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JP6074907B2 - 薄鋼板の巻き取り方法および鋼帯コイルの製造方法 - Google Patents
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薄鋼板の巻き取り方法および鋼帯コイルの製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、引張強度440MPa以下の薄鋼板についてリール巻き取り後に発生するキンク現象を防止できる薄鋼板の巻き取り方法および表面形状の優れた鋼帯コイルを製造する方法に関する。
板厚が0.6mm以下のような薄鋼板をライン出側のリールに巻き取った場合に、巻き取り後のコイルに図1に示すようなキンク現象が発生する。このキンク現象は、コイルの最も内側の1巻きないし数巻き部分が内側に撓んで、円形の1巻きないし数巻き部分の周方向の一部が内側に座屈変形する現象である。
このようなキンク現象を防止する手段として、従来においては、一般的にコイル内径にスリーブを装入する方法や、コイル先端部に板厚を他より大にしたオフゲージ部を50m程度つける方法がある。また、特許文献1においては、最終スタンドを経て0.3mm以下の板厚に圧延されたストリップを最終スタンドとテンションリールとの間に設置した張力制御装置により最終スタンド出側張力を5〜16kg/mmの範囲内にし、巻取張力を4〜7kg/mmの範囲内とするとともに巻取張力は最終スタンド出側張力より小さい範囲に制御することが記載されている。また、特許文献2には、板厚0.25〜0.5mmの冷延鋼板を巻き取る際に張力を3段階に分ける方法が記載されている。
また、特許文献3には、冷延ブライト鋼板をリールに巻き取りながら防錆油を塗布する際に、防錆油の噴霧量をリール電流値に反比例させて防錆油の塗布を行なう方法が記載されており、さらに特許文献4においては、ブライト鋼板に防錆油を塗布しながらリールに巻き取るに際して、表面粗度がRa=0.2μm以下で、かつRmax=2.5μm以下であるブライト鋼板に、粘度が8.0(40℃cst)以上の防錆油を50〜150mg/mの範囲で付着させる方法が記載されている。
特公昭64−028647号公報 特開平06−047435号公報 特開昭61−226120号公報 特開平08−092770号公報
しかしながら、前記のコイル内径にスリーブを装入する方法においては、設備費が高価であると共に、スリーブの回収、スリーブの運搬等の、スリーブを取り扱うためのコストが嵩むという不具合がある。また、前記のオフゲージ部を付ける方法では、このオフゲージ部は商品ではないので歩留りが大幅に低下するとともに鋼板の製造効率がよくないという不具合がある。
また、特許文献1に記載のものでは、薄鋼板の破断その他の不利を解消できるにしても、コイル巻き取りの全工程が一様の張力条件で巻き取られるものであるから、得られたコイルにおいてキンク現象の発生を必ずしも有効に防止することができないという不具合がある。
また、特許文献2に記載のものでは、板厚0.5mm以下の冷延鋼板において有効にキンク現象を防止できるとしているが、軟質材の場合においては好ましい結果を得ることが困難である。特に、巻き取り内径が20インチ以下と小さい場合及び防錆油塗布量(以下において塗油量という場合もある)が多い場合では、巻き取り張力を制御した場合でもキンク現象の発生を抑えることができないという不具合がある。
また、特許文献3、4に記載のものはブライト鋼板についての処理方法であって、ダル鋼板については必ずしも有効な効果を発揮できないという不具合があり、また、これらは鋼板の強度レベルと巻き取り内径によって最適条件が変化するため、キンク現象を効果的に解消することができないという不具合もある。
そこで、この発明は、一般的に軟質材ないし一般材と呼ばれる引張強度440MPa以下の薄鋼板を、例えば塗油量が多い状態で内径20インチに巻き取るという、キンク現象が発生し易い条件下でも、キンク現象を発生させることなく巻き取る方法を提供することを目的としている。
先ず、薄鋼板のキンク現象が発生するメカニズムについて発明者らが詳細に検討したところ、巻き取られた薄鋼板に張力が付与されていて薄鋼板の内側と外側との間で滑ることによりコイルが縮径し、この縮径により最も内側の円形であるべき1巻きないし数巻き部分が内側に撓んで、この数巻き部分の周方向の一部が内側に座屈変形することが分かった。
また、かかるキンク現象が発生する前提は、巻き取る薄鋼板には防錆油が塗布されることにより品質が維持されるようになっていることである。この防錆油の塗布がなければ、薄鋼板表面の摩擦力により、薄鋼板に張力が付与されても巻き取り時に内側と外側との間で大きく滑ることがないからコイルが縮径することがないし、したがってキンク現象も発生しない。しかし、鋼板コイルの防錆処理のために防錆油の塗布が必要になるため、特に薄鋼板においてキンク現象が発生しやすくなっている。
そこで、本発明は、薄鋼板に防錆油を塗布しつつ、コイル内側の一部の塗油量を制御して巻き取り時のキンク現象を防止するものである。
本発明の第一の態様の薄鋼板の巻き取り方法は、引張強度440MPa以下の薄鋼板をリールに巻き取るに際し、その薄鋼板における先端から2m〜20mの範囲内に設定される巻き取り開始部への塗布防錆油量を、この巻き取り開始部の後の部分の塗布防錆油量よりも少なくするものであり、前記薄鋼板には表面粗度がRa=0.2μmを超えかつ1.65μm以下のものを用い、前記巻き取り開始部への塗布防錆油量を、0g/m とするとともに、前記薄鋼板の前記巻き取り開始部の内側に防錆のための包装を施すことを特徴とするものである。ここで、引張強度440MPa以下の薄鋼板は、一般的に軟材質ないし一般材と呼ばれる薄鋼板である。
また、本発明の第の態様の薄鋼板の巻き取り方法は、前記第一態様において、前記薄鋼板には板厚が0.6mm以下のものを用いることを特徴とするものである。
た、本発明の第の態様の製造方法は、前記第一ないし第のいずれか一態様の方法を用いて、薄鋼板をコイルに巻き取ることにより、表面形状の優れた鋼帯コイルを製造するものである。
この発明によれば、例えば塗油量が多い状態で内径20インチに薄鋼板を巻き取るというキンク現象が発生し易い条件下でも、巻き取り開始部の塗油量を減らすだけでキンク現象を抑制して巻き取ることができる。また、この発明を用いることにより、表面形状の優れた鋼帯コイルを製造することができる。
コイルのキンク現象を表す斜視図。 塗油量とキンク現象の発生割合との関係を示すグラフ。 薄鋼板のコイルの径方向の位置と塗油量との関係を示すグラフ。 本発明を実施する装置の一例を示す説明図。
以下に本発明を実施形態に基づいて説明する。まず、発明者らは、キンク現象は巻き取られた薄鋼板の最も内側にある1巻きないし数巻き部分が内側に撓んで発生することに着目して、これらの部分を含めて、薄鋼板の先端から所定長さまでの巻き取り開始部が縮径しないようにすることの発想を得た。そして、巻き取り開始部を始めとするコイルの縮径は薄鋼板の張力によるコイル内での滑りに原因があるので、少なくとも前記巻き取り開始部の滑りを防止できれば、ここで縮径を防止できてキンク現象は生じないとの知見を得て本発明の完成を見たのである。
このため、薄鋼板のコイルの内周部、特に前記巻き取り開始部の防錆油の塗布量を少なく、又は塗油量をゼロ(塗油しない)にすれば、この部分の摩擦力が大きくなるため、この部分の縮径がなくなり、キンク現象の発生を抑制できる。
巻き取り開始部の巻き取り張力を変更する方法や鋼板の伸張率を変更する方法では、キンク現象の発生率を軽減することはできるが、特に薄鋼板が軟質材(引張強度300MPa以下)でコイル内径が20インチという小径になる場合では一定の割合でキンク現象が発生する。しかし、巻き取り開始部の塗油量を少なくすることで、内外の薄鋼板どうしの間の摩擦力を上げてキンク現象の発生を防止することができる。また、薄鋼板が前記の軟質材ではなく一般材(引張強度300MPaを超え、同440MPa以下の範囲)であっても、塗油量が多いとき(1.0g/mを超え、2.0g/m以下の範囲)にはキンク現象が発生することがあるが、この場合にも巻き取り開始部の塗油量を少なくすることで、同様にキンク現象の発生を防止できる。
ここで、図2に示すのが鋼板の種類別における防錆油の塗布量とキンク現象の発生割合を示すグラフであり、図2(a)が軟質材、図2(b)が一般材、図2(c)が硬質材である。いずれの場合も、板厚は0.3mmを超えかつ0.6mm以下のものを用いた。
鋼板の種類は、
軟質材:引張強度300MPa以下、
一般材:引張強度300MPa超、且つ同440MPa以下、
硬質材:引張強度440MPa超である。
また、防錆油はいずれも同一のものを用い、その塗布量を変化させた。塗布量は片面当たりの量である。このうち、
条件A:1.0g/m超、且つ2.0g/m以下、
条件B:0.6g/m超、且つ1.0g/m以下、
条件C:0.3g/m超、且つ0.6g/m以下、
条件D:0.1g/m超、且つ0.3g/m以下
条件E: 無塗油(0.1g/m以下、ゼロを含む)である。
ちなみに、使用した防錆油は、動粘度が40℃において13.5mm/s以上で16.5mm/s以下(JIS K 2283)である。また、テンションリールによる巻き取り張力は、0.8kg/mm以上で8.0kg/mm以下の範囲とし、テンションリールによる巻き取り径は、内径が20インチ(503〜513mm)と24インチ(605〜615mm)の2つの種類について行なった。
その結果、軟質材の場合には図2(a)に示すように、内径が20インチの場合には、条件A、条件B、条件Cにおいて図示の割合でキンク現象が発生し、内径が24インチの場合には条件A、条件Bにおいて図示の割合でキンク現象が発生した。しかし、条件Dと条件Eの場合には内径が前記のいずれにおいてもキンク現象は発生していない。また一般材の場合には、図2(b)に示すように、条件Aの場合に内径が20インチのときに6%程度の割合でキンク現象が発生し、内径が24インチのときでも2%程度の発生が見られた。しかし、硬質材の場合には、図2(c)に示すようにキンク現象は全く見られなかった。このように、鋼板の引張強度が小さいほどキンク現象が発生している。
これらから、軟質材及び一般材において、キンク現象が発生しない範囲で防錆油を塗布するには、望ましくは条件Dか、或いは塗布しない無塗油(条件E)にすればよいことが分かる。
そこで、薄鋼板の巻き取り開始部には条件Dまたは無塗油としてテンションリールで巻き取りを行なう。巻き取り開始部としては、薄鋼板の先端から2m〜20mの範囲を具体例とする。ここで2m未満の場合にはコイルの内周に表れる面になるので、対向して接する面同士の間の摩擦力には影響しないから、条件Dまたは無塗油の処理の対象としない。また、先端から20m超についてはキンク現象の発生防止の効果に変化はないので、条件Dまたは無塗油の前記処理をしない。
塗油量については、片面あたり0.3g/m以下にするのが望ましい。0.3g/m超でも一定の効果はあるが、キンク現象の発生頻度が高くなるので前記がよい。なお塗油量が少ない場合には薄鋼板に錆の発生の懸念があるから、巻き取り開始部の塗油量は0.15g/m以上とすることが好ましく、さらに塗油ムラの発生が懸念されるため、塗油ムラがあっても錆の発生を抑制することができる0.2g/m以上とすることがさらに望ましい。上記の各例は薄鋼板の両面の塗油を実行した例であるが片面の塗油でも同様の効果を得ることができる。なお、巻き取り開始部の塗油量をゼロとする場合には、コイル内側のこの部分につき防錆のための包装を施すとよい。
薄鋼板の表面粗度をRa=0.2μmを超えるものとしたのは、薄鋼板の表面は粗さが大きいほどコイルの内側に近い部分の鋼板どうしの摩擦力が大きくなってキンク現象の発生を抑制することができ、よって望ましい粗度といえる。しかし、Ra=0.2μm以下では摩擦力が小さいからキンク現象が発生しやすくなるおそれがある。また粗度の上限を1.65μmとしたのは、これを超えると鋼板粗度を決定するワークロールの制御が困難になるため、これを超える粗度は採用することが難しくなるからである。
図3は、薄鋼板のコイルの径方向の位置と塗油量との関係を示しており、図3(a)は本発明に相当し、図3(b)は従来技術に相当する。つまり、図3(b)ではコイルの内周端から外周端まで片面あたり1.0〜2.0g/mの同一の塗油量であることを示しており、ここでは巻き取り開始部にキンクが発生している。これに対して図3(a)は、巻き取り開始部の塗油量が条件Dまたは無塗油であり、それより外周端までは従来技術と同様の塗油量としており、ここでは巻き取り開始部にキンクは発生していないことが示されている。
図4は、本発明を実施する装置の一例を示すもので、薄鋼板Aが調質圧延機6により調質圧延された後にブライドルロール4を通過して、ここで張力を付与されて撓みがなくなり、オイラー7により表裏又はそれらのいずれかに塗油されてからピンチロール2に至る。その後に薄鋼板Aはシャー3を経由してテンションリール5に至り、ここで巻き取られてコイル8が形成される。ブライドルロール4の入側にはトラッキング装置9があって、ここで薄鋼板Aの溶接位置の通過を検出する。この検出された溶接位置がシャー3に至ったときに薄鋼板Aは切断されて、切断位置の前側が先行する薄鋼板Aの尾端となって、前側の薄鋼板Aで先のコイル8が巻き終わる。なお、図4中の符号1はデフレクターロールを示す。
一方、切断位置から後側の薄鋼板Aで次のコイル8の巻き取りが開始され、よって、前記切断位置の後側の後続の薄鋼板Aの先端がコイルの内径側の先端になる。このシャー3での切断前に、切断後の後続の薄鋼板Aの先端になる位置から始まる次のコイルの巻き取り開始部に相当する位置には、オイラー7での塗油量が前記のように条件Dまたは無塗油となるように制御される。これは、トラッキング装置9により検出されて出力された溶接位置の情報が計算機に入力され、この計算機からの処理情報が入力された制御装置PLCによってオイラー7が制御される。すなわち、前記コイルの巻き取り開始部に相当する位置がオイラー7を通過するタイミングで、オイラー7が前記のようなゼロか少ない塗油量になるように制御される。オイラー7による塗油の方法は、静電塗油である。したがって、オイラー7通過後の薄鋼板Aは、シャー3で切断されて形成された後続の部分の先端からテンションリール5にて巻き取られるときには、巻き取り開始部の塗油量がすでに前記のように制御されている。よって、巻き取り開始部では内外の薄鋼板間で滑りが生じないから、ここでの縮径は生じない。このため、キンク現象は発生することがない。このように、本発明の薄鋼板の巻取り方法を適用することにより、表面形状の優れた鋼帯コイルを製造することが可能となる。
A 薄鋼板
5 リール(テンションリール)
7 オイラー
8 コイル

Claims (3)

  1. 引張強度440MPa以下の薄鋼板をリールに巻き取るに際し、その薄鋼板における先端から2m〜20mの範囲内に設定される巻き取り開始部への塗布防錆油量を、この巻き取り開始部の後の部分の塗布防錆油量よりも少なくするものであり、
    前記薄鋼板には表面粗度がRa=0.2μmを超えかつ1.65μm以下のものを用い
    前記巻き取り開始部への塗布防錆油量を、0g/m とするとともに、前記薄鋼板の前記巻き取り開始部の内側に防錆のための包装を施すことを特徴とする薄鋼板の巻き取り方法。
  2. 前記薄鋼板には板厚が0.6mm以下のものを用いることを特徴とする請求項に記載の薄鋼板の巻き取り方法。
  3. 請求項1又は2に記載の方法を用いて、薄鋼板をコイルに巻き取ることにより、表面形状の優れた鋼帯コイルを製造する方法。
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