  1. 哺乳動物におけるPLATの発現量を低下させるための医薬組成物であって、miR340またはその前駆体、またはそれらを発現するベクターを有するものである、組成物。
  2. 請求項1記載の組成物において、前記miR340は配列ID番号1で示される配列を有するものである、組成物。
  3. 請求項1記載の組成物において、前記miR340は配列ID番号2で示される配列を有するものである、組成物。
  4. 哺乳動物におけるPLATの発現量を低下させるための薬剤を製造するための、miR340またはその前駆体、またはそれらを発現するベクターの使用。
  5. グリオーマまたはグリオブラストーマの治療薬を同定する方法であって
    グリオーマまたはグリオブラストーマ細胞に試験剤を接触させる工程と、
    前記グリオーマまたはグリオブラストーマ細胞中のPLATの発現量を測定する工程
    を有し、対照細胞と比較して、前記グリオーマまたはグリオブラストーマ細胞中のPLATの発現量の低下が、前記試験剤がグリオーマまたはグリオブラストーマの治療薬であることを示すものである、方法。
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