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JP6074445B2 - 防炎段ボールおよびその製造方法 - Google Patents
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JP6074445B2 - 防炎段ボールおよびその製造方法 - Google Patents

防炎段ボールおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高い防炎性能を有する防炎段ボールおよびその製造方法に関する。
従来、炎に接しても容易に着火せず、着火しても自己消火性(自ら延焼拡大を停止する性能)により、容易に燃え広がらない性能である防炎性能を有する防炎段ボールが提案されており、例えば、特開平8−133269号公報には、段ボールを構成する中芯とライナーとのうち、少なくとも一面のライナーが、難燃剤を含浸した難燃紙である紙製板材や、段ボールまたは板紙の少なくとも一面に、難燃剤を含浸した難燃紙を張り合わせた紙製板材が開示されている(特許文献1)。
特開平8−133269号公報
しかしながら、特許文献1に記載された発明を含めて、従来の防炎段ボールは、ある程度の防炎性能を有するものの、消防法に定められた防炎性能基準を十分に満たすものではない。また、十分な防炎性能を有する段ボールが提供できれば災害避難所などにおける利用も高まるため、より実用的で高い防炎性能を有する段ボールが求められている。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、実用上、十分に高い防炎性能を有する防炎段ボールおよびその製造方法を提供することを目的としている。
本発明に係る防炎段ボールは、板紙に含浸用防炎剤を含浸させてなる防炎加工紙が、接着剤に接着用防炎剤を混合させてなる防炎接着剤によって、段ボールの片面または両面に貼付されている。
また、本発明の一態様として、前記段ボールの片面または両面には、前記含浸用防炎剤が塗布されていてもよい。
さらに、本発明の一態様として、前記含浸用防炎剤には、前記板紙への浸透を促進する浸透促進剤が混合されていてもよい。
また、本発明の一態様として、前記防炎加工紙の表面には、難燃性を有する難燃性印刷用紙が前記防炎接着剤によって貼付されていてもよい。
さらに、本発明の一態様として、前記難燃性印刷用紙は、少なくとも45°ミクロバーナー法又はJIS規格A1322として規定される燃焼性試験方法において難燃性製品と判定され、坪量の7〜15%に相当する乾燥重量の窒素系化合物を有効成分とする難燃剤を含み、紙密度が1.0以下のノンコート上質紙又は紙密度が1.0以下のノンコートファンシー紙であってもよい。
また、本発明の一態様として、前記接着剤は、酢酸ビニル樹脂系エマルション形接着剤であってもよい。
さらに、本発明の一態様として、前記含浸用防炎剤はリンおよび窒素の複合化合物を含む組成を有する防炎剤であり、前記接着用防炎剤はハロゲンおよび三酸化アンチモンを主成分とする粉体状の防炎剤であってもよい。
また、本発明に係る防炎段ボールの製造方法は、含浸用防炎剤の浸透を促進する浸透促進剤が混合された含浸用防炎剤を板紙に含浸させて防炎加工紙を製造する工程と、段ボールの片面または両面に含浸用防炎剤を塗布する工程と、前記含浸用防炎剤が塗布された段ボールの片面または両面に、接着用防炎剤が混合された防炎接着剤を使用して前記防炎加工紙を貼付する工程とを有する。
また、本発明の一態様として、前記防炎加工紙の表面に、難燃性を有する難燃性印刷用紙を前記防炎接着剤によって貼付する工程を有していてもよい。
さらに、本発明の一態様として、前記難燃性印刷用紙は、少なくとも45°ミクロバーナー法又はJIS規格A1322として規定される燃焼性試験方法において難燃性製品と判定され、坪量の7〜15%に相当する乾燥重量の窒素系化合物を有効成分とする難燃剤を含み、紙密度が1.0以下のノンコート上質紙又は紙密度が1.0以下のノンコートファンシー紙であってもよい。
本発明によれば、実用上、十分に高い防炎性能を有する段ボールを提供することができる。
本発明に係る防炎段ボールの第1実施形態を示す拡大断面図である。 本発明に係る防炎段ボールの製造方法の第1実施形態を示すフローチャート図である。 本発明に係る防炎段ボールの第2実施形態を示す拡大断面図である。 本発明に係る防炎段ボールの製造方法の第2実施形態を示すフローチャート図である。
以下、本発明に係る防炎段ボールおよびその製造方法の第1実施形態について図面を用いて説明する。
図1に示すように、本第1実施形態の防炎段ボール1Aは、主として、基層となる段ボール2と、この段ボール2の片面または両面に貼付されて防炎性能を付与する防炎加工紙3とから構成されている。以下、各構成について詳細に説明する。
段ボール2は、波型に形成された中芯21と、この中芯21の両面に貼り合わされたライナー22とから構成されている。本第1実施形態では、図1に示すように、段ボール2として二層強化段ボールを使用しているが、この構成に限定されるものではなく、一般的な一層の段ボールでもよく、三層以上の強化段ボールでもよい。
また、本第1実施形態では、防炎性能を高めるため、段ボール2の両面に含浸用防炎剤が塗布されている。この含浸用防炎剤は、少なくともリンおよび窒素の複合化合物を含む組成を有する防炎剤である。また、含浸用防炎剤は、所定の配合で水に溶解されて加工液の状態で使用され、刷毛やスプレー等によって塗布される。なお、本第1実施形態では、段ボール2の両面に含浸用防炎剤を塗布しているが、この構成に限定されるものではなく、少なくとも防炎加工紙3が貼付される面にのみ塗布してもよい。
防炎加工紙3は、板紙に含浸用防炎剤を含浸させて防炎加工を施したものである。本第1実施形態では、板紙として、コーティング剤が塗布されておらず、表面にフレッシュパルプを採用したノーコート白ボールを使用している。ノーコートであるため、含浸用防炎剤の浸透を妨げるものがなく、飽和状態まで浸透させやすい。また、フレッシュパルプを採用することで平滑性が高く、インクの着肉性や印刷作業性に優れている。このように板紙としては、フレッシュパルプを採用したノーコート白ボールが好適ではあるが、これに限定されるものではなく、含浸用防炎剤を含浸させやすいものであればよい。
本第1実施形態において、板紙に含浸させる含浸用防炎剤は、段ボール2の両面に塗布する含浸用防炎剤と同じものである。すなわち、少なくともリンおよび窒素の複合化合物を含む組成を有しており、水に溶解されて加工液の状態で使用される。このため、本第1実施形態の防炎加工紙3は、上記加工液を貯留した容器内に所定時間だけ板紙を浸漬させた後、絞って乾燥させることにより製造される。
また、本第1実施形態において、含浸用防炎剤には、板紙への浸透を促進する浸透促進剤が混合されている。この浸透促進剤は、非イオン界面活性剤を主成分とするものである。一般的な板紙には、その強度を高めるために、でん粉や合成系の接着剤(ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ラテックス等)が用いられていることが多い。しかしながら、そのようなでん粉等は含浸用防炎剤の浸透を妨げてしまう欠点があるため、浸透促進剤を混合させることで含浸用防炎剤を十分に含浸させることができる。
以上において、本第1実施形態の防炎段ボール1Aは、図1に示すように、段ボール2の両面に二枚の防炎加工紙3が防炎接着剤4で貼付されている。この防炎接着剤4は、防炎性能を高めるため、接着剤に接着用防炎剤を混合させたものである。本第1実施形態では、接着剤として、燃え難く臭いの少ない酢酸ビニル樹脂系エマルション形接着剤を用いている。また、接着剤に混合させる接着用防炎剤としては、ハロゲンおよび三酸化アンチモンを主成分とする粉体状の防炎剤を用いている。液状の防炎剤を接着剤に混合させると、粘度が低下して接着力が低減してしまうためである。換言すれば、必要な接着力を維持させたまま防炎性能を高めるために粉体状の接着用防炎剤を採用しているのである。
なお、本第1実施形態では、段ボール2の両面に防炎加工紙3を貼付しているが、この構成に限定されるものではなく、段ボール2の片面のみに防炎加工紙3を貼付してなる防炎段ボール1Aを製造してもよい。
つぎに、本第1実施形態の防炎段ボール1Aの製造方法、およびその作用について説明する。
本第1実施形態の防炎段ボール1Aを製造する場合、まず、図2に示すように、含浸用防炎剤を溶解させた加工液を貯留した含浸槽等に板紙を浸漬し、含浸用防炎剤を含浸させる(ステップS1)。このとき、含浸用防炎剤に混合されている浸透促進剤が、含浸用防炎剤の板紙への浸透を促進させる作用を発揮する。このため、浸透抑制作用を有するでん粉等が用いられている板紙であっても、短時間で含浸用防炎剤を飽和状態まで含浸させられる。
つづいて、含浸用防炎剤を含浸させた板紙をマングル等の絞り機で絞る(ステップS2)。これにより、余分な加工液が取り除かれ、板紙に防炎性能が付与されてなる防炎加工紙3が製造される。
つぎに、段ボール2の両面にスプレー等で含浸用防炎剤を塗布する(ステップS3)。これにより、含浸用防炎剤が、段ボール2の両面を構成するライナー22にも浸透し、防炎性能を向上させる。
つづいて、含浸用防炎剤を塗布した段ボール2の両面に防炎接着剤4を塗布した後(ステップS4)、各面に一枚ずつ防炎加工紙3を貼り合わせる(ステップS5)。これにより、含浸用防炎剤を含有する防炎加工紙3が、接着用防炎剤を含有する防炎接着剤4と相俟って、両面において優れた防炎効果を発揮する。このため、防炎加工紙3の一方の面が炎によって破れたとしても、他方の面が破れない限り空気が不足するため、それ以上の延焼が防止される。
また、本第1実施形態では、接着用防炎剤が粉体状であるため、防炎接着剤4の粘度および接着力を低減させてしまうことがない。さらに、本第1実施形態では、酢酸ビニル樹脂系エマルション形接着剤を用いることで、防炎性能を低下させることがなく、臭いを低減する。
最後に、互いに貼り合わされた段ボール2と防炎加工紙3に対して、熱プレス機等によって高熱でプレスし、エア・ストリーム乾燥法をベースとする乾燥装置等によって、自然乾燥に近い状態で乾燥させる(ステップS6)。以上の工程により、防炎性能が十分に向上された防炎段ボール1Aが製造される。
以上のような本第1実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
1.段ボール2に十分な防炎性能を付与することができる。
2.消防法に定められた防炎性能基準をクリアする防炎段ボール1Aを製造することができる。
3.高い防炎性能を有するため、展示用パネル、災害避難所などにおける間仕切り、パーティションパネル、機密書類箱等としての利用に好適である。
つぎに、本発明に係る防炎段ボール1Aおよびその製造方法の具体的な実施例について説明する。
本実施例1では、本発明に係る防炎段ボール1Aを製造し、どの程度の防炎性能を有しているかを確認する実験を行った。
本実施例1では、まず、含浸用防炎剤としてのノンネン600(丸菱油化工業株式会社製,固形分:40.0%)と、水と、浸透促進剤としてのバルー6612(丸菱油化工業株式会社製)とを以下の配合で混合し、加工液を作製した。
ノンネン600:60.0%
水:39.5%
バルー6612:0.5%
つぎに、板紙として、市販のノンコート紙A(目付:447.6g/m)および市販のノンコート紙B(目付:473.1g/m)の2種類を6枚ずつ用意した。そして、ノンコート紙Aは上記加工液に2分間浸漬し、ノンコート紙Bは上記加工液に4分間浸漬し、いずれも飽和状態になるまで含浸用防炎剤を含浸させた。
つづいて、加工液から引き上げたノンコート紙Aおよびノンコート紙Bをそれぞれマングルにかけ、1kgf/cmの圧力で余分な加工液を絞った。その後、約80℃の温度下で約10分間乾燥させ、防炎加工紙3を製造した。
以上の工程により得られた合計12枚(板紙No.1〜12)の防炎加工紙3について、含浸用防炎剤の付着率を算出した。その結果を表1に示す。
Figure 0006074445
なお、表1における絞り率とは、WET重量から初期重量を差し引いた値に対する初期重量の割合を示すものである。また、理論付着率とは、絞り率に加工液中の含浸用防炎剤の固形分割合を乗じた値である。本実施例1では、固形分40.0%のノンネン600が、加工液中に60.0%配合されているため、加工液中の含浸用防炎剤の固形分割合は、24/100である。
つづいて、段ボール2として用意した六枚の二層強化段ボール(王子インターパック株式会社製)の両面に対して、上記加工液を200g/mずつスプレーで塗布した。一方、酢酸ビニル樹脂系エマルション形接着剤として用意したCF530N(コニシ株式会社製,粘度3000±1000[mPa・s/23℃],pH4.0±1.0)に対しては、接着用防炎剤としてのノンネンSAN−2(丸菱油化工業株式会社製,固形分100.0%)および水を以下の配合で混合した。
CF530N:74.0%
ノンネンSAN−2:13.0%
水:13.0%
そして、段ボール2の両面に対して、上記配合による防炎接着剤4を100g/mずつローラーで塗布した後、当該両面に防炎加工紙3を貼り合わせて防炎段ボール1Aとした。その後、当該防炎段ボール1Aを熱プレス機によって高熱でプレスし、自然乾燥させた。
以上の工程により製造された六枚の防炎段ボール1A(段ボール2No.A〜F)に対して、日本防炎協会によって定められた防炎性能試験基準に基づく燃焼試験(通称:45°メッケルバーナー法)を行った。具体的には、まず、前処理として、各防炎段ボール1Aを恒温乾燥機内で40℃の温度で24時間乾燥させた後、デシケーター中で放冷させた。
つづいて、各防炎段ボール1Aを45度に傾斜させた状態で、下方から燃焼面に65mmの炎をあてて2分間加熱した。その後、各防炎段ボール1Aの残炎時間、残じん時間、炭化面積、試験終了15分後の発煙の有無について評価した。その結果を表2に示す。
Figure 0006074445
なお、表2に示すとおり、No.Aの防炎段ボール1Aには、表1に示すNo.1およびNo.2の防炎加工紙を貼付しており、これらのうちNo.1の防炎加工紙を燃焼面とした。以下同様に、No.B〜Fの各防炎段ボール1Aにおいては、それぞれNo.3,5,7,9,11の防炎加工紙を燃焼面として選択した。
燃焼試験の結果、表2に示すとおり、残炎時間はいずれも0秒であり、評価基準である「10秒」をクリアした。また、残じん時間もNo.Aを除き、いずれも0秒であり、No.Aも評価基準である「30秒」を大幅に下回った。さらに、炭化面積についても、いずれも評価基準である「70cm」の半分以下であった。また、いずれの防炎段ボール1Aも15分後の発煙は認められず、総合して合格判定であった。これらの結果は、従来の防炎性能を有するといわれる段ボールと比較しても極めて高い評価といえる。
以上の本実施例1によれば、本発明に係る防炎段ボール1Aが、消防法に定められた防炎性能基準を十分にクリアすることが示された。また、本発明に係る防炎段ボール1Aの製造方法によって、消防法に定められた防炎性能基準をクリアする防炎段ボール1Aを製造できることが示された。
つぎに、本発明に係る防炎段ボール1Bおよびその製造方法の第2実施形態について説明する。なお、本第2実施形態のうち、上述した第1実施形態の構成やステップと同一若しくは相当する構成やステップについては、同一の符号を付して再度の説明を省略する。
本第2実施形態の特徴は、第1実施形態の防炎段ボール1Aに対して、高い難燃性と良好な印刷特性を兼ね備えた難燃性印刷用紙5をさらに付加して積層させた点にある。具体的には、図3に示すように、本第2実施形態の防炎段ボール1Bは、主として、基層となる段ボール2と、この段ボール2の片面または両面に貼付されて防炎性能を付与する防炎加工紙3と、この防炎加工紙3の表面に貼付される難燃性印刷用紙5とから構成されている。以下、当該難燃性印刷用紙5について詳細に説明する。
なお、難燃性、防炎性あるいは耐火性などの特性は、建築基準法では難燃性と、消防法では防炎性と表されることが一般的であるが、本発明では用語「難燃」と「防炎」は相互に同義として扱うものとし、例えば難燃剤は防炎剤を、難燃性は防炎性を、難燃性印刷用紙5は防炎性印刷用紙を、それぞれ包含するものとする。
近年、難燃性、防炎性あるいは耐火性に対する要望は、建築資材に留まらず建造物の内部に置かれたり展示されたりするチラシやポスターに用いられる紙、さらには一般の事務用印刷用紙等にまで及んでおり、係る要請に対して様々な試みがなされている。
しかし、従来の方法で作製される紙の多くは、より厳しい難燃性が求められる近年の要請に適合することが困難である。また、印刷用インクののりや印刷の明瞭性などの印刷特性と難燃性の両方を兼ね備えた印刷用紙はほとんど得られていない。さらに、紙そのものの組成を変更するなどして難燃性を高める方法は、紙の製造工程を一部変更しなければならないが、通常、紙は巨大な装置を用いて大規模かつ大量生産されるものであるから、製造工程の変更はたとえ一部であっても相当な生産コストアップを招くおそれがある。
そこで、本願発明者は、既に製造された印刷用紙に対しても適用することができる、簡便な難燃性印刷用紙5を製造する方法について、鋭意研究および試行錯誤した結果、既存の印刷用紙の中にも難燃剤を含浸させることで難燃性が向上し、かつ印刷特性が損なわれない印刷用紙が存在し、高度な難燃性と印刷特性を同時に満たすことができることを見い出した。
具体的には、本第2実施形態において用いられる難燃性印刷用紙5は、少なくとも45°ミクロバーナー法又はJIS規格A1322として規定される燃焼性試験方法において難燃性製品と判定されるものである。また、難燃性印刷用紙5は、坪量の7〜15%に相当する乾燥重量の窒素系化合物を有効成分とする難燃剤を含み、紙密度が1.0以下のノンコート上質紙又は紙密度が1.0以下のノンコートファンシー紙である。
なお、印刷用紙は通常、表面に白色顔料に結合剤を加えて作った塗工液を塗って表面平滑性を改善した塗工紙(コート紙)、微塗工紙、かかる顔料等を塗工していない非塗工(ノンコート)紙、ファンシー紙の特殊印刷用紙、感光紙や感熱紙などの情報用紙に大別される。さらに、上記コート紙はアート紙、コート紙、軽量コート紙、その他塗工印刷紙に分けられ、上記微塗工紙はセミ上質ベースと中質ベースに分けられ、上記ノンコート紙は上級・中級・下級印刷紙と薄葉印刷用紙に分けられる。これらは、印刷で用いられるインクの性質や紙の風合い、その他の様々な用途に適合した機能を有するように、多種多様な加工が施され、利用されており、市販されている銘柄としては1000種類を大きく上回る。
本第2実施形態において、難燃性印刷用紙5は、通常の印刷業者、各種の事業所、学校又は一般家庭等において、印刷機やプリンタ等を用いて書類、ポスター、チラシその他の印刷物を印刷する際に使用される用紙の中から、紙密度が1.0以下のノンコート上質紙又は紙密度が1.0以下のノンコートファンシー紙が選択され、さらに加工されることにより、製造される。紙密度は0.8以下であることがより好ましい。
本第2実施形態において、窒素系化合物を有効成分とする難燃剤は、無機系難燃剤の一種であり、繊維製品、木材、障子紙、襖紙、カーシート等に防炎性を付与することを目的として広く利用されている。窒素系化合物の例としては、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アミド、ポリリン酸アミドアンモニウム、ポリリン酸メラミン、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アミド、メラミン変性ポリリン酸アミドアンモニウム及びリン酸グアニジン、アルキル酸性リン酸エステル、リン酸1アンモニウム、リン酸2アンモニウム、スルファミン酸グアニジン、及びリン酸グアニル尿素などを挙げることができる。
本第2実施形態において利用可能な難燃剤は、上で例示された窒素系化合物の少なくとも一種または二種以上を含有する難燃剤である。これら難燃剤のほとんどは、40〜80重量%の範囲の濃度の水溶液、水分散液又は水性エマルジョンの形態で市販されている。本第2実施形態では、これら市販の難燃剤を含む水性液(以下、難燃剤水性液とする)をそのまま利用することができる。なお、上述した通り、難燃剤には防炎剤として表記されるものも含まれる。
本第2実施形態において、窒素系化合物を含有する難燃剤の好ましい例は、リン酸グアニジンを有効成分とする難燃剤水性液である。例えば、丸菱油化工業株式会社製の「ノンネン」シリーズの難燃剤(http://marubishi.jp/w2pr/n_list.htm)であるノンネン600、株式会社三和ケミカル製の「アピノン」シリーズを挙げることができ、ノンネン600が特に好ましい。
難燃性印刷用紙5の製造方法としては、前記印刷用紙に前記難燃剤水性液の必要量を塗布した後、または印刷用紙を適当な濃度の難燃剤水性液に必要時間浸漬させた後、印刷用紙を乾燥することにより作製することができる。含ませる難燃剤の乾燥重量は、印刷用紙の坪量及び紙の面積と用いる難燃剤水性液に含まれる難燃剤の濃度に応じて、適宜設定すればよい。なお、難燃剤水性液に含まれる難燃剤の濃度は、通常、40〜80重量%の範囲で調製されている。
難燃剤を含浸させる方法としては、乾燥の効率性の観点から、塗布が好ましい。塗布は、一般的な紙用塗工機(コーター又はコーティングマシンと呼ばれる)を用いて連続的に行ってもよく、又は刷毛やスプレー等の手工具を用いて行ってもよい。塗布の場合、難燃剤水性液の使用量が少ないと印刷用紙に均一に難燃剤を含浸させにくくなる一方、難燃剤水性液の使用量が多いとその後の乾燥に時間を要することになるので、用いる印刷用紙の面積に併せて、難燃剤の濃度及び水性液量を調節することが好ましい。
一方、浸漬によって難燃剤を含浸させる場合には、高めの濃度の難燃剤水性液に印刷用紙を短時間浸漬させることが、乾燥効率の観点で好ましい。
難燃剤を含浸させた印刷用紙の乾燥は、塗工液を塗って表面平滑性を改善した塗工紙の乾燥と同様の方法によって行ってもよい。ただし、合板や紙などのシート状物品を乾燥させるためのホットプレス法又はエアストリーム法によって乾燥させることが好ましい。
特に、シート状物品を裏表方向から一対の面状体で挟み込む工程、及び厚み方向から熱を供給してシート状物品の面方向に沿った対流を発生させる工程を含む乾燥方法を用いて乾燥させることが好ましい。これらの乾燥方法を用いることにより、乾燥後の印刷用紙にしわやよれなどが発生しにくくなり、印刷用紙としての利便性を高めることができる。
上記の特徴を有する本第2実施形態の難燃性印刷用紙5は、少なくとも45°ミクロバーナー法又はJIS規格A1322として規定される燃焼性試験方法において難燃性製品と判定される難燃性を有する。
ここで、45°ミクロバーナー法は、公益財産法人日本防炎協会が、「テント類、シート類、幕類、非常持出袋、自動車・オートバイ等のボディカバー薄手布〈厚手布〉、襖紙・障子紙等、祭壇用白布、防護用ネット、木製等ブラインド」などの防炎製品性能試験基準として定めている試験方法である。その具体的な試験方法は公益財産法人日本防炎協会のウェブサイト(http://www.jfra.or.jp/member/s07.htmlを参照)に掲載されており、判定は適・不適又は〇×によって行われる。
また、JIS規格A1322として規定される難燃性試験方法は「建築用薄物材料の難燃性試験方法」であり、その具体的な試験方法は日本工業標準調査会のウェブサイト(http://www.jisc.go.jp/app/pager?id=79527)に掲載されており、難燃性の種類として防災1級〜防災3級が定められている。
よって、本第2実施形態の難燃性印刷用紙5は、少なくとも45°ミクロバーナー法による試験で〇と判定されるか、またはJIS規格A1322として規定される難燃性試験方法による判定で「防炎3級」以上の難燃性を有する。
また、本第2実施形態の難燃性印刷用紙5は、インクジェット印刷、オフセット印刷いずれの方法に対しても優れた印刷特性を示す。本発明にいう印刷特性とは、インクジェット印刷及びオフセット印刷いずれの場合でも、少なくともインクの滲みが実質的に発生しない性質をいい、さらにインクの発色が鮮明でかすれないという特性、及び細かな字体も明瞭に表示することができる特性を有することを意味する。
具体的には、滲みについては、単色印刷の場合にはその色の輪郭が滲んでいないかどうか、2以上の異なる色を接する様に印刷する場合には色の境目において一方のインクが他方に向かってあるいは双方とも滲んでいないかどうか、発色については色見本に対して色が薄く印刷されていたりかすれたりしていないかどうか、字体については少なくともフォントサイズが8〜10.5である文字がつぶれずに印刷されているかどうか、などを目視で判定する。
以上において、本第2実施形態の防炎段ボール1Bは、図3に示すように、第1実施形態の防炎段ボール1Aにおける防炎加工紙の表面に、難燃性を有する難燃性印刷用紙5が防炎接着剤4で貼付されている。
なお、防炎接着剤4は、第1実施形態と同様、酢酸ビニル樹脂系エマルション形接着剤等のように、防炎性能を高めるため、接着剤に接着用防炎剤を混合させたものである。また、本第2実施形態では、段ボール2の両面に貼付された防炎加工紙3の双方の表面に難燃性印刷用紙5を貼付しているが、この構成に限定されるものではなく、一方の防炎加工紙3にのみ難燃性印刷用紙5を貼付してなる防炎段ボール1Bを製造してもよい。
つぎに、本第2実施形態の防炎段ボール1Bの製造方法、およびその作用について説明する。
本第2実施形態の防炎段ボール1Bを製造する場合、図4に示すように、上述した第1実施形態と同様、板紙に含浸用防炎剤を含浸させ(ステップS1)、当該板紙を絞り機で絞り(ステップS2)、段ボール2の両面に含浸用防炎剤を塗布し(ステップS3)、当該段ボール2の両面に防炎接着剤4を塗布した後(ステップS4)、各面に防炎加工紙3を貼付する(ステップS5)。
つづいて、図3に示すように、表裏面に貼付された防炎加工紙3の各表面に防炎接着剤4を塗布した後(ステップS11)、各面に一枚ずつ難燃性印刷用紙5を貼り合わせる(ステップS12)。これにより、高い難燃性を有する難燃性印刷用紙5が、防炎加工紙3および防炎接着剤4と相俟って、両面において極めて優れた防炎効果を発揮する。
また、難燃性印刷用紙5は優れた印刷特性を有するため、防炎段ボール1Bの両面にインクジェット印刷やオフセット印刷によって、様々な文字や図形等を印刷することも可能となる。このため、防炎段ボール1Bが用いられる場面や用途に応じて、相応しい模様を防炎段ボール1Bに施すことができる。
最後に、互いに貼り合わされた段ボール2、防炎加工紙3および難燃性印刷用紙5に対して、熱プレス機等によって高熱でプレスし、エア・ストリーム乾燥法をベースとする乾燥装置等によって、自然乾燥に近い状態で乾燥させる(ステップS6)。以上の工程により、防炎性能がさらに向上された防炎段ボール1Bが製造される。
以上のような本第2実施形態によれば、上述した第1実施形態の効果に加えて、以下のような効果を奏する。
1.防炎段ボール1Bの防炎性能をさらに向上することができる。
2.少なくとも45°ミクロバーナー法又はJIS規格A1322として規定される燃焼性試験方法において難燃性製品と判定される高い難燃性を有することができる。
3.防炎段ボール1Bの印刷特性を向上することができる。
4.インクジェット印刷やオフセット印刷を行っても、にじみやかすれが生じず、鮮明な印刷を行うことができる。
5.既製品である印刷用紙に難燃剤を塗布し、これを自然乾燥させるという極めて簡便な方法で優れた難燃性印刷用紙5を製造でき、低コストで難燃性および印刷特性を向上することができる。
つぎに、本発明に係る防炎段ボール1Bおよびその製造方法の具体的な実施例について説明する。
本実施例2では、丸菱油化工業株式会社製の難燃剤「ノンネン600」(pH5.2〜5.8、40%水溶液)の原液を、下記表3に示した10種類の印刷用紙(いずれもA4サイズ、624cm2)の片面に、スプレーコーティングした。難燃剤の含浸量は、用紙面積を考慮しながら、含浸させる難燃剤の乾燥重量が各用紙の坪量10%相当となるように算出して決定した。その後、40℃に加温したホットプレスドライヤーで4時間乾燥させて、難燃剤が含浸してなる印刷用紙を作製した。
各印刷用紙における難燃剤水性液の含浸の程度は目視で判定した。評価は、乾燥後の印刷用紙に難燃剤水性液の染み込みが不均一でむらが発生しているか否かで行った。また、各印刷用紙に対して45°ミクロバーナー法による難燃性試験を行った。
さらに、各印刷用紙にエプソン社製大判プリンタを用いて顔料系水性インクによるインクジェットカラー印刷を行って、印刷特性を目視で評価した。評価は、印刷の滲み及び印刷色のかすれの有無と程度、ならびにフォントサイズ10.5の文字の明確さを目視判定により行った。以上の難燃材の含浸の程度、印刷特性及び難燃性の結果を表3に示す。
Figure 0006074445
表3に示されるように、コート紙はいずれも難燃剤の含浸が不均一で、むらが生じたり、又は著しい印刷にじみが生じたりなど、難燃性印刷用紙5としては実用性が低いものであった一方、紙密度が1.0以下のノンコート上質紙又は紙密度が1.0以下のノンコートファンシー紙はいずれも、含浸性及び印刷特性に優れており、難燃性印刷用紙5として実用的な特性を有していた。また、これらはいずれも難燃性にも優れていた。
以上の本実施例2によれば、本発明に係る防炎段ボール1Bは、高い難燃性と優れた印刷特性を兼ね備えた難燃性印刷用紙5が表面に設けられることが示された。
なお、上述した各実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明に係る防炎段ボール1A,1Bおよびその製造方法を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、適宜変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれる。
例えば、上述した各実施形態では、含浸用防炎剤として、リンおよび窒素の複合化合物を含む組成を有する防炎剤を使用し、接着用防炎剤として、ハロゲンおよび三酸化アンチモンを主成分とする粉体状の防炎剤を用いているが、これらに限定されるものではなく、含浸させるのに適した防炎剤や接着剤に混合するのに適した防炎剤であればよい。
1A,1B 防炎段ボール
2 段ボール
3 防炎加工紙(板紙)
4 防炎接着剤
5 難燃性印刷用紙
21 中芯
22 ライナー

Claims (7)

  1. 板紙に含浸用防炎剤を含浸させてなる防炎加工紙が、接着剤に接着用防炎剤を混合させてなる防炎接着剤によって、段ボールの片面または両面に貼付されており、前記防炎加工紙の表面には、紙密度が1.0以下のノンコート上質紙又は紙密度が1.0以下のノンコートファンシー紙であって、顔料が塗工されておらず、かつ、難燃性を有する難燃性印刷用紙が前記防炎接着剤によって貼付されている、防炎段ボール。
  2. 前記段ボールの片面または両面には、前記含浸用防炎剤が塗布されている、請求項1に記載の防炎段ボール。
  3. 前記含浸用防炎剤には、前記板紙への浸透を促進する浸透促進剤が混合されている、請求項1または請求項2に記載の防炎段ボール。
  4. 前記接着剤は、酢酸ビニル樹脂系エマルション形接着剤である、請求項1から請求項のいずれかに記載の防炎段ボール。
  5. 前記含浸用防炎剤はリンおよび窒素の複合化合物を含む組成を有する防炎剤であり、前記接着用防炎剤はハロゲンおよび三酸化アンチモンを主成分とする粉体状の防炎剤である、請求項1から請求項のいずれかに記載の防炎段ボール。
  6. 含浸用防炎剤の浸透を促進する浸透促進剤が混合された含浸用防炎剤を板紙に含浸させて防炎加工紙を製造する工程と、
    段ボールの片面または両面に含浸用防炎剤を塗布する工程と、
    前記含浸用防炎剤が塗布された段ボールの片面または両面に、接着用防炎剤が混合された防炎接着剤を使用して前記防炎加工紙を貼付する工程と
    前記防炎加工紙の表面に、紙密度が1.0以下のノンコート上質紙又は紙密度が1.0以下のノンコートファンシー紙であって、顔料が塗工されておらず、かつ、難燃性を有する難燃性印刷用紙を前記防炎接着剤によって貼付する工程と
    を有する、防炎段ボールの製造方法。
  7. 前記難燃性印刷用紙は、難燃剤が含浸された後、裏表方向から一対の面状体で挟み込む工程と、厚み方向から熱を供給して面方向に沿った対流を発生させる工程とを含む乾燥方法を用いて乾燥される、請求項6に記載の防炎段ボールの製造方法。
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