JP6076450B2 - 装飾用又は鏡面用インク組成物、及び金属銀層を表面に供えた基材の製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、これらインク組成物から形成された金属層は、実際の金属のような光沢度が乏しく、鏡面性が低いという問題点があった。これは、形成された金属層において、金属原子同士の接触が不十分であることが原因の一つであると考えられる。このように、所望の金属を含むインク組成物を使用しても、所望の光沢度や鏡面性を有する金属層を形成できることはまれであり、所望の高品質な金属層を形成できるインク組成物の開発が強く望まれている。
しかし、ベヘン酸銀を使用する場合にも、金属銀を形成させるためには還元剤存在下での加熱を必要とする。また、ステアリン酸銀やα−ケトカルボン酸銀を使用する場合でも、無機物の場合よりは低いものの、速やかに分解させるために約210℃以上の加熱が必要である。
本発明は、85°光沢度が90.0〜157.4である金属銀層を形成するための装飾用又は鏡面用インク組成物であって、イソブチリル酢酸銀、ベンゾイル酢酸銀、プロピオニル酢酸銀、アセト酢酸銀、α−メチルアセト酢酸銀及びα−エチルアセト酢酸銀からなる群から選択される一種以上のβ−ケトカルボン酸銀、及び炭素数が1〜10の脂肪族第一級アミン又は第二級アミンが配合されてなることを特徴とする装飾用又は鏡面用インク組成物を提供する。
本発明の装飾用又は鏡面用インク組成物は、さらに、前記第一級アミン及び第二級アミンに該当しない溶媒が配合されてなり、前記溶媒が炭素数2〜5の一価アルコールを含むものでも良い。
本発明の装飾用又は鏡面用インク組成物においては、配合成分の総量に占める前記溶媒の配合量の比率が5〜50質量%であっても良い。
また、本発明は、上記本発明の装飾用又は鏡面用インク組成物を基材上に塗布し、塗布後の前記インク組成物に対して、その組成や性状が変化する前に加熱を開始して、85°光沢度が90.0〜157.4である金属銀層を前記基材の表面に形成させることを特徴とする、金属銀層を表面に供えた基材の製造方法を提供する。
本発明の銀インク組成物は、イソブチリル酢酸銀、ベンゾイル酢酸銀、プロピオニル酢酸銀、アセト酢酸銀、α−メチルアセト酢酸銀(2−メチルアセト酢酸銀)及びα−エチルアセト酢酸銀(2−エチルアセト酢酸銀)からなる群から選択される一種以上のβ−ケトカルボン酸銀、及び炭素数が1〜10の脂肪族第一級アミン又は第二級アミンが配合されてなることを特徴とする。
以下、各配合成分について説明する。
前記β−ケトカルボン酸銀は、加熱によって分解し、金属銀を形成するものである。そして、金属銀形成時に残存する原料や不純物の濃度が極めて低く、形成された金属銀の表面は、くすみやむらが抑制されて優れた鏡面性を有するなど、外観が良好である。さらに、形成された金属銀は、銀原子同士の接触が良好で、導通性に優れ、抵抗率が低いという優れた性質を有する。
残存質量(%)=(A/B)×100
[Aはβ−ケトカルボン酸銀の熱分解後の質量(mg)、BはTGAでのβ−ケトカルボン酸銀の使用量(mg)を表す。] ・・・・(1)
銀含有量(%)=(銀の原子量/β−ケトカルボン酸銀の分子量)×100 ・・・・(2)
前記塩基の使用量は特に限定されないが、β−ケトカルボン酸エステル1モルに対して0.8〜2モルであることが好ましく、0.9〜1.2モルであることがより好ましい。
反応液中におけるβ−ケトカルボン酸エステルの濃度は、0.5〜6.25mol/Lであることが好ましく、1〜5.6mol/Lであることがより好ましい。
反応時間は、0.5〜48時間であることが好ましく、1〜4時間であることがより好ましい。
まず、β−ケトカルボン酸塩に酸を添加し、生成したβ−ケトカルボン酸を有機溶媒で抽出する。前記酸は特に限定されないが、好ましいものとして、硫酸、塩酸、臭化水素酸、硝酸、リン酸、酢酸等が例示できる。酸の使用量は特に限定されず、例えば、β−ケトカルボン酸塩の塩を構成するカチオン部の量に相当する量のプロトン(H+)を供給できれば良い。また、β−ケトカルボン酸塩を前工程で単離せずにそのまま使用した場合には、前工程での塩基使用量に相当する量のプロトン(H+)を供給できれば良い。
生成したβ−ケトカルボン酸を有機溶媒で抽出することにより、β−ケトカルボン酸銀の純度をさらに向上させることができる。
本工程で得られるβ−ケトカルボン酸は、例えば、生成後、速やかに氷冷等により冷却して、次工程で使用することが好ましい。
反応液における溶媒としては、エーテル等の有機溶媒、水、これらの混合液が例示できる。
β−ケトカルボン酸及び銀化合物は、それぞれ一種を使用しても良く、いずれか一方又は双方を二種以上使用しても良い。
前記β−ケトカルボン酸液の濃度は、特に限定されないが、0.2mol/L以上であることが好ましく、0.5mol/L以上であることがより好ましい。
前記アミンの添加量は特に限定されないが、例えば、銀化合物1モルに対して1〜1.5モルであることが好ましく、1〜1.1モルであることがより好ましい。
前記アミンの添加によって、β−ケトカルボン酸は有機層から水層へ移動する。このため、前記アミンを添加する場合には、例えば、β−ケトカルボン酸液(例えば、有機溶媒溶液)におけるβ−ケトカルボン酸濃度は、特に考慮しなくても良い。また、β−ケトカルボン酸を有機層から水層へ移動させ、この段階で水層のみを分取して、β−ケトカルボン酸水溶液(水層)と銀化合物溶液(例えば、銀化合物水溶液)とを混合し、β−ケトカルボン酸銀を生成させても良い。
また、前記反応液中のアミンの濃度は、0.1〜5mol/Lであることが好ましく、0.3〜3mol/Lであることがより好ましい。
また、前記反応液中の前記銀化合物の濃度は、生成するβ−ケトカルボン酸銀が、α位の炭素原子に結合している水素原子が未置換の場合、0.1mol/L以上であることが好ましく、0.3mol/L以上であることがより好ましく、0.5mol/L以上であることが特に好ましい。一方、α位の炭素原子に結合している水素原子が置換基で置換されている場合、前記反応液中の前記銀化合物の濃度は、0.1mol/L以上であることが好ましく、0.5mol/L以上であることがより好ましく、2mol/L以上であることが特に好ましい。
配合成分である前記アミンは、第一級又は第二級の脂肪族系アミンで炭素原子の総数が1〜10であれば特に限定されないが、好ましいものとして、窒素原子に結合している脂肪族炭化水素基がアルキル基であるもの(アルキルアミン、ジアルキルアミン)が例示できる。そして、前記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでも良い。
前記直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等が例示できる。
前記環状のアルキル基は、単環状及び多環状のいずれでも良く、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基等が例示できる。
本発明の銀インク組成物は、さらに、前記第一級アミン及び第二級アミンに該当しない溶媒が配合されていても良い。前記溶媒を配合することで、例えば、銀インク組成物の粘度を調節できる。そして、後述する銀インク組成物の塗布方法に適した粘度に調節することで、銀インク組成物を一層安定して塗布できる。
好ましい前記溶媒としては、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類が例示できる。
また、前記アルコール類は、一価アルコール及び多価アルコールのいずれでも良い。
好ましい前記アルコール類としては、炭素数2〜5の一価アルコール又は多価アルコールが例示でき、具体例としては、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール等の一価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール等の二価アルコールが挙げられる。
好ましい前記ケトン類としては、ペンタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、ウンデカノン等が例示できる。
好ましい前記エステル類としては、酢酸エステル類が例示でき、具体例としては、酢酸2−エトキシエチル、酢酸2−ブトキシエチルが挙げられる。
好ましい前記エーテル類としては、ジエチルエーテル、ビス(2−メトキシエチル)エーテル等の鎖状エーテル類;テトラヒドロフラン(THF)等の環状エーテル類が例示できる。
本発明の銀インク組成物は、前記β−ケトカルボン酸銀、前記アミン及び前記溶媒以外に、これらに該当しないその他の成分が配合されていても良い。
好ましいその他の成分としては、アセチレンアルコール類が例示できる。ここで、「アセチレンアルコール類」とは、エチニル基(−C≡CH)と水酸基(−OH)を共に有する化合物を指し、例えば、水酸基を有するが、前記溶媒とは区別する。
前記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでも良い。
フェニル基が有していても良い前記置換基としては、炭素数が1〜16の飽和又は不飽和の一価の脂肪族炭化水素基、該脂肪族炭化水素基が酸素原子に結合した一価の基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、水酸基、シアノ基、フェノキシ基等が例示できる。
置換基としての前記脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでも良く、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等が例示できる。前記脂肪族炭化水素基が環状である場合、単環状及び多環状のいずれでも良い。
前記脂肪族炭化水素基が酸素原子に結合した一価の基の好ましいものとしては、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、シクロアルコキシ基、シクロアルケニルオキシ基等が例示できる。
フェニル基が置換基を有する場合、該置換基の数及び位置は特に限定されない。
R’及びR’’は、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であることがより好ましい。
前記その他の成分の配合量は、その種類に応じて適宜調節すれば良く、特に限定されない。
本発明の銀インク組成物は、前記β−ケトカルボン酸銀及び前記アミン、並びに必要に応じて、前記溶媒、前記その他の成分を配合することで、製造できる。
各成分の配合時には、すべての成分を添加してからこれらを混合しても良いし、一部の成分を順次添加しながら混合しても良く、すべての成分を順次添加しながら混合しても良い。
混合方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法、ミキサーを使用して混合する方法、超音波を印加して混合する方法等、公知の方法から適宜選択すれば良い。
本発明の基材は、上記本発明の銀インク組成物を加熱して形成させた金属銀層を表面に供えたことを特徴とする。
銀インク組成物中の前記β−ケトカルボン酸銀は、加熱により分解して金属銀を形成する。そして、基材上に形成された金属銀層は、光沢度、色彩度に優れ、くすみやむらが抑制されて優れた鏡面性を有するなど、外観が良好である。
前記樹脂としては、合成樹脂が好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリフェニレンスルファイド、ポリスルホン、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン、ポリイミド等が例示できる。
前記紙類としては、原紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、レジンコート紙、グラシン紙、光沢紙、合成紙等が例示できる。
前記β−ケトカルボン酸銀は、分解温度が低いので、高温処理が必要な従来の方法では使用できない耐熱性の低い基材も使用できる。
銀インク組成物の塗布方法は、特に限定されず、スクリーン印刷;オフセット印刷;ディップ方式;インクジェット方式;ディスペンサー方式;エアーナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、グラビアコーター、スピンコーター等の各種コーターを使用する方法;ワイヤーバー等の装置を使用する方法等の公知の方法で良い。塗布方法は、例えば、銀インク組成物の粘度に応じて選択すると、銀インク組成物を一層安定して塗布できる。
金属銀層の厚さも、目的に応じて任意に設定できるが、通常は0.1〜1μmであることが好ましい。
銀インク組成物の塗布終了から加熱開始までの時間は、銀インク組成物の配合成分の組み合わせに応じて調節すれば良い。
銀インク組成物の加熱温度は、通常は、前記β−ケトカルボン酸銀の分解温度に対して+0〜+60℃であることが好ましい。そして、前記促進成分が銀インク組成物中に配合されている場合には、銀インク組成物の加熱温度の下限値は、前記β−ケトカルボン酸銀の分解温度に対して−30℃程度であっても良い。加熱温度をこのように設定することで、β−ケトカルボン酸銀の分解を一層確実に進行させることができる。
(α−メチルアセト酢酸銀の合成)
水酸化ナトリウム(1.92g)を水(8ml)に溶解させ、これを室温で撹拌しながら、2−メチルアセト酢酸エチル(和光純薬社製、5.77g)を滴下し、さらに30分間撹拌した。その後、ロータリーエバポレーターによってエタノールを除去し、残留した水層をエーテルで洗浄した。これにエーテル(20ml)を添加し、さらに、氷冷下で撹拌しながら、水8mlに濃硫酸2.35gを溶解させたものを滴下した。エーテル層を分取し、水層を塩析した後にエーテルで抽出した。エーテル層を集め、α−メチルアセト酢酸のエーテル溶液を得た。
得られたα−メチルアセト酢酸銀の赤外線吸収スペクトル(IR)を図1に示す。
IR:1692cm−1、1523cm−1
元素分析値:C=26.49%、H=3.11%、Ag=48.91%(理論値:C=26.93%、H=3.16%、Ag=48.36%)
NMR:1.25ppm 3H d, 2.25ppm 3H s, 3.55ppm 1H q, J=7Hz
(イソブチリル酢酸銀の合成)
水酸化ナトリウム(0.4g)を水(10ml)に溶解させ、これにメチルイソブチリルアセテート(フルカ社製、1.44g)を加え、室温で6時間撹拌した。反応生成物をエーテルで洗浄し、10%希硫酸(4.9g)を加えてエーテルで抽出した。エーテル抽出液に過剰の無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥させ、濾過によって無水硫酸ナトリウムを除去した。そして、ロータリーエバポレーターによってエーテルを除去し、イソブチリル酢酸を得た(収量1g)。
得られたイソブチリル酢酸銀の赤外線吸収スペクトル(IR)を図2に示す。
IR:1709cm−1、1505cm−1
元素分析値:C 30.33, H 3.65, N 0.00, Ag 45.42(計算値:C 30.41, H 3.84, Ag 45.51)
NMR:1.00ppm 6H d, 2.83ppm 1H 5重線, 3.30ppm 2H s, J=7Hz
(ベンゾイル酢酸銀の合成)
水酸化ナトリウム(0.4g)を水(10ml)に溶解させ、これにエチルベンゾイルアセテート(アルドリッチ社製、2.14g:純度90%)を加えて室温で終夜撹拌した。反応生成物をエーテルで洗浄し、10%希硫酸(4.9g)を加え、エーテルで抽出した。エーテル抽出液に過剰の無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥させ、濾過によって無水硫酸ナトリウムを除去した。そして、ロータリーエバポレーターによってエーテルを除去し、ベンゾイル酢酸を得た(収量1.05g)。
得られたベンゾイル酢酸銀の赤外線吸収スペクトル(IR)を図3に示す。
IR:1687cm−1、1540cm−1。
NMR:3.55ppm 2H s, 7.45〜8.00ppm 5H m
(アセト酢酸銀の合成)
水冷下、水酸化ナトリウム(NaOH)(15.8g)を水(213.8g)に溶解させ、得られた水酸化ナトリウム水溶液の温度を室温に調節し、これを20℃のアセト酢酸エチル(井上香料製造所社製、51.5g)に20分間かけて全量滴下して、さらに引き続き20℃で一晩撹拌し、加水分解を行った。
次いで、得られたアセト酢酸ナトリウムを含む溶液を5〜10℃に冷却しながら、ここに69%硝酸(HNO3)水溶液(1.73g)を5分間かけて滴下して、さらに約10分間撹拌した。この時、得られた反応液のpHは5であった。
次いで、硝酸銀(AgNO3)(47.8g)を水(47.8g)に溶解させ、これを5〜10℃に冷却しながら、ここに上記のpH5の反応液を15分間かけて全量滴下して、さらに約10分間撹拌することにより、アセト酢酸銀を生成させた。
次いで、得られた反応液を遠心濾過して結晶をろ別し、この結晶を水(40mL)で1回洗浄した後、適量のエタノールで3回洗浄した。これを乾燥させることにより、目的物であるアセト酢酸銀の結晶(白色結晶)を得た(収量41.2g、収率70%)。
得られたアセト酢酸銀の赤外線吸収スペクトル(IR)を図4に示す。
IR:1705cm−1、1538cm−1。
NMR:2.17ppm 3H s, 3.25ppm 2H s
(銀インク組成物の製造)
100mlビーカーにn−プロピルアミン40g、エタノール20gを加え、氷水浴下で冷却しながら撹拌した。そして、さらにα−メチルアセト酢酸銀20gを加え、すべての配合成分が溶解するまで撹拌することで、銀インク組成物を製造した。配合成分を表2に示す。
得られた銀インク組成物を、縦50mm、横50mm、厚さ188μmのポリエチレンテレフタレート製の基材(東山フィルム製、HK31WF)表面にほぼ等間隔をあけて12滴滴下した後、これを回転させるスピンコーター法により、基材表面に均一に塗布した。
次いで、直ちに(塗布終了から約15秒後に)、基材を約150℃で5分間加熱することで、基材表面に金属銀層を形成した。
得られた金属銀層について、下記方法により(1)外観、(2)光沢度、(3)色彩度をそれぞれ評価した。
(1)外観
肉眼観察により、下記評価基準に従って(a)鏡面性、(b)くすみ、(c)ムラの程度をそれぞれ評価した。評価結果を表2に示す。
◎:極めて優れている
○:優れている
△:標準的で実用上問題ない
×:実用上問題がある
(2)光沢度
micro−TRI−gloss geometry 85°(BYK−Gardner GmbH製)を使用して、常法により評価した。
(3)色彩度
SPECTROPHOTOMETER(X−Rite Inc.製)を使用して、常法により評価した。
β−ケトカルボン酸銀、アミン、溶媒として、それぞれ表2に示すものを使用したこと以外は、実施例1と同様に銀インク組成物を製造した。そして、実施例1と同様に金属銀層が形成された基材を製造し、金属銀層の特性を評価した。評価結果を表3に示す。
なお、比較例3における「デュオミンCD」とは、N−ヤシアルキル−1,3−ジアミノプロパンを指す。また、実施例10では、エタノール(20g)に代えてエタノール(10g)/テトラヒドロフラン(10g)の混合溶媒を使用した。実施例14では、エタノール(20g)に代えてエタノール(14g)/2,6−ジメチル−4−ヘプタノン(6g)の混合溶媒を使用した。
これに対して、アミンとして2−フェニルエチルアミンを使用した比較例1の銀インク組成物、アミンとして脂肪族第三級アミンを使用した比較例2の銀インク組成物の場合、金属銀層は、いずれも光沢度が低く、外観も実用上許容できるものではなかった。
また、アミンとしてデュオミンCDを使用した比較例3の銀インク組成物の場合、金属銀層にデュオミンCDが残留し、光沢度及び色彩度は測定できなかった。
β−ケトカルボン酸銀としてアセト酢酸銀を、アミンとして表4に示すものを、それぞれ使用したこと以外は、実施例1と同様に銀インク組成物を製造した。そして、実施例1と同様に金属銀層が形成された基材を製造し、金属銀層の特性を評価した。評価結果を表5に示す。
これに対して、アミンとして2−フェニルエチルアミンを使用した比較例4の銀インク組成物、アミンとして脂肪族第三級アミンを使用した比較例5の銀インク組成物の場合、金属銀層は、いずれも光沢度が低く、外観も実用上許容できるものではなかった。
このように、さらに異なる種類のβ−ケトカルボン酸銀を使用した場合でも、実施例1〜14及び比較例1〜2と同様の結果が得られた。
Claims (4)
- 85°光沢度が90.0〜157.4である金属銀層を形成するための装飾用又は鏡面用インク組成物であって、
イソブチリル酢酸銀、ベンゾイル酢酸銀、プロピオニル酢酸銀、アセト酢酸銀、α−メチルアセト酢酸銀及びα−エチルアセト酢酸銀からなる群から選択される一種以上のβ−ケトカルボン酸銀、及び炭素数が1〜10の脂肪族第一級アミン又は第二級アミンが配合されてなることを特徴とする装飾用又は鏡面用インク組成物。 - さらに、前記第一級アミン及び第二級アミンに該当しない溶媒が配合されてなり、
前記溶媒が炭素数2〜5の一価アルコールを含むことを特徴とする請求項1に記載の装飾用又は鏡面用インク組成物。 - 配合成分の総量に占める前記溶媒の配合量の比率が5〜50質量%であることを特徴とする請求項2に記載の装飾用又は鏡面用インク組成物。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の装飾用又は鏡面用インク組成物を基材上に塗布し、塗布後の前記インク組成物に対して、その組成や性状が変化する前に加熱を開始して、85°光沢度が90.0〜157.4である金属銀層を前記基材の表面に形成させることを特徴とする、金属銀層を表面に供えた基材の製造方法。
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